説明

携帯デバイスなどの保管ケース用設置スタンド

【課題】 保管ケースを設置するのに適した壁面や天板などがないような場所においても、当該保管ケースを着脱式で安定かつ確実に固定設置することが可能な保管ケース設置用のスタンドを提供すること。
【解決手段】 正面視略門型の脚フレームと、外形が略口字状をなす脚フレーム1,2を、側面から見て大略X状をなすように交叉させて配し両脚フレーム1,2の交点を枢着しその枢着軸3において前記両脚フレーム1,2を開閉可能に形成すると共に、少なくとも一方の脚フレーム1の下端部をベースプレート4の一側に支持させ、開いた他方の脚フレーム2の下端部に前記ベースプレート4の他側を着脱可能に取付ける一方、当該両脚フレーム1,2の上部には、少なくとも他方の脚フレーム2の上端部に、保管ケースSCの取付けブラケット7の一側を支持させると共に、一方の脚フレーム1の上端部に前記取付けブラケット7の他側部を着脱可能に取付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報をストレージできる携帯電話機(以下単に「携帯電話」という。)などの携帯デバイスの保管ケースを着脱自在に取付けることができる設置スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の発明者らは先に、特許文献1や同2などにより、携帯電話を代表とする移動体通信サービスの端末、デジタル音楽プレイヤー、PDA(携帯情報端末)などのように、情報をストレージできる携帯デバイスの複数台を、同時に保管できるケースを提案している。
【0003】
かかる保管ケースを必要とする理由は、例えば、携帯電話の場合、その情報ストレージ機能にカメラ機能やインターネット機能が付加されているため、社内情報の持出しや漏洩が懸念され、現実にそのような問題が発生しているからである。
【0004】
また、実際に自分の携帯デバイスに社内情報を格納し、自社のパソコン(パーソナルコンピュータ、以下、同じ)に転送したところ、当該パソコンにインストールされているファイル交換ソフトやファイル共有ソフトなどが作用して、前記社内情報が外部に漏洩しインターネット上を浮遊していることも報告されている。
【0005】
上記のような事情に鑑みた本発明の発明者らは、情報のストレージが可能な、例えば私用の携帯電話について、社員が出社したとき、或は、外来の訪問者が入場(入室)するときなど、一時的にその携帯電話を会社や部署などの入口の手前で預かって保管し、本人が退場(退室)するとき先に預かって保管していた携帯電話を返還することによって、社内情報などの内部情報が外部へ漏洩することがないように形成した保管ケースを前記特許文献1などにより提案したのである。
【0006】
しかし、先に提案した保管ケースは、壁掛式(壁に固定)のものと机の天板上などへ載置する設置形態であったため、当該保管ケースを設置したい場所に、その保管ケースを設置するための適切な壁や天板が無い場所、例えば、野営地や艦船などの船舶などでは、臨時的に保管ケースを設置するためのテーブルを、野営地入口や乗船タラップ近傍などに置いてその天板上に保管ケースを設置したりしているが、本来的な設置態様(例えば、壁や天板などに固定する)ではないため、預かり保管の運用面や預かった携帯デバイスの管理面において、不具合や不都合も生じている。即ち、仮置き態様の保管ケースが転倒したり、天板の上から滑り落ちたりすると、預っている携帯デバイス自体に不具合や故障などが生じないとも限らないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−66890号
【特許文献2】特願2008−49181号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような携帯デバイス用保管ケースの設置状況の問題点に鑑み、保管ケースを設置するのに適した壁面や天板などがないような場所においても、当該保管ケースを着脱式で安定かつ確実に固定設置することが可能な保管ケース設置用のスタンドを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明設置スタンドの構成は、正面視略門型の脚フレームと、外形が略口字状をなす脚フレームとを、側面から見て大略X状をなすように交叉させて配し両フレームの交点を枢着しその枢着軸において前記両脚フレームを開閉可能に形成すると共に、少なくとも一方の脚フレームの下端部をベースプレートの一側に支持させ、開いた他方の脚フレームの下端部に前記ベースプレートの他側を着脱可能に取付ける一方、当該両脚フレームの上部には、少なくとも他方の脚フレームの上端部に、保管ケースの取付けブラケットの一側を支持させると共に、一方の脚フレームの上端部に前記取付けブラケットの他側部を着脱可能に取付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明は上記構成において、2個の脚フレームは、閉じたとき一方の脚フレームの内側に他方の脚フレームが収まる脚フレーム形態をとることにより、脚フレームの折畳み状態を嵩ばらないコンパクトな状態にすることができる。
【0011】
また、一方の脚フレームの下端部に折畳み可能に設けられたベースプレートは、折畳み時に他方の脚フレームの平面内にほぼ収まる外形状に形成したものである一方、他方の脚フレームの上部に折畳み可能に設けられた取付ブラケットは、折畳み時に当該他方の脚フレームの平面内に収まる外形状にすることが好ましい。こうすることにより折畳み時の本発明スタンドが嵩張ることのないコンパクトな折畳みは状態を実現することができる。
【0012】
本発明において、保管ケースの取付ブラケットには、当該保管ケースをそのブラケットに固定するため操作グリップ付きボルトなどによる固定手段が具備されている。また、両方の脚フレームとそれらの脚フレームに折畳み可能に設けられたベースプレートや取付けブラケットは、組立たてたときその組立状態を固定するための操作グリップ付きボルトなどによる固定手段を具備している。
本発明スタンドは上記のような固定手段を備えていることにより、特別な工具などを用いることなく、組立て,折畳みの各操作を行うことができて便利である。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、正面視略門型乃至口字状をなす脚フレームの2個を、側面から見て大略X状をなすように交叉させて配し両フレームの交点を枢着してその枢着軸において前記両脚フレームを開閉可能に形成すると共に、少なくとも一方の脚フレームの下端部をベースプレートの一側に取付け、開いた他方の脚フレームの下端部を前記ベースプレートの他側に着脱可能に支持させる一方、当該両脚フレームの上部には、少なくとも一方の脚フレームの上端部に、保管ケースの取付けブラケットの一側を取付けると共に、他方の脚フレームの上端部に前記取付けブラケットの他側部を着脱可能に支持させて携帯デバイス保管用ケースの設置スタンドに構成したから、船舶や野営地など、携帯デバイス用保管ケースを固定的に設置できる箇所(壁や天板など)がない場所においても、工場や部屋の入口などに設置される保管ケースと同様に、携帯電話などの携帯デバイスを安定かつ安全に預って保管することができる。
【0014】
また、本発明スタンドは、折畳み,組立て自在の構造であって、折畳み時に全体が脚フレームの枠内に収まるように形成されているので、運搬や保管を省スペース的に行うことができ、従って、携帯デバイスを預って保管すべき任意の場所へ、保管ケースと本発明設置スタンドを持込めば、そこで容易かつ迅速に保管ケースとその設置スタンドを一体化するように組立てて設置し、携帯デバイスの預り保管業務を行うことができて便利であり、かつ、有用性も高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明設置スタンドの一例の側面図。
【図2】図1の本発明設置スタンドの正面図。
【図3】図1,図2の設置スタンドにおける他方の脚フレームとベースプレートの結合状態を説明する要部の拡大側断面図。
【図4】図1,図2の設置スタンドにおける一方の脚フレームとベースプレートの結合状態を説明する要部の拡大側断面図。
【図5】ベースプレートと他方の脚フレームのロック機構の例を示す要部の拡大側断面図。
【図6】本発明スタンドの脚フレームと取付ブラケットの関係を説明するための要部の拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明設置スタンドの実施の形態例について図を参照して説明する。
図1,図2において、1は正面視大略門型をなすように丸線材(丸パイプや角パイプでもよい)で形成した一方の脚フレーム、2は前期脚フレーム1の内側に収まってしまう大きさに形成した正面視略口字状の他方の脚フレームである。
【0017】
本発明では、2つの脚フレーム1,2が、上部寄りおいてX状にクロスする(一方のフレーム1の内側に他方のフレーム2が配置される)ように配置し、その交点を水平な軸3により枢着している。なお、枢着軸3は脚フレーム1,2の左右の部材間を貫通したタイプが望ましいが、左右で独立したビス等の軸であってもよい。
【0018】
軸3によりクロス状に枢着された2つの脚フレーム1,2は、一方の脚フレーム1の下端が、ベースプレート4の一側の端面(図1の左側)に、図4に詳細を示す態様で枢支されている。上記実施例において、脚フレーム1の内側に収まる形状の脚フレーム2は、この例では、略口字状であるが、本発明では、脚フレーム2をパンチングメタルなどの板材により略口字状に外形を持つパネル状に形成してもよい。この場合、外枠は、板材の縁を曲げて形成したり、パイプ材の枠を取付けるようにしてもよい。
【0019】
ベースプレート4は、ここでは全体を浅い箱状(天板面4a<上面4aともいう>が平坦面で底面開放態様)に形成したものであり、図4に示すように、このプレート4の側面壁4bに、脚フレーム1の下端のL字状部1aが、ブッシュ1bやカラー1cを介して回転自在に枢支されている。1dは、L字状部1aに取付けた抜止め用の割りピンである。脚フレーム1の下端部は、左右とも、図4に示す態様でベースプレート4の側端面に枢支されている。なお、ベースプレート4の下面四隅には、アジャスタ機能を付きの受足4cが配設されている。また、ベースプレート4の材質は、スチールやアルミなどの金属製やプラスチック製、或は、や木製若しくはこれらの複合材料など、いずれであってもよい。
【0020】
略口字状をなす他方の脚フレーム2は、その下端の水平辺2aがベースプレート4における脚フレーム1の非枢支側の側端部近くの上面4aに設けた凹状をなす当該フレーム2の水平辺2aを受けて支持するための受けブロック5の溝部5aに支持されるように形成されている(図3も参照)。
【0021】
前記ブロック5の溝部5aの内面には、脚フレーム2の水平部2aを保持するための球状突起5bが設けられているので、節度感を以て水平部2aを溝部5aに嵌入して保持することができるが、念のため、図5に例示するロック機構6がベースプレート4の上面4aに設けられている。
【0022】
ロック機構6は、ベースプレート4の上面4aに垂設した押えバネ6aを備えたボルト6bに、側断面階段状のロック金具6cの根元部を回転可能に枢支させ、この金具6cの先端つまみ61cを掴んで脚フレーム2の水平部からこの金具6cの押え部62cを、前記フレーム2の水平部2aの上に位置付けたり(ロック)、そこから外したり(アンロック)する回転操作によって、ロック機構として機能するように形成されている。なお、本発明設置スタンドにおける脚フレーム2の上記ロック機構は6一例であって、使用できるロック機構は上記例に限られるものではない。
【0023】
上記のようにしてベースプレート4の上に組立てられる2つの脚フレーム1,2の上端部には、詳細な説明は省略するが携帯電話などのデバイスを保管するための保管ケースSCを取付け固定するための取付けブラケット7が設けられているので、以下、取付けブラケット7について図6を中心にして説明する。
【0024】
図6において、取付ブラケット7は、側面から見て横倒した大略L字状を呈する板状部材により形成されており、このブラケット7は図6の左端部で、他方の脚フレーム2の上部水平辺2bを抱持する態様で枢支している。7aはその枢支部である。一方、このブラケット7の図6における右側は、水平部7bから立上った立壁部7cを有し、その上端部が逆凹状に曲げられて、一方の脚フレーム1における上部水平辺1eを抱持する支持部7dに形成されている。この支持部7dには、脚フレーム1の上部水平辺1eから支持部が勝手に離脱することがないように、ロックボルト7eが設けられている。
【0025】
上記取付ブラケット7の水平部7bの下面には、保管ケースSCの底壁に螺合されて当該ケースSCをこのスタンドに固定するための固定ボルト8が水平部7bの四隅近傍に4本設けられている。操作ツマミ8aを備えた各固定ボルト8は、各ボルト8に対応して水平部7bに設けたボルト受け9に装着されており、水平部7bの上面に露出した当該ボルト8の先端部が保管ケースSCの底壁に形成されているボルト穴(図に表われず)に螺合されることにより、当該ケースSCを取付ブラケットの水平部7aに密着固定することができる。
【0026】
保管ケースSCは、一例として、図1,図2に例示するように、横長の一つの筐体に複数台(図の例では10台)の携帯電話を1台ずつ収納できる、個々に錠付きの複数の収納区画を備えており、預った携帯電話を空いている収納区画に収容して携帯電話が取出せないように施錠し、その鍵を携帯電話の持主本人に渡すなどして運用する点は、先に特許文献1,2などにより、本発明者が提案している保管ケースと同様の運用がなされる。
【0027】
上記のように組立てて保管ケースSCを装備して使用された本発明設置スタンドを分解するには、まず固定ボルト8を緩めて保管ケースSCを取付けブラケット7から外し、当該ブラケット7を、その枢支部7aにおいて、脚フレーム2の上部辺を軸にして、図1の反時計回り方向に回転して折畳む。次いで、脚フレーム2の下端部の水平辺2aからロック機構6の作用を解除し、受けブロック5から当該フレーム2の水平辺2aを浮かせて外す。
このとき、ベースプレート4を、脚フレーム1の下端側面の枢支部において反時計回り方向に回転させて当該脚フレーム1に沿って起立させると共に、受けブロック5から浮かせていた脚フレーム2の下半側をその枢着点3において脚フレーム1の側に回転させることにより、2つの脚フレーム1,2が折畳まれると共に、そのフレーム1,2の内側に取付ブラケット7とベースプレート4とが嵩張ることなくほぼ収まった形態で折畳まれることになる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は以上の通りであって、正面視略門型乃至口字状をなす脚フレームの2個を、側面から見て大略X状をなすように交叉させて配し両フレームの交点を枢着しその枢着軸において前記両脚フレームを開閉可能に形成すると共に、少なくとも一方の脚フレームの下端部をベースプレートの一側に支持させ、開いた他方の脚フレームの下端部に前記ベースプレートの他側を着脱可能に取付ける一方、当該両脚フレームの上部には、少なくとも一方の脚フレームの上端部に、保管ケースの取付けブラケットの一側を支持させると共に、他方の脚フレームの上端部に前記取付けブラケットの他側部を着脱可能に取付けるようにして携帯デバイス用保管ケースの設置スタンドを形成したから、保管ケースを設置するのに適した壁面や天板などがないような場所においても、当該保管ケースを着脱式で安定かつ確実に固定設置することが可能になるので、実用上きわめて有用である。
【符号の説明】
【0029】
1,2 脚フレーム
3 軸
4 ベースプレート
5 受けブロック
6 ロック機構
7 取付ブラケット
8 固定ボルト
SC 保管ケース-


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面視略門型の脚フレームと、外形が略口字状をなす脚フレームとを、側面から見て大略X状をなすように交叉させて配し両フレームの交点を枢着しその枢着軸において前記両脚フレームを開閉可能に形成すると共に、少なくとも一方の脚フレームの下端部をベースプレートの一側に支持させ、開いた他方の脚フレームの下端部に前記ベースプレートの他側を着脱可能に取付ける一方、当該両脚フレームの上部には、少なくとも他方の脚フレームの上端部に、保管ケースの取付けブラケットの一側を支持させると共に、一方の脚フレームの上端部に前記取付けブラケットの他側部を着脱可能に取付けるようにしたことを特徴とする保管ケース用設置スタンド。
【請求項2】
2個の脚フレームは、閉じたとき一方の脚フレームの内側に他方の脚フレームが収まる脚フレーム形態にした請求項1の保管ケース用設置スタンド。
【請求項3】
一方の脚フレームの下端部に折畳み可能に設けられたベースプレートは、折畳み時に当該一方の脚フレームの平面内にほぼ収まる外形状に形成した請求項1又は2の保管ケース用設置スタンド。
【請求項4】
他方の脚フレームの上部に折畳み可能に設けられた取付ブラケットは、折畳み時に当該他方の脚フレームの平面内に収まる外形状に形成した請求項1〜3のいずれかの保管ケース用設置スタンド。
【請求項5】
脚フレームに折畳み可能に設けられたベースプレートや取付けブラケットは、組立たてたときその組立状態を固定するための操作グリップ付きボルトなどによる固定手段を具備した請求項1〜4のいずれかの保管ケース用設置スタンド。
【請求項6】
保管ケースの取付ブラケットには、当該保管ケースをそのブラケットに固定するため操作グリップ付きボルトなどによる固定手段を具備した請求項1〜5のいずれかの保管ケース用設置スタンド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−3999(P2011−3999A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143579(P2009−143579)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(597172812)株式会社アシストエンジニアリング (4)
【出願人】(597172801)株式会社三友テクノス (4)
【Fターム(参考)】