説明

搬送装置におけるインデックス機構

【課題】 重量の大きな搬送物を回動させつつ搬送する場合において、比較的短い時間で搬送物の回転方向の揺れを停止し、これと同時に位置決め状態を継続させるための保持力を維持し得るインデックス機構を提供する。
【解決手段】 支柱回転部4に鍔状に設けられ、支柱回転部の軸線回りに回動するインデックスガイド部6と、このインデックスガイド部の周縁に適宜間隔で切り欠いて構成されたストッパ用溝部62と、支柱基部3に支持されるとともにインデックスガイド部の周縁に向かって付勢されてなるストッパ8とを備える。ストッパ先端には、回転自在なローラ当接部82が設けられ、ストッパ用溝部は、ローラ当接部が係入するとき、ローラ当接部の周縁を二個所で当接する溝状に形成されたストッパ用溝部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される搬送物を所定方向に位置決めするための機構(いわゆるインデックス機構)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、工業製品の部品または半製品等は、塗装マシーンまたは塗装ロボットによってスプレー塗装されるが、この種の塗装工程においては、塗装対象である部品等(以下、塗装対象物という)を一定の速度で移動させる必要があり、そのためにオーバーヘッドコンベアなどの搬送装置が使用されていた。また、この搬送装置によって塗装対象物を移動させる場合には、塗装面に均等な塗料を吹き付ける目的でハンガを回転させる構成としていた(特許文献1参照)。
【0003】
ところが、搬送のための主要装置が、ワークを搭載すべきトローリの上方に設置されるため、ハンガを搬送させる際に微細な塵等がワークに落下する可能性を有していた。そのため、上記特許文献1においては、防塵傘を設けて落下する塵等のワークの付着を防止していた。しかし、防塵傘によっても塵等の落下を十分に防ぐことはできなかった。
【0004】
そこで、本出願人は、搬送物を上向きに立設した支柱の上端に支持しつつ自走し得る走行体による搬送装置を開発し(特許文献2参照)、さらに、この搬送装置における支柱を軸線回りに回動可能とした搬送装置をも開発し(特許文献3参照)、長距離区間における搬送の途中において、塗装ラインまたは乾燥ラインなどの所定区間における方向変換を可能にし、搬送物の向きを変化させることができるとともに、前後に整列する複数の搬送物の間隔(搬送ピッチ)を変化させることができる搬送装置を提供している。
【0005】
また、回転式基板の位置決め装置として、基板を水平に支持する基板支持台の外周に凹部を設け、この凹部に向かって直線的に進退するロッドの先端に係合体を設ける構成により、当該ロッドを前進させて係合体を基板支持台の凹部に係合させる位置決め装置があった(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2001−79464号公報(図1、図2)
【特許文献2】実登3086461号公報(図1)
【特許文献3】実登3090636号公報(図1、図3、図6、図7)
【特許文献4】特開2002−164415号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に示した搬送装置のインデックス機構(実登3090636号)は、支柱回動部に鍔状に設けられたインデックスガイド部に係入凹部を設け、当該インデックスガイド部の周縁にローラ部材を押圧する構成であり、上記係入凹部にローラ部材が係入することにより、インデックスガイド部の回動を停止させようとするものであった。しかしながら、比較的軽量の搬送物を積載し、これを回動しつつ搬送する場合には全く問題なく好適であるが、重量の大きな搬送物について同様に機構により回転を停止させるためには、ローラ部材の押圧を強力にしなければならず、一般的にバネなどの付勢を利用してローラ部材の押圧力を付与する場合、当該バネを強力にすることとなり、そのバネの付勢力を支持する部材の強度も増大させる必要があり、装置全体が大型化することとなっていた。
【0007】
また、搬送物の重量が大きくなれば、回動した支柱回動部には、回転方向の大きな慣性力が発生することとなり、上述のように強力なバネを使用した場合であっても、インデックスガイド部の回動の停止は可能であるが、インデックスガイド部が瞬時に停止するのではなく、搬送物を中心とする回転方向の揺れが収束するまで完全に停止するものではなかった。
【0008】
なお、上記の回転式基板の位置決め装置(特開2002−164415号)にあっては、基板支持台の凹部に係合体を係合させることにより、基板支持台の回転を確実に停止させることができるものの、基板支持台の凹部に係合体を係合させるためには、ロッドを進退させることが必要となり、当該ロッドを駆動させるための駆動手段および当該駆動手段の作動に一定の時間を要することとなるため、稼働中の搬送装置におけるインデックス機構として使用することは困難な構成であった。
【0009】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、重量の大きな搬送物を回動させつつ搬送する場合において、比較的短い時間で搬送物の回転方向の揺れを停止し、これと同時に位置決め状態を継続させるための保持力を維持し得るインデックス機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、搬送経路に沿って走行する走行体と、この走行体に固定的に支持された支柱基部と、この支柱基部の軸線方向に連続して設けられ、かつ、軸線回りの回動が許容される支柱回転部と、この支柱回転部の上端に設けられた搬送トレイとを備えた搬送装置において、上記支柱回転部に鍔状に設けられ、該支柱回転部の回動によって該支柱回転部の軸線回りに回動するインデックスガイド部と、このインデックスガイド部の周縁に適宜間隔で切り欠いて構成されたストッパ用溝部と、上記支柱基部に支持されるとともに上記インデックスガイド部の周縁に向かって付勢されてなるストッパとを備え、上記ストッパ先端には、回転自在なローラ当接部が設けられ、上記ストッパ用溝部は、上記ローラ当接部が係入するとき、該ローラ当接部の周縁を二個所で当接する溝状に形成されたストッパ用溝部であることを特徴とする搬送装置におけるインデックス機構を要旨とするものである。
【0011】
上記構成によれば、走行体に固定的に支持される支柱基部には、その軸線方向に連続する支柱回転部が軸線回りに回動が許容されており、この支柱回転部と一体的に鍔状に構成されるインデックスガイド部は、上記支柱回転部の回動に伴って、軸線回りに回動することとなる。他方、ストッパは、固定的に支持されている支柱基部に設けられており、支柱回転部およびインデックスガイド部の回動に伴って、インデックスガイド部との相対的な位置関係を変化させる構成となっている。しかも、このストッパの先端には、インデックスガイド部の周縁に対して付勢されるローラ当接部が設けられており、このローラ当接部がインデックスガイド部の周縁形状に沿って常に当接することができるようになっている。従って、インデックスガイド部が回動するとき、ストッパ先端のローラ当接部は、インデックスガイド部の周縁に沿って相対的な位置を変化させることとなり、このインデックスガイド部の周縁に設けられるストッパ用溝部にローラ当接部が到達するとき、ストッパ用溝部内にローラ当接部が係入することとなり、インデックスガイド部の回動を制限することとなるのである。このように、ローラ当接部がストッパ用溝部内に係入することにより、ストッパがインデックスガイド部を係止することとなり、これによってインデックス機能を発揮することとなるのである。
【0012】
上記発明において、前記ストッパ用溝部は、前記ローラ当接部の直径寸法よりも僅かに小さな幅寸法の溝状に形成されたストッパ用溝部とすることができる。このようなストッパ用溝部を構成することにより、ローラ当接部がストッパ用溝部に係入するとき、当該ローラ当接部の一部がストッパ用溝部内に没することとなり、しかも、ローラ当接部の二点がストッパ用溝部の開口部両端縁に当接することとなり、ローラ当接部がストッパ用溝部から離脱することを困難にすることとなるのである。
【0013】
また、上記発明において、前記ストッパ用溝部を除くインデックスガイド部の周縁に、該インデックスガイド部の中央を中心とする円弧状の端縁で構成された転動端縁部と、前記ストッパ用溝部の周辺において曲率を急激にしてなる弧状案内端縁部とを備え、前記ローラ当接部は、上記ストッパ用溝部に係入するとき、その両側に位置する上記弧状案内端縁部と該ストッパ用溝部との境界付近に当接してなるローラ当接部とする構成にすることができる。この場合、ローラ当接部は、インデックスガイド部の周縁を転動するに際し、円弧状の端縁に沿って移動する態様、弧状案内端縁部に沿って移動する態様およびストッパ用溝部に係入する態様に区別されることとなり、円弧状の端縁に沿ってローラ当接部が転動するときは、インデックスガイド部の回動は容易となり、ローラ当接部がストッパ用溝部に係入するまで回動が許容されることとなる。また、弧状案内端縁部にローラ当接部が到達すると、ローラ当接部をストッパ用溝部に案内することとなり、ローラ当接部によるストッパ用溝部の係止を容易にすることとなる。
【0014】
さらに、上記発明において、前記インデックスガイド部は、平面形状を略正方形とし、該正方形の四辺の中央に前記ストッパ用溝部を設け、該正方形の四つの頂角の両側を緩やかな曲線による案内端縁部を構成することができる。この場合、案内端縁部は、正方形の角を頂点として、その両側に配置されることとなるから、インデックスガイド部の周縁にローラ当接部が当接する状態において、ローラ当接部をストッパ用溝部に向かって常に案内することとなる。このときの案内は、インデックスガイド部を回転させるように作用するものであるが、この回転力は、ローラ当接部が案内端縁部を強力に付勢することによって発生するものであり、ローラ当接部の付勢力が案内端縁部の表面方向の分力が作用し、結果的にインデックスガイド部を回転させることとなるものである。
【0015】
また、上記発明において、前記ストッパ用溝部は、前記インデックスガイド部の周縁を四等分してなる間隔に設けられたストッパ用溝部であり、前記支柱回転部は、略十字状の作動アームを有する駆動力授与手段を備えた支柱回転部であり、上記支柱回転部が上記駆動力授与手段により強制的な回転力を受けたとき、一つのストッパ用溝部に既に係入しているローラ当接部の付勢に抗してインデックスガイド部を回転させ、該インデックスガイド部の周縁を経由して隣のストッパ用溝部にローラ当接部が係入することによって、90°を単位として上記支柱回転部を回転させる構成とすることができる。
【0016】
上記構成によれば、支柱回転部は、略十字状の作動アームのうち、所定の位置にある単一のアームを作動させることによって回転力を付与され、その回転力は、隣接する他のアームを所定の位置まで移動させることによって、上記回転を90°単位とすることができる。そして、インデックスガイド部の周縁を四等分した位置に設けられたストッパ用溝部にローラ当接部を係入させることにより、上記支柱回転部の90°を単位とする回転に応じて、支柱回転部の90°単位の回転を許容し、かつ、回転後の支柱回転部を停止させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、支柱基部に支持されるローラ当接部が、支柱回転部に設けられるインデックスガイド部のストッパ用溝部に係入することにより、インデックスガイド部を介して支柱回転部の回動を停止できるものであり、上記係入状態において、ローラ当接部はストッパ用溝部に向かって付勢され、当該ストッパ用溝部の開口部両端がローラ当接部の二個所に当接することから、開口部両端に付勢力の分力が作用し、インデックスガイド部に対して強力な回転力が付与されない限り、ローラ当接部の上記係入を解除することができず、即時にインデックスガイド部の回動を停止させることができる。その結果、支柱回転部に設けられる搬送トレイおよびこの搬送トレイに積載される搬送物の回動を停止することができるのである。
【0018】
そして、搬送物の重量が大きい場合には回転による慣性力が大きくなるが、ローラ当接部がストッパ用溝部に係入した状態において、当該ローラ当接部は強力に付勢されつつストッパ用溝部の開口部両端に当接することとなるから、相当程度の強力な慣性力が作用したとしてもインデックスガイド部の回動を停止することができるものである。
【0019】
さらに、上述のようにインデックスガイド部の回動を停止した状態、すなわち位置決め状態は、ローラ当接部とストッパ用溝部とによって安定的に維持されることから、搬送物またはインデックスガイド部に対して回転方向に多少の外力が作用する場合があっても(例えば、インデックスガイド部の回転中心とは異なる点に搬送物の重心が位置し、加速度による慣性力や傾斜する搬送経路における重力が作用する場合であっても)、位置決めのための保持力が維持されることとなる。
【0020】
また、インデックスガイド部の周縁に案内端縁部を構成する発明によれば、当該インデックスガイド部が回転して案内端縁部がローラ当接部に当接することによって、当該インデックスガイド部は、そのストッパ用溝部にローラ当接部を係入させるように案内されることとなり、仮に、搬送物の慣性力などによって、インデックスガイド部の回転が不十分な場合、または、回転力が強力となってストッパ用溝部にローラ当接部が確実に係入しなかった場合であっても、ローラ当接部をストッパ用溝部に案内するように、インデックスガイド部を回転させることとなるのである。
【0021】
さらに、インデックスガイド部の周縁を四等分してなる間隔にストッパ用溝部を設け、略十字状の作動アームを有する駆動力授与手段が設けられた発明によれば、作動アームの一本に駆動力が伝達されて90°相当の回転力がインデックスガイド部に作用するとき、既にローラ当接部が係入されているストッパ用溝部は、その係入を解除するとともに、隣接するストッパ用溝部がローラ当接部の係入を受け容れることとなり、90°ごとの間欠回転を可能にするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、図1においてその概略を示すように、搬送経路1に沿って自走する走行体2に設けられるインデックス機構である。走行体2は、支柱基部3および支柱回転部4で構成される支柱を備え、この支柱の上端に搬送トレイ5が支持されており、搬送物Wを積載しつつ搬送する構成になっている。
【0023】
上記走行体2に支持される支柱の構成は、図2においてその詳細を示すように、走行体2の本体部分によって固定的に支持される支柱基部3上端には、上向きに開口する円形凹部31を備えたブラケット32が連結されており、また、支柱回転部4の下端41は、上記円形凹部31に遊嵌できる断面円形の棒形状に構成されており、支柱回転部4の下端41が上記円形凹部31に遊嵌されることにより、当該支柱回転部4が支柱基部3の軸線方向に連続しつつ軸線回りに回動できるようになっている。また、上記支柱回転部4の下端付近にはインデックスガイド部6が、中間付近には駆動力授与手段7が、それぞれ設けられている。
【0024】
インデックスガイド部6は、支柱回転部4に対して鍔状に設けられ、支柱回転部4とともに回動する構成となっている。また、インデックスガイド部6の周縁61は、当該インデックスガイド部6の中央を中心とする円弧状となっており、全体形状を略円形板状に構成しており、かつ、この周縁61の所定個所を切り欠いてストッパ用溝部62を構成している。このストッパ用溝部62は、周縁61から中心に向かって凹状に形成された溝部であって、上記所定個所におけるインデックスガイド部6の径方向の仮想線を中心線Xとして、この中心線Xに平行な切り込み端縁を両側に有する形状に切り欠いて構成されている。なお、インデックスガイド部6の周縁61と上記切欠部分との境界には、周縁61の円弧よりも曲率を急激にしてなる案内部63が形成されている。
【0025】
駆動力授与手段7は、支柱回転部4から放射線状に突出する作動アーム71,72,73,74を有するものであり、上述の自走式走行体2が搬送経路1に沿って移動することに伴って、搬送経路1の周辺に予め設置された駆動力伝達機構によって駆動力が付与されるようになっている。なお、駆動力伝達機構は、固定式または移動式の双方を利用でき、固定式とは、搬送経路の途中において支柱回転部4から突出する上記作動アーム71〜74の位置を規制する規制レールを設け、走行体2が走行することに伴って、当該作動アーム71〜74の先端に設けられる当接部75,76,77,78が規制レールに沿って所定の位置に案内され、上記駆動力授与手段7の角度を変化させる形式であり、移動式とは、走行体2の走行途中または停止中に、上記作動アーム71〜74を把持しつつ所定角度まで回転させる形式をいうものであり、既に実登3090636号に開示されたものである。
【0026】
上記のような構成の支柱回転部4に対し、支柱基部3には、バネにより付勢されたストッパ8が設けられている。このストッパ8は、基端を回動自在に支持されてなる回動アーム81と、その先端に設けられたローラ当接部82と、基端に設けられたねじりコイルバネ83とで構成されている。回動アーム81の基端84は、支柱基部3に連結される上述のブラケット32から突出しつつ一体的に構成された支持部33の先端34によって支持されるものであり、支持部33の先端34には回動軸35が立設され、回動アーム81の基端84に設けられる円形の貫通孔に上記回動軸35を挿通することにより回動を自在にしている。
【0027】
ねじりコイルバネ83は、上記回動軸35にコイル部分を挿通することにより装着され、バネ構成部材の両端は、一方が支持部33に、他方が回動アーム81に支持されている。支持部33および回動アーム81の上面には、バネ支持部36,86が上向きに立設されており、上記バネ構成部材の両端を掛止している。上記ねじりコイルバネ83は、バネ構成部材両端を接近させる方向に付勢するものであり、従って、固定的に設けられる支持部33のバネ支持部36に対して、回動アーム81のバネ支持部86を引き寄せる方向に付勢し、当該回動アーム81の回動方向すなわちローラ当接部82をインデックスガイド部6の周縁61に向かう付勢を可能にしている。
【0028】
上記構成により、ローラ当接部82は、インデックスガイド部6の周縁61に向かって付勢されつつ当接することとなり、インデックスガイド部6が回転するとき、その周縁61の表面上を転動し、当該周縁61の凹凸に応じて回動アーム81を回動させることとなる。従って、ローラ当接部82は、ストッパ用溝部62が設けられている個所においてもそれ以外の周縁61においても、常にバネ83による付勢が作用しており、ストッパ用溝部62が設けられている位置においては、当該ストッパ用溝部62に許容される範囲において、インデックスガイド部6の中心に向かって適宜押圧力を保持しつつ係入されることとなる。そして、ローラ当接部82がストッパ用溝部62から脱するためには、当該ローラ当接部82に対し、バネ83による付勢に抗して回動アーム81を回動し得る程度の外力が付与されなければならないこととなる。
【0029】
その結果、インデックスガイド部6に対して強制的に回転させるべき相当程度の外力が作用し、その外力の径方向外向きの分力がローラ当接部82に対して作用するときには、バネ83の付勢に抗してローラ当接部82を径方向外向きに移動させることとなるが、その程度に満たない外力が作用する場合には、ローラ当接部82はストッパ用溝部62に係入した状態を維持し、インデックスガイド部6の回動を停止状態とすることができるのである。
【0030】
ここで、図3に示すように、上記ストッパ用溝部62は、平行な両側端縁65,66によって均等な幅寸法で構成されているが、この幅寸法は上記ローラ当接部82の直径よりも僅かに小さくしている。その第一の理由として、ストッパ用溝部62の幅寸法がローラ当接部82の直径よりも大きい場合には、ローラ当接部82がストッパ用溝部62に係入するとき、付与される付勢に従ってストッパ用溝部62の底部まで侵入することとなり、その後のインデックスガイド部6の回動が不可能となるからである。また、第二の理由として、ストッパ用溝部62の幅寸法がローラ当接部82の直径よりも遙かに小さい場合には、転動または摺動によってインデックスガイド部6の周縁61を移動するローラ当接部82が、ストッパ用溝部62を超えて移動することが可能となるからである。従って、ローラ当接部82が十分に係入できる程度の幅寸法であると同時に、再び周縁を移動できる程度の係入状態とするために、ストッパ用溝部62の幅寸法は、ローラ当接部62の直径よりも僅かに小さくなるように構成しているのである。
【0031】
なお、ストッパ用溝部の幅寸法に関する目安を具体的に示せば、ローラ当接部82の直径に対して、82.73%〜86.6%とすることが好適であるが、この範囲に限定されるものではない。また、ストッパ用溝部62の深さ寸法は、ローラ当接部82が当該ストッパ用溝部62に係入した状態において、ローラ当接部82の周縁が到達しない程度に調整されている。
【0032】
次に、本実施形態の作動態様について説明する。なお、上述のように、ローラ当接部82は、インデックスガイド部6の周縁61に常に当接する構成であるから、ローラ当接部82およびインデックスガイド部6を中心に説明する。ローラ当接部82がインデックスガイド部6の円弧状周縁部分64に当接する場合は、図4(a)に示すように、インデックスガイド部6の回転は円滑に行われ、ローラ当接部82は当該円弧状周縁部分64の表面を転動しつつその当接個所を移動する。
【0033】
インデックスガイド部6がさらに回転し、ローラ当接部82がストッパ用溝部62の近傍に到達したとき、図4(b)に示すように、ローラ当接部82は案内部63によってストッパ用溝部62に案内されることとなる。この案内部63は、ローラ当接部82の係入方向を案内するものであるが、ローラ当接部82は、回動アーム81の回動に伴う移動が許容されるのみであることから、案内部63による実質的な案内は、インデックスガイド部6に対するものとなる。すなわち、ストッパ用溝部62をローラ当接部82が係入できる状態となるように、インデックスガイド部6の回転を案内するのである。
【0034】
上記のようにして案内されたインデックスガイド部6は、図4(c)に示すように、そのストッパ用溝部62にローラ当接部82の係入を許容し、このローラ当接部82による係入によってインデックスガイド部6の回転は制限されることとなる。ここで、ストッパ用溝部62には、上述のような溝状に形成されていることから、その両側端縁65,66と案内部63との境界付近二個所が、ローラ当接部82の周縁の二個所に当接することとなるのである。このとき、ローラ当接部82に対する付勢は、インデックスガイド部6の中心に向かって作用するものであるが、ローラ当接部82の二個所が当接することとなるため、その当接個所における分力が中心方向に対する所定角度で作用することとなり、ローラ当接部82がストッパ用溝部62からの離脱を困難にすることとなる。この状態で、インデックスガイド部6の回動は停止され、当該インデックスガイド部6が支持される支柱回転部4および搬送トレイ5を介して搬送物Wの回転が停止され、当該搬送物Wを所定の向きに合致させるインデックスが完了するのである。
【0035】
なお、上記のようにローラ当接部82がストッパ用溝部62に係入した状態において、インデックスガイド部6の回転に慣性力が作用し、その慣性力が大きく、上記係入状態から離脱させようとする場合においても、ローラ当接部82が既に通過した案内部63に対向する位置に設けられている他方の案内部63に当接する限りにおいて、インデックスガイド部6は、当該案内部63によって案内されて、反転することとなり、結果的にストッパ用溝部62にローラ当接部82を係入させることとなるのである。このような反転は、インデックスガイド部6に対する強制的な回転力(作動アーム71〜74に対する強制的な回転力が支柱回転部4を介して伝達される回転力)が作用していない状態だからであり、インデックスガイド部6に対する強制的な回転力が作用するときは、後述のように、ローラ当接部82はストッパ用溝部62から離脱して円弧状周縁部64に当接することとなるのである。
【0036】
上記のように回転が停止している状態のインデックスガイド部6をさらに回転させる場合は、上述の駆動力授与手段7の作動アーム71〜74に対して所定方向に回転力を付与することにより、図4(d)に示すように、ローラ当接部82をストッパ用溝部62から離脱させるのである。このとき、ローラ当接部82がストッパ用溝部62に係入している状態では、当該ローラ当接部82に作用する付勢力の分力がストッパ用溝部62の側端縁66と案内部63との境界付近に作用していることから、これを超える周方向の回転力がインデックスガイド部6に作用しなければならないこととなる。そして、上記作動アーム71〜74に対する回転力が十分であるとき、ローラ当接部82が当接位置を案内部63へと移動し、さらに、案内部63から円弧状周縁部分64へと移動することとなるのである。このように、ローラ当接部82が円弧状周縁部分64に当接することにより、インデックスガイド部6の回転は円滑となり、ローラ当接部82は、その当接位置を順次移動させながら次のストッパ用溝部62に対する係入を可能にするものである。
【0037】
上記の作動が繰り返されることにより、インデックスガイド部6のストッパ用溝部62にローラ当接部82が係入するごとに搬送物Wがインデックスされるものである。そして、上述したように、ストッパ用溝部62に係入したローラ当接部82は、当該ストッパ用溝部62から離脱することが困難であることから、比較的重量の大きな搬送物Wを搬送しつつインデックスする場合においても、その回転に伴う慣性力によって誤操作することを回避できることとなるのである。
【0038】
次に、他の実施の形態について説明する。本実施形態は、図5(a)に示すように、上記インデックスガイド部6の周縁61に設けられている円弧状周縁部分64を変形したものであり、当該円弧状周縁部分64について、隣り合う二つのストッパ用溝部62の中間に位置する連続した円弧状周縁部分64を、そのほぼ中央をインデックスガイド部6の中心から最も遠くし、ストッパ用溝部62に向かって徐々にインデックスガイド部6の中心に接近させるように形成したものである。この種の形状は、ストッパ用溝部62を等間隔に四つ設ける場合には、インデックスガイド部6の全体形状を略正方形とし、その四辺の中央にストッパ用溝部62を構成した形状ということができる。この正方形状のインデックスガイド部6の四つの頂点は、それぞれローラ当接部82が容易に転動できるように円滑な弧状に形成するとともに、当該頂点からストッパ用溝部62に至る周縁部分64a,64bについても緩やかな曲線に形成することができる。
【0039】
上記のような構成にすれば、頂点両側の周縁部分64a,64bは、ストッパ用溝部62の両側に設けられる案内部63の延長部分としての機能を有することとなるのである。すなわち、図5(b)に示すように、周縁部分64a,64bのいずれかの位置にローラ当接部82が当接するとき、当該ローラ当接部82には常に付勢力が作用していることから、上記周縁部分64a,64bの傾斜に沿った上記付勢力の分力が作用することとなり、この分力は小さながらもインデックスガイド部6を回転させる方向に作用することとなるため、当該インデックスガイド部6に対する外力(作動アーム71〜74(図1)に対する外力)が作用しない状態(つまり回動自在な状態)では、上記分力によってインデックスガイド部6が徐々に回転されることとなり、最終的には、ローラ当接部82がストッパ用溝部62に係入するまで回転されることとなるのである。
【0040】
従って、インデックスガイド部6が、何らかの原因で予定した回転をしなかった場合、または、回転すべきでない通常搬送状態時に振動などによってローラ当接部82がストッパ用溝部62から離脱した場合においても、再び所定のストッパ用溝部62にローラ当接部82を係入することが可能となる。なお、正常運転時においては、上記のような事態は発生し難いものであるが、安定的な運転を継続させるための予備的な構成として、予めインデックスガイド部6を上記形状とすることができるのである。
【0041】
次に、上記各実施形態における変形例について説明する。ここで説明する変形例とは、ローラ当接部82をインデックスガイド部6に対して付勢するための構成を変形してなるものである。図6に示すように、ローラ当接部182は、略L字形の揺動アーム181の揺動端に支持されており、この揺動アーム181は、その折曲部187においてブラケット132に突設される支持部133の先端に揺動自在に軸支されている。また、揺動アーム181の基端188は、ブラケット132に設けられた突出片189との間にリンク190を介在させつつ連結されており、このリンクには圧縮バネ183が装着されている。
【0042】
従って、上記のような構成により、圧縮バネ183がリンク190を介して、揺動アーム181の基端188を圧縮し、この圧縮力が揺動アーム181の揺動方向を一定方向に付勢することとなり、揺動端のローラ当接部182をインデックスガイド部106の周縁161に対して付勢することとなるのである。この種の構成は、強力な圧縮バネ183を使用することができるので、ローラ当接部182の付勢を強力にする場合に好適である。なお、上述の実施形態において説明したとおり、ローラ当接部182は、インデックスガイド部106のストッパ用溝部162に係入するとき、当該ストッパ用溝部の開口部付近により、二個所で当接されることとなるため、極端に強力な圧縮バネ183でなくともインデックスを実現し得るものである。
【0043】
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様をとることができる。例えば、上記実施形態の説明において参照した図面は、いずれもストッパ用溝部62がインデックスガイド部6の全周を四等分した位置に設けた形態を示しているが、これは、搬送物Wを90°単位で間欠的に回転させるためのインデックス機構を示すものだからである。そこで、例えば、120°単位で間欠的に回転させる構成とする場合には三等分し、180°単位で間欠的に回転させる場合には二等分した位置に、ストッパ用溝部62を設けることで対応することが可能となる。なお、これらの間欠的な回転には、駆動力授与手段7の作動アーム71〜74を規制して回転力が付与されるが、所定の角度に至るまでインデックスガイド部6を回転させることができるように、搬送途中における規制レール等によって案内させることが必要となる。そこで、この場合においては、上記間欠回転の単位角度に応じて上記作動アーム71〜74の設置角度および数を異ならせる構成とすることも可能である。すなわち、上記のように90°単位で回転させる場合には、図1に示すように、四本のアーム71,72,73,74を略十字状に設け、各アーム71〜74の中心線が90°の角度をなすように配置することによって、単一のアーム71を規制することで90°の回転駆動を可能にし、その回転後においては、アーム71〜74の順序が90°移動するものの、全体的な形状は回転前と同じ状態となる。その結果、駆動力授与手段7に対して駆動力を伝達させるべき規制レールなどの装置は、搬送途中のいずれの場所においても均一な構造に設けることができるため、設備の組立等が極めて簡易となる。従って、90°ではない角度(例えば120°など)を単位として間欠的に回転させる場合には、所望角度に応じてアーム71〜74の角度および数を適宜変更することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態を備えた搬送装置全体を示す説明図である。
【図2】(a)は本発明の実施形態の正面図であり、(b)はIIB−IIB断面図である。
【図3】インデックスガイド部とストッパの関係を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態の作動態様を示す説明図である。
【図5】他の実施形態を示す説明図である。
【図6】(a)は実施形態の変形例を示す正面図であり、(b)はVIB−VIB断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 搬送経路
2 走行体
3,103 支柱基部
4,104 支柱回転部
5 搬送トレイ
6,106 インデックスガイド部
7 駆動力授与手段
8,108 ストッパ
31 円形凹部
32,132 ブラケット
33 ブラケット先端
41 支柱回転部下端
61,161 インデックスガイド部周縁
62,162 ストッパ用溝部
63 案内部
64 円弧状周縁部分
64a,64b 周縁部分
65,66 ストッパ用溝部の側端縁
71,72,73,74 作動アーム
75,76,77,78 当接部
81 回動アーム
82,182 ローラ当接部
83 ねじりコイルバネ
84 回動アームの基端
85 回動軸
86 バネ支持部
181 揺動アーム
183 圧縮バネ
W 搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って走行する走行体と、この走行体に固定的に支持された支柱基部と、この支柱基部の軸線方向に連続して設けられ、かつ、軸線回りの回動が許容される支柱回転部と、この支柱回転部の上端に設けられた搬送トレイとを備えた搬送装置において、
上記支柱回転部に鍔状に設けられ、該支柱回転部の回動によって該支柱回転部の軸線回りに回動するインデックスガイド部と、このインデックスガイド部の周縁に適宜間隔で切り欠いて構成されたストッパ用溝部と、上記支柱基部に支持されるとともに上記インデックスガイド部の周縁に向かって付勢されてなるストッパとを備え、
上記ストッパ先端には、回転自在なローラ当接部が設けられ、上記ストッパ用溝部は、上記ローラ当接部が係入するとき、該ローラ当接部の周縁を二個所で当接する溝状に形成されたストッパ用溝部であることを特徴とする搬送装置におけるインデックス機構。
【請求項2】
前記ストッパ用溝部は、前記ローラ当接部の直径寸法よりも僅かに小さな幅寸法の溝状に形成されたストッパ用溝部である請求項1記載の搬送装置におけるインデックス機構。
【請求項3】
前記インデックスガイド部は、前記ストッパ用溝部を除く周縁において、該インデックスガイド部の中央を中心とする円弧状の端縁で構成された転動端縁部と、前記ストッパ用溝部の周辺において曲率を急激にしてなる弧状案内端縁部とを備えたインデックスガイド部であり、前記ローラ当接部は、上記ストッパ用溝部に係入するとき、その両側に位置する上記弧状案内端縁部と該ストッパ用溝部との境界付近に当接してなるローラ当接部である請求項1または2に記載の搬送装置におけるインデックス機構。
【請求項4】
前記インデックスガイド部は、平面形状を略正方形とし、該正方形の四辺の中央に前記ストッパ用溝部を設け、該正方形の四つの頂角の両側を緩やかな曲線による案内端縁部を構成してなる請求項1または2に記載の搬送装置におけるインデックス機構。
【請求項5】
前記ストッパ用溝部は、前記インデックスガイド部の周縁を四等分してなる間隔に設けられたストッパ用溝部であり、前記支柱回転部は、略十字状の作動アームを有する駆動力授与手段を備えた支柱回転部であり、上記支柱回転部が上記駆動力授与手段により強制的な回転力を受けたとき、一つのストッパ用溝部に既に係入しているローラ当接部の付勢に抗してインデックスガイド部を回転させ、該インデックスガイド部の周縁を経由して隣のストッパ用溝部にローラ当接部が係入することによって、90°を単位として上記支柱回転部を回転させる請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送装置におけるインデックス機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate