説明

携帯型間質液監視システム

【課題】間質液監視装置に関し、特に、消費者が家で使用できる携帯型グルコース監視システムを提供する。
【解決手段】中空の微小針アレイと、皮膚から間質液を抽出するダイヤフラムポンプと、流体濃度を検出するセンサとを包含するストリップ様微小針装置が提供される。微小針装置は、読取り値を生成する外部センサと連結可能であるか、又は自蔵型であることができる。ある変形においては、単一回使用の使い捨てユニットとして取り外し可能な微小針アレイが使用される。装置は携帯型であり、微小針アレイの上に一本の指を置き、別の指でダイヤフラムポンプを作動させることによって使用され、それにより流体サンプルを取得する。電極又は光学センサのいずれかを備えるコーティングされるか又は透明の中実微小針を現場(in-situ)センサとして代わりに使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、間質液監視装置に関し、特に、消費者が家で使用できる携帯型グルコース監視システムに関する。本発明は、微小針アレイを使用して痛みなく間質液をサンプリングし、グルコース濃度の表示を提供する家庭用グルコース監視システムとして具体的に開示されている。
【背景技術】
【0002】
皮膚全体に十分な流体を浸透させることに関与する主要な問題があるが、薬剤の局所的分配及び生物流体の局所的サンプリングは、体系的な薬理学的効果又は局在化した薬理学的効果のいずれかを達成するのに非常に有用な方法又は診断方法である。皮膚は複数の層からなり、その中では角質層が最も外側の層であり、次に生表皮層がきて、最後に真皮組織層がある。角質層の薄い層が、皮膚を通る化学物質浸透に対して主な障壁を呈する。角質層は、検体の水溶性及び分子量に応じて、50%〜90%の皮膚障壁特性を担っている。
【0003】
注射による薬剤投与のための皮下注射針の使用の代替法が、米国特許第3,964,482号(ガーステル(Gerstel)による)で開示され、そこでは中実又は中空いずれかの微小針のアレイが角質層を通って表皮層へ貫通するのに使用される。流体は、中空微小針を通って、又は浸透性の固体突出部を通って、又は、場合によっては、浸透性の材料若しくは開口部に囲まれた非浸透性の固体突出部の周りを通って分配される。薬剤放出の速度を制御するために膜材料が使用され、薬剤移動の機構は吸収である。
【0004】
他の型の微小針構造が、PCT国際公開特許WO98/00193(アルテアテクノロジー社(Altea Technologies,Inc.)による)、並びにWO97/48440、WO97/48441、及びWO97/48442(アルザ社(AlzaCorp.)による)にて開示されている。更に、PCT国際公開特許WO96/37256では、別の型の細石刃構造が開示されている。更に、ジョージアテックリサーチ社(GeogiaTech Research Corporation)によるPCT国際公開特許WO99/64580及びWO00/74763A2は、様々な微小針構造とその製造方法を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
微小針の使用は、皮内薬剤投与又は薬剤サンプリングが痛み又は出血無しに達成できるという点で1つの大きな利点を有する。用語「微小針」は、本明細書において使用する時、角質皮膚層を通って表皮層まで貫通するのに十分な長さを有する複数の細長い構造を指す。一般的には、微小針は真皮層にまで貫通する程長くないが、それが望ましい状況もある。
【0006】
皮膚から間質液を抽出又は検査でき、瞬時に読出し値をディスプレイに表示できる携帯型微小針装置は、特にリアルタイムでグルコースレベル(濃度)を知りたい糖尿病患者にとって非常に有用である。人間の使用者が(例えば指で)触れることができ、次いで作動ボタン又はスイッチを押して流体サンプルを検査又は抽出し、最後にその結果をリアルタイムで、又はほぼリアルタイムで自動的に表示する「微小針パッチ」又は「微小針ストリップ」を利用可能にする微小針をベースとした1つ以上の自蔵型サンプリング装置を提供することは非常に有益である。微小針部分が単一回使用に向けて設計された使い捨てであれば、更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上から、本発明は以下を提供する。
(1)流体サンプリング装置であって、
(a)前記流体サンプリング装置の第一表面上でアクセス可能な複数の微小針と、
(b)前記流体サンプリング装置の第二表面上でアクセス可能な手動操作式ポンプ装置と、
(c)前記複数の微小針と前記ポンプ装置の両方と水力学的に連通している貯蔵部と
によって特徴付けられ、
前記ポンプ装置が手動で作動すると、前記貯蔵部が、前記複数の微小針を通って流動する流体を受容する、流体サンプリング装置。
(2)前記複数の微小針及び前記貯蔵部と水力学的に連通している流体路を更に含み、前記第一表面が前記流体サンプリング装置の第一端部上にあり、前記第二表面が前記第一端部から遠位にある前記流体サンプリング装置の第二端部上にある、項目1に記載の流体サンプリング装置。
(3)前記第一表面が前記流体サンプリング装置の第一側面上にあり、前記第二表面が前記流体サンプリング装置の第二面上にあり、前記第一側面が前記第二側面と対向している、項目1に記載の流体サンプリング装置。
(4)(a)前記貯蔵部の近位にある第一端部を有すると共に、前記貯蔵部から遠位にある第二端部へと延在する部材と、(b)前記延在部材上に位置する少なくとも1つの電極と、(c)前記貯蔵部と水力学的に連通しているセンサパッドとを更に含み、前記少なくとも1つの電極が前記センサパッドと連通している、項目3に記載の流体サンプリング装置。
(5)前記センサパッドの出力を電気信号に変換する電気インターフェイスと、前記電気信号の値を検出すると共に、出力信号を生成する処理回路と、前記出力信号が表す値を表示するディスプレイ装置とを更に含む、項目4に記載の流体サンプリング装置。
(6)流体検知装置であって、
(a)前記流体検知装置の第一表面上でアクセス可能な複数の中実微小針であって、前記中実微小針は前記中実微小針が生物学的障壁と接触する外側表面をコーティングされており、前記微小針のコーティングが前記生物学的障壁の流体特性に反応性であるトランスデューサとして作用し、それにより前記流体特性に反応して電気信号を生成する複数の中実微小針と、
(b)前記コーティングされた微小針の近位にある第一端部を有すると共に、前記コーティングされた微小針から遠位にある第二端部へと延在する部材と、
(c)前記延在部材上に位置すると共に、前記コーティングされた微小針と連通している少なくとも1つの電極と
によって特徴付けられる、流体検知装置。
(7)前記少なくとも1つの電極の出力を電気信号に変換する電気インターフェイスと、前記電気信号の値を検出すると共に、出力信号を生成する処理回路と、前記出力信号の値を表示するディスプレイ装置とを更に含む、項目6に記載の流体検知装置。
(8)流体サンプリング装置であって、
(a)複数の微小針、貯蔵部、電気化学センサパッド、及び前記センサパッドと連通している少なくとも1つの電極を包含する取り外し可能な部分と、
(b)適所にある時、前記少なくとも1つの電極が前記本体部分に面すると共に、前記複数の微小針がアクセス可能であるような、前記取り外し可能な部分を受容する容器、電気センサ、及び前記本体部分の表面上でアクセス可能な手動操作式ポンプ装置を包含する本体部分と
によって特徴付けられ、
前記ポンプ装置が手動で作動すると、前記貯蔵部が、前記複数の微小針を通って流動する流体を受容し、前記電気化学センサパッドが、電気信号を出力する前記少なくとも1つの電極によって検出される物理的特性の変化を呈し、前記電気センサが、前記少なくとも1つの電極と連通していると共に、前記電気信号に反応して出力信号を生成する、流体サンプリング装置。
(9)前記手動操作式ポンプ装置がプッシュボタン状装置を含み、前記プッシュボタン状装置が(a)前記微小針を通って流体を抜き取る圧力差を生じさせるべく少なくとも一回作動するか、又は(b)第一位置に予めコックされ、次いで、前記微小針を通して流体を抜き取る圧力差を生じさせる第二位置に移動させるべく前記手動式作動によって解放される、項目8に記載の流体サンプリング装置。
(10)可動基材物質に装着された複数の微小針ストリップであって、前記微小針ストリップのそれぞれは、使用者がアクセス可能な複数の微小針と、前記微小針を通って流動する流体と連通しているセンサと、前記センサと連通している信号トランスデューサとを包含する複数の微小針ストリップによって特徴付けられ、
前記複数の微小針ストリップの第一のストリップの前記信号トランスデューサが、出力ポートに伝達される電気信号を生成し、前記可動基材物質は、前記微小針ストリップの第二のストリップが使用者にアクセスできるように、次の位置へと一定量移動可能である、交換可能なカートリッジ。
従って、本発明の利点は、第一表面上でアクセス可能な複数の微小針と、第二表面上でアクセス可能な手動操作式ポンプ装置と、前記微小針とポンプ装置の両方と水力学的に連通している貯蔵部とを包含する流体サンプリング装置を提供することである。この貯蔵部は、ポンプ装置が手動で作動すると、複数の微小針を通って流動する流体を受容する。
【0008】
本発明の別の利点は、第一表面上でアクセス可能な複数のコーティングされた中実微小針と、前記コーティングされた微小針の近くに第一端部を有すると共に、前記コーティングされた微小針から遠位にある第二端部へと延在する部材と、前記延在部材上に位置すると共に、前記コーティングされた微小針と連通している少なくとも1つの電極とを包含する流体サンプリング装置を提供することである。この中実微小針の外面はコーティングされており、微小針のコーティングは、皮膚などの生物学的障壁の流体特性の電気化学センサとして作用する。中実微小針が生物学的障壁と接触する時、電気化学センサは流体特性に反応して電気信号を生成する。
【0009】
本発明の更なる利点は、複数の微小針、貯蔵部、光学センサパッド、及び光学窓を有する取り外し可能な部分と、適所にある時、前記光学窓が前記本体部分に面すると共に、前記複数の微小針がアクセス可能であるような、前記取り外し可能な部分を受容する容器、光源及び光学検出器、並びに前記本体部分の表面に取り付けられ、前記複数の微小針の近位に流体を流動させる手動操作式制御アクチュエータを包含する本体部分とを包含する更に別の流体サンプリング装置を提供することである。この貯蔵部は、制御アクチュエータが手動で操作されると、複数の微小針を通って流動する流体を受容し、光源が光学センサパッドを照らすと、光学センサパッドは光学検出器によって検出される物理的特性の変化を呈する。
【0010】
本発明の更なる利点は、複数の微小針、貯蔵部、電気化学センサパッド、及び前記センサパッドと連通する少なくとも1つの電極を有する取り外し可能な部分と、適所にある時、前記電極が前記本体部分に面すると共に、前記複数の微小針がアクセス可能であるような、前記取り外し可能な部分を受容する容器、電子センサ、及び前記本体部分の表面上でアクセス可能な手動操作式ポンプ装置を包含する本体部分を包含する更に別の流体サンプリング装置を提供することである。この貯蔵部は、ポンプ装置が手動で作動すると、複数の微小針を通って流動する流体を受容し、電気化学センサパッドは、電極により検出される物理的特性の変化を呈して、電気信号を出力する。電子センサは電極と連通しており、電気信号に反応して出力信号を生成する。
【0011】
本発明の更に別の利点は、複数の微小針と、手動操作可能なプランジャと機械的に連通している結合基材と、可変容量チャンバを包含すると共に、前記プランジャの移動により変形する可撓性膜を含有するハウジングであって、前記膜の変形により前記チャンバの容量が変動するハウジングと、前記可変容量チャンバと水力学的に連通している出力ポートとを包含する流体サンプリング装置を提供することである。一方向へプランジャを作動させると、微小針は、皮膚などの生物学的障壁に押し込まれ、それを穿孔する。第二の反対方向へプランジャを作動させると、生物学的障壁からの流体は、可変容量チャンバ内へ引き込まれ、それにより出力ポートに導かれる。
【0012】
本発明の更なる利点は、可動基材物質に装着され、使用者がアクセス可能である複数の微小針をそれぞれが包含する複数の微小針ストリップと、前記微小針を通って流動する流体と連通しているセンサと、前記センサと連通している信号トランスデューサとを包含する交換可能なカートリッジを提供することである。これら複数の微小針ストリップの第一のストリップの信号トランスデューサは、出力ポートに伝達される電気信号を生成する。可動基材又はウェブ物質は、複数の微小針ストリップの第二のストリップが使用者にアクセスできるように、「次の」位置へと一定量移動可能(indexable)である。
【0013】
本発明の更に別の利点は、基部材から突出し、皮膚に対して置かれた時に前記皮膚の角質層を貫通するような大きさ、形状及び材料である微小針部材のアレイと、前記微小針部材上で作動した後に前記微小針部材が前記角質層を貫通できないようにすると共に、(a)熱源、(b)電気エネルギー源、(c)光学エネルギー源、(d)化学反応、(e)力を付勢する機械的部材、又は(f)前記微小針部材を永久的に被包する物質のうちの1つを含む自己消滅機構とを含む単一回使用の微小針システムを提供することである。
【0014】
本発明の追加的な利点及びその他の新規な特徴は、部分的には以降に続く説明で述べられ、部分的には以降を検討することにより当業者にとって明らかとなり、又は本発明の実践によって会得することができる。
【0015】
前述の及び他の利点を達成するために、及び本発明の一態様によれば、(1)流体サンプリング装置の第一表面上でアクセス可能な複数の微小針と、(2)流体サンプリング装置の第二表面上でアクセス可能な手動操作式ポンプ装置と、(3)前記複数の微小針とポンプ装置の両方と水力学的に連通している貯蔵部とを含む流体サンプリング装置が提供される。この容器は、ポンプ装置が手動で作動すると、複数の微小針を通って流動する流体を受容する。
【0016】
本発明の別の態様によれば、(1)流体サンプリング装置の第一表面上でアクセス可能であると共に、外側表面をコーティングされた複数の中実微小針であって、(2)前記中実微小針が生物学的障壁と接触する時、前記微小針のコーティングは前記生物学的障壁の流体特性の電気化学センサとして作用し、前記電気化学センサは前記流体特性に反応して電気信号を生成する複数の中実微小針と、(3)前記コーティングされた微小針の近くに第一端部を有すると共に、前記コーティングされた微小針から遠位にある第二端部へと延在する部材と、(4)前記延在部材上に位置すると共に、前記コーティングされた微小針と連通している少なくとも1つの電極とを含む流体サンプリング装置が提供される。
【0017】
本発明の更なる態様によれば、(1)複数の微小針、貯蔵部、光学センサパッド、及び光学窓を包含する取り外し可能な部分と、(2)(a)適所にある時、前記光学窓が前記本体部分に面すると共に、前記複数の微小針がアクセス可能であるような、前記取り外し可能な部分を受容する容器、(b)光源及び光学検出器、並びに(c)前記本体部分の表面上に取り付けられ、流体を前記複数の微小針の近位に流動させる手動操作式制御アクチュエータを包含する本体部分とを含む流体サンプリング装置が提供される。前記貯蔵部は、前記制御アクチュエータが手動で作動すると、前記複数の微小針を通って流動する流体を受容し、前記光学センサパッドは、光源が前記光学センサパッド上を照らすと、光学検出器によって検出される物理的特性の変化を呈する。
【0018】
本発明の更に別の態様によれば、(1)複数の微小針、貯蔵部、電気化学センサパッド、及び前記センサパッドと連通している少なくとも1つの電極を包含する取り外し可能な部分と、(2)(a)適所にある時、前記電極が前記本体部分に面すると共に、前記複数の微小針がアクセス可能であるような、前記取り外し可能な部分を受容する容器、(b)電子センサ、及び(c)前記本体部分の表面上でアクセス可能な手動操作式ポンプ装置を包含する本体部分とを含む流体サンプリング装置が提供される。前記貯蔵部は、前記ポンプ装置が手動で作動すると、前記複数の微小針を通って流動する流体を受容し、前記電気化学センサパッドは、電気信号を出力する前記電極によって検出される物理的特性の変化を呈する。電子センサは、前記電極と連通していると共に、前記電気信号に反応して出力信号を生成する。
【0019】
本発明の更に別の態様によれば、(1)複数の微小針、及び手動操作可能なプランジャと機械的に連通している結合基材と、(2)可変容量チャンバを含有すると共に、プランジャの移動により変形する可撓性膜を含有するハウジングであって、前記膜の変形により前記チャンバの容量が変動するハウジングと、(3)前記可変容量チャンバと水力学的に連通している出力ポートとを包含する流体サンプリング装置が提供される。一方向へ前記プランジャを作動させると、微小針は、皮膚などの生物学的障壁に押し込まれ、それを穿孔する。第二の反対方向へ前記プランジャを作動させると、生物学的障壁からの流体が前記可変容量チャンバ内へ引き込まれ、それにより出力ポートに導かれる。
【0020】
本発明の更に別の態様によれば、(1)可動基材物質に装着され、(a)使用者がアクセス可能な複数の微小針と、(b)前記微小針を通って流動する流体と連通しているセンサとをそれぞれが包含する複数の微小針ストリップと、(3)前記センサと連通している信号トランスデューサとを含む交換可能なカートリッジが提供される。前記複数の微小針ストリップの第一のストリップの前記信号トランスデューサは、出力ポートに伝達される電気信号を生成する。前記可動基材又はウェブ物質は、複数の微小針ストリップの第二のストリップが使用者にアクセスできるように、「次の」位置へと一定量移動可能である。
【0021】
本発明の更に別の態様によれば、基部材から突出し、皮膚に対して置かれた時に皮膚の角質層を貫通するような大きさ、形状及び材料である微小針部材のアレイと、前記微小針部材上で作動した後に、前記微小針部材が前記角質層を貫通できないようにすると共に、(a)熱源、(b)電気エネルギー源、(c)光学エネルギー源、(d)化学反応、(e)力を付勢する機械的部材、又は(f)前記微小針部材を永久的に被包する物質のうちの1つを含む自己消滅機構とを含む単一回使用の微小針システムが提供される。
【0022】
本発明の更に別の利点は、本発明の好ましい実施形態が、本発明を実践するために考慮された最良の形態の1つで記載され示されている次の説明及び図面から当業者には明らかである。理解されるように、本発明はその他の異なった実施形態が可能であり、その幾つかの詳細部は、すべて本発明から逸脱することなく、様々で明白な態様の変更が可能である。従って、図面及び説明は本質的に例証としてみなされ、限定するとはみなされない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書に組み入れてその一部を構成する添付図面は、本発明の幾つかの態様を図解し、その説明及び請求項と共に本発明の原理を解説するものである。
以下、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照するが、それらの例が添付図面に図示され、そこでは同じ数字が図面全体を通して同一要素を示す。
【0024】
中空微小針アレイが一端に配置され、ダイヤフラムポンプが他端に配置され、その間には流体路を有するストリップ様微小針装置が提供される。一方の手の一本の指を微小針アレイ上に置き、他方の手を使ってダイヤフラムポンプを適所に保持する。両手からの両指が適所に置かれると、ダイヤフラムポンプが作動し、人の指から微小針アレイを通して流体を抽出する。流体が抽出されると、その流体は、流体を保持するための逆止弁を包含するダイヤフラムポンプに隣接したチャンバ内に蓄積される。
【0025】
センサ又は信号トランスデューサは、目的の流体の濃度を電気信号に変換するのに使用され、この電気信号は、外部センサ又はディスプレイユニットによって分析され得る。様々なタイプのセンサをこの目的のために使用することができ、これには例えば、電気化学センサ、化学発光センサ、光化学センサが含まれる。勿論、電気出力信号を生成する他のタイプのトランスデューサを使用することができる。
【0026】
微小針アレイの代替実施形態は片手式ユニットを利用し、このユニットにおいて、微小針アレイはユニットの上面に取り付けられ、ダイヤフラムポンプはユニットの下面に取り付けられ、貯蔵部がそれらの間の容積測定空間に配置される。例えば指又は腕などを微小針上に置き、(同じ手の)対置できる親指をダイヤフラムポンプ上に置き、その指と親指を共に押しつけながら、微小針を通して指から間質液を抽出することができる。流体は、電気化学センサ又は光学サンサでの更なる処理のために貯蔵部に貯蔵される。
【0027】
微小針とダイヤフラムポンプの両方がストリップの一端に配置されると共に、片手で取り扱い可能である別の微小針ストリップセンサが提供される。電極がストリップに沿って配置され、ダイヤフラムポンプと微小針の間にある流体チャンバ近くに配置されたセンサパッドと電気的に連通している。ダイヤフラムポンプを作動させると、間質液が微小針及びセンサパッドを通して抽出され、これにより電気信号が電極に沿って発生する。外部電子センサは、流体出力ポートを介して電極と接触させ、ディスプレイ出力を行うことができる。
【0028】
中実微小針アレイが微小針ストリップの一端に配置されると共に、特殊な物質でコーティングされている中実微小針アレイの実施形態が提供される。この特殊なコーティング物質は、本質的には、中実微小針を一組の電極へと送信される電気信号を生成する電気化学センサに変換する。これらの電極は、次いで、外部電子センサと電気的に接触させて、ディスプレイ出力を行うことができる。これは、現場(in-situ)サンプリングと呼ばれる。あるいは、この現場(in-situ)装置は、外部センサを利用するのではなく、ディスプレイを含有するトータルパッケージ内に置かれることもできる。
【0029】
二部分自蔵型微小針センサが、別の代替実施形態として提供される。この実施形態において、センサの本体は、プッシュボタン手動アクチュエータ、ディスプレイ、光源、光学検出器、及び入力信号を測定すると共に、ディスプレイに読取り値を表示させる制御装置を包含する。第二の取り外し可能な部分は、微小針アレイ、ダイヤフラムポンプ、及び光学センサパッドと連通している流体チャンバを包含する。微小針部分は、光源からの光が流体チャンバ及び直接には抽出された間質液を照らすことを許容する「色調査窓(colorinterrogation window)」を包含する。次いで、間質液からの反射光は窓を通って光学検出器又はセンサに戻る。間質液内の目的の流体濃度の変動により、波長の変化が起こる。この自蔵型ユニットの微小針部分は使い捨てであり、抽出された流体がサンプリングされると、容易に取り外すことができる。次いで、新しい未使用の微小針アレイが、より大きな検知ユニットの底部に予め装填される。このユニットは、ばね装填されるか、さもなければコックされたダイヤフラムポンプを有することができるので、上部のプッシュボタンアクチュエータは、下側位置で始まり、作動すると、上側又は上昇位置に跳ね上がり、微小針を通して流体を抽出する。
【0030】
自蔵型微小針センサのもう1つの同様の実施形態は、一組の電極及びこれらの電極と接触する電気センサパッドを利用する。電気センサパッドは、電極で電流又は電圧を誘導する電気化学センサとして作用する。パッド及び電極は、ダイヤフラムポンプと共に、検知ユニット全体の使い捨て微小針アレイ部分の一部である。センサの使い捨てでない部分には、プッシュボタン手動アクチュエータと、ディスプレイと、インターフェイス電子機器と、入力信号を測定すると共に、ディスプレイに読取り値を表示させる制御装置とが包含される。ダイヤフラムポンプは、一旦作動すると跳ね上がり、微小針アレイを通して流体を抽出すべくばね装填され得るか、又はコックされ(cocked)得る。
【0031】
更なる代替実施形態として、連続測定微小針検知システムも提供される。この実施形態において、ダイヤフラムは変形可能であると共に、微小針アレイを皮膚内に押し込み、後の間質液抽出のために皮膚に開口を作るプランジャに装着されている。ポンプ/ダイヤフラムの上部「ボタン」部分が解放される時、プランジャは上昇し、皮膚から微小針アレイを持ち上げる。この時、間質液が抜き取られ、容積測定チャンバ内に置かれる。このチャンバは、流体濃度をサンプリングし、且つ読取る別個の電子ユニット内に間質液サンプルを引き込む中空チューブと連通している。この別個の電子ユニットはまた、エンジニアリング単位で表した目的の流体濃度の読取り値を提供するディスプレイを包含する。
【0032】
センサは、数時間又はおそらくは数日間も皮膚上に留まることが可能である。微小針アレイは、以下の3つの方法で使用できる:(1)微小針アレイは、皮膚内に押し込まれることができ、所定の全サンプリング期間そこに留まる;(2)微小針アレイは、採取されるべきサンプルごとに皮膚内に押し込まれることができる;又は(3)微小針が最初に皮膚に圧痕形成し、次いで引き抜かれた後の穴が十分に大きい場合、間質液は、いつでも所望する時に別個の電子ユニットにより中空チューブを通してサンプリングするために連続してチャンバ内に留まる。
【0033】
代替実施形態は、微小針を電気化学センサに変換するコーティングを有する中実微小針を使用する。その実施形態において、微小針は、新たな読取り値が読取られるごとに皮膚内に挿入されるか、又は所定の時間にわたって連続して読取りを行うために皮膚内に残される必要があると思われる。
【0034】
微小針ストリップは、所望であれば使い捨てカートリッジの形態で供給でき、1つのかかる使い捨てカートリッジでは、パームパイロットなどの個人情報補助装置にプラグ接続する複数の微小針ストリップを含有するウェブ又はテープが使用され得る。このプラグインカートリッジは、所定の間隔で個々の微小針ストリップを含有するウェブ又はテープを進めるソースリール及び巻取りリールを含有する。このストリップは、穴に近い場所に一定量移動(index)し、その穴を通して指が置かれ、微小針アレイと接触し得る。この時、間質液が抜き取られるか、又はさもなければ微小針が中実の場合には検出され得る。プラグインカートリッジは、好ましくは、コネクタを通して二進(デジタル)信号又はシリアル信号をPDAユニットに供給するA/Dコンバータ付きのマイクロプロセッサを包含する。
【0035】
別の自蔵型微小針検知装置は、ユニットの底部にはめ込まれると共に、流体抽出に利用された後、使用済み微小針パッチ又はストリップを取り出す補充式カートリッジを使用することができる。この装置は、微小針を進めると共に、サンプルを採取するボタンを包含することができ、また、好ましくは、目的の流体濃度の直接の読取り値を得ることができるディスプレイを包含する。
【0036】
自蔵型微小針センサユニットの更なる実施形態は、ソースリール及び巻取りリールを使用し、上述のパームパイロットと共に使用されるプラグインカートリッジと同様の使い捨て補充式カートリッジを包含する。この新規な実施形態において、ユニットは、微小針パッチ又はストリップ用の穴を提供する専用検知装置であり、エンジニアリング単位又はパーセントで表した目的の流体濃度に関する情報を提供する電子式ディスプレイである。回転してストリップを適当に一定量移動させるソースリール及びテープイン(tape-in)リールが提供される。
【0037】
使い捨ての微小針ストリップセットの更に別の実施形態は、複数の微小針ストリップをその上に有する回転可能なディスクを使用する。自蔵型微小針センサハウジング全体は開放可能であるので、先に使用した使い捨てディスクを除去し、未使用の微小針パッチ又はストリップを含有する新たなかかる使い捨てディスクを挿入するために、その上部がヒンジに沿って跳ね上がり、アクセスを許容する。次いで、この上部は閉鎖され、微小針ストリップ又はパッチに対して指を載置するために指穴が使用される。その時、サンプルが抽出され、ディスプレイはエンジニアリング単位で表した濃度情報を提供する。
【0038】
本発明の微小針はまた、「単一回使用」の装置として作動するように構成されることができ、微小針自体は、初回(にして唯一の)使用の後に効果的に破壊される。それらは、本質的には、この初回使用の後に自己消滅し、この破壊を実施するのには様々な方法が利用できる。2つの比較的簡単な方法は、微小針を機械的に押し潰すか、又はそれらを溶融することである。3つ目の可能性として微小針の化学的処理がある。微小針は、実際には、完全に破壊される必要はない。その長さを短くするか、さもなければ、それらが再び皮膚の角質層を貫通できないようにその先端又は側壁構造を変形させるだけで十分である。
【0039】
微小針を破壊するのに熱を使用する場合、その熱源は放射線(例えば、微小針用の電灯又はレーザー光)、又は、電気的(例えば、微小針近くの電気発熱体)であることができる。溶融処置は、好ましくは、微小針を大いに変形させ、同時にその長さを短くする。勿論、十分な熱を印加して、微小針を完全に溶融することもできるし、又は、それが本当に所望されるならば、微小針を蒸発させることさえできる。
【0040】
機械的処置が微小針を破壊するのに使用される場合、これは、旋回可能な押潰作用又は剪断力によって行うことができる。剪断力を使用する場合、機械的処置は、微小針が装着される移動ウェブ物質によって提供されることができ、微小針は突出部にぶつかり、この突出部がそれらを破断するか、又は著しく屈曲させる。
微小針の状態を本質的に使用不能であるように変更することにより、微小針の再使用が防止できる。これにより、偶発的に繰り返して挿入してしまうという危険性が減少する。
【0041】
微小針を変形させるか、又は押し潰す破壊手段は、複数の微小針パッチを移動ウェブ又は回転可能なディスク上に含有するプラグインカートリッジ内に包含することができる。この構成において、微小針パッチは、使用者が微小針パッチに触れることができる開口に一定量移動し、これが起こった後、これらのパッチは自己消滅処置が達成される場所又は位置まで更に一定量移動する。このように、微小針パッチは、再使用されないように、自動的に破壊されるか、又は不能にされる。
【0042】
本発明の別の好ましい実施形態は、間質液の抽出を容易にするために、又は間質液の検知を補助するか若しくは間質液の抽出を容易にするために微小針を化学的に強化するために微小針先端に熱を印加することを伴う。例えば、微小針の先端が、皮膚の角質層に挿入される間、それらを通して電流が導かれ、これにより、導電物質又は電気的半導電物質から作られた先端に熱エネルギーが発生する。別の例は、幾らかの間質液を吸収できる化学物質で中実微小針をコーティングすること、又は間質液が微小針の通路を通って電気化学センサへと移動することを容易にする化学物質で中空微小針をコーティングすることである。
【実施例】
【0043】
ここで、図面を参照すると、間質液サンプリングシステムが図1に例証されており、一様に参照番号10で示されている。サンプリングシステム10の一端には微小針アレイ20があり、これらは、本実施形態においては、好ましくは中空の微小針又は「微小チューブ」である。検知装置10の他端には、一方向弁(図示せず)と連結するダイヤフラムポンプ26がある。流体路24は、サンプリング装置10の本体22を貫いて通っており、ダイヤフラムポンプ26を微小針20に水力学的に接続する。
【0044】
間質液をサンプリングする方法が図2に例証されている。人差し指30を微小針アレイ20の先端に押し当て、一方で、もう片方の手を使用して、別の人差し指32及び対置可能な親指34で装置10の遠端を保持する。第一の手(又は指)30を微小針20に押し当てる一方で、もう片方の手を使用して、別の人差し指32の押圧動作に逆らう親指34に指32を押しつけることでダイヤフラムポンプ26を押圧する。
【0045】
ダイヤフラムポンプ26が押圧及び解除されると、ダイヤフラム領域26内の内部チャンバ(図示せず)に圧力を生成し、この圧力は、別の人差し指30から中空微小針20を通して間質液を抜き取る傾向がある。この例では、ダイヤフラム26により生成される圧力は、大気圧に対して、又は少なくとも身体間質液の圧力に対して負の圧力である。ダイヤフラム26に対して指32が行う「ポンプ作用」の回数は、指30から抜き取りたい間質液の容量に応じて調整することができる。
【0046】
動物の皮膚は、その内側層及び外部環境間の流体移動を通常防止する「生物学的障壁」に相当することが理解される。人間の皮膚において、角質層は、かかる流体移動を防止する上で非常に優れている。微小針は、角質層を貫通するように設計されており、これにより、この領域における皮膚の浸透性が大幅に増大する。これらの概念は、先行技術において周知である。
【0047】
微小針アレイの標的として、上記の例で述べた指の代わりに皮膚の他の領域を使用できることが更に理解される。実際、皮膚の他の領域は、おそらくはより薄い角質層を有し、故に貫通するのがより容易である。一例として、図5又は図6の微小針アレイ110は、人間の前腕に押圧可能であり(図5A参照)、ダイヤフラム116を作動させるのに片手又は一本の指しか必要としない。
【0048】
図2に例証される方法により流体サンプルが抽出されると、次いで、その流体サンプルは、図3に例証されるように試験され得る。ここで、間質液は、参照番号40で示されるダイヤフラムの結合容積測定空間内にある。他方の人差し指30を微小針20から外した後でも、一方向弁(図示せず)によりこの流体はこの容積測定空間40内に留まる。次いで、外部センサ50は、検知装置10のダイヤフラム26近傍のある領域と流体接触する。この領域は流体出力ポート又は水力出力ポートと呼ばれ、容積測定空間40から抽出された流体サンプルを外部センサ50に受容させる。
【0049】
外部センサ50が適所にある時、ダイヤフラムポンプ26は、ある分量の間質液を外部センサ50に送るべく人差し指で再び作動する。この外部センサ50は、外部センサ50の先端近傍に検知トランスデューサ52を有する。かかる装置は市販されており、「ストリップセンサ」と呼ばれることもある。幾つかの市販の外部センサにおいて、検知要素はグルコースオキシダーゼを含有しており、このグルコースオキシダーゼは図2のプロセスで抽出された間質液サンプルのグルコース濃度と反応する。
【0050】
市販のセンサとしては、検知要素52が電気化学センサ又は電極を有するセンサとして作用する電子センサが挙げられる。この外部センサ50はまた、所定範囲のグルコース濃度(など)を視覚的に表示することができる、デジタルディスプレイなどのある型の表示装置又はLED(発光ダイオード)などの一連の着色光を包含し得る。
【0051】
電気化学センサの使用に代えて、光学センサを使用することができる。かかる光学センサは2つの部分で作られることができ、第一の部分は、グルコース濃度の変動による(例えば反射光の)波長の変化などの電磁エネルギー特性の変化に反応する。光学センサの第二の部分は、フォトンを測定する光学検出器であり、具体的には、流体サンプル又はセンサの第一の反応部分における目的の新規波長を呈するフォトンを探査する。
【0052】
外部センサ50を備えるディスプレイ又は「ストリップセンサ」が、単一構造として流体サンプリング装置10に一体化され得ることが理解される。かかる単一構造については以下に述べる。一方、濃度を測定されたサンプルはダイヤフラムの容積測定空間26内に留まることができ、ここで、収容されたサンプルは遠隔部位に移動し、その遠隔部位で別のセンサにより試験され得ることもまた理解される。
【0053】
間質液抽出装置の第一実施形態10は、両手式の装置である。図4で例証されるような、片手しか使用しないような同様の装置を製造することができる。図4は、一様に参照番号60で示される流体サンプル抽出装置を示しており、この装置は、本体部分72と、(図4に見られるように)その上面にある中空の微小針アレイ70と、その反対面、即ち底面にあるダイヤフラムポンプ74部分とを有する。この構成により、抽出装置60は片手で操作可能な装置となり、また、図1に見られる第一実施形態のサンプル抽出装置10の一部であった流体路24を排除するより小さな物理的装置となる。
【0054】
人差し指を微小針アレイ70上に置き、一方で、対置可能な親指をダイヤフラムポンプ74上に置く。間質液サンプルが所望される時、ダイヤフラムポンプ74を作動させ(例えば、押圧及び解除し)、中空微小針70を通って人差し指から流体を抜き取る。ダイヤフラムポンプは、後のサンプル試験用に間質液を保持する貯蔵容積測定空間を有する。
【0055】
この貯蔵部(図示しないが、本体72内にある)は、空気又はある不活性ガスしか含有しておらず、本質的には空であるか、又は食塩水溶液などの液体を含有し得る。別の代替法は、「プライムされた(primed)」又は予め湾曲されたダイヤフラムを有することであり、ボタン形状のダイヤフラムポンプの外辺部は、一旦押圧されると、その初期位置よりも更に跳ね上がることによって解放される。他の任意な設計構成も、図4で例証される本発明内で容易に利用できる。
【0056】
図1に例証される第一実施形態10におけるように、ダイヤフラムポンプは、好ましくは、一旦指から流体が抜き取られると貯蔵部内に間質液を保持するためのある型の一方向弁を有する。更に、所望であれば、より多くの流体を抽出するために、ダイヤフラムポンプ74の複数の「ポンプ作用」を利用することができる。電極として作用する電気接点は、図3で例証される電子センサ50などの外部センサと接触するための出力検知表示器として使用可能である。
【0057】
本特許文献に見られる学術用語としては用語「微小針ストリップ」が挙げられ、この用語は、第一実施形態10を示す図1で例証されるものと同様の構成を指す。この第一実施形態は、微小針アレイ20と、ダイヤフラムポンプ26と、流体路24を有するストリップ様本体22とを包含する。本特許文献に見られる別の用語例は、用語「パッチ」(又は用語「微小針パッチ」)であり、この用語は、一般的に微小針アレイ自体を指す。これは、図1で例証される微小針アレイ20と、図4で例証される微小針アレイ70の両方を指す。これらの微小針アレイ構造20及び70は、同一の構成及び材料を有してもよく、又は、所望であれば、流体を抜き取る若しくは排出する時に使用されるべき特定の用途に応じて、異なる寸法若しくは材料のものでもよい。
【0058】
図4Aは、人間の腕、即ち本例では手首に近い前腕の表面上での流体サンプル抽出装置60の使用を示す。指80を使用してダイヤフラムポンプ74を押圧すると同時に、微小針アレイ70は腕82の皮膚に押し込まれる。本発明の微小針アレイは、本発明の原理を逸脱することなく、動物(又は更に言えば植物)の皮膚の実質上いかなる領域にも載置可能であることが理解される。勿論、前腕内側の皮膚の角質層は、ほとんどの場合、指(特に硬化したところ)の角質層よりも薄く、故に微小針で貫通させるのがより容易である。
【0059】
図5は別のストリップ様検知装置を例証しており、本例において、この装置は、間質液を抽出するだけでなく、流体濃度に関する表示を与える検知装置をも包含する。装置全体は、一様には参照番号100で示されており、3つの電極114を含有する本体112を包含し、一端には微小針アレイ110と、その微小針アレイ110の反対面上にあるダイヤフラムポンプ116とを含有する。「センサパッド」120は、電極114と接触するように配置され、基本的には微小針110と、ダイヤフラムポンプ116に隣接する流体チャンバとの間の位置にある(図6参照)。
【0060】
微小針アレイ110は、本体、即ち基材部分124に取り付けられるか、又はその一体部分であり、流体チャンバは、センサパッド120とダイヤフラムポンプ116の間にあるこの本体122のもう一方の半分の内にある。1つの好ましい実施形態において、センサパッド120は特定の化学物質で作られる多孔性膜であるか、又はセンサパッドを電気化学センサに変換するある化学物質を包含する。例えば、センサパッド120の多孔性膜は、グルコースオキシダーゼで作られるか、又はそれを包含し得、このグルコースオキシダーゼは、微小針110とダイヤフラムポンプ116を使用して皮膚から抜き取られる間質液のグルコース濃度変動に対する電気的反応と反応する。
【0061】
図5Aは、人間の腕、即ち本例では手首に近い前腕の表面上でのストリップ様検知装置100の使用を示す。指80を使用してダイヤフラムポンプ116を押圧すると同時に、微小針アレイ110は腕82の皮膚に押し込まれる。本発明の微小針アレイは、本発明の原理を逸脱することなく、動物(又は更に言えば植物)の皮膚の実質上いかなる領域にも載置可能であることがやはり理解される。勿論、前腕内側の皮膚の角質層は、ほとんどの場合、指(特に硬化したところ)の角質層よりも薄く、故に微小針で貫通させるのがより容易である。
【0062】
ダイヤフラムポンプ116は、単なる貯蔵部の方を優先して排除することができ、間質液は毛管力のみによって流動し得る。微小針は、例えば吸上作用により、この流体をセンサパッド上に導く。それにもかかわらず、かかる装置は図6で例証されるような外観を有し得るが、参照番号116で示される構造は貯蔵部のみを表す。図4及び図5の代替構造も毛管作用によって作動可能であり、故にダイヤフラムポンプ116を必要としない。
【0063】
図7は、一本の指を微小針上に置き、別の指をダイヤフラムポンプに対して置くために、片手操作において、どのように指を使うかを示している。図7において、微小針ストリップ100は人差し指130と対置可能な親指132の間に保持され、親指132がダイヤフラムポンプの外部116を押圧し、その一方で、微小針110は人差し指130と接触している。
【0064】
人/使用者がダイヤフラムポンプ116に圧力を印加し、それにより指130の間質液が中空微小針110を通って、ダイヤフラム116近傍の本体部分122内にある貯蔵部(図示せず)に抽出される。どれ程多くの量の流体が特定の用途に必要であるかによって、親指132を使って一回だけダイヤフラム116をポンプすることもできるし、又はある状況下ではポンプ操作を複数回行うこともできる。間質液が微小針を通して抜き取られると、ある型の一方向弁機構が流体を貯蔵部内に保持するために使用され、その結果、人は微小針から指130を引き抜き、この間質液を貯蔵部内に保持させる。これは図8に概略的に示されており、同図は、微小針ストリップ100のダイヤフラム及び貯蔵部部分に間質液が充填されたことを示す。微小針ストリップ10又は微小針構造60におけるように、貯蔵部は、最初は、空気又は不活性ガスなどが充満して空であるか、又は食塩水溶液などのあるタイプの液体が充填され得る。
【0065】
図9において、外部センサ装置140は、電極114と直接連結するように電極と接触される。この状況において、外部センサ140は、好ましくは、電極に特定の電流電荷又は小さな電圧を受容させた間質液の濃度を直接表す出力又は表示を与えることができる「電子センサ」として作用する。かかる外部電子センサは市販されており、これら市販ユニットにはディスプレイを包含するものもある。
【0066】
微小針とポンプ式ダイヤフラムを備える自蔵型検知ユニットが図10に例証されている。自蔵型装置は、全体として参照番号150で示されており、微小針アレイ110を有すると共に、延長可能部材154の反対側には、指又は親指でポンプされるべきダイヤフラム116を有する。この自蔵型ユニットは、パーセント濃度のエンジニアリング単位、又は特定の用途の場合に所望されるような他の単位で表した直接読取り値を提供するデジタルディスプレイ152を包含する。
【0067】
ストリップ型センサの別の代替実施形態が図11に示されており、微小針ストリップセンサは、一様に参照番号200で示されている。センサストリップ200もまた、本体212に沿って微小針アレイ210まで延びる3つの電極214を包含する。本構成において、微小針210は中空ではなく中実であると共に、微小針を電気化学センサに変換する物質の外側コーティングを含有する。図12は、かかる微小針の断面を例証しており、微小針210は、物質216でコーティングされた突出する本体部分218を有する。
【0068】
中実微小針210の物質コーティング216は、目的の間質液濃度と反応するように設計されており、このコーティングは、本体212のストリップ部分の電極214と接触する。この電気的な接触は、図11及び図12で例証されるように領域220で起こる。この構成を使用することにより、実際には皮膚から流体が抜き取られることはなく、その代わりに、間質液は微小針210のコーティング面216と直接接触し、目的の化学的濃度に対する電気的反応を生じさせる。皮膚から流体を抜き取らないので、この型の装置は「現場(in-situ)装置」と呼ばれる。
【0069】
かかるコーティングされた中実微小針210は、様々な方法で構成され得る。これらの構成技術の幾つかが、プロクターアンドギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡された2つの特許出願、即ち、2000年5月26日に出願された「皮内用微小針アレイの製造方法(Methodof Manufacturing an Intracutaneous Microneedle Array)」という名称の出願番号09/579,798、及び2001年3月14日に出願された「柔軟なリソグラフィ及びフォトリソグラフィを使用する微小針構造の製造方法(Methodof Manufacturing Microneedle Structures Using Soft Lithography andPhotolithography)」という名称の出願番号09/808,534に開示されている。これら他の特許出願を参考としてその全体を本明細書に組み入れる。
【0070】
1つの実施形態において、電極214は、図9で説明され、且つ例証されるような外部「電子センサ」に装着され得る外部端子につながれる。この外部センサは、電極214からの電気信号を受信し、目的の流体の濃度を表示するか、さもなければ指摘する。あるいは、自身のディスプレイと、濃度分析器/検出器を包含する自蔵型装置を使用することができる。
【0071】
自蔵型検知装置が図13A及び図13Bに現場(in-situ)装置として例証されており、この装置は、目的の流体濃度用ディスプレイを包含する自蔵型ユニットとして設計されている。装置全体は参照番号250で示されており、ストリップ200などの交換可能なセンサストリップを包含する。この微小針ストリップ200は一回使用用に設計されており、一回だけ使用された後廃棄されるべきである。故に、このストリップは、参照番号260で示される延在部材上に最初に装填されなければならない。微小針アレイは、この延長可能部材260上にあり、参照番号262で示されている。
【0072】
図13Aに示されるように、指が微小針アレイ262に対して押圧され、次いで、目的の流体濃度が測定され、電極(図12には図示せず)内に電気的反応が生成される。装置250は自蔵型であるので、ディスプレイ270(図13B参照)を備えるそれ自身の濃度検出器を包含しており、このディスプレイ270は、この場合は、エンジニアリング単位で表した直接読取り値(例えば、パーセント濃度又はmmol/dl)を提供するデジタルディスプレイである。
【0073】
自蔵型検知装置250は、様々な操作態様で使用可能である。例えば、微小針アレイ262を一回だけ皮膚に押し当てて電子機器によって読取り可能なデータサンプルを生成し、それにより目的の生物流体の濃度を決定することができる。これは、単一のデータサンプルのみを必要とする「ワンタッチ」適用である。
【0074】
あるいは、微小針アレイ262は、はるかに長い持続時間皮膚に押し込まれることができ、その間に複数のデータサンプルが電子機器によって採取される。どれだけ多くのサンプルを所望するか(又はメモリに記憶できるか)、及びどれだけ迅速にこれらのサンプルを採取するか(即ちサンプリング時間間隔)に応じて、かかるシステムは連続濃度監視システムとして効果的に作動することができる。中実微小針を使用する場合、比較的長い時間間隔(即ちサンプリング期間)にわたって生物流体が抽出されることはない。
【0075】
本発明では更なる代替設計が考えられる。例えば、所望であれば、先の段落で述べた複数のデータサンプルを傾向分析用に使用することができる。更に、自蔵型検知装置250は、かかる傾向分析のために大量のデータが所望される状況において、比較的大きなデータ記憶メモリ容量を備えることができる。大きなメモリ容量は、フラッシュメモリ、EPROM、ハードディスクドライブ、又は光ディスクなどを使用することにより実施され得る。更に、はるかにより大きい容量のメモリ記憶装置を有するかもしれない(例えばネットワーク上の)遠隔コンピュータにデータサンプルをダウンロードするために、通信リンクを追加し得る。又は、通信リンクは「精製された情報」を所望時に送信し得る。用語「精製された情報」は、平均、相加平均、最大値又は最低値などを含むサンプルの計算値を伴うことができ、これら全ては研究者又は患者の診断にとって重要であり得る。その反対は「未加工データ」を送信することであり、この「未加工データ」は、例えば、センサ又はトランスデューサにより出力された二進数からなり得る。
【0076】
図14は、皮膚の間質液をサンプリングするのに微小針を使用する二部分光学検知ユニットを例証している。ユニット全体は参照番号300で示され、微小針310と、貯蔵部(図示せず)及びダイヤフラムポンプ(図示せず)を包含する本体312と、「色調査窓(color interrogation window)」314とを備える取り外し可能な微小針アレイ部分を包含する。本例において、微小針310は、好ましくは中空である。
【0077】
検知装置300は、LED(発光ダイオード)などのある型の光源316と、フォトトランジスタ又はフォトダイオード(又はかかるフォトトランジスタ又はフォトダイオードのアレイ)などの光学検出器又はセンサ(図示せず)と、本体部分のハウジング332の上面320に取り付けられた手動操作式制御アクチュエータ320とを包含する本体部分を更に含み、この本体部分は、ディスプレイ又は他の型の読取り装置334も包含する。制御アクチュエータ320は、好ましくはプッシュボタン様装置であり、その平面基部322に対して2つ以上の位置にあり得る。これについては以下により詳細に述べる。本体部分300は上面330を有し、その上には制御アクチュエータ320が置かれている。制御アクチュエータ320は、手又は指で作動されると、微小針310を通して流体を流動させる。
【0078】
微小針アレイ310は、好ましくは、微小針本体部分312とその「色調査窓」314と共に使い捨てである。この構成において、取り外し可能な微小針本体部分312全体は、一回使用用装置を含む。微小針本体部分312は、本体部分のハウジング332の底部(図14)にある容器部分324の適所に容易にはめ込まれる(さもなければ取り付けられる)ように構成されている。
【0079】
図15は、下部本体312上に置かれ、微小針310を通して抜き取られる間質液が接触する光学センサ「パッド」318を例証している。この光学センサパッド318は、濃度が変化する特定の流体が光学センサパッド318と接触するとその色が変化するという性質のものである。光源316は窓314を通してパッド318上を照らし、パッドからの反射光の波長が、微小針アレイ310を通して抜き取られた間質液の濃度を表す。間質液サンプルが採取されると、微小針本体部分312は廃棄され、次回サンプルを採取すべき時には新たなものを皮膚上に載置することができる。使用のために検知装置を準備するには、全検知ユニット300の本体部分332を、本体312の上部に窓314を覆って載置する。
【0080】
検知装置300を使用するには、この装置を皮膚に対して押し当て、これにより、図16で例証されるように、例えば手又は腕340の皮膚内に微小針アレイ310が押し込まれる。適所に到達すると、制御アクチュエータ320が(おそらくは別の手の)指で作動して、間質液が微小針310を通して抜き取られるので、LED316は、光学検出器(図示せず)に波長の変化を測定させるべくセンサパッド318を照らすことができる。最終結果がLEDディスプレイ又は読取り装置334に表示され、実際の流体抽出プロセスの間、このディスプレイ334は単語「抽出中」を示すように構成され得る。
【0081】
人の手又は腕340から間質液を実際に抽出するプロセスの間、上部のプッシュボタン(制御アクチュエータ)320は、指又は手で押下げられる(又は、さもなければ作動する)。これにより、圧力又は真空が生じ、間質液を抽出する場合には、皮膚から流体を抽出する微小針近傍で真空が生じる。先に述べた実施形態と同様、制御アクチュエータ320は一回のみ押圧され得るか、又はそれが十分な流体を得るための所望の方法である場合には数回押圧され得る。一方、制御アクチュエータプッシュボタン320は、「コック(cock)」可能であり、又は貯蔵部領域内のダイヤフラムポンプは「プライム(primed)」可能であるので、この制御アクチュエータ320が下げられた位置から解放されると、真空が生じ、それにより皮膚から間質液を抜き取る。
【0082】
図17は結果を示しており、ここでは、間質液は抜き取られて今や貯蔵部内にあり、その時にサンプリング及び分析することができる。寸法342は、制御アクチュエータプッシュボタン320の位置が、図16で例証されたものに関して変化したという事実を例証する。寸法342は、プッシュボタン320の上部及び検知装置300の本体の上面330間の距離を示している。
【0083】
ディスプレイユニット334は、「読取り中」などのメッセージを表示することができ、間質液サンプルが分析された後は、エンジニアリング単位で表した結果を「101mmol/dl」などのメッセージで表示することができる。
【0084】
図14〜図17で例証される実施形態300のもう1つの利点は、センサユニット全体が電子工学装置であり、必要に応じて電子工学的に自動較正を行うことができるということである。別の主な利点は、微小針部分は、使い捨てであるように作ることができ、容易に皮膚に載置でき、且つ微小針本体312の上部に載置された検知ユニット300の本体332を有し得るということである。あるいは、微小針アレイ本体312は、全検知システム300の本体部分332に「予め装填され」ることができる。このアセンブリ全体は、サンプルを抽出させるために皮膚上に載置される。一旦サンプルが採取されると、微小針アレイ本体312は、検知装置300の本体332から飛び出すか、又は押出され、別のアレイ312を必要時に予め装填することができる。
【0085】
自蔵型検出器/ディスプレイユニット300の別の代替実施形態は、中空微小針の代わりに中実微小針310を備えることである。この状況では、微小針310は、透明の物質から作られるので、光源316は、微小針を通して皮膚を直接照らすことができる。検知装置は、光学センサパッドではなく、代わりに、フォトトランジスタ又はフォトダイオードなどのある型の光学カップラーであり、この光学カップラーは、透明な中実微小針310を通して間質液を観察する時に波長の変化を直接測定する。間質液自体が、目的の化学物質の濃度の変動により波長若しくは強度の変化を呈するか、又は透明の物質がかかる変動により波長又は強度の変化を呈するかのいずれかである。この型の微小針装置は、プロクターアンドギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡された特許出願、即ち、2000年5月26日に出願された「皮内用微小針アレイの製造方法(Methodof Manufacturing an Intracutaneous Microneedle Array)」という名称の出願番号09/579,798に開示された方法に従って構成することができる。上述のように、この他の特許出願を参考としてその全体を本明細書に組み入れる。
【0086】
図18は、一様に参照番号350で示される別の二部分自蔵型流体抽出及びサンプリング装置を例証しており、この装置は取り外し可能な微小針を使用すると共に、ある型のディスプレイユニットを包含する。この装置350はまた、使い捨ての微小針アレイユニット362を包含し、このユニット362は、微小針360と、3つの電極364とを包含する。また、容器又は受容部分374が、使い捨ての微小針アレイユニット362に装着されるか、又はそれと共にはめ込まれる全装置350の底部近傍に包含される。
【0087】
自蔵型センサ350の上部には、壁構造382とディスプレイ装置384が包含される。また、この上部382は親指又は指操作式プッシュボタン370を包含し、このプッシュボタン370は使い捨ての微小針アレイユニット又は本体362内のダイヤフラム又はポンプ装置を作動させる。このプッシュボタンアクチュエータ370は、ほぼ平面の基材又は表面372の上部に載置され、上部ボタンユニット全体は、検知装置350の上部の本体382の上面380の上部に位置する。上部本体382はまた、使い捨ての微小針アレイユニット362の電極364から電気信号を受信するある型の電気的インターフェイス回路366を包含する。
【0088】
上部のプッシュボタン370は、図14〜図17で例証された前述の実施形態300の上部のプッシュボタン320とほぼ同様に作動する。微小針部分362は、微小針アレイ360と、3つの電極364の下に載置される「電気センサパッド」368とを包含し、それらの電極364と接触する。この電気センサパッド368は、電気化学センサとして作用し、これにより電荷又は低電圧を電極364に誘導させる。目的の流体濃度が変化するにつれ、電極によって生成される電気的出力信号も変化する。次いで、これはセンサ350の本体部分にあるインターフェイス電子機器によって検出される。
【0089】
微小針自体は、典型的には中空であるが、間質液に反応する中実微小針上に外側コーティングが施される場合には中実であり得る。かかる中実のコーティングされた微小針は電極364と電気的に接触し、この電極は間質液内の目的の流体濃度に基づいて電気的反応を生成する。
【0090】
図20は、使用中の検知装置350を示しており、同図では、微小針アレイ本体362は上部382の底部に予め装填され、装置350全体は人の手又は腕390上に載置されている。その時、上部ボタン370が押圧され、(中空微小針の場合)流体は抽出されるか、又は(特定のコーティングをされた中実微小針の場合)流体は検知される。ここで、ディスプレイ384は「抽出中」などのメッセージを示す。
【0091】
図21は、流体サンプルを採取した後の検知装置350を例証しており、流体は、微小針本体362の貯蔵部内にある。図21において、寸法392でわかるように、上部のプッシュボタン370は元の位置に戻っており、ここで上部ボタンは図20の図におけるよりも更に延在する。ここで、ディスプレイユニット384上のメッセージは「読取り中」となり、この間、微小針本体362はまだ上部382に装着されている。最後に、分析が行われたら、ディスプレイユニット384は、好ましくは目的流体の実際の濃度であろう別のメッセージをパーセント又はあるタイプのエンジニアリング単位で提供することができる。例えば、ディスプレイは「101mmol/dl」などのメッセージを表示し得る。
【0092】
図22は、微小針を使用する連続測定システムを例証しており、このシステムは皮膚上に載置され得、その後個々の流体サンプルを単なるボタン押圧により採取させ、その後、採取すべき後のサンプルのために、おそらくは皮膚上の適所に留まったままで検知ユニットにサンプルを廃棄させる。微小針自体は、所定の時間間隔で、又は必要に応じて、後の流体サンプルが抽出される間、皮膚上の適所に留まることができる。あるいは、微小針は、皮膚から抜き取られるが、その後、所定の時間間隔で、又は必要に応じて再挿入されることができる。
【0093】
図22において、構造400全体は皮膚405上に載置される。微小針アレイ410は、好ましくは角質層を通って皮膚に押し込まれる。これは、膜又はダイヤフラム422と連通しているプランジャ424においてユニット400の上部を押圧することにより達成される。微小針アレイ410は、基材又は基部412を包含する。
【0094】
この位置で、容積測定空間426はその境界内に幾らかの間質液を有してもよいが、この時特定の圧力又は真空は印加されない。また、容積測定空間428は幾らかの間質液を含有してもよいが、やはりこの時特定の圧力又は真空は印加されない。容積測定空間426及び428は、ダイヤフラム/膜422が可撓性であり、そのためこれらの空間426及び428の大きさ及び形状を効果的に変化させるという点で、両方とも可変容量チャンバである。
【0095】
チューブ430は、上部容積測定空間428と水力学的に連通している。用語「水力学的連通」は、本明細書で使用する時、ある構造と別の構造間の流体移動又は流動を生じさせるいかなる型の装置をも指し、用語「水力学的」は、高圧力が関与することを暗示するものではなく、必ずしも液体に限定されない(気体と液体の両方を流体であると言うことができる)。言い換えると、「水力学的連通」は「流体的連通」と同意義である。
【0096】
図23は、皮膚405の主な角質層から抜き取られた微小針アレイ410を例証しており、これはダイヤフラム又は膜422が解放される時に起こる。これにより、表皮から抽出された間質液は容積測定空間428内に置かれ、また、抽出された間質液はチューブ430に送られる。流体は矢印432で示される方向にチューブ430の下流へと導かれる。全ユニット400の基部が、微小針アレイ及び容積測定空間部分の側部に沿って延在するものとして420で例証されており、この平面基部420は皮膚表面に沿って延在する。皮膚のこの領域は閉塞され、これは接着テープ又は他の型の閉塞化合物434により達成され得る。このように、微小針アレイ下の領域は外部環境から密封され、これにより圧力又は真空が印加され得る。
【0097】
図22において、上部ボタン/プランジャ424は押圧され、ダイヤフラム/膜422を変形させ、微小針アレイ410を皮膚405内に移動させた。図23において、上部ボタン/プランジャ424が解放されるので、その反対のことが起こり、ダイヤフラム/膜422は流体をチャンバ428へ引き入れるべくその形状を変形させる。ここで、この流体はチューブ430に沿って外部センサへとポンプされるべくアクセス可能である。
【0098】
特定の間質液サンプルが採取され且つ分析された後、外部センサ(図22及び図23では図示せず)によって廃棄されることができる。その後、必要に応じて、又は所定の時間間隔で、チャンバ428からポンプすることによって更なる間質液サンプルを獲得できる。これは以下の2つの方法のうちの1つによって達成される:(1)プランジャ424を押圧することにより、微小針アレイで更に皮膚を突き刺す(これは、図22のような外観を有する);又は(2)(図23に見られるように)微小針アレイ410を皮膚表面の上に留め、最初に微小針を皮膚内に押圧したことにより角質層に本来形成されていた穴から流体が滲出し続けさせる。この状況において、428における間質液は、どのような目的の化合物又は流体の濃度レベルでも連続して呈し、チャンバ428内のこの流体は、定期的にチューブ430を通って外部センサへポンプされることができる。
【0099】
図24は、外部センサ450を例証しており、微小針アレイ構造400が可撓性チューブ430に装着され、このチューブ430が検出装置450へ戻ることがわかる。検知システム450は、好ましくは、440で例証されるようなディスプレイを含有する。ディスプレイ440は、「抽出中」又は「読取り中」などの適切なメッセージ、又は実際のエンジニアリング単位で表した流体濃度の最終結果を表示することができる。
【0100】
図22〜図24に例証されたシステムの代替実施形態は、チューブ430などのチューブを通して流体を付与する代わりに、電気信号を電気化学センサに付与し、一組のワイヤに沿って電気信号をディスプレイユニットへ出力する外側コーティングを有する中実微小針を使用するものである。中実の微小針を使用する場合、サンプルを定期的に採取すべき連続期間の間、角質層内に微小針を残しておくか、又は実際にサンプルを採取すべき時に角質層に中実微小針を再挿入することが重要であろう。
【0101】
図25は、一様に参照番号500で示されるパームパイロット(palm pilot)などの個人情報補助装置(PDA)を使用する実施形態を例証している。プラグインカートリッジ510は、微小針ストリップのリールを含有し、このリールにおいて、個々の微小針パッチ又はアレイ210は開放領域又は穴522へ突出することができる。2つの円形リール512及び514が利用され、512は「ソースリール」であり、リール514は「巻取りリール」であり得る。ウェブ又はテープ516は、個々の微小針ストリップを所定の間隔で含有し、第一の微小針パッチ又はアレイ210が使用された後、次の未使用の微小針ストリップ又はパッチが穴522に配置するまで、巻取りリール及びソースリールの両方が回転してウェブ又はテープ516を所定量分進めるか、又は「一定量移動する」。言い換えると、ウェブ又はテープ516は、巻取りリール514及びソースリール512を回転させることによって「次の」位置に一定量移動可能であり(又は一定量移動して)、「次の」未使用の微小針ストリップ/パッチを穴522へ正しく配置する。
【0102】
ウェブ又はテープ516は、例えば35mmのカメラで使用されるフィルムカートリッジと極めて類似するソースリール及び巻取りリール構成を有するものとして図25に示されている。あるいは、ウェブ/テープ516は、閉鎖ループ構成か、又はおそらくはアコーディオンに類似する「Z」のようなひだからなる折り畳み構成を有し得る。
【0103】
プラグインユニット510は電気コネクタ520を利用し、この装置510はパームパイロット500に連結可能なその他のいかなる型の交換可能又は挿入可能なカートリッジとしても作用するものである。ドライバソフトウェアは、典型的にはPDA500上に予めインストールされ、これは、プラグインカートリッジ510から送信される電気信号を認識し、メッセージを適切に表示する。かかるメッセージとしては、「抽出中」、「読取り中」、又はエンジニアリング単位若しくはパーセントで表した濃度レベルが挙げられる。
【0104】
プラグインサンプリングユニットは複数の微小針アレイを包含し、このアレイは、電気コネクタ及び電気化学センサとして作用する外側コーティングを有する中実微小針アレイであることが好ましい。このサンプリングユニット510はまた、電気化学センサから適切な信号を生成する一組の電極などのある型の信号トランスデューサを包含し、更に、電極から適切な信号を生成する電子センサが包含され得る。プラグインユニット510は、典型的には、アナログ−デジタル(AD)コンバータを備える型のマイクロプロセッサを含有する。更に、幾らかのメモリは、典型的には、所望であればランダムアクセスメモリ(RAM)を包含し得るマイクロプロセッサと結合され、また、それが利用されるマイクロプロセッサ(マイクロコンピュータと呼ばれることもある)のタイプである場合はマイクロプロセッサに搭載され得るリードオンリーメモリ(ROM)を必ず含有する。
【0105】
代替実施形態として、サンプリングユニット510は、光学センサパッドによって検査できる間質液を抽出する微小針内に、信号トランスデューサとして光学カップラーを包含し得る。
【0106】
出力チャネルは、適当な信号をコネクタ520を通してPDA500へ送信するのに使用される。典型的には、出力チャネルは、二進数又は他の型のシリアルメッセージをPDAへ送信する。
【0107】
微小針アレイ又はパッチ210が、中実の微小針ではなく、中空の微小針を含有し得ることが理解され、その場合、プラグインカートリッジ510全体に共通し得る一組の電極に信号を送るために別個の電気化学センサが使用されると思われる。あるいは、微小針ストリップ200は、各微小針アレイ用に別個のセットの電極を包含し得る。最終的に、検知信号はA/Dコンバータに行き、マイクロプロセッサを通ってPDA500に送られる。各微小針アレイに対して個々のセットの電極が設けられる状況において、「微小針ストリップ」200は、微小針アレイ(210)と、一組の電極と、電気化学センサとを包含する。
【0108】
別の代替実施形態は、カートリッジ510からの信号をPDAの本体500に送信するのに、純粋な電気コネクタ以外のインターフェイス装置を利用し得る。例えば、送信される信号は純粋な電気信号でなくてもよい。代わりに、この送信信号は音響信号、磁気信号、又は電磁信号であり得る。電磁信号の場合、使用する波長は無線周波数範囲内にあり得るか、又は、電磁信号を光信号若しくはマイクロ波信号に変換できるように、はるかに高い周波数であり得る。音響信号の場合、その周波数は超音波範囲内にあるので、人間の耳では識別できない。送信機および受信機ユニットは、本来、光学的、マイクロ波、無線、磁気的又は音響的であるのが適当である。
【0109】
図26は、一様に参照番号550で示される自蔵型ディスプレイ及び検知ユニットを例証している。このユニット550は、複数の微小針パッチを含有する補充式カートリッジ560を有する。補充式カートリッジ560は、全装置550の底部にはめ込まれ、これはユニット550のケースの開口566で微小針アレイ又はパッチ210を(微小針ストリップ200の一部として)作製するのに使用できる。
【0110】
指若しくは親指を開口566を通して微小針ストリップ510に対して置き、次いでプッシュボタンスイッチ564を作動させて、装置550に流体サンプルを抽出させるか、又は微小針アレイ又はパッチ210と接触する指若しくは親指の間質液内の特定化合物濃度を分析する中実微小針を使用してサンプルを検査する。測定がなされたら、使用済みパッチ又はストリップは装置550のケースの開口を通って取り出され、使用済みパッチ/ストリップは562で例証される。
【0111】
全装置550は、検出及びインターフェイス電子機器と、間質液内の特定化合物濃度などのメッセージを生成するのに使用できるディスプレイ570とを包含する。自蔵型装置550は、特定の目的専用であることを除いて、PDA装置500と同様に作用する。更に、補充式カートリッジ560は、図25の巻取りリール型のカートリッジ510よりも更に多くの微小針ストリップを含有し得る。例えば、補充式カートリッジ560は、少なくとも100個の微小針ストリップ200を有し得るが、図25の「ストリップカートリッジ」510はわずか20個の微小針ストリップ200(それぞれが微小針パッチ又はアレイ210を有する)しか有さないこともある。
【0112】
図27は、一様に参照番号600で示される自蔵型センサ及びディスプレイの別の実施形態を例証している。ユニット600は、ディスプレイ620と、そのケースに開口622と、一対の作動ホイール630及び632とを包含する。
【0113】
一様に参照番号610で示される使い捨て補充式カートリッジは、ユニット600全体のケース底部の適所にはめ込まれる。この補充式カートリッジは(パッチ又は微小針アレイ210を備える)微小針ストリップ200のウェブ又はテープを含有すると共に、ソースリール612及び巻取りリール614を包含する。ウェブ又はテープは616で例証される。
【0114】
駆動ホイール630及び632は、ソースリール612及び巻取りリール614を作動させるのに使用される。ユニット600は、図26に例証される自蔵型ユニット550又は図25に例証される交換可能なカートリッジ510を使用するPDA型装置500と同様に作用する。
【0115】
別の代替実施形態が図28に例証されており、ここで、ディスクカートリッジ670は、一様に参照番号650で示される自蔵型ユニットに微小針パッチを提供するのに使用される。ディスク670は、複数の微小針パッチ672を含有し、この微小針は中空又は中実の微小針であり得る。空間が希少であり、流体が直接パッチ自体に受け取られないのが好ましい状況では、中実微小針が好ましい。
【0116】
自蔵型ユニット650のケースは、ヒンジに沿って開放可能であり、その上部は、ディスク670を交換するために跳ね上げ式に開放される。図28に見られるように、ディスクは駆動ホイール680の上に載置される。ディスク670の回転が完了した後、自蔵型ユニット650は、ディスクを交換する時期が来たことを使用者に警告する。やはり、この装置を使用する時も、微小針パッチ672は使い捨てである。
【0117】
ケースの上部、即ち蓋部分は、指穴660と、指ガイド662と、電気接点664とを包含する。ディスプレイ(図示せず)は、好ましくは、装置650の上部即ち蓋部分の外面にある。このディスプレイは、「抽出中」、「読取り中」などのメッセージ、又は、目的の流体濃度を示すエンジニアリング単位若しくはパーセンテージで表した数値データを生成できる。
【0118】
図面に開示した構造的形状及び説明した物質は本発明の原理を逸脱することなく変更可能であることが理解される。勿論、微小針アレイの大きさは、実際には、間質液を抜き取るか、又は、コーティングされた微小針若しくは透明な微小針を使用してかかる流体を現場(in-situ)でサンプリングするために使用可能ないかなる寸法のものでもよい。信号調整(conditioning)要素及び処理(processing)回路は、生成するトランスデューサ出力信号にとって適切であるほぼどのような従来の設計のものでもよい。
【0119】
ここで図29を参照すると、一様に参照番号202で示される微小針ストリップ型センサが例証されており、これは図11で例証される微小針ストリップセンサ200と極めて類似している。センサストリップ202は、本体212に沿って微小針210のアレイまで延在する3つの電極214を包含する。微小針210は、特定用途で所望されるように、中実又は中空のいずれでもよい。
【0120】
センサストリップ202はまた、端子パッド530をそれぞれ有する一対の電気コンダクタ532を包含する。端子パッド530に電力が印加されると、電流がコンダクタ532に沿って、微小針210の基部にある導電パターン536を通って流れる。十分な量の電力がこの回路に印加されると、導電パターン536の温度が上昇し、それにより微小針210の少なくとも一部が溶融する。これは、微小針の初期の形状及び大きさを効果的に破壊し、微小針は再び使用することはできない。故に、微小針は「単一回使用の」使い捨て製品として販売されることができる。
【0121】
その結果が図30に例証されている。ここで、微小針は溶けてはるかに短くなり、この状態の微小針が参照番号534で示されている。溶融処置によって微小針を完全に排除することが絶対に必要というわけではなく、その代わりに、微小針が皮膚の角質層を貫通できないようにそれらを短くするか、又は変形するだけで十分である。故に、微小針がその全体形状を保持しているが、それらの先端が角質層の厚さ全体を貫通しない点まで単に短くされただけである場合、微小針は実際には役に立たなくなる。あるいは、微小針がその全体形状を保持しているが、角質層を穿孔できないようにその先端が変形されるか、又はその側壁の形状が失われる場合、その変化した状態も、微小針の使用を防止するのに十分である。
【0122】
微小針210の状態を本質的に使用不能であるように変更することによって微小針210を効果的に破壊する主な目的は、それらの再使用を防止することである。このように、微小針は一回の使用又は一回の適用に制限され、その後、それらは効果的に自己消滅する。これにより、偶発的に反復して挿入してしまうという危険性が減少する。
【0123】
微小針を一回の使用に制限するための1つの機構が図31に例証されている。(図25に例証されたカートリッジ510に類似する)プラグインカートリッジ540は、微小針パッチ又はアレイ210をそれぞれが含有するマイクロストリップ200のリールを含有する。使用者が微小針パッチ210の1つにアクセスした後、微小針ストリップの内側テープ/ウェブ516が進むか、又は一定量移動することにより、ちょうど使用されたパッチ210が「窓」又は開口522を通り過ぎる。これが起こると、微小針構造は、加熱又は機械的作用のいずれかにより破壊される。例えば、図32は、機械的に押し潰す機構を例証している。
【0124】
図32において、微小針パッチ/アレイは、参照番号202及び204で示されている。パッチ/アレイ202は、その微小針210が変形されておらず、まだ皮膚上で使用されていないので、無傷のままである。図面でわかるように、パッチ/アレイ202は、(この図では)開口522の左側にあり、開口522の下の位置に一定量移動すべく、方向矢印542に従い、テープ/ウェブ516に沿って(この図では)右側に向かって進んでいる。一方、(この図では)開口522の右側にあるパッチ/アレイ204は、既に開口522を通り過ぎ、破壊されるか、さもなければ再使用不能にされるプロセスにある。
【0125】
パッチ/アレイ204は、図32では、機械的剪断力印加構造546によって部分的に押し潰されており、この構造546は、カートリッジ540のハウジングの上部から下に向かって延在する突出部である。微小針が移動してこの突出部546と接触すると、微小針は、参照番号544で示されるように破断され、故に短くなる。微小針が短くなることにより、いかなるタイプの再使用にも動作不能となり、故に微小針が再び皮膚の角質層を穿孔するのが防止される。
【0126】
上述のように、突出部546は、微小針を動作不能にするためにそれらを完全に押し潰す必要はないが、所望であれば、そうするように設計され得る。図32において、突出部は移動せず、微小針を(この図では)突出部546の左下角にあてて破断させるのは、移動するテープ/ウェブ516の作用である。あるいは、突出部546は、微小針が窓522を通り過ぎると微小針を押し潰す(又は傾斜させる)べく、旋回可能であるか、さもなければ移動可能である。更に、代替の機械的構造は、微小針の基部に垂直な(又は微小針自体に平行な)角度(即ち90°)でまっすぐ下に押し潰す剪断偏向部材(構造546に類似)又は相反押潰部材(図示せず)として動作し得る。
【0127】
これらの多様な代替実施形態において、機械的な力の作用は、微小針を短い長さに破断するか、又は押し潰すことに限定され得るか、又は、微小針の基部構造に対してそれらを完全に平坦に押し潰し得る。両方の場合、微小針は動作不能にされるので、皮膚の角質層を貫通するために再使用することはできない。
【0128】
図33は、単一回使用の微小針パッチを提供するのに使用する代替システムを例証している。光学パッド318(図14を参照)を照らすLED316もまた、微小針アレイ構造の微小針310の温度を上昇させるべく、増大したエネルギー出力を付与する。あるいは、所望であれば、第二の別個の光源(図示せず)をこの目的のために使用することができる。例えば、平行電磁エネルギー(即ち、光)を微小針上に指向するのに、レーザーダイオード又は他のレーザー光源を使用できる。
【0129】
図33の実施形態において、好ましくは、微小針310は、生物流体の濃度を検出するのに使用される光の波長に対してほぼ透明であるが、それら同一の微小針の温度を上昇させるように設計される光の波長に対しては完全には透明ではない。このように、(第二の波長の)放射エネルギーは、少なくとも部分的に微小針310を溶融するに十分な大きさで供給されることができる。部分的に溶融され、故に短くなった変形微小針326で示されるように、その結果が図34に例証されている。この短くなった構成において、微小針326は皮膚の角質層を穿孔することができず、故に役に立たなくなる。サンプリング装置300がサンプルを採取した後微小針を自動的且つ効果的に破壊する場合、これらの微小針310は「単一回使用の」微小針になる。
【0130】
図29〜図34の例証実施形態によって可能となる破壊処置は、本発明の原理を逸脱することなく、これらの図に例証されたもの以外の多くの形状又は大きさで実施できることが理解される。勿論、微小針が動作不能になる時期が来たらそれらを照らす小ランプ又はレーザー光源などの、放射(図33〜図34)によって発生する熱を包含する他の型の加熱装置を利用することができる。あるいは、化学作用(図示せず)を利用して、微小針を破壊又は部分的に変形させ得る。この例において、化学物質は、微小針アレイ/パッチが窓522を通り過ぎた直後に適用される。
【0131】
更に、本特許文献の図面は一定の比例に拡大されたものではなく、本明細書における発明の概念を明確にするためだけに、手又は腕に対して実際よりもはるかに大きく見えるものとして微小針を示すよう特定的に改変したことが理解される。微小針の長さ及び直径の両方は、個々の微小針間の間隔と同様、これらの図面において非常に拡大されている。更に、微小針の形状は、一様に円筒状であるものとして示されている。これは、多くの微小針用途にとって必ずしも最良の形状であるというわけではないが、本明細書では、図面の簡略化のためだけに使用されている。他の微小針形状がより効果的であることもあり、そうした形状は本発明者らによって考慮される。幾つかの代替形状は、2000年5月26日に出願された「皮内用エッジ付き微小針装置(Intracutaceous Egded Microneedle Apparatus)」という名称の出願番号09/580,780としてプロクターアンドギャンブル社(TheProcter & Gamble Company)に譲渡された特許出願に開示されている。この他の特許出願を参考としてその全体を本明細書に組み入れる。
【0132】
本発明の別の好ましい実施形態は、間質液の抽出を容易にするために、又は間質液の検知を補助するか若しくは間質液の抽出を容易にするために微小針を化学的に強化するために熱を印加することを伴う。1つの実施形態において、微小針の先端が皮膚の角質層に挿入される間、例えばそれらを通して電流が導かれ、これにより、導電物質又は電気的半導電物質で作られた先端に熱エネルギーが発生する。熱は、局在化した流体収集反応を引き起こすアデマ(adema)を細胞に生成させるので、微小針先端の温度が上昇することは間質液(ISF)の抽出を補助する。
【0133】
加熱した微小針先端を使用するための好ましい1つの方法は以下の通りである:(1)角質層を通して微小針を皮膚に挿入する;(2)電流を印加して微小針先端に流し、それによりこれらの先端の温度を上昇させる;及び(3)ポンプ機構を作動させて間質液を受容貯蔵部に抽出する。ポンプ機構は図1〜図9に説明するものと同種である(本質的には、特定用途に適する任意の形状又は大きさを有する)。電流は、導電性経路を介して付与されることができ、この経路は直接微小針先端に電流を運び、図29及び図30の導電性経路532及び536と同種である(しかし勿論、ここでの目的はこの手順中に微小針を溶融することではない)。
【0134】
微小針先端に印加される電流は、かなり安定した直流であり得るか、又はより好ましくは、これらの先端に隣接するか、又は近接する間質液に複数の一時的に局在化した加熱事象を付与する(比較的短いパルス幅の)パルス化電流であり得る。これらのパルスの正確な電圧及び電流レベルは、特定のISF抽出用途に応じて変更することができる。
【0135】
微小針先端自体は、金属物質や半導電物質から構成されるか、又は(例えば、図12を参照して先に述べたような構成においては)金属物質層又は半導電物質層でコーティングされるプラスチック物質から構成されることができる。図12のコーティング層216は、純粋に導電物質のものであるか、又はより好ましくは、電流が流れる時のI2R損失により熱を発生させるより抵抗性の物質のものであり得る。代替として、コーティング層216(又は更に言えば微小針先端全体)は、電流が流れる時に幾つかの抵抗性損失特質を呈する半導電物質から作られ得る。いずれかの構成において、適量の熱が発生する時、I2R損失は細胞内に所望のアデマを生成することができる。
【0136】
代替構成において、中実微小針は、コーティング物質層216により図12で例証されるような、幾らかの間質液を吸収できる化学物質層でコーティングされることができる。この構成において、コーティングは、例えばコラーゲン又はアルブミンからなり得る。幾らかの間質液は、かかる(又は同様の)コーティングによって吸収され、微小針先端で化学的、電気化学的、又は光化学的反応を生じさせることができる。中実微小針の場合、かかる装置によって生じる電気化学反応は、1つ以上の電極214に電気出力を付与し得る(図11参照)。あるいは、図14〜図17を参照して述べたように、化学反応又は電気化学反応のいずれかが光学センサパッドに付与され得る。光化学反応の例は、化学発光特質又は蛍光特質を呈する物質である。
【0137】
更なる代替構成において、中空微小針は、幾らかの間質液を吸収できるか、又はより好ましくは、微小針の中空の管状開口を通って間質液が移動するのを容易にし、それによりISF抽出を補助する化学物質でコーティングされることができる。微小針を通過した後、流体は受容貯蔵部へ、光学センサパッドへ、又はおそらくは直接、電気信号出力を生成できる電気化学センサ装置へと導かれることができる。いずれにしても、化学物質コーティングは、中空微小針を通る間質液の移動を向上させるか、又は先の段落で述べたコーティングされた中実微小針と同様に幾らかの間質液を吸収する傾向がある。
【0138】
本発明の好適な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示してきたものである。それは、包括的であることも、まさに開示したその形態に本発明を限定しようとすることも意図していない。上記教示を考慮すれば、明らかな変更又は改変は可能である。その実施形態が選定され説明されたのは、本発明の原理及びその実際的用途を最良に説明し、それにより当業者が考えられる特定の用途に適する様々な実施形態で様々な修正を行って本発明を最良に利用することを可能にするためである。本発明の範囲はここに付随する請求項により定義されていることを意図する。

【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の原理に従って構成された、微小針アレイと、ダイヤフラムポンプと、流体路とを含有する微小針ストリップの斜視図である。
【図2】人の手で作動している図1の微小針ストリップの斜視図である。
【図3】サンプルが外部センサによって試験されている図1の微小針ストリップの概略図である。
【図4】本発明の原理に従って構成された、微小針アレイと、ダイヤフラムポンプと、内部センサパッドとを含有する片手式微小針流体抽出装置の斜視図である。
【図4A】人間の腕に対して使用されているところを示す、図4の微小針流体抽出装置の斜視図である。
【図5】本発明の原理に従って構成された、微小針アレイと、ダイヤフラムポンプと、センサパッドを有する流体チャンバと、一組の電極とを包含する微小針ストリップの斜視図である。
【図5A】人間の腕に対して使用されているところを示す、図5の微小針流体抽出装置の斜視図である。
【図6】図5の微小針ストリップの一部の分解図である。
【図7】人の手で作動している図5の微小針ストリップの概略図である。
【図8】やはり人の手によって適所に保持され、流体サンプルが採取された後の図5の微小針ストリップの概略図である。
【図9】外部センサに接続されている図5の微小針ストリップの概略図である。
【図10】ディスプレイと共に、微小針パッチ又はストリップを包含する自蔵型検知装置の概略図である。
【図11】本発明の原理に従って構成された、電気化学センサとして作用させる化合物でコーティングされた中実微小針アレイと、一組の電極とを含有する微小針ストリップの斜視図である。
【図12】図11のコーティングされた微小針ストリップの断面立面図である。
【図13A】皮膚の角質層を通してサンプルを現場(in-situ)で採取でき、微小針ストリップ及びディスプレイを含有する自蔵型微小針検知装置の概略図である。
【図13B】図13Aの自蔵型微小針現場(in-situ)装置の概略図である。
【図14】本発明の原理に従って構成された、取り外し可能な微小針アレイと、光学センサパッドと、光源及び光検出ユニットと、ダイヤフラムポンプと、ディスプレイ装置とを含有する二部分自蔵型微小針センサの概略斜視図である。
【図15】図14の自蔵型微小針センサの一部の分解図である。
【図16】人の手から流体を抽出している図14の自蔵型微小針センサの概略図である。
【図17】流体サンプルが抽出された後の図14の自蔵型微小針センサの概略図である。
【図18】本発明の原理に従って構成された、取り外し可能な微小針アレイと、一組の電極と、電気センサパッドと、電子インターフェイス装置と、ダイヤフラムポンプと、ディスプレイとを包含する二部分自蔵型微小針センサの概略斜視図である。
【図19】図18の自蔵型微小針センサの一部の分解図である。
【図20】人の手の上に載置されている時に抽出モードである図18の自蔵型微小針センサの概略図である。
【図21】サンプルが抽出された後の図18の自蔵型微小針センサの概略図である。
【図22】本発明の原理に従って構成された、皮膚上の適所にあると共に、皮膚の角質層を穿孔している微小針アレイを例証する微小針抽出装置の断面図である。
【図23】微小針アレイが角質層から抜き取られ、流体が抽出された、図22の微小針アレイ構造である。
【図24】図22の微小針アレイに連結する自蔵型微小針センサの概略図である。
【図25】本発明の原理に従った、パームパイロットなどのPDA装置に連結可能なプラグインカートリッジの微小針ストリップの概略図である。
【図26】本発明の原理に従った、皮膚を通して流体を抽出できる微小針ストリップの補充式カートリッジを包含すると共に、インターフェイス電子機器及びディスプレイを包含する自蔵型微小針センサである。
【図27】本発明の原理に従った、装置のインターフェイス電子機器にプラグ接続できる使い捨て補充式カートリッジを包含し、この電子機器がディスプレイを包含する別の自蔵型微小針検知装置である。
【図28】本発明の原理に従った、ディスプレイを包含する電子機器と連結する、微小針パッチを含有する使い捨てのディスクを包含する自蔵型微小針センサの概略図である。
【図29】本発明の原理に従って構成された、微小針アレイ及び一組の電極を含有し、更に使用者による単一回使用の後に微小針を溶融する電気回路を包含する微小針ストリップの斜視図である。
【図30】電流による熱の印加により微小針が再使用できないように変形された図29の微小針ストリップの斜視図である。
【図31】本発明の原理に従って構成された、複数の微小針パッチを含有し、更に使用者による単一回使用の後に微小針を自動的に破壊するか又は変形させる機械的装置も含有するカートリッジの一部を拡大した斜視図である。
【図32】微小針を再使用できないように破壊するか又は変形させる機械的装置を例証する図31のカートリッジの一部の断面立面図である。
【図33】本発明の原理に従って構成された、使用者による単一回使用の後に自動的に破壊されるか又は変形される微小針アレイを含有する単一回使用の微小針ストリップシステムの斜視図である。
【図34】微小針が破壊又は変形された後の、図33の単一回使用の微小針ストリップシステムからの微小針パッチの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2009−78173(P2009−78173A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317747(P2008−317747)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【分割の表示】特願2002−588844(P2002−588844)の分割
【原出願日】平成14年5月9日(2002.5.9)
【出願人】(503360296)コリウム インターナショナル, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】