説明

携帯型電子機器、携帯型電子機器の制御方法、制御プログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】携帯型電子機器の操作性を落とすことなく当該機器の誤作動を防止すること。
【解決手段】本体にタッチパネルを取り付けた携帯型電子機器100であって、本体の姿勢を検出する携帯型電子機器方位検出部95、及び本体の接触状態とを検出する光学式接触確認部94と、携帯型電子機器方位検出部95から検出された本体の姿勢、及び光学式接触確認部94から検出された本体の接触状態に基づいて、携帯型電子機器100の誤作動を防止する誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える制御部90とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤作動を防止できる携帯型電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の操作はボタンを介したハードウェア的なものではなく、液晶表示画面に備えるタッチパネルを介したソフトウェア的なものが主流である。こうしたインターフェースを備える電子機器では、誤作動を防止することが重要な課題となる。
【0003】
例えば、電子機器をポケットや鞄の中に入れた状態で、操作キーがポケットの内壁等に接触することで誤作動が発生することが考えられる。または、タッチパネルの入力面が接触するように電子機器をうつぶせに置いたり、手のひらで入力面を覆いながら持ち運びや電池の入れ替えなどを行ったりすることでも、誤作動が発生することが考えられる。上記の電子機器では、日常的な使用態様でこうした誤作動が頻発するおそれがあるため、誤作動を防止する各種の技術が採用されている。
【0004】
ソフトウェア的なアプローチで誤作動を防止する方法としては、フィルタ制御を加える手法が広く適用されている。例えば、タッチパネルに接触した位置を時系列で観測することにより、ユーザの入力操作による接触か、その他の物体がタッチパネルに衝突等したに過ぎないことによる接触かを判別すること(時系列観測フィルタ)が考えられる。または、タッチパネルに接触している面積を計測し、これが所定量以上であるときは、入力操作を受け付けないようにすること(面検出フィルタ)が考えられる。あるいは、下記の特許文献1には、所定の検出ブロックが設けられている表示部の位置では入力を禁止する構成が記載されている。
【0005】
一方、ハードウェア的なアプローチで誤作動を防止する方法としては、所定のキー入力があったときは、電子機器に対する入力を受け付けないモード(誤作動防止モード)に切り替える手法が実施されている。例えば、下記の特許文献2には、操作入力に対する反応を抑制するハードウェアキーを、デジタルオーディオプレーヤーが備える構成が記載されている。なお、当該切り替えに係るキーをソフトウェアインターフェースとして実現することもできる。例えば、ユーザからの入力を検出しない状態が一定時間続いた場合は誤作動防止モードへ自動的に切り替え、このモードから復帰するときは所定のソフトウェアキーで解除操作を行う手法が広く実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−213169号公報(平成22年9月24日公開)
【特許文献2】特開2009−116396号公報(平成21年5月28日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ソフトウェア的にフィルタ処理を施すことで誤作動を防止するアプローチでは、電子機器の操作性を悪化させるおそれがある。例えば、上記の時系列観測フィルタを適用した場合、接触位置の時系列データが蓄積されるのを待つ必要があるため、ユーザの入力操作に対する機器の反応が悪くなる傾向がある。また、上記の面検出フィルタを適用した場合、比較的接触面積の大きい親指でタッチパネルに触れたときにもフィルタが動作し、ユーザの操作を受け付けない不具合が起こり得る。すなわち、フィルタ処理が常時動作していることで、ユーザが意図する操作を適切に受け付けない場合があるというトレードオフが新たな問題として発生する。
【0008】
さらに、上記の特許文献1に記載の構成では、入力面の特定部分に対する入力を無視するため操作性を損ねかねない。例えば、ユーザが操作するつもりで予期せず当該部分に接触した場合は、操作しようとする意図が適切に機器に反映されないことから不快な操作感を与えるおそれがある。また、検出ブロック以外の部分に対する入力は有効であるため、誤作動を完全に防止できるとは言えない。
【0009】
一方で、上記の特許文献2に記載の構成では、長時間機器を操作しないと予想されるたびに、ユーザが能動的に切り替え操作を行う必要があるという煩雑を伴う。例えば、オーディオプレーヤーをポケットに入れて音楽を聴いている場合、再生している曲をスキップさせるだけの操作であっても、まず所定の抑制キーを操作して誤作動防止モードを解除した後に、所望の操作を行う必要がある。これは、電子機器が備えるべき手軽で即応的な操作性を大きく損なう。一定時間の経過でモードを自動的に切り替える構成についても同様である。
【0010】
上記した従来技術に存在する課題を鑑みると、ユーザによる電子機器の使用状態を推定することにより、誤作動を防止すべき状況とそうでない状況とを適切に切り分けた上で、誤作動を防止すべき状況でのみ誤作動防止のための機能を動作させるというアプローチが理想的と言える。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、機器の使用状態に応じてその一部の機能を抑制することにより、当該機器の操作性を落とすことなく誤作動を防止できる携帯型電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の携帯型電子機器は、
(1)本体にタッチパネルを取り付けた携帯型電子機器であって、
(2)前記本体の姿勢と接触状態とを検出する検出手段と、
(3)前記検出手段により検出された本体の姿勢と接触状態とに基づいて、前記携帯型電子機器の誤作動を防止する誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、上記の課題を解決するために、本発明の携帯型電子機器の制御方法は、
(1)本体にタッチパネルを取り付けた携帯型電子機器の制御方法であって、
(2)前記本体の姿勢と接触状態とを検出する検出ステップと、
(3)前記検出ステップにより検出された本体の姿勢と接触状態とに基づいて、前記携帯型電子機器の誤作動を防止する誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える制御ステップとを包むことを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、携帯型電子機器は、自装置の姿勢と接触状態とに基づいてユーザの当該機器の使用状態を推定できる。そして、推定した使用状態に応じて、当該携帯型電子機器の誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替えることができる。すなわち、検出した姿勢および接触状態から、ユーザ自身が当該機器を操作している(誤作動ではない)と判断できる場合は、誤作動防止フィルタの動作を抑制する。
【0015】
これにより、従来では常時動作していた誤作動防止フィルタの動作を、ユーザの使用状態に応じて適宜抑制できるため、誤作動の防止と機器の操作性とを両立できる。
【0016】
また、前記携帯型電子機器では、
(1)前記タッチパネルは、静電容量方式タッチパネルであり、
(2)前記本体の接触状態とは、前記タッチパネルの操作面の接触状態であることが望ましい。
【0017】
上記の構成によれば、静電容量方式タッチパネルにおいて顕著に現れる、操作面の接触状態に係る誤作動の発生を、効果的に回避できる。
【0018】
また、前記携帯型電子機器では、
(1)前記検出手段は、前記本体の加速度をさらに検出し、
(2)前記制御手段は、前記検出手段により検出された加速度を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることが望ましい。
【0019】
上記の構成によれば、前記携帯型電子機器は、加速度センサから移動状態を検出でき、これらをユーザの使用状態を推定するための基礎情報として利用できる。したがって、前記携帯型電子機器はより精度よくユーザの使用状態を推定できるため、より適切に誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替えることができる。
【0020】
また、前記携帯型電子機器では、
(1)前記検出手段は、前記タッチパネルの接触面積を検出する接触面積検出手段を含み、
(2)前記制御手段は、前記接触面積検出手段により検出された接触面積を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることが望ましい。
【0021】
上記の構成によれば、前記携帯型電子機器は、その筐体に備えた前記タッチパネルに接触する部分の大きさを検出でき、これをユーザの使用状態を推定するための基礎情報として利用できる。したがって、前記携帯型電子機器はより精度よくユーザの使用状態を推定できるため、より適切に誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替えることができる。
【0022】
また、前記携帯型電子機器では、
(1)前記検出手段は、前記本体の前記タッチパネルを取り付けたタッチパネル面が下向きになる姿勢を検出する姿勢検出手段を含み、
(2)前記制御手段は、前記姿勢検出手段により検出された下向きになる姿勢を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることが望ましい。
【0023】
上記の構成によれば、前記携帯型電子機器は、前記タッチパネル面が下向きになる姿勢を検出でき、これをユーザの使用状態を推定するための基礎情報として利用できる。したがって、前記携帯型電子機器はより精度よくユーザの使用状態を推定できるため、より適切に誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替えることができる。
【0024】
また、前記携帯型電子機器では、
(1)前記検出手段は、前記本体の周囲の照度を検出する照度検出手段を含み、
(2)前記制御手段は、前記照度検出手段により検出された照度を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることが望ましい。
【0025】
上記の構成によれば、前記携帯型電子機器は、照度センサから本体周囲の照度を検出でき、これらをユーザの使用状態を推定するための基礎情報として利用できる。したがって、前記携帯型電子機器はより精度よくユーザの使用状態を推定できるため、より適切に誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替えることができる。
【0026】
また、前記携帯型電子機器では、
(1)前記検出手段は、ユーザの歩数を検出する歩行動作検出手段を含み、
(2)前記制御手段は、前記歩行動作検出手段により検出されたユーザの歩数を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることが望ましい。
【0027】
上記の構成によれば、前記携帯型電子機器は、ユーザの歩行動作を検出でき、これらをユーザの使用状態を推定するための基礎情報として利用できる。したがって、前記携帯型電子機器はより精度よくユーザの使用状態を推定できるため、より適切に誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替えることができる。
【0028】
また、前記携帯型電子機器では、
(1)前記検出手段は、前記タッチパネル面と反対側の面における接触の有無を検出する接触確認手段を含み、
(2)前記制御手段は、前記接触確認手段により検出された接触の有無を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることが望ましい。
【0029】
上記の構成によれば、前記携帯型電子機器は、その筐体の前記タッチパネル面と反対側の面に取り付けられた計測器から、当該計測器の接触の有無に係る情報を検出でき、これらをユーザの使用状態を推定するための基礎情報として利用できる。したがって、前記携帯型電子機器はより精度よくユーザの使用状態を推定できるため、より適切に誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替えることができる。
【0030】
なお、前記誤作動防止装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記誤作動防止装置の各手段として動作させることにより、前記誤作動防止装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明の携帯型電子機器は、本体にタッチパネルを取り付けた携帯型電子機器であって、前記本体の姿勢と接触状態とを検出する検出手段と、前記検出手段により検出された本体の姿勢と接触状態とに基づいて、前記携帯型電子機器の誤作動を防止する誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える制御手段とを備えた構成である。
【0032】
また、本発明の携帯型電子機器の制御方法は、本体にタッチパネルを取り付けた携帯型電子機器の制御方法であって、前記本体の姿勢と接触状態とを検出する検出ステップと、前記検出ステップにより検出された本体の姿勢と接触状態とに基づいて、前記携帯型電子機器の誤作動を防止する誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える制御ステップとを包む構成である。
【0033】
したがって、推定した使用状態に応じて、当該携帯型電子機器の誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替えることができる。すなわち、従来では常時動作していた誤作動防止フィルタの動作をユーザの使用状態に応じて適宜抑制できるため、誤作動の防止と機器の操作性とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態に係る誤作動防止装置を内蔵した携帯型電子機器の要部構成を示すブロック図である。
【図2】前記携帯型電子機器のユーザによる使用状態と、前記誤作動防止装置の動作例の概要を模式的に表したものであり、(a)はタッチパネルを備える液晶表示画面が下になるように、前記携帯型電子機器をうつぶせにして机に置いた状態、(b)はユーザが前記表示画面を手のひらで覆うように把持している状態、(c)はユーザが前記携帯型電子機器をポケットに入れて移動している状態、(d)はユーザが前記携帯型電子機器を通常の状態で入力操作している状態を表し、(e)は誤作動防止装置の機能を説明するための図である。
【図3】前記携帯型電子機器の外観例を2つ表したものであり、(a)は入出力部および制御スイッチを含むもの、(b)は操作スイッチおよびポインティングデバイスをさらに含むものを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る誤作動防止装置を内蔵する携帯型電子機器のより具体的な構成を示すブロック図である。
【図5】前記誤作動防止装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】抑制機能決定部が実行する、うつぶせに置いた使用状態を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】抑制機能決定部が実行する、入出力部を手のひらで覆うように把持している使用状態を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】抑制機能決定部が実行する、ポケット等に入れて移動している使用状態を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図8に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態では、誤作動防止装置を内蔵した電子機器として、携帯型電子機器100を想定する。また、説明を簡潔に記述するために、1つの符号にa、bが付されることにより2つ以上存在することが明示されている構成については、これらを省略して当該構成を総称することがある。
【0036】
〔概要〕
図2に基づいて、誤作動防止装置(制御手段)10の概要を説明する。図2は、携帯型電子機器100のユーザによる使用状態と、誤作動防止装置10の動作例の概要を、模式的に表したものである。ここで、同図(a)は、タッチパネルを備える液晶表示画面(後述する入出力部4)が下になるように、携帯型電子機器100をうつぶせにして机に置いた状態、同図(b)は、ユーザが前記表示画面を手のひらで覆うように把持している状態(携帯型電子機器100を握ったままの状態、例えば電池を入れ替えているような状態が想定できる)、同図(c)は、ユーザが携帯型電子機器100をポケットに入れて移動している状態、同図(d)は、ユーザが携帯型電子機器100を通常の状態で入力操作している状態を表している。
【0037】
誤作動防止装置10は、まず携帯型電子機器100が備える各種センサの計測値を取得する。次に、このセンサの値に基づいて、図2(a)〜(d)で例示される携帯型電子機器100の使用状態を推定する。そして、推定された使用状態に基づいて、携帯型電子機器100へ抑制すべき機能を表す抑制機能情報1を出力する。
【0038】
抑制機能情報1は、抑制すべき携帯型電子機器100の機能を示す情報である。具体的には、上記の使用状態に対応付けられた誤作動防止のためのフィルタ機能の動作を抑制することを示す。
【0039】
このように、誤作動防止装置10は、推定された状態に応じて携帯型電子機器100の誤作動防止フィルタを抑制する。これにより、携帯型電子機器100の操作性を落とすことなく当該機器の誤作動を防止できる。
【0040】
〔携帯型電子機器100の外観〕
図3に基づいて、本実施の形態に係る携帯型電子機器100の外観について説明する。図3は、本実施の形態に係る携帯型電子機器100の外観例を2つ表したものである。携帯型電子機器100aは、入出力部4、および制御スイッチ81を含む。携帯型電子機器100bは、操作スイッチ82、およびポインティングデバイス83をさらに含む。ユーザは、制御スイッチ81を長押しすることで、機器の電源のオン、オフを切り替えることができる。また、短押しすることで、機器を休止状態にする、または休止状態から復帰させることができる。あるいは、制御スイッチ81を短押しすることに、誤作動防止モードのオン、オフを切り替える機能を割り当ててもよい。
【0041】
携帯型電子機器100aでは入出力部4にタッチパネルが備えられており、ユーザは入出力部4上に表示されるソフトウェアキーなどのオブジェクトをタッチすることで機器を操作できるため、操作スイッチ82およびポインティングデバイス83などのハードウェアキーは備えられていなくともよい。
【0042】
一方、携帯型電子機器100bのように、操作スイッチ82およびポインティングデバイス83などのハードウェアキーを備えることもできる。すなわち、ユーザはポインティングデバイス83を動かすことにより、例えば画面の表示領域の移動操作を行える。または、操作スイッチ82aを押下することにより前回表示していた画面へ切り替えたり、操作スイッチ82bを押下することによりメインメニューを表示するトップ画面へ切り替えたりできる。なお、ハードウェアキーの種類、形状、配置、数などは特に限定されない。
【0043】
〔携帯型電子機器100の構成〕
図1に基づいて、本実施の形態に係る携帯型電子機器100の構成の例について説明する。図1は、携帯型電子機器100の要部構成を示すブロック図である。図示のように、携帯型電子機器100は、誤作動防止装置10、センサ部2、入出力制御部3、入出力部(入力面、表示画面、タッチパネル)4、およびボタン部8を含む。なお、本実施の形態に直接関係のない部分(例えば一般的な電子機器に含まれることの多い、画像撮影や音量調整などを実現する部分)は、構成の説明およびブロック図から省略した。
【0044】
誤作動防止装置10は、センサ情報取得部5、接触状態取得部(接触状態取得手段)6、抑制機能決定部(制御手段、抑制機能決定手段)7を含む。センサ情報取得部5は、加速度取得部(向き取得手段)51、移動状態取得部(移動状態取得手段)52、および照度取得部(照度取得手段)53を含み、接触状態取得部(接触状態取得手段)6は、接触面積取得部61と接触有無取得部62とを含む。また、センサ部2は、加速度検出部21、移動状態検出部22、照度検出部23、接触面積検出部24、および接触有無検出部25を含む。
【0045】
以下、誤作動防止装置10(センサ情報取得部5、接触状態取得部6、抑制機能決定部7)、センサ部2(加速度検出部21、移動状態検出部22、照度検出部23、照度検出部23、接触面積検出部24、接触有無検出部25)、入出力制御部3、入出力部4、ボタン部8の順序で各構成が担う機能を説明する。
【0046】
(誤作動防止装置10)
誤作動防止装置10は、携帯型電子機器100が備える各種センサの計測値を取得し、携帯型電子機器100へ抑制すべき機能を表す抑制機能情報1を出力する装置である。なお、本実施の形態では、誤作動防止装置10が携帯型電子機器100の内部に含まれる構成としたが、誤作動防止装置10と携帯型電子機器100とを通信可能にし、誤作動防止装置10を携帯型電子機器100の外部に設置してもよい。
【0047】
すなわち、携帯型電子機器100がセンサ部2で取得されるセンサ信号を誤作動防止装置10へ出力し、誤作動防止装置10が携帯型電子機器100へ抑制機能情報1を出力する構成でありさえすれば、携帯型電子機器100は誤作動防止装置10を内蔵している必要はない。また、本実施の形態では、図1のように誤作動防止装置10は携帯型電子機器100に内蔵される独立した装置としたが、後述するように、誤作動防止装置10の各部が携帯型電子機器100に組み込まれ、携帯型電子機器100の一部機能として実現されてもよい。
【0048】
センサ情報取得部5は、センサ部2から各センサの計測値を取得し、これを抑制機能決定部7へ出力する。本実施の形態では、加速度取得部51は加速度検出部21から携帯型電子機器100の加速度を、移動状態取得部52は移動状態検出部22から携帯型電子機器100の移動状態を、照度取得部53は照度検出部23から携帯型電子機器100の照度を得る。
【0049】
接触状態取得部6は、センサ部2から携帯型電子機器100に対する物体の接触状態を取得し、抑制機能決定部7に出力する。本実施の形態では、接触面積取得部61は接触面積検出部24から入出力部4に対する接触面積を取得し、接触有無取得部62は接触有無検出部25における接触の有無を取得する。
【0050】
抑制機能決定部7は、取得した各種のセンサ情報に基づいて、携帯型電子機器100の抑制すべき機能を特定する。より具体的には、当該センサ情報から携帯型電子機器100のユーザによる使用状態を推定し、これに対応付けられた携帯型電子機器100の少なくとも一部の機能を抑制すべき機能として決定し、決定された当該機能を表す抑制機能情報1を入出力制御部3へ出力する。
【0051】
なお、後述するように、推定された使用状態と抑制すべき機能との対応関係を、図1では図示しない記憶部にあらかじめ記憶しておいてもよい。これにより、抑制すべき機能を容易に特定できる。推定される使用状態と推定方法、および抑制される機能についての詳細は後述する。
【0052】
(センサ部2)
センサ部2は、これに含まれる計測装置の計測値を、センサ信号取得部5または接触状態取得部6に出力する。加速度検出部21は、携帯型電子機器100の加速度を計測する機器であり、例えば一般的な携帯型の電子機器が備える3軸または6軸の加速度センサでよい。移動状態検出部22は、携帯型電子機器100の姿勢を計測する機器であり、例えば地磁気の向きを計測できる一般的な方位センサでよい。または、GPSセンサで携帯型電子機器100の位置情報を所定の時間間隔で計測し、その経時変化から姿勢を計測してもよい。照度検出部23は、携帯型電子機器100の周囲の明るさを計測する機器であり、例えば入出力部4の上部分に設置してよい。
【0053】
接触面積検出部24は、入力手段としてタッチパネルを備える入出力部4に対して接触する面積を検出する。また、接触有無検出部25は、携帯型電子機器100の筐体において、入出力部4が配置されている面と同じ面の下側、または当該面とは逆側の面の中央に設置され、接触の有無を検出する。なお、接触面積検出部24によって検出される接触面積は、何らかの基準に則って定量化されていればよく、その単位やスケールは限定されない。
【0054】
(入出力制御部3)
入出力制御部3は、携帯型電子機器100に対する入出力情報を制御する機器である。出力を制御する機能については、携帯型電子機器100から出力を指示された情報を出力信号に変換し、これを入出力部4へ出力する。携帯型電子機器100の内部で識別できるデータを入出力部4で出力できる信号へ形式変換できるものであればよく、例えば一般的なディスプレイアダプタでよい。入力を制御する機能については、抑制機能決定部7から抑制機能情報1の入力を受け、携帯型電子機器100の一部の機能を抑制する。また、入出力部4からの入力情報を誤作動防止装置10に出力する。
【0055】
(入出力部4)
入出力部4は、文字や画像などを出力するとともに、ユーザからの入力を受け付ける装置である。出力する機能については、入出力制御部3から入力を受けた出力信号を処理して出力する機能さえあれば装置の種類は限定されず、例えば液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイなどで構成できる。また、入力する機能については、操作を行うユーザの指やスタイラスなどの指示具により指定した位置等を検出する機能さえあれば装置の種類は限定されず、例えば一般的なタッチパネルを採用できる。特に、静電容量方式にしたがうタッチパネル(静電容量方式タッチパネル)であってもよい。
【0056】
(ボタン部8)
ボタン部8は、ユーザが携帯型電子機器100に入力を与えるためのインターフェースであり、具体的には、例えば前述した制御スイッチ81、操作スイッチ82、またはポインティングデバイス83などである(図3を参照)。あるいは、タッチパネルを備えた入出力部4に表示されるソフトウェアインターフェースであってもよい。
【0057】
〔携帯型電子機器100のより具体的な構成〕
図4に基づいて、本実施の形態に係る携帯型電子機器100のより具体的な構成の例について説明する。図4は、携帯型電子機器100のより具体的な構成を示すブロック図である。図1を参照して前述した構成では、誤作動防止装置10は携帯型電子機器100に内蔵される独立した装置としたが、図4のように誤作動防止装置10の各部が携帯型電子機器100に組み込まれ、携帯型電子機器100の一部機能として実現されてもよい。なお、図1の構成に係る携帯型電子機器と、図4の構成に係る携帯型電子機器とは本質的に同一のものであるため、以下の説明でも携帯型電子機器の符号として100を用いる。
【0058】
携帯型電子機器100は、制御部90(抑制機能決定部7、制御手段)、加速度検出部91(加速度検出部21、加速度取得部51、検出手段、静止状態検出手段、歩行動作検出手段)、周囲明るさ検出部92(照度検出部23、照度取得部53、照度検出手段)、静電容量方式タッチ入力部93(入出力制御部3、接触面積検出手段)、光学式接触確認部94(接触状態取得部6、接触確認手段)、携帯型電子機器方位検出部95(移動状態検出部22、移動状態取得部52、姿勢検出手段)、不揮発メモリ制御部96、不揮発メモリ97、およびフィルタ情報98を含む。
【0059】
制御部90は、携帯型電子機器100の全体を制御するものであり、具体的にはCPU(Central Processing Unit)で構成できる。前述した抑制機能決定部7の機能は、携帯型電子機器100に含まれる制御部90に搭載できる。加速度検出部91は、前述した加速度検出部21および加速度取得部51に対応する。周囲明るさ検出部92は、前述した照度検出部23および照度取得部53に対応する。静電容量方式タッチ入力部93は、前述した入出力制御部3に対応する。光学式接触確認部94は、前述した接触有無検出部25、接触有無取得部62に対応する。携帯型電子機器方位検出部95は、前述した移動状態検出部22および移動状態取得部52に対応する。これらの詳細な説明は繰り返さない。不揮発メモリ制御部96は、携帯型電子機器100を動作させるためのプログラム、各種データ、およびフィルタ情報98を保持する不揮発メモリ97を制御するものである。
【0060】
フィルタ情報98は、センサ情報から推定される携帯型電子機器100のユーザによる使用状態と、抑制すべき機能との対応関係を表す情報である。このように、両者の対応関係をあらかじめ記憶しておくことで、抑制すべき機能を容易に特定できる。
【0061】
〔推定される使用状態とその推定方法〕
誤作動防止装置10に含まれる抑制機能決定部7は、図2(a)〜(d)を参照して例示した携帯型電子機器100の使用状態のいずれであるかを推定できる。すなわち、ユーザの携帯型電子機器100の使用状態が、(a)入出力部4が下になるように、携帯型電子機器100をうつぶせに置いた状態(タッチパネルを取り付けたタッチパネル面が下向きになる姿勢)、(b)ユーザが前記表示画面を手のひらで覆うように把持している状態、(c)ユーザが携帯型電子機器100をポケット等に入れて移動している状態、および(d)ユーザが携帯型電子機器100を通常の状態で入力操作している状態のうち、いずれに該当するかを推定する。
【0062】
そして、(a)または(c)の状態として推定したとき、抑制機能決定部7は、タッチイベント通知を抑制することを示す抑制機能情報1を出力する。または、(b)の状態として推定したときであって、入出力部4が静電容量方式にしたがうタッチパネルで構成されている場合は、そのベースライン補正機能を抑制することを示す抑制機能情報1を出力する。または、(d)の状態として推定したときは、タッチ操作に係る誤作動防止のためのフィルタ処理を抑制することを示す抑制機能情報1を出力する。
【0063】
(携帯型電子機器100をうつぶせに置いた使用状態の推定)
抑制機能決定部7は、加速度取得部51により携帯型電子機器100の加速度を、移動状態取得部52により携帯型電子機器100の移動状態を、照度取得部53により携帯型電子機器100の照度を得る。これにより、
(1)加速度から、携帯型電子機器100が静止状態にあるか、
(2)移動状態から、携帯型電子機器100が入出力部4を下にして水平状態にあるか、
(3)照度から、携帯型電子機器100の入出力部4が覆われているか、
が判断できる。すなわち、照度に対して閾値を設定しておき、計測した照度がこれを下回ったときは、入出力部4の入出力面が伏されて置かれていると判断できる(前述したように、照度検出部23が入出力部4の上部分に設置されている場合)。
【0064】
そして、上記の(1)〜(3)の判断条件をすべて満たす場合、抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100がうつぶせに置かれていると推定する。ただし、例えばユーザが暗闇の中を寝転がった状態で携帯型電子機器100を操作している場合にも、上記の条件をすべて満足する。
【0065】
そこで、抑制機能決定部7は、接触有無取得部62から接触の有無を取得し、これにより、
(4)接触の有無から、ユーザが携帯型電子機器100に対して入力を行っていないか、
が判断できる。
【0066】
上記の(1)〜(3)の判断条件に加えて、この追加条件(4)をも満たす場合、抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100がうつぶせに置かれていると推定する。このように追加の判断条件を導入することで、携帯型電子機器100の使用状態をより正確に推定できる。
【0067】
(ユーザが入出力部4を手のひらで覆うように把持している使用状態の推定)
抑制機能決定部7は、移動状態取得部52により携帯型電子機器100の姿勢を、接触面積取得部61によりユーザが入力面に接触している面積を取得する。これにより、上記(2)の判断条件に加えて、
(5)接触面積から、ユーザが入出力部4を手で覆っているか、
が判断できる。すなわち、面積に対して閾値を設定しておき、取得した面積がこれを上回ったときは、手で覆っていると推定する。
【0068】
そして、上記の(2)および(5)の判断条件を両方とも満たす場合、抑制機能決定部7は、ユーザが入出力部4を手のひらで覆うように把持していると推定する。
【0069】
(ユーザが携帯型電子機器100をポケット等に入れて移動している使用状態の推定)
抑制機能決定部7は、加速度取得部51により携帯型電子機器100の加速度を、移動状態取得部52により携帯型電子機器100の姿勢を、照度取得部53により携帯型電子機器100の周囲の照度を得る。これにより、上記の判断条件(3)に加えて、
(6)加速度から、携帯型電子機器100が移動状態にあるか、
(7)姿勢から、携帯型電子機器100が略垂直の状態にあるか、
が判断できる。
【0070】
そして、上記の(3)、(6)、および(7)の判断条件をすべて満たす場合、抑制機能決定部7は、ユーザが携帯型電子機器100をポケット等に入れて移動していると推定する。ただし、例えばユーザが暗闇の中を歩きながら携帯型電子機器100を操作している場合にも、上記の条件をすべて満足する。
【0071】
そこで、上記と同様に、抑制機能決定部7は接触有無取得部62から接触の有無を取得し、これにより、
(8)接触の有無から、携帯型電子機器100が障害物(例えば、ポケットの内壁、または鞄に入れられたその他の物品等)で覆われているか、
が判断できる。
【0072】
上記の(3)、(6)、(7)の判断条件に加えて、この追加条件(8)をも満たす場合、抑制機能決定部7は、ユーザが携帯型電子機器100をポケット等に入れて移動していると推定する。このように追加の判断条件を導入することで、携帯型電子機器100の使用状態をより正確に推定できる。
【0073】
なお、前述したように、この使用状態として推定されると、抑制機能決定部7はタッチパネルに対する入力操作の機能を抑制することを示す情報を出力するが、この抑制を解除する場合、接触面積検出部24、接触有無検出部25に静電容量が蓄積し、その後のユーザ操作に影響を与える可能性があるため、接触面積検出部24、接触有無検出部25をリセットおよび自動調整を行うことにより、蓄積された静電容量をクリアし、ユーザ操作における誤作動を抑制する。
【0074】
(所定時間ごとの条件判定)
抑制機能決定部7は、所定の時間ごとに上記の判断条件を満たすか否かを判定することで、リアルタイムに使用状態を推定できる。
【0075】
〔誤作動防止装置10が実行する処理〕
図5に基づいて、誤作動防止装置10が実行する処理の流れを説明する。図5は、誤作動防止装置10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図示の通り、誤作動防止装置10は、携帯型電子機器100をうつぶせに置いた使用状態か否か(ステップ1:以下、S1のように略記する)、ユーザが入出力部4を手のひらで覆うように把持している使用状態か否か(S2)、ユーザが携帯型電子機器100をポケット等に入れて移動している使用状態か否か(S3)を順番に判断する。
【0076】
いずれの使用状態にも該当しないと判断された場合(すなわち、ユーザが携帯型電子機器100を通常の状態で入力操作していると判断された場合)、抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100の誤作動を防止する誤作動防止フィルタをオフする(S21)。即ち、抑制機能決定部7は抑制機能情報1を入出力制御部3へ出力する。なお、ここで出力される抑制機能情報1は、誤作動防止のためのフィルタ処理を抑制することを示す。以下より、それぞれのステップにおける詳細な処理の流れを説明する。
【0077】
図6に基づいて、抑制機能決定部7が実行する処理の流れを説明する。図6は、抑制機能決定部7が実行する、うつぶせに置いた使用状態を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【0078】
まず、加速度検出部21が検出した加速度を、加速度取得部51が取得し、これを抑制機能決定部7へ出力する(S4)。加速度の入力を受けた抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100が静止状態にあるか否かを判定する(S5)。静止状態にないと判定される場合(S5においてNO)、処理をS2へ進める。一方、静止状態にあると判定される場合(S5においてYES)、移動状態取得部52が移動状態検出部22から電子機器100の姿勢状態を取得し、これを抑制機能決定部7へ出力する(S6)。
【0079】
姿勢状態の入力を受けた抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100が入出力部4を下にして水平状態にあるか否かを判定する(S7)。入出力部4が下になっていない、または水平状態にないと判定される場合(S7においてNO)、処理をS2へ進める。一方、入出力部4を下にして水平状態にあると判定される場合(S7においてYES)、照度取得部53が照度検出部23から照度を取得し、これを抑制機能決定部7へ出力する(S8)。照度の入力を受けた抑制機能決定部7は、入力された照度値(lx)と閾値(lx)とを比較して、携帯型電子機器100の入出力部4が覆われているか否かを判定する(S9)。入出力部4は覆われていないと判定される場合(S9においてNO)、処理をS2へ進める。
【0080】
一方、入出力部4が覆われていると判定される場合(S9においてYES)、接触有無取得部62が接触有無検出部25による接触の有無の検出結果を取得し、これを抑制機能決定部7へ出力する(S10)。接触有無の検出結果を受けた抑制機能決定部7は、ユーザが携帯型電子機器100を握っていないか(端末を手で持っていないか)、即ち、携帯型電子機器100に対して入力を行っていないか否かを判定する(S11)。入力を行っていると判定される場合(S11においてNO)、処理をS2へ進める。入力を行っていないと判定される場合(S11においてYES)、抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100の誤作動を防止する誤作動防止フィルタをオンする(S12)。即ち、抑制機能決定部7は抑制機能情報1を入出力制御部3へ出力する。なお、ここで出力される抑制機能情報1は、タッチイベント通知を抑制することを示す。
【0081】
図7に基づいて、抑制機能決定部7が実行する処理の流れを説明する。図7は、抑制機能決定部7が実行する、入出力部を手のひらで覆うように把持している使用状態を判断する処理の一例を示すフローチャートである。ここで、抑制機能決定部7が実行する処理は、図6を参照して説明した処理と一部が同一であるため、同一の処理については同一の符号を付すことにより重複する説明を省略する場合がある。
【0082】
まず、接触面積検出部24により検出された入出力部4に対して接触する面積を接触面積取得部61が取得し、これを抑制機能決定部7へ出力する(S13)。接触面積の入力を受けた抑制機能決定部7は、これが閾値を超えているか否かにより、ユーザが入出力部4を手で覆っているか否かを判定する(S14)。覆っていないと判定される場合(S14においてNO)、処理をS3へ進める。一方、覆っていると判定される場合(S14においてYES)、移動状態検出部22により検出された電子機器100の姿勢を移動状態取得部52が取得し、これを抑制機能決定部7へ出力する(S6)。姿勢状態の入力を受けた抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100が入出力部4を下にして水平状態にあるか否かを判定する(S7)。入出力部4が下になっていない、または水平状態にないと判定される場合(S7においてNO)、処理をS3へ進める。一方、入出力部4を下にして水平状態にあると判定される場合(S7においてYES)、抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100の誤作動を防止する誤作動防止フィルタをオンする(S12)。即ち、抑制機能決定部7は抑制機能情報1を入出力制御部3へ出力する。なお、ここで出力される抑制機能情報1は、ベースライン補正機能を抑制することを示す。
【0083】
図8に基づいて、抑制機能決定部7が実行する処理の流れを説明する。図8は、抑制機能決定部7が実行する、ポケット等に入れて移動している使用状態を判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【0084】
加速度検出部21により検出された加速度の入力を受けた抑制機能決定部7は(S4)、携帯型電子機器100が歩数計として動作している移動状態にあるか否かを判定する(S15)。移動状態にないと判定される場合(S15においてNO)、処理をS21へ進める。一方、移動状態にあると判定される場合(S15においてYES)、移動状態検出部22により検出された携帯型電子機器100の姿勢を移動状態取得部52が取得し(S6)、抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100が略垂直の状態にあるか否かを判定する(S16)。略垂直の状態にないと判定される場合(S16においてNO)、処理をS21へ進める。一方、略垂直の状態にあると判定される場合(S16においてYES)、処理はS8へ進む。
【0085】
照度取得部53が照度検出部23から照度を取得し、これを抑制機能決定部7へ出力する(S8)。照度の入力を受けた抑制機能決定部7は、入力された照度値(lx)と閾値(lx)とを比較して、携帯型電子機器100の入出力部4が覆われているか否かを判定する(S9)。入出力部4は覆われていないと判定される場合(S9においてNO)、処理をS21へ進める。
【0086】
一方、入出力部4が覆われていると判定される場合(S9においてYES)、接触有無取得部62が接触有無検出部25による接触の有無の検出結果を取得し、これを抑制機能決定部7へ出力する(S22)。
【0087】
接触有無の入力を受けた抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100が障害物で覆われているか否かを判定する(S23)。ここで実際に行われる処理は、先に説明したS11と同様である。障害物で覆われていると判定される場合(S23においてYES)、抑制機能決定部7は、携帯型電子機器100の誤作動を防止する誤作動防止フィルタをオンする(S12)。即ち、抑制機能決定部7は抑制機能情報1を入出力制御部3へ出力する。
【0088】
〔携帯型電子機器100の効果〕
携帯型電子機器100の推定した使用状態に応じて、当該機器の誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替えることができる。すなわち、従来では常時動作していた誤作動防止フィルタの動作をユーザの使用状態に応じて適宜抑制できるため、誤作動の防止と機器の操作性とを両立できる。
【0089】
〔本願発明の他の表現〕
本願発明は、次のようにも表現できる。すなわち、
(1)ユーザによる携帯型電子機器の使用状態に応じて、前記携帯型電子機器の少なくとも一部の機能を抑制する誤作動防止装置であって、
(2)前記携帯型電子機器の地面に対する向きを取得する向き取得手段と、
(3)前記携帯型電子機器の移動状態を取得する移動状態取得手段と、
(4)前記携帯型電子機器の表示画面の前方の照度を取得する照度取得手段と、
(5)前記向き取得手段によって取得された地面に対する向きと、前記移動状態取得手段によって取得された移動状態と、前記照度取得手段によって取得された照度とを、抑制すべき機能を決定するための条件として用いる抑制機能決定手段とを備えたことを特徴とする誤作動防止装置。
【0090】
または、
(1)ユーザによる携帯型電子機器の使用状態に応じて、前記携帯型電子機器の少なくとも一部の機能を抑制する誤作動防止装置であって、
(2)前記携帯型電子機器の地面に対する向きを取得する向き取得手段と、
(3)ユーザによる前記携帯型電子機器に対する接触状態を取得する接触状態取得手段と、
(4)前記向き取得手段によって取得された地面に対する向きと、前記接触状態取得手段によって取得された接触状態とを、抑制すべき機能を決定するための条件として用いる抑制機能決定手段とを備えたことを特徴とする誤作動防止装置。
【0091】
〔ソフトウェアによる実現例〕
最後に、誤作動防止装置10の各ブロックは、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPUを用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0092】
後者の場合、誤作動防止装置10は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである誤作動防止装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記文字入力装置11、上記文字入力装置12、および上記文字入力装置13に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても達成可能である。
【0093】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0094】
また、誤作動防止装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0095】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、携帯型の電子機器に適用できる。
【符号の説明】
【0097】
1 抑制機能情報
4 入出力部(タッチパネル、入力面、表示画面)
6 接触状態取得部(接触状態取得手段)
7 抑制機能決定部(制御手段、抑制機能決定手段)
10 誤作動防止装置(制御手段)
51 加速度取得部(向き取得手段)
52 移動状態取得部(移動状態取得手段)
53 照度取得部(照度取得手段)
61 接触面積取得部
62 接触有無取得部
90 制御部(制御手段)
91 加速度検出部(検出手段、静止状態検出手段、歩行動作検出手段)
92 周囲明るさ検出部(照度検出手段)
93 静電容量方式タッチ入力部(接触面積検出手段)
94 光学式接触確認部(接触確認手段)
95 携帯型電子機器方位検出部(姿勢検出手段)
100 携帯型電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体にタッチパネルを取り付けた携帯型電子機器であって、
前記本体の姿勢と接触状態とを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された本体の姿勢と接触状態とに基づいて、前記携帯型電子機器の誤作動を防止する誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える制御手段とを備えたことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記タッチパネルは、静電容量方式タッチパネルであり、
前記本体の接触状態とは、前記タッチパネルの操作面の接触状態であることを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
前記検出手段は、前記本体の加速度をさらに検出し、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された加速度を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
前記検出手段は、前記タッチパネルの接触面積を検出する接触面積検出手段を含み、
前記制御手段は、前記接触面積検出手段により検出された接触面積を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯型電子機器。
【請求項5】
前記検出手段は、前記本体の前記タッチパネルを取り付けたタッチパネル面が下向きになる姿勢を検出する姿勢検出手段を含み、
前記制御手段は、前記姿勢検出手段により検出された下向きになる姿勢を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯型電子機器。
【請求項6】
前記検出手段は、前記本体の周囲の照度を検出する照度検出手段を含み、
前記制御手段は、前記照度検出手段により検出された照度を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯型電子機器。
【請求項7】
前記検出手段は、ユーザの歩数を検出する歩行動作検出手段を含み、
前記制御手段は、前記歩行動作検出手段により検出されたユーザの歩数を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の携帯型電子機器。
【請求項8】
前記検出手段は、前記タッチパネル面と反対側の面における接触の有無を検出する接触確認手段を含み、
前記制御手段は、前記接触確認手段により検出された接触の有無を、前記誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える追加条件として用いることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の携帯型電子機器。
【請求項9】
本体にタッチパネルを取り付けた携帯型電子機器の制御方法であって、
前記本体の姿勢と接触状態とを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出された本体の姿勢と接触状態とに基づいて、前記携帯型電子機器の誤作動を防止する誤作動防止フィルタの動作、非動作を切り替える制御ステップとを包むことを特徴とする携帯型電子機器の制御方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の携帯型電子機器を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを前記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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