説明

搬送機構、トレッドミル及びコンベア

【課題】 省電力化が可能なトレッドミルを提供する。
【解決手段】 トレッドミルは、一対のローラ10,20と、一対のローラ10,20に架け渡された無端ベルト30と、を備え、ローラ20の少なくとも一つの内部には、鉄心24b及び当該鉄心24bに巻回されたコイル24cからなる電機子24aと、ローラ20と一体的に回転可能に設けられた永久磁石22と、を備えており、ローラ20の回転に伴う永久磁石22と電機子24aとの間の電磁誘導によって、コイル24cに誘導電流が流れるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送機構、トレッドミル及びコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体力トレーニング装置の一例として、一対のローラに巻回された無端ベルト上をユーザが走行するトレッドミルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−000326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のトレッドミルやコンベアは、モータの動力によってローラが回転し、ユーザが走行したり物品を運搬する構成となっているが、これらトレッドミル、コンベア等といった搬送機構においては、より省電力化が可能な技術が望まれている。
【0005】
本発明は、前記した要望に鑑みて創案されたものであり、省電力化が可能な搬送機構、トレッドミル及びコンベアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、二以上のローラと、前記二以上のローラに架け渡された無端ベルトと、を備える搬送機構であって、前記二以上のローラの少なくとも一つの内部には、鉄心及び当該鉄心に巻回されたコイルとからなる電機子と、前記ローラと一体的に回転可能に設けられた磁石と、を備えており、前記ローラの回転に伴う前記磁石と前記電機子との間の電磁誘導によって、前記コイルに誘導電流が流れるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記搬送機構を備えるトレッドミルであって、前記無端ベルト上を人が走行可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記搬送機構を備えるコンベアであって、前記無端ベルト上に載置された物品を搬送可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ローラの回転によって発生した誘導電流を活用することができるので、省電力化が可能である。また、発電機構としての電機子及び磁石がローラ内に設けられているので、省スペースで発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るトレッドミルの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るトレッドミルを示す模式図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係るローラの内部構造を示す模式断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係るローラの内部の構造を示す模式断面図である。
【図5】本発明の第三の実施形態に係るコンベアを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、本発明の搬送機構をトレッドミル及びコンベアに適用した場合を例にとり、適宜図面を参照しながら説明する。同様の部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。以下の説明において、上下前後左右といった方向に関する表現は、ユーザによる使用状態を基準とする(図1参照)。
【0012】
<第一の実施形態>
まず、本発明の第一の実施形態に係るトレッドミルについて、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係るトレッドミルの外観を示す斜視図である。図2は、本発明の第一の実施形態に係るトレッドミルを示す模式図である。図3は、本発明の第一の実施形態に係るローラの構造を示す模式断面図であり、(a)は後から見た模式断面図、(b)は左から見た模式断面図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係るトレッドミル1Aは、ルームランナ等とも呼ばれる体力トレーニング装置であり、ユーザ2が無端ベルト30上を走行することが可能な装置である。図2に示すように、トレッドミル1Aは、一対のローラ10,20と、無端ベルト30と、プーリ40と、無端ベルト50と、モータ60と、操作部70と、制御部80と、を備える。
【0014】
一対のローラ10,20は、それぞれトレッドミル1Aの前後に設けられており、これら一対のローラ10,20には、ユーザ2が走行可能な無端ベルト30が架け渡されている。前方のローラ10は、駆動用のプーリ付きローラであり、当該ローラ10のさらに前方には、モータ60に連結されたプーリ40が設けられており、これらのローラ10のプーリとプーリ40とには、無端ベルト50が架け渡されている。操作部70は、無端ベルト30よりも前方に設けられており、ユーザ2によって操作可能なボタン、タッチパネル等から構成されている。ユーザ2が操作部70を操作すると、かかる操作に応じた信号が操作部70から出力される。制御部80は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、入出力回路等から構成されており、操作部70から出力された信号を取得し、取得された信号に基づいてモータ60の駆動を制御する。
【0015】
制御部80は、操作部70から出力された信号に基づいて、モータ60の駆動を制御する。モータ60は、図示しない電源(商用電源等)から供給される電力によって駆動し、モータ60の回転力は、プーリ40、無端ベルト50及びローラ10を順次介して無端ベルト30に伝達される。すなわち、トレッドミル1Aにおいて、ローラ10はプーリ付きの駆動ローラであり、ローラ20は従動ローラである。
【0016】
本発明の第一の実施形態に係るトレッドミル1Aは、図3に示すように、発電機構として、ローラ20の内部に、軸部21と、ベアリング22,22と、永久磁石23,23と、電機子部24と、整流子25と、一対の導線26,26と、を備える。なお、図3(a)において、導線26に関しては一本のみ図示している。
【0017】
ローラ20は、左右に延びる中空円柱形状を呈しており、円筒部20aと、左右の側面部20b,20bと、から構成される。円筒部20a及び左右の側面部20b,20bは、ユーザ2の荷重及び無端ベルト30の回転に耐え得る強度を有するとともに軽量化が図られたものであり、例えば、鉄、ステンレス、アルミ等によって形成されている。
【0018】
軸部21は、左右に延びる細長い円柱形状を呈しており、その左右端部は、ローラ20の左右の側面部20b,20bから突出しており、それぞれトレッドミル1Aの筐体に固定されている。
ベアリング22,22は、軸部21の左右端部近傍にそれぞれ設けられている。前記したローラ20は、かかるベアリング22,22を介して軸部21に対して回転可能に支持されている。永久磁石23,23は、ローラ20の内周面に互いに対向するように取り付けられており、ローラ20と一体的に回転する。電機子部24は、軸部21の周りに取り付けられた複数の電機子24a,24a,24aを備える。かかる電機子24aは、軸部21から径方向外側に向けて延設された鉄心24bと、鉄心24bに巻回されたコイル24cと、から構成される。
【0019】
整流器25は、複数の整流板25a,25a,25aによって構成されており、電機子24aのコイル24cに電気的に接続されている。一対の導線26,26は、整流器25の整流板25aと電気的に接続されており、その一端がローラ20の外部まで延びている。かかる導線26,26は、例えば、軸部21に形成された溝に収容されて配設されている。なお、複数の整流板25a,25a,25aは、図示しない導線によって互いに電気的に接続されていている構成とすることができる。
【0020】
以上説明したように、トレッドミル1Aは、ローラ20の内部に、DCモータの構造を応用した発電機構を備える。制御部80がモータ60の駆動を制御した状態において、ユーザ2が無端ベルト30上を走行すると、ローラ20が軸部21まわりに回転する。すなわち、ローラ20に取り付けられた永久磁石23,23が、軸部21に取り付けられた複数の電機子24a,24a,24aのまわりを回転し、永久磁石23と電機子24aとの間の電磁誘導によって、電機子24aのコイル24cに誘導電流が流れる。かかる誘導電流は、コイル24cに電気的に接続された整流板25a及び導線26,26を順次介して交流電流としてローラ20外に取り出され、かかる導線26,26に電気的に接続されたトレッドミル1Aのモータ60、操作部70又は制御部80や、トレッドミル1Aの外部の装置、充電池等に供給される。
【0021】
本発明の第一の実施形態に係るトレッドミル1Aは、発電機構がローラ20と一体的に構成されているので、省スペースで発電することができる。発電機構において回転する部分(ローラ20及び永久磁石23)は、軸部21に対してベアリング22によって支持されているため、発電時の摩擦損失を抑えるとともに、無端ベルト30の摺動への影響を抑えることができる。また、発電機構において重量が大きい電機子部24を軸部21に対して固定し、重量が小さい永久磁石23をローラ20と一体的に回転させる構成であるので、発電時の摩擦損失を抑えるとともに、無端ベルト30の摺動への影響を抑えることができる。
【0022】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係るトレッドミルについて、図4を参照し、第一の実施形態に係るトレッドミル1Aとの相違点を中心に説明する。図4は、本発明の第二の実施形態に係るローラの構造を示す模式断面図であり、後から見た模式断面図である。
【0023】
本発明の第二の実施形態に係るトレッドミルは、図4に示すように、ローラ20の内部に、2つの電機子部24,24を備える。また、永久磁石23は、一の電機子部24に対して2つ設けられており、計4つの永久磁石23がローラ20の内部に取り付けられている。なお、一の電機子部24における複数のコイル24c,24c,24cは、図示しない導線によって互いに電気的に接続されていている構成とすることができる。
【0024】
2つの電機子部24,24のコイル24c(図3(b)参照)が導線によって電気的に接続されている場合には、2つの電機子部24,24のコイル24cに発生した誘導電流は、一の電機子部24のコイル24cに電気的に接続された導線を介してローラ20外に直流電流として取り出され、かかる導線に電気的に接続されたトレッドミルのモータ60、操作部70又は制御部80や、トレッドミル1Aの外部の装置、充電池等に供給される。また、図4に示すように、2つの電機子部24,24が電気的に独立している場合には、2つの電機子部24,24のコイル24cに発生した誘導電流は、それぞれ別の電流として、電機子部24のコイル24cに電気的に接続された一対の導線26,26を介してローラ20外に直流電流として取り出され、かかる導線26,26に接続されたトレッドミルのモータ60、操作部70又は制御部80や、トレッドミル1Aの外部の装置、充電池等に供給される。
【0025】
<第三の実施形態>
続いて、本発明の第三の実施形態に係るコンベアについて、図5を参照して、第一の実施形態に係るトレッドミル1Aとの相違点を中心に説明する。図5は、本発明の第三の実施形態に係るコンベアを示す模式図である。
【0026】
図5に示すように、本発明の第三の実施形態に係るコンベア(ベルトコンベアともいう)1Cは、無端ベルト30上に載置された物品Gを搬送するためのものであり、モータ60によってローラ10を直接回転させるように構成されている。かかるコンベア1Cは、第一の実施形態に係るトレッドミル1Aと同様、ローラ20内に発電機構を備える。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。例えば、従動ローラであるローラ20ではなく、駆動ローラであるローラ10内に本発明の発電機構を一体的に設ける構成であってもよい。また、本発明の搬送機構をコンベアに適用した場合には、無端ベルトのテンションを調整するためのテンションローラ内に本発明の発電機構を一体的に設ける構成であってもよい。また、ベアリング22としてボールベアリングを採用する場合には、軸部21に取り付けられる内輪を高くしてボールの数を増やすことによって、摩擦損失をさらに抑えることができる。また、ローラ10内に設けられる発電機構の構成は、図示したものに限定されず、例えば、電機子24a及び整流板25aの数は、適宜変更可能である。また、誘導電流をローラ外に取り出すための導線のコイルへの電気的接続の態様も、図示したものに限定されない。また、本発明の発電機構を備えたローラを、台車等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0028】
1A トレッドミル(搬送機構)
1C コンベア(搬送機構)
10 ローラ
20 ローラ
23 永久磁石(磁石)
24a 電機子
24b 鉄心
24c コイル
30 無端ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二以上のローラと、前記二以上のローラに架け渡された無端ベルトと、を備える搬送機構であって、
前記二以上のローラの少なくとも一つの内部には、鉄心及び当該鉄心に巻回されたコイルからなる電機子と、前記ローラと一体的に回転可能に設けられた磁石と、を備えており、
前記ローラの回転に伴う前記磁石と前記電機子との間の電磁誘導によって、前記コイルに誘導電流が流れるように構成されている
ことを特徴とする搬送機構。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送機構を備えるトレッドミルであって、
前記無端ベルト上を人が走行可能に構成されている
ことを特徴とするトレッドミル。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送機構を備えるコンベアであって、
前記無端ベルト上に載置された物品を搬送可能に構成されている
ことを特徴とするコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−259520(P2010−259520A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111099(P2009−111099)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(509125073)
【Fターム(参考)】