説明

搬送式計数装置

【課題】多種類のワークを調整なしで正確に計数できる装置を安価に提供する。
【手段】計数装置は、振動によってワーク5を直線方向に移送する水平状搬送部1と、ワーク5を斜め下方に滑り落とす傾斜状の放出シュート2と、落下途中のワークを検知する光電式センサ3,4とを有する。放出シュート2は水平状搬送部1の振動が伝達しないように絶縁されており、かつ、上端には水平状の中継部2bを設けている。ワーク5は、バウンドすることなく前後に間隔を空けた状態で放出シュート2を滑り落ちる。このため正確に計数できる。光電式センサ3,4は安価であると共に、単に通過を検知するに過ぎないためワーク5の種類が変わっても調節は要しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、搬送されてきたワークを計数する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型のワークを所定個数ずつ包装するために、搬送装置に計数機能を設けることが行われている。その例として特許文献1には、水平に対して緩く傾斜したほぐしシュートの先端に傾斜シュートを一体に設け、傾斜シュートの先端に水平状の減速シュートを一体に設け、更に、減速シュートの先端に傾斜した補助シュートを設け、補助シュートから放出されたワーク(小ねじ)をカメラで撮像し、画像処理して個数を計測する装置が開示されている。
【0003】
ほぐしシュートは直動式の振動部で支持されており、振動により、ワークはほぐしシュートの基端から補助シュートの端に向けて強制的に送られ、それから落下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−52968号のCD−ROM
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1はワークの検知手段としてカメラを使用しているが、カメラで撮影した画像を処理して計数する装置は高い精度を有するものの、非常に高価である。また、ワークの種類が変わるとプログラムを組み直さねばならないため融通性に劣っており、多品種のワークを計数せねばならない現場には不向きであると言える。
【0006】
他方、ワークの存在を検知するセンサの一種として、光電式センサ(光電スイッチ)のようにワークの通過を電気信号として検出するものがあるが、この種の検知センサはカメラを使用した画像処理方式に比べて格段に低廉であるため、計数装置に使用すると特許文献1に比べて著しくコストダウンすることができる。
【0007】
そこで本願発明者は実験を行ったが、単純な検知センサを使用して正確に計数するためには、センサの近傍においてワークが1個ずつ一定の軌跡を描いて通過することと、ワークがセンサの近傍で1個ずつある程度の間隔を開けて通過することとが必要であることが判った。
【0008】
しかるに、特許文献1のように全体的に振動するシュートでワークを搬送するに過ぎない構成では、ワークがシュートの上で不規則にバウンドするため、ワークがシュートから放出されるにおいて高さ等にバラツキが見られ、その結果、ワークの検知位置を通過するにおいて軌跡が一定せずに、ワークが通過しているのにこれを検知しないことがあって正確さに欠けていた。また、特許文献1の構成では、複数のワークが前後に近接した状態でシュートから放り出される友連れ現象が見られ、このため、2個なのに1個とカウントしてしまうこともあり、この点においても正確さを欠いていた。
【0009】
本願発明はかかる知見を基に成されたものであり、多種類のワークを調節作業なしで正確にかつ能率良く計数できる装置を安価に提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成すべく本願発明者は鋭意研究を重ね、本願発明を完成させるに至った。本願発明は搬送式計数装置に係り、この装置は、振動によってワークを水平方向に移送する水平状搬送部と、前記水平状搬送部からワークを受け継いで直列状に並べた状態で斜め下方に滑り落とす傾斜状の放出シュートと、ワークを前記放出シュートから放出された後において又は前記放出シュートを滑り落ちている途中において1個ずつ検知するセンサとを有しており、前記センサの検知信号を積算してワークの数を計数する、という基本構成になっている。
【0011】
そして、請求項1の発明は、上記基本構成において、前記水平状搬送部の振動が放出シュートに伝わらずにワークが自重で放出シュートを滑り落ちるように、前記水平状搬送部の終端と放出シュートの始端とを絶縁している。請求項2の発明は請求項1の発明を好適に具体化したものであり、この発明は、前記放出シュートの始端部を、水平状か又は水平に対して僅かに傾斜した中継部と成している。
【0012】
請求項3の発明は請求項1又は2を好適に具体化したものであり、この発明では、前記センサは、投光器から照射された光を受光器で受けて電気信号に変換する光電式センサであり、前記ワークは前記放出シュートから放出された後に前記光電式センサで検知されるようになっており、前記投光器の投光面と受光器の受光面とのうち何れか一方又は両方を、光の照射方向から見てワークの移動方向と直交した方向に細長い形態と成している。
【発明の効果】
【0013】
既述のように、光電式センサのような単純なセンサでワークを正確に検知するには、ワークがセンサの近傍の検知位置を1個ずつ通過するにおいて、各ワークの通過軌跡が一定していることと、前後に隣り合ったワークの間にある程度の間隔が空いていることとの2つの条件が必要である。
【0014】
この点、本願発明では、放出シュートが水平状搬送部と絶縁されているため、ワークが放出シュートを滑り落ちるにおいてバウンドすることはなく、このため、ワークがセンサの近傍を通過するにおいてその通過軌跡(通過経路)を一定化して検知漏れを防止できる。
【0015】
また、本願発明では、ワークが放出シュートに移行するにおいて、放出シュートの始端部がワークの移送に対して抵抗として作用することにより、ワークは放出シュートの始端部で減速してから傾斜部を急速に滑り落ちる現象が見られる。このため、複数のワークが前後に当接又は近接した状態で放出シュートの始端(上端)に移行しても、先のワークが放出シュートを滑り落ち始めた状態で後続のワークは放出シュートの始端で止まるような現象が見られ、その結果、放出シュートを滑り落ちる前後ワークの間にある程度の間隔を開けることができる。
【0016】
このように、本願発明では、センサによる検知箇所におけるワークの通過軌跡を一定化できると共に、放出シュートを滑り落ちる前後ワークの間にある程度の間隔を開けることができるため、ワークの通過を電気信号として検知するだけの単純なセンサを使用しても、ワークの数を正確に計数できる。従って、高性能の計数装置でありながら低コストで製造可能である。
【0017】
また、センサはワークの通過を検知するだけの単純な構造で足りるため、ワークの寸法や形状が相違しても調整なしでそのまま使用できるのであり、このため融通性が高く、中小企業のように専門家を配置できない現場にとっても朗報である。また、既存の設備に付加することも簡単であり、この点でも融通性に優れている。加えて、センサはワークの通過を検知するだけの単純なタイプで足りるため、ワークを高速で流すことが可能であり、このため高い計数性能を発揮する。この点も本願発明の利点である。
【0018】
請求項2のように放出シュートの始端部に水平状やや傾斜した中継部を設けると、ワークを減速させる機能が強く発揮されるため、前後ワークの間に間隔を開けることがより確実ならしめられて、計数の正確さを一層アップできる。また、水平状搬送部から搬送されてきたワークが重なっていても、中継部が分離機能を発揮してワークを傾斜部に1個ずつ落とすことができる。この面においても、計数の正確さをより一層向上できる。
【0019】
光電式センサは安価であると共に信頼性に優れているため、請求項3のように本願発明に適用すると、コストダウンを的確に実現できると言える。この光電式センサの投光面と受光面とは円形になっていることが殆どであるが、受光面の直径が小さいと、ワークの間隔が狭くても個別に検知できる利点を有する反面、ワークが横ずれした場合に検知漏れが発生する可能性である。逆に、受光面の直径が大きいものを使用してワークが横ずれしても検知できるようにすると、ワーク同士の間隔が狭い状態で通過したときに、2個を1個として検知してしまう可能性がある。
【0020】
この点について請求項3の構成を採用すると、検知エリアがワークの通過方向と直交した方向に細長いため、前後ワークの間隔が狭くなっても別々のワークとして確実に検知できると共に、ワークが横ずれして通過してもしっかりと検知できる。従って、計数の正確さを更にアップできる。形状や寸法が異なる種々のワークを計数する場合、ワークの種類によって前後間隔が狭まり勝手になったり横ずれし易くなったりすることがあるが、請求項3はこのような場合も計数の正確さを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)は実施形態に係る装置の概略平面図、(B)は(A)のB−B視断面図、(C)は(B)のC−C視断面図、(D)は(B)のD−D視断面図である。
【図2】作用を示す図である。
【図3】作用を示す図である。
【図4】(A)は長さが異なるねじに適用した部分断面図、(B)〜(G)は計数可能なワークの例を示す図である。
【図5】中継部の変形例を示す図である。
【図6】放出シュートの断面形状の別例図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(1).構成及び第1使用態様の概略
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、計数装置は、ワークを水平方向に移送する水平状搬送部1と、水平状搬送部1から送られたワークを受け継いで直列状に並べて斜め下方に滑り落とす放出シュート2と、放出シュート2から放出されたワークを検知する投光器3及び受光器4とを有している。図1〜3ではワークとして鍋頭の小ねじ5を使用している。投光器3及び受光器4で光電式センサが構成されている。なお、本願の装置は計数機能付き搬送装置と呼ぶことも可能である。
【0023】
放出シュート2から滑り落ちた小ねじ5はケース6に投入される。ケース6として包装箱を使用して、所定数が溜まったら移動させて空のケース6をセットしてもよいし、ケース6を受け入れ専用品として、所定数が溜まったら包装箱に入れ換えることも可能である。また、ケース6を使用せずに、中継シュートや中継コンベヤ等の中継手段で包装工程に搬送することも可能である。
【0024】
水平状搬送部1は、旋回式(ドラム式)フィーダ7における渦巻き型搬送路7aの出口端部7bに接続されている。従って、ワークである小ねじ5の群は、旋回式フィーダ7の渦巻き形搬送路7aで送られて水平状搬送部1に移送される。水平状搬送部1は図1(C)に示す放出シュート2と同様に上向き開口U字形の断面形状を成しており、小ねじ5はほぼ一列状に並んだ状態で移送されるが、前後の小ねじ5が互いに当接又は近接したり、上下に重なったり、或いはダンゴ状に固まった状態で搬送されることも有り得る。
【0025】
なお、水平状搬送部1は旋回式フィーダ7の加振によって小ねじ5をその始端から終端に向けて移送するが、別に加振装置を設けることも可能である。また、旋回式フィーダ7に接続する必然性はないのであり、小ねじ5等のワークを例えばホッパーから供給することも可能である(この場合は、水平状搬送部1はこれを長手方向に加振する加振装置を設けることになる。)。逆に、渦巻き形搬送路7aの終端部を水平状搬送部1とすることも可能である。
【0026】
既述のとおり放出シュート2は上向き開口U字型の樋状に形成れており、図1(B)に示すように支持部材8に固定されている。支持部材8は旋回式フィーダ7の振動が伝わらないように絶縁されており、従って、小ねじ5等のワークは静止した状態の放出シュート2を自重で滑り落ちる。実施形態では放出シュート2は水平に対して40°程度傾斜させているが、傾斜角度は任意に設定できる(20〜60°程度の範囲が好適で、特に30〜50°程度が好ましいと言える。)。
【0027】
放出シュート2の大部分は水平に対して傾斜した傾斜部2aで構成されており、傾斜部2aの始端部(上端部)が水平姿勢の中継部2bになっている。中継部2bと水平状搬送部1との間には若干の寸法Eの隙間9が空いており、これにより、水平状搬送部1の振動が放出シュート2に伝わらないように絶縁されている。水平状搬送部1はその長手方向に往復動するように細かく振動しているので、隙間9は、水平状搬送部1の振動を許容する範囲で小さいのが好ましい(隙間9の間隔寸法が大きいと、ワークが引っ掛かったり落ち込んだりして移送不能になるおそれがある。)。
【0028】
中継部2bの長さ寸法L1は数mm〜10数mmが好ましい。小ねじ5等のワークとの関係では、ワークの形状にもよるが、一般的には、ワークの長さより小さいか又は同じ程度であるのが好ましい。
【0029】
光電式センサを構成する投光器3と受光器4は、放出シュート2の終端近傍に高さを変えて配置しており、機枠11に固定されている。本実施形態では便宜的に投光器3を上にして受光器4を下にしているが、上下関係はどちらでもよい。投光器3と受光器4とは、同じ高さにおいて平面視で左右に配置することも可能である。いずれにしても、投光器3から受光器4に照射される光の光軸10は放出シュート2の延長線(ワークの通過軌跡)と略直交している。
【0030】
放出シュート2から放出された小ねじ5(ワーク)の落下軌跡は、最初は直線状で徐々に放物線に移行していくが、投光器3及び受光器4は、小ねじ5が直線状の軌跡を描いて落下する範囲(放出シュート2の終端から距離L0の範囲)に配置するのが好ましい。換言すると、できるだけ放出シュート2の終端に近い部位に配置するのが好ましい。
【0031】
投光器3と受光器4とは市販品であり、光を照射する投光面3aと光を受ける受光面4aとは共に円形になっているが、本実施形態では、図1(D)に網かけして示すように、投光器3,4の中心を挟んだ上下両側をテープや板等の遮蔽部材で覆うことにより、実際に照射機能及び受光機能の検知機能を発揮する検知エリア12を、光の照射方向から見て小ねじ5の移動方向と直交した左右方向に細長い幅寸法L3の長方形に設定している。
【0032】
本実施形態では投光器3と受光器4とを上下に配置しているので、検知エリア12は平面視で小ねじ5の移動方向と直交した左右方向に細長い形態になっているが、投光器3と受光器4とを同じ高さにして左右に配置した場合は、検知エリア12は概ね上下方向に細長い形態になる。
【0033】
(2).作用の説明
小ねじ5は水平状搬送部1から放出シュート2に移行し、放出シュート2の傾斜部2aを自重で滑り落ちてケース6に落下する。そして、小ねじ5が放出シュート2を離れて落下する途次、落下の初期において投光器3から受光器4に照射されている光を遮ることにより、受光器4の受光量(発電量)が変化し、これにより、1本の小ねじ5が通過したことが検知される(検知信号が発せられる。)。
【0034】
この場合、放出シュート2は静止していて振動はしないため、放出シュート2を滑り落ちる小ねじ5が進行方向を向いて上下方向にバウンドしたり左右方向(図1で紙面と直交した方向)に振れたりすることはなく、このため、小ねじ5の群は投光器3と受光器4とで形成された検知エリア12を確実に横切る。その結果、小ねじ5が落下しているのに検知できないという検知漏れを防止できる。まず、この点で計数精度を向上できる。
【0035】
さて、水平状搬送部1では小ねじ5は前後に当接した状態や近接した状態で搬送されることもあり、前後に隣り合った小ねじ5の間隔は一定していない。しかし、放出シュート2は静止しているため、小ねじ5はここで減速作用を受けることになり、そのため、図2(A)に示すように、水平状に並んだ小ねじ5の群は放出シュート2に位置したものを先頭にして互いに当接又は近接した状態になる傾向を呈する。
【0036】
そして、水平状に並んだ小ねじ5の群のうち先頭に位置した小ねじ5は、放出シュート1の上端で立ち止まるような状態から傾斜部2aに移行して自重で急速に滑り落ちるため、後続の小ねじ5との間にある程度の寸法L2の間隔が空く。これにより、小ねじ5の群はある程度の寸法L2の前後間隔を保持した状態で検知エリア12を通過することになり、この面においても計数精度を向上できる。更に、放出シュート2の上端(始端)に短い長さの中継部2bを設けると、間隔保持機能及び小ねじ5(ワーク)が重なっている場合の分離機能がより確実ならしめられる。この点を更に説明する。
【0037】
さて、既述のとおり、小ねじ5は放出シュート2の上端部で減速されるため、水平状に並んだ小ねじ5の群は、放出シュート2の中継部2bに載っているものを先頭にして、前後に当接又は近接した状態になる傾向を呈する。そして、先頭の小ねじ5は後ろから押されることで中継部2bを外れて傾斜部2aに移行するが、先頭の小ねじ5は傾斜部2aに移行すると自重によって急速に滑り落ちていく一方、2番目の小ねじ5は中継部2bに乗ったままの状態が若干ながら維持される。
【0038】
このように、小ねじ5が水平状の中継部2bに乗ったままの状態が若干ながら継続することにより、小ねじ5の群は放出シュート2を滑り落ちて行くに際してある程度の寸法L2の前後間隔が保持される。つまり、中継部2bが前後ワークの間隔形成機能を助長するのであり、これにより、小ねじ5が友連れ状態で投受光器3,4の検知エリア12に移行することを確実に防止して、計数機能を完全化できるのである。
【0039】
小ねじ5は軸5aと頭5bとを有しており、水平状搬送部1から移送されてくるにおいて姿勢は一体しておらず、軸5aを先にした姿勢と頭5bを先にした姿勢とにランダムに流れてくるが、いずれにしても、放出シュート2の中継部2bから姿勢を変えて傾斜部2aに移行する。この場合、実施形態のように中継部2bと傾斜部2aとを角張った状態に繋ぐと(連続させると)、間隔形成機能を確保する上で特に好適であった。これは、中継部2bと傾斜部2aとを繋ぐコーナー部が角張っていると、小ねじ5が姿勢を変えて中継部2bから傾斜部2aに移行するに当たって、中継部2bに乗っている時間を長くできるためと推測される。
【0040】
つまり、中継部2bと傾斜部2aとが円弧状の曲面を持って滑らかに連続していると、小ねじ5等のワークは中継部2bに立ち止まらずに傾斜部2aに速やかに移行してしまい、このため間隔形成機能が十分でない可能性があるが、中継部2bと傾斜部2aとのコーナー部が角張っていると、小ねじ5等のワークが中継部2bに乗ったままで姿勢変換するのに多少の時間がかかるため、高い間隔形成機能を確保できると推測される。
【0041】
図3(A)に示すように、2本の小ねじ5が上下に重なった状態で放出シュート2に移行することも稀ながら有り得る。しかし、本実施形態では、下の小ねじ5が放出シュート2の中継部2bに移行すると水平状搬送部1の振動は作用しなくなって単に押される状態になる一方、上に乗った小ねじ5には水平状搬送部1の振動が作用し続けることにより、上の小ねじ5は振動によって下の小ねじ5からずり落ちる。その結果、重なって移送されてきた2本の小ねじ5は、互いに間隔を空けた状態で放出シュート2を滑り落ちている。このように、中継部2bはワークの分離作用も有するのであり、この面でも計数の正確さが確保されている。
【0042】
上記したように小ねじ5はある程度の寸法L2を空けた状態で放出シュート2を落下してくるが、小ねじ5を1本ずつ検知するためには、2本の小ねじ5が投受光の検知エリア12に同時に進入することを防止せねばならない。この点、本実施形態のように円形の投光面3aと受光面3bとを部分的に覆って検知エリア12を横長の長方形に形成すると、検知エリア12の前後幅寸法L3を前後小ねじ5の間隔L2より遙かに小さい寸法に設定できるため、市販の投受器3,4を使用しつつ検知性能を完璧化することができる利点がある。
【0043】
また、投受光器3,4は、ワークが光軸の軸心に近い部位を通過するほど検知感度が高くなる傾向を呈するが、本実施形態では投光面3a及び受光面3bは中心部を残した状態で覆われているため、感度も高い状態に維持されており、この点も検知性能の完璧化に貢献している。
【0044】
本実施形態の装置はワークを高速で計数できるが、ケース6の交換に際しては計数速度を低くするのが好ましい。これについては、個数が所定数に近くなったら旋回式フィーダ7を低速運転することで、所定の個数がカウントされるのと同時にケース6を交換し、ケース6の交換と同時に旋回式フィーダ7を高速運転に戻したらよい。
【0045】
(4).他の使用態様・変形例
本実施形態の装置は各種のワークに適用できる。その例を図4で示している。図4のうち(A)では図1〜3の場合よりも長さが長い小ねじ5の計数に適用している。逆に、図1〜3の場合よりも長さが短い小ねじの計数にも適用できる。(B)に示す一般的な六角ボルト15、(C)に示すようにばね座金16aが組み込まれた六角ボルト16、(D)に示すタッピンねじ17、(E)に示すドリルねじ18、(F)に示す一般的な六角ナット19、(G)に示すようなばね座金20aを揺する付き六角ナット20、といったワークも計数できる。
【0046】
もとより、本願発明の適用対象はこれらねじ類(ファスナ類)に限定されるものではなく、様々な形態のワークに適用できる。特に、小ねじ5やボルト16,17のように軸と頭とを有するワークは特に好適であるといえる。更に、本実施形態の計数装置は、ワークの通過を検知するだけのセンサを使用して計数するものであるため、ワークの形状や大きさ・種類が異なっても特段の調整作業を要することなくそのまま使用できる。すなわち様々な種類のワークを特別の調整作業なしで正確かつ高速で計数できるのであり、これにより、作業能率を格段にアップできると共に、多くの企業・現場での計数作業の負担軽減に貢献できる。この点、本願発明の大きな利点である。
【0047】
放出シュート2の上端に中継部2bを設ける場合、図5(A)に示すように、中継部2bの終端に僅かに高い突起21を設けることも可能である。このように突起21を設けると、ワークを中継部2bの上で立ち止まらせる機能が高くなるため、間隔形成機能を向上できると言える。突起21に変えて凹所を形成しても同様の効果を発揮可能である。
【0048】
図5(B)では中継部2bを水平に対して僅かの角度だけ下向きに傾斜させており、逆に、図5(C)では中継部2bを水平に対して僅かの角度だけ上向きに起こしている。傾斜角度が僅か(例えば3〜5°以内)であれば、このように傾斜させることは差し支えない。ワークの滑り易さの程度に応じて中継部2bの角度を変えることは、本願発明の展開例として好適である。
【0049】
図6に示すように、放出シュート2は底部をV字形に形成したり台形状に形成したりすることも可能である。コの字に形成することも可能であるが、通常のワークの場合は放出シュートの中心線に沿って移動するのが好ましいので、U字型やV字形や台形状のように、長手軸心方向から見て左右両側から中心線に向かって低くなる断面形状であるのが好ましい。
【0050】
例えば六角ボルトの場合、放出シュート2がV形であると、頭を構成する6つの側面のうち1つの面が放出シュート2の片面に重なるため、ボルトの軸心が放出シュート2の中心からずれることがあるが、放出シュート2がU字形である場合は、角形の頭を有するボルトや角形物品であっても放出シュート2の中心線の箇所に位置させることができる。従って、放出シュート2をU字形に形成するのは汎用性・信頼性に優れていると言える。
【0051】
(5).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば水平状搬送部の構造や放出シュートの形態はワークの形態等に応じて様々に具体化できる。センサは光電式のものには限らず、ワークの通過によって生じる磁力の乱れを利用した近接スイッチなど、ワークの形態や大きさ、材質等を考慮して最適なものを採用したらよい。
【0052】
複数の水平状搬送部と放出シュートとを並列配置した多連構造や、1本の水平状搬送部から複数本の放出シュートにワークが流れる分岐方式も採用することができる。水平状搬送部と放出シュートとを絶縁するための隙間に、ゴム等の振動を伝えない部材を介在させることも可能である。1箇所に複数のセンサを配置することも可能である。
【0053】
磨耗による感度低下等の問題がなければ、センサを放出シュートの箇所に配置し、ワークが放出シュートを滑り落ちる過程で検知することも可能である。例えば、放出シュートの底面に縦長のスリットを形成すると共に、投光器と受光器とを放出シュートの上下に配置し、検知光がスリットを通過する構成とすることが可能である。或いは、放出シュートのうちワークの通路を挟んだ左右両側に投光器と受光器とを配置し、検知光がワークの通路を横切る構成にすることも可能である。条件が許せば、接触式センサも使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本願発明は、各種ワークの計数に実際に適用して有用性を発揮する。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 水平状搬送部
2 放出シュート
2a 傾斜部
2b 中継部
3 光電式センサを構成する投光器
4 光電式センサを構成する受光器
5 ワークの一例としての小ねじ
7 ワーク繰り出し手段の一例としての旋回式フィーダ
9 水平状搬送部と放出シュートとを絶縁するための隙間
10 検知光の光軸
12 光電式センサの検知エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動によってワークを水平方向に移送する水平状搬送部と、前記水平状搬送部からワークを受け継いで直列状に並べた状態で斜め下方に滑り落とす傾斜状の放出シュートと、ワークを前記放出シュートから放出された後において又は前記放出シュートを滑り落ちている途中において1個ずつ検知するセンサとを有しており、前記センサの検知信号を積算してワークの数を計数する構成であって、
前記水平状搬送部の振動が放出シュートに伝わらずにワークが自重で放出シュートを滑り落ちるように、前記水平状搬送部の終端と放出シュートの始端とを絶縁している、
搬送式計数装置。
【請求項2】
前記放出シュートの始端部を、水平状か又は水平に対して僅かに傾斜した中継部と成している、
請求項1に記載した搬送式計数装置。
【請求項3】
前記センサは、投光器から照射された光を受光器で受けて電気信号に変換する光電式センサであり、前記ワークは前記放出シュートから放出された後に前記光電式センサで検知されるようになっており、前記投光器の投光面と受光器の受光面とのうち何れか一方又は両方を、光の照射方向から見てワークの移動方向と直交した方向に細長い形態と成している、
請求項1又は2に記載した搬送式計数装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−37538(P2013−37538A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173186(P2011−173186)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(594130547)株式会社ヤリステ (5)
【出願人】(599036565)
【Fターム(参考)】