説明

携帯型電子装置

【課題】従来の技術では、画面が出力する階調を変更して映像信号を表示するときに、ピクト画像を出力する階調も変更されてしまう、という課題がある。
【解決手段】本発明は、ピクト信号を出力する第1の制御部11と、第1の制御部11からのピクト信号と、コンテンツの映像信号が指示する画面表示部15に入力される階調を変調した映像信号と、を合成し、画面表示部15に出力する第2の制御部12と、を有する携帯端末装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号の指示する階調を変調して、変調した画像信号と図形信号を合成した画像を表示可能な携帯型電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型電子装置(携帯電話装置)にて、周囲の明るさに応じて映像処理回路が出力する階調を変化する機能を備える携帯電話装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された携帯電話装置は、表示パネル周辺の明るさを検出して、光センサの出力に応じて映像処理回路の階調特性を変化させ、画面全体の輝度や色を変化させる。
【0003】
携帯電話装置では、画面中央部に一般の表示画像を表示し、画面の端部等に基地局からの電界強度を示すアンテナピクト、バッテリ残量を示すバッテリアイコン等の指標画像を表示するのが一般的である。
【特許文献1】特開2005−323175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般的な携帯電話装置の表示画像の輝度を調整して画像品質を上げるために、特許文献1に開示された表示画像変調機能を単純に適用すると、画面全体の輝度や色が調整されてしまう。即ち、光センサの出力に応じて、一般の表示画像だけでなく、アンテナピクトやバッテリアイコン等の輝度や色まで変化してしまう。このため、ピクトやアイコン等が見にくくなったり、ユーザが違和感を感じる可能性がある。
【0005】
同様の問題は、携帯電話装置に限らず、ピクト等の指標画像と一般の映像を同一の画面に表示する機能を備える種々の電子装置に共通する。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、表示画像の階調を変更したときでも、指標画像の表示に影響を与えない携帯型電子装置を提供することを目的とする。
また、
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明における携帯型電子装置は、
コンテンツの映像信号を受信し映像信号を復調して出力するチューナと、
ピクト画像の表示制御を含むピクト信号を出力するピクト信号出力手段と、
チューナから出力された映像信号を、映像信号が指示する表示階調を予め定められた基準に従って変更するように、変調する階調変調手段と、
階調変調手段でされた映像信号と、ピクト信号とを、該映像信号が定義する画像とピクト信号が定義するピクト画像とが重畳された画像に対応する画像信号を出力する画像信号出力手段と、
画像信号出力手段が出力した画像信号を画面に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
階調変調手段は、例えば、映像信号が定義する画像の平均階調を判別する手段と、判別した平均階調と基準階調とに基づいて、平均階調を増加又は減少するように、映像信号を変調する。
【0009】
例えば、表示手段は、該表示手段の入力信号が指示する表示階調と実際に表示される明るさに関して固有のγ特性を有し、階調変調手段は、変調前の映像信号が指示する階調と表示手段に表示される明るさとの関係が、所定のγ特性となるように、固有のγ特性に基づいて、映像信号を変調する。
【0010】
階調変調手段は、例えば、映像信号を変調する量を、表示手段のγ特性に基づいて設定された第1の補正特性と、映像の輝度の明暗に対応して設定された第2の補正特性と、ユーザが設定した第3の補正特性と、のいずれかに基づいて定める。
【0011】
例えば、この携帯型電子装置のユーザを判別するユーザ判別手段とユーザ別に基準表示階調を記憶する基準記憶手段とを、更に配置し、階調変調手段は、映像信号が定義する画像の平均階調を判別する手段と、判別した平均階調と、ユーザ判別手段が判別したユーザ用の基準表示階調とに基づいて、表示画像の平均階調が基準表示階調に一致するように、映像信号を変調するように構成してもよい。
【0012】
また、この発明の第2の観点に係る携帯型電子装置は、
表示装置と第1の制御回路と第2の制御回路と、コンテンツの映像信号を受信し映像信号を復調して出力するチューナと、を備える携帯型電子装置であって、
表示装置は、固有のγ特性を有し、
第1の制御回路は、通信を制御する手段と、表示装置固有のγ特性を所定のγ特性に修正するために入力映像信号に施す補正量を示す補正情報を格納する補正情報格納手段と、格納手段に格納されている補正情報を第2の制御回路に送信する補正情報送信手段と、ピクト画像の表示制御を含むピクト信号を出力するピクト信号出力手段と、を備え、
第2の制御回路は、チューナが出力した映像信号を受け取って、入力し、該映像信号を高画質化するための信号処理と、第1の制御回路から供給された補正情報に基づく補正処理と、を入力した該映像信号に施す信号処理手段と、信号処理手段で処理された該映像信号と、ピクト信号とを受け取り、映像信号が定義する画像とピクト信号が定義するピクト画像とが重畳された画像に対応する画像信号を出力する画像信号出力手段と、画像信号出力手段が出力した画像信号を表示装置に供給する供給手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため、更に、コンピュータに上記の発明の主要機能を実現させるためのプログラムを提供するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、階調変調手段で映像信号を変調しても、ピクト信号については未変調に維持される。従って、映像の階調を調整したような場合でも、ピクト画像階調は変化せず、もとの状態を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る携帯電話装置1を説明する。
この携帯電話装置1は、図1示す外観のように、画面表示部15、アンテナ18A、音声マイク19A、音声スピーカ19B、キー操作部21、を備えている。
【0016】
また、携帯電話装置1は、図2に示すように、回路構成として、第1制御部11、第2制御部12、記憶部13、チューナ14、アンテナ14A、画面表示部15、DAC(Digital Analog Converter)16、スピーカ17、通信部18、アンテナ18A、音声マイク19A、音声スピーカ19B、外部記録メディア20、キー操作部21、バス22、を備える。
【0017】
第1制御部11は、CPU(Central Processing Unit)から構成され、記憶部13に格納された動作プログラムに従って、携帯電話装置1の全体的な動作を制御する。例えば、第1制御部11は、図示せぬ電界強度センサから周辺の電界強度を信号や電源チェック回路からの電源残信号を受信し、電界強度を示すピクト画像(絵文字)やバッテリ残量を示すピクト画像のピクト信号を、第2制御部12に出力する。なお、ピクト信号は、例えば、チップセレクトパルス、ライトイネーブルパルスを使用する非同期型の信号である。また、第1制御部11は、チューナ14で受信したテレビジョン信号が示す表示階調を変更して、表示画像を高画質化するための高画質化処理制御信号を第2制御部12に出力する。また、第1制御部11は、コンテンツの音声信号を出力するために、DAC18に音声信号を送信する。
更に、第1制御部11は、電源オン時、又は、ユーザがユーザ調整コードACを変更した時に、記憶部13から、i)画面表示部15に入力される画像信号の定義する表示階調が所定のγ特性(以下、「固有補正特性」と呼ぶ)となるよう、画面表示部15の固有γ特性を補正するためのγ特性補正テーブルと、ii)後述するユーザ基準階調テーブルのユーザ調整コードACと、を取得して、第2制御部12に出力する。
【0018】
第1制御部11は、この携帯型電子装置1を使用するユーザを認証する認証部11Aを有する。
認証部11Aは、ユーザが、ユーザ毎に任意に設定可能であるユーザ調整コードACを変更するときに、ユーザを認証し、正規ユーザか否かを判別する。本実施形態の認証部11Aは、ユーザがキー操作部21を介して入力したパスワードを利用したパスワード認証により、ユーザを判別するものとする。なお、認証部11Aの認証手段は、パスワード認証、生体認証(例えば、指紋認証、声紋認証等)、非接触型又は接触型のICカード認証、等であってもよい。
【0019】
第2制御部12は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)から構成され、機能的にデコード部12A、高画質化処理部12B、映像合成処理部12C、を備える。
【0020】
デコード部12Aは、チューナ14から出力されたコンテンツを、映像信号、音声信号、字幕信号に分離すると共に復号する。
【0021】
高画質化処理部12Bは、デコード部12Aで復号した映像信号が定義する画像が暗すぎたり、明るすぎたりする場合に、その輝度を調整して画像を高画質化する高画質化処理を、映像信号に施す。なお、高画質化処理の詳細については、後述する。
【0022】
映像合成処理部12Cは、表示バッファメモリを備え、デコード部12Aで復号された映像信号及び字幕信号(又は、高画質化処理部12Bで処理された映像信号及び字幕信号)と、第1制御部11から供給されるピクト信号とを表示バッファメモリ上に展開して、チューナ14で受信した映像及び字幕とピクト画像とを重畳し、1枚の画像フレームPF分の画像データを生成する。映像合成処理部12Cは、生成した画像データを画面表示部15に出力する。これにより、図8Eに例示するように、画面15Aの上部にピクトアイコンが表示され、中央にTV(テレビジョン)画像等が表示され、下部に字幕が表示される。
【0023】
記憶部13は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)等から構成され、i)図9のフローチャートに示す処理を第1制御部11に実行させるためのプログラム、ii)画面表示部15のγ特性(入力信号対表示階調の特性)の固有補正特性、iii)高画質化処理部12Bで映像信号を変調する程度を示すユーザ調整コードAC、iv)各ユーザが選択したユーザ調整コードACを格納するユーザ基準階調テーブル、を記憶する。
また、記憶部13は、第1制御部11と第2制御部12のワークメモリとして機能する。
【0024】
固有補正特性は画面表示部15固有のγ特性を所望の特性に補正するものである。
ユーザ調整コードACは、コンテンツを視聴するユーザが、好みに応じて、出力輝度Boの明暗を調節するときの、調節の変化の大きさを示す量である。例えば、ユーザ調整コードAC=1であるときと、AC=2であるときとを比較すると、ユーザ調整コードAC=2の方が、画像をより明るく表示できる。なお、ユーザ調整コードACは、キー操作部21からの入力値に変更可能である。
ユーザ基準階調テーブルは、携帯型電子装置1を使用する各ユーザと、各ユーザが任意に選択したユーザ調整コードACとを対応づけるテーブルである。ユーザは、認証部11Aによるユーザ認証に成功した後に、ユーザ基準階調テーブル内の、自己に対応したユーザ調整コードACを任意に変更できる。
【0025】
チューナ14は、アンテナ14Aを介して地上デジタル放送の電波信号を受信して復調し、復調信号を第2制御部12に出力する。
【0026】
画面表示部15は、ドットマトリクスタイプのLCD(液晶表示器)パネルとドライバ回路等から構成され任意の画像を表示する。なお、画面表示部15は、画面15Aの各画素の階調を、0〜255の256段階に制御可能である。
【0027】
画面表示部15には、製造者によって予め固有のγ特性、即ち、この画面表示部15の入力信号が指示する表示階調と実際に表示される輝度との関係を示す特性が設定されている。
【0028】
DAC(Digital Analog Converter)16は、第1制御部11からのディジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換して、スピーカ16に出力する。
スピーカ17は、DAC16から供給されたアナログオーディオ信号を放音する。
通信部18は、アンテナ18Aを通じ、基地局と交信し、音声信号、映像信号、データ信号を送受信する。
音声マイク19Aは、通話時等に、音声信号を収集し、通信部に供給する。
音声スピーカ19Bは、通話時等に、復調された音声信号を出力する。
【0029】
外部記録メディア20は、スマートメディア、ICカード等の着脱可能な可搬型メモリから構成され、例えば、ユーザIDや画面表示部15に表示する映像データを格納している。
【0030】
キー操作部21は、ユーザが指示やデータを入力するための各種のキー若しくはボタンを備え、第1制御部11への各種の指示やデータを入力する。例えば、携帯電話での通話の開始・終了、外部ネットワークへのアクセス、テレビの受信の開始・終了、記憶部13のユーザ基準階調テーブルに記憶されているユーザ調整コードACを変更したりすることが可能である。
【0031】
バス22は、第1制御部11、第2制御部12、記憶部13、DAC16、外部記録メディア20の間で相互にデータを伝送する。
【0032】
次に、第2制御部12の高画質化処理部12Bの構成について、図3を参照して詳細に説明する。
【0033】
高画質化処理部12Bは、図3に示すように、映像輝度判別部12B1、補正特性生成部12B2、補正値テーブル12B3、映像信号変調部12B4、から構成される。
【0034】
映像輝度判別部12B1は、デコード部12Aからの映像信号が定義する映像の全体(又は中心部等の主要部でもよい)の平均輝度を求める。映像輝度判別部12B1は、求めた平均輝度と基準となる所定の輝度レベルとを比較し、平均輝度が所定の輝度レベル以下であれば暗い映像と判別し、所定の輝度レベル以上であれば、明るい映像と判別する。映像輝度判別部12B1は、判別結果を、補正特性生成部12B2に出力する。
【0035】
補正特性生成部12B2は、電源オン時、又は、ユーザがユーザ調整コードACを変更した時に、第1制御部11から出力される、i)画面表示部15の固有補正特性と、ii)ユーザ基準階調テーブルのユーザ調整コードACと、を記憶している。補正特性生成部12B2は、映像輝度判別部12B1の輝度判別結果と、記憶している画面表示部15の固有補正特性と、ユーザ調整コードACとに基づいて、補正値テーブル12B3を参照して、映像信号を変調する変調量を求める。
【0036】
補正値テーブル12B3は、図5に示す第1の補正特性を定義する第1の補正値テーブルと、図6に示す第2と第3の補正特性を定義する第2の補正値テーブルを含む。
【0037】
ここでは、図5に示すように、第1の補正値テーブルは、画面表示部15の固有のγ特性を、標準γ特性(例えば、ITU-R BT.709で規定される、γ=2.2のγ特性)に変換するものとする。この第1の補正値テーブルは、デコード部12Aから出力される映像信号が指示する表示階調(入力階調)と、その入力階調が標準のγ特性を有する表示装置に供給された際に表示される階調と同一の階調を得るために映像信号に施すべき補正の量を示す。この第1の補正値テーブルによれば、例えば、入力階調が64(0〜255階調のうちの第64階調)である場合には、階調80を指示するように映像信号を変調することになる。
【0038】
図6及び図7に示すように、第2の補正値テーブルは、ユーザ調整コードACの値(1又は2)と、画像の平均輝度の区分(明るい、暗い)と、デコード部12Aから出力される映像信号が指示する表示階調(入力階調)と、の組み合わせ別に、入力階調に施すべき補正の量を示す。
この第2の補正値テーブルによれば、例えば、記憶部13に記憶されているユーザ調整コードACが「1」で、映像輝度判別部12B1で求められた平均輝度が「明るい」に分類されている場合には、グループG2が特定される。さらに、映像信号が指示する表示階調(入力階調)が112であれば、補正値は−7となる。
従って、入力階調112に補正値−7を加算して(112−7=105)表示階調105を求め、表示階調105を指示するように映像信号を変調する。
【0039】
図6をグラフ化すると図7に示すようになる。図7において、横軸は、映像信号変調部12B4が映像信号の階調を変調する前の、映像信号が指示する階調である。縦軸は、映像信号変調部12B4が映像信号の階調を変調した後の、映像信号が指示する階調である。
補正特性生成部12B2は、これらの補正量を映像信号のフレーム単位に求める。
【0040】
補正特性生成部12B2は、補正値テーブル12B3から映像フレーム単位で求めた補正量を、映像信号変調部12B4に設定する。
【0041】
映像信号変調部12B4は、補正特性生成部12B2が設定した、映像信号の変調補正量に従って、表示階調が適切になるように映像信号を変調して高画質化し、映像合成処理部12Cに出力する。
【0042】
以下、第1の補正特性に基づいて、映像信号変調部12B4が、映像信号が指示する入力階調を変調する動作を説明する。
【0043】
画面表示部15の固有γ特性は、図4に示すように、非線形特性を有する。横軸は、入力階調Giである。縦軸は、入力階調Gi=255における出力輝度を100%として表した出力輝度Boである。
【0044】
曲線Aは、「標準γ特性」である。曲線Bは、映像信号変調部12B4が映像信号の指示する入力階調Giを変調する前の、画面表示部15の固有γ特性である。入力階調Giが低い領域の曲線Bの出力輝度Boは、標準γ特性の出力輝度よりも低い。
【0045】
曲線Bにおいて、入力階調Gi=16であれば、映像信号変調部12B4は、図5の補正値テーブル12B3に基づいて、画面表示部15に入力される映像信号が指示する表示階調が30になるよう、映像信号の階調を変調する。
これにより、映像信号変調部12B4により変調された映像信号を画面表示部15に出力すれば、標準γ特性と同じ出力輝度Boで映像が表示される。
【0046】
図5の補正値テーブル12B3の隣り合う入力階調Giの間の補正値は、直線補間により求まる。これにより、全ての入力階調Giにおける出力輝度Boが、無段階連続的に、標準γ特性の出力輝度に一致する。
【0047】
以下、第2及び第3の補正特性に基づいて、映像信号が指示する階調を変調する動作を説明する。
【0048】
例えば、第1制御部11からのユーザ調整コードAC=1で、かつ、映像輝度判別部12B1の輝度判別結果が「暗い」である場合、図6の補正値テーブル12B3のグループG1に該当する。従って、補正特性生成部12B3は、グループG1の補正特性に従って、図7の補正すべき映像信号が示す階調の変調量を生成する。
グループG1の補正特性は上に凸の曲線であるから、画面表示部15の画像の暗い部分の傾きを強くし、階調差を強調することでユーザがコンテンツを視聴するときの視認性が向上する。
【0049】
また、第1制御部11からのユーザ調整コードAC=1で、かつ、映像輝度判別部12B1の判別結果が「明るい」であれば、補正値テーブル12B3のグループG2に該当する。図7のグループG2の補正特性は、下に凸の曲線であるから、画面表示部15の画像の明るい部分の傾きを強くし、階調差を強調することでユーザがコンテンツを視聴するときの視認性が向上する。
【0050】
第1制御部11が、ユーザ調整コードAC=2に設定したときは、グループG3、グループG4のいずれかに該当する。グループG1、G2の補正特性よりも、補正特性の曲率が大きくなり、映像信号を変調する変調量が大きくなる。
【0051】
次に、図8A乃至8Eを参照して、映像合成処理部12Cが、ピクト信号、映像信号、字幕信号を合成して、1枚の画像フレームPFを生成する動作を説明する。
【0052】
第1制御部11が送信するピクト信号は、図8Aに示すように、アンテナピクト、バッテリアイコンのピクトアイコンのピクト画像を含む。
【0053】
デコード部12Aが出力する映像信号は、図8Bに示す映像の情報を含む。なお、図8Bの人物の顔の部分の画面表示は、黒つぶれの傾向にある。
【0054】
デコード部12Aから出力される字幕信号は、図8Cに示すように、字幕の情報を含む。
【0055】
高画質化処理部12Bは、画面表示部15の出力輝度Boが、標準γ特性の出力輝度に一致するように、図8Bの映像信号を変調する。
更に、高画質化処理部12Bは、映像輝度判別部12B1の判別結果に従って映像を最適化し、かつ、ユーザが入力したユーザ調整コードACに応じた補正を施す。これにより、高画質化処理が施された、図8Dの画像が生成される。
【0056】
映像合成処理部12Cは、図8A、図8C、図8Dの画像要素を合成して、1枚の画像フレームPFを生成する。映像合成処理部12Cは、画像フレームPFの情報を含む画像信号を、画面表示部15に送信する。
画面表示部15は、画像信号を表示する。
【0057】
これにより、携帯電話装置1は、出力輝度を補正した映像を表示でき、かつ、ピクト画像の階調特性を保ったまま忠実に表示できる。
【0058】
次に、図9を参照して、携帯電話装置1が、画像信号に高画質化処理を施して、コンテンツを再生する動作を説明する。
なお、以下の説明における前提として、携帯電話装置1は、正常に電源がオンされており、ユーザは、携帯電話装置1を使用してコンテンツを視聴している状況にある。また、図9のフローの処理の内、ステップA1乃至A5、ステップA12乃至A15、ステップB6乃至B9は、ユーザが携帯電話装置1を使用してコンテンツを視聴している間、定常的に実行されている処理である。
【0059】
図9のフローチャートは、チューナ14が、アンテナ14Aを介し、コンテンツ発信源(放送局)からのTV信号を受信したときに起動される。図9のフローの処理が起動されると、先ず、チューナ14は、受信したコンテンツを、デコード部12Aに出力する(ステップA1)。
【0060】
デコード部12Aは、チューナ14からのコンテンツを、映像信号、音声信号、字幕信号に分離する。また、デコード部12Aは、分離した画像信号、音声信号、字幕信号を、全て復号する(ステップA2)。
【0061】
デコード部12Aは、音声信号を、第1制御部11に出力する(ステップA3)。デコード部12Aは、字幕信号を、映像合成処理部12Cに出力する(ステップA4)。デコード部12Aは、映像信号を、映像輝度判別部12B1と映像信号変調部12B4に出力する(ステップA5)。
【0062】
ここで、ユーザが、画面表示部15の表示階調を変更するために、操作部21のキーを操作して、ユーザ調整コードACを変更する画面を選択したとする。
ユーザが、ユーザ調整コードACの変更画面を選択すると、先ず、認証部11Aが、ユーザにパスワードの入力を要求する(ステップB1)。ユーザがキー操作部21を介して入力したパスワードが、予め登録されているユーザ自身のパスワードと合致すれば(ステップB2でYes)、認証部11Aはユーザ認証成功と判別する。ユーザが入力したパスワードが予め登録されているユーザ自身のパスワードに合致しなければ(ステップB2でNo)、認証部11Aは、ユーザ認証失敗と判別し、再度ユーザにパスワードの入力を要求する。
【0063】
ユーザ認証に成功したユーザは、ユーザ調整コードACを変更し、記憶部13内のユーザ基準階調テーブルは、ユーザが変更したユーザの調整コードACを格納する(ステップB3)。第1制御部11は、補正特性生成部12B2に、ユーザ調整コードACを出力する(ステップB4)。
第1制御部11は、補正特性生成部12B2に、画面表示部15の固有補正特性を出力する(ステップB5)。
【0064】
映像輝度判別部12B1は、映像の平均輝度を求め、画面の明暗を判別する。判別した結果を、補正特性生成部12B2に出力する(ステップA6)。
補正特性生成部12B2は、映像輝度判別部12B1からの輝度判別結果と、第1制御部11からの、ユーザ調整コードACと固有補正特性とを受け取る(ステップA7)。
【0065】
補正特性生成部12B2は、ユーザ調整コードAC=1であるか、AC=2であるか、を判別する(ステップA8)
ユーザ調整コードAC=1であれば(ステップA8で「1」)、補正特性生成部12B2は、映像輝度判別部12B1の輝度判別結果に基づき、映像の平均輝度の明暗を判別する(ステップA9a)。
【0066】
映像の平均輝度が暗ければ(ステップA9aでYes)、グループG1の特性の補正特性を読み込む(ステップA10a)。映像の平均輝度が明るければ(ステップA9aでNo)、グループG2の補正特性を読み込む(ステップA10b)。
【0067】
ユーザ調整コードAC=2であれば(ステップA8で「2」)、補正特性生成部12B2は、映像輝度判別部12B1による映像の平均輝度の判別結果を読み込む(ステップA9b)。
補正特性生成部12B2は、平均輝度が暗ければ(ステップA9bでYes)、グループG3の補正特性を読み込み(ステップA10c)、平均輝度が明るければ(ステップA9bでNo)、グループG4の補正特性を読み込む(ステップA10d)。
【0068】
補正特性生成部12B2は、求めた補正量を、映像信号変調部12B4に出力する(ステップA11)。
【0069】
映像信号変調部12B4は、補正特性生成部12B2からの映像信号の変調補正量に従って、デコード部12Aが出力した映像信号を変調する。映像信号変調部12B4は、変調した映像信号を、映像合成処理部12Cに出力する(ステップA12)。
【0070】
第1制御11部は、ピクトの画像情報を、映像合成処理部12Cに送信する(ステップB7)。
【0071】
映像合成処理部12Cは、i)第1制御部11からのピクト信号、ii)高画質化処理部12Bからの変調された映像信号、iii)デコード部12Aからの字幕データ信号、を合成して、1枚の画像フレームPFを生成する。映像合成処理部12Cは、合成した画像データ信号を画面表示部15に送信する(ステップA13)。
【0072】
第2制御部12は、画面表示部15への画像表示とスピーカ16からの音声出力を同期を取って実行するために、音声出力指示信号を第1制御部11に送信する(ステップA14)。第1制御部11は、デジタルオーディオ信号をDAC16に送信する(ステップB8)。DAC16は、デジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換して、スピーカ17に出力する。
【0073】
スピーカ17は、コンテンツの音声信号を出力する(ステップB9)。画面表示部15は、コンテンツの映像を画面に出力する(ステップA15)。
これにより、ユーザは高画質化処理の施された映像信号のコンテンツを視聴できる。
【0074】
本発明の実施形態が適用される高画質化処理部12Bによる映像補正は、γ補正に限られず、色相や彩度に対する補正であっても、それらを組合わせた補正であってもよい。
【0075】
本発明の実施形態が適用される高画質化処理部12Bが、表示階調を変調する映像信号は、デコード部12Aから出力された映像信号だけでなく、例えば、第1制御部11から出力された映像信号、静止画や動画を撮影するカメラからの映像信号入力、家庭用VTRやDVDプレーヤ等の映像信号出力機能を備えた装置からの映像信号、であってもよい。更に、図3の外部記録メディア20に記録した映像信号であってもよい。
【0076】
第1制御部11から第2制御部12に送信される映像信号の型式は、水平、垂直の同期信号、ドットクロックを使用してもよい。
また、第1制御部11が映像信号専用のインターフェースを備えているときは、映像信号専用インターフェースを使用してもよい。映像信号専用インターフェースは、i)非同期型、ii)水平、垂直の同期信号及びドットクロックを使用する同期型、iii)差動シリアル型、のいずれであってもよい。
【0077】
本発明の実施形態が適用される第1制御部11は、BB−CPU(Baseband CPU)から構成されてもよい。また、第1制御部11は、出力するピクト信号を、第2制御部12を介さずに直接、画面表示部15に供給してもよい。
【0078】
第2制御部12を介する場合は、第2制御部12内部のCPUコア部分または、周辺回路部で非同期型を同期型に変換してもよいし、差動シリアルに変換して画面表示部15に出力してもよい。また、第2制御部12内部の非同期型から同期型、さらに、差動シリアルへの画像信号フォーマット変換部は、第2制御部12内部ら切り出して外付LCDコントローラとしてもよい。
【0079】
本発明の実施形態では、第1制御部11は、第2制御部12へ、図形化されたピクトの情報を送信した。
しかし、第1制御部11が、ピクトの情報を図形化する前のコード状態にて、第2制御部12に送信してもよい。この場合、第2制御部12が、ピクトを図形化して、高画質化処理部12Bを介さずに、映像合成処理部12Cにピクトアイコン情報を出力してもよい。
【0080】
本発明の実施形態は、第1制御部11が、チューナ14や外部記録メディア20のインターフェースを備えて、バス22を介して、画像信号等を第2制御部12に送信してもよい。なお、第2制御部12を、第1制御部11と同一のチップ上に、混載またはスタック形式で設けてもよい。
【0081】
本発明の実施形態が適用されるチューナは、地上デジタル放送に限られることなく、BS(Broadcast Satellite)放送、CS(Communication Satellite)放送、アナログテレビ放送に対応したチューナであってもよい。
【0082】
その他、本発明の概念は、携帯電話装置に限らず、例えば、PHS、PDA(Personal Digital Assistants)、電子カメラ、電子腕時計、ノート型PC、携帯型TV、携帯型映像記録装置・再生装置、カーナビゲーション装置、であっても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に従った携帯電話装置を開いた状態を、正面から見た外観図である。
【図2】本発明に従った携帯電話装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に従った携帯電話装置の第2制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図4】ITU-R BT.709で定めるγ=2.2のγ特性と、本発明に従った携帯端末装置の表示装置のγ特性と、を示すグラフである。
【図5】補正値テーブルに格納される、第1の補正特性による映像信号が指示する階調の対応を示す表である。
【図6】補正値テーブルに格納される、第2及び第3の補正特性による映像信号が指示する階調を変調するときの、相対的補正量を示す表である。
【図7】補正値テーブルに格納されている、画像信号に含まれる入力階調と、映像信号変調部に送信する入力階調と、の相対的補正量を示すグラフである。
【図8】(a)は、第1制御部から、第2制御部に送信される、ピクトアイコンの画像を示す図である。(b)は、デコード部から、映像輝度判別部、映像信号変調部に送信される、高画質化処理前の画像データの画像フレームを示す図である。(c)は、デコーダ部から画面合成処理部に送信される、字幕データの画像フレームを示す図である。(d)は、映像信号変調部が高画質化処理を行い、画面合成処理部に送信する、画像データの画像フレームを示す図である。(e)は、合成処理部が、図8(a)、(d)、(c)のデータを全て合成して、画面表示部に送信する、画像データの画像フレームを示す図である。
【図9】本発明に従った携帯電話装置が、コンテンツを再生する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
11・・・第1制御部、11A・・・認証部、12・・・第2制御部、12A・・・デコード部、12B・・・高画質化処理部、12B1・・・映像輝度判別部、12B2 補正特性生成部、12B3・・・補正値テーブル、12B4・・・映像信号変調部、12C・・・映像合成処理部、13・・・記憶部、14・・・チューナ、14A・・・アンテナ、15・・・画面表示部、16・・・DAC、17・・・スピーカ、18・・・通信部、18A・・・アンテナ、19A・・・音声マイク、19B・・・音声スピーカ、20・・・外部記録メディア、21・・・キー操作部、22・・・バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの映像信号を受信し映像信号を復調して出力するチューナと、
ピクト画像の表示制御を含むピクト信号を出力するピクト信号出力手段と、
前記チューナから出力された前記映像信号を、該映像信号が指示する表示階調を予め定められた基準に従って変更するように、変調する階調変調手段と、
前記階調変調手段で変調された映像信号と、前記ピクト信号とを受け取り、前記映像信号が定義する画像と前記ピクト信号が定義するピクト画像とが重畳された画像に対応する画像信号を出力する画像信号出力手段と、
前記画像信号出力手段が出力した画像信号を画面に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする携帯型電子装置。
【請求項2】
前記階調変調手段は、前記映像信号が定義する画像の平均階調を判別する手段と、判別した平均階調と基準階調とに基づいて、平均階調を増加又は減少するように、映像信号を変調する、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子装置。
【請求項3】
前記表示手段は、該表示手段の入力信号が指示する表示階調と実際に表示される明るさに関して固有のγ特性を有し、
前記階調変調手段は、変調前の映像信号が指示する階調と前記表示手段に表示される明るさとの関係が、所定のγ特性となるように、前記固有のγ特性に基づいて、前記映像信号を変調する、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子装置。
【請求項4】
前記階調変調手段は、前記映像信号を変調する量を、前記表示手段のγ特性に基づいて設定された第1の補正特性と、映像の輝度の明暗に対応して設定された第2の補正特性と、ユーザが設定した第3の補正特性と、のいずれかに基づいて定める、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯型電子装置。
【請求項5】
この携帯型電子装置のユーザを判別するユーザ判別手段と
ユーザ別に基準表示階調を記憶する基準記憶手段と、を更に備え、
前記階調変調手段は、前記映像信号が定義する画像の平均階調を判別する手段と、判別した平均階調と、ユーザ判別手段が判別したユーザ用の基準表示階調とに基づいて、表示画像の平均階調が基準表示階調に一致するように、映像信号を変調する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型電子装置。
【請求項6】
表示装置と第1の制御回路と第2の制御回路と、コンテンツの映像信号を受信し映像信号を復調して出力するチューナと、を備える携帯型電子装置であって、
前記表示装置は、固有のγ特性を有し、
第1の制御回路は、通信を制御する手段と、前記表示装置固有のγ特性を所定のγ特性に修正するために入力映像信号に施す補正量を示す補正情報を格納する補正情報格納手段と、前記格納手段に格納されている補正情報を前記第2の制御回路に送信する補正情報送信手段と、ピクト画像の表示制御を含むピクト信号を出力するピクト信号出力手段と、を備え、
前記第2の制御回路は、前記チューナが出力した該映像信号を受け取って、入力し、該映像信号を高画質化するための信号処理と、前記第1の制御回路から供給された補正情報に基づく補正処理と、を入力した該映像信号に施す信号処理手段と、前記信号処理手段で処理された該映像信号と、前記ピクト信号とを受け取り、前記映像信号が定義する画像と前記ピクト信号が定義するピクト画像とが重畳された画像に対応する画像信号を出力する画像信号出力手段と、前記画像信号出力手段が出力した画像信号を前記表示装置に供給する供給手段と、を備える、ことを特徴とする携帯型電子装置。
【請求項7】
コンピュータに、
チューナが復調して、出力した映像信号を、該映像信号が指示する表示階調を予め定められた基準に従って変更するように、変調する機能と、
ピクト画像の表示制御を含むピクト信号を出力する機能と、
前記階調変調手段で変調された映像信号が定義する画像と、ピクト信号が定義するピクト画像と、を重畳する機能と、
重畳された画像に対応する画像信号を出力する機能と、を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−76718(P2008−76718A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255452(P2006−255452)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】