説明

携帯光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置および関連システム

少なくとも2つの方向を走査するように構成される少なくとも1つのミラーを含む携帯光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置が提供される。この携帯OCT装置は、サンプルの位置を変えることなくサンプルに対して位置合わせできるサンプルへの携帯インタフェースを与えるように構成される。また、関連システムも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本出願は、2005年9月29日に出願された米国仮出願第60/721,657号(代理人整理番号9526−6PR)による優先権を主張し、前記仮出願の開示内容は、参照によりその全体が記載されるように本明細書に組み入れられる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は撮像に関する。本発明は、特に、光コヒーレンス撮像装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、1990年代初期から存在しており、小動物、眼、組織、ガラスなどのサンプルの撮像のための技術を提供する。近年の進歩は撮像速度を高めてきている。これにより、比較的大きな画像セット(例えば、3Dボリューム)を迅速に生成できる。OCTは、高速であり、一般に非接触および非破壊的であるため、例えば1秒をかなり下回る短時間スケールにわたる動態(ショウジョウバエにおける心管の鼓動)を例えば数日またはそれ以上の長い時間スケールにわたる変化(組織成長)において撮像することに適している。
【0004】
OCT撮像システムは、一般に、光学エンジンと、処理ユニットと、走査システムとを含む幾つかのサブシステムに分けられる。走査システムは、撮像されるべきサンプルへのインタフェースを与えてもよい。これまでのインタフェースは、ステレオズーム顕微鏡に対するアタッチメントと、網膜撮像のためのテーブル装着システムとを含む。1つの網膜撮像インタフェース、例えば、Carl Zeiss MeditecのStratusOCT(商標)は、眼底カメラのように見える。このインタフェースは、患者のための顎当てと、患者をOCT撮像システムと位置合わせするための機構とを有する。このシステムでは、一般に、有用なOCT画像を得るため、移動でき、直立で、協力的な患者が必要である。
【発明の開示】
【0005】
本発明の幾つかの実施形態では、少なくとも2つの方向を走査するように構成される少なくとも1つのミラーを含む携帯光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置を提供する。携帯OCT装置は、サンプルの位置を変えることなくサンプルに対して位置合わせできるサンプルへの携帯インタフェースを与えるように構成される。
【0006】
本発明の更なる実施形態では、携帯OCT装置がOCTプローブであってもよい。OCTプローブは、少なくとも2つの方向を走査するように構成される少なくとも1つのミラーに対して結合されるリレーレンズセットを含んでもよい。
【0007】
本発明の更なる実施形態において、OCTプローブは、サンプルと物理的な接触を行なわない非接触プローブであってもよい。非接触プローブは、該非接触プローブのために構成される第1のリレーレンズセットを更に含んでもよい。非接触プローブは、スペーサと物理的な接触を行なうように構成されてもよく、また、スペーサは、サンプルと物理的な接触を行なうように構成されてもよい。
【0008】
本発明の幾つかの実施形態において、OCTプローブは、サンプルと物理的な接触を行なうように構成された接触プローブであってもよい。接触プローブは、該接触プローブのために構成される第2のリレーレンズセットを更に含んでもよい。接触プローブは、第2のリレーレンズセット上で保護カバーを受けるように構成されてもよい。また、保護カバーは、サンプルと物理的な接触を行なうように構成されてもよい。
【0009】
本発明の更なる実施形態において、OCTプローブは、2つ以上のリレーレンズセットを受けるように構成されてもよい。特定の実施形態において、2つ以上のリレーレンズセットのうちの第1のリレーレンズセットは、サンプルと物理的な接触を行なわない非接触プローブのために構成されてもよい。2つ以上のリレーレンズセットのうちの第2のリレーレンズセットは、サンプルと物理的な接触を行なう接触プローブのために構成されてもよい。更なる実施形態おいて、少なくとも2つのリレーレンズセットのうちの第1のリレーレンズセットは、プローブ外部の最後の光学レンズ系を介して撮像するように構成されてもよい。少なくとも2つのリレーレンズセットのうちの第2のリレーレンズセットは、プローブ外部の光学レンズ系の助けを伴うことなく撮像するように構成されてもよい。
【0010】
本発明の更なる実施形態では、OCTプローブが一体の基準アームを更に含んでもよい。一体の基準アームを含むOCTプローブがビームスプリッタを更に含んでもよい。ビームスプリッタは、光を受けるとともに、光の一部を基準アームの光路へと供給し、光の残りの部分を、サンプルの光路の少なくとも2つの方向を走査するように構成される少なくとも1つのミラーへと供給するように構成されてもよい。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態において、OCTプローブは、該OCTプローブにわたって少なくとも2つの異なる光路長を与えるように構成された光路長調整機構を含む。光路長調整機構は、例えば、手動調整機構またはモータ駆動調整機構を含んでもよい。モータ駆動調整機構は、例えば、機械的なネジ、機械的なスライダ及び/又はモータ駆動ネジを含んでもよい。
【0012】
本発明の更なる実施形態において、OCTプローブは、携帯プローブ、機械ブーム上に装着されるように構成されたプローブまたはユーザの頭部に装着されるように構成されたプローブであってもよい。
【0013】
本発明の更なる実施形態では、ディスプレイがOCTプローブと一体であってもよい。OCTプローブは、ディスプレイを動作させ且つOCTプローブと通信するOCTエンジンの動作を制御するように構成されたユーザインタフェースを更に含んでもよい。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態において、OCTプローブは、該OCTプローブの先端に装着されるように構成された部分反射要素を更に含む。部分反射要素は、コモンモード干渉計のための反射としての機能を果たすように構成されてもよい。
【0015】
本発明の更なる実施形態において、OCTプローブは、サンプル内部の反射に基づいてコモンモード干渉計のための基準反射を生成するように構成されてもよい。
【0016】
本発明の更なる実施形態において、OCTプローブは、拡張走査深さ多重化を可能にするように構成された多経路遅延線を更に含んでもよい。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態は、OCTエンジンおよび携帯OCT装置を含む光コヒーレンストモグラフィ(OCT)システムを提供する。OCTエンジンは、光学素子、エレクトロニクス及び/又はサンプルのOCT画像を生成するために使用されるデータを取得するように構成されたソフトウェアを含む。携帯OCT装置は、OCTエンジンと通信するとともに、少なくとも2つの方向を走査するように構成される少なくとも1つのミラーを含む。携帯OCT装置は、サンプルの位置を変えることなくサンプルに対して位置合わせできるサンプルへの携帯インタフェースを与えるように構成される。
【0018】
本発明の更なる実施形態は、一体のディスプレイを備える携帯OCT装置を提供する。
【0019】
本発明の更なる実施形態において、携帯OCT装置は、ディスプレイを動作させ且つ携帯OCT装置と通信するOCTエンジンの動作を制御するように構成されたユーザインタフェースを更に含んでもよい。ユーザインタフェースは、サンプルの画像を取得するように構成された画像取得トリガ及び/又は走査パターン、走査範囲、走査レート及び/又は画像処理オプションを調整するように構成された制御装置を含んでもよい。ディスプレイは、サンプルのリアルタイム画像及び/又は保存画像、システムオプション、システムモード及び/又はシステムエラーメッセージを表示するように構成されてもよい。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態において、ディスプレイは、携帯OCT装置の側面に対して略垂直に装着され、携帯OCT装置の側面から展開され、携帯OCT装置の背面に装着されるように構成されてもよい。
【0021】
本発明の更なる実施形態は、一体の基準アームを含む携帯OCT装置を提供する。
【0022】
本発明の更なる実施形態では、OCTプローブがビームスプリッタを含んでもよく、ビームスプリッタは、光を受けるとともに、光の一部を携帯OCT装置の基準アームの光路へと供給し、光の残りの部分をサンプルの光路へと供給するように構成される。ビームスプリッタは、基準アームの光路およびサンプルの光路からの光を受けるとともに、基準アームの光路からの光とサンプルの光路からの光とを再び組み合わせ、組み合わされた光を処理のために携帯OCT装置と通信するOCTエンジンへと供給するように更に構成されてもよい。
【0023】
本発明の更なる実施形態において、基準アームは、ゼロまたは1つ以上の回転ミラーと、1つ以上の集束レンズと、ゼロまたは1つ以上の分散補償要素と、ゼロまたは1つ以上の減衰要素と、反射ミラーとを含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ここで、本発明の例示的な実施形態が示される添付図面を参照して、本発明を更に十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、この開示内容が十分で且つ完全であるとともに本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように与えられる。同様の参照符号は、全体にわたって同様の要素を示している。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連する記載された項目のうちの1つ以上の任意の全ての組み合わせを含む。
【0025】
本明細書で使用される単数形「1つの(a)」「1つの(an)」および「その(the)」は、他に明確に述べられていなければ、複数形も同様に含むと意図される。また、言うまでも無く、用語「含む」「備える」「含んでいる」及び/又は「備えている」は、本明細書中で使用される場合、述べられている特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、成分及び/又はそれらのグループの存在または付加を除外しない。要素が他の要素に対して「接続される」或いは「結合される」と称される場合には、それを他の要素に対して直接に接続でき或いは結合できまたは介在要素が存在してもよいことは言うまでもない。また、本明細書で使用される「接続される」または「結合される」は、無線で接続され或いは結合されることを含んでもよい。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意および全ての組み合わせを含む。
【0026】
本明細書では、様々な要素を説明するために第1および第2という用語が使用されるが、これらの要素がこれらの用語によって限定されるべきでないことは言うまでもない。これらの用語は、1つの要素を他の要素から区別するためにだけ使用される。したがって、以下で説明される要素を第2の要素と称することができ、また、同様に、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素が第1の要素と称されてもよい。
【0027】
他に規定されなければ、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって共通に理解される意味と同じ意味を有する。また、言うまでも無く、辞書で一般に規定される用語などの用語は、関連技術に照らしたそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本発明でそのように明確に規定されなければ、理想的な意味または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0028】
ここで、図1〜図16を参照して、本発明の幾つかの実施形態について説明する。図示のように、本発明の幾つかの実施形態は、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムのための新規な走査インタフェースからなる。本発明の幾つかの実施形態に係る走査インタフェースは、携帯することができ、携帯できてもよく、したがって、スキャナに対して被写体を位置合わせする必要なく、スキャナが被写体に対して位置合わせされてもよい。本発明の幾つかの実施形態に係るインタフェースは、接触プローブ、非接触プローブ、物理的スペーサを有する非接触プローブなどを含んでもよいがこれらに限定されない様々な形態で設けられてもよく、その詳細については本明細書中で更に説明する。
【0029】
OCT撮像システムの従来の実施は、一般に、所定のサンプルインタフェースを有する。この場合、サンプルは、OCT画像を得るためにOCTシステムからくる光の場所に位置合わせされる。例えば、Carl Zeiss Meditecは、サンプルインタフェースがヘッドおよび患者用の顎当てを有する従来の眼底カメラのように見えるStratusOCT(商標)を有する。画像を取得するため、患者の頭部が静止状態に設定されるとともに、適切なOCT画像を得るために僅かな位置合わせが行なわれる。更なる例として、OCT撮像システムは、システムがサンプルのOCT画像および拡大視像の両方を与えるように顕微鏡と一体化されてもよい。顕微鏡は一般にZ方向で上下に移動させることができるが、サンプルは、それをOCTシステムと位置合わせするためにX方向およびY方向で移動される。
【0030】
多くのサンプルにおいて、この形態のOCTイメージンスシステムは機能するが、サンプルをOCT撮像システムに対して位置合わせすることが非常に難しい或いは不可能でさえある種々のサンプルが存在する。したがって、本発明の幾つかの実施形態によれば、携帯プローブ設計により、OCT撮像システムのサンプルインタフェース部を動き回らせることができ、それにより、サンプルをシステムに対して位置合わせするのではなく、サンプルインタフェース部をサンプルと位置合わせさせることができてもよい。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態に係る手持ち式プローブなどの携帯プローブは、例えば、協力的でない或いは寝たきりの人間の患者における網膜・角膜撮像において、幼児または子供における網膜・角膜撮像において、マウス、ラット、ブタおよびサルを含む動物における網膜・角膜撮像において、口、耳、直腸などの狭い領域での撮像において、顕微鏡に適合しないサンプルの撮像等において役立つ。本明細書に記載された用途が典型的な目的のためだけに与えられており、したがって、本発明の実施形態がこれらの例に限定されないことは言うまでもない。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態に係る携帯プローブは、それをユーザが保持し、移動させ、制御することができるように軽量であってもよい。OCTシステムは、比較的コンパクトであってもよく、したがって、場所を移動させることができる。現在のOCTシステムは一般に特定の位置に固定され、サンプルまたは患者がその位置へ移動されなければならない。本発明の幾つかの実施形態に係る携帯OCTシステムは、サンプルまたは患者の所まで運び込むことができる。これは、例えば、寝たきりの患者において特に有用であるとともに、動物を移動させることがその動物に関して難しい場合があり或いは感染または汚染の機会を高める場合がある動物用途において有用である。本発明の幾つかの実施形態に係る携帯プローブOCT撮像システムは、可動部をあまり伴わない比較的簡単で且つ頑強であってもよく、また、定期的な位置合わせ或いはメンテナンスを必要としなくてもよい。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態に係る携帯プローブは、例えば、接触プローブまたは非接触プローブとなる。接触プローブは、プローブとサンプルとの間で物理的な接触を行なう。本発明のこれらの実施形態によれば、撮像のために所望の位置でプローブの先端をサンプル上に視覚的に配置できるため、位置合わせが比較的簡単である。本発明の幾つかの実施形態では、プローブの汚染の可能性および1つのサンプルから他のサンプルへの材料の転移を減らすために、プローブ上に、例えばプローブの端部上にわたって保護カバーが設けられてもよい。保護カバーは、例えば、ガラス、プラスチックまたは他の適した材料を含んでもよく、また、設計を柔軟または硬質にすることができる。本発明の幾つかの実施形態において、保護カバーは、使い捨て、或いは単用のものであってもよい。すなわち、1回使用後に処分されてもよい。しかしながら、保護カバーは、本発明の範囲から逸脱することなく再使用できてもよい。本発明の幾つかの実施形態によれば、保護カバーは、滅菌したものであってもよく、または、滅菌することができる。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態に係る非接触プローブは、サンプルと接触しない。本発明のこれらの実施形態は、意識のある人間の角膜または網膜撮像など、患者が自分の眼にプローブが物理的に接触することを望まない用途において有用である。また、非接触プローブは接触プローブと同じ汚染問題を引き起こさず、1つのサンプルから他のサンプルへの材料の転移の可能性が減少される。また、プローブ先端とサンプルとの間に何らかの空間が存在することにより、プローブは、OCT光を、角膜撮像またはサンプルの表面上或いはその近傍での撮像などの用途において有利であるスポットに合焦させることができる。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態に係る接触プローブまたは非接触プローブは、プローブ外部の光学レンズ系の助けを伴うことなく撮像するように構成されてもよい。例えば、本発明の幾つかの実施形態に係るプローブは、角膜または名目上サンプルの外面上の他の組織を撮像するためのテレセントリック走査システムを備えてもよい。
【0036】
更なる実施形態に係る接触プローブまたは非接触プローブは、プローブ外部の光学レンズ系の助けを伴って撮像するように構成されてもよい。例えば、本発明の幾つかの実施形態によれば、プローブは、網膜を撮像するための非テレセントリック走査システムに構成されてもよい。これらの実施形態において、プローブの光学素子は、対象の角膜及び/又は対象の眼のレンズに関して適切な考慮がなされるときにだけ網膜の正確な撮像を行なうように設計される。
【0037】
本発明の幾つかの実施形態は、非接触プローブに関連するスペーサを提供し、このスペーサは、プローブとサンプルとの間の距離を制御する手段を備えてもよい。例えば、スペーサは、携帯プローブに取り付けることができるとともに、サンプルと物理的に接触することができる。スペーサは、OCT光がサンプルを照らす場所から離れてサンプルと接触するように構成されてもよい。角膜撮像において、スペーサは、それが患者の眼の周囲に適合するように円形の形状を成すことができる。これにより、ユーザは、患者の眼に何も接触させることなく、プローブを患者に位置合わせすることができ、望ましい。本発明の幾つかの実施形態によれば、スペーサは、プローブが位置合わせされる場所をユーザがスペーサを通して見ることができるようにスロットまたは開口を有してもよく或いは光学的に透明であってもよい。スペーサを含む本発明の実施形態は、OCT光がプローブから出て合焦される撮像システムにおいても有用である。プローブとサンプルとの間の距離を制御することが重要である。これは、かなり狭い深さが存在し、この深さにわたってOCT撮像が行なわれ、その深さの場所をサンプルの表面と位置合わせし或いは該表面の真下に位置合わせする必要があるからである。スペーサは、本発明の範囲から逸脱することなく、使い捨てできてもよく或いは再利用できてもよい。
【0038】
典型的なOCT撮像システムは、一般に、赤外線または近赤外線であり、したがって、ユーザが見ることが困難であり或いは不可能である光を使用する。OCT光と共に伝搬する何らかの可視光をOCTエンジンに加えることにより、ユーザは、OCT画像がサンプル上で取得されるべき場所を見ることができる。この可視光は、照準光と称されてもよく、例えば、可視波長範囲のレーザまたは任意の他の光源によって生成されてもよい。この照準光は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される本発明の任意の実施形態に関連して使用されてもよい。例えば、照準光は、本明細書で説明される本発明の非接触の実施形態と関連させると有益かもしれない。この場合、ユーザは、OCT画像が取得されるべきサンプル上の場所を正確に知らなくてもよい。
【0039】
ここで、図1〜図16を参照して、本発明の様々な実施形態を説明する。最初に、図1〜図3を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係る接触プローブについて説明する。図1に示されるように、システムは、携帯プローブ101に接続されるOCTエンジン100を含んでもよい。OCTエンジン100は、光学素子、エレクトロニクス及び/又はOCT画像を生成するために使用されるデータを取得するために用いられるソフトウェアを含んでもよい。携帯プローブ101は、サンプルに対するインタフェースを備える。
【0040】
図2は、本発明の幾つかの実施形態に係る携帯プローブ101’の様々な構成要素を示している。光は、OCTエンジン(図示せず、図1の100)から光ファイバ110に沿って入る。光は、ファイバから出て、ハンドル115の底部にある視準アセンブリ111を通過する。光は、視準されると、1つ以上の走査ミラー112によって向きが変えられるとともに、サンプル114へ向けてリレーレンズセット113を通過し続ける。光は、サンプル114から散乱されるとともに、光ファイバ110へ向けて元の携帯プローブ101’を通過して戻り、OCTエンジン(図示せず)に達する。
【0041】
図2に示されるように、携帯プローブ101’とサンプル114との端部間には物理的な接触が存在する。前述したように、本発明の幾つかの実施形態では、プローブ101’上にわたって任意の保護カバー116が設けられてもよい。保護カバー116は、本発明の範囲から逸脱することなく、使い捨てできてもよく或いは再使用できてもよい。保護カバー116は滅菌されてもよく或いは滅菌できてもよい。
【0042】
ここで、図3Aおよび図3Bを参照して、携帯プローブ101’にわたる光路および異なる用途に適する異なるプローブのために想定し得る形態について説明する。光学系には、幾つかのレンズ、例えば視準レンズ600、2つの走査レンズ601および602、集束レンズ603および接触レンズ604が存在してもよい。図3Aおよび図3Bの携帯プローブ101’が典型的な目的のためだけに与えられ、本発明の実施形態がこの構造に限定されないことは言うまでもない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、5個よりも少ない或いは多いレンズを有する他の光学レンズ列設計が使用されてもよい。サンプルのタイプに基づいて様々なレンズの焦点距離が変えられてもよいことは言うまでもない。例えば、図3Aおよび図3Bで与えられる焦点距離はそれぞれ、人間の眼のサンプルおよびラットの眼のサンプルのためのものである。
【0043】
ここで、図4を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係る携帯非接触プローブ101”について説明する。図4に示されるように、非接触プローブ101”は図2に示される接触プローブ101’に類似しているが、非接触プローブ101”は、実際にはサンプル114と接触しない。したがって、本発明のこれらの実施形態では、リレーレンズセット120’が接触プローブ101’用のリレーレンズセット120と異なってもよい。
【0044】
前述したように、光は、光ファイバ110から非接触プローブ101”内に入り、ハンドル115の底部にある視準アセンブリ111を通過する。そこから、光は、走査ミラー112によって方向付けられて、リレーレンズセット120’を通過するとともに、サンプル114に入射する。光は、サンプル114によって散乱されて戻り、非接触プローブ101”を通じてその光路を引き返した後、光ファイバ110へ戻る。
【0045】
前述したように、非接触プローブ101”は、接触プローブ101とは異なるリレーレンズセットを有してもよい。例えば、非接触プローブ101”の光学レンズセットは、図6Aおよび図6Bに示されるように構成されてもよい。図示のように、光学レンズ列系は、視準レンズ650と複数の走査レンズ651および652とを含んでもよい。サンプルに応じて、更なるレンズが使用されてもよい。角膜用途660のための図6Aに示されるように、サンプル上に光を合焦させるために集束レンズ653が使用される。網膜走査用途では、図6Bに示されるように、光は、それがサンプル114に衝突するときに視準され、サンプル114の眼内のレンズによって合焦される。
【0046】
ここで、図5を参照して、本発明の更なる実施形態に係る非接触プローブについて説明する。図5に示されるように、非接触プローブ101”は、携帯プローブ101”の端部にあるスペーサ130と共に使用される。スペーサ130は、光がプローブ101”からサンプル114へと通過する位置から離れてサンプル114と接触する。スペーサ130により、ユーザは、例えばサンプル114が眼である場合など、その場所が特に敏感であるために、OCT画像が取得されるべきサンプルと実際に接触させることなく、携帯プローブ101”をサンプル114と位置合わせすることができるとともに、プローブ101”をサンプル114に対して安定に保つことができる。スペーサ130と併せて使用される図5の非接触プローブ101”は、図4の非接触プローブ101”と同じリレーレンズセット120’、例えば図6Aおよび図6Bのリレーレンズセット120’を使用してもよい。前述したように、本発明の幾つかの実施形態において、スペーサ130は、サンプル114上の所望の場所とOCT光との位置合わせを容易にするためにユーザがスペーサを通して見ることができるように、穴またはスロットを有してもよく或いは実際に透明または部分的に透明であってもよい。
【0047】
ここで、図7を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係るフレキシブルリレー系140と共に使用される非接触プローブ101”について説明する。フレキシブルリレー系は、リレーレンズセット120’からサンプル114へと向かう光およびサンプル114から戻ってくる光の両方を伝えてもよい。このフレキシブルリレー系140は、例えば光ファイバまたは柔軟な機械的パッケージ内のマルチレンズ系を使用して実施されてもよい。光ファイバの実施は、1つ以上のシングルモードファイバ、1つ以上のマルチモードファイバ及び/又は各ファイバ内に複数のコアを有する1つ以上のファイバ(シングルモードまたはマルチモード)であってもよい。
【0048】
ここで、図8を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係る交換可能なレンズリレーを含む携帯プローブについて説明する。交換可能なリレーは、本発明の幾つかの実施形態に係る接触プローブ101’または非接触プローブ101”(本明細書では、総称して、プローブ101と称する)と共に使用されてもよい。すなわち、単一の携帯プローブ101は、対応するリレーレンズセット151および152をそれぞれ取り替えることにより接触モードと非接触モードとの間で切り換わるように構成されてもよい。図8に示されるように、1つ以上のリレーレンズセット151、152は、同じ携帯プローブ101に対して接続することができる。リレーレンズセット151、152を携帯プローブ101に対して接続できるようにするために共通のインタフェース150が使用される。本発明のこれらの実施形態により、ユーザは、携帯プローブ上のリレーレンズセット151、152を交換することによりサンプルまたは画像のタイプ間を切り換えることができる。本発明の幾つかの実施形態において、システムは、特定のリレーレンズセットを認識するとともにシステムのリセットをセットアップしてその特定のリレーレンズセットに対応するように構成されてもよい。これは、リレーレンズセットの接続時に自動的に行なわれてもよい。
【0049】
ここで、図9〜図16を参照して、携帯プローブの様々な実施形態について説明する。図9〜図16が特定のプローブの実施形態、例えば接触または非接触プローブを示しているが、本発明の実施形態がこの構造に限定されないことは言うまでもない。図9〜図16に関連して説明される実施形態の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の実施形態の携帯プローブと共に使用されてもよい。
【0050】
ここで、図9を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係る一体基準アームを有する携帯プローブについて説明する。図9に示すように、携帯プローブは、一般にOCTエンジン(図示せず)に存在する基準アームを含む。光は、光ファイバ110を通じて携帯プローブ101内に入るとともに、ハンドル115の底部にある視準アセンブリ111を通過して、ビームスプリッタ200に入射する。ビームスプリッタ200は光の一部をサンプルアーム光路220へ送り、残りの光は基準アーム光路221に移る。ビームスプリッタの比率は任意の実現可能な値を取る。本発明の幾つかの実施形態では、より多くの光が基準アーム光路221よりもサンプルアーム光路220の方を通過する。サンプルアーム光路220において、光は、走査ミラー112によって方向付けられて、リレーレンズセット113を通過し、サンプル114へ至る。サンプル114によって散乱されて戻る光は、サンプルアーム光路220を逆にたどってビームスプリッタ200へ戻る。
【0051】
ビームスプリッタ200からの光の残りは、基準アーム光路221へ移動する。基準アーム光路221は、ゼロ、1つまたはそれよりも多い回転ミラー201と、1つ以上の集束レンズ202と、ゼロ、1つまたはそれよりも多い分散補償要素203と、ゼロ、1つまたはそれよりも多い減衰要素204と、反射ミラー205とからなる。反射ミラー205は、基準アーム光路221を引き返す光をビームスプリッタ200へ送る。分散補償要素203は、オプションであり、基準光路221内での分散をサンプル光路220内での分散に厳密に一致させる必要がある場合に使用されてもよい。減衰要素204は、これもオプションであり、非常に多くの出力が存在する場合に基準アーム221から戻る出力レベルを減少させてもよい。反射ミラー205は、基準アーム光路長を調整できるように移動できてもよく或いは移動できなくてもよい。この調整は、本発明の範囲から逸脱することなく、ユーザにより手動で行なわれてもよく、あるいは、OCTシステムによって自動で行なわれてもよい。
【0052】
サンプルおよび基準アームからの光がビームスプリッタ200に到達すると、光は、再び組み合わされて、視準アセブリ111を通過し、光ファイバ110へ戻る。このポイントから、光は、取得および処理のためにOCTエンジン(図示せず)に戻る。
【0053】
図9に示される本発明の実施形態は、OCTエンジン(図示せず)を携帯プローブ101に接続する光ファイバ110の変化に対して比較的影響されなくてもよい。また、これらの実施形態は、基準アームおよび基準アーム内の要素へのユーザアクセスを可能にしてもよい。これは、異なるサンプルに関して基準アーム内の要素が定期的に調整され或いは変更される必要がある場合に特に有用であり得る。ユーザは、分散補償要素203などの基準アーム内の構成要素を容易に交換することができ、あるいは、要素を変更することができ、例えば、シャッタ204によって減衰導入を変えることができまたはミラー位置205を変えることにより基準の光路長を変えることができる。
【0054】
ここで、図10を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係る調整可能な光路長を有するプローブについて説明する。図10に示されるように、携帯プローブ101は、視準アセンブリ111のための光路長調整機構210を有する。光路長調整機構210により、ユーザは、携帯プローブ101にわたる光路長を変えて、OCTエンジン100(図1)またはサンプル114における光路長の他の変化を補償することができる。図10に示される本発明の実施形態において、光路長調整機構210は、図10に示されるハンドル115の底部にあるノブによって駆動される機械的なネジなどのモータ駆動の調整機構であってもよいが、本発明の実施形態はこの構造に限定されない。例えば、機械的なネジに代えて、機械的なスライダおよびモータ駆動ネジが使用されてもよい。言うまでもなく、プローブ内の他の位置で光路長が調整されてもよく、あるいは、光学材料にわたって電場を印加することによりその屈折率が変えられてもよい電気光学装置などの他の機構によって光路長が調整されてもよい。したがって、光路長調整機構は本明細書で説明される例によって限定されない。
【0055】
ここで、図11を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係る機械的固定を含む携帯プローブについて説明する。図11に示されるように、携帯プローブ101は、ベースまたはコンソール301に対して固定される機械ブームアーム300上に装着される。機械ブームアーム300は、ユーザがプローブを保持する必要なく携帯プローブ101をサンプル114と位置合わせするための方法を与える。軽量、移動が容易なプローブは、サンプルに対するプローブの移動および固定を簡略化するために使用される。図11に示される本発明の実施形態において、機械ブームアーム300は、OCTエンジン100とディスプレイコンピュータ302とを含むコンソール301に対して装着される。本発明の幾つかの実施形態は、機械ブームアームのための独立カートまたはOCTエンジン100のみを有し且つディスプレイコンピュータ302を有さないコンソールを含んでもよい。機械ブームアーム300は、移動が容易で且つ所与位置での固定が容易となるように平衡化されてもよい。本発明の幾つかの実施形態において、機械的固定は、サンプルのためのホルダまたは固定機構と共に使用することができる。例えば、コンソール301に対して顎当てを装着することができる。顎当て上に患者の頭部を配置することができるとともに、携帯プローブを患者の眼と位置合わせするように移動させることができる。また、プローブを垂直な形態まで回転させることもでき、また、サンプルをコンソール310上または他の表面上に配置させることができる。本発明の幾つかの実施形態において、コンソールは、サンプルをOCTシステムへ持って行くのではなく、場所間でのOCTシステムの移動を容易にするため、車輪を有してもよい。
【0056】
ここで、図12を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係るヘッドマウントプローブについて説明する。図12に示されるように、携帯プローブは、ユーザ401が頭部装着400できるように再構成されている。光は、光ファイバ110を介してヘッドマウントプローブ400内に入り、視準アセンブリ111を通過する。そこから、光は、走査ミラー112に当たって跳ね返った後、部分ミラー403で反射される。このミラー403は、例えば、OCTエンジンからの光の波長範囲で反射し且つ可視波長領域で伝える部分的に銀メッキされた或いはダイクロイックのミラーであってもよい。部分ミラー403の目的は、OCT光が伝わる光路をユーザがのぞくことができるようにすることであり、したがって、サンプルとの位置合わせを簡略化させることができる。部分ミラー403の後、光は、リレーレンズセット120を通過してサンプルへ至る。サンプルによって散乱された光は、それが光ファイバ110に到達するまで同じ経路に沿って引き返し、OCTエンジンへと戻る。オプションとして、ユーザ401のための画像を表示するために、画像プロジェクタ402を使用できる。この画像は、サンプル114からのOCT画像であってもよく、あるいは、OCTシステムのセットアップおよび状態に関する情報であってもよい。ヘッドマウントプローブ400は、それを滑ることなく或いは疲れを伴うことなくユーザが容易に装着できるように軽量であってもよい。
【0057】
ここで、図13を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係る制御装置及び/又はディスプレイを有する携帯プローブについて説明する。図13に示されるように、携帯プローブ101は、ゼロ、1つまたはそれよりも多い制御装置500と、ゼロ、1つまたはそれよりも多いビデオディスプレイ501とを有する。
【0058】
制御装置500は、ユーザがプローブからOCTエンジンの動作を制御できるようにしてもよい。これらの制御装置は、電子配線502を介してOCTエンジンと通信する。本明細書では電子配線502について説明されているが、当業者に知られる任意の手段によって装置間の通信を達成できることは言うまでもない。例えば、制御装置は、本発明の範囲から逸脱することなく、ブルートゥースやWiFiなどの無線通信を使用してOCTエンジンと通信してもよい。
【0059】
1つの特定の制御装置が画像取得トリガ503である。これにより、ユーザは、1つのボタン操作で、システムがサンプルの画像を取得する時期を制御することができる。他の例としては、走査パターン、走査範囲、走査レート、画像処理オプション等のための制御を挙げることができる。他の追加物は、携帯プローブの一部であってもよい1つ以上のオプションのビデオディスプレイ501である。このビデオディスプレイは、電子配線502を介してOCTエンジンと通信する。ディスプレイは、サンプルからのリアルタイムの画像または保存画像を表示してもよい。オプション、モードなどのOCTシステムに関する更なる情報が表示されてもよく、エラーメッセージが表示されてもよい。物理的に、ビデオディスプレイ501は、例えば、携帯プローブの側面に対して略垂直に装着され、プローブの側面から展開され、プローブの背面(図13では、制御装置が示されている場所)に装着されるなどしてもよい。
【0060】
図13に示される本発明の実施形態は、OCTエンジン内で一般に起こる画像処理および制御の一部を行なう更なるエレクトロニクスを携帯プローブ内に含んでもよい。例えば、走査ミラーの制御、画像処理およびビデオディスプレイをサポートするための表示である。エンジンとの通信は、個々のアナログまたはデジタルライン、あるいは、RS−232、USB、ファイヤワイヤまたはイーサネット(登録商標)などの更に洗練された通信であってもよい。
【0061】
ここで、図14を参照して、反射がプローブ内で起こるコモンモード経路設計を有する携帯プローブについて説明する。光ファイバ110、視準アセンブリ111、走査ミラー112およびレンズリレー光学素子113を有する携帯プローブについては本明細書で既に説明した。したがって、本発明では、これらの要素の詳細について更に説明しない。図14に示されるように、コモンモード干渉計のための基準反射としての機能を果たす部分反射要素600がプローブ先端に設けられている(あるいは、撮像されるべきサンプルの近傍に配置される)。コモンモード干渉計では、任意の振動源または他のノイズがアーム間で共有され、したがって、インターフェログラムに影響を及ぼさないように、サンプルに非常に近接するポイントまでサンプルおよび基準経路が共有されてもよい。部分反射要素600の反射率は、散弾雑音制限検出が達成され得るように検出器側で最適な基準出力の可能性を高めるべく設計されてもよい。基準反射を超える撮像の深さは、使用されるスペクトル領域OCTシステムのスペクトル分解能によって、あるいは、使用される時間領域OCTシステムの長さ走査によって制限されてもよい。
【0062】
ここで、図15を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係るコモンモード経路設計を有する携帯プローブについて説明する。図15に示される携帯プローブ101は、コモンモード干渉分光法のための基準反射を生成するためにサンプル610自体の内部の反射に依存している。本発明の幾つかの実施形態において、基準反射は、それがサンプルの内側にあるため、サンプルに近接していることが最適である。サンプルの表面での反射は、この目的のため、例えば眼の表面での角膜表面反射のために使用されてもよい。本発明のこれらの実施形態において、表面反射の振幅は、サンプル表面上で特定の分極状態あるいは入射角を有するようにプローブ光学素子を設計して所望の反射率の反射を生み出すことにより信号対雑音比(SNR)の最適な検出の可能性を高めるべく変更されてもよい。基準反射を超える撮像の深さは、使用されるスペクトル領域OCTシステムのスペクトル分解能によって、あるいは、使用される時間領域OCTシステムの長さ走査によって制限されてもよい。
【0063】
ここで、図16を参照して、本発明の幾つかの実施形態に係る拡張走査深さ多重化のための多経路遅延線を含む携帯プローブについて説明する。特に、図16は、図14および図15の携帯プローブの撮像の深さの想定しえる限界を扱うための方法を示している。
一連の多経路遅延要素620、621、622および623を基準アームおよびサンプルアームに共通の光路の一部(あるいは、干渉計のソースアームまたは検出アーム)に配置することにより、サンプル内の大きく変化する深さからの反射が、使用されるOCTシステム、TDOTCまたはSDOCTの利用可能な深さ走査範囲へと多重化されてもよい。そのような多経路遅延要素の一例は、コモンモード経路に配置されるファブリー・ペロー光キャビティである。ファブリー・ペローキャビティは、図16に示されるように別個の反射要素から構成されてもよく、あるいは、部分反射コーティングを両側に有する単一の光学素子(例えば、ガラスミラーブランク)から構成されてもよい。光キャビティの長さは、サンプル内の予期される反射の深さによって決定されてもよい。例えば、角膜−レンズ光学距離および角膜−網膜光学距離が測定される眼のA−走査を行なうことが望ましい場合には、2つの光キャビティが使用されてもよい。この場合、一方の光キャビティは、角膜−レンズ距離の半分+何らかのオフセットα/2((a+α)/2)に等しい長さを有し、他方の光キャビティは、角膜−網膜距離の半分+何らかのオフセットβ/2((b+β)/2)に等しい長さを有する。反射を伴うことなく両方のキャビティを通じて直接に伝えられる入射光の一部は、通常通り、角膜(DCに位置される)の前方および角膜の後方からのA−走査反射を生み出す。第1のキャビティを通じた付加的な往復を要する入射光の部分は、(a+α)に等しい付加的な群遅延を得るとともに、角膜の前面からの反射後、DCオフセット値がαのレンズの前面から反射する光と干渉することができる。同様に、第2のキャビティを通じた付加的な往復を要する入射光の部分は、(b+β)に等しい付加的な群遅延を得ることができ、角膜の前面からの反射後、DCオフセット値がβの網膜から反射する光と干渉することができる。この概念を拡張させることにより、任意の経路長における多くの独立の反射が、使用されるOCTシステムの利用可能な走査範囲へと多重化されてもよい。マイナスの距離で、更なるファブリー・ペローキャビティ自体を備える別個の個々のファブリー・ペローキャビティ間の間隔から生じる更なる寄生的相関関係が生み出されてもよいが、これらの寄生キャビティから生じる相関関係が、キャビティの適切な間隔だけ所望の撮像範囲から外れて置かれてもよい。また、内部反射間で所定の自己相関アーティファクトが生み出されてもよいが、これらの内部反射は、前側の角膜反射が大きなファクタ分だけ全ての他の反射を決定付けるようにすることにより改善されてもよい。サンプル自体内の反射を使用してこれを達成できない場合には、マルチ距離多重化のためのこの同じ概念が、反射要素が特にこの目的のために設計されてもよい図14に示される携帯プローブに対して適用されてもよい。
【0064】
以上は、本発明の例示であり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の幾つかの典型的な実施形態について説明してきたが、当業者であれば容易に分かるように、これらの典型的な実施形態においては、本発明の新規な教示および利点から大いに逸脱することなく、多くの変形が可能である。したがって、そのような全ての変形は、請求項に規定される本発明の範囲内に含まれると意図される。請求項において、ミーンズプラスファンクション節は、列挙された機能を実行する本明細書に記載された構造および構造等価物だけでなく等価な構造をも網羅すると意図される。したがって、前述の説明が本発明の例示であって開示された特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、また、開示された実施形態の変形および他の実施形態が添付の請求項の範囲内に含められると意図されることは言うまでもない。本発明は以下の請求項によって規定され、請求項の等価物は本発明に含められる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の幾つかの実施形態に係る携帯プローブを含む光コヒーレンストモグラフィ(OCT)システムを示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の幾つかの実施形態に係る接触携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図3】(A)本発明の幾つかの実施形態に係る図1の携帯プローブの光学レンズセット構成を示す概略ブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの方向を走査するように構成される少なくとも1つのミラーを備え、サンプルの位置を変えることなくサンプルに対して位置合わせできるサンプルへの携帯インタフェースを与えるように構成される携帯光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置。
【請求項2】
OCTプローブを備え、前記OCTプローブは、少なくとも2つの方向を走査するように構成される少なくとも1つのミラーに対して結合されるリレーレンズセットを備える請求項1に記載の携帯OCT装置。
【請求項3】
前記OCTプローブは、前記サンプルと、物理的な接触を行なわない非接触プローブを備え、前記非接触プローブは、前記非接触プローブのために構成される第1のリレーレンズセットを更に備える請求項2に記載の携帯OCT装置。
【請求項4】
前記非接触プローブは、スペーサと物理的な接触を行なうように構成され、前記スペーサはサンプルと物理的な接触を行なうように構成される請求項3に記載の携帯OCT装置。
【請求項5】
前記OCTプローブは、サンプルと物理的な接触を行なうように構成される接触プローブを備え、前記接触プローブは、前記接触プローブのために構成される第2のリレーレンズセットを更に備える請求項2に記載の携帯OCT装置。
【請求項6】
前記接触プローブは、第2のリレーレンズセット上で保護カバーを受けるように構成され、前記保護カバーはサンプルと物理的な接触を行なうように構成される請求項5に記載の携帯OCT装置。
【請求項7】
前記OCTプローブは、少なくとも2つのレンズセットを受けるように構成される請求項2に記載の携帯OCT装置。
【請求項8】
少なくとも2つのリレーレンズセットのうちの第1のリレーレンズセットは、前記サンプルと物理的な接触を行なわない非接触プローブのために構成され、少なくとも2つのリレーレンズセットのうちの第2のリレーレンズセットは、前記サンプルと物理的な接触を行なう接触プローブのために構成される請求項7に記載の携帯OCT装置。
【請求項9】
少なくとも2つのリレーレンズセットのうちの第1のリレーレンズセットは、前記プローブ外部の最後の光学レンズ系を介して撮像するように構成され、少なくとも2つのリレーレンズセットのうちの第2のリレーレンズセットは、プローブ外部の光学レンズ系の助けを伴うことなく撮像するように構成される請求項7に記載の携帯OCT装置。
【請求項10】
OCTプローブが一体の基準アームを更に含む請求項2に記載の携帯OCT装置。
【請求項11】
一体の基準アームを含むOCTプローブがビームスプリッタを更に備え、前記ビームスプリッタは、光を受けるとともに、光の一部を基準アームの光路へと供給し、光の残りの部分を、サンプルの光路の少なくとも2つの方向を走査するように構成される少なくとも1つのミラーへと供給するように構成される請求項10に記載の携帯OCT装置。
【請求項12】
前記OCTプローブは、前記OCTプローブにわたって少なくとも2つの異なる光路長を与えるように構成された光路長調整機構を更に備える請求項2に記載の携帯OCT装置。
【請求項13】
光路長調整機構が手動調整機構またはモータ駆動調整機構を備える請求項12に記載の携帯OCT装置。
【請求項14】
前記OCTプローブは、携帯プローブ、機械ブーム上に装着されるように構成されたプローブまたはユーザの頭部に装着されるように構成されたプローブを備える請求項2に記載の携帯OCT装置。
【請求項15】
前記OCTプローブと一体のディスプレイを更に備える請求項2に記載の携帯OCT装置。
【請求項16】
前記OCTプローブは、ディスプレイを動作させ且つ前記OCTプローブと通信するOCTエンジンの動作を制御するように構成されたユーザインタフェースを更に備える請求項15に記載の携帯OCT装置。
【請求項17】
前記OCTプローブは、前記OCTプローブの先端に装着されるように構成された部分反射要素を更に備え、前記部分反射要素は、コモンモード干渉計のための反射としての機能を果たすように構成されている請求項2に記載の携帯OCT装置。
【請求項18】
前記OCTプローブは、サンプル内部の反射に基づいてコモンモード干渉計のための基準反射を生成するように構成される請求項2に記載の携帯OCT装置。
【請求項19】
前記OCTプローブは、拡張走査深さ多重化を可能にするように構成された多経路遅延線を更に備える請求項2に記載の携帯OCT装置。
【請求項20】
光学素子、エレクトロニクス及び/又はサンプルのOCT画像を生成するために使用されるデータを取得するように構成されたソフトウェアを含むOCTエンジンと、
OCTエンジンと通信するとともに、少なくとも2つの方向を走査するように構成される少なくとも1つのミラーを備え、サンプルの位置を変えることなくサンプルに対して位置合わせできるサンプルへの携帯インタフェースを与えるように構成された携帯OCT装置と、
を備える光コヒーレンストモグラフィ(OCT)システム。
【請求項21】
前記携帯OCT装置がOCTプローブを備え、前記OCTプローブは、少なくとも2つの方向を走査するように構成される少なくとも1つのミラーに対して結合されるリレーレンズセットを備える請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記OCTプローブは、前記サンプルと物理的な接触を行なわない非接触プローブを備え、前記非接触プローブは、前記非接触プローブのために構成される第1のリレーレンズセットを更に備える請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記サンプルと物理的な接触を行なうように構成されるスペーサを更に備え、前記非接触プローブはスペーサと物理的な接触を行なうように構成されている請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記OCTプローブは、前記サンプルと物理的な接触を行なうように構成される接触プローブを備え、前記接触プローブは、前記接触プローブのために構成される第2のリレーレンズセットを更に備える請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記接触プローブ上に位置されるように構成される保護カバーを更に備え、前記保護カバーは、サンプルと物理的な接触を行なうように構成される請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記OCTプローブを受けるとともに前記OCTプローブをサンプルと位置合わせする方法を与えるように構成される機械ブームを更に備える請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記OCTプローブと一体で且つ前記OCTエンジンと通信するように構成されたディスプレイを更に備える請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
前記OCTプローブは、前記ディスプレイを動作させ且つ前記OCTプローブと通信する前記OCTエンジンの動作を制御するように構成されたユーザインタフェースを更に備える請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
光をOCTプローブのリレーレンズセットからサンプルへと伝えるとともにサンプルから戻すように構成されたフレキシブルリレーシステムを更に備える請求項21に記載のシステム。
【請求項30】
一体のディスプレイを備える携帯光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置。
【請求項31】
前記ディスプレイを動作させ且つ前記携帯OCT装置と通信するOCTエンジンの動作を制御するように構成されたユーザインタフェースを更に備える請求項30に記載の携帯OCT装置。
【請求項32】
前記ユーザインタフェースは、サンプルの画像を取得するように構成された画像取得トリガ、及び/又は走査パターン、走査範囲、走査レート及び/又は画像処理オプションを調整するように構成された制御装置を備える請求項31に記載の携帯OCT装置。
【請求項33】
前記ディスプレイは、サンプルのリアルタイム画像及び/又は保存画像、システムオプション、システムモード及び/又はシステムエラーメッセージを表示するように構成される請求項31に記載の携帯OCT装置。
【請求項34】
前記ディスプレイは、携帯OCT装置の側面に対して略垂直に装着され、前記携帯OCT装置の側面から展開され、携帯OCT装置の背面に装着されるように構成される請求項30に記載の携帯OCT装置。
【請求項35】
一体の基準アームを備える携帯光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置。
【請求項36】
前記OCTプローブがビームスプリッタを備え、当該ビームスプリッタは、光を受けるとともに、光の一部を携帯OCT装置の基準アームの光路へと供給し、光の残りの部分をサンプルの光路へと供給するように構成される請求項35に記載の携帯OCT装置。
【請求項37】
前記ビームスプリッタは、基準アームの光路およびサンプルの光路からの光を受けるとともに、基準アームの光路からの光とサンプルの光路からの光とを再び組み合わせ、組み合わされた光を処理のために携帯OCT装置と通信するOCTエンジンへと供給するように更に構成される請求項36に記載の携帯OCT装置。
【請求項38】
前記基準アームは、
ゼロまたは少なくとも1つの回転ミラーと、
少なくとも1つの集束レンズと、
ゼロまたは少なくとも1つの分散補償要素と、
ゼロまたは少なくとも1つの減衰要素と、
反射ミラーと
を備える請求項36に記載の携帯OCT装置。

【図3】(B)本発明の幾つかの実施形態に係る図1の携帯プローブの光学レンズセット構成を示す概略ブロック図である。
【図4】本発明の幾つかの実施形態に係るOCTシステムで用いる非接触携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図5】本発明の幾つかの実施形態に係るスペーサと共に使用される非接触携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図6】(A)本発明の幾つかの実施形態に係る図4および図5の非接触携帯プローブで用いる光学レンズセットを示す概略ブロック図である。
【図6】(B)本発明の幾つかの実施形態に係る図4および図5の非接触携帯プローブで用いる光学レンズセットを示す概略ブロック図である。
【図7】本発明の幾つかの実施形態に係るフレキシブルリレーと共に使用される携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図8】本発明の幾つかの実施形態に係る交換可能なレンズセットを含む携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図9】本発明の幾つかの実施形態に係る基準アームと一体の携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図10】本発明の幾つかの実施形態に係る調整可能な光路長を有する携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図11】本発明の幾つかの実施形態に係るOCTシステムで用いる携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図12】本発明の幾つかの実施形態に係るOCTシステムで用いるヘッドマウントプローブを示す概略ブロック図である。
【図13】本発明の幾つかの実施形態に係る制御装置及び/又はディスプレイと共に使用される携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図14】本発明の幾つかの実施形態に係る、反射がプローブ内で起こるコモンモード経路設計を有する携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図15】本発明の幾つかの実施形態に係る、反射がサンプル内で起こるコモンモード経路設計を有する携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図16】本発明の幾つかの実施形態に係る拡張走査深さ多重化のための多経路遅延線を含む携帯プローブを示す概略ブロック図である。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−510445(P2009−510445A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533548(P2008−533548)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/037579
【国際公開番号】WO2007/041125
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508027811)バイオプティジェン,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】