説明

搬送装置

【課題】 本発明は、簡易な構成で、スムーズな移載が可能な搬送装置を提供することを
目的とする。
【解決手段】 搬送装置10は、ステーション12と無人搬送車14との間で物品16の
移載をおこなう。ステーション12と無人搬送車14には、物品16を搬送するためのコ
ンベヤを備える。さらに、第1コンベヤを駆動させる第1モータ18と、第1モータ18
に印加する電圧の電圧値や周波数を調節する第1インバータ20と、第2コンベヤを駆動
させる第2モータ22と、第2モータ22に印加する電圧の電圧値や周波数を調節する第
2インバータ24と、第1モータ18と第2モータ22との同期を取る手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品(荷物)の搬送(移載)をおこなう物品の搬送装置に関するものである

【背景技術】
【0002】
従来、物品を搬送するために種々の搬送装置が開示されている(例えば特許文献1を参
照)。
【0003】
図4に示す従来の搬送装置50は、ステーション52と無人搬送車54とを有し、それ
ぞれにコンベヤが設けられている。無人搬送車54には物品16を停止させるための減速
センサ34と停止センサ36が設けられている。
【0004】
また、図5に示すように、ステーション52と無人搬送車54には、それぞれ、コンベ
ヤを駆動させるモータ58,60と、モータ58,60に印加する電圧の電圧値や周波数
を調節するインバータ62,64と、インバータ62,64の出力電圧を指示する信号を
発するCPU66,68とを含む。減速センサ34および停止センサ36の出力は、無人
搬送車54のCPU68に入力される。CPU66,68同士は通信装置70,72を介
して接続されている。
【0005】
ステーション52から無人搬送車54に物品16を移載するときの動作について説明す
る。ステーション52と無人搬送車54のコンベヤがモータ58,60によって駆動し、
物品16が搬送される。物品16が移載されるとき、減速センサ34が動作する。減速セ
ンサ34の出力が無人搬送車54のCPU68に入力される。無人搬送車54のCPU6
8からインバータ64に減速指令が送られる。インバータ64は減速指令に基づいて出力
電圧を下げ、モータ60の回転速度を減速させる。したがって、無人搬送車54のコンベ
ヤの駆動速度が遅くなる。
【0006】
一方、減速指令は、通信装置70,72を介してステーション52のCPU66にも送
られる。ステーション52のCPU66は、インバータ62に減速指令を送る。インバー
タ62は減速指令に基づいて出力電圧を下げ、モータ58の回転速度を減速させる。した
がって、ステーション52のコンベヤの駆動速度も遅くなる。
【0007】
以上より無人搬送車54およびステーション52のコンベヤが減速する。また、停止に
ついても上記の動作と同様であり、両方のインバータ62,64の出力を0Vにし、モー
タ58,60を停止させることにより、コンベヤの動作が停止する。さらに、無人搬送車
54からステーション52に物品16の移載をおこなうときも同様である。
【0008】
上記のように、高速搬送をおこなうコンベヤにおいて、その制御は一般的にインバータ
62,64が用いられる。無人搬送車54とステーション52のコンベヤとの間で物品1
6を受け渡す際、両者52,54の動作速度が同期していないとき、一方に負荷が掛かっ
て過負荷になったり、物品16を配置しているパレットにすべりが生じて底面を損傷させ
たり、物品16の位置ずれの原因となる。負荷がアンバランスになったときに電気的な不
具合が発生するおそれもある。特に、移載時の物品16の受け側のコンベヤで減速をおこ
なったときに、それらの発生が顕著になる。物品16やパレットなどのすべりによって底
面が損傷したとき、それらからかす(ゴミ)が発生し、食品などを搬送する場合に衛生上
好ましくない。
【0009】
上述の問題を防止するために、図5のように両者52,54間で通信をおこなってコン
ベヤの動作速度の減速・停止を同期させようとする。しかし、高速搬送、高減速において
は、通信のタイムラグにより、両コンベヤの速度を同期させることはできない。上記不具
合は通信装置70,72によって軽減されるが、完全に解消されることはない。また、通
信をおこなうための通信装置70,72を設けることにより、装置50の構成およびその
制御が複雑になる。
【0010】
特許文献1は、物品が減速センサに達した際に、無人搬送車とステーションとにまたが
るほど物品が大きくなければ上述したような問題が発生しないため、両者を同期させるこ
とは記載されていない。したがって、大きな物品に対して特許文献1の装置を使用すると
、上述したような不具合が発生するおそれがある。
【0011】
【特許文献1】実開平2−149622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで本発明は、簡易な構成で、スムーズな移載が可能な搬送装置を提供することを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の搬送装置の要旨は、物品を搬送する第1コンベヤと、前記第1コンベヤを駆動
させる第1モータと、前記第1モータに印加する電圧を調節する第1インバータと、前記
第1コンベヤとの間で物品を授受する第2コンベヤと、前記第2コンベヤを駆動させる第
2モータと、前記第2モータに印加する電圧を調節する第2インバータと、前記第1モー
タと第2モータとの同期を取る手段と、を含む。
【0014】
前記同期を取る手段は、前記第1モータと第2モータとを接続する手段を含み、前記第
1インバータまたは第2インバータのいずれかの出力が0Vである。
【0015】
前記同期を取る手段は、前記第1モータと第1インバータとを接続する第1スイッチと
、前記第2モータと第2インバータとを接続する第2スイッチと、を含み、該第1スイッ
チまたは第2スイッチのいずれかが閉じられる。
【0016】
前記第1コンベヤが設けられたステーションと、前記第2コンベヤが設けられ、無人で
物品を搬送する無人搬送車と、を含む。
【0017】
前記ステーションは複数であり、ステーションごとに前記同期を取る手段を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、両コンベヤの間での物品の移載において、コンベヤ速度のずれが全く発生し
ない制御となる。したがって、負荷のアンバランスによる電気的な不具合や、物品のすべ
りによる機械的な不具合の発生が無くなるとともに、物品を乗せたパレットの損傷といっ
た顧客設備に対する不具合が解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の搬送装置の実施形態について図面を用いて説明する。本発明は、無人で物
品の搬送をおこなう搬送装置である。
【0020】
図1のように、本発明の搬送装置10は、ステーション12と無人搬送車14との間で
物品16の授受をおこなう。ステーション12と無人搬送車14には、物品16を搬送す
るためのコンベヤ(図示せず)を備える。説明の便宜のために、ステーション12のコン
ベヤを第1コンベヤと呼び、無人搬送車14のコンベヤを第2コンベヤと呼ぶこととする

【0021】
両コンベヤは、ローラーコンベヤやベルトコンベヤなど種々のコンベヤが使用可能であ
る。両コンベヤは、同一のコンベヤを使用する。コンベヤの駆動速度を同期させ、物品1
6の搬送をスムーズにおこなうためである。
【0022】
図2に示すように、本発明の搬送装置10の電気回路ブロックは、第1コンベヤを駆動
させる第1モータ18と、第1モータ18に印加する電圧の電圧値や周波数を調節する第
1インバータ20と、第2コンベヤを駆動させる第2モータ22と、第2モータ22に印
加する電圧の電圧値や周波数を調節する第2インバータ24と、第1モータ18と第2モ
ータ22との同期を取る手段とを含む。
【0023】
両インバータ20,24は、種々のインバータが使用可能である。例えば三相交流を発
生できる三相自励インバータなどを使用することができる。
【0024】
同期を取る手段を設けることによって、第1モータ18と第2モータ22との回転速度
を同期させることができる。両モータ18,22の回転速度が同期することによって、両
コンベヤの駆動速度を同一にすることができる。物品16の搬送時の不具合を解消できる
。同期を取る手段の詳細については下で説明する。
【0025】
なお、両モータ18,22は同規格のものを使用する。これは両モータ18,22の同
期を取ったときに、モータ18,22の回転数などを一致させ、コンベヤの同一速度で駆
動させるためである。
【0026】
同期を取る手段は、第1モータ18と第2モータ22とを接続する手段を備える。接続
する手段の一例は、ステーション12に設けたトロリ線(または導電ケーブル)26と、
無人搬送車14に設けたトロリ線26との間で電気の送受をおこなう集電装置28である
。トロリ線26と第1モータ18が接続され、集電装置28と第2モータ22が接続され
る。
【0027】
図2に示すように、両モータ18,22が接続されるため、両モータ18,22は同一
の電源で駆動されることとなる。したがって、両モータ18,22の同期を取ることがで
きる。
【0028】
さらに、同期を取る手段は、第1モータ18と第1インバータ20とを接続する第1ス
イッチS1と、第2モータ22と第2インバータ24とを接続する第2スイッチS2とを
備える。両スイッチS1,S2は、FET(field effect transistor)などのスイッチ
ング素子が使用可能である。
【0029】
接続する手段によって、第1モータ18と第2モータ22とを接続し、第1スイッチS
1または第2スイッチS2のいずれかが閉じられる。このことによって、第1インバータ
20または第2インバータ24のいずれかの出力電圧が第1モータ18と第2モータ22
の両方に印加されることになる。したがって、両方のモータ18,22の電源が1つとな
り、同期を取ることができる。
【0030】
ステーション12は、第1インバータ20に速度の指令の信号を送ったり第1スイッチ
S1に開閉の指令の信号を送ったりする第1CPU(central processing unit)30を
備える。無人搬送車14は、第2インバータ24に速度の指令の信号を送ったり第2スイ
ッチS2に開閉の指令の信号を送ったりする第2CPU32を備える。
【0031】
CPU30,32から出力される信号によって、スイッチS1,S2の開閉(オン・オ
フ)制御をおこなう。第1インバータ20または第2インバータ24のいずれかの出力を
両モータ18,22に印加することができ、両モータ18,22の同期を取ることができ
る。
【0032】
図1に示すように、無人搬送車14には減速センサ34や停止センサ36を備える。減
速センサ34や停止センサ36は、第2CPU32に接続され、センサ34,36がセン
シングした信号を第2CPU32に送信する。センサ34,36の種類としては、接触式
や非接触式など種類は問わず、周知の光電スイッチなどを使用しても良い。
【0033】
センサ34,36からの信号によって第2CPU32は、第2インバータ24に指令を
送る。第2インバータは出力電圧を調節し、両モータ18,22は減速・停止する。両モ
ータ18,22は同期して減速・停止するため、無人搬送車14で物品16をスムーズに
減速・停止させることができる。
【0034】
ステーション12に無人搬送車14に設けた減速センサ34や停止センサ36を備えて
も良い。無人搬送車14からステーション12に物品16を搬送するときに、物品16を
スムーズに減速・停止させることができる。
【0035】
また、無人搬送車14への電力供給のために、無人搬送車14の移動ルートに沿って給
電用のトロリ線38を設ける。無人搬送車14には、トロリ線38から電力を得る集電装
置40を備える。
【0036】
上述した装置10の構成であれば、簡単に両方のモータ18,22の同期を取ることが
でき、物品16の搬送をスムーズにおこなうことができる。従来のように通信装置を必要
とせず、装置10の構成が複雑になることもない。
【0037】
次に、本発明の搬送装置10の動作について説明する。ステーション12から無人搬送
車14に物品16を移載するときの動作について説明する。
【0038】
(1)ステーション12から無人搬送車14に物品16を移載するために、無人搬送車
14がステーション12の横まで移動する。無人搬送車14がステーション12の横まで
くると、ステーション12のトロリ線26と無人搬送車14の集電装置28とが接続され
る。第1モータ18と第2モータ22が電気的に接続され、両モータ18,22の同期が
とれる状態になる。
【0039】
まだこのときは、インバータ20,24の出力は0Vであり、物品16は停止した状態
である。また、両スイッチS1,S2はオフになっている。
【0040】
(2)第2CPU32からの指令により、第2スイッチS2がオンになる。これにより
、第2インバータ24の出力電圧のみを両モータ18,22に印加することが可能となる

【0041】
(3)また、第2CPU32からの速度の指令によって、第2インバータ24の出力電
圧が調節される。第2インバータ24からの出力電圧によって、第1モータ18と第2モ
ータ22が駆動する。両モータ18,22は同一のインバータ24から制御されているた
め、両モータ28,22に印加される電圧の電圧値や周波数は同じであり、両モータ28
,22は同期が取れた状態となる。
【0042】
(4)第1モータ18と第2モータ22が駆動することによって、第1コンベヤと第2
コンベヤとが駆動する。両モータ18,22の同期が取れているので、両コンベヤは同じ
速度で駆動する。第1コンベヤ上の物品16が第2コンベヤに向かって搬送される。第1
コンベヤから第2コンベヤに物品16が移載されるとき、両コンベヤが同速度で駆動して
いるため、スムーズに物品16の移載がおこなわれる。
【0043】
(5)物品16の減速・停止をおこなうとき、減速センサ34または停止センサ36が
動作し、第2CPU32にセンシングした信号を送る。第2CPU32は、その信号に基
づいて第2インバータ24に減速または停止の指令を送る。
【0044】
(6)第2インバータ24は、指令に基づいて出力電圧を低くしたり、停止するために
出力電圧を0Vにする。両モータ18,22の駆動速度が遅くなったり、停止する。両モ
ータ18,22の駆動速度によって両コンベヤの駆動速度も同期して変化し、停止する。
両モータ18,22の同期が取れているので、物品16はスムーズに減速・停止する。
【0045】
上に説明したように、一方のインバータのみが動作し、電気的に接続された両モータ1
8,22に電力を供給するため、両モータ18,22の同期が取れ、両コンベヤの動作速
度は同一となる。したがって、移載される物品が両コンベヤにまたがっているときであっ
ても、物品16の損傷などはなく、スムーズに移載をおこなうことができる。
【0046】
なお、(6)で第2インバータ24の出力電圧を0Vにするようにしたが、第2CPU
32からの停止の指令を第2スイッチS2に送って、第2スイッチS2をオフにするよう
にしても良い。両モータ18,22に印加される電圧が同時に0Vになり、両モータ18
,22は同時に停止する。
【0047】
上の(1)〜(6)はステーション12から無人搬送車14に物品16を搬送したが、
その逆であっても良い。物品16の搬送をおこなうとき、第1スイッチS1がオンになり
、第2スイッチS2はオフである。第1インバータ20からの出力電圧によって両モータ
18,22が駆動する。
【0048】
物品16の搬送の減速・停止は、ステーション12の減速センサまたは停止センサが動
作する。第1CPU30が減速・停止の指令を第1インバータ20に送り、第1インバー
タ20は出力電圧を制御する。両モータ18,22は、同時に減速または停止するため、
スムーズに物品16の減速・停止をおこなうことができる。
【0049】
従来はステーション12と無人搬送車14との間の移載受け渡しにおいては、各々独立
したインバータで制御をおこなっていたため、速度の同期がとれないという問題があった
。これに対し、ステーション12と無人搬送車14との間に上述した接続する手段を配し
、それを介して両者のコンベヤ動力源であるモータ18,22を同一電源(電圧、周波数
)で制御することで、速度の同期を確実におこなうことができる。すなわち、無人搬送車
14がステーション12の横に到達した時点で、物品16を受け取る側のインバータの出
力電圧を物品16を送る側のモータにも同時に供給することで、電気的結合をおこない速
度を同期させる。さらに、受け取り側にて減速・停止を判断し、インバータにて両者のモ
ータを制御するために、両者の速度差を生じさせない。両者の速度が同時に変化するため
、タイムラグの発生もない。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるこ
とはない。例えば、ステーション12が複数であってもよい。その場合、ステーション1
2ごとに同期を取る手段を備える。
【0051】
図2では、第1スイッチS1および第2スイッチS2を設けたが、図3に示すように、
これらのスイッチS1,S2が無い回路構成であっても良い。この場合、どちらかのスイ
ッチS1,S2をオフにする代わりに、第1インバータ20または第2インバータ24の
いずれかの出力が0Vになるように制御する。制御の方法は、CPU32,30からの指
令によっておこなう。
【0052】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修
正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の搬送装置を示す図である。
【図2】本発明の搬送装置の電気回路ブロックを示す図である。
【図3】本発明の搬送装置の他の電気回路ブロックを示す図である。
【図4】従来の搬送装置を示す図である。
【図5】従来の搬送装置の電気回路ブロックを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
10:搬送装置
12:ステーション
14:無人搬送車
16:物品
18,22:モータ
20,24:インバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する第1コンベヤと、
前記第1コンベヤを駆動させる第1モータと、
前記第1モータに印加する電圧を調節する第1インバータと、
前記第1コンベヤとの間で物品を授受する第2コンベヤと、
前記第2コンベヤを駆動させる第2モータと、
前記第2モータに印加する電圧を調節する第2インバータと、
前記第1モータと第2モータとの同期を取る手段と、
を含む搬送装置。
【請求項2】
前記同期を取る手段が、前記第1モータと第2モータとを電気的に接続する手段を含み、
前記第1インバータまたは第2インバータのいずれかの出力が0Vである請求項1に記載
の搬送装置。
【請求項3】
前記同期を取る手段が、
前記第1モータと第1インバータとを接続する第1スイッチと、
前記第2モータと第2インバータとを接続する第2スイッチと、
を含み、
該第1スイッチまたは第2スイッチのいずれかが閉じられる請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1コンベヤが設けられたステーションと、
前記第2コンベヤが設けられ、無人で物品を搬送する無人搬送車と、
を含む請求項1乃至3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ステーションが複数であり、ステーションごとに前記同期を取る手段を備える請求項
4に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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