説明

搬送容器の壁構造

【課題】従来に比べて第1と第2の樹脂板部材の固着部分の強度を上げることが可能な搬送容器の壁構造を提供する。
【解決手段】本発明の搬送容器の壁構造では、枠部材32Hの壁孔75の内側面80Cに窓板部材32Gが固着された上に、枠部材32Hに一体成形された支持壁81が窓板部材32Gの内面に固着しているので、窓板部材32Gにかかる負荷を窓板部材32Gの外縁部の板厚全体で受けることができ、半分以下の板厚で負荷を受けていた従来の搬送容器の壁構造に比べて枠部材32Hと窓板部材32Gとの固着部分の強度が向上する。しかも、その支持壁81のうち窓板部材32Gとの固着面81Bと反対側の面は、支持壁81の先端に向かうに従って徐々に窓板部材32Gに接近するように傾斜した傾斜面81Aになっているので、支持壁81に異物が引っ掛かるような事態も防がれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1及び第2の樹脂板部材のうち板厚方向と平行な板厚面同士が固着するようにそれら第1と第2の樹脂板部材を異なる樹脂で一体成形して搬送容器の側面、下面又は上面の何れかの容器構成壁とした搬送容器の壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の搬送容器の壁構造として、図16に示すように、第2の樹脂板部材1の板厚面2に板厚の半分以下の厚さの段差突部2Aを設けると共に、第1の樹脂板部材5の壁孔3の内側面である板厚面4に段差凹部4Aを設け、段差突部2Aを段差凹部4Aに受容した状態で第2の樹脂板部材1を壁孔3の内側面4に固着させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4203684号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の搬送容器の壁構造では、第2の樹脂板部材1が受ける負荷が、その板厚の半分以下の段差突部2Aにかかって段差突部2Aが変形する事態が生じ得た。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来に比べて第1と第2の樹脂板部材の固着部分の強度を上げることが可能な搬送容器の壁構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る搬送容器の壁構造は、第1及び第2の樹脂板部材のうち板厚方向と平行な板厚面同士が固着するようにそれら第1と第2の樹脂板部材を異なる樹脂で一体成形して搬送容器の側面、下面又は上面の何れかの容器構成壁とした搬送容器の壁構造において、第1の樹脂板部材の表裏の一方の面における第2の樹脂板部材寄りの縁部から突出して第2の樹脂板部材の表裏の一方の面の縁部に固着した支持壁を備え、その支持壁のうち第2の樹脂板部材との固着面と反対側の面が、支持壁の先端に向かうに従って徐々に第2の樹脂板部材に接近するように傾斜した傾斜面になっているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の搬送容器の壁構造において、支持壁のうち第2の樹脂板部材との固着面の先端縁に沿って第1突条を突出形成したところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の搬送容器の壁構造において、第2の樹脂板部材のうち支持壁との固着面の反対面における第1突条と対向する位置に、第1突条と同一形状の第2突条を形成したところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の搬送容器の壁構造において、搬送容器は、その底部を構成する底部ベースと上部を構成する上部枠との間に、1対の跳上側壁と1対の折曲側壁とがそれぞれ対向配置され、跳上側壁は、上端部を上部枠に回動可能に連結され、折曲側壁は、上下の両端部を上部枠と底部ベースとに回動可能に連結されると共に上下方向の中央に備えた中間ヒンジで上側折曲側壁と下側折曲側壁とに分割されて内側に2つ折り可能に構成され、1対の跳上側壁、1対の折曲側壁の順番で折り畳んで折畳状態にすることが可能な折畳コンテナであり、跳上側壁と上側折曲側壁と下側折曲側壁とのうちの少なくとも1つは、その外縁部全体を含んだ枠部材と、枠部材の内側開口を閉塞した窓板部材とを異なる樹脂で一体成形してなり、窓板部材は、全体が第2の樹脂板部材をなしかつ透明又は半透明な樹脂で成形され、枠部材は、内側開口の周りが第1の樹脂板部材をなしかつ窓板部材より高強度な樹脂で成形されたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の搬送容器の壁構造において、第2の樹脂板部材には、第1の樹脂板部材の板厚面のうち支持壁側の端部に食い込んだ抜け止め突起が一体形成されたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の搬送容器の壁構造では、第1及び第2の樹脂板部材のうち板厚方向と平行な板厚面同士が固着している上に、第1の樹脂板部材の縁部から突出した支持壁が第2の樹脂板部材の表裏の一方の面の縁部に固着しているので、第2の樹脂板部材にかかる負荷を第2の樹脂板部材の外縁部の板厚全体で受けることができ、半分以下の板厚で負荷を受けていた従来の搬送容器の壁構造に比べて第1と第2の樹脂板部材の固着部分の強度が向上する。しかも、その支持壁のうち第2の樹脂板部材との固着面と反対側の面は、支持壁の先端に向かうに従って徐々に第2の樹脂板部材に接近するように傾斜した傾斜面になっているので、支持壁に異物が引っ掛かるような事態も防がれる。
【0012】
また、支持壁は上記したように外面が傾斜して先細り形状になっているが、請求項2の構成では、支持壁のうち第2の樹脂板部材との固着面の先端縁に沿って環状の第1突条を突出形成したので、支持壁の基端部と第1突条を有する先端部との肉厚差が抑えられ、成形時のヒケによる成形歪みを抑えることができると共に支持壁の先端部を補強することができる。さらに、第1突条を支持壁のうち第2の樹脂板部材との固着面に配置したことで、第2の樹脂板部材と第1突条を含んだ支持壁との固着面積が増えると共に第1突条が第2の樹脂板部材に食い込むことにもなり、第2の樹脂板部材と支持壁との結合強度が高くなる。
【0013】
請求項3の構成によれば、第2の樹脂板部材のうち第1突条が食い込むことで薄肉になった部位を第2の樹脂板部材の第2突条によって補強することができる。また、射出成形型のうち第1の樹脂板部材の第1突条を成形する部位を射出成形型内で移動可能な可動コアとし、第1の樹脂板部材を成形してから可動コアをコアバックして第2の樹脂板部材を成形すれば、第1突条と同一形状の第2突条を容易に成形することができる。
【0014】
請求項4の構成によれば、折畳コンテナのうち、跳上側壁と、上側折曲側壁及び下側折曲側壁とのうち少なくとも1つは、その外縁部全体を含んだ枠部材と、枠部材の内側開口を閉塞した窓板部材とを異なる樹脂で一体成形してなり、窓板部材は、全体が第2の樹脂板部材をなしかつ透明又は半透明な樹脂で成形されているので、その窓板部材を通して収容物を透視することができる。また、枠部材は、窓板部材より高強度な樹脂で成形され、その高強度な枠部材が底部ベース又は上部枠等の他の部品と連結されることになるので、透視のために全体を透明な同じ樹脂で成形した従来の折畳コンテナに比べて、折畳コンテナ全体の強度が向上する。即ち、本発明によれば、外部から収容物を透視可能でかつ従来より強度が高い折畳コンテナを提供することができる。
【0015】
請求項5の搬送容器の壁構造では、第1の樹脂板部材の板厚面において支持壁側の端部が、第1の樹脂板部材の厚さ方向における中間に位置することになる。そして、第1の樹脂板部材が溶融樹脂から成形される過程では、第1の樹脂板部材の板厚面のうち支持壁側の端部で溶融樹脂の固化が最も遅くなる。これにより、第1の樹脂板部材、第2の樹脂板部材の順番で成形したときに、第2の樹脂板部材成形用の溶融樹脂の圧力により、第1の樹脂板部材の板厚面における支持壁側の端部に食い込んだ抜け止め突起が第2の樹脂板部材に一体形成される。そして、この抜け止め突起により、第1の樹脂板部材と第2の樹脂板部材との結合力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る折畳コンテナの斜視図
【図2】(A)上部枠の上面側斜視図、(B)上部枠の下面側斜視図
【図3】(A)底部ベースの上面側斜視図、(B)底部ベースの下面側斜視図
【図4】(A)跳上側壁の外面側斜視図、(B)跳上側壁の内面側斜視図、
【図5】折曲側壁の外面側斜視図
【図6】折曲側壁の内面側斜視図
【図7】(A)回動蓋の上面側斜視図、(B)回動蓋の下面側斜視図
【図8】(B)係止スライダの上面側斜視図、(B)係止スライダの下面側斜視図
【図9】回動蓋を全開にした折畳コンテナの斜視図
【図10】折畳状態の折畳コンテナの斜視図
【図11】下側折曲側壁の断面図
【図12】下側折曲側壁の一部拡大断面図
【図13】コアバック前の射出成形金型の断面図
【図14】コアバック後の射出成形金型の断面図
【図15】回動蓋の一部拡大断面図
【図16】従来の搬送容器の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図15に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の折畳コンテナ10(本発明の「搬送容器」に相当する)は、全体が直方体の箱形状をなした樹脂成形品であって、その底部を構成する底部ベース11と上部を構成する上部枠20との間に、1対ずつの折曲側壁30,30と跳上側壁40,40とが組み付けられ、さらに、上部枠20の上面に1対の回動蓋50,50が組み付けられた構造になっている。
【0018】
図2(B)に示すように、上部枠20は長方形の枠状になっていて、その上部枠20の長辺部分及び短辺部分は共に断面形状が下方に開放した溝形構造になっている。その溝形構造のうち溝開口を挟んで対向した外側枠側壁20A及び内側枠側壁20Bは、外側枠側壁20Aが内側枠側壁20Bより下方に長く延びると共に、上部枠20の短辺部分における内側枠側壁20Bの下端が、長辺部分における内側枠側壁20Bの下端より上方に位置している。そして、上部枠20の長辺部分における外側枠側壁20Aの下端部内面に長辺側回動支持部20D,20Dが形成される一方、上部枠20の1対の短辺部分における外側枠側壁20Aの内面に短辺側回動支持部20C,20Cが形成され、短辺側回動支持部20Cが長辺側回動支持部20Dより上側に配置されている。
【0019】
図2(A)に示すように、上部枠20の1対の長辺部分における上面には、蓋回動支持部20E,20Eが形成され、上部枠20の1対の短辺部分における上面には、それぞれ1対ずつ計4つの上面突部22が突出形成されている。また、上部枠20の1対の短辺部分における内面には、その長手方向の中央に閉止孔24が形成されている。
【0020】
図3(A)に示すように、底部ベース11は、平面形状が上部枠20と同じ長方形をなし、上面外縁部全体から底面包囲壁11Sが突出して全体がトレイ状になっている。その底面包囲壁11Sにおける1対の長辺部分の内側には、ヒンジ構成部11D,11Dが備えられている。一方、底面包囲壁11Sにおける1対の短辺部分の内側には、それらの中央部に中央係合突部11R,11Rが備えられている。中央係合突部11Rは、底部ベース11の底面の一部を横長の直方体状に隆起させてなり、中央係合突部11Rの長手方向の中央には、回動規制孔14が貫通形成されている。また、中央係合突部11Rの長手方向の両端面からは、係止突片11K,11Kが側方に突出している。さらに、係止突片11Kの先端下面には、図示しない係止突起が突出形成されている。また、中央係合突部11Rの両横には、底部ベース11の底面から1対の角形突起11M,11Mが突出している。
【0021】
図3(B)に示すように、底部ベース11の下面には、外縁部を除く全体に格子リブ11Lが突出形成されている。また、底部ベース11のうち下面と側面とが交差する外縁角部には、各長辺部分の両端寄りの2位置と、各短辺部分の中央位置とに、それぞれベルト係止用凹部13が形成されている。なお、折畳コンテナ10を複数積み上げた際に、ベルト係止用凹部13は上下の折畳コンテナ10,10同士の間に指を差し込むための指挿入部としても利用することができる。
【0022】
図4(A)に示すように、跳上側壁40は、例えば、全体が略正方形で平板状の主要板部49にリブ等を設けて補強した構造になっている。具体的には、跳上側壁40には、主要板部49の両側縁部を下端部から上端寄り位置に亘って外側に膨出させて1対の第1膨出突部41,41が形成され、それら第1膨出突部41,41の隣には、第1膨出突部41と同様に主要板部49の一部を膨出させてなりかつ第1膨出突部41,41と同じ長さで上下方向に延びた第2膨出突部42,42が形成されている。また、第1膨出突部41,41における上下方向の2位置には、それぞれコーナー連結部45,45が形成されている。各コーナー連結部45は、第1膨出突部41のうち跳上側壁40の両側面になっている部分の一部を外側から陥没させて、その陥没部分の奥面から連結片45Tを突出させた構造になっている。
【0023】
跳上側壁40の外面の下端寄り位置には、跳上側壁40の左右方向全体に亘って第1下端横リブ40Dが延びている。その第1下端横リブ40Dの長手方向の中央には、回動規制孔46が上下方向に貫通形成されている。また、第1下端横リブ40Dのうち第1及び第2の膨出突部41,42と交差する部分は、図4(B)に示すように跳上側壁40の内面における第1及び第2の膨出突部41,42の裏側の溝状陥没部を横切っている。さらに、第1下端横リブ40Dより上側部分には、第1膨出突部41の裏側の溝状陥没部を横切る複数の溝内リブ40Pが設けられている。
【0024】
図4(A)に示すように、跳上側壁40の下端部には、第1下端横リブ40Dと平行に延びた第2下端横リブ40Eが備えられ、その第2下端横リブ40Eにおける長手方向の中央部分を切り欠いて中央係合凹部40Rが形成されている。また、跳上側壁40の下端部のうち中央係合凹部40Rの両側部分には、第2下端横リブ40Eの一部を上方にクランク状に屈曲させて1対の突部係合凹部40N,40Nが形成され、各突部係合凹部40Nを挟んだ各2箇所には、第1と第2の下端横リブ40D,40Eを連絡する縦リブ40Lが設けられている。また、1対の突部係合凹部40N,40Nと中央係合凹部40Rとの間には、縦リブ40Lと第1及び第2の下端横リブ40D,40Eと主要板部49とに、上下と一側方と後方とを囲まれかつ中央係合凹部40Rに連通した1対の突片係合凹部40M,40Mが設けられている。また、各突片係合凹部40M内の下面からは、係止突起40Uが突出している。
【0025】
主要板部49のうち第2膨出突部42,42の間で第1下端横リブ40Dの上隣りの帯状領域は、第2膨出突部42より小さく外側に膨出して段付膨出部40Sになっている。そして、段付膨出部40Sのうち突部係合凹部40N,40Nの上方の2位置から外側にホルダ固定突部43,43が突出形成され、それらホルダ固定突部43,43と第1下端横リブ40Dとが上下方向で隙間を空けて対向している。なお、このホルダ固定突部43,43に図示しないカードホルダが取り付けられ、そのカードホルダと跳上側壁40の外面との間で、カードを保持することができる。
【0026】
図4(A)に示すように、跳上側壁40の外面上端寄り位置には、跳上側壁40の左右方向全体に亘って延びた第1上端横リブ40Fが設けられ、その第1上端横リブ40Fの上側部分が跳上側壁40を上部枠20に回動可能に連結するための上端連結部47になっている。上端連結部47では、第1上端横リブ40Fの上面と主要板部49の外面との間が複数の上端突部40Kによって連絡され、跳上側壁40の左右方向の両端の上端突部40K,40Kから側方にサイド軸部48,48が突出している。また、上端突部40K群及び主要板部49の上端部は、サイド軸部48,48の軸心を中心とした円弧状に湾曲している。さらに、跳上側壁40の左右方向における複数位置で、上端突部40K,40Kの間の主要板部49が切り欠かれ、それら切り欠かれた部分で対向した上端突部40K,40Kの対向面から連結突起47Tが突出している。
【0027】
跳上側壁40の上部中央には、指掛部44が設けられている。指掛部44は、横長の長方形全体を下方に湾曲させた領域の外縁部から突出した環状のリブで構成されている。
【0028】
図4(A)に示すように、跳上側壁40の外面のうち指掛部44の両側方部分には、第1上端横リブ40Fと平行な1対の第2上端横リブ40J,40Jが突出形成されている。これら1対の第2上端横リブ40J,40Jは、跳上側壁40の側面から互いに接近するように水平に延び、途中から斜め上方に延びて第1上端横リブ40Fの下面に繋がっている。また、第2上端横リブ40Jのうち水平部分は、第1膨出突部41及び第2膨出突部42の上端に位置している。
【0029】
図1に示すように、折曲側壁30は、中央の中間ヒンジ33で上側折曲側壁31と下側折曲側壁32とに分割されて2つ折り可能になっている。その上側折曲側壁31は、図5に示すように、例えば全体が横長の長方形になった平板状の主要板部39にリブ等を設けて補強した構造になっている。具体的には、上側折曲側壁31には、主要板部39の両側縁部を外側に膨出させて上下方向に延びた1対の側縁膨出突部31C,31Cが形成されている。また、主要板部39の下端寄り位置からは、下端横リブ31Bが突出していて、側縁膨出突部31C,31Cの下端寄り位置の間を連絡している。さらには、主要板部39の上端部からは、上端横リブ31Aが突出していて、側縁膨出突部31C,31Cの上端部間を連絡している。
【0030】
上側折曲側壁31のうち上端横リブ31Aより上側部分は、上端連結部31Fになっている。その上端連結部31Fでは、上端横リブ31Aの上面と主要板部39の外面との間が複数の上端突部31Eによって連絡され、上端突部31E群及び主要板部39の上端部が円弧状に湾曲している。さらに、上側折曲側壁31の左右方向における複数位置では、上端突部31E,31Eの間で主要板部39が切り欠かれ、それら切り欠かれた部分で対向した上端突部31E,31Eの対向面から連結突起31Tが突出している。
【0031】
主要板部39の外面のうち下端横リブ31Bより下側部分には、上側折曲側壁31の左右方向の複数位置に中間ヒンジ構成部31Kが設けられている。中間ヒンジ構成部31Kは、主要板部39から突出した1対の対向片31N,31Nの間をヒンジ軸31Mで連絡してなる。また、側縁膨出突部31C,31Cの互いの対向面の下端部からは、ヒンジ軸31Mと同軸上にサイド軸部31P,31Pが突出している。
【0032】
図6に示すように、上側折曲側壁31のうち側縁膨出突部31Cの裏面側は溝状に陥没していて、その溝状陥没部を幅方向に横切る溝内リブ31Lが設けられている。また、各側縁膨出突部31Cのうち上下方向の中間位置には、係止フック34が設けられている。係止フック34は、側縁膨出突部31Cにおける上側折曲側壁31の両側面側の壁部の一部を上側折曲側壁31の内面側に延長してから、上側折曲側壁31の左右方向の中央側に直角曲げしてなる。
【0033】
図5に示すように、下側折曲側壁32は、全体が上側折曲側壁31と略同じ大きさの横長の長方形をなした平板状の主要板部38にリブ等を設けて補強した構造になっている。具体的には、下側折曲側壁32は、両側縁部に主要板部38の外側に膨出した側縁膨出突部32C,32Cを備えると共に、下端部に下端横リブ32Bを備えている。また、下側折曲側壁32の上端部には、主要板部38から膨出した上縁膨出突部32Aを備えている。さらに、図6に示すように、下側折曲側壁32は、上側折曲側壁31と同様に、各側縁膨出突部32Cの裏側に溝内リブ32Lを備えると共に両側部に係止フック34,34を備えている。
【0034】
図5に示すように、下側折曲側壁32のうち上縁膨出突部32Aの上面には、上側折曲側壁31の中間ヒンジ構成部31Kに対応して、複数の中間ヒンジ構成部32Kが設けられている。下側折曲側壁32は、上縁膨出突部32Aの上面から上方に突出した突壁32Nに、下側折曲側壁32の外面側に開放した丸溝32Mを形成してなる。また、各中間ヒンジ構成部32Kの両横には、上縁膨出突部32Aの一部を上方に延長してなる上端突部32Rがそれぞれ形成されている。さらに、上縁膨出突部32Aの上面における長手方向の両端部には、丸溝32Mの同軸上に1対の筒部32P,32Pが設けられている。そして、各中間ヒンジ構成部32Kの突壁32Nが中間ヒンジ構成部31Kの対向片31N,31Nの間に受容されて、ヒンジ軸31Mが丸溝32Mと係合し、サイド軸部31Pが筒部32Pに係合することで、上側折曲側壁31と下側折曲側壁32とが回動可能に連結されて上側と下側の折曲側壁31,32の間に中間ヒンジ33(図1参照)が構成されている。
【0035】
下側折曲側壁32のうち下端横リブ32Bより下側部分は、下端連結部32Fになっている。下端連結部32Fは、下端連結部32Fの下面と主要板部38の外面との間が複数の下端突部32Eによって連絡され、下端突部32E群及び主要板部38の下端部が円弧状に湾曲している。また、下側折曲側壁32の左右方向における複数位置では、下端突部32E,32Eの間で主要板部38が切り欠かれると共に、所定の下端突部32E,32Eの間にヒンジ軸32Dが差し渡されている。
なお、図5に示すように、下側折曲側壁32の外面には、下端横リブ32Bの上側近傍の2位置からホルダ固定突部35,35が突出している。そして、跳上側壁40と同様に、下側折曲側壁32においても、ホルダ固定突部35,35と下端横リブ32Bとの間にカードホルダを保持することができるようになっている。
【0036】
図7(A)に示すように、回動蓋50は、横長の長方形の一辺が波形部50Wとなった平板状の主要板部59にリブ等を設けて補強した構造になっている。具体的には、回動蓋50の波形部50Wは、回動蓋50の長手方向の一端側から他端側に向かって順番に第1山部54、第1谷部53、第2山部52、第2谷部55になっている。また、回動蓋50の上面には、折畳コンテナ10の上面開口を短辺方向で2等分した位置に溝状の境界線50Sが形成され、回動蓋50の下面には境界線50Sの裏側位置に第1横リブ50Aが形成されている。そして、第1山部54及び第2山部52は、主要板部59の一部を境界線50Sより外側に突出させて、それら突出部分の下面外縁部に、図7(B)に示すように外縁リブ50Lを突出形成した構造になっている。これに対し、第1谷部53と第2谷部55は、図7(A)に示すように、主要板部59の一部を境界線50Sより内側に湾曲させて、その湾曲部分の下面外縁部に図7(B)に示すように外縁リブ50Lを突出形成しかつその外縁リブ50Lの下端部の全体又は一部に下面カバー壁53A,55Aを張った構造になっている。なお、境界線50Sを境界にして回動蓋50の一部である第1山部54及び第2山部52が、それらの先端に向かうに従って徐々に下るように僅かに傾斜している。これにより、両境界線50S,50Sを閉じて、一方の回動蓋50の第1山部54及び第2山部52が、他方の回動蓋50の第2谷部55及び第1谷部53に嵌合したときに、それら第1山部54及び第2山部52が回動蓋50,50の上面より上方に段付き状に突出することを防ぐことができる。
【0037】
図7(A)に示すように、第2山部52及び第1谷部53は、それらを合わせると丁度サインカーブ1周期分の波形になっている。第1山部54は、略台形状をなし、その第1山部54には、主要板部59の一部を下方に陥没させてスライダ収容部56が形成されている。そのスライダ収容部56は、回動蓋50の長手方向に延び、回動蓋50の一側面側に開放した側面開口56K(図7(B)参照)を備えている。その側面開口56Kは、回動蓋50全体の一側面より内側にずれた配置となっていて、スライダ収容部56のうち側面開口56K側の上面は、抜止壁56Bで覆われている。そして、スライダ収容部56内に、図8(A)及び図8(B)に示した係止スライダ60がスライド可能に収容されている。係止スライダ60は、基端部に操作リング61を備える一方、先端部に係止突片64を備え、さらに、両側部に1対の弾性アーム62,62を備えた構造になっている。そして、スライダ収容部56の上面に露出した操作リング61を操作することで、弾性アーム62,62をスライダ収容部56の内側面に摺接させながら係止スライダ60がスライドし、係止突片64が側面開口56Kから出没するようになっている。
【0038】
図7(B)に示すように、回動蓋50の下面には、両側縁寄り位置に1対の第1縦リブ50D,50Dが突出形成されると共に、波形部50W側で第1横リブ50Aと平行に延びた第2横リブ50Bによって1対の第1縦リブ50D,50Dの一端部の間が連絡される一方、1対の第1縦リブ50D,50Dの他端部の間が、第3横リブ50Fにて連絡されている。また、第2山部52及び第1山部54の下面には、第1横リブ50Aと第2横リブ50Bとに直交するように第2縦リブ50Cが延びている。
【0039】
回動蓋50のうち各第1縦リブ50Dより外側部分には、それぞれ係合貫通孔51が貫通形成されている。また、図7(A)に示すように、回動蓋50の上面のうち波形部50Wと反対側の外縁部には、回動連結部50Eが形成されている。回動連結部50Eは、主要板部59から上方に突出した軸支持部50N群の間にヒンジ軸50Mを差し渡しかつ、一部の軸支持部50Nの側面からヒンジ軸50Mを突出させた構造になっている。
【0040】
上記した跳上側壁40,折曲側壁30及び回動蓋50は、以下のように上部枠20と底部ベース11とに組み付けられている。即ち、各折曲側壁30の上端連結部31F(図5参照)が上部枠20の長辺側回動支持部20D(図2(B)参照)に回動可能に連結される一方、折曲側壁30の下端連結部32F(図5参照)が底部ベース11のヒンジ構成部11D(図3(A)参照)に回動可能に連結された状態に組み付けられている。そして、図1に示すように、上側と下側の折曲側壁31,32が、同一鉛直面に沿って並んだ起立姿勢と、中間ヒンジ33で屈曲して上側と下側の折曲側壁31,32の外面を互いに向かい合わせた折畳姿勢とに変更することができる。
【0041】
各跳上側壁40の上端連結部47(図4参照)が上部枠20の短辺側回動支持部20C(図2(B)参照)に回動可能に連結されている。そして、両折曲側壁30,30を起立姿勢にした状態で、跳上側壁40は、鉛直面に沿った起立姿勢と、上部枠20の内側に折り畳まれた折畳姿勢とに変更することができる。
【0042】
図1に示すように、跳上側壁40が起立姿勢になると、折曲側壁30の係止フック34群が跳上側壁40の連結片45Tに係合して折曲側壁30と跳上側壁40とが一体になると共に、跳上側壁40の中央係合凹部40R、突片係合凹部40M、突部係合凹部40N(図4(A)参照)に、それぞれ底部ベース11の中央係合突部11R、係止突片11K,11M(図3(A)参照)が係合して跳上側壁40と底部ベース11とが一体になる。また、係止突片11Kの先端下面に備えた図示しない係止突起と、突片係合凹部40M内の下面に備えた係止突起40U(図4(A)参照)とが係合することで、跳上側壁40が起立姿勢に保持される。さらに、その起立した跳上側壁40が、1対の折曲側壁30,30の間に配置されて折曲側壁30,30を起立姿勢に保持し、これにより、折畳コンテナ10全体の組立状態に保持される。
【0043】
一方、跳上側壁40,40は、折畳姿勢になると折曲側壁30,30の間から上方に外れ、これにより、折曲側壁30,30が折り畳み可能になる。そこで、跳上側壁40,40に次いで、折曲側壁30,30も折り畳むと、上部枠20の下面が底部ベース11における底面包囲壁11Sの上面に重なり、折畳コンテナ10全体が図10に示した折畳状態になる。なお、跳上側壁40を起立姿勢から折畳姿勢にする際には、跳上側壁40を外面側から殴打することで、係止突片11Kの図示しない係止突起と、突片係合凹部40M内の下面に備えた係止突起40Uとの係合が外れ、跳上側壁40を折畳姿勢になるまで回動することができる。
【0044】
各回動蓋50の回動連結部50Eは、上部枠20の上面の蓋回動支持部20Eに連結されている。そして、図1に示すように、1対の回動蓋50,50は、上部枠20の上面開口を覆った閉塞位置と、そこから約270度外側に回動して図9に示すように折曲側壁30の外側に重ねられた全開位置との間を回動する。また、回動蓋50,50を閉じると、図1に示すように、一方の回動蓋50の第1山部54と第2山部52が、他方の回動蓋50の第2谷部55と第1谷部53に嵌り、両回動蓋50,50の境界線50S,50Sが一直線上に並ぶ。また、回動蓋50,50を閉じると、各回動蓋50に形成された係合貫通孔51,51に上部枠20の上面突部22が凹凸嵌合すると共に、回動蓋50の下面の第1縦リブ50D,50D及び第3横リブ50F(図7(B)参照)が上部枠20の内側に嵌合し、回動蓋50,50の上部枠20に対する水平方向のズレが規制される。さらに、回動蓋50,50を閉じた状態で係止スライダ60,60をスライド操作すると、係止スライダ60の係止突片64(図8参照)が上部枠20の閉止孔24(図2参照)に係合し、回動蓋50,50が閉じた状態に保持される。
【0045】
さて、上記した跳上側壁40,上側及び下側の折曲側壁31,32及び回動蓋50は、それぞれ本発明に係る「枠部材」と本発明に係る「窓板部材」とを異なる樹脂で一体成形してなる。
【0046】
具体的には、図4(A)に示すように、跳上側壁40は、上記した1対の第2膨出突部42,42と段付膨出部40Sと第2上端横リブ40Jと第1上端横リブ40Fとに囲まれた中央領域70が、指掛部44以外にリブを有しない平板構造になっている。そして、指掛部44より下側で中央領域70の外縁部を除いた略全域に壁孔71(本発明の「枠部材の内側開口」に相当する)が形成され、その壁孔71が窓板部材40Gによって閉塞されている。また、跳上側壁40のうち窓板部材40G以外の部分が、枠部材40Hになっている。なお、壁孔71の上辺部分は、指掛部44に対応して下方に膨らむように湾曲し、壁孔71のその他の辺は、第2膨出突部42,42又は段付膨出部40Sと平行に延びている。なお、枠部材40Hのうち窓板部材40Gの周りの主要板部49が本発明に係る「第1の樹脂板部材」に相当し、窓板部材40G全体が本発明に係る「第2の樹脂板部材」に相当する。後述する他の枠部材31H,32H,50H及び他の窓板部材31G,32G,50Gに関しても同様である。
【0047】
窓板部材40Gは、透明な樹脂で成形されると共に、枠部材40Hは、窓板部材40Gより高強度な樹脂で成形されている。具体的には、本実施形態では、窓板部材40Gには、例えば、プロピレンに少量のエチレンを共重合した透明なランダムコポリマー(ポリプロピレンの一種)が使用される一方、枠部材40Hには、例えば、ホモポリマー及びエチレン・プロピレンゴム(EPR)等の混合物であるブロックポリマー(ポリプロピレンの一種)が使用されている。そして、シャルピー衝撃強さ(JISK7111,ISO179)及び曲げ弾性率(JISK7171,ISO178)の値は、共に枠部材40Hを構成する樹脂の方が窓板部材40Gを構成する樹脂より高くなっている。即ち、枠部材40Hを構成する樹脂の方が窓板部材40Gを構成する樹脂よりシャルピー衝撃強さ及び曲げ弾性率において高強度になっている。なお、枠部材40Hを構成するブロックポリマーは、窓板部材40Gを構成するランダムポリマーのように透明ではない(不透明になっている)。
【0048】
図5に示すように、上側折曲側壁31は、上記した1対の側縁膨出突部31C,31Cと上端横リブ31Aと下端横リブ31Bとに囲まれた中央領域72が、リブを有しない平板構造になっている。そして、中央領域72の外縁部を除いた略全域に壁孔73が貫通形成され、その壁孔73が跳上側壁40と同様に透明な樹脂製の窓板部材31Gによって閉塞されている。また、上側折曲側壁31のうち窓板部材31G以外の部分が、不透明な樹脂製の枠部材31Hになっている。なお、壁孔73の上辺と下辺は、上端横リブ31Aに沿って平行に延び、壁孔73の左右の両側辺は、外側に膨らむように湾曲している。
【0049】
下側折曲側壁32は、上側折曲側壁31と同様に、1対の側縁膨出突部32C,32Cと上縁膨出突部32Aと下端横リブ32Bとに囲まれた中央領域74が、リブを有しない平板構造になっていて、上側折曲側壁31の壁孔73と同じ形状の壁孔75を備え、その壁孔75が透明な樹脂製の窓板部材32Gによって閉塞されている。また、下側折曲側壁32のうち窓板部材32G以外の部分が、不透明な樹脂製の枠部材32Hになっている。
【0050】
図7(B)に示すように、回動蓋50は、上記した1対の第1縦リブ50D,50Dと第2及び第3の横リブ50B,50Fとに囲まれた中央領域76を有し、その中央領域76の外縁部を除いた略全域に壁孔77が形成されている。詳細には、中央領域76を構成する主要板部59には、壁孔77の周囲に、壁孔77に向かって徐々に下面に突出した傾斜部78が形成され、その傾斜部78の先端から内側に張り出しかつ主要板部59全体と平行になった鍔部79に壁孔77が形成されている。そして、その壁孔77が透明な樹脂製の窓板部材50Gによって閉塞され、回動蓋50のうち窓板部材50G以外の部分が、不透明な樹脂製の枠部材50Hになっている。
【0051】
なお、壁孔77は、第2横リブ50B側の一辺が波形部50Wの第2山部52と第1谷部53とに対応して湾曲し、それ以外の3辺は、上側折曲側壁31の壁孔73の3辺と同じ形状になっている。
【0052】
図11には、下側折曲側壁32における壁孔75の開口縁の断面形状が示されている。同図に示すように、下側折曲側壁32の外面には、壁孔75の開口縁全域に、開口縁突部80が突出形成されている。開口縁突部80は、図12に拡大して示すように、下側折曲側壁32の中央領域74を構成する主要板部38の厚さと略同じ大きさだけ、主要板部38の外面から突出し、その突出方向の先端には、主要板部38の外面と平行な先端平坦面80Bが備えられている。また、開口縁突部80のうち先端平坦面80Bより外側には、傾斜面80Aが備えられる一方、先端平坦面80Bより内側は、壁孔75の内側面80C(本発明の「板厚面」に相当する)になって、その内側面80Cと先端平坦面80Bとが直交している。そして、窓板部材32Gのうち板厚方向と平行な板厚面32Zが、壁孔75の内側面80Cに固着している。
【0053】
壁孔75の開口縁全域には、主要板部38から延設されかつ壁孔75の内側面80Cより壁孔75の内側に張り出した支持壁81が設けられている。その支持壁81は、主要板部38の内面(組立状態の折畳コンテナ10の内側を向いた面)に連続しかつ支持壁81の先端に向かうに従って徐々に窓板部材32Gに接近するように湾曲した傾斜面81Aと、窓板部材32Gに接合しかつ主要板部38の内面と平行な固着面81Bとを有し、それら傾斜面81Aと固着面81Bとが支持壁81の先端で鋭角に交差している。また、固着面81Bは、主要板部38の外面より若干、主要板部38の内面側にずれた配置とされ、その固着面81Bの先端寄り位置からは第1突条82が突出している。第1突条82は、全体が丸みを帯び、楕円を短軸方向の中央で半分にした断面形状になっている。この第1突条82を設けたことで、先細りの支持壁81の基端部と第1突条82を有する先端部との肉厚差が抑えられ、枠部材32Hの成形時のヒケによる成形歪みを抑えることができると共に支持壁81の先端部を補強することができる。また、第1突条82を支持壁81のうち窓板部材32Gとの固着面に配置したことで、窓板部材32Gと第1突条82を含んだ支持壁81との固着面積が増えると共に第1突条82が窓板部材32Gに食い込むことにもなり、窓板部材32Gと支持壁81との結合強度が高くなる。
【0054】
図11に示すように、窓板部材32Gのうち折畳コンテナ10の内側を向いた内面の外縁部寄り位置には、段差部84が設けられ、下側折曲側壁32の外縁部の板厚が、外縁部を除いた全体の板厚に比べて小さくなっている。そして、図12に示すように、窓板部材32Gの外縁部が、内側面80Cと固着面81Bとに固着され、窓板部材32Gの外面が開口縁突部80の先端平坦面80Bと面一になっている。また、窓板部材32Gの内面には、第1突条82に嵌合した外縁溝83Mが陥没形成されると共に、その外縁溝83Mの裏面側に、第1突条82と同形状の第2突条83Tが突出形成されている。そして、窓板部材32Gのうち第1突条82が食い込むことで薄肉になった部位を窓板部材32Gの第2突条83Tによって補強している。さらには、図11に示すように、窓板部材32Gの内面は、段差部84より内側の厚肉部分が、中央領域74を構成する主要板部38の内面より外側にずれた配置になっている。また、窓板部材32Gの外面は、中央領域74を取り囲む側縁膨出突部32C,上縁膨出突部32A及び下端横リブ32Bの先端面より奥側に位置している。
【0055】
上記した下側折曲側壁32は、図13に示した射出成形金型100にて枠部材32Hを先に成形してから、図14に示すように、射出成形金型100の一部である可動コア101をコアバックして設けた成形空間に透明な樹脂を射出して窓板部材32Gを成形することで製造される。このとき、可動コア101に設けた環状溝によってコアバック前は第1突条82が成形され、コアバック後は第2突条83Tが成形される。ところで、下側折曲側壁32では、図12に示すように、壁孔75の内側面80Cのうち支持壁81側の端部が壁孔75の開口縁の厚さ方向における中間に位置することになり、枠部材32Hが溶融樹脂から成形される過程では、内側面80Cのうち支持壁81側の端部で溶融樹脂の固化が最も遅くなる。これにより、上述したように枠部材32H、窓板部材32Gの順番で下側折曲側壁32を成形されると、窓板部材32G成形用の溶融樹脂の圧力により、壁孔75の内側面80Cにおける支持壁81側の端部に食い込んだ抜け止め突起89が窓板部材32Gの板厚面32Zに一体形成される。そして、その抜け止め突起89により、枠部材32Hと窓板部材32Gとの結合力が高まる。
【0056】
図示しないが跳上側壁40及び上側折曲側壁31の内側開口71,73の開口縁も、上記した下側折曲側壁32における内側開口75の開口縁と同じ構造になっている。また、回動蓋50においては、図15に示すように、前記した鍔部79の外面の先端側を陥没させて段差面79Dが形成され、窓板部材50Gの外縁部が回動蓋50の外面側から鍔部79の段差面79Dの内側に嵌め込まれた状態に一体形成されている。そして、鍔部79のうち窓板部材50Gの下方に配置された部分が、前記下側折曲側壁32で説明した支持突壁81になっていて、その支持突壁81に係合突条82が形成されると共に、その係合突条82に対応した外縁突条83Tが窓板部材50Gに形成されている。また、窓板部材50Gの板厚面50Zには、段差面79Dにおける支持壁81側の端部に食い込んだ抜け止め突起89が一体形成される。
【0057】
本実施形態の折畳コンテナ10の構成に関する説明は以上である。次に、折畳コンテナ10の作用効果について説明する。折畳コンテナ10内に荷物を収容してから回動蓋50,50を閉じ、搬送先に荷物と共に折畳コンテナ10を納める場合、本実施形態の折畳コンテナ10では、底面以外の全ての面に透明な窓板部材31G,32G,40G,50Gを備えているので、回動蓋50,50を閉じた状態で折畳コンテナ10内の荷物を透視に確認することができる。また、折畳コンテナ10に複数の荷物を収容して図9に示すように回動蓋50,50を全開状態にしておき、必要に応じて折畳コンテナ10から荷物を取り出す場合、回動蓋50の窓板部材50Gと上側折曲側壁31の窓板部材31Gとが重なって、それら窓板部材31G,50Gを通して折畳コンテナ10内を透視することができるので、回動蓋50を全開状態にしても全閉状態と同様に折畳コンテナ10内の荷物を透視にて確認することができる。また、窓板部材31G,32G,40G,50Gの周りの枠部材31H,32H,40H,50Hは、窓板部材31G,32G,40G,50Gより高強度な樹脂で成形され、それら高強度な枠部材31H,32H,40H,50Hが底部ベース11又は上部枠20等の他の部品と連結されることになるので、透視のために折曲側壁、跳上側壁等の全体を透明な同じ樹脂で成形した折畳コンテナに比べて、折畳コンテナ10全体の強度が向上する。
【0058】
本実施形態の折畳コンテナ10は、不使用時には、1対の跳上側壁40,40、1対の折曲側壁30,30の順番で折り畳んで折畳状態(図10参照)にすることができる。ここで、跳上側壁40の係止突起40U(図4(A)参照)と底部ベース11における係止突片11K(図3(A)参照)の図示しない係止突起との係合を解除するためには、跳上側壁40の窓板部材40Gが外側から殴打されることがある。しかしながら、本実施形態の折畳コンテナ10の壁構造では、跳上側壁40の枠部材40Hにおける壁孔71の内側面(図12の符号80C参照)に窓板部材40Gの板厚面(図12の符号32Z参照)が固着された上に、枠部材40Hに一体成形された支持壁(図12の符号81参照)が窓板部材40Gの内面に固着しているので、窓板部材40Gにかかる負荷を窓板部材40Gの外縁部の板厚全体で受けることができる。これにより、跳上側壁40の壁構造は、従来の壁構造に比べて強度が高く、枠部材40Hから枠部材40Hから打ち抜かれることはない。また、枠部材40Hの第1突条(図12の符号82参照)が窓板部材40Gに食い込み、窓板部材40Gの抜け止め突起(図12の符号89参照)が枠部材40Hに食い込んでいるので、窓板部材40Gと枠部材40Hとの結合力が高く、跳上側壁40の内面側からの窓板部材40Gの殴打や、荷物による窓板部材31G,32G,40G,50Gの内側からの押圧による、窓板部材31G,32G,40G,50Gと枠部材31H,32H,40H,50Hとの固着部分の破断を防ぐことができる。しかも、窓板部材31G,32G,40G,50Gを支持する支持壁81(下側折曲側壁32及び回動蓋50の支持壁81は図12及び図15参照、跳上側壁40及び上側折曲側壁31の支持壁は図示せず)は、先端に向かうに従って徐々に窓板部材32Gに接近するように傾斜した傾斜面81Aを備えているので、支持壁81に異物が引っ掛かるような事態も防ぐことができる。
【0059】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0060】
(1)前記実施形態では、本発明の「搬送容器」として折畳コンテナ10を例示したが、折り畳み不能なコンテナに本発明を適用してもよい。
【0061】
(2)上記した折畳コンテナ10の回動蓋50のように、コンテナに回動可能に連結された蓋体や、コンテナに着脱可能に取り付けられる蓋体に、本発明の「搬送容器の壁構造」を適用してもよい。
【0062】
(3)前記実施形態では、枠部材31H,32H,40H,50Hの一部が本発明に係る「第1の樹脂板部材」をなす一方、本発明に係る「第2の樹脂板部材」としての窓板部材31G,32G,40G,50Gが枠部材31H,32H,40H,50Hの内側に収まる構成になっていたが、本発明に係る搬送容器の壁構造はこれに限定されるものではなく、例えば、「搬送容器」の側壁を複数の壁部構成体に分割し、隣り合った壁部構成体同士の一方の壁部構成体の板部を「第1の樹脂板部材」とすると共に、他方の壁部構成体の板部を「第2の樹脂板部材」としてもよい。
【0063】
(4)前記実施形態では、支持壁81を窓板部材32Gの内面に固着していた例を示したが、本発明に係る「支持壁」は、第2の樹脂板部材の外面に固着していてもよい。
【0064】
(5)前記実施形態では、壁孔71,73,75が四角形であったが、壁孔は四角形に限定されるものではなく、円形、四角形以外の多角形であってもよい。
【0065】
(6)前記実施形態の窓板部材の構成樹脂は、無色透明であったが、折畳コンテナ内を透視可能であれば、窓板部材を、有色透明、無色半透明、有色半透明としてもよい。また、前記実施形態の枠部材の構成樹脂は、不透明であったが、窓板部材の構成樹脂より強度が高ければ、不透明である必要はなく、無色透明、有色透明、無色半透明、有色半透明であってもよい。さらに、前記実施形態で窓板部材の構成樹脂の枠部材の構成樹脂とが、共にポリプロピレンであったが、ポリプロピレン以外の樹脂でもよく、互いに異なる樹脂であってもよい。例えば、窓板部材に透明なポリエチレンを使用し、枠部材に透明で高強度なポリカーボネートを使用したものも本発明に含まれる。
【0066】
(7)また、窓板部材用の樹脂と枠部材用の樹脂とを全く同一の分子構造の樹脂とすると共に、強化材(例えば、グラスファイバー、シリカ、タルク等のフィラー、添加剤、核剤等)を枠部材用の樹脂のみコンパウンドするか又は、枠部材用の樹脂に多くコンパウンドして、枠部材の強度を窓板部材より高くしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 折畳コンテナ(搬送容器)
11 底部ベース
20 上部枠
30 折曲側壁
31 上側折曲側壁
31G,32G,40G,50G 窓板部材
31H,32H,40H,50H 枠部材
32 下側折曲側壁
32Z 板厚面
33 中間ヒンジ
40 跳上側壁
80C 内側面(板厚面)
81 支持壁
81A 傾斜面
81B 固着面
82 第1突条
83T 第2突条
89 抜け止め突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の樹脂板部材のうち板厚方向と平行な板厚面同士が固着するようにそれら第1と第2の樹脂板部材を異なる樹脂で一体成形して搬送容器の側面、下面又は上面の何れかの容器構成壁とした搬送容器の壁構造において、
前記第1の樹脂板部材の表裏の一方の面における前記第2の樹脂板部材寄りの縁部から突出して、前記第2の樹脂板部材の表裏の一方の面の縁部に固着した支持壁を備え、その支持壁のうち前記第2の樹脂板部材との固着面と反対側の面が、前記支持壁の先端に向かうに従って徐々に前記第2の樹脂板部材に接近するように傾斜した傾斜面になっていることを特徴とする搬送容器の壁構造。
【請求項2】
前記支持壁のうち前記第2の樹脂板部材との固着面の先端縁に沿って第1突条を突出形成したことを特徴とする請求項1に記載の搬送容器の壁構造。
【請求項3】
前記第2の樹脂板部材のうち前記支持壁との固着面の反対面における前記第1突条と対向する位置に、前記第1突条と同一形状の第2突条を形成したことを特徴とする請求項2に記載の搬送容器の壁構造。
【請求項4】
前記搬送容器は、その底部を構成する底部ベースと上部を構成する上部枠との間に、1対の跳上側壁と1対の折曲側壁とがそれぞれ対向配置され、
前記跳上側壁は、上端部を前記上部枠に回動可能に連結され、
前記折曲側壁は、上下の両端部を前記上部枠と前記底部ベースとに回動可能に連結されると共に上下方向の中央に備えた中間ヒンジで上側折曲側壁と下側折曲側壁とに分割されて内側に2つ折り可能に構成され、
前記1対の跳上側壁、前記1対の折曲側壁の順番で折り畳んで折畳状態にすることが可能な折畳コンテナであり、
前記跳上側壁と前記上側折曲側壁と前記下側折曲側壁とのうちの少なくとも1つは、その外縁部全体を含んだ枠部材と、前記枠部材の内側開口を閉塞した窓板部材とを異なる樹脂で一体成形してなり、
前記窓板部材は、全体が前記第2の樹脂板部材をなしかつ透明又は半透明な樹脂で成形され、前記枠部材は、前記内側開口の周りが前記第1の樹脂板部材をなしかつ前記窓板部材より高強度な樹脂で成形されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の搬送容器の壁構造。
【請求項5】
前記第2の樹脂板部材には、前記第1の樹脂板部材の前記板厚面のうち前記支持壁側の端部に食い込んだ抜け止め突起が一体形成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の搬送容器の壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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