説明

搬送装置

【課題】発塵性を改善可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置は、中空状の柱部20と、柱部20の側面に、柱部20の長手方向に沿って形成される開口部21と、柱部20内において長手方向に移動可能に設けられ、先端が開口部21を通じて外部に突出するスライドベース40と、スライドベース40の先端に設置され、搬送物を支持可能な支持部と、長手方向に延設され、開口部21と対応する位置において対向するように配置される第1通路51及び第2通路52と、第1通路51の第2通路52と対向する面に長手方向に形成される第1開口スリット51Aと、第2通路52の第1通路51と対向する面に長手方向に形成される第2開口スリット52Cと、第1開口スリット51Aから第2開口スリット52Cにガス流体が流れるように、第1通路51内にガス流体を供給する供給部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、待機位置にある台車に載置された搬送物を挟持部によって挟持し、挟持部をマストに対して昇降及び旋回させて、搬送物を待機位置とは異なる位置にある台車まで搬送するリフト式の搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−91148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リフト式の搬送装置を医薬品や食品、化学品等の製造工程において使用する場合には、衛生上の観点から、搬送装置動作時に塵や埃が舞い上がらないように配慮する必要がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のリフト式の搬送装置は、塵や埃の舞い上がりについては全く考慮しておらず、搬送装置動作時に発塵しやすい構造となっていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、発塵性を改善可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送装置は、中空状の柱部と、柱部の側面に、柱部の長手方向に沿って形成される開口部と、柱部内において長手方向に移動可能に設けられ、先端が開口部を通じて外部に突出するスライドベースと、スライドベースの先端に設置され、搬送物を支持可能な支持部と、長手方向に延設され、開口部と対応する位置において対向するように配置される第1通路及び第2通路と、第1通路の第2通路と対向する面に長手方向に形成される第1開口スリットと、第2通路の第1通路と対向する面に長手方向に形成される第2開口スリットと、第1開口スリットから第2開口スリットにガス流体が流れるように、第1通路内にガス流体を供給する供給部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1通路と第2通路との間に開口部を横切るガス流体流れが生起される。そのため、スライドベースの移動時等に塵や埃が柱部内で舞い上がっても、塵等が開口部を通過するのを生起されたガス流体流れによって遮ることができる。これにより、塵等が外部に飛散することを抑制でき、搬送装置における発塵性を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるリフト式搬送装置の側面図である。
【図2】リフト式搬送装置のマストの横断面図である。
【図3】リフト式搬送装置の側面図である。
【図4】リフト式搬送装置の平面図である。
【図5】気流制御ユニットの正面図である。
【図6】気流制御ユニットの第1通路の側面図である。
【図7】気流制御ユニットの第2通路の側面図である。
【図8】第2の実施形態におけるリフト式搬送装置のマストの横断面図である。
【図9】気流制御ユニットの第1通路に設けられるガイド溝を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態におけるリフト式搬送装置100の構造について説明する。図1はリフト式搬送装置100の側面図であり、図2はリフト式搬送装置100のマスト20の横断面図である。
【0011】
図1に示すリフト式搬送装置100は、薬剤製造装置によって製造された薬剤を貯蔵する受容器(搬送物)1を昇降して搬送する装置である。リフト式搬送装置100は、固定ベース2と、固定ベース2上に配設される回転筒10と、回転筒10に支持されるマスト(柱部)20と、受容器1を支持可能な支持部30と、支持部30をマスト20に対して昇降可能に設置するスライドベース40と、を備える。
【0012】
固定ベース2は、床面の所定位置に設けられた基礎部上に、アンカーボルト3によって固定される。
【0013】
回転筒10は、円筒状の枠体であって、固定ベース2の上面に設けられる。回転筒10の中心軸は固定ベース2の中心軸と一致しており、回転筒10は、中心軸を回転軸とし、固定ベース2に対して回転可能に配設される。回転筒10の内周壁には、回転筒10を回転させるための駆動モータ11が固定されている。駆動モータ11の出力軸に取り付けられた駆動ギア12は固定ベース2に固定された固定ギア(図示省略)と噛合する。駆動モータ11によって駆動ギア12が回転することで、回転筒10は固定ベース2に対して回転する。駆動モータ11の正転時には回転筒10は時計回りに回転し、駆動モータ11の逆転時には反時計回りに回転する(図4参照)。
【0014】
マスト20は、上下方向に延設された中空の矩形枠体であって、回転筒10の上面を上下方向に貫通した状態で回転筒10に固定される。回転筒10の内部に位置するマスト20の下端は、固定ベース2の底面に突出形成された支持軸4によって回転可能に支持される。このようにマスト20は、回転筒10と一体回転するように構成されている。また、マスト20の上端は、上部カバー7によって閉止されている。本実施形態のリフト式搬送装置100では、マスト20は回転筒10及び固定ベース2によって自立可能に支持されているため、従来よりもマスト20の交換等を容易に行うことができる。
【0015】
図2に示すように、マスト20の一側面には上下方向(マスト20の長手方向)に開口部21が形成されており、開口部21に対向するマスト20の内部側面には一対のレール22が設けられている。これらレール22は、上下方向に延設されており、互いに平行に配置されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、マスト20の内部には、ねじ軸23が上下方向に延設されている。ねじ軸23の上端及び下端は、マスト20の内部側面に設けられた軸受け部24によって回転可能に支持される。また、ねじ軸23の下端は、減速機構25を介して駆動モータ26の出力軸に接続する。駆動モータ26は、マスト20の下端に固定されている。
【0017】
上記したマスト20には、支持部30を支持するスライドベース40が昇降可能に配設される。
【0018】
図2に示すように、スライドベース40は、レール22に対して摺動自在に設けられるベース板41と、ベース板41に設けられねじ軸23を挿通させる挿通部42と、挿通部42の先端面からマスト20の開口部21を通って外部に突出する一対の突出部43と、これら突出部43の先端に形成されるとともに支持部30が取り付けられる取付板44とを備える。
【0019】
また、スライドベース40は、図1に示すように、挿通部42よりも上方のベース板41に、ねじ軸23と螺合するナット部45を有している。したがって、ねじ軸23が駆動モータ26によって回転駆動されると、スライドベース40はレール22に沿って上下方向に移動する。駆動モータ26の正転時にはスライドベース40は上昇し、駆動モータ26の逆転時にはスライドベース40は下降する。
【0020】
スライドベース40の取付板44には、受容器1を支持可能な支持部30が取り付けられる。支持部30は、取付板44から水平に延設される軸部31と、軸部31の先端に設けられる壁部32と、壁部32の下角部から水平に延設されるアーム部33と、アーム部33に形成される一対の係合突起34とを備える。
【0021】
支持部30は、コンベア装置5Aに載置されている受容器1の係合受部1A内に係合突起34を挿入した状態で、受容器1を下側から支持する。なお、コンベア装置5Aは、前工程から送られてきた受容器1をリフト式搬送装置100の近くまで搬送する装置であって、受容器1の係合受部1Aと支持部30の係合突起34が係合する位置まで受容器1を搬送する。
【0022】
リフト式搬送装置100は、マスト20の外部側面に制御装置6を備えている。制御装置6は、操作者によって操作され、スライドベース40を昇降させる駆動モータ26や回転筒10を回転させる駆動モータ11の動作を制御する。
【0023】
上記したリフト式搬送装置100では、回転筒10の幅をマスト20の幅よりも大きく設定し、駆動モータ11、26等の重量物を回転筒10内に収納することで、リフト式搬送装置100の低重心化を図っている。そのため、地震等が発生しても、リフト式搬送装置100の上部の揺れを抑制することができる。
【0024】
次に、図3及び図4を参照して、リフト式搬送装置100による受容器1の搬送について説明する。図3はリフト式搬送装置100の側面図であり、図4はリフト式搬送装置100の平面図である。
【0025】
図3に示すように、リフト式搬送装置100は、コンベア装置5Aに載置されている受容器1を、別のコンベア装置5Bまで搬送する。
【0026】
リフト式搬送装置100の支持部30は、コンベア装置5A上方の所定の待機位置で待機している。コンベア装置5Aによって受容器1が支持部30の待機位置まで搬送され、受容器1の係合受部1Aと支持部30の係合突起34が係合した後に、リフト式搬送装置100の駆動モータ26が正転駆動される。駆動モータ26が正転駆動されると、支持部30の一対の係合突起34が受容器1を支持した状態で、支持部30が図3の実線矢印に示すように上昇する。
【0027】
受容器1の最下面がコンベア装置5Bよりも高くなる所定位置で駆動モータ26の動作が停止され、支持部30の上昇が停止する。その後、リフト式搬送装置100の駆動モータ11が正転駆動され、図3の破線矢印及び図4に示すように、回転筒10の回転に伴って支持部30がマスト20を中心に時計回りに旋回する。
【0028】
図3に示すように、支持部30に支持された受容器1がコンベア装置5Bの上方位置まで移動すると、駆動モータ11の動作が停止され、支持部30の旋回が停止する。その後、リフト式搬送装置100の駆動モータ26が逆転駆動され、支持部30が下降する。支持部30に支持された受容器1がコンベア装置5Bに載置された時点で、駆動モータ26の動作が停止され、支持部30の下降が停止する。このように移送された受容器1はコンベア装置5Bによって次工程に搬送され、支持部30は所定の待機位置まで戻る。
【0029】
ところで、上記したリフト式搬送装置100ではマスト20に開口部21が形成されているため、支持部30の昇降時や旋回時に、マスト20内に溜まった塵や埃がマスト20が外部に舞い上がるおそれがある。
【0030】
そこで、リフト式搬送装置100は気流制御ユニット50を備え、気流制御ユニット50によってマスト20の開口部21の前方の気流を制御することで、マスト20内からの発塵を抑制する。
【0031】
図2、図5〜図7を参照して、気流制御ユニット50について説明する。図5は、気流制御ユニット50の正面図である。図6は気流制御ユニット50の第1通路51の側面図であり、図7は気流制御ユニット50の第2通路52の側面図である。
【0032】
図2及び図5に示すように、気流制御ユニット50は、開口部21と対応する位置、つまりマスト20の開口部21の前方に配置される。気流制御ユニット50は、上下方向に延設される第1通路51と、第1通路51と対向するように配設される第2通路52と、第1通路51内に空気(ガス流体)を供給する供給ポンプ(供給部)53と、第2通路52内の空気を排出する排出ポンプ(排出部)54とを備える。
【0033】
第1通路51は、中空の矩形枠体から構成されており、マスト20の開口部21の前方であって、スライドベース40に形成される一対の突出部43の間を挿通するように配置される。第1通路51の上部には空気供給路55が接続しており、この空気供給路55には供給ポンプ53が設置される。供給ポンプ53より下流の空気供給路55には、空気供給路55を開閉する開閉弁55Aが設置される。
【0034】
第2通路52は、中空の矩形枠体から構成されており、第1通路51の両側方において上下方向に延設される2つの直線通路52Aと、第1通路51の下方において2つの直線通路52Aの下端を連通する連通路52Bとを備える。
【0035】
直線通路52Aは、図2に示すように、開口部21が形成されるマスト側面の壁面部27の前方に配置される。2つの直線通路52Aは、スライドベース40の突出部43の外側に平行に配置される。図5に示すように、直線通路52Aの上部には空気排出路56が接続しており、この空気排出路56には集塵機能を有する排出ポンプ54が設置される。排出ポンプ54よりも上流の空気排出路56には、空気排出路56を開閉する開閉弁56Aが設置される。
【0036】
図6に示すように、第1通路51は、第2通路52の直線通路52Aと対向する側面に上下方向に形成される開口スリット(第1開口スリット)51Aと、開口スリット51Aの開口幅を調整するための一対の板部材51Bと、を備える。開口スリット51Aの開口幅は、一対の板部材51Bの設置間隔を変更することで調整可能となっている。本実施形態では板部材51Bは平行に配置されており、開口スリット51Aの開口幅は上下方向において一定となっている。
【0037】
なお、図6においては、第2通路52の直線通路52Aと対向する一方の第1通路51の側面について示したが、他方の第1通路51の側面についても同様の構成となっている。また、第1通路51と対向する直線通路52Aの側面についても同様の構成となっており、第2通路52の直線通路52Aの側面には、図7に示すように、上下方向に形成される開口スリット(第2開口スリット)52C及び開口スリット52Cの開口幅を調整する一対の板部材52Dが設けられる。
【0038】
次に、図5を参照して、気流制御ユニット50による気流制御について説明する。
【0039】
リフト式搬送装置100によって受容器1の搬送が開始されると、制御装置6(図1参照)によって、供給ポンプ53及び排出ポンプ54が駆動され、開閉弁55A、56Aが開弁される。
【0040】
供給ポンプ53が駆動されると、空気が空気供給路55を通って第1通路51内に供給される。第1通路51内に供給された空気は、板部材51Bによって開口幅が調整された開口スリット51Aを介して外部に排出される。この時、排出ポンプ54も駆動されているので、第1通路51から排出された空気と、外気とが、板部材52Dによって開口幅が調整された開口スリット52Cを介して第2通路52の直線通路52A内に吸い込まれる。
【0041】
これにより、第1通路51と第2通路52の直線通路52Aとの間には、図5の矢印に示すようにマスト20の開口部21の前方を横切る空気流れが生起される。そのため、スライドベース40が昇降したり、回転筒10が回転したりして、マスト20内で塵や埃が舞い上がっても、生起された空気流れによって塵等の開口部21の通過が遮られる。マスト20内で舞い上がった塵等は、空気とともに直線通路52A内に吸込まれ、集塵機能を有する排出ポンプ54を通過する時に除去される。
【0042】
また、リフト式搬送装置100では、図1及び図5に示すように、マスト20の内部にスライドベース40よりも上方の開口部21を覆う上部シート61及びスライドベース40よりも下方の開口部21を覆う下部シート62を設け、搬送装置動作時における発塵抑制効果を高めている。
【0043】
上部シート61はマスト20の上部に配置された巻取りロール63によって巻取、巻出可能となっており、上部シート61の先端はスライドベース40の突出部43の上面に取り付けられている。下部シート62はマスト20の下部に配置された巻取りロール64によって巻取、巻出可能となっており、下部シート62の先端はスライドベース40の突出部43の下面に取り付けられている。したがって、スライドベース40が昇降しても、スライドベース40よりも上方の開口部21を上部シート61によって覆うことができ、スライドベース40よりも下方の開口部21を下部シート62によって覆うことができる。このように上部シート61及び下部シート62によってマスト20の開口部21を覆うので、マスト20内で舞い上がった塵等が外部に飛散することを抑制できる。
【0044】
上記したリフト式搬送装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0045】
リフト式搬送装置100は、開口部21が形成されるマスト側面の前方に、開口スリット51Aを有する第1通路51及び開口スリット52Cを有する第2通路52の直線通路52Aを備え、第1通路51内に空気を供給するとともに第2通路52内から空気を排出することで、第1通路51と直線通路52Aとの間に開口部21の前方を横切る空気流れを生起する。そのためスライドベース40が昇降したり、回転筒10が回転したりして、塵や埃がマスト20内で舞い上がっても、生起された空気流れによって塵等の開口部21の通過を遮断でき、塵等が外部に飛散することを抑制することができる。
【0046】
第1通路51及び第2通路52の直線通路52Aには、開口スリット51A、52Cの開口幅を調整するための板部材51B、52Dが設けられる。板部材51B、52Dの間隔を調整することで開口スリット51A、52Cの開口幅を変更できるので、第1通路51と直線通路52Aとの間に生起される空気流れの強さを調整することができる。本実施形態のように板部材51B、52Dを上下方向に平行に配置すると、第1通路51の開口スリット51Aから排出される空気は空気供給路55と第1通路51の接続位置(空気供給位置)から離れるほど少なくなり、第2通路52の直線通路52Aの開口スリット52Cから吸い込まれる空気は空気排出路56と直線通路52Aの接続位置(空気排出位置)から離れるほど少なくなる。そのため、第1通路51及び直線通路52Aの下端ほど生起される空気流れが弱くなり、生起される空気流れの強さは上下方向において不均一なってしまう。このような場合には、空気供給位置から離れるほど開口スリット51Aの開口幅が大きくなるように板部材51Bの間隔を設定するとともに、空気排出位置から離れるほど開口スリット52Cの開口幅が大きくなるように板部材52Dの間隔を設定することで、生起される空気流れの強さを上下方向において均一にすることができる。これにより、マスト20内からの塵等の飛散をより抑制することが可能となる。
【0047】
また、マスト20内で舞い上がった塵等は、空気とともに直線通路52A内に吸込まれ、集塵機能を有する排出ポンプ54を通過する時に除去される。したがって、マスト20内に塵や埃が溜まり難く、塵等の舞い上がり発生を抑えることができる。
【0048】
さらに、リフト式搬送装置100は、マスト20の内部に、スライドベース40よりも上方の開口部21を覆う上部シート61及びスライドベース40よりも下方の開口部21を覆う下部シート62を備えるので、マスト20内からの塵等の飛散をより抑制することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図8を参照して、第2の実施形態におけるリフト式搬送装置100について説明する。図8は、リフト式搬送装置100のマスト20の横断面図である。
【0050】
第2実施形態のリフト式搬送装置100は、第1実施形態とほぼ同様の構成であるが、支持部30をスライドベース40に対して回転可能に構成する点において相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0051】
スライドベース40の取付板44には、水平方向に貫通し、支持部30の軸部31を回転自在に支承する支承部44Aが形成される。支承部44Aに支承される軸部31は、その後端が取付板44の裏面から突出する。軸部31の後端には、リンク35が取り付けられる。
【0052】
リンク35は、クランク状の連結部材である。リンク35の先端35Aは軸部31の後端中心に固定され、リンク35の後端35Bは気流制御ユニット50の第1通路51の前面に設けられるガイド溝(溝部)70に摺動自在に係合する。
【0053】
図9を参照して、ガイド溝70について説明する。図9は、気流制御ユニット50の第1通路51の正面図である。
【0054】
図9に示すように、ガイド溝70は、第1通路51の下部及び上部に設けられる第1直線溝71及び第2直線溝72と、第1直線溝71の上端から上方に延設される第1傾斜溝73と、第1傾斜溝73の上端と第2直線溝72の下端とを接続する第2傾斜溝74と、を備える。
【0055】
第1直線溝71及び第2直線溝72は、支持部30の軸部31の軸心と直交するように上下方向に延設される。
【0056】
第1傾斜溝73は、上部ほど支持部30の軸部31の軸心から離れるように、上下方向に対して傾斜する。また、第2傾斜溝74は、下部ほど支持部30の軸部31の軸心から離れるように、上下方向に対して傾斜する。
【0057】
図9を参照して、受容器1を上昇搬送する場合における支持部30の回転について説明する。
【0058】
支持部30が所定の待機位置にある場合には、リンク35の後端35Bは第1直線溝71の下端に位置している。この時、リンク35の先端35Aが固定される支持部30の軸部31は、リンク35の後端35Bの直下方に位置している。
【0059】
駆動モータ26が駆動されて支持部30が上昇すると、支持部30の軸部31の上昇に伴って、リンク35の後端35Bが第1直線溝71に沿って上方に移動する。第1直線溝71を移動している時には、支持部30の軸部31は回転しない。
【0060】
支持部30が上昇して、リンク35の後端35Bが第1直線溝71から第1傾斜溝73に沿って移動し始めると、リンク35の後端35Bが軸部31の軸心から離間し始める。これにより、リンク35の先端35Aに固定された軸部31が時計回りに回転し、支持部30が軸部31を中心に回転し始める。リンク35の後端35Bが第1傾斜溝73の上端まで移動した時には、リンク35の後端35Bは軸部31の軸心から最も離れ、リンク35は水平状態となる。これにより、支持部30は待機位置にあった状態から90°回転し、受容器1は横倒し状態となる。なお、支持部30の係合突起34と受容器1の係合受部1Aは、支持部30が回転して受容器1が横倒し状態になっても落下しないように係合している。
【0061】
支持部30がさらに上昇して、リンク35の後端35Bが第1傾斜溝73から第2傾斜溝74に沿って移動し始めると、リンク35の後端35Bは、軸部31よりも下方となり、軸部31の軸心に接近し始めるので、軸部31がさらに回転する。そして、リンク35の後端35Bが第2傾斜溝74の上端に到達した時には、支持部30は待機位置にあった状態から180°回転し、受容器1は反転状態となる。
【0062】
リンク35の後端35Bが第2傾斜溝74から第2直線溝72に移動すると、支持部30が上昇しても、リンク35の後端35Bは軸部31の軸心と直交する線上を移動するため、支持部30は回転しない。したがって、支持部30に支持された受容器1は、反転状態のまま上昇する。
【0063】
上記したリフト式搬送装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0064】
リフト式搬送装置100では、支持部30の昇降時にリンク35の後端35Bがガイド溝70に沿って移動することで、リンク35の先端35Aに固定された軸部31をスライドベース40に対して回転させることができる。これにより、アクチュエータ等を設けることなく支持部30を回転させることができ、比較的簡素な構成で支持部30に支持された受容器1を回転させることが可能となる。
【0065】
また、リフト式搬送装置100では、支持部30の上昇時にリンク35の後端35Bを第1直線溝71から第2直線溝72まで移動させることで、受容器1を180°回転させることができる。したがって、例えば受容器1の薬剤取出口が上面に設置されている場合には、受容器1を反転状態にすることによって薬剤取出口を下向きにすることができ、次工程において受容器1に蓄えられた薬剤を容易に落下供給することができる。
【0066】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0067】
第1及び第2実施形態のリフト式搬送装置100は、薬剤を蓄える受容器1を搬送する装置としたが、塵や埃等の飛散が問題となる食品分野や化学品分野における受容器を搬送する装置としてもよい。
【0068】
また、第1及び第2実施形態のリフト式搬送装置100では、ねじ軸23及びナット部45等から構成されるボールねじ機構によってスライドベース40を昇降させるように構成したが、マスト20の内部に駆動スプロケット及び従動スプロケットを配置し、スライドベース40を設置したチェーンやベルトをこれらスプロケットに巻き掛け、駆動スプロケットを駆動モータ26で駆動させることで、スライドベース40を昇降させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、搬送物を搬送する搬送装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
100 リフト式搬送装置
1 受容器
10 回転筒
20 マスト
21 開口部
30 支持部
31 軸部
35 リンク
35A 先端
35B 後端
40 スライドベース
44 取付板
44A 支承部
50 気流制御ユニット
51 第1通路
51A 開口スリット
51B 板部材
52 第2通路
52A 直線通路
52C 開口スリット
52D 板部材
53 供給ポンプ
54 排出ポンプ
61 上部シート
62 下部シート
70 ガイド溝
71 第1直線溝
72 第2直線溝
73 第1傾斜溝
74 第2傾斜溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送する搬送装置において、
中空状の柱部と、
前記柱部の側面に、前記柱部の長手方向に沿って形成される開口部と、
前記柱部内において前記長手方向に移動可能に設けられ、先端が前記開口部を通じて外部に突出するスライドベースと、
前記スライドベースの先端に設置され、前記搬送物を支持可能な支持部と、
前記長手方向に延設され、前記開口部と対応する位置において対向するように配置される第1通路及び第2通路と、
前記第1通路の前記第2通路と対向する面に前記長手方向に形成される第1開口スリットと、
前記第2通路の前記第1通路と対向する面に前記長手方向に形成される第2開口スリットと、
前記第1開口スリットから前記第2開口スリットにガス流体が流れるように、前記第1通路内にガス流体を供給する供給部と、
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記第1開口スリットから排出されたガス流体を前記第2開口スリットから前記第2通路内に吸い込むように、前記第2通路内のガス流体を排出する排出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1通路に設けられ、設置間隔を調整することで前記第1開口スリットの開口幅を変更可能な一対の第1板部材と、
前記第2通路に設けられ、設置間隔を調整することで前記第2開口スリットの開口幅を変更可能な一対の第2板部材と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1板部材は、前記供給部と前記第1通路の接続位置から離れるほど前記第1開口スリットの開口幅が大きくなるように配置され、
前記第2板部材は、前記排出部と前記第2通路の接続位置から離れるほど前記第2開口スリットの開口幅が大きくなるように配置されることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記柱部内において前記柱部と前記スライドベースとの間に配設され、前記開口部を覆うシートを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記支持部に形成され、前記スライドベースに回転可能に支承される軸部と、
前記長手方向に沿って延設される直線溝と、前記直線溝から前記長手方向に対して傾斜して延設される傾斜溝とから構成される溝部と、
一端が前記軸部の後端中心に固定され、他端が前記溝部に摺動可能に係合するリンクと、を備え、
前記リンクの他端が前記溝部に沿って移動することで、前記リンクの一端に固定された前記軸部を回転させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−230887(P2011−230887A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102270(P2010−102270)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(510046309)株式会社キット (2)
【Fターム(参考)】