搬送装置
【課題】搬送経路によって記録媒体の搬送方向が変化しても、記録媒体の斜行の矯正を行うことができる搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明の搬送装置は、記録媒体が搬送される搬送経路10と、第1のローラ対と、第2のローラ対とを有する。第1のローラ対は、搬送経路10に位置し、駆動ローラ301と従動ローラ401とで構成される。第2のローラ対は、記録媒体の搬送方向で、第1のローラ対の下流側に位置し、第1のローラ対によって搬送された記録媒体を搬送する。駆動ローラ301は、第2のローラ対により記録媒体の先端が止められた状態でさらに記録媒体を搬送することによって記録媒体から受ける搬送抵抗に応じて、従動ローラ401に向けて移動する。また、従動ローラ401は、駆動ローラ301の移動に追従して移動する。第2のローラ対で記録媒体を搬送するときには、駆動ローラ301は空転する。
【解決手段】本発明の搬送装置は、記録媒体が搬送される搬送経路10と、第1のローラ対と、第2のローラ対とを有する。第1のローラ対は、搬送経路10に位置し、駆動ローラ301と従動ローラ401とで構成される。第2のローラ対は、記録媒体の搬送方向で、第1のローラ対の下流側に位置し、第1のローラ対によって搬送された記録媒体を搬送する。駆動ローラ301は、第2のローラ対により記録媒体の先端が止められた状態でさらに記録媒体を搬送することによって記録媒体から受ける搬送抵抗に応じて、従動ローラ401に向けて移動する。また、従動ローラ401は、駆動ローラ301の移動に追従して移動する。第2のローラ対で記録媒体を搬送するときには、駆動ローラ301は空転する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置において記録媒体の搬送を行う搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録装置の普及が進むとともに、記録の高画質化、記録装置の小型化、コストダウンが求められている。
【0003】
一般的に、高画質の記録を行うときに使用される、シート状の記録媒体は剛性が高いため、記録装置の上部から記録媒体を供給し、記録部で記録を行った後に、記録装置の前部に設けられた排紙部に排紙している(以降、「ストレート搬送」とする)。このようにすることで、記録装置内で極力、記録媒体が屈曲する必要がないようにしている。一方、通常の記録を行うときに使用される記録媒体の剛性は低い。そのため、このような記録媒体は、一般的に、大量に積載可能となっている記録装置の前部の積載部に積載され、1枚ずつ記録媒体が記録装置内に供給される。そして、U字状になっている搬送経路により搬送方向が反転させられ、その後、記録部で記録媒体への記録が行われる。記録終了後、記録媒体は、記録装置の前部に設けられた排紙部に排紙される(以降、「Uターン搬送」とする)。
【0004】
以上のように、一般的な記録装置の場合、画質や記録媒体の質の違いよって記録媒体の搬送経路を変化させていた。しかしながら、記録装置の小型化やコストダウンの観点から、ストレート搬送とUターン搬送の2種類の搬送ではなく、Uターン搬送のみが行われることが望ましい。
【0005】
Uターン搬送をするためには、少なくとも3つの部材が必要である。1つ目は、シート状の記録媒体を搬送経路内に供給する給紙ローラである。2つ目は、記録媒体に記録を行う記録部の上流に位置し、搬送経路を搬送されてくる記録媒体を記録部に搬送する搬送ローラ(以降、「LFローラ」とする)である。3つ目は、給紙ローラとLFローラの間で記録媒体を反転、つまり表裏を逆転させる、U字状の搬送経路(以降、「Uターンパス」とする)である。しかしながら、高画質用の剛性の高い記録媒体を座屈やクセをつけることなく反転させるには、Uターンパスの径をある程度大きくする必要がある。
【0006】
Uターンパスの径を大きくしてしまうと、記録媒体は、ほぼUターンパスの内面の外側に沿って搬送されるため、Uターンパス内での記録媒体の搬送距離が長くなる。しかしながら、小さいサイズ、例えば長さ127mmのL判サイズの記録媒体を搬送するには、給紙ローラとLFローラとの間の距離を127mmより小さくする必要がある。実際は、給紙ローラとLFローラの間隔を127mmより小さくすることは困難なため、Uターンパスの径を大きくする場合は、一般的に、この2つのローラの間に中間ローラを設けている。
【0007】
給紙ローラとLFローラと中間ローラとが設けられた記録装置において、記録媒体が給紙ローラから中間ローラを介しLFローラに搬送されるときに、斜行して搬送される場合がある。そのため、一般的に、LFローラを停止または逆回転(記録媒体を搬送する回転方向とは逆の回転)させた状態で、中間ローラから搬送された記録媒体の先端を、LFローラを有するローラ対に突き当てて、先端を揃えることで、斜行の矯正をしている。
【0008】
しかしながら、中間ローラと、中間ローラと対となる従動ローラと、で構成されるローラ対で記録媒体を挟持し続けているので、中間ローラの位置での記録媒体の斜行は矯正されない。そのため、LFローラを有するローラ対と中間ローラを有するローラ対とに挟持されている記録媒体にはねじれが生じてしまう。この記録媒体のねじれによって、以後の搬送においても記録媒体の幅方向の両端に働く搬送力に違いが生じ、記録媒体を斜送させてしまう。
【0009】
この課題に対処する方法として、中間ローラを一旦記録媒体から離間させることで、記録媒体のねじれを解消する方法がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許明細書7533878号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
記録媒体の先端の斜行の矯正を行う際には、LFローラを停止または逆回転させた状態で、中間ローラによって記録媒体を搬送して、記録媒体の先端をLFローラに突き当てる。記録媒体の先端の斜行を矯正するためには、記録媒体の幅方向の両端がLFローラを有するローラ対に突き当たるまで、中間ローラによって記録媒体を搬送し続ける必要がある。
【0012】
LFローラを有するローラ対に記録媒体の先端を突き当てた状態では記録媒体の先端は移動できないにもかかわらず、記録媒体は中間ローラによって搬送され続ける。そのため、剛性の低い記録媒体の場合、LFローラと中間ローラとの間のUターンパス内で屈曲する。しかしながら、剛性の高い記録媒体の場合、LFローラと中間ローラの間のUターンパス内で屈曲できず、中間ローラに対して大きな搬送抵抗を生じさせる。
【0013】
特許文献1に開示された構成の場合は、中間ローラを記録媒体から離間可能にするために、スイングアームによって中間ローラが支持されている。しかしながら、中間ローラがスイングアームに支持されていることで、搬送抵抗が増大すると力のモーメントが作用して、中間ローラの、中間ローラに対となる従動ローラを押し込む力(以降、「喰い込み力」とする)が増大する。喰い込み力が大きくなることで中間ローラと従動ローラとのローラ対で記録媒体を強く挟持するため、記録媒体が中間ローラによって搬送されにくくなり、その結果、記録媒体の先端の斜行が矯正されないままになる場合がある。
【0014】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録媒体の斜行の矯正を行うことができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の搬送装置には、記録媒体が搬送される搬送経路と、第1のローラ対と、第2のローラ対とが設けられている。第1のローラ対は、搬送経路に位置し、駆動ローラと従動ローラとで構成される。第2のローラ対は、記録媒体の搬送方向で、第1のローラ対の下流側に位置し、第1のローラ対によって搬送された記録媒体を搬送する。駆動ローラは、第2のローラ対により記録媒体の先端が止められた状態でさらに記録媒体を搬送することによって記録媒体から受ける搬送抵抗に応じて、従動ローラに向けて移動する。従動ローラは、駆動ローラの移動に追従して移動する。第2のローラ対で記録媒体を搬送するときには、駆動ローラは空転する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1のローラ対で記録媒体を強く挟持しすぎることがないため、記録媒体の斜行を矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る搬送装置の第1の実施形態および、その搬送装置を有する記録装置の斜視図である。
【図2】図1の記録装置の断面図である。
【図3】第1の位置を説明するための反転搬送部の概略図である。
【図4】第2の位置を説明するための反転搬送部の概略図である。
【図5】駆動ローラアームユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図6】図5のAA断面の概略図である。
【図7】従動ローラアームユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図8】図7のBB断面の概略図である。
【図9】記録媒体が給紙されたときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図10】第1のローラ対で記録媒体を搬送するときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図11】記録媒体の先端が第2のローラ対に当接したときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図12】駆動ローラと従動ローラとが第2の位置に移動したときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図13】剛性の低い記録媒体を図12の状態から搬送し続けたときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図14】記録媒体を水平搬送部へ搬送するときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図15】給紙ローラ、LFローラ、および第1のローラ対のタイミングチャートである。
【図16】記録装置の概略制御ブロック図である。
【図17】記録装置の記録動作の概略フローチャートである。
【図18】本発明に係る搬送装置の第2の実施形態の要部の概略構成図である。
【図19】従動ローラを離間位置に移動させたときの搬送装置の要部の概略図である。
【図20】従動ローラと駆動ローラを離間位置に移動させたときの搬送装置の要部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0019】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る搬送装置の第1の実施形態および、その搬送装置を有する記録装置の斜視図である。図2は、図1の記録装置の断面図である。なお、図2では、図1の排紙部13は折り畳まれた状態になっている。
【0020】
本発明の記録装置1に設けられた搬送装置には、シート状の記録媒体P(図9参照)が積載される積載部11が設けられ、記録媒体Pの搬送方向に関して積載部11の下流側に、反転搬送部14と、水平搬送部16と、排紙部13とが順に設けられている。
【0021】
記録媒体Pが積載される積載部11と反転搬送部14の間には、積載部11に積載された最も上方の記録媒体Pに当接してこれをピックアップするピックアップローラ2と、ピックアップした記録媒体Pを反転搬送部14に搬送する給紙ローラ5が設けられている。
【0022】
反転搬送部14には、略U字状の搬送経路(以降、「Uターンパス」とする)10が設けられている。反転搬送部14に搬送されてきた記録媒体Pは、Uターンパス10内を搬送されることによって搬送方向が反転、つまり表裏が逆転し、水平搬送部16に搬送される。なお、反転搬送部14には、駆動ローラアームユニット3に設けられた、中間ローラである駆動ローラ301と、従動ローラアームユニット4に設けられた、従動ローラ401とのローラ対(第1のローラ対)が設けられている。
【0023】
記録装置1の、水平搬送部16の位置には、記録媒体Pに記録を行う記録部が設けられている。記録部には、記録媒体Pを支持するプラテン7と、プラテン7と対向して間隔を置いた位置を走査可能な記録ヘッドユニット9が設けられている。記録媒体Pは、水平搬送部16に設けられた、搬送ローラであるLFローラ6とピンチローラ61のローラ対(第2のローラ対)(図3参照)によって搬送されつつ、記録ヘッドユニット9によって画像が形成され、排紙ローラ8によって排紙部13に排出される。
【0024】
本発明の搬送装置では、積載部11と排紙部13とが同じ方向に設けられており、記録媒体Pは積載部11と排紙部13との間で搬送方向が反転する、いわゆるUターン搬送される。
【0025】
図16は、記録装置の概略制御ブロック図である。制御部B1は、制御部B1のインターフェイス部を通して接続されたコンピュータB2や操作パネルB3から記録命令を受ける。あるいは、制御部B1内部のタイマーなどによって記録動作を開始する。そして、制御部B1は搬送駆動伝達系B6に接続された搬送モータB5に対して、搬送モータドライバB4を通して電力を供給するように指令を出す。また、搬送駆動伝達系B6を通して搬送モータB5から駆動力を伝達されたLFローラ6および排紙ローラ8は、記録の際には記録媒体Pを搬送するとともに、搬送駆動切替・伝達系B8に駆動力を伝える。
【0026】
並行して、記録部B13に接続された記録部モータB12に対して記録部モータドライバB11を通して電力を供給するよう指令を出す。また、記録部B13は、搬送駆動切替・伝達系B8の駆動切替を行えるよう接続されている。
【0027】
搬送駆動切替・伝達系B8は、LFローラ6および排紙ローラ8から伝達された駆動力を、記録部B13の動作により、伝達または遮断、および回転方向の切替を行い、給紙ローラ5、および駆動ローラ301へ伝達する。
【0028】
各モータの回転状態や負荷状態、および記録媒体Pの搬送状態は、搬送装置の各所に設けられた、各種センサB14によって検知され、信号の形で制御部B1に情報が送られ、制御部B1は命令とセンサ情報に基づいて各モータを制御し、記録を行う。
【0029】
次に本発明の搬送装置の特徴である反転搬送部14および第1の位置と第2の位置について説明する。図3は、第1の位置を説明するための反転搬送部14の概略図である。搬送装置が非動作時、または搬送装置の動作中であり、かつ、記録媒体Pの先端がLFローラ6に到達する直前におけるインナガイドユニット300とリアガイドユニット400の各部材の位置を「第1の位置」とする。
【0030】
反転搬送部14は主に、Uターンパス10の内面の内側を形成するインナガイドユニット300と、内面の外側を形成するリアガイドユニット400によって構成される。インナガイドユニット300は、Uターンパス10の内面の内側を構成する不図示の搬送リブ、駆動アーム回転軸304、駆動ローラ301、駆動アームストッパ308、および駆動アーム302(図5参照)を含む駆動ローラアームユニット3を有する。さらに、インナガイドユニット300は、駆動アームストッパ308を受けるインナガイドの突き当て部310等を有する。
【0031】
リアガイドユニット400は、Uターンパス10の内面の外側を構成する不図示の搬送リブ、従動アーム回転軸403、従動アームストッパ408、従動ローラ401、および従動アーム402(図7参照)を含む従動ローラアームユニット4を有する。さらに、リアガイドユニット400は、従動アームストッパ408を受けるリアガイドストッパ410と、ばね409と、ばね受け450等を有する。
【0032】
なお、上述したように、駆動ローラ301と従動ローラ401とでローラ対(第1のローラ対)が構成されている。
【0033】
図5は、駆動ローラアームユニット3の構成を示す概略斜視図、図6は、図5のAA断面の概略図である。図5では不図示の駆動源(搬送モータB5)からの駆動力が矢印323の方向に伝達軸305に伝達され、ワンウェイクラッチを有する駆動アームクラッチ機構307を経て駆動アーム回転軸304に伝わる。さらに駆動力は、駆動アーム回転軸304に設けられた駆動ギア303と、駆動アーム302上に、回転軸309に軸支されて設けられたローラギア306とを経て、駆動ローラ301へと伝わる。また、駆動アーム302は、不図示のばねで、矢印322方向、つまり従動ローラ401の方向に押圧されている。
【0034】
図7は、従動ローラアームユニット4の構成を示す概略斜視図、図8は、図7のBB断面の概略図である。従動ローラアームユニット4は、従動アーム回転軸403を中心に回動可能である。また、従動ローラアームユニット4は、リアガイドユニット400内のばね受け450と従動ローラアーム402の間に設けられたばね409で矢印422の方向、つまり駆動ローラ301の方向に付勢されている。
【0035】
上述の通り、駆動アーム302が弱い不図示のばねで従動ローラ401に向けて押圧されている。しかしながら、押圧力はばね409の押圧力に対して十分に小さいため、搬送装置の非動作中では(図3参照)、従動アームストッパ408がリアガイドストッパ410に突き当てられている。
【0036】
従動ローラ401は、従動ローラアーム402に軸支されており、また、それ自体では回転する事が無く、駆動ローラ301が押し付けられることで駆動ローラと直接接して、または記録媒体Pを介して回転する。
【0037】
図4は、第2の位置を説明するための反転搬送部14の概略図である。停止または逆回転(記録媒体を搬送する回転方向とは逆の回転)しているLFローラ6に記録媒体の先端が到達しているときの、インナガイドユニット300とリアガイドユニット400の各部材の位置を「第2の位置」とする。
【0038】
第1の位置から第2の位置に移行する経過を説明する。詳しくは後述するが、第1のローラ対で記録媒体Pを搬送すると、LFローラ6を有する第2のローラ対に記録媒体Pの先端が当接する。LFローラ6が停止または逆回転しているので、記録媒体Pの先端はこれ以上進むことができない。そのため、駆動ローラ301は、記録媒体Pの先端から記録媒体Pを介して搬送抵抗(記録媒体Pの搬送を妨げる力)を受けることになる。この状態で駆動ローラ301を駆動させ続けると、駆動ギア303に伝わった、不図示の駆動源からの矢印323方向の駆動力によって、駆動アーム302に回転軸304を軸にした矢印322方向の力のモーメントが作用する(図6参照)。そして、駆動ローラ301に対向する従動ローラ401を押圧する力(以降、「喰い込み力」とする)が生じる。
【0039】
この喰い込み力がばね409の付勢力を上回ると、駆動アームユニット3全体が矢印322方向に回動を始める。駆動ローラ301は記録媒体Pを搬送しようとするが、LFローラ6は停止もしくは逆転しているため、記録媒体Pの先端が第2のローラ対の位置で行き詰っている。そのため、さらに喰い込み力が増大していき、駆動ローラ301は従動ローラ401を押し込み、従動ローラ401は駆動ローラ301に追従して移動する。ところが駆動アーム302上の駆動アームストッパ308が、駆動ローラ301の移動を規制する規制部材である、インナガイドユニット300内の突き当て部310に突き当たり、駆動アームユニット3の回動が止まる。この状態におけるインナガイドユニット300とリアガイドユニット400の各部材の位置が、第2の位置である。なお、このとき、駆動アームユニット3の回動が止まるため、喰い込み力はこれ以上増大しない。
【0040】
次に、本発明の搬送装置による記録媒体Pの搬送動作について、図17の記録装置の記録動作の概略フローチャートを基に説明する。また、図9〜図14は給紙から記録開始直前までの一連の搬送装置の動作を説明するための概略図であり、図15は給紙ローラ、LFローラ、および第1のローラ対のタイミングチャートである。
【0041】
記録装置1の制御部B1にコンピュータB2などから記録命令が送信されると、制御部B1がモータドライバB4に指令を送り、搬送の駆動源である搬送モータB5が駆動される。そして、給紙ローラ5、駆動ローラ301、LFローラ6、および排紙ローラ8に各々回転力が伝達され、給紙動作が開始する(S1)(図3参照)。
【0042】
上述のように、積載部11に積み重ねられたシート状の記録媒体から分離された1枚の記録媒体Pは、給紙ローラ5によって反転搬送部14の方向に搬送される。このとき、LFローラ6は、記録媒体Pを挟持していないため、停止、正回転(記録媒体Pを搬送する回転方向)、逆回転のいずれでもかまわない。しかしながら、給紙ローラ5により搬送される記録媒体Pより前にすでに搬送され、記録が行われた記録媒体がまだ排出されていない場合には、LFローラ6を正回転させる。
【0043】
給紙ローラ5によって、記録媒体Pの先端Psが駆動ローラ301の位置まで到達し、第1のローラ対によって記録媒体Pの搬送が可能になる(図9参照)。第1のローラ対によって記録媒体Pの搬送が可能になると、制御部B1により、モータドライバB4等を介して給紙ローラ5の駆動が切られ、給紙ローラ5は記録媒体Pから離間する(図10参照)。そして、LFローラ6が逆回転していない場合には逆回転を開始する。
【0044】
記録媒体Pを、第2のローラ対に向かって一定時間搬送するが(S2)、所定の時間内に、記録媒体Pの、第2のローラ対への到達がセンサB14によって検知されないと(S3)、給紙エラーの表示を行い(S11)、ユーザに回復動作を促す。記録装置1はユーザによる回復動作を受け付けると(S12)、給紙動作を再開する(S1)。
【0045】
記録媒体Pの先端Psが逆回転中のLFローラ6に到達すると(図11参照)(S4)、斜行の矯正動作を行う(S5)。具体的には、記録媒体Pの先端Psが斜行した状態で搬送された場合、記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部が先行して第2のローラ対に突き当たる。先行した記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部は、第2のローラ対のニップを越えられず、同じ位置に留まる。
【0046】
しかしながら、記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部が同じ位置に留まっている間に、記録媒体Pの先端Psの幅方向の他方の端部は、第1のローラ対により搬送され、第2のローラ対に到達する。記録媒体Pの先端Psの幅方向の他方の端部も、LFローラ6が逆回転中のため、第2のローラ対のニップを越えられず、同じ位置に留まる。したがって、記録媒体Pの先端Psが揃えられ、斜行が矯正される。
【0047】
斜行の矯正を行っている間、記録媒体Pの先端Psは第2のローラ対よりも先に搬送されないが、搬送ローラ301は記録媒体Pを搬送方向に搬送し続けるため、記録媒体Pの行き場がなくなり、記録媒体PはUターンパス10の内面の外側に張り付く。
【0048】
高画質用の剛性が高い記録媒体Pの場合、駆動ローラ301は記録媒体Pの先端Psから記録媒体Pを介し搬送抵抗を受け、上述したように、駆動アームユニット3全体が回動を開始する。そのため、従動ローラ401方向への喰い込み力が発生する。そして、第1の位置から第2の位置になるまで駆動アームユニット3と従動アームユニット4が移動する(図12参照)。
【0049】
第2の位置では、駆動アーム302上の駆動アームストッパ308が、インナガイドユニット300内の突き当て部310に突き当たるため、駆動アームユニット3の回動が制限され、喰い込み力がこれ以上増大しない。上述した従来技術では、中間ローラと従動ローラとのローラ対での記録媒体の挟持が強くなりすぎ、記録媒体の先端の斜行を矯正する前に、記録媒体の搬送が停止してしまう可能性があった。しかしながら本発明では、第1のローラ対で記録媒体Pを強く挟持し過ぎないように規制しているため、記録媒体Pの搬送停止を防止することができる。したがって、本発明の搬送装置では、記録媒体Pの先端Psの斜行の矯正を確実に行うことができる。
【0050】
一方、普通紙など薄くて剛性の低い記録媒体Pの場合、図13で示すように、Uターンパス10の内面の外側に張り付いていた記録媒体Pに屈曲が生じる。したがって、駆動ローラ301は記録媒体Pの先端Psから記録媒体Pを介して搬送抵抗を受けないため、駆動アームユニット3と従動アームユニット4は第2の位置に移動せず、第1の位置のままとなる。駆動ローラ301が搬送抵抗を受けないので、記録媒体Pの先端Psの斜行の矯正を行うことができる。
【0051】
斜行の矯正が終了した後、LFローラ6を正回転させることで、第2のローラ対で記録媒体Pの先端Psを挟持し(図14参照)、記録開始位置まで搬送する(S6)。
【0052】
LFローラ6による記録媒体Pの搬送速度は、駆動ローラ301による記録媒体Pの搬送速度より早くなるように搬送駆動伝達系B6を構成している。さらに、第2のローラ対で記録媒体Pを搬送するときには、駆動アームクラッチ機構307(図5参照)により、駆動ローラ301には駆動力が伝達されず、記録媒体Pと接触している場合でも駆動ローラ301は空転するようになっている。そのため、第2のローラ対で搬送される記録媒体Pに、第1のローラ対に起因するねじれが生じない。
【0053】
次に、記録開始位置に搬送された記録媒体Pへ記録ヘッドユニット9によって1ライン分の記録を行う(S7)。1ライン分の記録が行われたら、記録媒体Pを1ライン分搬送する(S8)。そして、画像形成が終了したか判断し(S9)、画像形成が終了していない場合は、再度1ライン分の記録を開始する(S7)。画像形成が終了した場合は、排紙ローラ8により記録媒体Pは排紙部13に排出され、記録動作が終了する(S10)。
【0054】
上述の説明では、第2のローラ対で記録媒体Pを挟持する前に斜行を矯正した。しかしながら、一旦、第2のローラ対で記録媒体Pを挟持してから、LFローラ6を逆回転させて、上述と同様にして記録媒体Pの斜行を矯正してもよい。
【0055】
以上のように、本発明の搬送装置では、第1のローラ対で記録媒体Pを搬送しながら、記録媒体Pの先端Psの斜行の矯正を行うことができる。また、通常の搬送工程で斜行の矯正を行うことができるため、スループット(一定時間内に画像形成可能な記録媒体Pの数)の低下がない。さらに、大がかりな機構なども必要ないため、搬送装置を大型化することなく、コストを大幅に増加させることもない。そのため、この搬送装置を有する記録装置1も大型化せず、コストの増加も抑制することができる。
【0056】
[実施形態2]
本発明の搬送装置の第2の実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については説明を省略する。図18は、本発明に係る搬送装置の第2の実施形態の要部の概略構成図である。
【0057】
本実施形態においても、駆動ローラ801と従動ローラ901とで第1のローラ対が構成されている。駆動ローラ801は、駆動アーム802に回転軸804で軸支されている。また、駆動アーム802にはラック805が設けられており、ラック805は、不図示の駆動ローラ用モータによって回転する駆動ローラモータピニオン803と噛み合っている。同様に、従動ローラ901は、従動アーム902に回転軸904で軸支されている。また、従動アーム902にはラック905が設けられており、ラック905は、不図示の従動ローラ用モータによって回転する従動ローラモータピニオン903と噛み合っている。
【0058】
これらのローラ用モータが制御部B1によって制御され、駆動ローラ801と従動ローラ901は、互いに近接する近接位置と、互いに離間する離間位置との間を直線的に移動制御が可能である。近接位置において、第1のローラ対で記録媒体Pを挟持する。なお、上述の実施形態とは異なり、駆動アームユニット3や従動アームユニット4は設けられておらず、駆動ローラ801および従動ローラ901は付勢されていない。
【0059】
次に、図18〜図20を用いて、記録媒体Pの先端の斜行を矯正するときの駆動ローラ801と従動ローラ901の様子を説明する。
【0060】
積載部11から記録媒体Pが給紙されると、記録媒体Pは第1のローラ対に挟持され搬送される(図18参照)。
【0061】
記録媒体Pの先端Psが斜行して搬送された場合、記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部が先行して第2のローラ対に突き当たる。先行した記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部は、LFローラ6が逆回転しているため、第2のローラ対のニップを越えられず、同じ位置に留まる。しかしながら、記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部が同じ位置に留まっている間に、記録媒体Pの先端Psの幅方向の他方の端部は、第1のローラ対により搬送され、第2のローラ対に到達する。そして、記録媒体Pの先端Psの幅方向の他方の端部も、LFローラ6が逆回転しているため、第2のローラ対のニップを越えられず、同じ位置に留まる。したがって、記録媒体Pの先端Psの斜行が矯正される。
【0062】
記録媒体Pの先端Psの斜行を矯正するために記録媒体Pを搬送しつづけると、上述の実施形態と同様に、駆動ローラ801は記録媒体Pから搬送抵抗を受ける。搬送抵抗を不図示のセンサなどで検知したり、記録媒体Pの先端Psの一方の端部が第2のローラ対に達してから所定時間経過後に、不図示の従動ローラ用モータで、従動ローラモータピニオン903を矢印910の方向にわずかに回転させる(図19参照)。そして、ラック905を介して従動アーム902がわずかに矢印911方向に移動させる。したがって、従動ローラ901が離間位置に移動する。これにより、第1のローラ対による記録媒体Pを挟持する力が弱まり、わずかに記録媒体Pが駆動ローラ801と従動ローラ901とのローラ対から滑り落ちる。そのため、Uターンパス10の内面の外側に張り付いていた記録媒体Pの一部がUターンパス10の内面の外側から離れ、駆動ローラ801が受ける搬送抵抗が小さくなり、記録媒体Pの搬送が可能となる。したがって、記録媒体Pの先端Psの斜行を矯正することができる。
【0063】
斜行の矯正が終了した後、LFローラ6を正回転させることで、第2のローラ対で記録媒体Pの先端Psを挟持し、記録媒体Pを水平搬送部16に搬送して、画像形成を開始する。
【0064】
画像形成時は、駆動ローラ801は制御部B1により駆動力の伝達が停止され、不図示のクラッチ機構により記録媒体Pとの接触時に抵抗を少なくするためにコロとして従動する(つまり空転する)。
【0065】
この時、不図示の従動ローラ用モータの制御により、駆動ローラモータピニオン803を矢印810の方向に回転させることで、ラック805を介して駆動アームを矢印811方向に移動させる。つまり、駆動ローラ801を離間位置に移動させることで、駆動ローラ801と記録媒体Pとの接触をさらに少なくすることが可能である(図20参照)。
【0066】
このとき、第1のローラ対による記録媒体Pの挟持は完全に解除されるため、第1のローラ対による記録媒体Pのねじれは解消されることになる。
【0067】
画像形成時に、第1のローラ対による記録媒体Pの挟持が解除された状態で、駆動ローラ801への駆動力の伝達を停止させず、LFローラ6の速度と同じまたはLFローラ6の速度より早く回転させてもよい。このようにすることで、駆動ローラ801と記録媒体Pとが接触したときに生じる抵抗をより少なくすることができる。
【0068】
[実施形態3]
本発明に係る搬送装置の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第2の実施形態の構成を基にする。具体的には、各種センサとして、記録媒体Pの光沢度を検出することで記録媒体Pの種類を判別する記録媒体種類判別センサ、積載部11に複数に配置された不図示のセンサで構成される記録媒体サイズ判別センサ、温度センサ、および湿度センサなどを用いる。
【0069】
例えば、シート種類判別センサによって、記録媒体Pが剛性の高い高画質用の記録媒体であると検知すると、斜行の矯正時に従動ローラ901を離間位置に移動する(図19参照)。一方、シート種類判別センサで、記録媒体Pが、普通紙のような剛性の低い記録媒体Pであると検知すると、従動ローラ901は近接位置のままにする(図18参照)。剛性の低い記録媒体の場合、搬送抵抗が小さいため、従動ローラ901を近接位置のままにしておく方が、斜行の矯正能力が高く、かつスループットを多くすることが可能になる。
【0070】
また、記録媒体サイズ判別センサによって検知する記録媒体Pの大きさによって、従動ローラ901の離間位置を変化させてもよい。例えば、小さいサイズの記録媒体、例えばL判等の記録媒体の場合、Uターンパス10の径が小さいと、記録媒体PがUターンパス10の形状に沿って屈曲することが困難となる。そのため、第1のローラ対で記録媒体Pを搬送すると、記録媒体PはUターンパス10の形状に沿った屈曲ができず、記録媒体Pの先端はLFローラ6方向へ移動するが、なるべく直線状になるように、後端は従動ローラ901の方向へ移動しようとする。したがって、大きいサイズの記録媒体Pのときと比べて、従動ローラ901の離間位置を駆動ローラ801からさらに遠くしたほうが、従動ローラが記録媒体Pと接触する可能性を減らすことができ、斜行矯正後の記録媒体Pのねじれをさらに低減することができる。
【0071】
また、高温で高湿度の雰囲気中では、高い剛性を有する高画質用の記録媒体でも剛性が低下する。そのため、温度センサや湿度センサにより、搬送装置内が高温で高湿度と検知した場合、記録媒体Pの先端PsをLFローラ6に突き当てて斜行を矯正するときに、記録媒体Pが屈曲しやすくなり、斜行矯正能力が低下する。
【0072】
これを防止するためには、記録媒体Pの斜行矯正時に、従動ローラ901の離間位置をわずかに従動ローラ801方向にずらすことが好ましい。このようにすることで、斜行矯正時の記録媒体Pの搬送力が大きくなる。
【0073】
これらセンサの検知結果に基づいて、駆動ローラ801および従動ローラ901の位置を適宜微調整することで、さらに信頼性の高い搬送装置の提供が可能となる。
【符号の説明】
【0074】
6 搬送ローラ(LFローラ)
10搬送経路(Uターンパス)
301、801駆動ローラ
401、901従動ローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置において記録媒体の搬送を行う搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録装置の普及が進むとともに、記録の高画質化、記録装置の小型化、コストダウンが求められている。
【0003】
一般的に、高画質の記録を行うときに使用される、シート状の記録媒体は剛性が高いため、記録装置の上部から記録媒体を供給し、記録部で記録を行った後に、記録装置の前部に設けられた排紙部に排紙している(以降、「ストレート搬送」とする)。このようにすることで、記録装置内で極力、記録媒体が屈曲する必要がないようにしている。一方、通常の記録を行うときに使用される記録媒体の剛性は低い。そのため、このような記録媒体は、一般的に、大量に積載可能となっている記録装置の前部の積載部に積載され、1枚ずつ記録媒体が記録装置内に供給される。そして、U字状になっている搬送経路により搬送方向が反転させられ、その後、記録部で記録媒体への記録が行われる。記録終了後、記録媒体は、記録装置の前部に設けられた排紙部に排紙される(以降、「Uターン搬送」とする)。
【0004】
以上のように、一般的な記録装置の場合、画質や記録媒体の質の違いよって記録媒体の搬送経路を変化させていた。しかしながら、記録装置の小型化やコストダウンの観点から、ストレート搬送とUターン搬送の2種類の搬送ではなく、Uターン搬送のみが行われることが望ましい。
【0005】
Uターン搬送をするためには、少なくとも3つの部材が必要である。1つ目は、シート状の記録媒体を搬送経路内に供給する給紙ローラである。2つ目は、記録媒体に記録を行う記録部の上流に位置し、搬送経路を搬送されてくる記録媒体を記録部に搬送する搬送ローラ(以降、「LFローラ」とする)である。3つ目は、給紙ローラとLFローラの間で記録媒体を反転、つまり表裏を逆転させる、U字状の搬送経路(以降、「Uターンパス」とする)である。しかしながら、高画質用の剛性の高い記録媒体を座屈やクセをつけることなく反転させるには、Uターンパスの径をある程度大きくする必要がある。
【0006】
Uターンパスの径を大きくしてしまうと、記録媒体は、ほぼUターンパスの内面の外側に沿って搬送されるため、Uターンパス内での記録媒体の搬送距離が長くなる。しかしながら、小さいサイズ、例えば長さ127mmのL判サイズの記録媒体を搬送するには、給紙ローラとLFローラとの間の距離を127mmより小さくする必要がある。実際は、給紙ローラとLFローラの間隔を127mmより小さくすることは困難なため、Uターンパスの径を大きくする場合は、一般的に、この2つのローラの間に中間ローラを設けている。
【0007】
給紙ローラとLFローラと中間ローラとが設けられた記録装置において、記録媒体が給紙ローラから中間ローラを介しLFローラに搬送されるときに、斜行して搬送される場合がある。そのため、一般的に、LFローラを停止または逆回転(記録媒体を搬送する回転方向とは逆の回転)させた状態で、中間ローラから搬送された記録媒体の先端を、LFローラを有するローラ対に突き当てて、先端を揃えることで、斜行の矯正をしている。
【0008】
しかしながら、中間ローラと、中間ローラと対となる従動ローラと、で構成されるローラ対で記録媒体を挟持し続けているので、中間ローラの位置での記録媒体の斜行は矯正されない。そのため、LFローラを有するローラ対と中間ローラを有するローラ対とに挟持されている記録媒体にはねじれが生じてしまう。この記録媒体のねじれによって、以後の搬送においても記録媒体の幅方向の両端に働く搬送力に違いが生じ、記録媒体を斜送させてしまう。
【0009】
この課題に対処する方法として、中間ローラを一旦記録媒体から離間させることで、記録媒体のねじれを解消する方法がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許明細書7533878号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
記録媒体の先端の斜行の矯正を行う際には、LFローラを停止または逆回転させた状態で、中間ローラによって記録媒体を搬送して、記録媒体の先端をLFローラに突き当てる。記録媒体の先端の斜行を矯正するためには、記録媒体の幅方向の両端がLFローラを有するローラ対に突き当たるまで、中間ローラによって記録媒体を搬送し続ける必要がある。
【0012】
LFローラを有するローラ対に記録媒体の先端を突き当てた状態では記録媒体の先端は移動できないにもかかわらず、記録媒体は中間ローラによって搬送され続ける。そのため、剛性の低い記録媒体の場合、LFローラと中間ローラとの間のUターンパス内で屈曲する。しかしながら、剛性の高い記録媒体の場合、LFローラと中間ローラの間のUターンパス内で屈曲できず、中間ローラに対して大きな搬送抵抗を生じさせる。
【0013】
特許文献1に開示された構成の場合は、中間ローラを記録媒体から離間可能にするために、スイングアームによって中間ローラが支持されている。しかしながら、中間ローラがスイングアームに支持されていることで、搬送抵抗が増大すると力のモーメントが作用して、中間ローラの、中間ローラに対となる従動ローラを押し込む力(以降、「喰い込み力」とする)が増大する。喰い込み力が大きくなることで中間ローラと従動ローラとのローラ対で記録媒体を強く挟持するため、記録媒体が中間ローラによって搬送されにくくなり、その結果、記録媒体の先端の斜行が矯正されないままになる場合がある。
【0014】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録媒体の斜行の矯正を行うことができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の搬送装置には、記録媒体が搬送される搬送経路と、第1のローラ対と、第2のローラ対とが設けられている。第1のローラ対は、搬送経路に位置し、駆動ローラと従動ローラとで構成される。第2のローラ対は、記録媒体の搬送方向で、第1のローラ対の下流側に位置し、第1のローラ対によって搬送された記録媒体を搬送する。駆動ローラは、第2のローラ対により記録媒体の先端が止められた状態でさらに記録媒体を搬送することによって記録媒体から受ける搬送抵抗に応じて、従動ローラに向けて移動する。従動ローラは、駆動ローラの移動に追従して移動する。第2のローラ対で記録媒体を搬送するときには、駆動ローラは空転する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1のローラ対で記録媒体を強く挟持しすぎることがないため、記録媒体の斜行を矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る搬送装置の第1の実施形態および、その搬送装置を有する記録装置の斜視図である。
【図2】図1の記録装置の断面図である。
【図3】第1の位置を説明するための反転搬送部の概略図である。
【図4】第2の位置を説明するための反転搬送部の概略図である。
【図5】駆動ローラアームユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図6】図5のAA断面の概略図である。
【図7】従動ローラアームユニットの構成を示す概略斜視図である。
【図8】図7のBB断面の概略図である。
【図9】記録媒体が給紙されたときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図10】第1のローラ対で記録媒体を搬送するときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図11】記録媒体の先端が第2のローラ対に当接したときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図12】駆動ローラと従動ローラとが第2の位置に移動したときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図13】剛性の低い記録媒体を図12の状態から搬送し続けたときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図14】記録媒体を水平搬送部へ搬送するときの反転搬送部の様子を示す概略図である。
【図15】給紙ローラ、LFローラ、および第1のローラ対のタイミングチャートである。
【図16】記録装置の概略制御ブロック図である。
【図17】記録装置の記録動作の概略フローチャートである。
【図18】本発明に係る搬送装置の第2の実施形態の要部の概略構成図である。
【図19】従動ローラを離間位置に移動させたときの搬送装置の要部の概略図である。
【図20】従動ローラと駆動ローラを離間位置に移動させたときの搬送装置の要部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0019】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る搬送装置の第1の実施形態および、その搬送装置を有する記録装置の斜視図である。図2は、図1の記録装置の断面図である。なお、図2では、図1の排紙部13は折り畳まれた状態になっている。
【0020】
本発明の記録装置1に設けられた搬送装置には、シート状の記録媒体P(図9参照)が積載される積載部11が設けられ、記録媒体Pの搬送方向に関して積載部11の下流側に、反転搬送部14と、水平搬送部16と、排紙部13とが順に設けられている。
【0021】
記録媒体Pが積載される積載部11と反転搬送部14の間には、積載部11に積載された最も上方の記録媒体Pに当接してこれをピックアップするピックアップローラ2と、ピックアップした記録媒体Pを反転搬送部14に搬送する給紙ローラ5が設けられている。
【0022】
反転搬送部14には、略U字状の搬送経路(以降、「Uターンパス」とする)10が設けられている。反転搬送部14に搬送されてきた記録媒体Pは、Uターンパス10内を搬送されることによって搬送方向が反転、つまり表裏が逆転し、水平搬送部16に搬送される。なお、反転搬送部14には、駆動ローラアームユニット3に設けられた、中間ローラである駆動ローラ301と、従動ローラアームユニット4に設けられた、従動ローラ401とのローラ対(第1のローラ対)が設けられている。
【0023】
記録装置1の、水平搬送部16の位置には、記録媒体Pに記録を行う記録部が設けられている。記録部には、記録媒体Pを支持するプラテン7と、プラテン7と対向して間隔を置いた位置を走査可能な記録ヘッドユニット9が設けられている。記録媒体Pは、水平搬送部16に設けられた、搬送ローラであるLFローラ6とピンチローラ61のローラ対(第2のローラ対)(図3参照)によって搬送されつつ、記録ヘッドユニット9によって画像が形成され、排紙ローラ8によって排紙部13に排出される。
【0024】
本発明の搬送装置では、積載部11と排紙部13とが同じ方向に設けられており、記録媒体Pは積載部11と排紙部13との間で搬送方向が反転する、いわゆるUターン搬送される。
【0025】
図16は、記録装置の概略制御ブロック図である。制御部B1は、制御部B1のインターフェイス部を通して接続されたコンピュータB2や操作パネルB3から記録命令を受ける。あるいは、制御部B1内部のタイマーなどによって記録動作を開始する。そして、制御部B1は搬送駆動伝達系B6に接続された搬送モータB5に対して、搬送モータドライバB4を通して電力を供給するように指令を出す。また、搬送駆動伝達系B6を通して搬送モータB5から駆動力を伝達されたLFローラ6および排紙ローラ8は、記録の際には記録媒体Pを搬送するとともに、搬送駆動切替・伝達系B8に駆動力を伝える。
【0026】
並行して、記録部B13に接続された記録部モータB12に対して記録部モータドライバB11を通して電力を供給するよう指令を出す。また、記録部B13は、搬送駆動切替・伝達系B8の駆動切替を行えるよう接続されている。
【0027】
搬送駆動切替・伝達系B8は、LFローラ6および排紙ローラ8から伝達された駆動力を、記録部B13の動作により、伝達または遮断、および回転方向の切替を行い、給紙ローラ5、および駆動ローラ301へ伝達する。
【0028】
各モータの回転状態や負荷状態、および記録媒体Pの搬送状態は、搬送装置の各所に設けられた、各種センサB14によって検知され、信号の形で制御部B1に情報が送られ、制御部B1は命令とセンサ情報に基づいて各モータを制御し、記録を行う。
【0029】
次に本発明の搬送装置の特徴である反転搬送部14および第1の位置と第2の位置について説明する。図3は、第1の位置を説明するための反転搬送部14の概略図である。搬送装置が非動作時、または搬送装置の動作中であり、かつ、記録媒体Pの先端がLFローラ6に到達する直前におけるインナガイドユニット300とリアガイドユニット400の各部材の位置を「第1の位置」とする。
【0030】
反転搬送部14は主に、Uターンパス10の内面の内側を形成するインナガイドユニット300と、内面の外側を形成するリアガイドユニット400によって構成される。インナガイドユニット300は、Uターンパス10の内面の内側を構成する不図示の搬送リブ、駆動アーム回転軸304、駆動ローラ301、駆動アームストッパ308、および駆動アーム302(図5参照)を含む駆動ローラアームユニット3を有する。さらに、インナガイドユニット300は、駆動アームストッパ308を受けるインナガイドの突き当て部310等を有する。
【0031】
リアガイドユニット400は、Uターンパス10の内面の外側を構成する不図示の搬送リブ、従動アーム回転軸403、従動アームストッパ408、従動ローラ401、および従動アーム402(図7参照)を含む従動ローラアームユニット4を有する。さらに、リアガイドユニット400は、従動アームストッパ408を受けるリアガイドストッパ410と、ばね409と、ばね受け450等を有する。
【0032】
なお、上述したように、駆動ローラ301と従動ローラ401とでローラ対(第1のローラ対)が構成されている。
【0033】
図5は、駆動ローラアームユニット3の構成を示す概略斜視図、図6は、図5のAA断面の概略図である。図5では不図示の駆動源(搬送モータB5)からの駆動力が矢印323の方向に伝達軸305に伝達され、ワンウェイクラッチを有する駆動アームクラッチ機構307を経て駆動アーム回転軸304に伝わる。さらに駆動力は、駆動アーム回転軸304に設けられた駆動ギア303と、駆動アーム302上に、回転軸309に軸支されて設けられたローラギア306とを経て、駆動ローラ301へと伝わる。また、駆動アーム302は、不図示のばねで、矢印322方向、つまり従動ローラ401の方向に押圧されている。
【0034】
図7は、従動ローラアームユニット4の構成を示す概略斜視図、図8は、図7のBB断面の概略図である。従動ローラアームユニット4は、従動アーム回転軸403を中心に回動可能である。また、従動ローラアームユニット4は、リアガイドユニット400内のばね受け450と従動ローラアーム402の間に設けられたばね409で矢印422の方向、つまり駆動ローラ301の方向に付勢されている。
【0035】
上述の通り、駆動アーム302が弱い不図示のばねで従動ローラ401に向けて押圧されている。しかしながら、押圧力はばね409の押圧力に対して十分に小さいため、搬送装置の非動作中では(図3参照)、従動アームストッパ408がリアガイドストッパ410に突き当てられている。
【0036】
従動ローラ401は、従動ローラアーム402に軸支されており、また、それ自体では回転する事が無く、駆動ローラ301が押し付けられることで駆動ローラと直接接して、または記録媒体Pを介して回転する。
【0037】
図4は、第2の位置を説明するための反転搬送部14の概略図である。停止または逆回転(記録媒体を搬送する回転方向とは逆の回転)しているLFローラ6に記録媒体の先端が到達しているときの、インナガイドユニット300とリアガイドユニット400の各部材の位置を「第2の位置」とする。
【0038】
第1の位置から第2の位置に移行する経過を説明する。詳しくは後述するが、第1のローラ対で記録媒体Pを搬送すると、LFローラ6を有する第2のローラ対に記録媒体Pの先端が当接する。LFローラ6が停止または逆回転しているので、記録媒体Pの先端はこれ以上進むことができない。そのため、駆動ローラ301は、記録媒体Pの先端から記録媒体Pを介して搬送抵抗(記録媒体Pの搬送を妨げる力)を受けることになる。この状態で駆動ローラ301を駆動させ続けると、駆動ギア303に伝わった、不図示の駆動源からの矢印323方向の駆動力によって、駆動アーム302に回転軸304を軸にした矢印322方向の力のモーメントが作用する(図6参照)。そして、駆動ローラ301に対向する従動ローラ401を押圧する力(以降、「喰い込み力」とする)が生じる。
【0039】
この喰い込み力がばね409の付勢力を上回ると、駆動アームユニット3全体が矢印322方向に回動を始める。駆動ローラ301は記録媒体Pを搬送しようとするが、LFローラ6は停止もしくは逆転しているため、記録媒体Pの先端が第2のローラ対の位置で行き詰っている。そのため、さらに喰い込み力が増大していき、駆動ローラ301は従動ローラ401を押し込み、従動ローラ401は駆動ローラ301に追従して移動する。ところが駆動アーム302上の駆動アームストッパ308が、駆動ローラ301の移動を規制する規制部材である、インナガイドユニット300内の突き当て部310に突き当たり、駆動アームユニット3の回動が止まる。この状態におけるインナガイドユニット300とリアガイドユニット400の各部材の位置が、第2の位置である。なお、このとき、駆動アームユニット3の回動が止まるため、喰い込み力はこれ以上増大しない。
【0040】
次に、本発明の搬送装置による記録媒体Pの搬送動作について、図17の記録装置の記録動作の概略フローチャートを基に説明する。また、図9〜図14は給紙から記録開始直前までの一連の搬送装置の動作を説明するための概略図であり、図15は給紙ローラ、LFローラ、および第1のローラ対のタイミングチャートである。
【0041】
記録装置1の制御部B1にコンピュータB2などから記録命令が送信されると、制御部B1がモータドライバB4に指令を送り、搬送の駆動源である搬送モータB5が駆動される。そして、給紙ローラ5、駆動ローラ301、LFローラ6、および排紙ローラ8に各々回転力が伝達され、給紙動作が開始する(S1)(図3参照)。
【0042】
上述のように、積載部11に積み重ねられたシート状の記録媒体から分離された1枚の記録媒体Pは、給紙ローラ5によって反転搬送部14の方向に搬送される。このとき、LFローラ6は、記録媒体Pを挟持していないため、停止、正回転(記録媒体Pを搬送する回転方向)、逆回転のいずれでもかまわない。しかしながら、給紙ローラ5により搬送される記録媒体Pより前にすでに搬送され、記録が行われた記録媒体がまだ排出されていない場合には、LFローラ6を正回転させる。
【0043】
給紙ローラ5によって、記録媒体Pの先端Psが駆動ローラ301の位置まで到達し、第1のローラ対によって記録媒体Pの搬送が可能になる(図9参照)。第1のローラ対によって記録媒体Pの搬送が可能になると、制御部B1により、モータドライバB4等を介して給紙ローラ5の駆動が切られ、給紙ローラ5は記録媒体Pから離間する(図10参照)。そして、LFローラ6が逆回転していない場合には逆回転を開始する。
【0044】
記録媒体Pを、第2のローラ対に向かって一定時間搬送するが(S2)、所定の時間内に、記録媒体Pの、第2のローラ対への到達がセンサB14によって検知されないと(S3)、給紙エラーの表示を行い(S11)、ユーザに回復動作を促す。記録装置1はユーザによる回復動作を受け付けると(S12)、給紙動作を再開する(S1)。
【0045】
記録媒体Pの先端Psが逆回転中のLFローラ6に到達すると(図11参照)(S4)、斜行の矯正動作を行う(S5)。具体的には、記録媒体Pの先端Psが斜行した状態で搬送された場合、記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部が先行して第2のローラ対に突き当たる。先行した記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部は、第2のローラ対のニップを越えられず、同じ位置に留まる。
【0046】
しかしながら、記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部が同じ位置に留まっている間に、記録媒体Pの先端Psの幅方向の他方の端部は、第1のローラ対により搬送され、第2のローラ対に到達する。記録媒体Pの先端Psの幅方向の他方の端部も、LFローラ6が逆回転中のため、第2のローラ対のニップを越えられず、同じ位置に留まる。したがって、記録媒体Pの先端Psが揃えられ、斜行が矯正される。
【0047】
斜行の矯正を行っている間、記録媒体Pの先端Psは第2のローラ対よりも先に搬送されないが、搬送ローラ301は記録媒体Pを搬送方向に搬送し続けるため、記録媒体Pの行き場がなくなり、記録媒体PはUターンパス10の内面の外側に張り付く。
【0048】
高画質用の剛性が高い記録媒体Pの場合、駆動ローラ301は記録媒体Pの先端Psから記録媒体Pを介し搬送抵抗を受け、上述したように、駆動アームユニット3全体が回動を開始する。そのため、従動ローラ401方向への喰い込み力が発生する。そして、第1の位置から第2の位置になるまで駆動アームユニット3と従動アームユニット4が移動する(図12参照)。
【0049】
第2の位置では、駆動アーム302上の駆動アームストッパ308が、インナガイドユニット300内の突き当て部310に突き当たるため、駆動アームユニット3の回動が制限され、喰い込み力がこれ以上増大しない。上述した従来技術では、中間ローラと従動ローラとのローラ対での記録媒体の挟持が強くなりすぎ、記録媒体の先端の斜行を矯正する前に、記録媒体の搬送が停止してしまう可能性があった。しかしながら本発明では、第1のローラ対で記録媒体Pを強く挟持し過ぎないように規制しているため、記録媒体Pの搬送停止を防止することができる。したがって、本発明の搬送装置では、記録媒体Pの先端Psの斜行の矯正を確実に行うことができる。
【0050】
一方、普通紙など薄くて剛性の低い記録媒体Pの場合、図13で示すように、Uターンパス10の内面の外側に張り付いていた記録媒体Pに屈曲が生じる。したがって、駆動ローラ301は記録媒体Pの先端Psから記録媒体Pを介して搬送抵抗を受けないため、駆動アームユニット3と従動アームユニット4は第2の位置に移動せず、第1の位置のままとなる。駆動ローラ301が搬送抵抗を受けないので、記録媒体Pの先端Psの斜行の矯正を行うことができる。
【0051】
斜行の矯正が終了した後、LFローラ6を正回転させることで、第2のローラ対で記録媒体Pの先端Psを挟持し(図14参照)、記録開始位置まで搬送する(S6)。
【0052】
LFローラ6による記録媒体Pの搬送速度は、駆動ローラ301による記録媒体Pの搬送速度より早くなるように搬送駆動伝達系B6を構成している。さらに、第2のローラ対で記録媒体Pを搬送するときには、駆動アームクラッチ機構307(図5参照)により、駆動ローラ301には駆動力が伝達されず、記録媒体Pと接触している場合でも駆動ローラ301は空転するようになっている。そのため、第2のローラ対で搬送される記録媒体Pに、第1のローラ対に起因するねじれが生じない。
【0053】
次に、記録開始位置に搬送された記録媒体Pへ記録ヘッドユニット9によって1ライン分の記録を行う(S7)。1ライン分の記録が行われたら、記録媒体Pを1ライン分搬送する(S8)。そして、画像形成が終了したか判断し(S9)、画像形成が終了していない場合は、再度1ライン分の記録を開始する(S7)。画像形成が終了した場合は、排紙ローラ8により記録媒体Pは排紙部13に排出され、記録動作が終了する(S10)。
【0054】
上述の説明では、第2のローラ対で記録媒体Pを挟持する前に斜行を矯正した。しかしながら、一旦、第2のローラ対で記録媒体Pを挟持してから、LFローラ6を逆回転させて、上述と同様にして記録媒体Pの斜行を矯正してもよい。
【0055】
以上のように、本発明の搬送装置では、第1のローラ対で記録媒体Pを搬送しながら、記録媒体Pの先端Psの斜行の矯正を行うことができる。また、通常の搬送工程で斜行の矯正を行うことができるため、スループット(一定時間内に画像形成可能な記録媒体Pの数)の低下がない。さらに、大がかりな機構なども必要ないため、搬送装置を大型化することなく、コストを大幅に増加させることもない。そのため、この搬送装置を有する記録装置1も大型化せず、コストの増加も抑制することができる。
【0056】
[実施形態2]
本発明の搬送装置の第2の実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については説明を省略する。図18は、本発明に係る搬送装置の第2の実施形態の要部の概略構成図である。
【0057】
本実施形態においても、駆動ローラ801と従動ローラ901とで第1のローラ対が構成されている。駆動ローラ801は、駆動アーム802に回転軸804で軸支されている。また、駆動アーム802にはラック805が設けられており、ラック805は、不図示の駆動ローラ用モータによって回転する駆動ローラモータピニオン803と噛み合っている。同様に、従動ローラ901は、従動アーム902に回転軸904で軸支されている。また、従動アーム902にはラック905が設けられており、ラック905は、不図示の従動ローラ用モータによって回転する従動ローラモータピニオン903と噛み合っている。
【0058】
これらのローラ用モータが制御部B1によって制御され、駆動ローラ801と従動ローラ901は、互いに近接する近接位置と、互いに離間する離間位置との間を直線的に移動制御が可能である。近接位置において、第1のローラ対で記録媒体Pを挟持する。なお、上述の実施形態とは異なり、駆動アームユニット3や従動アームユニット4は設けられておらず、駆動ローラ801および従動ローラ901は付勢されていない。
【0059】
次に、図18〜図20を用いて、記録媒体Pの先端の斜行を矯正するときの駆動ローラ801と従動ローラ901の様子を説明する。
【0060】
積載部11から記録媒体Pが給紙されると、記録媒体Pは第1のローラ対に挟持され搬送される(図18参照)。
【0061】
記録媒体Pの先端Psが斜行して搬送された場合、記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部が先行して第2のローラ対に突き当たる。先行した記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部は、LFローラ6が逆回転しているため、第2のローラ対のニップを越えられず、同じ位置に留まる。しかしながら、記録媒体Pの先端Psの幅方向の一方の端部が同じ位置に留まっている間に、記録媒体Pの先端Psの幅方向の他方の端部は、第1のローラ対により搬送され、第2のローラ対に到達する。そして、記録媒体Pの先端Psの幅方向の他方の端部も、LFローラ6が逆回転しているため、第2のローラ対のニップを越えられず、同じ位置に留まる。したがって、記録媒体Pの先端Psの斜行が矯正される。
【0062】
記録媒体Pの先端Psの斜行を矯正するために記録媒体Pを搬送しつづけると、上述の実施形態と同様に、駆動ローラ801は記録媒体Pから搬送抵抗を受ける。搬送抵抗を不図示のセンサなどで検知したり、記録媒体Pの先端Psの一方の端部が第2のローラ対に達してから所定時間経過後に、不図示の従動ローラ用モータで、従動ローラモータピニオン903を矢印910の方向にわずかに回転させる(図19参照)。そして、ラック905を介して従動アーム902がわずかに矢印911方向に移動させる。したがって、従動ローラ901が離間位置に移動する。これにより、第1のローラ対による記録媒体Pを挟持する力が弱まり、わずかに記録媒体Pが駆動ローラ801と従動ローラ901とのローラ対から滑り落ちる。そのため、Uターンパス10の内面の外側に張り付いていた記録媒体Pの一部がUターンパス10の内面の外側から離れ、駆動ローラ801が受ける搬送抵抗が小さくなり、記録媒体Pの搬送が可能となる。したがって、記録媒体Pの先端Psの斜行を矯正することができる。
【0063】
斜行の矯正が終了した後、LFローラ6を正回転させることで、第2のローラ対で記録媒体Pの先端Psを挟持し、記録媒体Pを水平搬送部16に搬送して、画像形成を開始する。
【0064】
画像形成時は、駆動ローラ801は制御部B1により駆動力の伝達が停止され、不図示のクラッチ機構により記録媒体Pとの接触時に抵抗を少なくするためにコロとして従動する(つまり空転する)。
【0065】
この時、不図示の従動ローラ用モータの制御により、駆動ローラモータピニオン803を矢印810の方向に回転させることで、ラック805を介して駆動アームを矢印811方向に移動させる。つまり、駆動ローラ801を離間位置に移動させることで、駆動ローラ801と記録媒体Pとの接触をさらに少なくすることが可能である(図20参照)。
【0066】
このとき、第1のローラ対による記録媒体Pの挟持は完全に解除されるため、第1のローラ対による記録媒体Pのねじれは解消されることになる。
【0067】
画像形成時に、第1のローラ対による記録媒体Pの挟持が解除された状態で、駆動ローラ801への駆動力の伝達を停止させず、LFローラ6の速度と同じまたはLFローラ6の速度より早く回転させてもよい。このようにすることで、駆動ローラ801と記録媒体Pとが接触したときに生じる抵抗をより少なくすることができる。
【0068】
[実施形態3]
本発明に係る搬送装置の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第2の実施形態の構成を基にする。具体的には、各種センサとして、記録媒体Pの光沢度を検出することで記録媒体Pの種類を判別する記録媒体種類判別センサ、積載部11に複数に配置された不図示のセンサで構成される記録媒体サイズ判別センサ、温度センサ、および湿度センサなどを用いる。
【0069】
例えば、シート種類判別センサによって、記録媒体Pが剛性の高い高画質用の記録媒体であると検知すると、斜行の矯正時に従動ローラ901を離間位置に移動する(図19参照)。一方、シート種類判別センサで、記録媒体Pが、普通紙のような剛性の低い記録媒体Pであると検知すると、従動ローラ901は近接位置のままにする(図18参照)。剛性の低い記録媒体の場合、搬送抵抗が小さいため、従動ローラ901を近接位置のままにしておく方が、斜行の矯正能力が高く、かつスループットを多くすることが可能になる。
【0070】
また、記録媒体サイズ判別センサによって検知する記録媒体Pの大きさによって、従動ローラ901の離間位置を変化させてもよい。例えば、小さいサイズの記録媒体、例えばL判等の記録媒体の場合、Uターンパス10の径が小さいと、記録媒体PがUターンパス10の形状に沿って屈曲することが困難となる。そのため、第1のローラ対で記録媒体Pを搬送すると、記録媒体PはUターンパス10の形状に沿った屈曲ができず、記録媒体Pの先端はLFローラ6方向へ移動するが、なるべく直線状になるように、後端は従動ローラ901の方向へ移動しようとする。したがって、大きいサイズの記録媒体Pのときと比べて、従動ローラ901の離間位置を駆動ローラ801からさらに遠くしたほうが、従動ローラが記録媒体Pと接触する可能性を減らすことができ、斜行矯正後の記録媒体Pのねじれをさらに低減することができる。
【0071】
また、高温で高湿度の雰囲気中では、高い剛性を有する高画質用の記録媒体でも剛性が低下する。そのため、温度センサや湿度センサにより、搬送装置内が高温で高湿度と検知した場合、記録媒体Pの先端PsをLFローラ6に突き当てて斜行を矯正するときに、記録媒体Pが屈曲しやすくなり、斜行矯正能力が低下する。
【0072】
これを防止するためには、記録媒体Pの斜行矯正時に、従動ローラ901の離間位置をわずかに従動ローラ801方向にずらすことが好ましい。このようにすることで、斜行矯正時の記録媒体Pの搬送力が大きくなる。
【0073】
これらセンサの検知結果に基づいて、駆動ローラ801および従動ローラ901の位置を適宜微調整することで、さらに信頼性の高い搬送装置の提供が可能となる。
【符号の説明】
【0074】
6 搬送ローラ(LFローラ)
10搬送経路(Uターンパス)
301、801駆動ローラ
401、901従動ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が搬送される搬送経路と、前記搬送経路に位置する、駆動ローラと従動ローラとで構成される第1のローラ対と、前記記録媒体の搬送方向で前記第1のローラ対の下流側に位置し、前記第1のローラ対によって搬送された前記記録媒体を搬送する第2のローラ対とが設けられた搬送装置であって、
前記駆動ローラは、前記第2のローラ対により前記記録媒体の先端が止められた状態でさらに前記記録媒体を搬送することによって前記記録媒体から受ける搬送抵抗に応じて、前記従動ローラに向けて移動し、
前記従動ローラは、前記駆動ローラの移動に追従して移動し、
前記第2のローラ対で前記記録媒体を搬送するときには、前記駆動ローラは空転する、搬送装置。
【請求項2】
前記駆動ローラを、前記駆動ローラの回転軸とは別の軸に回動可能に支持するアームと、前記従動ローラを、前記従動ローラの回転軸とは別の軸に回動可能に支持するアームとが設けられている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記従動ローラを前記駆動ローラに向けて付勢する付勢手段が設けられている、請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送抵抗に応じて移動している前記駆動ローラの移動を、所定の位置で止める規制部材が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
記録媒体が搬送される搬送経路と、前記搬送経路に位置する、駆動ローラと従動ローラとで構成される第1のローラ対と、前記記録媒体の搬送方向で、前記第1のローラ対の下流側に位置し、前記第1のローラ対によって搬送された前記記録媒体を搬送する、第2のローラ対とが設けられた搬送装置であって、
前記駆動ローラと前記従動ローラは、それぞれ互いに近接する近接位置と互いに離間する離間位置との間を移動し、
前記駆動ローラと前記従動ローラを、前記近接位置から前記離間位置に向けて移動させる制御部を有し、
前記第2のローラ対により前記記録媒体の先端が止められた状態でさらに前記記録媒体を搬送することによって前記記録媒体から受ける搬送抵抗に応じて、前記従動ローラが前記近接位置から前記離間位置に向けて移動する、搬送装置。
【請求項6】
前記駆動ローラと従動ローラは、直線的に移動する、請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送抵抗を検知するセンサが設けられている、請求項5または6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記記録媒体の種類、前記記録媒体のサイズ、温度、または湿度を検知するセンサが設けられており、前記制御部は、前記センサによる検知結果に基づいて、前記駆動ローラと前記従動ローラの移動を制御する、請求項5から7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の搬送装置と、前記記録媒体に記録を行う記録部と、を有する、記録装置。
【請求項10】
記録媒体が搬送される搬送経路と、前記搬送経路に位置する、駆動ローラと従動ローラとで構成される第1のローラ対と、前記記録媒体の搬送方向で、前記第1のローラ対の下流側に位置し、前記第1のローラ対によって搬送された前記記録媒体を搬送する、第2のローラ対とが設けられ、前記駆動ローラと前記従動ローラの回転軸がそれぞれ回動可能に支持された搬送装置における、記録媒体の斜行を矯正する方法であって、
前記第2のローラ対を構成するローラのうちの1つである搬送ローラを、前記記録媒体を搬送する方向に回転させない状態で、前記記録媒体を前記第1のローラ対で前記第2のローラ対に搬送し、
斜行した前記記録媒体の先端を前記第2のローラ対に当接させつつ、前記第1のローラ対で前記記録媒体を搬送して、
前記第2のローラ対により前記記録媒体の先端が止められた状態でさらに前記記録媒体を搬送することによって生じる前記記録媒体から前記搬送ローラへの搬送抵抗により生じる力のモーメントよって、前記駆動ローラを、前記従動ローラが追従するように、前記従動ローラに向かって所定の位置まで回動させ、
前記記録媒体の先端が前記第2のローラ対に対して揃ったら、前記第2のローラ対で前記記録媒体を搬送しつつ、前記搬送ローラを空転させる、記録媒体の斜行を矯正する方法。
【請求項11】
記録媒体が搬送され、かつ前記記録媒体の搬送方向を変化させる搬送経路と、前記搬送経路に位置する、駆動ローラと従動ローラとで構成される第1のローラ対と、前記記録媒体の搬送方向で、前記第1のローラ対の下流側に位置し、前記第1のローラ対によって搬送された前記記録媒体を搬送する、第2のローラ対とが設けられた搬送装置における、記録媒体の斜行を矯正する方法であって、
前記第2のローラ対を構成するローラのうちの1つである搬送ローラを、前記記録媒体を搬送する方向に回転させない状態で、前記記録媒体を前記第1のローラ対で前記第2のローラ対に搬送し、
斜行した前記記録媒体の先端を前記第2のローラ対に当接させつつ、前記第1のローラ対で前記記録媒体を搬送して、
前記第2のローラ対により前記記録媒体の先端が止められた状態でさらに前記記録媒体を搬送することによって前記記録媒体から受ける搬送抵抗に応じて、前記従動ローラを、前記駆動ローラとは離間する位置に移動させて前記第1のローラによる前記記録媒体を挟持する力を弱めて、前記記録媒体によって生じる搬送抵抗を弱めながら、前記第1のローラ対による前記記録媒体の搬送を続けて、
前記記録媒体の先端が前記第2のローラ対に対して揃ったら、前記第2のローラ対で前記記録媒体を搬送しつつ、前記駆動ローラを前記従動ローラと離間するように移動させる、記録媒体の斜行を矯正する方法。
【請求項1】
記録媒体が搬送される搬送経路と、前記搬送経路に位置する、駆動ローラと従動ローラとで構成される第1のローラ対と、前記記録媒体の搬送方向で前記第1のローラ対の下流側に位置し、前記第1のローラ対によって搬送された前記記録媒体を搬送する第2のローラ対とが設けられた搬送装置であって、
前記駆動ローラは、前記第2のローラ対により前記記録媒体の先端が止められた状態でさらに前記記録媒体を搬送することによって前記記録媒体から受ける搬送抵抗に応じて、前記従動ローラに向けて移動し、
前記従動ローラは、前記駆動ローラの移動に追従して移動し、
前記第2のローラ対で前記記録媒体を搬送するときには、前記駆動ローラは空転する、搬送装置。
【請求項2】
前記駆動ローラを、前記駆動ローラの回転軸とは別の軸に回動可能に支持するアームと、前記従動ローラを、前記従動ローラの回転軸とは別の軸に回動可能に支持するアームとが設けられている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記従動ローラを前記駆動ローラに向けて付勢する付勢手段が設けられている、請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送抵抗に応じて移動している前記駆動ローラの移動を、所定の位置で止める規制部材が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
記録媒体が搬送される搬送経路と、前記搬送経路に位置する、駆動ローラと従動ローラとで構成される第1のローラ対と、前記記録媒体の搬送方向で、前記第1のローラ対の下流側に位置し、前記第1のローラ対によって搬送された前記記録媒体を搬送する、第2のローラ対とが設けられた搬送装置であって、
前記駆動ローラと前記従動ローラは、それぞれ互いに近接する近接位置と互いに離間する離間位置との間を移動し、
前記駆動ローラと前記従動ローラを、前記近接位置から前記離間位置に向けて移動させる制御部を有し、
前記第2のローラ対により前記記録媒体の先端が止められた状態でさらに前記記録媒体を搬送することによって前記記録媒体から受ける搬送抵抗に応じて、前記従動ローラが前記近接位置から前記離間位置に向けて移動する、搬送装置。
【請求項6】
前記駆動ローラと従動ローラは、直線的に移動する、請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送抵抗を検知するセンサが設けられている、請求項5または6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記記録媒体の種類、前記記録媒体のサイズ、温度、または湿度を検知するセンサが設けられており、前記制御部は、前記センサによる検知結果に基づいて、前記駆動ローラと前記従動ローラの移動を制御する、請求項5から7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の搬送装置と、前記記録媒体に記録を行う記録部と、を有する、記録装置。
【請求項10】
記録媒体が搬送される搬送経路と、前記搬送経路に位置する、駆動ローラと従動ローラとで構成される第1のローラ対と、前記記録媒体の搬送方向で、前記第1のローラ対の下流側に位置し、前記第1のローラ対によって搬送された前記記録媒体を搬送する、第2のローラ対とが設けられ、前記駆動ローラと前記従動ローラの回転軸がそれぞれ回動可能に支持された搬送装置における、記録媒体の斜行を矯正する方法であって、
前記第2のローラ対を構成するローラのうちの1つである搬送ローラを、前記記録媒体を搬送する方向に回転させない状態で、前記記録媒体を前記第1のローラ対で前記第2のローラ対に搬送し、
斜行した前記記録媒体の先端を前記第2のローラ対に当接させつつ、前記第1のローラ対で前記記録媒体を搬送して、
前記第2のローラ対により前記記録媒体の先端が止められた状態でさらに前記記録媒体を搬送することによって生じる前記記録媒体から前記搬送ローラへの搬送抵抗により生じる力のモーメントよって、前記駆動ローラを、前記従動ローラが追従するように、前記従動ローラに向かって所定の位置まで回動させ、
前記記録媒体の先端が前記第2のローラ対に対して揃ったら、前記第2のローラ対で前記記録媒体を搬送しつつ、前記搬送ローラを空転させる、記録媒体の斜行を矯正する方法。
【請求項11】
記録媒体が搬送され、かつ前記記録媒体の搬送方向を変化させる搬送経路と、前記搬送経路に位置する、駆動ローラと従動ローラとで構成される第1のローラ対と、前記記録媒体の搬送方向で、前記第1のローラ対の下流側に位置し、前記第1のローラ対によって搬送された前記記録媒体を搬送する、第2のローラ対とが設けられた搬送装置における、記録媒体の斜行を矯正する方法であって、
前記第2のローラ対を構成するローラのうちの1つである搬送ローラを、前記記録媒体を搬送する方向に回転させない状態で、前記記録媒体を前記第1のローラ対で前記第2のローラ対に搬送し、
斜行した前記記録媒体の先端を前記第2のローラ対に当接させつつ、前記第1のローラ対で前記記録媒体を搬送して、
前記第2のローラ対により前記記録媒体の先端が止められた状態でさらに前記記録媒体を搬送することによって前記記録媒体から受ける搬送抵抗に応じて、前記従動ローラを、前記駆動ローラとは離間する位置に移動させて前記第1のローラによる前記記録媒体を挟持する力を弱めて、前記記録媒体によって生じる搬送抵抗を弱めながら、前記第1のローラ対による前記記録媒体の搬送を続けて、
前記記録媒体の先端が前記第2のローラ対に対して揃ったら、前記第2のローラ対で前記記録媒体を搬送しつつ、前記駆動ローラを前記従動ローラと離間するように移動させる、記録媒体の斜行を矯正する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−40035(P2013−40035A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179476(P2011−179476)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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