説明

揮発性物質の蒸発のためのタブレット及び装置

本発明は、香水及び/又は殺虫剤のような液体又は固体状態の揮発性物質を保持するタブレット(1)に関している。タブレットは、揮発性物質を保持する材料の第1及び第2の層(2、4)を備えており、前記第1及び第2の層は選択された距離だけお互いから離れており、さらに前記の層に結合され且つ前記第1及び第2の層の間に位置する不浸透性材料の層(3)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香水及び/又は殺虫剤のような液体又は固体状態の揮発性物質を保持するタブレットに関する。
【背景技術】
【0002】
タブレット及びこれらのタイプのタブレットを使用する蒸発装置は、例えば、下記特許文献1,2に記載されている。典型的には、これらのタブレットの本体は平坦であり、電気式蒸発装置の加熱手段に平行に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第97/45008号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第0.498.278号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このタイプのタブレットは、それらが初めて使用されるときに「第1ステップの高蒸発率」効果を提供し、タブレットが電気式蒸発装置で初めて使用されるときに大量の揮発性物質を蒸発させて短時間に大気中に消散させることは、既知である。その後、前記第1ステップの高蒸発率の後に、大気中に拡散した揮発性物質の量は、その完全蒸発まで著しく且つ段々と減少する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の局面は揮発性物質の蒸発のためのタブレットに関しており、これは、揮発性物質を保持する材料、例えば多孔性材料の第1及び第2の層を備えている。本発明では、揮発性材料は、多孔性プラスチックを含む任意のタイプの多孔性材料を指す。これらの2つの層は、例えば間隙率、材質、厚さ、揮発性物質の含有量などに関して、同じ又は異なる特性を有し得る。
【0006】
タブレットは、層の一つの揮発性物質が他の層の揮発性物質よりも速く蒸発することができるような方法で、構成される。
【0007】
本発明のタブレットは、以下のモードで使用することができる。
−2つの異なる処方及び/又は活性物質が複数ターゲット製品(ハエ/蚊)のために提供される
−2つの異なる活性物質の異なる温度での放出
−同じ活性物質であるが、例えば第1ステップの高蒸発率を得るための異なる放出(蒸発表面&温度)と長い活性放出。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】タブレットの2つの斜視図を示す図であり、下のものはタブレットの分解図である。
【図2】両テーブルが同量で且つ同タイプの揮発性物質(8mgTFT+8mgTFT)を含むときの二重層タブレットの2つの揮発性物質の重量減を示す棒グラフである。外側層の第1の物質の高蒸発率(濃いバー)及びタブレットの内側層の第2の物質の低く一定の蒸発率(薄いバー)を見ることができる。
【図3】両テーブルが異なるタイプの揮発性物質(8mgETOC+8mgTFT)を含むときの二重層タブレットの2つの揮発性物質の重量減を示す棒グラフである。第1の物質の高蒸発率(濃いバー)及び第2の物質の低く一定の蒸発率(薄いバー)を見ることができる。
【図4】本発明に従ったタブレットを有する電気式蒸発装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の好適な例に従った本発明の特性のより良い理解を助けるという目的を補完するために、1セットの図面が添付されており、以下のものは描写的で且つ非限定的な性質を提示している。
【0010】
好適な実施形態で、前記第1及び第2の層2,4は、選択された距離を開けて、互いに離れている。好ましくは、2つの多孔層は、前記層と結合され且つ前記第1及び第2の層の間に位置する不浸透性材料の層3により、互いに離れている。あるいは、不浸透性材料の層3は、不浸透特性を有する第1および第2の層2,4のいずれか一つの表面層であってもよい。
【0011】
本発明のタブレットは、二重の効果を提供する。これは、タブレットが物質を保持する材料からなる2つの層から形成されており、タブレットが図4に示される蒸発装置にて使用されるときに、各層が異なる蒸発条件によって影響されることができるためである。
【0012】
図1において、本発明のタブレットが、上部層2、底部層4、及び前記層の間に位置する不浸透層3からなることが分かる。タブレットは、伝統的に蒸発装置のヒータ要素6の上方又は近くに配置される。底部層4は、上部層2よりもヒータに近い。
【0013】
加えて、上部層2の上面及び側面が周囲の空気にオープンである一方で、底部層4は側面のみがオープンであることが分かる。底部層4の下面はヒータ表面によって閉じられており、その上面は不浸透層によって閉じられている。したがって、底部層4の側面のみが揮発性物質の蒸発を許容する。
【0014】
あるいは、タブレットは、底部層4が装置のケースの表面に置かれて、前記層の表面が閉じられている非電気式蒸発装置にも使用することができる。
【0015】
一つの層の低減された蒸発表面(外縁部のみ)が、広範囲の活性成分の使用を許容する(標準マットでは蒸発が速すぎる高蒸気圧のものも)。
【0016】
本発明の例示的な実施形態では、多孔性材料の両方の層は同量の殺虫剤で含浸されており、上部層によって保持される殺虫剤が大量に蒸発して、それによって「第1のステップの高蒸発率」効果を得て、装置の範囲内で虫を殺す「殺虫作用」を生成する。底部層の殺虫剤は、この層の側面のみが空気に触れているためにゆっくりと蒸発し、限定された量の殺虫剤のみが空気中に拡散して、それが他の虫を装置の近傍から遠ざけるので、「防虫作用」が達成される。
【0017】
あるいは、上部及び底部層は異なる香水で含浸されて、タブレットは両方の位置で、すなわち加熱手段に近く位置する上部又は底部の層で使用されることができる。それゆえ、ユーザは、どちらの香水が高蒸発率効果のために使用され、どちらの香水が低蒸発作用のために使用されるかを選ぶことができる。
【0018】
図4は、揮発性物質5の蒸発のための装置であり、加熱要素6と、前記層の一方、この場合は層4が、他の層2よりも加熱要素6に近いように装置内に配置されたタブレット1と、を備えている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質の蒸発のためのタブレットであって、
揮発性物質を保持する材料からなる少なくとも第1及び第2の層を備えており、前記第1及び第2の層は選択された距離だけ互いに離れており、
前記層と結合されるとともに、前記第1及び第2の層の間に位置する不浸透性材料からなる層をさらに備えている、タブレット。
【請求項2】
前記少なくとも第1及び第2の層が多孔性材料からなる、請求項1に記載のタブレット。
【請求項3】
前記少なくとも第1及び第2の層には、液体の揮発性物質が含浸されており、
前記物質が殺虫剤及び/又は香水である、
請求項1または2に記載のタブレット。
【請求項4】
前記第1及び第2の層が異なる吸収容量を有する多孔性材料からできている、請求項1から3のいずれか1項に記載のタブレット。
【請求項5】
前記第1及び第2の層には、異なる組成を有する揮発性物質が含浸されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のタブレット。
【請求項6】
前記第1及び第2の層、及び前記不浸透層が、平面視で同じ形状である、請求項1から5のいずれか1項に記載のタブレット。
【請求項7】
加熱要素と 請求項1から6のいずれか1項に記載のタブレットとを備えている揮発性物質の蒸発のための装置であり、前記タブレットは、前記層の一つが他の層よりも前記加熱要素に近いように前記装置に配置されている、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−531843(P2010−531843A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513937(P2010−513937)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058273
【国際公開番号】WO2009/003944
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(506076732)ツォベーレ ホールディング ソシエタ ペル アチオニ (9)
【Fターム(参考)】