説明

搬送装置

【課題】 受け入れ部への印画紙の受け入れを阻害することなく、印画紙の端部の受け入れ後には、その印画紙の姿勢を確実に矯正する搬送装置を構成する。
【解決手段】 印画紙を挟持して受け入れユニットDに搬送する挟持機構Cを備え、受け入れユニットDには受け入れローラ80と、ガイド部材72のガイド面72aに圧接するようトーションバネ68で付勢された矯正ローラ65とを備えている。この矯正ローラ65はガイド面72aから離間する待避位置へ切り換える被操作軸66を備え、この被操作軸66への接当により矯正ローラ65を待避位置に切り換える操作軸51を、コイルバネ52の付勢力で突出するよう挟持機構Cに備え、このコイルバネ52から操作軸51に作用する付勢力をトーションバネ68から矯正ローラ65に作用する付勢力より強く設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光部で露光された感光材料を挟持機構で挟持して現像処理部の受け入れ部に搬送する搬送系を備え、前記受け入れ部において前記挟持機構から受け渡される感光材料に接触して、その感光材料の姿勢を設定する矯正機構を備えている搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された搬送装置として、露光処理部(本発明の露光部)で露光され、水平方向に送り出される印画紙(本発明の感光材料)が小さいサイズの場合には、左右のチャッキングローラで交互に受け取り、この受け取りの後には夫々のチャッキングローラの姿勢の変更により印画紙が垂れ下がる形態に切り換え、対応する振り分け搬送経路方向に移動させながら上昇させ、夫々のチャッキングローラにチャッキングした印画紙を上部の導入ローラ(本発明の受け入れ部)に受け渡すように振り分け作動を行い、振り分けを行えない大きいサイズの印画紙を搬送する場合には、左右のチャッキングローラで印画紙の両端部をチャッキングする形態で受け取り、この受け取りの後には、夫々のチャッキングローラの姿勢の変更により印画紙が垂れ下がる形態に切り換え、上昇させることにより導入ローラに受け渡す作動を行う装置が存在する(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、露光済みの印画紙をチャッキングローラで受け取る際には、チャッキングローラを正転させることにより後端側をチャッキングする状態に達するまで印画紙を送り込み、このチャッキングローラの姿勢を90度回転させることにより、印画紙の表裏を入れ換え、かつ、この印画紙の後端を上方に向かわせる状態で、対応する振り分け経路に向けてチャッキングローラを移動させながら上昇させることにより、2列の振り分け経路に沿った形態で導入ローラに送り込み、また、チャッキングローラを上昇させる際には、印画紙に矯正ローラ(本発明の矯正機構)を接触させることにより印画紙の姿勢を決めるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002‐55400号公報 (段落番号〔0019〕〜〔0037〕、図3〜図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
感光材料としてロール状に巻き取られたものを想定すると、巻癖によりカーリングするため、カーリングの方向によっては装置を構成する部材が感光面に接触して、その感光面を傷付けることも考えられ、このような接触を回避するため、特許文献1に記載されるようにチャッキングローラでチャッキングされた感光材料を、予め設定された方向に湾曲させる形態での矯正も考えられていたのである。
【0006】
特許文献1の構成を考えると、チャッキングローラにチャッキングされた印画紙(感光材料)を受け入れ部に受け渡した後にも継続的に感光材料の矯正を行うためには、その感光材料の殆ど全ての部分が受け入れ部に受け渡されるまで、チャッキングローラを受け入れ部の近傍位置に保持する必要があり、能率的な作動を考えた場合には有効な制御形態ではなかった。つまり、この種のチャッキングローラを効率的に作動されるためには感光材料の端部を受け入れ部に受け渡した後には、この受け入れ部からチャッキングローラを離間させて次の印画紙(感光材料)の受け取りのための制御に移行できることが望ましいものであるが、このようにチャッキングローラを受け入れ部から離間させる構造では感光材料の矯正が途切れるため効率的な作動を行えないものであった。
【0007】
そこで、受け入れ部に対して矯正機構として矯正用のローラ類を備えることにより、受入部で受け入れる感光材料に対して継続的に矯正機構からの矯正力を作用させることも考えられるが、この部位に矯正機構を備えたものでは、感光材料を受け入れる際に矯正機構が感光材料の導入を妨げることも予想され、感光材料の受け入れ時には矯正機構を感光材料の搬送経路から待避させ、感光材料の受け入れ後に矯正機構を矯正可能な姿勢にセットする機構を備えることの必要性も考慮されるものであった。特に、受け入れ部に矯正機構として矯正用のローラ類を備える構造を想定すると、感光材料の受け入れ時には矯正機構を感光材料の搬送経路から確実に離間させることが重要となる。
【0008】
本発明の目的は、受け入れ部に感光材料を受け入れる際には、この受け入れを阻害することなく、感光材料の端部の受け入れ後には、その感光材料の姿勢を確実に矯正する搬送装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、露光部で露光された感光材料を挟持機構で挟持して現像処理部の受け入れ部に搬送する搬送系を備え、前記受け入れ部において前記挟持機構から受け渡される感光材料に接触して、その感光材料の姿勢を設定する矯正機構を備えている搬送装置において、
前記受け入れ部が、前記感光材料を圧着搬送する受け入れローラと、この受け入れローラに前記感光材料を導入する案内面を形成したガイド部材とで構成され、前記矯正機構が、前記受け入れローラの軸芯と平行する姿勢の支軸周りで揺動自在な揺動アームに支承した矯正ローラと、この矯正ローラを前記ガイド部材の案内面に圧接するよう前記揺動アームに付勢力を作用させる第1バネとを備えて構成され、
前記挟持機構は、受け渡し位置まで移動することにより挟持した感光材料を受け入れローラに受け渡すよう作動形態が設定されると共に、この挟持機構は、前記受け渡し位置に達するまでに前記揺動アーム又は揺動アームに形成した接当片に接当することで前記矯正ローラを前記案内面から離間させる力を与えて待避位置に設定する操作体を備え、この操作体は、前記挟持機構の移動方向に沿う方向に変位自在、かつ、前記揺動アームの側に突出するよう第2バネの付勢力を作用させており、この第2バネの付勢力によって前記操作体が突出状態を維持する力を、前記第1バネの付勢力によって前記矯正ローラが前記案内面に圧接する力より強く設定してある点にある。
【0010】
この構成により、挟持機構から受け入れローラに感光材料を受け渡した後には、この感光材料に対して第1バネで付勢された矯正ローラが接触してガイド部材の案内面に圧接させることにより、その感光材料の姿勢を矯正できるものとなる。また、挟持機構から受け入れローラに感光材料を受け渡す際には、この挟持機構に備えた操作体が、矯正ローラの揺動アーム又は揺動アームに形成した接当片に接当することによって、この矯正ローラをガイド部材の案内面から離間するので、この矯正ローラが感光材料の受け渡しを妨げることはない。更に、操作体は挟持機構の移動方向に沿って変位自在に支持され、第2バネで突出方向に付勢され、第2バネの付勢力によって前記操作体が突出状態を維持する力を、前記第1バネの付勢力によって前記矯正ローラが前記案内面に圧接する力より強く設定してあるので、例えば、操作体が先に変位し、この後、矯正ローラが揺動すると云う不都合を回避して、作動の初期に矯正ローラを案内面から確実に離間させることが可能となる。その結果、受け入れ部に感光材料を受け入れる際には、この受け入れを阻害することがなく、感光材料の端部の受け入れ後には、その感光材料の姿勢を確実に矯正する搬送装置が合理的に構成されたのである。
【0011】
本発明は、前記揺動部材が、前記接当片として前記支軸と平行姿勢となる被操作軸を備えて構成され、前記操作体が、前記挟持機構の移動方向に向けて長手方向が沿う姿勢の操作ロッドで構成され、この操作ロッドの先端位置に前記被操作軸に接当する接当部が形成されると共に、この接当部は、前記被操作軸との接触により揺動アームが前記支軸を中心として揺動する際に前記案内面から前記矯正ローラを離間させる方向に前記揺動アームを揺動させる分力を発生させる傾斜面として形成しても良い。
【0012】
この構成により、挟持機構から受け入れローラに感光材料を受け渡す際には、操作体としての操作ロッドの接当部に形成した傾斜面が、被操作軸に接当し、この傾斜面から被操作軸に対して、揺動アームを揺動させる方向への分力を作用させるので、矯正ローラをガイド部材の案内面から離間させる方向に向けて積極的に揺動させることが可能となる。
【0013】
本発明は、前記感光材料が、ロール状に巻き取られた長尺材を設定されたサイズに切断したもので形成されると共に、この感光材料の巻癖によって接近する側の前記ガイド部材の方向に前記矯正ローラの圧接方向を設定しても良い。
【0014】
この構成により、矯正ローラを感光材料に圧接した場合には感光材料の巻癖に従った方向に、その感光材料を変位させてガイド部材の案内面に接触させるものとなり、圧接方向に無理がない。
【0015】
本発明は、前記露光部から水平方向に送り出される前記感光材料を受け入れ、表裏を反転させた状態で上方に排出するリバース機構を備えると共に、前記挟持機構は、前記リバース機構から排出される前記感光材料を受け入れる待機位置と、この待機位置の上方となる前記受け渡し位置との間で往復移動するよう構成された一対の挟持ローラを備えても良い。
【0016】
この構成により、露光部で露光され、水平方向に送り出された感光材料は、リバース機構によって反転された後、上方に排出されるものとなり、このように排出される感光材料を待機位置に待機させた挟持機構が受け入れ、更に、この挟持機構を上昇させて前記受け渡し位置にセットすることにより感光材料を受け入れローラに受け渡すことが可能となる。つまり、従来からの技術のように感光材料を挟持した後に反転させながら搬送するもののように複雑な構造を採用しなくとも、感光材料の反転と搬送とを実現するのである。
【0017】
本発明は、前記挟持機構が、前記リバース機構から受け渡された前記感光材料を前記受け入れ部に向かって直線的に移動するフィード作動と、このフィード作動方向と直交する方向に移動するシフト作動とを行えるよう構成されると共に、前記リバース機構から前記感光材料を受け入れた後には、前記フィード作動と前記シフト作動とを行うことにより、複数の振り分け経路に前記感光材料を振り分けて送り出すよう構成しても良い。
【0018】
この構成により、リバース機構から受け渡された感光材料を挟持機構でフィード作動させること、及び、シフト作動させることにより複数の振り分け経路に対して振り分けることが可能となる。これにより、例えば、単一のリバース機構と単一の挟持機構とを組み合わせることによっても感光材料を高速に振り分けることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔写真プリント装置の構成〕
図1に示すように、オペレート部Aとプリント処理部Bとを備えて写真プリント装置が構成されている。前記オペレート部Aは写真フィルム1の画像情報をR、G、Bの3原色に色分解しデジタル信号化して取り込むフィルムスキャナ3と、処理情報を表示するディスプレイ4と、キーボード5とをテーブル6の上面に備え、テーブル6の下方位置に汎用コンピュータからなる処理装置7を備えている。尚、この処理装置7にはCD−RやDVD−R等に記録された画像データや、半導体メディアに記録された画像データを取得するメディアドライブ8を備えている。
【0020】
前記プリント処理部Bは、露光部EXにおいて感光材料としての印画紙2をプリントサイズに切断した後、画像データの露光を行い、この露光の後には縦搬送装置CVにおいて反転して表裏を入れ換えた状態で上方に搬送して現像処理部DEに送り込み、この現像処理部DEの複数の現像処理槽で現像処理を行い、乾燥処理部DRで乾燥した後にコンベアベルト9上に送り出し、更に、コンベアベルト9からソータ(図示せず)に送り出すよう構成されている。尚、前記縦搬送装置CVにおいて印画紙2の表裏を反転させる理由はコンベアベルト9からソータに送り出された印画紙2の上面側に画像面(感光面)を位置させるためである。
【0021】
前記露光部EXは、印画紙マガジンMからの印画紙2(感光材料の一例)を圧着型の供給ローラ11で送り出し、カッター12でプリントサイズに切断し、挟持型の横搬送装置13によって水平方向に送り、この横搬送装置13から露光ユニットEmに送り込み、この露光ユニットEmにおいて印画紙2を副走査方向に搬送しながら、露光ユニットEmからのレーザビームを主走査方向に操作する形態で画像データの露光を行うように構成されている。図2に示すように、露光ユニットEmは、R(赤)・G(緑)・B(青)の3原色のレーザビームを下方に向けて送り出す露光エンジン15を備えると共に、前記横搬送装置13からの印画紙2を受け入れる圧着型の搬入ローラ16と、露光エンジン15のビーム出射部15aを基準にして印画紙2の搬送上手側と搬送下手側とに配置された一対の露光搬送ローラ17と、従動ローラ18とを備えている。
【0022】
また、図5、図6に示すように、前記露光搬送ローラ17とは従動ローラ18と印画紙2を案内する案内板19に形成された開口19Aに嵌め込む形態で配置され、この開口19Aのうち、上流側の露光搬送ローラ17が配置される開口19Aにおいて、印画紙2の搬送方向の上流側部位には印画紙2の後端が通過する際の落ち込みによる振動を抑制するための傾斜部19Bを形成し、この開口のうち印画紙の搬送方向の下流側部位には印画紙2を円滑に案内する傾斜部19Cを形成している。
【0023】
〔縦搬送装置の構造〕
前記縦搬送装置CVは図2〜図4に示すように、露光ユニットEmから単列で水平方向に送り出される印画紙2を受け取り、その印画紙2の表裏を反転した状態で上方に排出するリバース機構Rを備えると共に、このリバース機構Rから排出される印画紙2が受け渡される単一の挟持機構Cを備えている。この挟持機構Cは、待機位置Wにおいてリバース機構Rから受け渡された印画紙2のサイズが予め設定されたサイズ未満である場合には、図8に示すように、その印画紙2を2つの振り分け経路LSに振り分けて搬送し、受け渡し位置Tにおいて受け入れユニットD(受け入れ部の一例)に備えた受け入れローラ80に送り込む作動(振り分けモードでの作動)を行い、また、この挟持機構Cは、待機位置Wでリバース機構Rから受け渡された印画紙2のサイズが予め設定されたサイズ以上である場合には、図7に示すように、その印画紙2を振り分けずに中央位置の縦搬送経路LCにおいて上方に搬送し、受け渡し位置Tにおいて受け入れユニットDに備えた受け入れローラ80に送り込む作動(単列搬送モードでの作動)を行うよう構成されている。尚、前記受け入れローラ80に受け入れた印画紙2は現像処理部DEに送り込まれる。
【0024】
前記挟持機構Cは、この挟持機構Cを上下方向(前記振り分け経路LSと平行する方向)に駆動するフィード手段Fと、前記挟持機構Cを横方向(前記振り分け経路LSと直交する方向)に駆動するシフト手段Sとを備えており、これらにより振り分けユニットが構成されている。
【0025】
この縦搬送装置CVは、プレート状の主フレーム21を備えると共に、この主フレーム21の折り曲げにより一体形成した一対のブラケット部21aに対して前記リバース機構Rを支持してあり、また、主フレーム21において前記2つの振り分け経路LSの外測部に縦向き姿勢で2つの第1ガイドロッド31を備え、夫々の第1ガイドロッド31によって両端部が支持された状態で上下方向に移動自在となる搬送フレーム32を備え、この搬送フレーム32に対して横方向に往復自在となるように前記挟持機構Cを備えている。
【0026】
〔リバース機構の構造〕
図2〜図6、及び、図9に示すように、前記リバース機構Rは前記ブラケット部21aに対して横向き姿勢の第1軸芯X1周りで回動自在に支持された回動フレーム22と、この回動フレーム22に支持された駆動ローラ23と、この駆動ローラ23に対向する圧着ローラ24と、この圧着ローラ24を支持する揺動フレーム25とを備え、この揺動フレーム25は前記回動フレーム22に対して前記第1軸芯X1と平行姿勢となる第2軸芯X2周りで揺動自在に支持されている。
【0027】
また、リバース機構Rは、前記第1軸芯X1周りでの90度の回動により、図5に示すように前記露光部EXから送り出される印画紙2を受け入れる「受け入れ姿勢」と、図6に示すように前記第1軸芯X1周りでの回動によって印画紙1を上方に送り出す「排出姿勢」とに切り換え自在に構成され、「受け入れ姿勢」で印画紙2を受け入れる際には前記駆動ローラ23を正転方向に駆動することにより印画紙2を導入し、この導入の後、「排出姿勢」に切り換えた際には前記駆動ローラ23を逆転方向に駆動することにより印画紙2を後端側から排出し、これにより印画紙2の表裏を反転させるように機能する。
【0028】
前記駆動ローラ23の支軸23aを前記ブラケット部21aに支持し、この駆動ローラ23の支軸23aの軸芯位置を前記第1軸芯X1に一致させており、前記回動フレーム22に固設したタイミングプーリ型の回動プーリP1と、ステッピングモータ型の回動モータM1の出力軸との間にタイミングベルトB1を巻回することにより、回動モータM1からの駆動力によって回動フレーム22を、前記「受け入れ姿勢」と「排出姿勢」とに切り換えるように構成されている。
【0029】
前記駆動ローラ23の支軸23aのうち一方の端部に備えたタイミングプーリ型の駆動プーリP2と、ステッピングモータ型の駆動モータM2との間にタイミングベルトB2を巻回することにより、駆動モータM2の駆動力によって駆動ローラ23を正転及び反転方向に駆動自在に構成している。
【0030】
図9に示すように、前記揺動フレーム25を揺動操作する揺動操作軸26が前記第2軸芯X2と同軸芯上に配置され、この揺動操作軸26の軸端に操作アーム27を備え、この操作アーム27に対してバネ28の付勢力を作用させ、操作アーム27の揺動端にはカムフォロワーとして機能する遊転ローラ29を支承し、これに対応する回転カム30を備えている。この回転カム30に連結したタイミングプーリ型の回転プーリP3と、ステッピングモータ型のカムモータM3との間にタイミングベルトB3を巻回することにより、回転カム30の回転操作を行えるように構成されている。また、前記揺動フレーム25に対してガイド板25aを備えており、揺動フレーム25に支持された圧着ローラ24を駆動ローラ23の側に付勢する一対の圧縮コイルバネ22sを備えている。
【0031】
この構成により、バネ28の付勢力によって遊転ローラ29を回転カム30のカム面に圧接させ、遊転ローラ29と回転カム30との相対回転時にはカム面との形状に従って操作アーム27を揺動させ、駆動ローラ23に対して圧着ローラ24を圧着させる状態と、夫々を離間させる状態(待避位置)とを現出している。
【0032】
前記回転カム30のカム面は、最も半径が小さい小径面30aと、これより大径となる中径面30bと、最も大径となる大径面30cとで構成され、小径面30aに対して前記遊転ローラ29が接触する状態では前記圧着ローラ24が前記駆動ローラ23に圧着し、前記遊転ローラ29が前記中径面30bに接触する状態では前記圧着ローラ24が前記駆動ローラ23から僅かに離間する位置関係となり、前記遊転ローラ29が前記大径面30cに接触する状態では前記圧着ローラ24が前記駆動ローラ23から大きく離間する位置関係となる。
【0033】
また、前記駆動ローラ23の支軸23aのうち前記駆動プーリP2の反対側の軸端には人為的に回転操作するノブ45を備えており、更に、この支軸23aに対して揺動自在にブラケット46を遊転支承し、このブラケット46を付勢するバネ47を備え、支軸23aと一体回転する出力ギヤG1と、ブラケット46に遊転支承した中間ギヤG2とを噛合させている。図面に示していないがこのプリント処理部Bでは、前記ノブ45が配置された側に開閉自在な扉を備えている。
【0034】
〔振り分け装置の構造〕
図3及び図4に示すように、前記第1ガイドロッド31にスライド自在に外嵌するリニアブッシュ33を前記搬送フレーム32の両端位置に備えることにより前記搬送フレーム32を上下方向に移動自在に支持している。前記主フレーム21の上部位置に横向き姿勢の連結軸34を備え、この連結軸34の両端部に形成したタイミングプーリ型の連係プーリ34Pに巻回するタイミングベルトB4を前記第1ガイドロッド31と平行する位置に配置し、このタイミングベルトB4を前記搬送フレーム32の両端部に連結している。前記一方のタイミングベルトB4を駆動するステッピングモータ型のフィードモータM4を備え、このフィードモータM4の駆動力により搬送フレーム32を水平姿勢のまま昇降作動できるように構成している。
【0035】
前記挟持機構Cは、圧着状態に維持される第1挟持ローラ35と、第2挟持ローラ36と、前記印画紙2を案内する縦向き姿勢の一対のガイド板37を備えて構成され、これら第1、第2挟持ローラ35、36及びガイド板37はシフトフレーム38に支持されている。前記一対のガイド板37は、第1、第2挟持ローラ35、36で挟持された印画紙2の表裏両面に対して近接する位置に配置されるものであり幅方向での中央部の上端には一対の突出部37aを形成している。この突出部37aは後述する受け入れユニットDの受け入れローラ80のローラ部80b同士の中間位置に入り込む位置に配置されている。
【0036】
前記搬送フレーム32に備えた横向き姿勢のガイドレール39に対して2つのスライド部材40をスライド移動自在に嵌合し、この2つのスライド部材40に対して中間フレーム48を介して前記シフトフレーム38を支持することにより、挟持機構Cを横方向に往復移動自在に支持している。具体的に説明すると、図13、図14に示すように、前記搬送フレーム32は全体的な断面形状がチャンネル状に設定され、この搬送フレーム32の縦壁部の一部に膨らみを持たせて前記ガイドレール39の取付け面32aを形成し、ガイドレール39に対して支持されたスライド部材40のネジ孔40bに螺合するビス49によって前記中間フレーム48をスライド部材40に固定している。また、中間フレーム48には十字状の開口48aを形成してあり、この開口48aの近傍位置に前記ビス49が挿通する孔48bを形成することにより、2つのスライド部材40が平行姿勢になくとも、この開口48aの近傍位置の中間フレーム48の弾性変形によってコジリを発生させないものにしている。
【0037】
前記搬送フレーム32の一方の端部に備えたシフトモータM5の出力軸と、搬送フレーム32に支持したプーリP5とに亘ってタイミングベルトB5を巻回し、このタイミングベルトB5を前記シフトフレーム38に連結固定することにより、このシフトモータM5の駆動力によって挟持機構Cを横方向にシフト作動自在に構成している。尚、このシフトモータM5、タイミングベルトB5で成るシフト操作系で前記シフト手段Sが構成され、前記フィードモータM4、タイミングベルトB4で成るフィード作動系で前記フィード手段Fが構成されている。
【0038】
図11(a)に示すように、前記搬送フレーム32のうち前記シフトモータM5を備えた側と反対側に支持フレーム32Fを形成してあり、前記第1挟持ローラ35の軸芯と同軸芯で、この軸芯方向に相対移動自在で第1挟持ローラ35に対して軸芯方向にスライド移動自在で、かつ、この第1挟持ローラ35と一体的に回転する軸体41を搬送フレーム32に備えている。前記支持フレーム32Fには前記中間ギヤG2と噛合する受動ギヤG3と、この受動ギヤG3に噛合する入力ギヤG4とを支承してあり、この入力ギヤG4と軸体41とを連結している。また、前記受動ギヤG3の軸部分に接当スリーブ42を備え、前記入力ギヤG4の軸部分には回転阻止用の爪車43と爪体44で成るラチェット機構を備えている。
【0039】
この構成から、前記搬送フレーム32を下方の移動端まで移動させることにより、図11(b)に示すように、ブラケット46の端部に形成した案内面46aが前記接当スリーブ42に接当し、前記バネ47の付勢力に抗してブラケット47を揺動させることにより、衝撃を発生させないように前記中間ギヤG2に対して前記受動ギヤG3を噛合させるものにしており、このように中間ギヤG2と受動ギヤG3とが噛合することにより、リバース機構Rからの駆動力を前記挟持機構Cの第1挟持ローラ35に伝え、この挟持機構Cにおいて印画紙2の搬送を行えるよう構成されている。
【0040】
図7、図8、図12、図15、図16に示すように、前記シフトフレーム38に対して上方に突出する一対の操作ロッド51(操作体の一例)を圧縮コイルバネ52(第2バネの一例)の付勢力によって上方に突出するように備えている。また、この操作ロッド51の上端には接当部51aを形成している。
【0041】
また、前記受け入れユニットDは、前記主フレーム21の上端位置に配置される受け入れフレーム71に対して前記圧着型の受け入れローラ80を支承すると共に、この受け入れフレーム71の下面のうち、開口を挟んだ一方に樹脂製のガイド部材72を備えている。このガイド部材72と対向する位置には このガイド部材72の案内面72aに対して印画紙2を押しつける一対の矯正ローラ65を備えている。つまり、前記第1、第2軸芯X1、X2と平行する姿勢の支軸63を中心にして揺動自在に2つの揺動アーム64を受け入れフレーム71に支持し、夫々の揺動アーム64には前記第1、第2軸芯X1、X2と平行する軸芯周りで回転自在に矯正ローラ65を遊転支承すると共に、前記第1、第2軸芯X1、X2と平行する姿勢の一対の被操作軸66(接当片の一例)を形成し、更に、矯正ローラ65を前記ガイド部材72の案内面72aの側に付勢するトーションバネ68(第1バネの一例)からの付勢力を作用させている。尚、この矯正ローラ65、揺動アーム64、支軸63、被操作軸66、トーションバネ68によって矯正機構が構成されている。
【0042】
また、前記矯正ローラ65の支軸63の両端部を支持する凹部を前記受け入れフレーム71に形成してあり、この受け入れフレーム71に対して押圧プレート69をビス70によって固定することで矯正ローラ65が揺動自在に受け入れフレーム71に揺動自在に支持されている。前記トーションバネ68は前記支軸63に巻き付ける位置に配置されるものであり、その一方の端部を揺動アーム64に係合し、他方の端部を前記受け入れフレーム71に固定した押圧プレート69に接当させている。この押圧プレート69にはトーションバネ68の前記他方の端部の挿入を許す開口69aと、この開口69aから導入した前記端部の脱落を阻止する折り曲げ部69bと、固定用のビス70が挿通する一対の孔部69cとを形成している。
【0043】
前記矯正ローラ65は、図17(b)に示す如く、前記ガイド部材72の案内面72aに圧接する矯正姿勢と、図17(a)に示す如く、前記被操作軸66に対する前記操作ロッド51の接当により案内面72aから離間する待避位置とに切り換え自在に構成されている。そして、前記挟持機構Cが前記縦搬送経路LCに沿って移動(上昇)した場合には、前記左右の矯正ローラ65から内方に突出した被操作軸66に対して前記一対の操作ロッド51の接当部51aが接当して左右の矯正ローラ65を同時に待避位置に切り換え、また、挟持機構Cが前記振り分け経路LSに沿って移動(上昇)した場合には、対応する位置の矯正ローラ65の一対の被操作軸66に対して前記一対の操作ロッド51の接当部51aが接当して対応する矯正ローラ65を待避位置に切り換えるように相対的な位置関係が設定されている。
【0044】
前記圧縮コイルバネ52(第2バネ)の付勢力によって前記操作ロッド51が突出状態を維持する力を、前記トーションバネ68(第1バネ)の付勢力によって前記矯正ローラ65が前記案内面72aに接当する力より強く設定してあり、このように2つのバネの付勢力の相対的な付勢力を設定することにより、挟持機構Cを上昇させた場合には、図12に示す如く、トーションバネ68の付勢力に抗して矯正ローラ65を先に待避位置に設定し、この後に、図17(a)に示す如く、圧縮コイルバネ52の付勢力に抗して操作ロッド51を圧縮状態に切り換えるものとなっている。
【0045】
また、前記接当部51aの上面は、前記被操作軸66との接触により揺動アーム64が前記支軸63を中心として揺動する際に操作ロッド51の作動方向に交差する方向へ生ずる分力の作用方向に力を作用させる傾斜面51sとしている。つまり、図12に示す方向視では、揺動アーム64を待避位置の側に揺動させる場合には前記被操作軸66が上方に持ち上げられる形態となるものの、この被操作軸66は円弧運動するため、操作ロッド51が接当した際の初期には、被操作軸66が案内面72aから離間する方向に移動する移動成分を含むものである。このような理由から、被操作軸66を案内面72aから離間させるように傾斜面51sの傾斜方向を設定することにより、操作ロッド72からの操作力によって積極的に揺動アーム64を揺動させて矯正ローラ65を待避位置に切り換え得るものにしている。
【0046】
図3に示すように前記受け入れローラ80は軸部80aと、この軸部80aと一体回転する複数のローラ部80bとを備えており、前記ガイド部材72は、印画紙2を受け入れローラ80の方向に案内するよう断面形状が傾斜姿勢の案内面72aを形成してある。
【0047】
図3、図4に示すように、前記主フレーム21の下部には前記回動モータM1、駆動モータM2、カムモータM3、フィードモータM4、シフトモータM5夫々を制御する制御ユニット90を備えており、搬送フレーム32の端部位置には制御ケーブル91を備え、この制御ケーブル91の搬送フレーム32からの垂れ下がり部分のみを搬送フレーム32と一体的に昇降する補助フレーム32cに対して固定部材92を介して固定することにより、制御ケーブル91の姿勢の乱れを抑制するように構成している。
【0048】
図面には示していないが、縦搬送装置CVの印画紙2が送られる部位には、印画紙2の存否を判別するセンサを備えており、このセンサからの検出信号が前記制御ユニット90に入力し、この制御ユニット90はセンサからの信号に基づき、予め設定されたシーケンスで印画紙2を搬送する制御を実行する。制御ユニット90は、前記リバース機構Rでの印画紙2の搬送を行う搬送制御手段として機能すると共に、振り分けユニットを制御して印画紙2の振り分けを行う振り分け制御手段として機能するものであり、その作動形態は後述する通りである。
【0049】
〔搬送シーケンス〕
縦搬送装置CVで印画紙2を搬送する場合には、露光ユニットEmから印画紙2が送り出される以前に回動モータM1からの駆動力によって前記リバース機構Rの回動フレーム22を予め図5に示す「受け入れ姿勢」に設定すると共に、図10(a)に示す如く、カムモータM3からの駆動力で回転カム30の中径面30bに遊転ローラ29を接触させることにより前記圧着ローラ24を駆動ローラ23から僅かに離間する姿勢に設定する。
【0050】
この設定状態において露光ユニットEmから印画紙2が送り出される場合には、露光ユニットEmの露光搬送ローラ17と従動ローラ18とで印画紙2が圧着された状態にあり、バンディングを発生させないように、この印画紙2の後端が前記露光ユニットEmにおける露光位置を通過した後に、前記駆動モータM2を正転駆動して駆動ローラ23の回転駆動を開始し、これと略同時に前記カムモータM3からの駆動力でカムモータM3からの駆動力で回転カム30を図10(b)に示す姿勢に設定することにより、回転カム30の小径面30aに遊転ローラ29を接触させた状態で圧着ローラ24を駆動ローラ23の側に変位させ、この圧着ローラ24と駆動ローラ23とで印画紙2を圧着し、露光ユニットEmから印画紙2が送り出される速度と同期した速度で回動フレーム22に対して印画紙2を導入する。
【0051】
前記導入を継続することにより、印画紙2の後端部が前記ガイド板25aから少し突出する状態となるまで、該印画紙2を送り込んだタイミングで前記駆動モータM2を停止する。この停止状態で回動モータM1からの駆動力で回動フレーム22を90度回転させることにより、図6に示すように回転フレーム22が「排出姿勢」に設定され、印画紙2の後端部分が上方に向かい、印画紙2の先端部分が下方に垂れ下がる姿勢となる。また、このように回動フレーム22を90度回転させた場合には、図10(c)に示す如く、回転カム30の小径面30aに遊転ローラ29が接触する状態を維持するので、駆動ローラ23と圧着ローラ24とで印画紙2を圧着した状態は維持される。
【0052】
このように回動フレーム22を「排出姿勢」に設定した後には、シフトモータM5からの駆動力によりシフトフレーム38を搬送フレーム32の横方向での中央位置(前記縦搬送経路LCの延長上に位置する)に設定した状態で前記フィードモータM4からの駆動力により搬送フレーム32を下端まで下降させてシフトフレーム38の挟持機構Cを待機位置Wにセットする。このよう挟持機構Cを待機位置Wにセットした場合には、図11(b)に示す如く、中間ギヤG2と受動ギヤG3とが噛合状態に達する。
【0053】
この状態で駆動モータM2を逆転駆動することにより駆動ローラ23と圧着ローラ24とが印画紙2を排出する方向に回転し、この回転と連係して中間ギヤG2と受動ギヤG3から伝えられる動力によって挟持機構Cの第1挟持ローラ35と第2挟持ローラ36が印画紙2を上方に搬送する方向に回転する。これにより、駆動ローラ23と圧着ローラ24とに圧着されている印画紙2が回動フレーム22から排出され、挟持機構Cへの受け渡しが開始される。また、このように回転フレーム22から印画紙2を排出する場合には、挟持機構Cの第1挟持ローラ35と第2挟持ローラ36とで印画紙2を確実に挟持した後に、前記カムモータM3からの駆動力で回転カム30を図10(d)に示す姿勢に設定することにより、回転カム30の大径面30cで遊転ローラ29を押し上げることになるので、前記圧着ローラ24を駆動ローラ23から離間させ、この駆動ローラ23、あるいは、圧着ローラ24から印画紙2に作用する抵抗を低減する。
【0054】
また、第1挟持ローラ35と第2挟持ローラ36とで印画紙2を挟持する場合、その挟持位置は後述する振り分け搬送モードでも単列搬送モードでも印画紙2の幅方向での中央位置に設定され、この挟持状態においては前記一対のガイド板37に挟み込まれる位置に印画紙2が配置される。
【0055】
前述のように回動フレーム22からの印画紙2を挟持機構Cの第1挟持ローラ35と第2挟持ローラ36に受け渡した後には、シフトフレーム38に備えたガイド板37の上端から印画紙2が予め設定された量が露出するまで前記駆動モータM2の逆転駆動を継続した後に停止することにより、挟持機構Cの第1挟持ローラ35と第2挟持ローラ36とによってのみ印画紙2を挟持するものとなり、この挟持状態では印画紙2の重量により第1挟持ローラ35と第2挟持ローラ36とが回転しないように前記爪車43と爪体44とで成るラチェット機構が機能する。
【0056】
このようにフィードモータM4からの駆動力で搬送フレーム32を昇降させる際には、一対のタイミングベルトB4が連結軸34で同期して作動するので、この搬送フレーム32に偏った搬送力を作用させることなく、この搬送フレーム32の両端を第1ガイドロッド31で案内する形態となるので、搬送フレーム32を水平姿勢に維持した円滑な昇降を可能にしている。
【0057】
また、回動フレーム22から挟持機構Cへの印画紙2を受け渡す搬送シーケンスは印画紙2のサイズに拘わらず共通するものであるが、印画紙2の幅が予め設定された寸法未満である場合には、振り分け搬送モードでの搬送が行われ、印画紙2の幅が予め設定された寸法以上である場合には単列搬送モードでの搬送が行われる。
【0058】
〔振り分け搬送モード〕
印画紙2の幅が予め設定された寸法未満である場合には、フィードモータM4からの駆動力によって搬送フレーム32を上昇させると同時に、前記シフトモータM5からの駆動力によってシフトフレーム38を前記2つの振り分け経路LSのうちの一方の側に作動させる。この搬送フレーム32の上昇と、シフトフレーム38の作動とが行われる際には、シフトフレーム38を振り分け経路LS上に配置する作動が先に完了し、この後に搬送フレーム32が上昇するため、この上昇により前記操作ロッド51の先端の接当部51aが対応する被操作軸66に接当して押し上げる結果、支軸63周りで矯正ローラ65を待避位置まで揺動させて印画紙2が通過する経路を開放する。
【0059】
この後、挟持機構Cが前記一方の振り分け経路LS上において図8(a)、(b)に示す受け渡し位置Tに達することにより、印画紙2の上端部分を前記受け入れユニットDの受け入れローラ80が圧着して、挟持機構Cから印画紙2を抜き出す形態での受け渡しが実行される。このように印画紙2の受け渡しが完了した後には、搬送フレーム32を下降させることにより、操作ロッド51からの接当力によって待避位置にあった矯正ローラ65をトーションバネ69の付勢力で前記ガイド部材72の側に揺動させ、印画紙2の垂れ下がり部分を湾曲させる形態でガイド部材72の方向に押し出すことになる。
【0060】
また、前記搬送フレーム32を下降させる際には、シフトフレーム38を搬送フレーム32の横方向の中央位置(前記縦搬送経路LCと一致する)にセットした状態で前述のように待機位置Wにセットすることにより前記回動フレーム22から排出される印画紙2を受け取ることになる。このように次の印画紙2を受け取った場合には、シフトフレーム38を逆方向に作動させることにより前記2つの振り分け経路LSのうち他方の振り分け経路LS上で印画紙2の受け渡しを行うことになる。そして、このように2つの振り分け経路LSに対して交互に印画紙2を振り分けることにより、印画紙2を2列で現像処理部DEに送り込み、効率的な現像処理を実現するのである。
【0061】
〔単列搬送モード〕
印画紙2の幅が予め設定された寸法以上である場合には、フィードモータM4からの駆動力によって搬送フレーム32を上昇させ、この上昇により前記操作ロッド51の先端の接当部51aが左右の被操作軸66に接当して押し上げることにより支軸63周りで左右の矯正ローラ65を待避位置まで揺動させて印画紙2が通過する経路を開放する。つまり、図7(a)に示すように、挟持機構Cを待機位置Wに設定した場合には、挟持機構Cは前記縦搬送経路LC上に位置するため、単列搬送モードで印画紙2を搬送する場合には、挟持機構Cに印画紙2を挟持した状態で搬送フレーム32を単純に上昇させる制御が行われる。
【0062】
このように搬送フレーム32を単純に上昇させる場合でも、挟持機構Cで挟持された印画紙2が前記ガイド部材72の近傍を通過するように、ガイド板37とガイド部材72との相対的な位置関係を設定してあり、印画紙2を円滑に受け入れローラ80に送り込めるようにしている。
【0063】
また、挟持機構Cの第1、第2挟持ローラ35、36に挟持した印画紙2は、その感光面が主フレーム21の方向に向かうものであり、この印画紙2は印画紙マガジンMにおいて感光面が外側となるロール状に収納されているため、この印画紙2の巻癖から第1、第2挟持ローラ35、36に挟持した印画紙2の上端が湾曲する方向は主フレーム21から離間する側である。
【0064】
この後、挟持機構Cが図7(b)に示す受け渡し位置Tに達することにより、印画紙2の上端部分を前記受け入れユニットDの受け入れローラ80が圧着して、挟持機構Cから印画紙2を抜き出す形態での受け渡しが実行される。
【0065】
また、振り分け搬送モードと単列搬送モードとの何れの搬送モードであっても、印画紙2を受け入れローラ80に受け渡す以前に、図12に示す如く操作ロッド51が対応する被操作軸66に接当することによって、対応する矯正ローラ65が待避位置に切り換えられ、印画紙2の導入を許すものであるが、前述したように圧縮コイルバネ52と、トーションバネ68との付勢力を設定したことにより被操作軸66に操作ロッド51の接当部51bが接当した初期において矯正ローラ65を確実に待避位置に切り換え、また、被操作軸66に対して接当部51aに形成した傾斜面51sが接当することによって、矯正ローラ65を積極的に待避位置に切り換えるものとなり、矯正ローラ65を一層確実に待避位置に設定できるものにしている。
【0066】
この作動の後には、図17(a)に示す如く挟持機構Cが受け渡し位置Tに達することにより、印画紙2の受け渡しを確実に行え、印画紙2の受け渡しが完了した後には、搬送フレーム32を下降させることにより、図17(b)に示す如く、操作ロッド51からの接当力によって待避位置にあった矯正ローラ65をトーションバネ69の付勢力で前記ガイド部材72の側に揺動させ、印画紙2の垂れ下がり部分を湾曲させる形態でガイド部材72の方向に押し出すことになる。
【0067】
このように本発明では、挟持機構Cから受け入れローラ80に印画紙2(感光材料)を受け渡した後には、この印画紙に対してトーションバネ68で付勢された矯正ローラ65が接触してガイド部材72の案内面72aに圧接させることにより、その印画紙2の姿勢を矯正できるものとなっている。また、挟持機構Cから受け入れローラ80に印画紙2を受け渡す際には、この挟持機構Cに備えた操作ロッド51(操作体)が被操作軸66に接当することによって、この矯正ローラ65をガイド部材72の案内面72aから待避させるので、この矯正ローラ65が感光材料の受け渡しを妨げることはない。更に、操作ロッド51は挟持機構Cの移動方向に沿って変位自在に支持され、圧縮コイルバネ52で突出方向に付勢され、この圧縮コイルバネ52の付勢力によって操作ロッド51が突出状態を維持する力を、前記トーションバネ68の付勢力によって前記矯正ローラ65が前記案内面72aに圧接する力より強く設定してあるので、例えば、操作ロッド51が先に変位し、この後、矯正ローラ65が揺動すると云う不都合を回避して、この矯正ローラ65を案内面から確実に離間させ、印画紙2の導入を確実に行えるものにしている。
【0068】
更に、挟持機構Cから受け入れローラ80に印画紙2(感光材料)を受け渡す際には、操作ロッド51の接当部51aに形成した傾斜面51sが、被操作軸66に接当し、この傾斜面51sから被操作軸66に対して、揺動アーム64を揺動させる方向への分力を作用させるので、矯正ローラ65をガイド部材72の案内面72aから離間させる方向に向けて積極的に揺動させ、一層確実に印画紙2の導入を行えるものにしているのである。
【0069】
〔別実施の形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い。
【0070】
(イ)操作体を挟持機構に対して揺動自在に支持したアーム等で構成することが可能であり、また、第2バネとしてトーションバネは引っ張りコイルバネを用いることやゴムを用いることも可能である。また、この操作体を揺動アームに対して直接接当させることにより矯正ローラを待避位置に切り換えるよう構成しても良い。
【0071】
(ロ)矯正ローラを案内面に付勢するための第1バネとしてコイルバネを用いることやゴムを用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】写真プリント装置の構成図
【図2】露光ユニットと縦搬送装置とを示す縦断正面図
【図3】縦搬送装置の側面図
【図4】縦搬送装置の斜視図
【図5】リバース機構を受け入れ姿勢に設定した状態の縦搬送装置の縦断正面図
【図6】リバース機構を排出姿勢に設定した状態の縦搬送装置の縦断正面図
【図7】縦搬送経路での印画紙の搬送形態を示す図
【図8】振り分け経路への印画紙の搬送形態を示す図
【図9】リバース機構の構造を示す模式図
【図10】リバース機構の作動形態を連続的に示す図
【図11】リバース機構から挟持機構へ動力を伝えるギヤ構造を示す正面図
【図12】被操作軸に操作ロッドが接当した初期状態を示す図
【図13】スライド部材に中間フレーム連結する構造を示す分解斜視図
【図14】スライド部材に中間フレーム連結した状態を示す図
【図15】受け入れフレームに対するガイドローラの支持構造を示す分解斜視図
【図16】受け入れフレームに対するガイドローラの支持構造を示す平面図
【図17】挟持機構を受け渡し位置に設定した状態及び受け渡し位置から下降させた状態を示す図
【符号の説明】
【0073】
2 感光材料
35、36 挟持ローラ
51 操作体
51a 接当部
51s 傾斜面
52 第2バネ
63 支軸
64 揺動アーム
65 矯正ローラ
66 接当片・被操作軸
68 第1バネ
72 ガイド部材
72a 案内面
80 受け入れローラ
C 挟持機構
D 受け入れ部
R リバース機構
W 待機位置
T 受け渡し位置
DE 現像処理部
EX 露光部
LS 振り分け経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光部で露光された感光材料を挟持機構で挟持して現像処理部の受け入れ部に搬送する搬送系を備え、前記受け入れ部において前記挟持機構から受け渡される感光材料に接触して、その感光材料の姿勢を設定する矯正機構を備えている搬送装置であって、
前記受け入れ部が、前記感光材料を圧着搬送する受け入れローラと、この受け入れローラに前記感光材料を導入する案内面を形成したガイド部材とで構成され、前記矯正機構が、前記受け入れローラの軸芯と平行する姿勢の支軸周りで揺動自在な揺動アームに支承した矯正ローラと、この矯正ローラを前記ガイド部材の案内面に圧接するよう前記揺動アームに付勢力を作用させる第1バネとを備えて構成され、
前記挟持機構は、受け渡し位置まで移動することにより挟持した感光材料を受け入れローラに受け渡すよう作動形態が設定されると共に、この挟持機構は、前記受け渡し位置に達するまでに前記揺動アーム又は揺動アームに形成した接当片に接当することで前記矯正ローラを前記案内面から離間させる力を与えて開放姿勢に設定する操作体を備え、この操作体は、前記挟持機構の移動方向に沿う方向に変位自在、かつ、前記揺動アームの側に突出するよう第2バネの付勢力を作用させており、この第2バネの付勢力によって前記操作体が突出状態を維持する力を、前記第1バネの付勢力によって前記矯正ローラが前記案内面に圧接する力より強く設定してある搬送装置。
【請求項2】
前記揺動部材が、前記接当片として前記支軸と平行姿勢となる被操作軸を備えて構成され、前記操作体が、前記挟持機構の移動方向に向けて長手方向が沿う姿勢の操作ロッドで構成され、この操作ロッドの先端位置に前記被操作軸に接当する接当部が形成されると共に、この接当部は、前記被操作軸との接触により揺動アームが前記支軸を中心として揺動する際に前記案内面から前記矯正ローラを離間させる方向に前記揺動アームを揺動させる分力を発生させる傾斜面として形成されている請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記感光材料が、ロール状に巻き取られた長尺材を設定されたサイズに切断したもので形成されると共に、この感光材料の巻癖によって接近する側の前記ガイド部材の方向に前記矯正ローラの圧接方向を設定してある請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記露光部から水平方向に送り出される前記感光材料を受け入れ、表裏を反転させた状態で上方に排出するリバース機構を備えると共に、前記挟持機構は、前記リバース機構から排出される前記感光材料を受け入れる待機位置と、この待機位置の上方となる前記受け渡し位置との間で往復移動するよう構成された一対の挟持ローラを備えて構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記挟持機構が、前記リバース機構から受け渡された前記感光材料を前記受け入れ部に向かって直線的に移動するフィード作動と、このフィード作動方向と直交する方向に移動するシフト作動とを行えるよう構成されると共に、前記リバース機構から前記感光材料を受け入れた後には、前記フィード作動と前記シフト作動とを行うことにより、複数の振り分け経路に前記感光材料を振り分けて送り出すよう構成されている請求項4記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−1678(P2006−1678A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178258(P2004−178258)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】