説明

搬送コンベア合流部貨物衝突防止システムおよびその方法

【課題】本流コンベアと、これに追加的に接続される支流コンベアからなる2系統の搬送コンベアを同時に稼働させつつ、両系統の貨物をスムーズに合流させることのできる搬送コンベア合流部貨物衝突防止システムを提供する。
【解決手段】それぞれが独自の回転速度によって回転駆動することのできる複数のローラによって構成される速度可変コンベア22を本流コンベア12と支流コンベア14に設け、本流コンベア12に設置される第1のセンサ16と、支流コンベアに設置される第2のセンサ18とから受信する各コンベア上の貨物の通過時刻情報を使用して、上記各ローラの回転駆動を個別制御する。その結果、支流コンベアから搬送された貨物は、速度可変コンベア22上で搬送速度を変化させられ、合流部において、本流コンベア12上を流れる貨物との衝突が回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベアの制御システムに関し、より詳細には、2つの搬送コンベアの合流部における貨物の衝突を防止するため制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物流の増加に応じて、本流コンベアに対し、追加的に支流コンベアを接続することができれば好ましい。この場合、本流コンベア上を流れる貨物と支流コンベアから流れ込む貨物との衝突を防止するための構成が必要となる。
【0003】
特開2001−31231号公報(特許文献1)は、Y形系統の搬送コンベアにおいて、共通コンベア部における搬送空転時間(荷待ち状態)の発生を回避することを目的として、第2コンベアの貨物が共通コンベア部に入る直前に、第1コンベアが荷切れとなるように、各系統の払い出しのタイミングを制御する構成を開示する。しかしながら、特許文献1が開示する制御方法は、2系統の物流を排他的に切り替えるものであり、2系統の搬送コンベアを同時に稼働させつつ、両系統の荷物をスムーズに合流させるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−31231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、本流コンベアと、これに追加的に接続される支流コンベアからなる2系統の搬送コンベアを同時に稼働させつつ、両系統の貨物をスムーズに合流させることのできる搬送コンベア合流部貨物衝突防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、2系統の搬送コンベアの合流部における貨物の衝突を防止するためのシステムにつき鋭意検討した結果、それぞれが独自の回転速度によって回転駆動することのできる複数のローラによって構成される速度可変コンベアを本流コンベアと支流コンベアとの間に設け、本流コンベアに設置される第1のセンサと、支流コンベアに設置される第2のセンサとから受信する各コンベア上の貨物の通過時刻情報を使用して、上記各ローラの回転駆動を個別制御することによって、2系統の搬送コンベアを同時に稼働させつつ、両系統の貨物をスムーズに合流させることのできる新規な合流部貨物衝突防止システムの構成に想到し、本発明に至ったのである。
【発明の効果】
【0007】
上述したように、本発明によれば、本流コンベアと、これに追加的に接続される支流コンベアからなる2系統の搬送コンベアを同時に稼働させつつ、両系統の貨物をスムーズに合流させることのできる搬送コンベア合流部貨物衝突防止システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の搬送コンベア合流部貨物衝突防止システムを示す図。
【図2】本実施形態における制御装置の機能ブロック図。
【図3】本実施形態における速度可変コンベアの側面図を示す図。
【図4】本実施形態における速度可変コンベアの各ローラの回転速度(rpm)を、各ローラの位置番号に対応づけて示した図。
【図5】本実施形態の搬送コンベア合流部貨物衝突防止システムを含む各コンベアの搬送経路を概念的に示した図。
【図6】本実施形態における制御装置の動作フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0010】
図1は、本発明の実施形態である搬送コンベア合流部貨物衝突防止システム10(以下、衝突防止システム10として参照する)を示す図である。図1に示すように、本実施形態の衝突防止システム10は、本流コンベア12とこれに追加的に接続することが所望される支流コンベア14との間に介在する形で設けられる。衝突防止システム10は、本流コンベア12の搬送経路上に設置するための第1のセンサ(以下、本流センサ16として参照する)と、支流コンベア14の搬送経路上に設置するための第2のセンサ(以下、支流センサ18として参照する)と、パーソナル・コンピュータまたはマイコンで構成される制御装置20と、本流コンベア12と支流コンベア14との間に配置され、両者に接続される速度可変コンベア22とを含んで構成されている。
【0011】
本流センサ16および支流センサ18は、両コンベアの合流部Mから等距離の位置に配設されており、それぞれが本流コンベア12および支流コンベア14上を流れる貨物の通過を検知する。本流センサ16および支流センサ18は、貨物が通過したことを検知すると、その通過時刻を含む検知信号を制御装置20に対してネットワーク24を通じて送信する。本実施形態においては、貨物の下流側端部が通過した時刻、あるいは、貨物の上流側端部が通過した時刻のいずれか一方を通過時刻とする。なお、ネットワーク24は、有線または無線のいずれの通信手段であってもよい。
【0012】
制御装置20は、システム・コントローラとして機能するCPU、制御処理を行うためのプログラムを格納したROM、プログラムの実行空間を与えるためのRAM、外部記憶装置、およびネットワーク・インターフェースなどを含む情報処理装置として構成されており、制御プログラムを実行することによって、図2に示す各機能手段を実現している。
【0013】
図2は、制御装置20の機能ブロック図を示す。図2に示されるように、制御装置20は、本流センサ16および支流センサ18から送信される通過信号を受信するためのセンサ受信部26と、速度可変コンベア22の搬送速度を算出するための搬送速度計算部28と、速度可変コンベア22を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成部30と、駆動信号生成部30が生成した駆動信号を速度可変コンベア22に対してネットワーク24を通じて送信するための駆動信号送信部32とを含んで構成されている。
【0014】
本実施形態においては、速度可変コンベア22は、制御装置20から送信される駆動信号に基づいてその搬送速度が可変制御されるため、支流コンベア14から速度可変コンベア22へと導入された貨物は、速度可変コンベア22上でその搬送速度が変化する。その結果、合流部Mにおいて、本流コンベア12上を流れる貨物との衝突が回避される。
【0015】
図3は、速度可変コンベア22の側面図を示す。図3に示されるように、本実施形態における速度可変コンベア22は、それぞれが独自の回転速度によって回転駆動することのできるローラ34を複数並設して形成されている。本実施形態においては、各ローラ34の回転駆動を個別に制御するための制御信号が制御装置20から速度可変コンベア22へ送信される。具体的には、ローラ34毎に、回転開始時刻および時間、ならびに回転速度を指示するための命令が、制御装置20の駆動信号生成部30で生成され、速度可変コンベア22へ送信される。
【0016】
本実施形態における各ローラ34の回転速度の制御について、図4を参照してさらに詳細に説明する。図4は、図3に示した速度可変コンベア22の各ローラ34の回転速度(rpm)を、各ローラ34の位置番号1〜15に対応づけて示した図である。図4において、●は、支流コンベア14から搬送された貨物の搬送速度を加速する場合の各ローラ34の制御回転速度を示すプロットである。図4に示されるように、位置番号1〜6のローラ34の回転速度は、その位置番号が増加する毎に、一定の比率で増加するように制御されており、位置番号6〜15のローラ34の回転速度は、同一になるように制御されている。この場合、位置番号1〜6のローラ34が並設された領域が加速領域C(+)となり、位置番号6〜15のローラ34が並設された領域が等速領域Sとなる。
【0017】
一方、図4において、○は、支流コンベア14から搬送された貨物の搬送速度を減速する場合の各ローラ34の制御回転速度を示すプロットである。図4に示されるように、位置番号1〜9のローラ34の回転速度は、その位置番号が増加する毎に、一定の比率で減少するように制御されており、位置番号9〜15のローラ34の回転速度は、同一になるように制御されている。この場合、位置番号1〜9のローラ34が並設された領域が減速領域C(-)となり、位置番号9〜15のローラ34が並設された領域が等速領域Sとなる。
【0018】
なお、図4において、△は、支流コンベア14から導入された貨物の搬送速度を変化させない場合の各ローラ34の制御回転速度を示すプロットである。図4に示されるように、位置番号1〜15のローラ34の回転速度は、すべて、支流コンベア14の搬送速度「vx」に対応する回転速度「x(rpm)」に固定されている。この場合、加減速領域Cはなく、速度可変コンベア22の全長が等速領域Sとなる。
【0019】
以上、説明したように、本実施形態においては、各ローラ34の回転速度は個別に制御されており、その結果、速度可変コンベア22の長手方向において、支流コンベア14から搬送された貨物の搬送速度を加減速するための加減速領域Cと、変化させた搬送速度を維持しながら搬送するための等速領域Sとが定義される。なお、加減速領域Cおよび等速領域Sは、適宜、その長さを変更することができるように構成されている。以上、本実施形態の衝突防止システム10の物理的構成について説明してきたが、次に、本実施形態の衝突防止システム10が採用する制御アルゴリズムについて、以下説明する。
【0020】
図5は、本実施形態の衝突防止システム10が採用する制御アルゴリズムを説明するために、衝突防止システム10を含む各コンベアの搬送経路を概念的に示した図である。図5においては、本流コンベア12、支流コンベア14、および速度可変コンベア22を流れる貨物の相対的な位置関係を表現するために、合流部Mの位置を基準として各コンベアの搬送経路を平行に並べて示している。
【0021】
図5に示すように、本実施形態においては、本流センサ16および支流センサ18は、合流部Mからの各センサまでの距離が等しくなるように設置されている。また、支流センサ18は、速度可変コンベア22の始端から所定距離だけ上流方向にさかのぼった位置に設置することによって、支流センサ18から支流コンベア14の終端までの間に、速度可変コンベア22の制御内容を決定するための判断領域Dが形成されている。本実施形態においては、制御対象となる貨物のうち、その先頭の貨物が遅くとも判断領域Dを通過する間に(すなわち、当該貨物が速度可変コンベア22に侵入する前に)、速度可変コンベア22の制御内容を決定する。
【0022】
本実施形態の制御アルゴリズムは、その前提として、速度可変コンベア22および本流コンベア12の搬送経路上に、両者に共通する仮想区域を定義する。具体的には、図5に示すように、速度可変コンベア22および本流コンベア12の搬送経路を、合流部Mを終端として3つの区域に分割し、各区域を、上流側から合流部Mに向かって順番に、加減速区域(Δl)、等速度区域(Δl)、危険区域(Δl)と定義する。このうち、危険区域(Δl)は可変であり、等速度区域(Δl)の長さは、危険区域(Δl)の長さよりも長く定義される。図5(a)および(b)には、上記3つの区域が取り得る2つの態様を例示している。本実施形態においては、上記各区域の長さが速度可変コンベア22の搬送速度を決定するための制御パラメータとなる。
【0023】
図6は、本実施形態における制御装置20の動作フローチャートを示す。以下、図5および図6を参照しながら、制御装置20が実行する制御処理について説明する。なお、以下の説明においては、本流コンベア12を「B」、支流コンベア14を「A」として略記し、制御対象となる貨物のうち、「B」の先頭を流れる貨物を「先行B」、その直後を流れる貨物を「後行B」とし、「A」の先頭を流れる貨物を「先行A」、その直後を流れる貨物を「後行A」として参照するものとする。また、「A」および「B」は、いずれも搬送速度(vx)で流れるものとし、両者を搬送される貨物の大きさは全て同一であって、その貨物の全長を「f」とする。
【0024】
制御が開始されると、ステップ101において、「B」からの通過信号を受信したか否かが判断される。上記判断は、「B」から貨物の通過信号を受信するまで繰り返される(ステップ101、No)。
【0025】
ステップ101において、本流センサ16から貨物の通過信号を受信すると(ステップ101、Yes)、ステップ102に進み、「B」から受信した通過信号に含まれる通過時刻B(t)を「先行B」の通過時間「先行B(t)」にセットした後、ステップ103に進んで、タイマがセットされる。
【0026】
この時のタイマ設定時間(T)は、「B」を流れる貨物と「A」を流れる貨物との接触を避けるために要求される、両者の合流部Mの到着時間の差分を設定することができる。具体的には、接触を避けるために設けたい、合流部Mにおける両者の離間距離(「先行B」の上流側端と「先行A」の上流側端の離間距離)を「X」とした場合、タイマ設定時間(T)=X / 搬送速度(vx)の式によって導出することができる。本実施形態における上記離間距離は、2f<X<3f を満たす適切な値を設定することができる。
【0027】
ステップ103においてタイマがセットされると、ステップ104に進み、「A」または「B」のいずれかから通過信号を受信したか否かが判断される。ステップ104の判断は、「A」または「B」のいずれかから貨物の通過信号を受信するまで否定的な結果(No)を返し、ステップ105でタイマのタイムアウトが判断される。ステップ105でタイマがタイムアウトしない場合(No)、ステップ104に戻り、処理を反復させる。一方、ステップ105でタイマのタイムアウトが判断された場合(Yes)、すべてのデータをリセットして処理を終了する。
【0028】
ステップ104において、タイマがタイムアウトする前に通過信号を受信した場合には(ステップ104、Yes)、ステップ106に進み、受信した通過信号が「B」からの通過信号であるか否かが判断される。
【0029】
ステップ106において、「B」からの通過信号であると判断された場合には(ステップ106、Yes)、ステップ107に進み、「B」から受信した通過信号に含まれる通過時刻B(t)を「先行B(t)」に上書きしてステップ104の判断に戻る。
【0030】
一方、ステップ106において、受信した通過信号が「B」からの通過信号でないと判断された場合には(ステップ106、No)、ステップ104において受信されたのは「A」からの通過信号であり、センサを通過したのは「先行A」であるから、ステップ108に進み、「A」から受信した通過信号に含まれる通過時刻A(t)を「先行A」の通過時間「先行A(t)」にセットしてステップ109に進む。
【0031】
ステップ109においては、「先行B」と「先行A」の間隔が3fを超えるか否が判断される。「先行B」と「先行A」の間隔は、先のステップ102またはステップ107でセットした「先行B(t)」とステップ108でセットした「先行A(t)」の差分に搬送速度(vx)を乗じることによって算出される。ステップ109において、「先行B」と「先行A」との間隔が3fを超えると判断された場合は(ステップ109、Yes)、「先行B」と「先行A」とは十分に距離が離れており、その後の速度調整等の影響を加味しても、両者が合流部Mで接触する虞がないため、すべてのデータをリセットして処理を終了する。
【0032】
一方、ステップ109において、「先行B」と本流センサ16との間隔が3fを超えないと判断された場合(ステップ109、No)は、ステップ110に進んで、タイマをセットする。なお、このタイマ設定時間(T)は、ステップ105について先に説明したのと同様の基準で設定することができる。
【0033】
ステップ110において、タイマがセットされると、ステップ111に進み、「A」または「B」のいずれかから通過信号を受信したか否かが判断される。ステップ111の判断は、「A」または「B」のいずれかから貨物の通過信号を受信するまで否定的な結果(No)を返し、ステップ112でタイマのタイムアウトが判断される。ステップ112でタイマがタイムアウトしない場合(No)、ステップ111に戻り、処理を反復させる。一方、ステップ112でタイマのタイムアウトが判断された場合(Yes)、処理はステップ118に進む。
【0034】
ステップ111において、タイマがタイムアウトする前に通過信号を受信した場合には(ステップ111、Yes)、ステップ113に進み、受信した通過信号が「A」からの通過信号であるか否かが判断される。ステップ113において、「A」からの通過信号であると判断された場合には(ステップ113、Yes)、ステップ114に進み、「A」から受信した通過信号に含まれる通過時刻A(t)を「後行A(t)」にセットしてステップ115に進む。
【0035】
ステップ115においては、「先行A」と「後行A」との間隔が3fを超えるか否が判断される。「先行A」と「後行A」との間隔は、先のステップ109でセットした「先行A(t)」とステップ114でセットした「後行A(t)」の差分に搬送速度(vx)を乗じることによって算出される。
【0036】
ステップ115において、「先行A」と「後行A」との間隔が3fを超えないと判断された場合は(ステップ115、No)、ステップ116において、「先行A」と「後行A」とを一体化した一つの貨物として想定し、3fを超えると判断された場合は(ステップ115、Yes)、処理はステップ118に進む。
【0037】
一方、ステップ113において、「A」からの通過信号でないと判断された場合には(ステップ113、No)、ステップ111において受信されたのは「B」からの通過信号であるから、ステップ117に進み、「B」から受信した通過信号に含まれる通過時刻B(t)を「後行B(t)」にセットしてステップ118に進む。
【0038】
ステップ118においては、「先行B」と「先行A」が合流部Mで接触するか否かが判断される。この判断は、先のステップ102またはステップ107でセットした「先行B(t)」とステップ109でセットした「先行A(t)」の差分に搬送速度(vx)を乗じて導出される値(すなわち、予想される合流部Mにおける両者の離間距離)と所定の閾値(すなわち、接触を回避するために最低限必要な合流部Mにおける両者の離間距離)とを比較することによって行なうことができる。
【0039】
ステップ118において、接触しないと判断された場合には(ステップ118、No)、すべてのデータをリセットして処理を終了する。一方、接触すると判断された場合には(ステップ118、Yes)、ステップ119に進み、「先行B」と「後行B」の間隔がfより大きいか否かが判断される。「先行B」と「後行B」の間隔は、先のステップ102またはステップ107でセットした「先行B(t)」とステップ117でセットした「後行B(t)」の差分に搬送速度(vx)を乗じることによって算出される。
【0040】
ステップ119において、「先行B」と「後行B」の間隔がfより大きいと判断された場合には(ステップ119、Yes)、ステップ120に進み、加減速区域(Δl)、等速度区域(Δl)、および危険区域(Δl)の3つのパラメータに、それぞれ、2f、a(但し、a>3f)、および3fをセットする。一方、「先行B」と「後行B」の間隔がfより大きくないと判断された場合には(ステップ119、No)、ステップ121に進み、加減速区域(Δl)、等速度区域(Δl)、および危険区域(Δl)の3つのパラメータに、それぞれ、2f、a(但し、a>2.5f)、および2.5fをセットする。ステップ120またはステップ121において、加減速区域(Δl)、等速度区域(Δl)、および危険区域(Δl)の3つのパラメータがセットされると、処理はステップ122に進む。
【0041】
ステップ122においては、速度可変コンベア22の加速領域Cにおける目標加速度(α)ならびに等速領域Sにおける目標搬送速度「vr」を、上記3つのパラメータ(Δl、Δl、Δl)を使用して算出する。本実施形態においては、目標加速度(α)を下記式(1)により求める。
【0042】
【数1】

【0043】
また、本実施形態においては、目標搬送速度「vr」を下記式(2)により求める。以下の手順で算出する。
【0044】
【数2】

【0045】
なお、上記式(1)、(2)における、「vx」は、支流コンベア14の搬送速度を示すものとする。また、「s*」は、「vr」の値に依存して、「+1」または「−1」のいずれかの値をとるものとし、「vr」が速度可変コンベア22の駆動能力に応じた適切な上限速度を超えた場合に「−1」をとるものとする。
【0046】
ステップ122において、速度可変コンベア22の目標加速度(α)および目標搬送速度「vr」が算出されると、ステップ123に進む。ステップ123においては、加減速区域(Δl)においては目標加速度(α)を、等速度区域(Δl)および危険区域(Δl)の全域においては目標搬送速度「vr」をそれぞれ実現すべく、速度可変コンベア22の各ローラ34の回転速度を制御するための駆動信号を生成し、これを速度可変コンベア22の駆動制御装置に送信した後、すべてのデータをリセットして処理を終了する。
【0047】
以上、本発明を具体的な実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、速度可変コンベア22を支流コンベア14と本流コンベア12の双方に設けて、より精密な制御を行なうこともでき、その他、当業者が変更することができる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
10…搬送コンベア合流部貨物衝突防止システム、12…本流コンベア、14…支流コンベア、16…本流センサ、18…支流センサ、20…制御装置、22…速度可変コンベア、24…ネットワーク、26…センサ受信部、28…搬送速度計算部、30…駆動信号生成部、32…駆動信号送信部、34…ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本流コンベアと該本流コンベアに追加的に接続される支流コンベアとの間に設けられる合流部貨物衝突防止システムであって、
本流コンベアの搬送経路上に設置され、貨物の通過時刻を含む検知信号を送信するための第1のセンサと、
支流コンベアの搬送経路上に設置され、貨物の通過時刻を含む検知信号を送信するための第2のセンサと、
前記本流コンベアと前記支流コンベアとの間に接続され、それぞれが独自の回転速度によって回転駆動することのできる複数のローラが並設されてなる、速度可変コンベアと、
前記第1および第2のセンサから受信する前記検知信号に含まれる通過時刻情報を使用して前記ローラ毎に生成した駆動信号を前記速度可変コンベアに送信し、各前記ローラの回転駆動を個別制御する制御装置とを含む、
合流部貨物衝突防止システム。
【請求項2】
前記第1および第2のセンサは、合流部から等距離の位置に設置される、請求項1に記載の合流部貨物衝突防止システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記速度可変コンベアの搬送経路を、上流側から順番に、加減速区域、等速度区域、および危険区域の3つの区域からなる仮想区域として定義し、前記各区域の長さを示す値を制御パラメータとして記憶し、
前記制御パラメータを使用して各前記ローラの回転駆動を個別制御するための駆動信号を生成する、請求項1または2に記載の合流部貨物衝突防止システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
下記式(1)に前記制御パラメータを代入して前記加減速区域における目標加速度(α)を算出し、
【数1】

下記式(2)に前記制御パラメータを代入して前記等速度区域および前記危険区域における目標搬送速度(vx)を算出し、
【数2】

(上記式(1)および(2)における、「vx」は、前記支流コンベアの搬送速度を示し、(Δl)、(Δl)、および(Δl)は、それぞれ、加減速区域、等速度区域、および危険区域の長さを示し、また、「s*」は、「+1」または「−1」のいずれかの値をとるものとする。)
前記加減速区域において前記目標加速度(α)が実現され、等速度区域(Δl)および危険区域(Δl)の全域において、前記目標搬送速度(vx)が実現されるように、前記駆動信号を生成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合流部貨物衝突防止システム。
【請求項5】
本流コンベアと該本流コンベアに追加的に接続される支流コンベアとの合流部において搬送される貨物の衝突を防止する方法であって、
本流コンベアに設置される第1のセンサから、搬送される貨物の通過時刻を含む検知信号を送信するステップと、
支流コンベアに設置される第2のセンサから、搬送される貨物の通過時刻を含む検知信号を送信するステップと、
前記本流コンベアと前記支流コンベアとの間に、それぞれが独自の回転速度によって回転駆動することのできる複数のローラが並設されてなる速度可変コンベアを接続するステップと、
前記第1および第2のセンサから受信する前記検知信号に含まれる通過時刻情報を使用して前記ローラ毎に生成した駆動信号を前記速度可変コンベアに送信し、各前記ローラの回転駆動を個別制御するステップとを含み、
前記制御するステップは、
前記速度可変コンベアの搬送経路を、上流側から順番に、加減速区域、等速度区域、および危険区域の3つの区域からなる仮想区域として定義し、前記各区域の長さを示す値を制御パラメータとして記憶するステップと、
前記制御パラメータを使用して各前記ローラの回転駆動を個別制御するための駆動信号を生成するステップとを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−202314(P2010−202314A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48076(P2009−48076)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年9月2日、社団法人電子情報通信学会発行の、2008年ソサイエティ大会講演論文集にて発表、該当ページ A−17−1
【出願人】(505165251)学校法人幾徳学園神奈川工科大学 (14)
【Fターム(参考)】