説明

搬送装置

【課題】動力源に電力を用いず、作業者の両手は常時ワークの保持のみに専念させ、作業者が安全に送り操作が出来る自動搬送装置の提供。
【解決手段】平行に配置された複数の板状部材と、無限循環するチェーン3とを有し、板状部材の長手方向に対して垂直な方向にワークWを搬送する搬送装置において、板状部材の各々はワーク載置用の受け部材7A、7Bを備え、ワーク取出側にはワーク取出検知スイッチ9が設けられ、ワーク取出検知スイッチ9は感知部にワークが接触すると制御装置に感知信号を発信する機能を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造・組立てライン等において、部品及び/又はユニットを当該組立てライン等へ供給するための搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、貨物用自動車等の組立てライン等では、当該ラインに供給されるべき部品やユニット(すなわち、ワーク)の重量が大きいので、ワークを両手で取り扱わなければならない場合が多い。係る場合においては、ワークを片手で把持しつつ、残りの片手でスイッチ等の操作系を操作することは困難である。
ここで、動力源とする装置や、大掛かりな操作盤を搬送装置の傍らに設置して、当該装置によりワークを取り扱うのであれば、操作系を操作は容易となる。しかし、その様な装置類を設置することは、初期投資が嵩んでしまい、且つ、当該装置類の駆動用電力を供給しなければならないので、実現は困難である。
また、両手をワークの取り出し、その他の取り扱いに専念するために、操作系を足でペダルを踏む等の動作によって操作するタイプにすることも考えられるが、その様な足踏みペダルタイプの操作系を採用した場合には、作業者がワークを把持していない状態で操作用のペダルを踏んでしまうと、作業者の手を挟んでしまう等の恐れがある。そして、係る恐れが存在する作業環境では、作業者の安全を確保することが困難である。
【0003】
その他の従来技術として、例えば、液体を収容する缶等に設ける缶蓋部材の組立て装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。
しかし、この従来技術(特許文献1)は缶蓋部材の組立て装置に関するものであり、ワーク自体の重量が軽いため、上述した問題を何ら解決するものではない。
【特許文献1】特許第2884231号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、動力源に電力を用いず、作業者の両手は常時ワークの保持のみに専念させ、作業者が安全に送り操作が出来る自動搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の搬送装置は、平行に配置された複数の板状部材(6)と、複数の板状部材が取り付けられ且つワーク供給側とワーク取出側との間を無限循環するチェーン(3)とを有し、板状部材(6)の長手方向に対して垂直な方向にワーク(W)を搬送する搬送装置(100)において、板状部材(6)の各々はワーク載置用の受け部材(7A、7B)を備え、ワーク取出側にはワーク取出検知スイッチ(9)が設けられ、ワーク取出検知スイッチ(9)は感知部(92)にワークが接触すると制御装置(CU)に感知信号を発信する機能を有しており、制御装置(CU)は、搬送停止状態でワーク取出側に位置している板状部材(6)の受け部材(7A、7B)からワーク(W)が取り出されてワーク取出検知スイッチ(9)の感知部(92)に接触するとチェーン(3)を移動して搬送を開始する機能を有している(請求項1)。
【0006】
また、本発明の搬送装置は、ワーク取出側には停止スイッチ(10)が設けられて、該停止スイッチ(10)は感知部(102)にワークが接触すると制御装置(CU)に感知信号を発信する機能を有しており、前記制御装置(CU)は、搬送中のワーク(W)が停止スイッチ(10)の感知部(102)に接触すると搬送を停止する機能を有している(請求項2)。
【0007】
そして、本発明の搬送装置は、搬送装置の基礎となるベース部材(13A)と、該ベース部材(13A)に取り付けられたストッパ装置(8)とを備え、該ストッパ装置(8)は、チェーン(3)の移動が停止して搬送停止状態となった場合に、直上の板状部材(6)と係合する係合部材(82)を有している(請求項3)。
【0008】
また、本発明の搬送装置は、搬送中のワーク(W)が接触すると搬送装置(100)全体を停止する非常停止信号を発信する安全スイッチ(50)を設けており、該安全スイッチ(50)はワーク取出側に設けられており、搬送中のワーク(W)が停止スイッチ(10)の感知部(102)に接触しても搬送停止とならずにワーク取出側に向かって移動した際にワーク(W)と当接する位置に設けられている(請求項4)。
【0009】
さらに、チェーン(3)及び板状部材(6)を移動する動力源として作用するアクチュエータ(2)を有し、該アクチェエータ(2)は空気圧で駆動する様に構成されており、制御装置(CU)からの制御信号により駆動・停止する機能を有している(請求項5)。
【0010】
また、本発明の搬送装置は、チェーン(3)及び板状部材(6)が受け部材(7A、7B)にワーク供給側でワーク(W)を載置された状態ではワーク供給側からワーク取出側に向かって移動し、ワーク取出側でワーク(W)を取り出された後はワーク取出側からワーク供給側に向かって移動することは妨害しないが、チェーン(3)及び板状部材(6)が逆方向へ移動することを抑止する逆止ユニット(20)を設けている(請求項6)。
【発明の効果】
【0011】
上述する構成を具備する本発明によれば、ワーク取出側にはワーク取出検知スイッチ(9)が設けられ、搬送が停止している状態でワーク取出側で作業者が受け部材(7A、7B)からワーク(W)を取り出した際に、取り出されたワーク(W)がワーク取出検知スイッチ(9)の感知部(92)に接触する様に構成されているので、ワーク取出側の作業者が別途設けたスイッチ等を操作したり、作業者の足によって別途設けた釦やペダル等を踏み込まなくても、搬送装置による搬送が開始される。
そのため、別途設けたスイッチ等を操作した場合の様に、操作時にワーク(W)を一度降ろす必要が無く、時間ロスが起こらず、作業時間の短縮を図ることが出来る。
また、足で釦やペダル等釦を踏み込む操作が不要となるので、ワーク(W)を取り出していない状態で釦やペダルの操作をして搬送が開始されてしまい、作業者が手を挟んでしまう等の危険が防止される。すなわち、ワーク取出側において、作業者が安全に作業することが出来る。
【0012】
本発明において、ワーク取出側に停止スイッチ(10)を設け、搬送中のワーク(W)が停止スイッチ(10)の感知部(102)に接触すると搬送を停止する様に構成すれば(請求項2)、ワーク(W)が作業者により取り出されるべき位置まで搬送される度毎に、搬送が停止される。そして上述した様に、ワーク(W)が取り出される際にワーク取出検知スイッチ(9)によって搬送が再開される。
その結果、本発明による搬送は、ワーク(W)が取り出される毎に、板状部材(6)の間隔ずつ(1ピッチずつ)に断続的に行なわれることになる。
【0013】
また、本発明において、ストッパ装置(8)を設け、搬送が停止される毎にストッパ装置(8)を直上の板状部材(6)と係合する様に構成すれば(請求項3)、搬送が停止した際に、板状部材(6)はストッパ装置(8)を介して搬送装置の基礎となるベース部材(13A)と一体化するので、異常事態により急に搬送が再開されてしまうことはない。そのため、作業の安全性が担保される。
【0014】
本発明において、搬送中のワーク(W)が接触すると搬送装置全体を停止する非常停止信号を発信する安全スイッチ(50)を設ければ(請求項4)、搬送中のワーク(W)が前記停止スイッチ(10)の感知部(102)に接触しても搬送停止とならずにワーク取出側に向かって移動してしまった場合でも、当該ワーク(W)が安全スイッチ(50)と当接することにより搬送が停止されるので、特にワーク取出側における作業の安全が確保される。
【0015】
ここで、本発明の搬送装置の駆動源として空気圧で駆動するアクチュエータ(2)を設ければ(請求項5)、いわゆる「オールエアシステム」が実現することが出来るので、省スペース化を図ることが出来る。それと共に、各種コストを低減することが可能である。
【0016】
それに加えて、チェーン(3)及び板状部材(6)が所定の搬送方向へ移動する際には妨害しないが、逆方向へ移動することを抑止する逆止ユニット(20)を設ければ、搬送方向が急に逆転することにより、ワーク(W)が散乱したり、作業者の手に衝突したりする危険を防止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図3を参照して、全体を符号100で表す搬送装置の全体構成を説明する。
図示の実施形態では、被搬送物であるワークとして、例えば貨物自動車におけるチルトシリンダを搬送している。
【0018】
図1〜図3において、搬送装置100は、フレーム1、駆動ユニットDu(図3参照)、1対の無限循環するチェーン(チェーン)3及び複数の板状部材6を備えている。
詳細は後述するが、1対のチェーン3と複数の板状部材6の各々とは、複数の板状部材6の長手方向の端部で接続されている(図4参照)。
【0019】
フレーム1は、6本の垂直部材11と、5本の上段水平部材12と、5本の中段水平部材13と、5本の下段水平部材14とを有している。
垂直部材11と、上段水平部材12と、中段水平部材13と、下段水平部材14とは、たとえば溶接等の公知の手段によって、格子状に組み立てられている。なお、上段の水平部材12、中段の水平部材13、下段の水平部材11はそれぞれ5本ずつ設けられているが、その内、それぞれ3本は、チェーン3の移動方向と直交する方向に配置されている。
垂直部材11の下端には、高さ調整可能な部材(アジャスター)11adが取り付けられている。
下段水平部材14の一部には、図示しない床面と固定するためのアンカー部材11acが固設されており、アンカー部材11acは、公知の手段、例えば、アンカーボルトによって構成されている。
【0020】
ここで、図1、図2においては、左側(「IN」と表示)が、被搬送物であるワークW(例えば、油圧シリンダ等)の供給側で、右側(「OUT」と表示)が、ワークWの取出側である。したがって、図1において、無限循環チェーン3の上方側は、左から右へ移動し、下方側(戻り側)は右から左側へ移動する。
図1、図2において白抜きの矢印は、ワークWの移動方向を示している。
【0021】
図2において、フレーム1上面の4つのコーナー部には、軸受支持板43が溶接等に取り付けられている。各軸受支持板43の上面には、軸受42が公知の手段によって取り付けられ、この軸受42によって搬送用回転軸41の両端近傍が軸支されている。
【0022】
搬送用回転軸41の両端近傍で、軸受42よりも軸の長手方向の中央寄りに1対の第1のスプロケット(チェーン駆動用スプロケット)4Aが固設されている。このスプロケット4Aにチェーン3に係合している。
搬送用回転軸41は、搬送装置100の移動方向における両端部に配置されている。
ワーク取出側の搬送用回転軸41は、図2の右方に設けられ、第2のスプロケット4Bが固設されている。第2のスプロケット4Bは、後述の駆動ユニットDuの一部を構成している。
【0023】
図3において、駆動ユニットDuは、空気駆動モータ2と、チェーン(コンベアチェーン)駆動用チェーン5と、第2のスプロケット4Bと、チェーンカバー51とで構成されている。
【0024】
図1及び図3を参照して、フレーム1の下段水平部材14の内、ワークWの取出側で、且つ、図3における右方の部材14の上面には、モータ取り付け板21が固設されており、このモータ取り付け板21に空気駆動モータ2が取り付けられている。
【0025】
空気駆動モータ2は、第3のスプロケット2Rを固設した回転駆動軸2Sを図3の右端部に備えており、回転駆動軸2Sは圧縮空気によって回転駆動される。
チェーン駆動用チェーン5は、搬送用回転軸41に固設された第2のスプロケット4Bと、空気駆動モータ2側の第3のスプロケット2Rに係合し、空気駆動モータ2の回転によって、第2のスプロケット4Bを介してチェーン3を駆動する。
チェーンカバー51は、チェーン駆動用チェーン5と、第2のスプロケット4Bと、第3のスプロケット2Rを覆うように形成されている。
【0026】
図1に戻り、搬送装置100の前後方向(図1では左右方向)のスプロケット4A、4B間の間隔が長いので、チェーン3の中間では、チェーン自身の重量によってチェーン3は下垂する。
フレーム1の上段水平部材12の上面には、チェーン3の進行方向の3箇所に水平部材(枕木)15が取り付けられている。そして、その3箇所の水平部材(枕木)15に跨るように、チェーン進行方向(図1では左右方向)と平行に、ガイド取り付け部材16が設置されている。そして、ガイド取り付け部材16の上面に、チェーンガイド17が設けられている。
【0027】
チェーンガイド17は、チェーン3の往路側(図1では上側)における下垂を抑制する。
図1では図示では明確には示されていないが、チェーン3の復路側においても、同様の構成により、チェーン中央の下垂を抑制している。
【0028】
図3において、左右1対のチェーン3には、左右のチェーン3を橋渡しするように板状部材(平行移動板)6が接続されている。
以下、図4を参照して、左右のチェーン3と平行移動板6との接続の態様と、ワークWを平行移動板6へ載置する態様を説明する。
【0029】
図4(図3の部分拡大図)において、往路側(搬送用回転軸41の中心線Lsの上方側)のチェーン3について説明する。連接する1対のチェーン3の向い合う側の面には、L字状部材61が取り付けられている。L字状部材61は、L字状の1辺(チェーン3と接触していない側の辺)がチェーン3の中心よりも上方に配置されており、且つ、(左右)1対のL字状部材61における当該1辺の端部が、相互に向い合うように取り付けられている。そして、L字状部材61の当該1辺(チェーン3と接触していない側の辺)の上面に、平行移動板6が、公知の手段、例えばボルトB1によって取り付けられている。
【0030】
図示の実施形態に係る搬送装置100によって搬送されるワークWとしては、例えば長手方向寸法が長い円筒状のワーク(例えば、油圧・空圧シリンダ)や、断面が四角形の角柱が適している。
ここで、平行移動板6は、搬送装置100の前後のスプロケット4A、4BにおけるUターンを円滑にするためには、板幅寸法(搬送装置100の前後方向寸法)を大きくすることができない。
また、この搬送装置100にワークを載せる作業者は、限られた時間内にワークWを平行移動板6の上に載置しなくてはならない。そして、幅方向寸法が大きくない平行移動板6から外れない様に、ワークWを載置することは困難である。そこで平行移動板6には、板の長手方向の2箇所において、異なる形状のワーク受け部材7A、7Bを取り付けている。
【0031】
図示の実施形態では、ワーク受け部材7Aは、図1の正面から見た投影面がU字状であり、ワークWの胴部を挟み込むようにしてワークWを載置するように形成されている。
ワークWは、胴部の長さLw毎に、複数の長さのワークWを取り扱うことが出来る。したがって、取り扱われる最短の長さLwを基準にして、ワーク受け部材7Aを平行移動板6へ取り付ける位置が決定される。
【0032】
上述した様に、図示の実施形態ではワークWはチルトシリンダ(油圧シリンダ)であり、図示では明確には示していないが、ワーク受け部材7Bは、チルトシリンダのネックWn(図4)と係合するように、ネックWnの断面形状に相当する切欠部を有している。
ワーク受け部材7Bは、平行移動板6の長手方向一端部近傍に、公知の手段(例えばボルトB2)によって取り付けられている。
ここで、平行移動板6は、チェーンの全ての駒に取り付けられているのではない。図示の実施形態では、チェーン3の3駒おきに取り付けられている。
【0033】
図4では、復路の平行移動板6及びワーク受け部材7A、7Bの位置が、往路におけるそれらの位置が、中心線Lsを対称軸として線対称に配置されている。
しかし、往路の平行移動板6及びワーク受け部材7A、7Bの位置と、復路の平行移動板6及びワーク受け部材7A、7Bの位置とが、中心線Lsを対称軸とした線対称の位置に配置しないことも可能である。
【0034】
図示の実施形態の搬送装置100は、安全機構として、停止スイッチ10、ストッパユニット8、取出スイッチ9、逆止ユニット20、非常停止スイッチ30、遮断弁40、安全スイッチ50、制御手段であるコントロールユニットCUが装備されている。
これらの制御回路及び制御方法については、図9のブロック図及び図10の制御フローチャートを参照して後述する。
【0035】
図5(図3の部分拡大図)は、停止スイッチ10の構成を拡大して示している。
図5において、停止スイッチ10は、スイッチ本体101、感知部102、ホルダ103及び回転軸104から構成されている。
感知部102はL字状の細い棒状体であり、ホルダ103に保持されている。ホルダ103はスイッチ本体101に軸支された回転軸104の回りで回転するように形成されている。
停止スイッチ10(の本体101)は、スイッチ取り付け部材105に取り付けられている。スイッチ取り付け部材105は公知の手段、例えばボルトBによって、前記軸受支持板43上に取り付けられており、軸受支持板43は、図2において、ワーク取出側(OUT)の下方に配置されている。
【0036】
図5において、ワークWが取出側に近づき、ワークWの一部が確認部材102に接触すると、確認部材102は回転軸104回りに回転する。そして、回転軸104が所定角度回転すると、コントロールユニットが認識し、空気駆動モータ2を停止して、チェーン3及び平行移動板6の移動を停止するので、ワークWも停止する。それに加えて、後述するストッパユニット8が作動する。
【0037】
以下、図6を参照してストッパユニット8の構成及び機能を説明する。
図6(図1の部分拡大図)は、ストッパユニット8の構成を拡大して示している。
図6において、ストッパユニット8は、シリンダ81、シリンダロッド82及びユニット取り付け部材83とで構成されている。ユニット取り付け部材83は、公知の手段によってフレーム1の水平部材13Aに固定されている。
シリンダ81は、たとえば、圧縮空気を作動流体として、圧縮空気をシリンダ81に送り込むことでシリンダロッド82を伸張する。シリンダロッド82を伸張すると、移動してきた平行移動板6の端部がシリンダロッド82の側部に当接し、平行移動板6及びチェーン3の移動を抑制する。
【0038】
詳細には、前述の停止スイッチが作動したことをコントロールユニットCUが認識し、図9で後述するエア供給回路の開閉弁V2を閉鎖して空気駆動モータ2を停止する(図9参照)。それと共に、切替弁V1を、シリンダロッド82が伸張する側に切り替える。
【0039】
図7(図1の部分拡大図)は、取出スイッチ9及び安全スイッチ50を示している。
図7において、取出スイッチ9は、スイッチ本体91、感知部92、ホルダ93及び回転軸94から構成されている。
【0040】
感知部92は「く」字状に曲げられた細い棒状体であり、ホルダ93に保持されている。ホルダ93は、スイッチ本体91に軸支された回転軸94の回りで回転するように構成されている。
取出スイッチ9(の本体91)は、板状のスイッチ取り付け部材18に取り付けられている。スイッチ取り付け部材18は、図7では示していないが、フレーム1のワーク取出側の水平部材12に公知の手段、例えばボルトよって取り付けられている(図2参照)。
【0041】
安全スイッチ50は、いわゆる「リミッター」として構成されており、ローラの付いた押圧部51を有し、移動してきたワークWが押圧部51を押圧する旨を検知している。
安全スイッチ50は、スイッチ取り付け部材18の端部(図7では左端)に、公知の手段によって取り付けられている。
【0042】
取出スイッチ9のワーク確認部材92は、ワークWが取り出される際には、必ずワークWが接触する位置に配置されている。
ここで、ワークWが取り出される直前には、前述の停止スイッチ10にワークWが接触することによって、チェーン3及び平行移動板6が停止し、ワークWも取出位置で停止する。その状態でワークWが取り出される際に、ワークWが必ず感知部92に接触し、ワーク確認部材92が回転軸回りに所定量回転する。そして、この感知部92の所定量の回転によって、ワークWが無事に搬送装置100上から装置外に取り出されたことが検知される。
【0043】
安全スイッチ50は、例えば、停止スイッチ10の作動が不良で、ワークWが所定位置(停止スイッチ10と接触して、当然に搬送が停止されるべき位置)に到達しても停止スイッチ10が作動しない場合に、安全機構として作用する。
安全スイッチ50の押圧部51は、ワークWが停止スイッチ10により停止されるべき位置を通過して、更に搬送された場合に、搬送方向前方に配置されている。そのため、ワークWが停止スイッチ10により停止されるべき位置を通過して、安全スイッチ50の押圧部51に衝突した場合に、安全スイッチ50は、ワークWが停止位置を通り過ぎた旨をコントロールユニットCUに発信する。
停止位置を通り過ぎた旨を受信したコントロールユニットCUは、詳細を図9、図10で示すように、空気駆動モータ2への圧縮空気の供給を停止させて、チェーン3の移動を停止させる。
【0044】
図8(図1の部分拡大図)は、逆止ユニット20の構成の部分断面を示している。
図8において、逆止ユニット20は、回転体21、回転軸22及び回転軸支持部材23から構成されている。
回転軸支持部材23は、板状部材23a(2枚)、23b、23cが、例えば溶接で組み立てられている。
部材23aの上方には、2枚の部材23aを貫通するように回転軸22が取り付けられ、その回転軸22回りを回転体21が回転するように構成されている。
回転支持部材23の部材23cは、公知の手段でフレームの水平部材13Aの上面に取り付けられている。
【0045】
回転体21は、その先端(図8における上方端部)の一方のコーナー(ワーク取出側のコーナー)が傾斜するようにカットされて、傾斜部21bを構成している。
そして、回転軸22が挿通される回転孔21aよりも下方領域の重量が、回転穴21aよりも上方領域の重量よりも、相当量大きくなる様に構成されている。或いは、回転体21の図8における下端近傍には、錘が取り付けられている。
回転軸支持部材23の部材23bは、その上端が、回転軸22よりも幾分低い位置となるように形成されている。
【0046】
平行移動板6の往路における通過位置は、回転体21の傾斜部21bの中央近傍となる。図8において、往路側の平行移動板6が、右方から左方に移動(正方向に移動)する際に、往路側の平行移動板6は回転体21の傾斜部21bに衝突するが、回転体21は図8の反時計回り方向には拘束されていないため、回転体21は図8の破線で示すように反時計回りに回転する。そのため、往路側の平行移動板6が、逆止ユニット20を通過する。
一方、何らかの理由により、往路側の平行移動板6が図8の左方から右方に通過しようとする場合(逆方向へ移動しようとする場合)は、回転体21が時計方向に回転しようとしても、回転体21の下方が板状部材23bによって拘束されているため、当該時計方向の回転は為し得ない。そのため、往路側の平行移動板6は、回転体21により移動が抑制されて、逆止ユニット20を通過することはできない。すなわち、いかなる場合においても、チェーン3と平行移動板6の連結体が逆方向に移動することが阻止される。
【0047】
図9は、図示の実施形態に係る搬送装置100の制御系の構成を示している。
図9において、ストッパユニット8のストッパシリンダ81は、エアラインL1によって、圧縮エア供給源300と接続されている。また、空気駆動モータ2は、エアラインL2によって、圧縮エア供給源300と接続されている。
エアラインL1には切替弁V1が介装され、エアラインL2には開閉弁V2及び遮断弁40が介装されている。
エアラインL1は、切替弁V1において、シリンダロッド82伸張側のエアラインL1−1と、シリンダロッド82収縮側のエアラインL1−2とに分岐している。
切替弁V1がエアラインL1−1に切り替えられた際には、シリンダロッド82が伸長してシリンダ81から突出する。一方、切替弁V1がエアラインL1−2側に切り替えられた際には、シリンダロッド82が収縮してシリンダ82内に収容される。
【0048】
コントロールユニットCUは、取出スイッチ9、停止スイッチ10、非常停止スイッチ30および安全スイッチ50と、入力信号ラインSiによって接続されている。また、コントロールユニットCUは、制御信号ラインLoによって、切替弁V1、開閉弁V2と接続されている。
以下、図10に基づいて、図5〜図7の各ユニットの構成及び図9をも参照して、搬送装置100における運転制御方法を説明する。
なお、図10の制御フローチャートでは、搬送装置100における制御のみならず、作業者の動作も表示している。
【0049】
図10のステップS1において、遮断弁40が開放されていれば(ステップS1がYES)、ステップS2に進む。一方、遮断弁40が遮断されていれば(ステップS1がNO)、ステップS11に進む。
図1で示すように、遮断弁40はワーク搬入側の作業者が操作可能な位置に設けられており、ワーク搬入側の作業者が作業の安全を確保する場合に遮断される。ステップS11で後述するように、遮断弁40が遮断すると、ワークWの搬送が直ちに停止される。
図示の実施形態における遮断弁40は手動式であるが、コントロールユニットCUにより自動制御される様に構成することも可能である。
【0050】
図10では明示していないが、遮断弁40が開放されている場合(ステップS1がYES)において、ステップS2に至る前の段階で、搬送中のワークWは、停止スイッチ10の感知部102で停止位置に到達したことが確認され、空気駆動モータ2への圧縮空気の供給が停止され、チェーン3の移動が停止しており、ワークWは停止状態である。
ステップS2では、停止状態のワークWを作業者が取り出す。この時、ワークWは取出スイッチ9の感知部92に触れて(ステップS3の取出スイッチON)、コントロールユニットCUは取出スイッチ9からの入力信号によってワークWが搬送装置100から取り出されたことを確認する。
【0051】
ステップS4では、コントロールユニットCUは、圧縮エア供給ラインL2の開閉弁V2に制御信号を送り、空気駆動モータ2への圧縮空気の供給を再開する。それと共に、ストッパユニット8の停止を解除するべく、圧縮エア供給ラインL1の切替弁V1に制御信号を送り、切替弁V1をシリンダロッド82が収縮する側に切り替えて、ストッパユニット8をシリンダロッド82内に収容して、ストッパを解除する。
ステップS5では、空気駆動モータ2が作動し、チェーン3の移動が再開され、且つ、ストッパ8が解除されたので、ワークWの搬送(自動送り)が再開される。
【0052】
ステップS6では、コントロールユニットCUは、何らかのトラブルが発生して、ワーク取出側の作業者が非常停止スイッチ30を押したか否かを判断する。非常停止スイッチ30を押したなら(ステップS6がYES)、ステップS11に進み、非常停止スイッチ30を押さなければ(ステップS6がNO)、ステップS7に進む。
非常停止スイッチ30は、ワーク取出側の作業者が、ワークWの取出作業の安全が確保できないと判断した場合に作動するスイッチであり、非常停止スイッチ30が作動した際には空気駆動モータ2は停止する。
【0053】
ステップS7では、コントロールユニットCUは、例えば、停止スイッチ10の不良等が原因で、安全スイッチ50が作動してしまったか否かを判断する。
安全スイッチ50が作動した場合には(ステップS7がYES)、停止スイッチ10に何らかの異常が生じた可能性が高いので、ステップS11に進む。
一方、安全スイッチ50が作動していないのなら(ステップS7がNO)、停止スイッチ10は正常に作動していると判断されるので、そのままステップS8に進む。
【0054】
ステップS11では、空気源(或いはエア源)を遮断して、空気駆動モータ2を停止する(全停止)。
ここで、空気駆動モータ2を停止する場合(全停止)には、装置100になんらかの異常が発生している場合がある。係る異常は、復旧作業等で解消することが可能であり、正常な状態に戻すことが出来る。そのため、ステップS12では、全停止が解除可能であるか否か、すなわち、装置100が正常な状態に復帰して運転再開が可能であるか否かを判断する。
全停止が解除可能であれば(ステップS12がYES)、ステップS1まで戻り、ステップS1以降を繰り返す。一方、運転再開が出来ない場合には(ステップS12がNO)、制御を終了する。
【0055】
ステップS8では、後続のワークWによって停止スイッチ10が作動し、ワークWを取り出すべく、コントロールユニットCUは、空気駆動モータ2を停止して、チェーン3及び平行移動板6の移動を停止する。それと共に、ストッパシリンダ81のロッド82を伸張して、平行移動板6の移動を抑制する(ステップS9)。
【0056】
次のステップS10では、コントロールユニットCUは、制御を終了するか否かを判断する。
未だ、運転を続行するのであれば(ステップS10がNO)、ステップS2まで戻り、再びステップS2以降を繰り返す。
【0057】
図示の実施形態によれば、ワーク取出側(OUT)にはワーク取出検知スイッチ9が設けられ、搬送が停止している状態において、ワーク取出側で作業者が受け部材7A、7BからワークWを取り出した際に、取り出されたワークWがワーク取出検知スイッチ9の感知部92に接触する様に構成されているので、ワーク取出側の作業者が別途設けたスイッチ等を操作し、或いは、作業者の足によって別途設けた釦やペダル等を踏み込まなくても、搬送装置による搬送が開始される。
【0058】
そのため、別途設けたスイッチ等を操作した場合の様に、操作時にワークWを一度降ろす必要が無く、時間ロスが起こらず、作業時間の短縮を図ることが出来る。
また、足で釦やペダル等釦を踏み込む操作が不要となるので、ワークを取り出していない状態で釦やペダルの操作をして搬送が開始されてしまい、作業者が手を挟んでしまう等の危険が防止される。すなわち、ワーク取出側において、作業者が安全に作業することが出来る。
【0059】
図示の実施形態において、ワーク取出側に停止スイッチ10を設け、搬送中のワークWが停止スイッチ10の感知部102に接触すると、空気駆動モータ2を停止して、チェーン3及び平行移動板6の移動を停止する。そのため、ワークWが作業者により取り出されるべき位置まで搬送される度毎に、搬送が停止される。そして上述した様に、ワークWが取り出される際にワーク取出検知スイッチ9によって搬送が再開される。
その結果、本発明による搬送は、ワークWが取り出される毎に、板状部材(平行移動版)6の間隔ずつ(1ピッチずつ)に断続的に行なわれることになる。
【0060】
また、本発明において、ストッパユニット8を設け、搬送が停止される毎にストッパユニット8を直上の平行移動板6と係合する様に構成しているので、搬送が停止した際に、平行移動板6はストッパユニット8を介して搬送装置100の基礎となるベース部材13Aと一体化し、異常事態により急に搬送が再開されてしまうことはない。そのため、作業の安全性が担保される。
【0061】
図示の実施形態において、搬送中のワークWが接触すると搬送装置全体を停止する非常停止信号を発信する安全スイッチ50を設けているので、搬送中のワークWが停止スイッチ10の感知部102に接触しても搬送停止とならずにワーク取出側に向かって移動してしまった場合でも、当該ワークWが安全スイッチ50と当接することにより搬送が停止される。したがって、ワーク取出側における作業の安全が確保される。
【0062】
ここで、図示の実施形態に係る搬送装置100は、駆動源として空気圧で駆動する空気駆動モータ2を装備しているので、既存のエア駆動システムと合わせて、いわゆる「オールエアシステム」が実現することが出来る。係る「オールエアシステム」が実現出来れば、省スペース化を図ることが出来ると共に、各種コストを低減することが可能である。
【0063】
それに加えて、チェーン3及び平行移動板6が所定の搬送方向へ移動する際には妨害しないが、逆方向へ移動することを抑止する逆止ユニット20を設けているので、搬送方向が急に逆転することにより、ワークWが散乱したり、作業者の手に衝突したりする危険を防止することが出来る。
【0064】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記載ではないことを付記する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態の側面図。
【図2】図1に対する平面図。
【図3】図1、図2に対する正面図。
【図4】チェーンと板状部材の接続状態及びワーク受け部材の板状部材への取り付け状態を説明する図。
【図5】実施形態に関する停止スイッチの構成図。
【図6】実施形態に関するストッパユニットの構成図。
【図7】実施形態に関する取出スイッチ及び安全スイッチの構成図。
【図8】実施形態に関する逆止ユニットの構成図。
【図9】本発明の制御システムの構成を示すブロック図。
【図10】本発明の搬送システムの運転制御を説明する制御フローチャート。
【符号の説明】
【0066】
1・・・フレーム
2・・・エア駆動モータ
3・・・エンドレスチェーン/チェーン
4A、4B・・・スプロケット
5・・・エンドレスチェーン駆動用チェーン
6・・・板状部材/平行移動板
7A、7B・・・ワーク受け部材
8・・・ストッパユニット
9・・・取出スイッチ
10・・・停止スイッチ
20・・・逆止ユニット
30・・・非常停止スイッチ
40・・・遮断弁
50・・・安全スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に配置された複数の板状部材(6)と、複数の板状部材が取り付けられ且つワーク供給側とワーク取出側との間を無限循環するチェーン(3)とを有し、板状部材(6)の長手方向に対して垂直な方向にワーク(W)を搬送する搬送装置(100)において、板状部材(6)の各々はワーク載置用の受け部材(7A、7B)を備え、ワーク取出側にはワーク取出検知スイッチ(9)が設けられ、ワーク取出検知スイッチ(9)は感知部(92)にワークが接触すると制御装置(CU)に感知信号を発信する機能を有しており、制御装置(CU)は、搬送停止状態でワーク取出側に位置している板状部材(6)の受け部材(7A、7B)からワーク(W)が取り出されてワーク取出検知スイッチ(9)の感知部(92)に接触するとチェーン(3)を移動して搬送を開始する機能を有していることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
ワーク取出側には停止スイッチ(10)が設けられて、該停止スイッチ(10)は感知部(102)にワークが接触すると制御装置(CU)に感知信号を発信する機能を有しており、前記制御装置(CU)は、搬送中のワーク(W)が停止スイッチ(10)の感知部(102)に接触すると搬送を停止する機能を有している請求項1の搬送装置。
【請求項3】
搬送装置の基礎となるベース部材(13A)と、該ベース部材(13A)に取り付けられたストッパ装置(8)とを備え、該ストッパ装置(8)は、チェーン(3)の移動が停止して搬送停止状態となった場合に、直上の板状部材(6)と係合する係合部材(82)を有している請求項2の搬送装置。
【請求項4】
搬送中のワーク(W)が接触すると搬送装置(100)全体を停止する非常停止信号を発信する安全スイッチ(50)を設けており、該安全スイッチ(50)はワーク取出側に設けられており、搬送中のワーク(W)が停止スイッチ(10)の感知部(102)に接触しても搬送停止とならずにワーク取出側に向かって移動した際にワーク(W)と当接する位置に設けられている請求項2、3の何れかの搬送装置。
【請求項5】
チェーン(3)及び板状部材(6)を移動する動力源として作用するアクチュエータ(2)を有し、該アクチェエータ(2)は空気圧で駆動する様に構成されており、制御装置(CU)からの制御信号により駆動・停止する機能を有している請求項1〜4の何れか1項の搬送装置。
【請求項6】
チェーン(3)及び板状部材(6)が受け部材(7A、7B)にワーク供給側でワーク(W)を載置された状態ではワーク供給側からワーク取出側に向かって移動し、ワーク取出側でワーク(W)を取り出された後はワーク取出側からワーク供給側に向かって移動することは妨害しないが、チェーン(3)及び板状部材(6)が逆方向へ移動することを抑止する逆止ユニット(20)を設けている請求項1〜5の何れか1項の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−30694(P2010−30694A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191571(P2008−191571)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】