説明

揺動型運動装置用補助器具及び揺動型運動システム

【課題】使用者の意識的動作を軽減し使用の継続性を高めながら腰部と脚部とに加え上半身にも運動負荷を付与することができる揺動型運動装置用補助器具を提供する。
【解決手段】揺動型運動装置10とともに使用される補助器具80は、使用者の肩にて支持される支持部81と、その支持部81の両端に連結され使用者の手又は腕が掛けられるように形成され座部13の往復揺動により共振する可動部82とを備えてなる。これにより、座部13の揺動に伴って腕などの上半身の揺れが大きくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部の揺動によりその座部に着座した使用者に運動負荷を付与する揺動型運動装置と共に用いられる補助器具及びその補助器具を用いた揺動型運動システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、座部の揺動によりその座部に着座した使用者に運動負荷を付与する揺動型運動装置が各種提案されている。揺動型運動装置は、子供から老人まで利用可能な手軽な運動器具として、当初のリハビリ目的の医療施設から、一般家庭へと普及してきている。そのような揺動型運動装置の典型的な従来技術としては、例えば特許文献1、2などがある。
【0003】
特許文献1に開示された腰痛予防訓練装置は、6軸のパラレルメカニズムなどを用いて被訓練者が跨がる形で着座する座部を前後方向、左右方向、上下方向の位置を変化可能とするとともに、一連のなめらかな揺動パターンを実現するようにしたものである。特許文献2に開示されたバランス訓練装置は、1つのモータとリンクとにより、人が着座する座部を前後方向及び左右方向に揺動させるようにしたものである。
【0004】
上記各装置は、使用者が座部に着座しその座部を装置によって前後方向など揺動させることによって、使用者に対して座るだけで腰部と脚部とに運動負荷を付与するものである。しかしながら、上半身も同時に鍛錬したいという要求があり、上記のような揺動型運動装置では、別途運動を行わなければならなかった。
【0005】
これに対し、揺動型運動装置を用いないものとしては、肩や背中などの上半身にストレッチ効果を付与する装置として例えば特許文献3に開示されたトレーニング器具があり、このトレーニング器具は、長尺の筒体よりなり使用者がその長手方向中央部を自身の首の後に配置し、その両側に手又は腕を掛け、上半身を捻ったり左右に傾けるようにして運動を行うものである。
【特許文献1】特許第3394890号公報
【特許文献2】特開2001−286578号公報
【特許文献3】特開2005−288015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1〜3に開示された装置では、脚部等の下半身と肩等の上半身に対して同時に運動効果を付与することは難しく、上半身と下半身に対して別の装置にて運動を行う事が多かった。そのため、別の装置にて運動することから多大な時間を要するために、継続的に使用することが難しかった。
【0007】
また、特許文献3に開示されたトレーニング器具では、使用者自らが積極的な運動を行うことで、上半身に対してストレッチ効果を付与するため、使用者自身の努力が必要である。そのため、モチベーションの維持が難しく、この器具自体も継続的に使用が難しい原因があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、使用者の意識的動作を軽減し使用の継続性を高めながら腰部と脚部とに加え上半身にも運動負荷を付与することができる揺動型運動装置用補助器具及びその補助器具を用いた揺動型運動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、座部を少なくとも一方向に往復揺動させる揺動型運動装置と併用され、前記座部に着座した使用者が保持して使用される補助器具であって、前記使用者の少なくとも肩にて支持される支持部と、前記支持部の両端に連結され、前記使用者の手又は腕が掛けられるように形成されるとともに、前記座部の往復揺動により振動が誘発される可動部とを備えてなることをその要旨とする。
【0010】
この発明では、使用者の少なくとも肩にて支持される支持部と、その支持部の両端に連結され、使用者の手又は腕が掛けられるように形成されるとともに、座部の往復揺動により振動が誘発される可動部とが備えられる。そのため、座部の揺動に伴って腕などの上半身に揺れが誘発される。特に、共振させることでその上半身での揺れを大きくすることができる。そのため、例えばその動きに身を任せる姿勢で使用する場合には、腕や肩付近のストレッチを行うことができ、動きに抗する姿勢で使用する場合には腕や肩などの筋肉を使用したトレーニングを行うことができ、上半身にも運動負荷を付与することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の揺動型運動装置の補助器具において、前記可動部は、弾性部材と非弾性部材とで構成されていることをその要旨とする。
この発明では、可動部を弾性部材と非弾性部材とで構成したことにより、例えば、ばね等の弾性部材によって単純な構成が可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の揺動型運動装置の補助器具において、前記可動部は、長手方向に沿って移動自在に取着された錘を有することをその要旨とする。
【0013】
この発明では、可動部は、長手方向に沿って移動自在に取着された錘を有することにより、振動が誘発される時の揺れの大きさを変更することが可能となる。そのため、使用者個々の要求に応じて揺れの大きさを変更することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の揺動型運動装置の補助器具において、前記可動部は、L字状に形成されていることをその要旨とする。
この発明では、L字状に形成したことにより、把持の仕方や腕のかけ方にバリエーションを持たせてトレーニングしたい肩周りの筋肉や腕の筋肉を選択でき、トレーニング部位を集中させることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の揺動型運動装置の補助器具において、前記可動部は、該可動部の地面に対する水平方向若しくは垂直方向の角度を計測して報知する角度計測報知手段を備えたことをその要旨とする。
【0016】
この発明では、可動部に可動部の地面に対する水平方向若しくは垂直方向の角度を計測して報知する角度計測報知手段を備えたことにより、上半身の姿勢のずれを計測することが可能となり、一定の姿勢を保つ基準となる。そのため、効果的な運動負荷を付与する姿勢の角度に調整することによって適正な運動負荷を使用者に対して付与することが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の揺動型運動装置の補助器具において、前記可動部は、所定方向にビーム状の可視光を出射する投光手段を備えたことをその要旨とする。
【0018】
この発明では、可動部に所定方向にビーム状の可視光を出射する投光手段を備えたことにより、姿勢のずれを計測することが可能となり、一定の姿勢を保つ基準となる。そのため、効果的な運動負荷を付与する姿勢の角度に調整することによって適正な運動負荷を使用者に対して付与することが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の揺動型運動装置の補助器具において、前記支持部と前記可動部の少なくとも一方に、前記補助器具を振動させるための振動部を備えたことをその要旨とする。
【0020】
この発明では、支持部と可動部の少なくとも一方に、補助器具を振動させるための振動部を備えたことにより、腕等へ付与する揺れを調整可能にでき、共振するための周波数に調整したり、使用者個々の要求に応じた揺れを発生させたりすることも可能となる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の揺動型運動装置の補助器具において、前記可動部は、前記支持部に対して負荷を伴ってねじれることが可能に構成されたことをその要旨とする。
【0022】
この発明では、可動部は、支持部に対して負荷を伴ってねじれることが可能に構成したことにより、腕又手を肩や肘を中心として動かすことが可能となり、上半身のインナーマッスルに対しても運動負荷を付与することが可能となる。肩や肘を中心として動かすことによって、関節をほぐすことも可能となる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、人が着座可能な座部を少なくとも一方向に往復動させる揺動型運動装置と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の補助器具と、を備えたことをその要旨とする。
【0024】
この発明では、請求項1〜8のいずれかの発明と同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0025】
従って、上記記載の発明によれば、使用者の意識的動作を軽減し使用の継続性を高めながら腰部と脚部とに加え上半身にも運動負荷を付与することができる揺動型運動装置用補助器具及びその補助器具を用いた揺動型運動システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図9に従って説明する。
図1に示すように、揺動型運動装置10の脚部11は図示しない床面に載置され、その脚部11の上端には座部揺動装置12が固定されている。座部揺動装置12の上部には、馬の背や鞍を模した形状で使用者が着座する座部13が固定されている。座部揺動装置12は、座部13を前後方向及び左右方向に揺動するように構成されている。座部揺動装置12は、脚部11の上端と座部13との間に設けられたカバー14により被覆されている。カバー14は、伸縮自在な布地などからなり、座部揺動装置12による座部13の揺動を許容する。尚、カバー14を複数の部材から構成してもよい。
【0027】
座部13の上面前方(図において左側)には操作器15が設けられており、この操作器15に備えられた図示しないスイッチの操作によって、座部揺動装置12の起動、停止、動作状態の変更などが支持される。
【0028】
座部揺動装置12の概略を図1〜図4に従って説明する。
図1に示す脚部11の上面には、図3に示すように、矩形板状のベース21が固定されており、図2に示すように、ベース21には前後方向一対の軸支板22が立設されている。その軸支板22には、可動架台23の前後方向両端部に垂設された一対の連結板24が対向配置され、軸支板22と連結板24は前後方向に沿って延びる支軸25によってそれぞれ回動可能に連結されている。支軸25は、ベース21の左右方向中央に配置されるとともに前後2箇所に配置されて可動架台23を左右方向に回動可能に支持するものである。
【0029】
図2に示すように、可動架台23は、連結リンク26を介してその可動架台23の上方に配置され前記座部13が取着される台座27が前後方向に沿って揺動可能に支持されている。詳述すると、図4に示すように、可動架台23の左右両側にはそれぞれ前後方向に沿って延びる一対の側板30が設けられている。図3に示すように、連結リンク26は、前方に配置された前リンク26aと、後方に配置された後リンク26bとから構成されている。図2に示すように、前リンク26aの下端部は側板30の前端部に設けた下軸ピン31aに軸着され、前リンク26aの上端部は、台座27の前端部に設けた上軸ピン32aに軸着されている。また、後リンク26bの下端部は側板30の後端部に設けた下軸ピン31bに軸着され、後リンク26bの上端部は台座27の後端部に設けた上軸ピン32bに軸着されている。前後の各下軸ピン31a,31bは、連結リンク26を左右方向Yの軸線回りに回動可能に支持する左右軸を構成しており、これによって、台座27は左右軸回りに図2の矢印Mで示す前後方向に往復回転移動可能となっている。また、図4に示すように、台座27は、連結リンク26により可動架台23と一体的に左右方向に回動する。従って、台座27は、可動架台23を支持する支軸25周りに図4の矢印Nで示す左右方向に回転往復移動可能となっている。
【0030】
また、前後の各下軸ピン31a,31bの軸間距離は、前後の各上軸ピン32a,32bの軸間距離よりも短く設定されている。従って、図2に実線で示すように、ベース21に対して前リンク26aが略直角を成すときに、後リンク26bはベース21に対して所定の角度を成すため、台座27の前端に比べて後端が低くなる、つまり台座27が後方向に傾斜する。逆に、図2に仮想線で示すように、ベース21に対して後リンク26bが略直角を成すときに、前リンク26aはベース21に対して所定の角度を成すため、台座27の前端に比べて後端が低くなる、つまり台座27が前方向に傾斜する。これにより、台座27に固定された座部13を前後傾させる。
【0031】
ベース21と台座27との間には駆動部35が収納されている。駆動部35のモータ36は出力軸37が上向きに突出するようにベース21に固定されている。出力軸37にはモータギヤ38が固定され、そのモータギヤ38には左右方向に沿って延び両端が台座27に軸支された第1シャフト39に同軸状に固定された第1ギヤ40が歯合されている。第1シャフト39の一端部には偏心クランク41が連結され、その偏心クランク41には軸ピン42によりアームリンク43の第1端部が軸着され、アームリンク43の第2端部は軸ピン44により前リンク26aに軸着されている。これにより、モータ36の回転によって偏心クランク41が第1シャフト39に対して偏心円運動することにより、前リンク26aが前後方向Xに往復移動し、座部13が図2に示す矢印Mで示す方向に揺動する。図2及び図3に示すように、モータ36(出力軸37)、モータギヤ38、第1シャフト39、第1ギヤ40、偏心クランク41、及びアームリンク43とにより第1駆動部が構成される。
【0032】
図3に示すように、第1シャフト39に固着された連動ギヤ45は、可動架台23に軸支された第2シャフト46に固定された第2ギヤ47と歯合されている。第2シャフト46の一端(図4において右端)には偏心ロッド48の上端が、軸ピン49により第2シャフト46に対して、その第2シャフト46の回転中心と偏心して連結されている。偏心ロッド48の下端は、ベース21に固定された連結金具50に対して軸ピン51により回動可能に連結されている。従って、第2シャフト46の回転により偏心ロッド48の上端が偏心円運動を行うことによって、可動架台23、即ち台座27及び座部13が図4の矢印Nで示す方向に揺動する。図2〜図4に示すように、モータ36(出力軸37)、モータギヤ38、第1ギヤ40、第1シャフト39、第2シャフト46、第2ギヤ47、及び偏心ロッド48により第2駆動部が構成される。
【0033】
第1駆動部及び第2駆動部の各ギヤは、座部13を左右方向に一往復させる間に前後方向に2往復させるように設定されている。これにより、揺動型運動装置10を上方から見て8の字状に座部13を揺動させて、乗馬を模した動作を再現している。
【0034】
上記のように構成された第1駆動部及び第2駆動部により、座部13が、図2に示す矢印Mの方向に揺動するとともに、図4に示す矢印Nの方向に揺動する。これら揺動が組み合わされることにより、座部13は、X軸周りのθX方向、Y軸周りのθY方向、垂直軸(Z軸)周りのθZ方向の揺動を行うことから、使用者に対して、身体のバランス機能や運動機能を訓練することができる。しかも、1個のモータ36を用いて3動作を行うことができるので、モータ36の数が少なくてすみ、制御が容易になるとともに、低コスト化及びコンパクト化を図ることができる。しかもモータ36の出力軸37は一方向に突出していればよく、モータ36の縦置きが可能となり、これによって該モータ36を含む座部揺動装置12全体の設置スペースを狭めてコンパクト化を図ることができ、座部揺動装置12を座部13を支持するベース21と台座27との間に格納して、乗馬を模した狙い通りの動作を忠実に再現することが可能となる。
【0035】
図5は、揺動型運動装置10の電気的構成を示すブロック図である。
回路基板61に搭載された電源回路71は、電源プラグ62を介して入力される商用交流、140V、15Vなどの直流に変換して回路基板61内の各回路へ供給する。回路基板61に搭載された制御回路72はマイクロコンピュータ72a及び駆動動作のパターンを記録したメモリ72bを備え、操作器制御回路73、モータ駆動回路74、及びセンサ信号処理回路75に接続されている。操作器制御回路73には、図1に示す操作器15に設けられた操作器回路15aが接続されている。操作器回路15aは、操作のためのスイッチや運動状態などの表示のためのLED等の表示装置が設けられている。モータ駆動回路74は、上記の揺動用のモータ36(図2参照)に接続されている。このモータ36には回転速度,回転位置を検出するためのセンサ(図示略)が設けられており、そのセンサの出力はセンサ信号処理回路75に入力される。
【0036】
制御回路72は、操作器制御回路73を介して操作器回路15aのスイッチの操作に応じた信号を受け取る。そして制御回路72は、操作器制御回路73、センサ信号処理回路75から受け取った信号に基づいて、モータ駆動回路74を介してモータ36の駆動制御をするとともに、それらの回転数を制御する。そして、制御回路72は、操作器制御回路73を介して操作器15の表示装置に動作状態等を表示させる。
【0037】
制御回路72のメモリ72bには、駆動操作パターンに応じてモータ36を制御するためのパラメータが記憶されている。制御回路72(実質的にはマイクロコンピュータ72a)は、操作器15に設けられたスイッチの操作に応じたパラメータをメモリ72bから読み出し、そのパラメータに基づいてモータ駆動回路74を介してモータ36を駆動制御する。
【0038】
このような構成の揺動型運動装置10に対し、図6に示すような補助器具80を併用すると効果的である。即ち、補助器具80は、使用者の肩によって支えられる支持部81の両端それぞれに、使用者の上半身(腕)とともに共振する可動部82が設けられている。その可動部82は、支持部81の端部に弾性部材としてのばね82aの基端が固定され、そのばね82aの先端に固定される非弾性部材としてのアーム部82bにより構成されている。支持部81とアーム部82bとの間にばね82aを介在させることによって、アーム部82bを所定の範囲にて傾動可能としている。可動部82は、座部13(図1参照)の揺動により使用者の上半身が揺らされ、その上半身の揺れ(周波数)とともに共振するように設定されている。詳述すると、可動部82のばね82aによって、座部13の揺動によって揺れ動く上半身(腕)の周波数と共振するように共振周波数が設定されている。尚、可動部82の共振周波数の設定は、ばね82aのばね定数によって設定することで可能となる。ばね82aは、一般的な使用者が揺動型運動装置10を使用したときに共振が得られるばね定数を実験等から得て、そのばね定数の値を採用している。
【0039】
図7は、図6で示した補助器具80の使用例を示している。使用者が揺動型運動装置10の座部13に跨って座り、補助器具80の支持部81を肩によって支持し、アーム部82bの先端を手で把持している。使用者は、この姿勢にて揺動型運動装置10を使用することで、座部13の揺動が使用者の体を通して補助器具80に伝わる。そのため、例えば座部13が矢印M(図2参照)に揺動するときの上下方向の動きに伴って運動する使用者の体(腕)と共振するように補助器具80のばね82aが設定されている場合、補助器具80のばね82aが共振することによって使用者の腕の動きが上下に大きくなる。そして、使用者は、その動きに任せる姿勢(リラックス姿勢)にて使用することで、肩や腕の血行が促され自然と肩周辺のストレッチを行うことができる。また、使用者がその動きに抗する姿勢(緊張姿勢)にて使用することで、肩や腕の筋肉を自然と使用することができ、上半身のトレーニングを行うことが可能となる。
【0040】
また、図8の補助器具90では、アーム部82bをL字状に屈曲されて構成したものである。図8のアーム部82bは、ばね82aの先端に固定される第1アーム82cの先端に第2アーム82eが連結ピン82dにてL字状に連結されてなる。尚、図8では、ばね82aのばね定数が補助器具90の形状に合わせて設定されている。
【0041】
図8に示す補助器具90の使用方法として、例えば第1アーム82cは使用者の上腕と接し、第2アーム82eは使用者の前腕と接し、更に第2アーム82eの先端を使用者の手で把持して、前腕を上方に向けて使用する。このような構成の補助器具90を使用することで、僧坊筋を中心とする運動負荷が更に誘発されるようになり、効果的な運動が行えるようになる。
【0042】
次に、図9を用いて各装置の違いによる僧坊筋への運動効果について説明する。
図9は、揺動型運動装置10を単体で使用した場合、揺動型運動装置10と図6に示した補助器具80を使用した場合、揺動型運動装置10と図8に示した補助器具90を使用した場合での僧坊筋の筋活動量を示している。尚、図9において、縦軸は揺動型運動装置10のみを使用した場合を1としての僧坊筋にて誘発される運動負荷であり、横軸は使用した装置の名称が示されている。図9より、揺動型運動装置10と補助器具80を使用した場合では、揺動型運動装置10単体で使用した場合と比較しておよそ11倍の筋活動が僧坊筋にて誘発されていることになる。そして、揺動型運動装置10と補助器具90を使用した場合では、揺動型運動装置10単体で使用した場合と比較しておよそ16倍の筋活動が僧坊筋にて誘発されていることになる。このことにより、本実施の形態における補助器具80、90を揺動型運動装置10とともに使用することで、僧坊筋等の筋活動が誘発され、上半身のトレーニングを行うことが可能となる。
【0043】
次に、本実施の形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)使用者の肩にて支持される支持部81と、その支持部81の両端に連結され、使用者の手又は腕が掛けられるように形成され座部13の往復揺動により共振する可動部82とを備える補助器具80を揺動型運動装置10とともに使用することで、座部13の揺動に伴って腕などの上半身の揺れを大きくすることができる。そのため、例えばその動きに身を任せる姿勢で使用する場合には、腕や肩付近のストレッチを行うことができ、動きに抗する姿勢で使用する場合には腕や肩などの筋肉を使用したトレーニングを行うことができ、上半身にも運動負荷を付与することが可能となる。
【0044】
(2)可動部82を、ばね82aとアーム部82bとで構成したことにより、ばね82aによって単純な構成とすることができる。
(3)補助器具90を使用した場合では、アーム部82bを第1アーム82cと第2アーム82eとでL字状に形成したことにより、例えば第2アーム82eの先端を上向きにして使用した場合に僧坊筋の筋活動がより誘発されるようになり効果的な運動負荷を付与することができる。このように、第1アーム82cと第2アーム82eとでL字状に形成したことで、把持の仕方や腕のかけ方にバリエーションを持たせることが可能となり、トレーニングしたい肩周りの筋肉や腕の筋肉を選択することができる。
【0045】
また、第2アーム82eの先端を使用者が手で持ち、肘を中心として回転させることで、補助器具90のばね82aがねじれる。そのため、上半身のインナーマッスルに対しても運動負荷を付与したり、関節をほぐすことも可能となる。
【0046】
尚、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、可動部82を共振させて上半身(腕)の揺れを大きくしたが、単に座部13の揺動に伴って振動が誘発する構成としてもよい。
【0047】
・上記実施の形態では、ばね82aの形態をコイル状としているが、こうした構成に限らず、例えば図10に示すようにねじりコイル状のばね101であってもよい。また、板ばねやゴム等であっても良い。
【0048】
・上記実施の形態では、ばね82aのばね定数を揺動型運動装置10の動きと共振するように設定しているが、こうした構成に限らず、例えば図11に示すようにスライド可能な錘102をアーム部82bに設けて共振する周波数に調整可能としてもよい。このような構成にすることで、共振時の揺れの大きさを変更することが可能となる。そのため、使用者の個人差によって上腕や前腕の長さの違いなどから共振するための条件が変わるがその条件に容易に対応できるとともに、使用者の要求する揺れの大きさに容易に調整することができる。
【0049】
・上記実施の形態に対して、例えば図12に示すように肩によって支持される支持部81に補助器具80を振動させる振動部103を設けても良い。例えば振動部103として、モータの回転軸の重心を偏向させることによって振動を発生させるものなどがある。このような構成にすることで、腕等へ付与する揺れを調整可能にすることでき、共振するための周波数に調整したり、使用者個々の要求に応じた揺れを発生させたりすることも可能となる。
【0050】
・上記実施の形態に対して、図13に示すように、アーム部82bの先端に可動部82の地面に対する水平方向若しくは垂直方向の角度を計測して表示や音声にて報知する角度計測報知装置104を設けても良い。このような構成にすることで、角度計測報知装置104を備えたことにより上半身の姿勢のずれを計測することが可能となり、一定の姿勢を保つ基準となる。そのため、効果的な運動負荷を付与する姿勢の角度に調整することによって適正な運動負荷を使用者に対して付与することが可能となる。
【0051】
・上記実施の形態に対して、図14に示すように、アーム部82bの先端に所定方向にレーザポインタ等のビーム状の可視光を出射する投光装置105を設けても良い。このような構成にすることで、例えば壁や所定のスクリーン等に照射することで、腕の移動範囲を知ることもでき、左右の腕による動きの差もわかりやすくなる。そのため、姿勢のずれを計測することが可能となり、一定の姿勢を保つ基準となり、効果的な運動負荷を付与する姿勢に調整することによって適正な運動負荷を使用者に対して付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態における揺動型運動装置の全体構成を示す側面図である。
【図2】座部揺動装置の側面図である。
【図3】座部揺動装置の平面図である。
【図4】座部揺動装置の側面図である。
【図5】揺動型運動装置の電気的構成を示す概略図である。
【図6】揺動型運動装置の補助器具の側面図である。
【図7】揺動型運動装置及び補助器具の使用例を示す説明図である。
【図8】揺動型運動装置の補助器具の側面図である。
【図9】筋活動量の説明図である。
【図10】別の補助器具の側面図である。
【図11】別の補助器具の側面図である。
【図12】別の補助器具の側面図である。
【図13】別の補助器具の側面図である。
【図14】別の補助器具の側面図である。
【符号の説明】
【0053】
10…揺動型運動装置、13…座部、80…補助器具、81…支持部、82…可動部、82a…ばね(弾性部材)、82b…アーム部(非弾性部材)、90…補助器具、101…ばね(弾性部材)、102…錘、103…振動部、104…角度計測報知装置(角度計測報知手段)、105…投光装置(投光手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部を少なくとも一方向に往復揺動させる揺動型運動装置と併用され、前記座部に着座した使用者が保持して使用される補助器具であって、
前記使用者の少なくとも肩にて支持される支持部と、
前記支持部の両端に連結され、前記使用者の手又は腕が掛けられるように形成されるとともに、前記座部の往復揺動により振動が誘発される可動部とを備えてなることを特徴とする補助器具。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動型運動装置の補助器具において、
前記可動部は、弾性部材と非弾性部材とで構成されていることを特徴とする補助器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の揺動型運動装置の補助器具において、
前記可動部は、長手方向に沿って移動自在に取着された錘を有することを特徴とする補助器具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の揺動型運動装置の補助器具において、
前記可動部は、L字状に形成されていることを特徴とする補助器具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の揺動型運動装置の補助器具において、
前記可動部は、該可動部の地面に対する水平方向若しくは垂直方向の角度を計測して報知する角度計測報知手段を備えたことを特徴とする補助器具。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の揺動型運動装置の補助器具において、
前記可動部は、所定方向にビーム状の可視光を出射する投光手段を備えたことを特徴とする補助器具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の揺動型運動装置の補助器具において、
前記支持部と前記可動部の少なくとも一方に、前記補助器具を振動させるための振動部を備えたことを特徴とする補助器具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の揺動型運動装置の補助器具において、
前記可動部は、前記支持部に対して負荷を伴ってねじれることが可能に構成されたことを特徴とする補助器具。
【請求項9】
人が着座可能な座部を少なくとも一方向に往復動させる揺動型運動装置と、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の補助器具と
を備えたことを特徴とする揺動型運動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−28171(P2009−28171A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193759(P2007−193759)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)