説明

搬送装置およびプリンタ

【課題】紙粉の蓄積を的確に判断することにより適切な清掃時期を決定できる搬送技術を提供する。
【解決手段】プリント媒体の毛羽立ち状態を表す毛羽立ち情報を取得する毛羽立ち情報取得部91と、毛羽立ち情報に基づいて紙粉の発生量を推定し、推定した発生量を積算することにより紙粉蓄積量を算出する紙粉蓄積量推定部92と、紙粉蓄積量に基づいて紙粉の清掃時期を決定する清掃時期決定部93と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙媒体を搬送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
紙媒体を搬送する搬送装置では、搬送時に紙媒体の端部から紙粉が発生することが知られている。このような紙粉は、搬送経路に蓄積すると搬送経路に備えられているセンサの正常動作を妨げるおそれがある。また、搬送装置がインクジェット式のプリンタに用いられた場合には、紙粉によるプリントヘッドの目詰まりのおそれがある。そのため、装置内部の紙粉を定期的に清掃する必要がある。
【0003】
従来では、装置の稼動時間や搬送した紙媒体の長さの累積値が所定の閾値になるとオペレータに対して通知を行う等の方法を用いていた。しかし、この方法では実際の紙粉の蓄積量と清掃時期とが合わないという問題があった。
【0004】
このような問題点を解決するための技術として、例えば、原稿搬送経路に紙粉量を検知する紙粉検知センサを備えた原稿搬送装置がある(特許文献1参照)。この特許文献1の原稿搬送装置では、紙粉センサにより紙粉の蓄積量が所定量以上になるとその旨が通知される。したがって、オペレータはこの通知に応じて紙粉を除去すれば、原稿搬送装置を正常に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−319560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1の搬送装置では紙粉の蓄積をセンサにより検出しているため、実際の紙粉の蓄積量に基づいた通知を行うことができる。しかしながら、この搬送装置では、センサで検出可能な程度に紙粉が蓄積されなければ通知が行われない。そのため、紙粉がセンサで検出可能な程度に蓄積するまでの間に紙粉が搬送装置や搬送装置を用いたプリンタ等の動作に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、このような課題に鑑み、紙粉の蓄積を的確に判断することにより適切な清掃時期を決定できる搬送技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の搬送装置は、紙媒体を搬送する搬送装置であって、前記紙媒体の毛羽立ち状態を表す毛羽立ち情報を取得する毛羽立ち情報取得部と、前記毛羽立ち情報に基づいて紙粉の発生量を推定し、当該推定した発生量を積算することにより紙粉蓄積量を算出する紙粉蓄積量推定部と、前記紙粉蓄積量に基づいて前記紙粉の清掃時期を決定する清掃時期決定部と、を備えている。
【0009】
この構成では、紙媒体の毛羽立ち状態を表す毛羽立ち情報に基づいて紙粉の発生量が予測され、その予測された発生量を積算することにより紙粉蓄積量が算出され、この紙粉蓄積量に基づいて紙粉の清掃時期を決定している。これにより、紙媒体の特性に基づいた紙粉の蓄積量が予測され、その予測値に基づいて清掃時期を決定できるため、適切な清掃時期を決定することができる。
【0010】
本発明の搬送装置の好適な実施形態の一つでは、前記紙媒体の端部を撮影する撮影部を備え、前記毛羽立ち情報取得部は、前記撮影部により撮影された画像に基づいて前記毛羽立ち情報を生成する。
【0011】
一般的に、紙媒体からの紙粉の発生は紙媒体の端部が多いと考えられる。したがって、紙媒体の端部の毛羽立ち状態に基づけば、紙粉の発生量を予測することができる。そのため、この構成では、紙媒体の端部を撮影した画像に基づいて毛羽立ち情報を生成している。これにより、容易に紙媒体の毛羽立ち情報を取得することができる。特に、撮影部を搬送経路上に配置しておき、搬送に際して自動的に撮影を行うように構成しておけば、オペレータに負荷をかけることもないため、好適である。
【0012】
本発明の搬送装置は、搬送装置を備えたプリンタにも適用することができる。そのようなプリンタは、例えば、プリント媒体としての前記紙媒体を収容するマガジンを備え、
前記毛羽立ち情報取得部は、前記マガジンが交換された際に前記毛羽立ち情報を取得する。
【0013】
紙媒体の毛羽立ち状態は個体差がある。例えば、ロール状の紙媒体ではロール毎に異なっていたり、カットシートではロット毎に異なっていたりする。そのため、この構成では、マガジン、すなわち、マガジンに収容されている紙媒体が交換されたタイミングで毛羽立ち情報を取得している。これにより、必要最小限の取得回数で、マガジンにセットされている紙媒体の毛羽立ち情報を取得することができる。特に、撮影部により撮影された画像に基づいて毛羽立ち情報を生成する等の処理にある程度の時間を要する方法を用いる場合には、この構成は処理速度の観点からも好ましい。
【0014】
近年では、複数のマガジンが備えられているプリンタや一のマガジンに複数のプリント媒体(紙媒体)が収容可能に構成されているものがある。そのようなプリンタでは、プリントオーダ毎にプリントオーダに適したプリント媒体が選択され、使用される。そのような場合には、使用されるプリント媒体が切り換えられた際には、そのとき使用されるプリント媒体の毛羽立ち情報を用いて紙粉蓄積量を算出することが望ましい。そのため、本発明のプリンタの好適な実施形態の一つでは、前記マガジンを複数備え、または、前記マガジンは複数種類の前記紙媒体を収容可能に構成され、プリントに用いられる前記プリント媒体が変更された際に、前記紙粉蓄積量推定部は紙粉蓄積量の算出に当該プリント媒体の毛羽立ち情報を用いるように変更する。
【0015】
この構成では、プリンタが複数種類のプリント媒体を使用可能であっても、実際にプリントに使用されるプリント媒体の毛羽立ち情報を用いて紙粉蓄積量を算出するため、使用状況に合った紙粉蓄積量を予測でき、適切な清掃時期を決定することができる。
【0016】
紙粉の発生量はプリント媒体の品質だけでなく、実際に搬送したプリント媒体の長さの累積値にも依存している。そのため、本発明のプリンタの好適な実施形態の一つでは、プリントサイズおよびプリント枚数を含むオーダ情報を取得するオーダ情報取得部を備え、前記紙粉蓄積量推定部は、前記毛羽立ち情報と前記オーダ情報とに基づいて前記紙粉蓄積量を算出する。
【0017】
この構成では、取得したオーダ情報にはプリントサイズとプリント枚数が含まれている。プリントサイズに基づけば、いずれのプリント媒体を使用するかを特定することができる。また、プリント枚数に基づけば、搬送されるプリント媒体の長さを求めることができる。したがって、オーダ情報を用いることで余分なセンサ等を設けることなく、的確に紙粉蓄積量を予測することができる。
【0018】
また、本発明のプリンタの好適な実施形態の一つでは、プリントサイズおよびプリント枚数を含むオーダ情報を取得するオーダ情報取得部と、前記オーダ情報の統計値を算出する統計値算出部と、を備え、前記紙粉蓄積量推定部は、前記毛羽立ち情報と前記統計値とに基づいて前記紙粉蓄積量を算出する。
【0019】
この構成では、オーダ情報の統計値と毛羽立ち情報とに基づいて紙粉蓄積量が算出される。このオーダ情報の統計値によれば、将来的なオーダの状態を予測することができるため、紙粉の清掃時期を予測することができる。この清掃時期をオペレータに通知しておけば、オペレータはそのときをプリンタの非稼動時期として割り当てておく等、プリンタの稼動スケジュールを組むことができる。特に、複数のプリンタが備えられており、予測された清掃時期が同時期であった場合に、清掃時期をずらす等によって、複数のプリンタが同時に稼動できない状況を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るプリンタの斜視図である。
【図2】本発明に係るプリンタの断面図である。
【図3】プリント媒体と撮影範囲との関係を表す図である。
【図4】実施例1および2の形態における制御部の機能部を表す機能ブロック図である。
【図5】実施例1の形態における処理の流れを表すフローチャートである。
【図6】実施例2の形態における処理の流れを表すフローチャートである。
【図7】実施例3の形態における制御部の機能部を表す機能ブロック図である。
【図8】実施例3の形態における処理の流れを表すフローチャートである。
【図9】実施例4の形態における制御部の機能部を表す機能ブロック図である。
【図10】実施例4の形態における処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔外観構成〕
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明に係るプリンタPの斜視図であり、図2は断面図である。プリンタPは、筐体1の上面に外部搬送機構2を備えている。この外部搬送機構2は、筐体1の側面にソータ3を備えている。また、外部搬送機構2の後上部にはプリントされたプリント媒体Sとしての紙媒体(以下、プリント媒体Sと称する)が排出される排出口4が備えられている。排出口4から排出されたプリント媒体Sは、外部搬送機構2上に載置され、その後外部搬送機構2の搬送ベルト2bが駆動されることによりプリント媒体Sがソータ3側に搬送され、ソータ3の集積板3b上に集積される。なお、ソータ3には、搬送されたプリント媒体Sの搬送方向へのはみ出しを防ぎ、プリント媒体Sを集積板3b上に落下させる当たり部材3aが備えられている。
【0022】
〔マガジン〕
筐体1の内部下方には、ロール状のプリント媒体Sを収容する2つのマガジンMが収容されている。このマガジンMを出し入れ可能にするために、筐体1の前面下方には前面ドア5が備えられている。オペレータ等は、各々の前面ドア5を開放することにより、対応する位置に収容されているマガジンMにアクセスすることができる。
【0023】
本実施形態におけるマガジンMの内部には、ロール状のプリント媒体Sを回転可能に保持する2つの軸芯Rが備えられており、各マガジンMは最大2つのロール状のプリント媒体Sを収容可能となっている。なお、一のマガジンMに2つのロール状のプリント媒体Sを収容する場合、収容された状態でのプリント媒体Sの間の距離はプリント媒体Sのサイズに関係なく一定となっており、搬送およびプリントの際にもこの間隔は維持されている。
【0024】
ロール状のプリント媒体SをマガジンMに収容する際には、軸芯Rをロール状のプリント媒体Sの巻芯に通し、軸芯RをマガジンMの内部に設けられた軸芯受部材(図示せず)に支持されるようにセットする。なお、マガジンMは、軸芯Rの軸芯方向がプリンタPの左右方向と一致するようにセットされる。また、マガジンMの内部には、ガイドローラ11および一対の搬送ローラ12が備えられている。ロール状のプリント媒体Sは、ガイドローラ11により搬送方向が上方(搬送ローラ12の方向)に変更され、搬送ローラ12により挟持搬送され、マガジンMの上方に設けられた開口13から第1搬送部20を介してプリント部30側に送り出される。
【0025】
なお、筐体1の内部の各マガジンMの収容位置には、マガジンMの装着状態を検知するセンサ14が備えられている。このセンサ14は、マガジンMが装着されている場合にはHigh信号を出力し、マガジンMが装着されていない場合にはLow信号を出力する。この出力信号は後述する制御部Cに入力されている。
【0026】
また、マガジンMにはプリント媒体Sの残量を検出するための残量センサ(図示せず)が備えられており、残量センサの出力信号は制御部Cに入力されている。
【0027】
〔第1搬送部〕
マガジンMから後述するプリント部30にプリント媒体Sを搬送するための第1搬送部20が備えられている。この第1搬送部20は本発明の搬送装置の一部を構成するものである。
【0028】
上述したように、本実施形態におけるプリンタPには2つのマガジンMが備えられている。そのため、第1搬送部20には、プリント媒体Sをガイドするガイド部材21が備えられている。図2に示すように、このガイド部材21は、逆Y字形状をしており、下側のマガジンMからのプリント媒体Sを案内する第1ガイド部21a,上側のマガジンMからのプリント媒体Sを案内する第2ガイド部21b,第1ガイド部21aまたは第2ガイド部21bにより案内されたプリント媒体Sをプリント部30側に案内する主ガイド部21cから構成されている。
【0029】
ガイド部材21により下方から案内されたプリント媒体Sは、一の駆動ローラ22と2つの従動ローラ23とにより、搬送方向が水平方向に変更され、プリント部30側へと搬送される。
【0030】
〔撮影部〕
図2に示すように、第1搬送部20の搬送経路上においてプリント媒体Sの上方からプリント媒体Sの端部を撮影する撮影部80が備えられている。本実施形態では、撮影部80はモノクロCCDを備えたカメラ81およびカメラ81と同軸に備えられた同軸照明82により構成されている。
【0031】
図3は、第1搬送部20の搬送経路を撮影部80側から見た図である。上述したように、2つのプリント媒体Sが並列して搬送される様子が表されている。本実施形態では、カメラ81は図中にハッチングで示している撮影領域Aを撮影可能となるように設置されている。すなわち、本実施形態ではカメラ81は、2つのプリント媒体Sの搬送方向に沿った端部(端辺)のうち、互いに対向する端部を撮影することができる。上述したように、2つのプリント媒体Sの間隔は一定となっているため、このように設置されたカメラ81はプリント媒体Sのサイズにかかわらず常に2つのプリント媒体Sの端部を撮影することができる。なお、本実施形態におけるプリンタPは上述のようなプリント媒体Sの並列搬送だけでなく、単列搬送も可能となっている。例えば、幅が広いプリント媒体SをマガジンMにセットした際には、そのプリント媒体Sは単列搬送される。その場合には、プリント媒体Sの端部は上述の撮影範囲Aを通過しない。そのため、撮影部80の位置を搬送後方に直交する方向に移動可能に支持することが望ましい。その際、プリント媒体Sの搬送形態に応じて、撮影部80を自動的に移動させる構成とすると好適である。
【0032】
〔プリント部〕
プリント部30には、搬送されてくるプリント媒体Sの上方にプリントヘッド31、プリント媒体Sの下方に吸着部32が備えられている。本実施形態におけるプリントヘッド31は、インクジェット型に構成されている。そのため、プリントヘッド31はインクを吐出する複数のインク吐出部31aを備えている。
【0033】
また、吸着部32は上面(プリント媒体S側)に複数の開口が設けられており、プリント媒体Sに対して負圧を生じさせるよう構成されている。プリント媒体Sは、この負圧により吸着部32上部に吸着されるため、安定したプリントを行うことができる。
【0034】
〔第2搬送部〕
プリント部30の下流には、プリント部30によりプリントされたプリント媒体Sを排出口4に搬送するための第2搬送部が設けられている。この第2搬送部も本発明の搬送装置の一部を構成している。
【0035】
第2搬送部はプリント媒体Sを水平方向に搬送する横搬送部40と、横搬送部40から搬送されるプリント媒体Sを上方(排出口4側)に搬送する縦搬送部60と、搬送方向を水平方向から垂直方向に転換する方向転換部50を備えている。
【0036】
〔横搬送部〕
横搬送部40には、プリントされたプリント媒体Sを水平方向に挟持搬送するための複数対の搬送ローラ41が備えられている。また、横搬送部40の搬送経路中にはプリントされたプリント媒体Sを所定のサイズに切断するカッター42が備えられている。カッター42は、プリント媒体Sを挟むように上刃42aと下刃42bとを備えており、上刃42aを上下動させることによりプリント媒体Sを切断する。
【0037】
〔方向転換部〕
方向転換部50は、横搬送部40により水平方向に搬送されたプリント媒体Sが縦搬送部60側に搬送されるように、プリント媒体Sの搬送方向を転換するものである。方向転換部50は、プリント媒体Sを案内するガイド部材51と、プリント媒体Sを挟持搬送する一対の挟持ローラ52とを備えている。ガイド部材51は1対のガイド板51aから構成されており、プリント媒体Sは1対のガイド部材51の間を案内される。案内されたプリント媒体Sは、ガイド部材51の挟持ローラ52により挟持される。なお、ガイド部材51および一対の挟持ローラ52は、下側の挟持ローラの回転軸52aを中心として揺動可能に支持されている。
【0038】
ガイド板51aには、横搬送部40から搬送されるプリント媒体Sの受け入れが容易となるように、横搬送部40側に広がる傾斜面51cが形成されている。この傾斜面51cにより、横搬送部40側に広がる開口部53が形成される。
【0039】
ガイド部材51は、横搬送部40から搬送されるプリント媒体Sを受け入れる際には、ガイド板51aが水平、すなわち、開口部53が横搬送部40側に開口するように、回転軸52a周りに揺動される制御が行われる。この状態で、横搬送部40の搬送ローラ41が駆動されると、プリント媒体Sはガイド板51a間の隙間に案内される。このとき、挟持ローラ52も搬送ローラ41と同方向(以下、正転方向と称する)に駆動される。
【0040】
図示しないセンサにより、プリント媒体Sの後端(搬送方向下流側の端部)が横搬送部40の最も下流側の搬送ローラ41を通過したことが検知されると、ガイド板51aが垂直、すなわち、開口部53が縦搬送部60側に開口するように、回転軸52a周りに揺動される。このとき、挟持ローラ52の上側のローラも揺動するため、この状態で挟持ローラ52は水平方向に並んだ状態となる。なお、揺動途中では、挟持ローラ52の回転は停止しており、プリント媒体Sの挟持状態を維持している。
【0041】
ガイド部材51および挟持ローラ52の揺動が完了すると、挟持ローラ52は正転方向と逆方向(以下、逆転方向と称する)に回転駆動される。これにより、挟持しているプリント媒体Sは縦搬送部60に受け渡される。
【0042】
〔縦搬送部〕
縦搬送部60は、プリント媒体Sを上方に挟持搬送するための複数対の搬送ローラ61、プリント媒体Sを排出口4側に案内するガイドローラ62、プリント媒体Sのカールを矯正するデカールローラ63を備えている。
【0043】
上述したように方向転換部50により搬送方向の転換が行われるため、プリント媒体Sが縦搬送部60によって搬送される際には、プリントされた面が筐体1の背面側に向いた状態となっている。そのため、縦搬送部60の搬送経路背面側にはプリント媒体Sを乾燥させる乾燥部70が備えられている。乾燥部70の筐体71の内部にはファン72が備えられている。ファン72が発生した風は筐体71の開口部71aを介してプリント媒体Sのプリント面に到達する。この風により、プリント媒体Sのプリント面の乾燥が行われる。
【0044】
搬送ローラ61により上方に搬送されたプリント媒体Sは、ガイドローラ62によって搬送方向が水平となるように案内され、デカールローラ63に到達する。
【0045】
デカールローラ63は、2つの下側ローラ63aと1つの上側ローラ63bとにより構成されている。通常状態では、上側ローラ63bは搬送方向下流側の下側ローラ63aの上部に位置している(図2の実線)。一方、プリント媒体Sのカールを矯正する際には、上側ローラ63bは下側ローラ63aの間に位置するように制御が行われる(図2の点線)。プリント媒体Sは元々ロール状であるため、巻き癖を有しており、インクを吹き付けることよって、その巻き癖が顕著に現れる傾向がある。特に画像プリントではプリント媒体Sの前面にインクが吹き付けられるため、カールは顕著となる。そのため、デカールローラ63に到達した状態では、プリント媒体Sは上に凸となるようにカールしている。したがって、上述のように上側ローラ63bを制御することにより、プリント媒体Sのカールを矯正する方向への力を作用させることができる。
【0046】
このようにして搬送されたプリント媒体Sは、排出口4から排出されて搬送装置2の搬送ベルト2b上に載置され、搬送ベルト2bを駆動することにより集積板3b上に集積される。
【0047】
〔制御部〕
筐体1の内部には、制御部Cが備えられている。制御部Cは、各種ローラの駆動やプリントの実行、搬送ベルト2bの駆動等、プリンタP全体の動作制御を行う機能を有している。また、図4に示すように本実施形態における制御部Cには、撮影部80により撮影された画像に基づいてプリント媒体Sの毛羽立ち情報を生成する毛羽立ち情報生成部91、毛羽立ち情報に基づいて紙粉蓄積量を予測する紙粉蓄積量推定部92、紙粉蓄積量に基づいて紙粉の清掃時期を決定する清掃時期決定部93を備えている。
【0048】
本実施形態では、制御部CはCPUを中核として構成されており、毛羽立ち情報生成部91、紙粉蓄積量推定部92、清掃時期決定部93はソフトウェアにより構成されているが、ハードウェアにより構成しても構わない。またはハードウェアとソフトウェアとが協働する構成としても構わない。
【0049】
毛羽立ち情報取得部としての毛羽立ち情報生成部91は、所定のタイミング(詳細は後述)で撮影部80により撮影されたプリント媒体Sの端部の画像に基づいてプリント媒体Sの端部の毛羽立ち状態を表す毛羽立ち情報を生成する。本実施形態では、毛羽立ち情報は毛羽立ち状態を表す数値(以下、毛羽立ちランクと称する)を用いている。なお、毛羽立ちランクを表す数値は、特開2001−228142号公報に開示されている方法や撮影部80により撮影された画像に対してSobelオペレータやPrewittオペレータ等のエッジ検出オペレータを作用させることによりエッジ画像を生成し、そのエッジ画像におけるプリント媒体Sの端部の画素値やエッジの鮮鋭度等に基づいて決定することができる。毛羽立ち情報生成部91により生成された毛羽立ち情報は紙粉蓄積量推定部92に送られる。
【0050】
紙粉蓄積量推定部92は、少なくとも毛羽立ち情報に基づいて、現在の紙粉の蓄積量の決定や将来の紙粉の蓄積量を予測する。本実施形態では、紙粉蓄積量推定部92は毛羽立ちランクとプリント媒体Sの単位長さあたりの紙粉発生量(以下、単位紙粉発生量と称する)とを関連付けたテーブル(以下、紙粉量テーブル92aと称する)を備えている。なお、この単位紙粉発生量はテストを通じて経験的に決定される値である。
【0051】
紙粉蓄積量推定部92は、毛羽立ち情報生成部91により生成された毛羽立ち情報、すなわち、毛羽立ちランクに基づいて紙粉量テーブル92aからプリント媒体Sの単位紙粉発生量を取得し、その単位紙粉発生量に搬送されたプリント媒体Sの長さを乗じることにより紙粉蓄積量を予測している。予測された紙粉蓄積量は、清掃時期決定部93に送られる。
【0052】
清掃時期決定部93は、紙粉蓄積量推定部92により予測された紙粉蓄積量に基づいて紙粉の清掃時期を決定する。
【0053】
以下に、清掃時期の決定処理の実施例を示す。
【実施例1】
【0054】
本実施例では、マガジンMが交換され、そのマガジンMに収容されているプリント媒体Sが撮影部80の撮影領域Aに達した際に撮影が行われ、撮影された画像に基づいて毛羽立ち情報が生成される。以下に、図5のフローチャートを用いて本実施例における処理の流れを説明する。
【0055】
制御部Cはプリント媒体Sの搬送状態を監視している(#01)。プリント媒体Sの搬送状態の監視はセンサ等を用いることで実現することができる。
【0056】
プリント媒体Sの搬送が行われていない状態では(#01のNo分岐)、制御部CはマガジンMの交換を監視している(#02)。上述したように、マガジンMの収容状態を検知するセンサ14から出力信号は制御部Cに入力されているため、センサ14からの出力信号に基づけばマガジンMの交換を判定することができる。具体的には、制御部Cはセンサ14の出力信号がLow信号からHigh信号に切換ったことを検知すると、マガジンMが装着または交換されたと判定する。
【0057】
マガジンMが交換されると(#02のYes分岐)、撮影部80によりプリント媒体Sの端部を撮影するために、制御部Cはプリント媒体Sが撮影部80の撮影領域Aに達したか否かを監視する(#03)。この監視は、撮影部80からの画像信号に基づいて実現することができる。また、センサを用いても実現することができる。
【0058】
プリント媒体Sが撮影領域Aに達すると(#03のYes分岐)、毛羽立ち情報生成部91は撮影部80により撮影された画像を取得し(#04)、取得した画像に基づいてプリント媒体Sの毛羽立ちランクを決定し、その毛羽立ちランクからなる毛羽立ち情報を生成する(#05)。毛羽立ち情報生成部91により生成された毛羽立ち情報は紙粉蓄積量推定部92に送られる。なお、上述したように、本実施形態では2つのプリント媒体Sを並列して搬送することが可能であるため、2つのプリント媒体Sが搬送されている場合には、毛羽立ち情報には各々のプリント媒体Sの毛羽立ちランク、すなわち、2つの毛羽立ちランクが含められる。
【0059】
毛羽立ち情報を取得した紙粉蓄積量推定部92は、紙粉量テーブル92aに基づいて、毛羽立ち情報に含まれる毛羽立ちランクに対応する単位紙粉発生量を取得する(#06)。取得された単位紙粉発生量は、後述するように紙粉蓄積量を推定する際に用いられる。
【0060】
一方、プリント媒体Sが搬送されたことが検出されると(#01のYes分岐)、制御部Cは搬送されたプリント媒体Sの長さ(搬送長さ)を取得する(#07)。上述したように、制御部CにはマガジンMに収容されているプリント媒体Sの残量が入力されているため、制御部Cは搬送前後における残量の差を求めればプリント媒体Sの搬送長さを求めることができる。取得されたプリント媒体Sの搬送長さは、紙粉蓄積量推定部92に送られる。
【0061】
紙粉蓄積量推定部92は、#06で取得した単位紙粉発生量と制御部Cから取得したプリント媒体Sの搬送長さとを乗じることにより、現在の搬送による紙粉の発生量を推定し(#08)、推定された紙粉の発生量を積算することにより紙粉蓄積量を算出する(#09)。算出された紙粉蓄積量は清掃時期決定部93に送られる。
【0062】
紙粉蓄積量を取得した清掃時期決定部93は、所定の閾値と紙粉蓄積量とを比較し(#10)、紙粉蓄積量が閾値よりも大きければ(#10のYes分岐)、紙粉の清掃が必要な時期に達したと判断してオペレータに清掃を促す通知を行う。なお、この通知は音声であっても構わないし、プリンタPに接続されている端末(図示せず)のモニタに表示しても構わない。
【0063】
このように、本実施例では、マガジンが交換されたタイミングでそのマガジンに収容されているプリント媒体Sの端部を撮影し、撮影された画像に基づいて紙粉の発生量の予測に使用する単位紙粉発生量を切り換えている。これより、使用されるプリント媒体に合った紙粉発生量を用いた的確な紙粉蓄積量の算出ができる。また、紙粉発生量の取得を必要最小限に抑えているため、プリンタPの稼動効率を低下させることもない。
【実施例2】
【0064】
本実施例は、プリントに使用されるプリント媒体Sが切り換えられた際に、紙粉の発生量の予測に使用する単位紙粉発生量を切り換えるものである。上述したように、本実施形態におけるプリンタPには2つのマガジンMが収容されている。このようなプリンタPでは、各々のマガジンMに異なるサイズのプリント媒体Sを収容しておき、プリントサイズに応じて使用するプリント媒体Sを切り換えたり、いずれのマガジンMにも同じサイズのプリント媒体Sを収容しておき、適宜使用するプリント媒体Sを切り換えたりしている。そのため、使用するプリント媒体Sが切り換えられた際には、紙粉の発生量の予測に使用する単位紙粉発生量を切り換える必要がある。
【0065】
以下に、図6のフローチャートを用いて本実施例の処理の流れを説明する。なお、マガジンMにプリント媒体Sが収容された際には図5の#01から#06の処理により、紙粉蓄積量推定部92には、各々のマガジンMに収容されているプリント媒体Sの単位紙粉発生量が一時的に記憶されている(#21)。具体的には、各マガジンMを識別する識別子とそのマガジンMに収容されているプリント媒体Sの単位紙粉発生量とが関連付けられて記憶されている。
【0066】
プリントに使用するプリント媒体Sの切り換えは制御部Cにより行われる。例えば、上側のマガジンMに収容されているプリント媒体Sに代えて下側のマガジンMに収容されているプリント媒体Sを使用する場合には、制御部Cはプリント媒体Sが上側のマガジンMに巻き戻されるように各種ローラ等を制御する。その後、下側のマガジンMに収容されているプリント媒体Sをプリント部30に搬送する。このように、プリント媒体Sの切換が行われると(#22のYes分岐)、制御部Cは紙粉蓄積量推定部92に対して、プリントに用いるプリント媒体Sを下側のマガジンMに収容されているプリント媒体Sに切り換えた旨を通知する。
【0067】
制御部Cからの通知を受けた紙粉蓄積量推定部92は、切り換えられたプリント媒体Sの単位紙粉発生量を紙粉発生量の推定に用いるように切り換える(#23)。上述の例では、上側のマガジンMに収容されているプリント媒体Sの単位紙粉発生量に代えて下側のマガジンMに収容されているプリント媒体Sの単位紙粉発生量を用いるように切り換える。
【0068】
以降は図5の#07から#11と同様の処理により、紙粉蓄積量が算出され、清掃時期が決定される(#24)。
【0069】
このように、本実施例ではプリントに使用されるプリント媒体Sが切り換えられても、実際にプリントに使用されるプリント媒体の紙粉の発生特性に基づいて清掃時期を決定することができる。
【実施例3】
【0070】
本実施例は、オーダ情報に基づいて紙粉蓄積量を算出するものである。オーダ情報とは、プリント注文の内容を示す情報であり、本実施例では少なくともプリントサイズとプリントサイズ毎のプリント枚数とが含まれている。このオーダ情報は図示しない受付装置により取得され、プリンタPに送信される。そのため、本実施例では図7に示すように、制御部Cに受付装置からオーダ情報を取得するオーダ情報取得部94が備えられている。なお、他の機能部は上述の実施例と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0071】
以下に、図8のフローチャートを用いて本実施例の処理の流れを説明する。なお、本実施例でも実施例2と同様に、プリントに使用されるプリント媒体Sが切り換えられるものとする。また、マガジンMにプリント媒体Sが収容された際には図5の#01から#06の処理により、紙粉蓄積量推定部92には各々のマガジンMに収容されているプリント媒体Sの単位紙粉発生量が一時的に記憶される(#31)。
【0072】
受付装置においてオーダ情報が入力されると、そのオーダ情報はオーダ情報取得部94に送信される(#32)。オーダ情報を取得したオーダ情報取得部94は、オーダ情報に基づいてそのオーダを処理するために必要なプリント媒体Sの長さを算出する(#33)。
【0073】
上述したように、オーダ情報にはプリントサイズとプリントサイズ毎のプリント枚数とが含まれている。本実施形態におけるプリンタPは、ロール状のプリント媒体Sを切断することにより適切なプリントサイズを得ている。したがって、プリント媒体Sの使用長さは、プリントサイズの搬送方向側の長さとプリント枚数の積により近似することができる。また、制御部Cは、各マガジンMに収容されているプリント媒体Sのサイズとプリントサイズとに基づいて、いずれのマガジンMに収容されているプリント媒体Sを使用するかを決定している。そのため、オーダ情報に基づけば各々のプリント媒体Sの使用長さを算出することができる。このようにして算出された各プリント媒体Sの使用長さは紙粉蓄積量推定部92に送られる。
【0074】
各プリント媒体Sの使用長さを取得した紙粉蓄積量推定部92は、プリント媒体S毎に、プリント媒体の単位紙粉発生量と使用長さとを乗じて紙粉発生量を算出し、現在までの紙粉蓄積量に加算することにより紙粉蓄積量を算出する(#34)。算出された紙粉蓄積量は清掃時期決定部93に送られ、清掃時期が決定される(#34)。
【0075】
なお、本実施例の#33および#34の処理は、プリントの実行前後のいずれに行っても構わないが、プリントの実行前に行うことが望ましい。プリント実行前に行えば、このオーダのプリントが終了した時点での紙粉蓄積量を推定することとなる。したがって、推定した紙粉蓄積量に基づいて清掃が必要であるか否かを判定し、プリントの実行前に清掃を行っておけば、このオーダのプリントを行っている途中に紙粉蓄積量が所定量以上となり、プリントに悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【0076】
このように、本実施例ではオーダ情報に基づいてプリント媒体Sの使用長さを決定し、その使用長さに基づいて紙粉発生量を算出しているため、プリント媒体Sの搬送長さを計測する必要がない。
【実施例4】
【0077】
本実施例は、プリンタPのプリント履歴に基づいて紙粉蓄積量を予測し、その予測に基づいて清掃時期を予測するものである。そのため、図9に示すように、本実施例の制御部Cは実施例3の機能部に加えてオーダ情報の統計値を算出する統計値算出部95を備えている。なお、本実施例の処理は清掃時期を予測するものであるため、処理タイミングは特に限定されない。
【0078】
統計値算出部95は、このプリンタPが処理するオーダ情報の統計値を算出する。本実施例では、統計値としてプリントサイズ毎の曜日あたりのプリント枚数を用いる。当然ながら、統計値はこれに限定されるものではなく、目的に応じて他の統計値を適宜使用可能である。
【0079】
以下に、図10のフローチャートを用いて本実施例の処理の流れを説明する。なお、本実施例の処理に先立って、紙粉蓄積量推定部92には各々のマガジンMに収容されているプリント媒体Sの単位紙粉発生量が一時的に記憶されている。
【0080】
オーダ情報取得部94は、オーダ情報を取得すると統計値算出部95にオーダ情報を送信する(#41)。オーダ情報を取得した統計値算出部95は、オーダ情報の統計値を更新する(#42)。統計値、すなわち、曜日あたりのプリントサイズ毎のプリント枚数を更新した統計値算出部95は、その統計値を紙粉蓄積量推定部92に送信する。
【0081】
更新された統計値を取得した紙粉蓄積量推定部92は、その統計値を用いて紙粉蓄積量の再推定を行う(#43)。本実施例における紙粉蓄積量は現在以降の各日の紙粉蓄積量の推定を行う。具体的には、統計値を用いて実施例3と同様の方法により現在以降の各日の紙粉発生量を算出し、その紙粉発生量を累積加算することにより各日の紙粉蓄積量を推定する。このように推定された各日の紙粉蓄積量は清掃時期決定部93に送られる。なお、紙粉蓄積量を推定する日数は、1週間や1ヶ月等適宜設定可能である。
【0082】
上述のように求められた各日の紙粉蓄積量を取得した清掃時期決定部93は、紙粉蓄積量が所定の閾値を超える日を特定する(#44)。もし、紙粉蓄積量を推定した日数内にその紙粉蓄積量が所定の閾値を超える日があれば(#44のYes分岐)、その日の前日を清掃時期として決定する(#45)。このように決定された清掃時期は、プリンタPに接続されている端末(図示せず)のモニタに表示される。
【0083】
一方、紙粉蓄積量を推定した日数内にその紙粉蓄積量が所定の閾値を超える日がなければ(#44のNo分岐)、清掃時期は未定とされる(#46)。
【0084】
なお、オペレータには清掃時期だけでなく、各日の紙粉蓄積量を併せて表示しても構わない。
【0085】
また、上述の説明ではオーダ情報の取得と清掃時期の決定とを一連の処理として説明したが、オーダ情報の取得から統計値の計算までの処理(#41〜#42)と、紙粉蓄積量の再推定から清掃時期の決定までの処理(#43〜#46)とは独立した処理として構わない。この場合には、清掃時期の決定処理は所定のタイミングもしくはオペレータからの要求により実行される。
【0086】
このように、本実施例ではオーダ情報の統計値に基づいて将来の清掃時期を予測することができる。この清掃時期を用いれば、プリンタPの稼動計画の策定等に有用である。
【0087】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態ではロール状のプリント媒体Sを用いたが、プリント媒体Sは所定のサイズに裁断されたカットシートでも構わない。
【0088】
(2)上述の実施形態では、撮影部80は第1搬送部20の搬送経路上のプリント部30の直前に配置したが、撮影部80は他の位置に配置しても構わない。例えば、マガジンMの内部や第1搬送部20のマガジンM寄りの搬送経路上、第2搬送部に配置しても構わない。さらにはプリンタPの外部に設けておき、オペレータがプリント媒体Sをセットする際にプリント媒体Sの端部を撮影するようにしても構わない。
【0089】
(3)上述の実施形態では、撮影部80はプリント媒体Sの搬送方向に沿う側の端部を撮影するように構成したが、搬送方向下流側の端部を撮影するよう構成しても構わない。この場合には、撮影部80はカッター42の下流に配置することが望ましい。
【0090】
(4)上述の実施形態では、毛羽立ち情報はプリント媒体Sの端部を撮影した画像に基づいて決定したが、他の方法により毛羽立ち情報を取得する構成としても構わない。例えば、オペレータが毛羽立ち情報としての毛羽立ちランクを入力する、オペレータがプリント媒体Sの製造番号等を入力またはマガジンに備えられたバーコードリーダ等がプリント媒体Sに付された製造番号等を表すバーコードを読取ると、インターネット等のネットワークを介してメーカのサイトからそのプリント媒体Sの毛羽立ちランクを取得する等の構成としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、紙媒体を搬送する搬送装置を備えたプリンタ等に利用することができる。
【符号の説明】
【0092】
C:制御部
M:マガジン
P:プリンタ
S:プリント媒体(紙媒体)
20:第1搬送部(搬送装置)
80:撮影部
91:毛羽立ち情報生成部
92:紙粉蓄積量推定部
93:清掃時期決定部
94:オーダ情報取得部
95:統計値算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙媒体を搬送する搬送装置であって、
前記紙媒体の毛羽立ち状態を表す毛羽立ち情報を取得する毛羽立ち情報取得部と、
前記毛羽立ち情報に基づいて紙粉の発生量を推定し、当該推定した発生量を積算することにより紙粉蓄積量を算出する紙粉蓄積量推定部と、
前記紙粉蓄積量に基づいて前記紙粉の清掃時期を決定する清掃時期決定部と、を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記紙媒体の端部を撮影する撮影部を備え、
前記毛羽立ち情報取得部は、前記撮影部により撮影された画像に基づいて前記毛羽立ち情報を生成することを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の搬送装置を備えたプリンタであって、
プリント媒体としての前記紙媒体を収容するマガジンを備え、
前記毛羽立ち情報取得部は、前記マガジンが交換された際に前記毛羽立ち情報を取得することを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
前記マガジンを複数備え、または、前記マガジンは複数種類の前記紙媒体を収容可能に構成され、
プリントに用いられる前記プリント媒体が変更された際に、前記紙粉蓄積量推定部は紙粉蓄積量の算出に当該プリント媒体の毛羽立ち情報を用いるように変更することを特徴とする請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
プリントサイズおよびプリント枚数を含むオーダ情報を取得するオーダ情報取得部を備え、
前記紙粉蓄積量推定部は、前記毛羽立ち情報と前記オーダ情報とに基づいて前記紙粉蓄積量を算出することを特徴とする請求項4記載のプリンタ。
【請求項6】
プリントサイズおよびプリント枚数を含むオーダ情報を取得するオーダ情報取得部と、
前記オーダ情報の統計値を算出する統計値算出部と、を備え、
前記紙粉蓄積量推定部は、前記毛羽立ち情報と前記統計値とに基づいて前記紙粉蓄積量を算出することを特徴とする請求項4記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−195315(P2011−195315A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66529(P2010−66529)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(311001347)NKワークス株式会社 (96)
【Fターム(参考)】