携帯型RFIDリーダ
【課題】直線偏波の電波を放射するアンテナを用いて無線通信を行う携帯型RFIDリーダにおいて、無線通信媒体の読み取りを良好に行うことができ、且つ電力消費を効果的に低減し得る構成を提供する。
【解決手段】携帯型RFIDリーダ1は、直線偏波の電波を放射するアンテナ40を備えており、更に、アンテナ40から放射される電波の偏波面と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾斜センサ17と、傾斜センサ17によって検出された値に基づいて、アンテナ40を介して送信される電波の送信出力及びアンテナ40を介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整する調整手段とを備えている。
【解決手段】携帯型RFIDリーダ1は、直線偏波の電波を放射するアンテナ40を備えており、更に、アンテナ40から放射される電波の偏波面と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾斜センサ17と、傾斜センサ17によって検出された値に基づいて、アンテナ40を介して送信される電波の送信出力及びアンテナ40を介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整する調整手段とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型RFIDリーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、RFIDタグ(無線通信媒体)を読み取るRFIDリーダとして、携帯型のものが広く提供されている。この種の携帯型RFIDリーダは、様々な場所に持ち運んで使用することを可能とするため、一般的には充電可能な電池を搭載しており、長時間の駆動を可能とし、且つ電池等の劣化を極力抑制するため、消費電力の低減が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−528526公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような携帯型RFIDリーダでは、アンテナとして、小型且つ安価に構成し得る直線偏波型のアンテナが用いられることが多い。しかしながら、この種のアンテナは、読み取りの精度が偏波面と無線通信媒体(RFIDタグ等)との位置関係に左右されやすく、例えば無線通信媒体が静止状態のときには端末の傾き加減によって読み取り易さが変化するという問題がある。
【0005】
このような問題を解消する方法としては、例えば、偏波面と無線通信媒体(RFIDタグ等)とが読み取りに不利な位置関係となった場合であっても、ある程度読み取ることができるように電波の出力レベルや受信感度を常に高めに設定することが考えられる。しかしながら、このように出力レベルや受信感度を常に高く設定すると、多大な電力消費を招き、電池の消耗を著しく早めてしまうという問題がある。この点は、内蔵電池によって駆動する携帯型RFIDリーダでは特に問題となるため、他の解決方法が望まれる。
【0006】
一方、上記課題に関連する技術としては、特許文献1のようなものが提供されている。この技術では、傾きセンサによって水平面に対するアンテナの傾きを検出しており、検出された傾きが所定範囲に存在する場合のみ、読取処理を実行している。しかしながら、この技術では、傾きが所定範囲にない場合には読取処理が行われないため、省電力化を図ることができる一方で、読み取り易さは低下させてしまうという問題がある。即ち、偏波面と無線通信媒体(RFIDタグ等)とが読み取りに不利な位置関係となる場合の読み取り精度を向上し得るものではない。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、直線偏波の電波を放射するアンテナを用いて無線通信を行う携帯型RFIDリーダにおいて、無線通信媒体の読み取りを良好に行うことができ、且つ電力消費を効果的に低減し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、携帯型RFIDリーダに係るものであり、直線偏波の電波を放射するアンテナと、前記アンテナを保持するケースと、前記ケース内に収容され、前記ケース内の電気部品に電力を供給する電池と、前記アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線通信媒体を読み取る通信手段と、前記アンテナから放射される電波の偏波面と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、前記傾き検出手段によって検出された値に基づいて、前記アンテナを介して送信される電波の送信出力及び前記アンテナを介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整する調整手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯型RFIDリーダであって、前記調整手段は、前記水平方向又は前記水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、前記アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第1閾値以上のときに前記送信出力を最大レベル又は前記受信感度を最高レベルに設定し、前記第1閾値未満のときには前記送信出力を前記最大レベルよりも小さく設定、又は前記受信感度を前記最高レベルよりも小さく設定している。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の携帯型RFIDリーダであって、前記調整手段は、前記水平方向又は前記水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、前記アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第2閾値未満のときに前記送信出力又は前記受信感度を最小レベルに設定し、前記第2閾値以上のときには前記送信出力又は前記受信感度を前記最小レベルよりも大きく設定している。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の携帯型RFIDリーダであって、前記調整手段は、前記基準方向と前記偏波面とのなす角度が大きくなるにつれて段階的に前記送信出力又は前記受信感度を大きく設定している。
【0012】
請求項5の発明は、携帯型RFIDリーダに係るものであり、それぞれのアンテナが直線偏波の電波を放射する構成をなし、各アンテナの偏波面の向きが他のアンテナの偏波面の向きと異なるように設定された複数のアンテナと、複数の前記アンテナを保持するケースと、前記ケース内に収容され、前記ケース内の電気部品に電力を供給する電池と、前記アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線通信媒体を読み取る通信手段と、前記ケースの所定方向と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、前記傾き検出手段によって検出された値に基づいて使用するアンテナを切り替えるアンテナ切替手段と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5に記載の携帯型RFIDリーダであって、前記複数のアンテナは、所定の向きの偏波面が設定される第1のアンテナと、前記第1のアンテナの偏波面と直交する方向の偏波面が設定される第2のアンテナとからなり、前記アンテナ切り替え手段は、前記傾き検出手段によって検出された値に基づき、使用するアンテナを前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナのいずれかに切り替えている。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の携帯型RFIDリーダであって、前記ケースが長手状に構成され、前記アンテナが、前記ケースの長手方向一端側に配置されている。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の携帯型RFIDリーダであって、更に、前記ケースに保持される表示部と、前記傾き検出手段によって検出された値に応じて変化する電波制御状態に関する情報を前記表示部に表示させる表示制御手段とが設けられている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、直線偏波の電波を放射するアンテナが用いられ、アンテナから放射される電波の偏波面と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、傾き検出手段によって検出された値に基づいて、アンテナを介して送信される電波の送信出力及びアンテナを介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整する調整手段とが設けられている。この構成によれば、小型且つ安価な直線偏波型のアンテナを用いることができる。更に、アンテナから放射される電波の偏波面が水平方向に対しでどのような角度となってるかを把握した上で、電波の送信出力或いは電波の受信感度を調整することができるため、RFIDタグが水平方向に対して所定の位置関係で配置されていることが想定される場合に偏波面とRFIDタグとの位置関係に基づいて電波の送信出力或いは電波の受信感度を適切に調整しやすくなる。
【0017】
請求項2の発明では、水平方向又は水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第1閾値以上のときに送信出力を最大レベル又は受信感度を最高レベルに設定し、第1閾値未満のときには送信出力を最大レベルよりも小さく設定、又は受信感度を最高レベルよりも小さく設定している。
このようにすると、偏波面が水平方向又は基準方向に対して第1閾値以上の角度で傾斜したときに通信し難くなる位置関係でRFIDタグが配置されている場合(例えば、RFIDタグが水平方向又は基準方向に沿うようなタグ配置の場合)に送信出力又は受信感度を適切に制御できる。例えば、上記タグ配置のときに偏波面が水平方向に対して第1閾値以上となるようにRFIDタグリーダが配置されたときには(即ち、通信が良好に行われにくいときには)、送信出力を最大レベル又は受信感度を最高レベルに設定して通信が良好に行われやすくすることができる。逆に、上記タグ配置のときに偏波面が水平方向に対して第1閾値未満となるようにRFIDタグリーダが配置されたときには(即ち、通信が良好に行われやすいときには)、送信出力を最大レベルよりも小さく設定、又は受信感度を最高レベルよりも小さく設定し、消費電力を抑えることができる。
【0018】
請求項3の発明では、水平方向又は水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第2閾値未満のときに送信出力又は受信感度を最小レベルに設定し、第2閾値以上のときには送信出力又は受信感度を最小レベルよりも大きく設定している。
このようにすると、偏波面が水平方向又は基準方向に対して第2閾値以上の角度で傾斜したときに通信し難くなる位置関係でRFIDタグが配置されている場合(例えば、RFIDタグが水平方向又は基準方向に沿うようなタグ配置の場合)に送信出力又は受信感度を適切に制御できる。例えば、上記タグ配置のときに偏波面が水平方向に対して第2閾値以上となるようにRFIDタグリーダが配置されたときには(即ち、通信が良好に行われにくいときには)、送信出力又は受信感度を最小レベルよりも大きく設定して通信が良好に行われやすくすることができる。逆に、上記タグ配置のときに偏波面が水平方向に対して第2閾値未満となるようにRFIDタグリーダが配置されたときには(即ち、通信が良好に行われやすいときには)、送信出力又は受信感度を最小レベルに設定し、消費電力を抑えることができる。
【0019】
請求項4の発明では、基準方向と偏波面とのなす角度が大きくなるにつれて段階的に送信出力又は受信感度を大きく設定している。このようにすると、偏波面と水平方向又は基準方向とのなす角度が大きくなるにつれて通信し難くなる位置関係でRFIDタグが配置されている場合(例えば、RFIDタグが水平方向又は基準方向に沿うようなタグ配置の場合)に、通信し難くなるにつれて段階的に送信出力又は受信感度を上げることができる。
【0020】
請求項5の発明は、各アンテナの偏波面の向きが他のアンテナの偏波面の向きと異なるように設定された複数の直線偏波型のアンテナが用いられている。そして、ケースの所定方向と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、傾き検出手段によって検出された値に基づいて使用するアンテナを切り替えるアンテナ切替手段とが設けられている。
この構成によれば、小型且つ安価な直線偏波型のアンテナを用いることができる。特に、RFIDタグが水平方向に対して所定の向きに配置されている場合、ケースが水平方向に対してどのように傾いているかを把握した上で、RFIDタグの配置に適した偏波面のアンテナを使用し易くなり、ひいては、通信が良好に行われ易くなる。
【0021】
請求項6の発明は、複数のアンテナが、所定の向きの偏波面が設定される第1のアンテナと、第1のアンテナの偏波面と直交する方向の偏波面が設定される第2のアンテナとからなり、アンテナ切り替え手段は、傾き検出手段によって検出された値に基づき、使用するアンテナを第1のアンテナ及び第2のアンテナのいずれかに切り替えている。
この構成によれば、アンテナ構成をあまり大掛かりなものとすることなく偏波面が互いに直交する直線偏波型の2つのアンテナによって構成することができ、且つケースが水平方向に対してどのように傾いているかを把握した上で、RFIDタグの配置により適した偏波面のアンテナを使用することができる。
【0022】
請求項7の発明は、ケースが長手状に構成され、アンテナが、ケースの長手方向一端側に配置されている。この構成では、ケースの長手方向他端側を好適に把持することができるようになる。一方、このような把持状態では、例えば大きく振りかざされた場合などにおいて長手方向一端側の角度が大きく変化しやすく、直線偏波型のアンテナを用いると、通信し難くなる状態が発生することが懸念されるが、本発明では、ケースの傾きに応じて使用するアンテナを切り替えることができるため、このような問題を効果的に抑えることができる。
【0023】
請求項8の発明は、更に、ケースに保持される表示部と、傾き検出手段によって検出された値に応じて変化する電波制御状態に関する情報を表示部に表示させる表示制御手段とが設けられている。このようにすると、ユーザが電波制御状態に関する情報を把握することができる。従って、操作時のケースの傾きと電波制御状態を把握することができ、それに応じてケースを適切な傾きに調整し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1(A)は、第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダを概略的に例示する平面図であり、図1(B)はその側面図である。
【図2】図2は、図1の携帯型RFIDリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3は、図2の無線タグ処理部等を具体的に例示するブロック図である。
【図4】図4は、図1の携帯型RFIDリーダによって読み取られる無線タグの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図5】図5は、図1の携帯型RFIDリーダで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図6は、図1の携帯型RFIDリーダを用いて読み取る動作の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、携帯型RFIDリーダの傾きと送信出力(RF出力)との関係を例示するグラフである。
【図8】図8は、携帯型RFIDリーダが垂直方向に沿って配されたときの読み取りの様子を説明する説明図である。
【図9】図9は、携帯型RFIDリーダが水平に近い傾きで配されたときの読み取りの様子を説明する説明図である。
【図10】図10(A)は、第2実施形態に係る携帯型RFIDリーダを概略的に例示する平面図であり、図10(B)はその側面図である。
【図11】図11は、図10の携帯型RFIDリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図12】図12は、図10の携帯型RFIDリーダで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯型RFIDリーダを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(携帯型RFIDリーダの全体構成)
まず、本発明の第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1の全体構成について説明する。なお、図1(A)は、第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダを概略的に例示する平面図であり、図1(B)はその側面図である。図2は、第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3は、図2の無線タグ処理部等を具体的に例示するブロック図である。図4は、第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダによって読み取られる無線タグの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【0026】
図1(A)(B)に例示される携帯型RFIDリーダ1は、長手状の外観をなしており、その一端側のほぼ半分の領域(キー操作部11付近の領域)が把持領域とされ、ユーザによって把持されつつ使用される構成をなしている。この携帯型RFIDリーダ1は、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能と、無線タグとの間で無線通信を行う無線タグリーダとしての機能とを備えており、ユーザによって携帯されて様々な場所で情報コードの読み取りや無線タグとの無線通信を行うことができるように構成されている。
【0027】
図1(A)(B)に示すように、携帯型RFIDリーダ1は長手状のケース2によって外郭が構成されている。このケース2は、各種部品(各種電気部品等)を収容するものであり、例えば樹脂材料などからなる複数のケース体(例えば、上ケース及び下ケースの2つのケース体)によって構成され、これらが結合した箱状形態をなしている。
【0028】
また、図1に示すように、ケース2から露出する形態で様々な部品が取り付けられている。例えば、上面側には、小型液晶表示部などからなる表示部10が設けられると共に、LED表示部や複数個の操作キー11a(数字キーや機能キー等)を有するキー操作部11などが設けられ、側部には、読取指示用のトリガスイッチ7が設けられている。
【0029】
図2に示すように、携帯型RFIDリーダ1のケース2内には、携帯型RFIDリーダ1の各種制御や演算処理等を行う制御部5が設けられている。この制御部5は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU31、メモリ32、タイマ33、システムバス、入出力インターフェース等を有しており、情報処理装置として機能している。更に、制御部5には、後述する無線タグ処理部20が接続されている。
【0030】
無線タグ処理部20は、例えば図3のような構成をなしており、制御部5と協働してRFIDタグ50との間で電磁波による通信を行い、RFIDタグ50に記録された情報の読み取りや、RFIDタグ50に対する情報の書き込みなどを行うように機能している。
【0031】
送信部20aは、符号部21、変調部22、増幅部23などを備えており、図示しないキャリア発振器から所定周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号部21は、制御部5に接続されており、当該制御部5より出力される送信データを符号化して変調部22に出力している。変調部22は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号部21より出力される符号化された送信符号(変調信号)によって例えばASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅部23に出力している。
【0032】
増幅部23は、「送信出力」を調整可能な部分であり、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を、制御部5で指示されたゲインで増幅し、その増幅信号を図示しないフィルタ、整合回路等を介してアンテナ40に出力している。このようにしてアンテナ40に送信信号が出力されると、その送信信号が電磁波として当該アンテナ40より外部に放射されるようになっている。
【0033】
アンテナ40は、直線偏波の電波を放射する直線偏波型のアンテナとして構成されており、ケース2の内部においてこのケース2の所定位置に保持される形態で配置されている。いる。具体的には、例えば、図1のように携帯型RFIDリーダ1の長手方向一方側(把持領域とは反対の表示部10側)において携帯端末1の長手方向Lと直交する幅方向(短手方向)に延びる構成で配置されており、ケース2の長手方向Lと平行な平面方向(より具体的には、携帯端末1の長手方向Lと平行であって、且つ携帯端末1の高さ方向H(図1(B)参照)と平行な平面方向)に沿った偏波面Fが生じるようになっている。なお、図1では、偏波面の面方向を符号Fにて概念的に示しており、アンテナ40はこの方向に偏波面が生じる直線偏波型のアンテナであればどのような種類、構成であってもよい。
【0034】
受信部20bは、増幅部24、復調部25、復号部26などを備えており、アンテナ40によって受信された電波信号が入力される構成をなしている。この受信部20bは、図示しない整合回路を介してアンテナ40からの受信信号が入力され、フィルタ(図示略)によってフィルタリングした後、その受信信号を増幅部24によって増幅している。
【0035】
増幅部24は、「受信感度」を調整可能な部分であり、アンテナ40を介して受信した受信信号(フィルタによってフィルタリングされた受信信号)を、制御部5で指示されたゲインで増幅し、その増幅信号を復調部25に出力している、増幅部24で増幅された増幅信号は復調部25で復調し、その復調された信号波形は図示しない二値化処理部によって二値化した後、復号部26にて復号化する。そして、その復号化された信号を受信データとして制御部5に出力する。また、受信部20bには、電波を発射するチャネルが空いているかを調べるキャリアセンス部27が設けられている。
なお、本実施形態では、上記無線タグ処理部20及び制御部5が「通信手段」の一例に相当し、アンテナ40を介して送受信される電波を媒介としてRFIDタグ50(無線通信媒体)を読み取るように機能する。
【0036】
また、制御部5には、無線タグ処理部20以外に、情報コード読取部6、トリガスイッチ7、LED8、表示部10、キー操作部11、メモリ12、外部インターフェース13、傾斜センサ17などが接続されている。また、ケース2内には、電源となる電池15や、電源回路として構成される電源部16などが設けられており、これらによって制御部5や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0037】
制御部5に接続される傾斜センサ17は、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fと水平方向とのなす角度に応じた値を検出し得るものであり、例えば、鉛直方向に対するケース短手方向の傾斜を検出するように構成されている。この傾斜センサ17は、例えば三軸加速度センサなど、端末の傾斜を検出し得る公知の傾斜センサによって構成され、本実施形態では、例えばケース2の短手方向(図1に示す長手方向L及び高さ方向Hと直交する方向)と鉛直方向とのなす角度θ1が三軸加速度センサの各軸方向の検出値に基づいて検出可能とされている。なお、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の加速度を検出し得る三軸加速度センサを端末内に配置し、この端末の基準方向(例えば短手方向)と鉛直方向とのなす角度を求める技術は公知であるので詳細は省略する。
【0038】
本実施形態では、後述する偏波面Fの面方向がケース2の短手方向(図1に示す長手方向L及び高さ方向Hと直交する方向)と平行となるようにアンテナ40が配置されているため、ケース2の短手方向と鉛直方向とのなす角度θを求めれば、偏波面Fと鉛直方向とのなす角度θ1及び偏波面Fと水平方向とのなす角度θ2を求めることができる。
【0039】
なお、傾斜センサ17からの出力(例えば三軸加速度センサの各軸方向の出力)は、図示しない増幅回路によって増幅された後、A/Dコンバータによってデジタル信号に変換され、この信号が制御部5に入力されるようになっている。そして、この入力された検出値に基づいて制御部5が偏波面Fと水平方向とのなす角度θ2を算出している。
【0040】
(RFIDタグの構成)
次に、本実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1で読み取られるRFIDタグ50について説明する。
図4に示すように、RFIDタグ50は、アンテナ51,電源回路52,復調回路53,制御回路54,メモリ55,変調回路56などによって構成されている。電源回路52は、アンテナ51を介して受信した携帯型RFIDリーダ1からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路54をはじめとする各構成要素に供給している。
【0041】
また、復調回路53は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路54に出力している。メモリ55は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラムやRFIDタグ50を識別するための識別情報(タグID)、或いはRFIDタグ50の用途に応じたデータなどが記憶されている。制御回路54は、メモリ55から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路56に出力する構成をなしており、変調回路56は、キャリア信号を当該送信データで負荷変調してアンテナ51から反射波として送信するように構成されている。
【0042】
また、本実施形態で用いられるRFIDタグ50は、全体として長手状に構成されており、例えば、図6のように、RFIDタグ50自身の長手方向(以下、タグ方向ともいう)と水平方向(鉛直方向に対して直交する方向)とのなす角度が所定角度となるように配置されるようになっている。なお、図6の例では、箱状のコンテナCnの前面において横方向に延びるようにRFIDタグ50が取り付けられており、コンテナCnの底面の方向とタグ方向とが略同方向となっている。つまり、コンテナCnを水平面に載置したときにRFIDタグ50の長手方向(タグ方向)が水平方向に沿うように取り付けられている。
【0043】
(非接触通信処理)
次に、本実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1によって行われる非接触通信処理(RFID通信処理)について説明する。図5は、図1の携帯型RFIDリーダで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。図6は、図1の携帯型RFIDリーダを用いて読み取る動作の一例を示す説明図である。図7は、携帯型RFIDリーダの傾きと送信出力(RF出力)との関係を例示するグラフである。図8は、携帯型RFIDリーダが垂直方向に沿って配されたときの読み取りの様子を説明する説明図である。図9は、携帯型RFIDリーダが水平に近い傾きで配されたときの読み取りの様子を説明する説明図である。
【0044】
図5に示す通信処理は、例えば、所定物品に付されたRFIDタグ50を読み取るときに行うものであり、以下の説明では、図6のように配されたRFIDタグ50を読み取る場合を代表例として説明する。なお、図6の例では、上述したように箱状のコンテナCnの前面において横方向に延びるようにRFIDタグ50が取り付けられており、各コンテナCnに取り付けられるRFIDタグ50の長手方向(タグ方向)がほぼ水平方向となっている。また、以下の例では、図6のように携帯端末1の高さ方向Hが略水平方向に維持された状態で上下に操作される場合を代表例として説明する。
【0045】
図5の通信処理は、例えば、トリガスイッチ7が押圧されたときに開始され、まず、傾斜角度を検出する処理を行う(S1)。このS1の処理では、傾斜センサ17の検出値に基づいて、上述した角度θ2(偏波面Fと水平方向とのなす角度)を算出する。
【0046】
本実施形態では、上述したように携帯端末1の長手方向L且つ高さ方向Hと平行な方向の偏波面Fが生じるようになっているため、例えば図8のように、ケース2の長手方向Lが鉛直方向と平行の場合には、偏波面Fと鉛直方向とのなす角θ1は0°となり、偏波面Fと水平方向とのなす角度θ2は90°となる。逆に、図9のように、ケース2の長手方向Lが水平方向に近くなる場合には、偏波面Fと水平方向とのなす角θ2は0°に近づく。なお、図9では、偏波面Fと水平面(水平方向に延びる仮想面)とのなす角度θ2が20°の例を示している。また、図8、図9では、携帯端末1の高さ方向H(図1(B))が水平方向に維持されることを前提として説明している。
【0047】
そして、得られたθ2の値に基づいて送信出力(RF出力)の制御値を算出する。具体的には、図7に示すように、上記θ2が0°以上であって所定の第2閾値θa(例えばθaは30°)未満であるとき(図9のような場合)には、アンテナ40に供給するRF信号の振幅がP1レベルとなるように増幅部23のゲインG1に決定する。このように、偏波面Fが水平に近い場合には、偏波面Fの方向が水平方向に延びるRFIDタグ50の方向に近く、通信しやすい関係といえるため、アンテナ40からの出力レベルを小レベルに設定して省電力化を図っている。
【0048】
また、上記θ2が第2閾値θa以上であって第1閾値θb(例えばθbは60°)未満であるときには、アンテナ40に供給するRF信号の振幅がP2レベルとなるように増幅部23のゲインをG1よりも高いG2に決定する。このような状態(第2状態)の場合、上記θ2が第2閾値θa未満の場合(第1状態)と比較して、水平方向に対する偏波面Fの傾斜が大きくなり、上記第1状態と比較してやや通信しにくい関係となる、従って、アンテナ40からの出力レベルを上記第1状態のときのレベル(小レベル)よりも大きく設定し、通信状態の向上を図っている。
【0049】
また、上記θ2が所定閾値θb以上であって90°以下であるとき(図8のような場合)には、アンテナ40に供給するRF信号の振幅がP3レベルとなるように増幅部23のゲインをG2よりも高いG3に決定する。このような状態(第3状態)の場合、上記θ2が第2閾値θa未満の場合(第1状態)や、第2閾値θa以上であって第1閾値θb未満の場合(第2状態)と比較して、水平方向に対する偏波面Fの傾斜がより大きくなり、上記第1状態や第2状態と比較して通信性が一層低下する。従って、アンテナ40からの出力レベルを上記第2状態のときのレベル(中レベル)よりもさらに大きいレベル(大レベル)に設定し、通信状態の一層の向上を図っている。
【0050】
そして、図5のS2で制御値(上記代表例ではゲインの指示値)を決定した後には、その決定された制御値を指示する信号を無線タグ処理部20に対して送信する(S3)。具体的には、制御部5から増幅部23に対し、S2で決定されたゲインの値を指示する。これにより、増幅部23では、指示されたゲインの値で増幅がなされ、θ2の大きさに応じた送信出力に設定されることとなる。そして、このように送信出力が設定された状態でRFIDタグ50に対する電波の送受信処理を行い、この電波を媒介としてRFIDタグ50の読み取りや書き込みを行う(S4)。
【0051】
なお、上記代表例では、傾斜センサ17によって検出された値に基づいて得られたθ2に応じて電波の送信出力を調整していたが、θ2に応じて電波の受信感度を調整するようにしてもよい。この調整方法は、S2、S3の処理を若干変更すれば可能である。例えば、上記θ2が0°以上であって所定の第2閾値θa未満であるとき(第1状態のとき)には、増幅部24のゲインを所定の小レベルG4に決定する。つまり、偏波面Fが水平に近く通信しやすい関係の場合には、増幅部24のゲインを低く設定することで受信感度を抑え、省電力化を図っている。
【0052】
また、上記θ2が第2閾値θa以上であって第1閾値θb未満であるとき(第2状態のとき)には、増幅部24のゲインをG4よりも大きい中レベルG5に決定する。つまり、第1状態と比較して、水平方向に対する偏波面Fの傾斜が大きく、上記第1状態と比較してやや通信しにくい関係となった場合には、増幅部24のゲインを第1状態のときのG4(小レベル)よりも大きく設定し、通信状態の向上を図っている。
【0053】
また、上記θ2が所定閾値θb以上であって90°以下であるとき(第3状態のとき)には、増幅部24のゲインをG5よりも大きい大レベルG6に決定する。つまり、第2状態と比較して、水平方向に対する偏波面Fの傾斜がより大きく、上記第2状態と比較して一層通信しにくい関係となった場合には、増幅部24のゲインを第2状態のときのG5(中レベル)よりもさらに大きく設定し、通信状態の一層の向上を図っている。
【0054】
なお、本実施形態では、S2、S3の処理を行う制御部5が「調整手段」の一例に相当し、傾斜センサ17によって検出された値に基づいて、アンテナ40を介して送信される電波の送信出力及びアンテナ40を介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整するように機能する。
具体的には、水平方向を基準方向としたときの当該基準方向と、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fとのなす角度θ2が所定の第1閾値θb以上のときに送信出力を最大レベルに設定し、第1閾値θb未満のときには送信出力を最大レベルよりも小さく設定している。また、上記基準方向(水平方向)と、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fとのなす角度θ2が所定の第2閾値θa未満のときに送信出力を最小レベルに設定し、第2閾値θa以上のときには送信出力を最小レベルよりも大きく設定している。そして、基準方向(水平方向)と偏波面Fとのなす角度θ2が大きくなるにつれて段階的に送信出力を大きく設定している。
【0055】
(第1実施形態の主な効果)
第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1は、直線偏波の電波を放射するアンテナ40が用いられ、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fと水平方向とのなす角度θ2に応じた値を検出する傾斜センサ17と、傾斜センサ17によって検出された値に基づいて、アンテナ40を介して送信される電波の送信出力及びアンテナ40を介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整する調整手段とが設けられている。この構成によれば、小型且つ安価な直線偏波型のアンテナ40を用いることができる。更に、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fが水平方向に対しでどのような角度となってるかを把握した上で、電波の送信出力或いは電波の受信感度を調整することができるため、RFIDタグ50が水平方向に対して所定の位置関係で配置されていることが想定される場合に偏波面FとRFIDタグ50との位置関係に基づいて電波の送信出力或いは電波の受信感度を適切に調整しやすくなる。
【0056】
また、本実施形態では、水平方向を基準方向としたときの当該基準方向と、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fとのなす角度θ2が所定の第1閾値θb以上のときに送信出力を最大レベル又は受信感度を最高レベルに設定し、第1閾値θb未満のときには送信出力を最大レベルよりも小さく設定、又は受信感度を最高レベルよりも小さく設定している。
このようにすると、偏波面Fが水平方向に対して第1閾値θb以上の角度で傾斜したときに通信し難くなる位置関係でRFIDタグ50が配置されている場合(例えば、図6のようにRFIDタグ50が水平方向に沿うようなタグ配置の場合)に送信出力又は受信感度を適切に制御できる。例えば、上記水平方向のタグ配置のときに、図8のように偏波面Fが水平方向に対して第1閾値θb以上となるように携帯型RFIDタグリーダ1が配置されたときには(即ち、通信が良好に行われにくいときには)、送信出力を最大レベル又は受信感度を最高レベルに設定して通信が良好に行われやすくすることができる(図6のE1も参照)。逆に、上記水平方向のタグ配置のときに、図9のように偏波面Fが水平方向に対して第1閾値θb未満となるように携帯型RFIDタグリーダ1が配置されたときには(即ち、通信が良好に行われやすいときには)、送信出力を最大レベルよりも小さく設定、又は受信感度を最高レベルよりも小さく設定し、消費電力を抑えることができる(図6のE2も参照)。
【0057】
また、本実施形態では、水平方向を基準方向としたときの当該基準方向と、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fとのなす角度θ2が所定の第2閾値θa未満のときに送信出力又は受信感度を最小レベルに設定し、第2閾値θa以上のときには送信出力又は受信感度を最小レベルよりも大きく設定している。
このようにすると、偏波面Fが水平方向に対して第2閾値θa以上の角度で傾斜したときに通信し難くなる位置関係でRFIDタグ50が配置されている場合(例えば、図6のようにRFIDタグ50が水平方向に沿うようなタグ配置の場合)に送信出力又は受信感度を適切に制御できる。例えば、上記水平方向のタグ配置のときに、図8のように偏波面Fが水平方向に対して第2閾値θa以上となるようにRFIDタグリーダ1が配置されたときには(即ち、通信が良好に行われにくいときには)、送信出力又は受信感度を最小レベルよりも大きく設定して通信が良好に行われやすくすることができる(図6のE1も参照)。逆に、上記水平方向のタグ配置のときに、図9のように偏波面Fが水平方向に対して第2閾値θa未満となるようにRFIDタグリーダ1が配置されたときには(即ち、通信が良好に行われやすいときには)、送信出力又は受信感度を最小レベルに設定し、消費電力を抑えることができる(図6のE2も参照)。
【0058】
また、本実施形態では、水平方向(基準方向)と偏波面Fとのなす角度θ2が大きくなるにつれて段階的に送信出力又は受信感度を大きく設定している。このようにすると、偏波面と水平方向とのなす角度θ2が大きくなるにつれて通信し難くなる位置関係でRFIDタグ50が配置されている場合(例えば、図6のようにRFIDタグ50が水平方向又は基準方向に沿うようなタグ配置の場合)に、通信し難くなるにつれて段階的に送信出力又は受信感度を上げることができる。
【0059】
また、本実施形態では、ケース2が長手状に構成され、アンテナ40が、ケース2の長手方向一端側に配置されている。この構成では、ケース2の長手方向他端側を好適に把持することができるようになる。一方、このような把持状態では、例えば図6のように大きく振りかざされた場合などにおいて長手方向一端側の角度が大きく変化しやすく、直線偏波型のアンテナ40を用いると、通信し難くなる状態が発生することが懸念されるが、本発明では、ケース2の傾きに応じて使用するアンテナ40を切り替えることができるため、このような問題を効果的に抑えることができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
図10(A)は、第2実施形態に係る携帯型RFIDリーダを概略的に例示する平面図であり、図10(B)はその側面図である。図11は、図10の携帯型RFIDリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図12は、図10の携帯型RFIDリーダで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【0061】
第2実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1は、ハードウェア的には、直線偏波型のアンテナを2つ設けた点、アンテナを切り替える切替回路を設けた点、この切替回路を制御部5によって制御できるようにした点のみが第1実施形態の構成(図1〜図4)と異なり、それ以外は第1実施形態の構成(図1〜図4)と同様である。よって同様の部分については、第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明は省略し、異なる部分について重点的に説明することとする。特に、電池15や傾斜センサ17の構成、制御部5による「通信手段」としての機能は第1実施形態と同様である。
【0062】
図10に示すように、本実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1では、直線偏波の電波を放射する構成をなし、所定の向きの偏波面F1が設定される第1のアンテナ40aと、同じく直線偏波の電波を放射する構成をなし、第1のアンテナ40aの偏波面F1と直交する方向の偏波面F2が設定される第2のアンテナ40bとを備えており、これらアンテナ40a、40bが第1実施形態と同様のケース2に保持されている。
【0063】
図10に示すように、第1のアンテナ40aは、ケース1の長手方向一方側(把持領域とは反対の表示部10側)において、ケース2の長手方向Lに沿うように配置されており、長手方向Lと直交する偏波面F1が生じるように構成されている。一方、第2のアンテナ40bは、ケース1の長手方向一方側(把持領域とは反対の表示部10側)において、ケース2の長手方向Lと直交するように(長手方向L及び高さ方向Hと直交する短手方向(幅方向)に沿うように)配置されており、上記短手方向と直交する偏波面F2が生じるように構成されている。なお、第2のアンテナ40bの構成及び偏波面F2は、第1実施形態のアンテナ40及び偏波面Fと同様である。
【0064】
また、図11に示すように、アンテナ切替回路200が設けられており、このアンテナ切替回路200は、送信部20a及び受信部20b側にそれぞれ接続されるライン29を、第1のアンテナ30a及び第2のアンテナ40bのいずれに接続するかを切り替える切り替えスイッチによって構成されており、制御部5からの指示(制御信号)に応じてライン29へ接続するアンテナを切り替え、有効化するアンテナを選択している。
【0065】
本実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1では、図12のような流れで非接触通信処理(RFID通信処理)が行われるようになっている。この図12の通信処理も、例えば、図6のように配されたRFIDタグ50を読み取る処理として行うことができ、図6の例では、上述したように箱状のコンテナCnの前面において横方向に延びるようにRFIDタグ50が取り付けられており、各コンテナCnに取り付けられるRFIDタグ50の長手方向(タグ方向)がほぼ水平方向となっている。
【0066】
図12の通信処理は、例えば、トリガスイッチ7が押圧されたときに開始され、まず、傾斜角度を検出する処理を行う(S21)。このS21の処理は、図5のS1と同様であり、傾斜センサ17の検出値に基づいて偏波面F2と水平方向とのなす角θ12を取得する。本実施形態では、偏波面F2は、短手方向(長手方向L及び高さ方向Hと直交する方向)と直交する方向で生じるようになっているため、図8のように、ケース2の短手方向が鉛直方向と直交する場合には、偏波面F2と水平方向とのなす角θ12は90°となる。逆に、図9のようにケース2の短手方向が鉛直方向と平行に近づく場合には、偏波面F2と水平方向とのなす角θ12は0°に近づく。なお、この例でも、ケース2の高さ方向Hが略水平方向に維持された状態で操作されることを前提としている。
【0067】
そして、S21で得られたθ12に基づいて使用アンテナを決定する(S22)。具体的にはθ12が45°未満の場合には、第2のアンテナ40bの偏波面F12の方向がRFIDタグ50の方向に近づくため、第2のアンテナ40bを選択する。一方、θ12が45°以上の場合には、第1のアンテナ40aの偏波面F11の方向がRFIDタグ50の方向に近づくため、第1のアンテナ40aを選択する。
【0068】
S22で使用アンテナを決定した後には、その決定されたアンテナを有効化するように制御部5からアンテナ切替回路200に制御信号を出力し、選択されたアンテナを動作させる。
なお、本実施形態では、制御部5及びアンテナ切替回路200が「アンテナ切替手段」の一例に相当し、傾斜センサ17によって検出された値に基づいて使用するアンテナ40を切り替えるように機能する。
【0069】
(第2実施形態の主な効果)
第2実施形態の構成によれば、小型且つ安価な直線偏波型のアンテナ40を用いることができる。特に、RFIDタグ50が水平方向に対して所定の向きに配置されている場合、ケース2が水平方向に対してどのように傾いているかを把握した上で、RFIDタグ50の配置に適した偏波面のアンテナ40を使用し易くなり、ひいては、通信が良好に行われ易くなる。
【0070】
また、本実施形態では、所定の向きの偏波面F1が設定される第1のアンテナ40aと、第1のアンテナ40aの偏波面F1と直交する方向の偏波面F2が設定される第2のアンテナ40bとを備え、アンテナ切り替え手段は、傾斜センサ17によって検出された値に基づき、使用するアンテナを第1のアンテナ40a及び第2のアンテナ40bのいずれかに切り替えている。この構成によれば、アンテナ構成をあまり大掛かりなものとすることなく偏波面が互いに直交する直線偏波型の2つのアンテナによって構成することができ、且つケース2が水平方向に対してどのように傾いているかを把握した上で、RFIDタグ50の配置により適した偏波面のアンテナを使用することができる。
【0071】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0072】
上記いずれの実施形態でも、傾斜センサ17によって検出された値に応じて変化する電波制御状態に関する情報(例えば、現在の出力レベル)を、ケース2に保持される表示部10に表示させるようにしてもよい。なお、この場合、制御部5が「表示制御手段」の一例に相当する。例えば、第1実施形態の場合には、S3で設定された送信出力又は受信感度のレベルを表示部10に表示することができる。また、第2実施形態の場合には、S22で決定された使用アンテナを表示部10に表示することができる。また、第1実施形態の場合には、偏波面Fがどの方向を向いているかを示す情報(例えば偏波面Fと水平方向とのなす角度θ2)を表示するようにしてもよい。
このようにすると、ユーザが電波制御状態に関する情報を把握することができる。従って、操作時のケース2の傾きと電波制御状態を把握することができ、それに応じてケース2を適切な傾きに調整し易くなる。
【0073】
上記実施形態では、RFIDタグ50の長手方向の向き(タグ配置)が所定配置(例えば、RFIDタグ50の長手方向が水平方向となる配置)であることを前提として水平方向と偏波面Fとのなす角度θ2(或いは角度θ12)を検出し、端末の角度に基づいて通信しやすい角度か否かを判断していたが、RFIDタグ50の配置を検出或いは設定できるようにしてもよい。
例えば、RFIDタグ50のタグ方向(タグの長手方向)と水平方向とのなす角度θ3或いはこのθ3を特定可能な値を初期設定として入力できるように構成し、この角度θ3と図5のS1で検出されたθ2とに基づいて送信出力又は受信感度を調整してもよい。或いは、この角度θ3と図12のS21で検出されたθ12とに基づいて使用するアンテナを切り替えても良い。
【0074】
上記実施形態では、水平方向を基準方向として水平方向と偏波面(偏波面F、偏波面F12)とのなす角度(角度θ2、角度θ12)を検出したが、鉛直方向を基準方向として鉛直方向と偏波面(偏波面F、偏波面F12)とのなす角度θ4を検出するようにしてもよい。例えば、鉛直方向に沿ったタグ方向でRFIDタグ50が配置される場合、上記θ2をθ4に代えて図5のような通信処理を行うことで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。或いは、上記θ12をθ4に代えて図12のような通信処理を行うことで、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
1…携帯型RFIDリーダ
2…ケース
5…制御部(通信手段、調整手段、表示制御手段、アンテナ切替手段)
10…表示部
15…バッテリ(電池)
17…傾斜センサ(傾き検出手段)
20…無線タグ処理部(通信手段)
40…アンテナ
200…アンテナ切替回路(アンテナ切替手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型RFIDリーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、RFIDタグ(無線通信媒体)を読み取るRFIDリーダとして、携帯型のものが広く提供されている。この種の携帯型RFIDリーダは、様々な場所に持ち運んで使用することを可能とするため、一般的には充電可能な電池を搭載しており、長時間の駆動を可能とし、且つ電池等の劣化を極力抑制するため、消費電力の低減が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−528526公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような携帯型RFIDリーダでは、アンテナとして、小型且つ安価に構成し得る直線偏波型のアンテナが用いられることが多い。しかしながら、この種のアンテナは、読み取りの精度が偏波面と無線通信媒体(RFIDタグ等)との位置関係に左右されやすく、例えば無線通信媒体が静止状態のときには端末の傾き加減によって読み取り易さが変化するという問題がある。
【0005】
このような問題を解消する方法としては、例えば、偏波面と無線通信媒体(RFIDタグ等)とが読み取りに不利な位置関係となった場合であっても、ある程度読み取ることができるように電波の出力レベルや受信感度を常に高めに設定することが考えられる。しかしながら、このように出力レベルや受信感度を常に高く設定すると、多大な電力消費を招き、電池の消耗を著しく早めてしまうという問題がある。この点は、内蔵電池によって駆動する携帯型RFIDリーダでは特に問題となるため、他の解決方法が望まれる。
【0006】
一方、上記課題に関連する技術としては、特許文献1のようなものが提供されている。この技術では、傾きセンサによって水平面に対するアンテナの傾きを検出しており、検出された傾きが所定範囲に存在する場合のみ、読取処理を実行している。しかしながら、この技術では、傾きが所定範囲にない場合には読取処理が行われないため、省電力化を図ることができる一方で、読み取り易さは低下させてしまうという問題がある。即ち、偏波面と無線通信媒体(RFIDタグ等)とが読み取りに不利な位置関係となる場合の読み取り精度を向上し得るものではない。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、直線偏波の電波を放射するアンテナを用いて無線通信を行う携帯型RFIDリーダにおいて、無線通信媒体の読み取りを良好に行うことができ、且つ電力消費を効果的に低減し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、携帯型RFIDリーダに係るものであり、直線偏波の電波を放射するアンテナと、前記アンテナを保持するケースと、前記ケース内に収容され、前記ケース内の電気部品に電力を供給する電池と、前記アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線通信媒体を読み取る通信手段と、前記アンテナから放射される電波の偏波面と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、前記傾き検出手段によって検出された値に基づいて、前記アンテナを介して送信される電波の送信出力及び前記アンテナを介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整する調整手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯型RFIDリーダであって、前記調整手段は、前記水平方向又は前記水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、前記アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第1閾値以上のときに前記送信出力を最大レベル又は前記受信感度を最高レベルに設定し、前記第1閾値未満のときには前記送信出力を前記最大レベルよりも小さく設定、又は前記受信感度を前記最高レベルよりも小さく設定している。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の携帯型RFIDリーダであって、前記調整手段は、前記水平方向又は前記水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、前記アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第2閾値未満のときに前記送信出力又は前記受信感度を最小レベルに設定し、前記第2閾値以上のときには前記送信出力又は前記受信感度を前記最小レベルよりも大きく設定している。
【0011】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の携帯型RFIDリーダであって、前記調整手段は、前記基準方向と前記偏波面とのなす角度が大きくなるにつれて段階的に前記送信出力又は前記受信感度を大きく設定している。
【0012】
請求項5の発明は、携帯型RFIDリーダに係るものであり、それぞれのアンテナが直線偏波の電波を放射する構成をなし、各アンテナの偏波面の向きが他のアンテナの偏波面の向きと異なるように設定された複数のアンテナと、複数の前記アンテナを保持するケースと、前記ケース内に収容され、前記ケース内の電気部品に電力を供給する電池と、前記アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線通信媒体を読み取る通信手段と、前記ケースの所定方向と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、前記傾き検出手段によって検出された値に基づいて使用するアンテナを切り替えるアンテナ切替手段と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項6の発明は、請求項5に記載の携帯型RFIDリーダであって、前記複数のアンテナは、所定の向きの偏波面が設定される第1のアンテナと、前記第1のアンテナの偏波面と直交する方向の偏波面が設定される第2のアンテナとからなり、前記アンテナ切り替え手段は、前記傾き検出手段によって検出された値に基づき、使用するアンテナを前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナのいずれかに切り替えている。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の携帯型RFIDリーダであって、前記ケースが長手状に構成され、前記アンテナが、前記ケースの長手方向一端側に配置されている。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の携帯型RFIDリーダであって、更に、前記ケースに保持される表示部と、前記傾き検出手段によって検出された値に応じて変化する電波制御状態に関する情報を前記表示部に表示させる表示制御手段とが設けられている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明では、直線偏波の電波を放射するアンテナが用いられ、アンテナから放射される電波の偏波面と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、傾き検出手段によって検出された値に基づいて、アンテナを介して送信される電波の送信出力及びアンテナを介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整する調整手段とが設けられている。この構成によれば、小型且つ安価な直線偏波型のアンテナを用いることができる。更に、アンテナから放射される電波の偏波面が水平方向に対しでどのような角度となってるかを把握した上で、電波の送信出力或いは電波の受信感度を調整することができるため、RFIDタグが水平方向に対して所定の位置関係で配置されていることが想定される場合に偏波面とRFIDタグとの位置関係に基づいて電波の送信出力或いは電波の受信感度を適切に調整しやすくなる。
【0017】
請求項2の発明では、水平方向又は水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第1閾値以上のときに送信出力を最大レベル又は受信感度を最高レベルに設定し、第1閾値未満のときには送信出力を最大レベルよりも小さく設定、又は受信感度を最高レベルよりも小さく設定している。
このようにすると、偏波面が水平方向又は基準方向に対して第1閾値以上の角度で傾斜したときに通信し難くなる位置関係でRFIDタグが配置されている場合(例えば、RFIDタグが水平方向又は基準方向に沿うようなタグ配置の場合)に送信出力又は受信感度を適切に制御できる。例えば、上記タグ配置のときに偏波面が水平方向に対して第1閾値以上となるようにRFIDタグリーダが配置されたときには(即ち、通信が良好に行われにくいときには)、送信出力を最大レベル又は受信感度を最高レベルに設定して通信が良好に行われやすくすることができる。逆に、上記タグ配置のときに偏波面が水平方向に対して第1閾値未満となるようにRFIDタグリーダが配置されたときには(即ち、通信が良好に行われやすいときには)、送信出力を最大レベルよりも小さく設定、又は受信感度を最高レベルよりも小さく設定し、消費電力を抑えることができる。
【0018】
請求項3の発明では、水平方向又は水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第2閾値未満のときに送信出力又は受信感度を最小レベルに設定し、第2閾値以上のときには送信出力又は受信感度を最小レベルよりも大きく設定している。
このようにすると、偏波面が水平方向又は基準方向に対して第2閾値以上の角度で傾斜したときに通信し難くなる位置関係でRFIDタグが配置されている場合(例えば、RFIDタグが水平方向又は基準方向に沿うようなタグ配置の場合)に送信出力又は受信感度を適切に制御できる。例えば、上記タグ配置のときに偏波面が水平方向に対して第2閾値以上となるようにRFIDタグリーダが配置されたときには(即ち、通信が良好に行われにくいときには)、送信出力又は受信感度を最小レベルよりも大きく設定して通信が良好に行われやすくすることができる。逆に、上記タグ配置のときに偏波面が水平方向に対して第2閾値未満となるようにRFIDタグリーダが配置されたときには(即ち、通信が良好に行われやすいときには)、送信出力又は受信感度を最小レベルに設定し、消費電力を抑えることができる。
【0019】
請求項4の発明では、基準方向と偏波面とのなす角度が大きくなるにつれて段階的に送信出力又は受信感度を大きく設定している。このようにすると、偏波面と水平方向又は基準方向とのなす角度が大きくなるにつれて通信し難くなる位置関係でRFIDタグが配置されている場合(例えば、RFIDタグが水平方向又は基準方向に沿うようなタグ配置の場合)に、通信し難くなるにつれて段階的に送信出力又は受信感度を上げることができる。
【0020】
請求項5の発明は、各アンテナの偏波面の向きが他のアンテナの偏波面の向きと異なるように設定された複数の直線偏波型のアンテナが用いられている。そして、ケースの所定方向と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、傾き検出手段によって検出された値に基づいて使用するアンテナを切り替えるアンテナ切替手段とが設けられている。
この構成によれば、小型且つ安価な直線偏波型のアンテナを用いることができる。特に、RFIDタグが水平方向に対して所定の向きに配置されている場合、ケースが水平方向に対してどのように傾いているかを把握した上で、RFIDタグの配置に適した偏波面のアンテナを使用し易くなり、ひいては、通信が良好に行われ易くなる。
【0021】
請求項6の発明は、複数のアンテナが、所定の向きの偏波面が設定される第1のアンテナと、第1のアンテナの偏波面と直交する方向の偏波面が設定される第2のアンテナとからなり、アンテナ切り替え手段は、傾き検出手段によって検出された値に基づき、使用するアンテナを第1のアンテナ及び第2のアンテナのいずれかに切り替えている。
この構成によれば、アンテナ構成をあまり大掛かりなものとすることなく偏波面が互いに直交する直線偏波型の2つのアンテナによって構成することができ、且つケースが水平方向に対してどのように傾いているかを把握した上で、RFIDタグの配置により適した偏波面のアンテナを使用することができる。
【0022】
請求項7の発明は、ケースが長手状に構成され、アンテナが、ケースの長手方向一端側に配置されている。この構成では、ケースの長手方向他端側を好適に把持することができるようになる。一方、このような把持状態では、例えば大きく振りかざされた場合などにおいて長手方向一端側の角度が大きく変化しやすく、直線偏波型のアンテナを用いると、通信し難くなる状態が発生することが懸念されるが、本発明では、ケースの傾きに応じて使用するアンテナを切り替えることができるため、このような問題を効果的に抑えることができる。
【0023】
請求項8の発明は、更に、ケースに保持される表示部と、傾き検出手段によって検出された値に応じて変化する電波制御状態に関する情報を表示部に表示させる表示制御手段とが設けられている。このようにすると、ユーザが電波制御状態に関する情報を把握することができる。従って、操作時のケースの傾きと電波制御状態を把握することができ、それに応じてケースを適切な傾きに調整し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1(A)は、第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダを概略的に例示する平面図であり、図1(B)はその側面図である。
【図2】図2は、図1の携帯型RFIDリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3は、図2の無線タグ処理部等を具体的に例示するブロック図である。
【図4】図4は、図1の携帯型RFIDリーダによって読み取られる無線タグの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図5】図5は、図1の携帯型RFIDリーダで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図6は、図1の携帯型RFIDリーダを用いて読み取る動作の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、携帯型RFIDリーダの傾きと送信出力(RF出力)との関係を例示するグラフである。
【図8】図8は、携帯型RFIDリーダが垂直方向に沿って配されたときの読み取りの様子を説明する説明図である。
【図9】図9は、携帯型RFIDリーダが水平に近い傾きで配されたときの読み取りの様子を説明する説明図である。
【図10】図10(A)は、第2実施形態に係る携帯型RFIDリーダを概略的に例示する平面図であり、図10(B)はその側面図である。
【図11】図11は、図10の携帯型RFIDリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図12】図12は、図10の携帯型RFIDリーダで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の携帯型RFIDリーダを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(携帯型RFIDリーダの全体構成)
まず、本発明の第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1の全体構成について説明する。なお、図1(A)は、第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダを概略的に例示する平面図であり、図1(B)はその側面図である。図2は、第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3は、図2の無線タグ処理部等を具体的に例示するブロック図である。図4は、第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダによって読み取られる無線タグの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【0026】
図1(A)(B)に例示される携帯型RFIDリーダ1は、長手状の外観をなしており、その一端側のほぼ半分の領域(キー操作部11付近の領域)が把持領域とされ、ユーザによって把持されつつ使用される構成をなしている。この携帯型RFIDリーダ1は、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能と、無線タグとの間で無線通信を行う無線タグリーダとしての機能とを備えており、ユーザによって携帯されて様々な場所で情報コードの読み取りや無線タグとの無線通信を行うことができるように構成されている。
【0027】
図1(A)(B)に示すように、携帯型RFIDリーダ1は長手状のケース2によって外郭が構成されている。このケース2は、各種部品(各種電気部品等)を収容するものであり、例えば樹脂材料などからなる複数のケース体(例えば、上ケース及び下ケースの2つのケース体)によって構成され、これらが結合した箱状形態をなしている。
【0028】
また、図1に示すように、ケース2から露出する形態で様々な部品が取り付けられている。例えば、上面側には、小型液晶表示部などからなる表示部10が設けられると共に、LED表示部や複数個の操作キー11a(数字キーや機能キー等)を有するキー操作部11などが設けられ、側部には、読取指示用のトリガスイッチ7が設けられている。
【0029】
図2に示すように、携帯型RFIDリーダ1のケース2内には、携帯型RFIDリーダ1の各種制御や演算処理等を行う制御部5が設けられている。この制御部5は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU31、メモリ32、タイマ33、システムバス、入出力インターフェース等を有しており、情報処理装置として機能している。更に、制御部5には、後述する無線タグ処理部20が接続されている。
【0030】
無線タグ処理部20は、例えば図3のような構成をなしており、制御部5と協働してRFIDタグ50との間で電磁波による通信を行い、RFIDタグ50に記録された情報の読み取りや、RFIDタグ50に対する情報の書き込みなどを行うように機能している。
【0031】
送信部20aは、符号部21、変調部22、増幅部23などを備えており、図示しないキャリア発振器から所定周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号部21は、制御部5に接続されており、当該制御部5より出力される送信データを符号化して変調部22に出力している。変調部22は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号部21より出力される符号化された送信符号(変調信号)によって例えばASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅部23に出力している。
【0032】
増幅部23は、「送信出力」を調整可能な部分であり、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を、制御部5で指示されたゲインで増幅し、その増幅信号を図示しないフィルタ、整合回路等を介してアンテナ40に出力している。このようにしてアンテナ40に送信信号が出力されると、その送信信号が電磁波として当該アンテナ40より外部に放射されるようになっている。
【0033】
アンテナ40は、直線偏波の電波を放射する直線偏波型のアンテナとして構成されており、ケース2の内部においてこのケース2の所定位置に保持される形態で配置されている。いる。具体的には、例えば、図1のように携帯型RFIDリーダ1の長手方向一方側(把持領域とは反対の表示部10側)において携帯端末1の長手方向Lと直交する幅方向(短手方向)に延びる構成で配置されており、ケース2の長手方向Lと平行な平面方向(より具体的には、携帯端末1の長手方向Lと平行であって、且つ携帯端末1の高さ方向H(図1(B)参照)と平行な平面方向)に沿った偏波面Fが生じるようになっている。なお、図1では、偏波面の面方向を符号Fにて概念的に示しており、アンテナ40はこの方向に偏波面が生じる直線偏波型のアンテナであればどのような種類、構成であってもよい。
【0034】
受信部20bは、増幅部24、復調部25、復号部26などを備えており、アンテナ40によって受信された電波信号が入力される構成をなしている。この受信部20bは、図示しない整合回路を介してアンテナ40からの受信信号が入力され、フィルタ(図示略)によってフィルタリングした後、その受信信号を増幅部24によって増幅している。
【0035】
増幅部24は、「受信感度」を調整可能な部分であり、アンテナ40を介して受信した受信信号(フィルタによってフィルタリングされた受信信号)を、制御部5で指示されたゲインで増幅し、その増幅信号を復調部25に出力している、増幅部24で増幅された増幅信号は復調部25で復調し、その復調された信号波形は図示しない二値化処理部によって二値化した後、復号部26にて復号化する。そして、その復号化された信号を受信データとして制御部5に出力する。また、受信部20bには、電波を発射するチャネルが空いているかを調べるキャリアセンス部27が設けられている。
なお、本実施形態では、上記無線タグ処理部20及び制御部5が「通信手段」の一例に相当し、アンテナ40を介して送受信される電波を媒介としてRFIDタグ50(無線通信媒体)を読み取るように機能する。
【0036】
また、制御部5には、無線タグ処理部20以外に、情報コード読取部6、トリガスイッチ7、LED8、表示部10、キー操作部11、メモリ12、外部インターフェース13、傾斜センサ17などが接続されている。また、ケース2内には、電源となる電池15や、電源回路として構成される電源部16などが設けられており、これらによって制御部5や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0037】
制御部5に接続される傾斜センサ17は、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fと水平方向とのなす角度に応じた値を検出し得るものであり、例えば、鉛直方向に対するケース短手方向の傾斜を検出するように構成されている。この傾斜センサ17は、例えば三軸加速度センサなど、端末の傾斜を検出し得る公知の傾斜センサによって構成され、本実施形態では、例えばケース2の短手方向(図1に示す長手方向L及び高さ方向Hと直交する方向)と鉛直方向とのなす角度θ1が三軸加速度センサの各軸方向の検出値に基づいて検出可能とされている。なお、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の加速度を検出し得る三軸加速度センサを端末内に配置し、この端末の基準方向(例えば短手方向)と鉛直方向とのなす角度を求める技術は公知であるので詳細は省略する。
【0038】
本実施形態では、後述する偏波面Fの面方向がケース2の短手方向(図1に示す長手方向L及び高さ方向Hと直交する方向)と平行となるようにアンテナ40が配置されているため、ケース2の短手方向と鉛直方向とのなす角度θを求めれば、偏波面Fと鉛直方向とのなす角度θ1及び偏波面Fと水平方向とのなす角度θ2を求めることができる。
【0039】
なお、傾斜センサ17からの出力(例えば三軸加速度センサの各軸方向の出力)は、図示しない増幅回路によって増幅された後、A/Dコンバータによってデジタル信号に変換され、この信号が制御部5に入力されるようになっている。そして、この入力された検出値に基づいて制御部5が偏波面Fと水平方向とのなす角度θ2を算出している。
【0040】
(RFIDタグの構成)
次に、本実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1で読み取られるRFIDタグ50について説明する。
図4に示すように、RFIDタグ50は、アンテナ51,電源回路52,復調回路53,制御回路54,メモリ55,変調回路56などによって構成されている。電源回路52は、アンテナ51を介して受信した携帯型RFIDリーダ1からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路54をはじめとする各構成要素に供給している。
【0041】
また、復調回路53は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路54に出力している。メモリ55は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラムやRFIDタグ50を識別するための識別情報(タグID)、或いはRFIDタグ50の用途に応じたデータなどが記憶されている。制御回路54は、メモリ55から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路56に出力する構成をなしており、変調回路56は、キャリア信号を当該送信データで負荷変調してアンテナ51から反射波として送信するように構成されている。
【0042】
また、本実施形態で用いられるRFIDタグ50は、全体として長手状に構成されており、例えば、図6のように、RFIDタグ50自身の長手方向(以下、タグ方向ともいう)と水平方向(鉛直方向に対して直交する方向)とのなす角度が所定角度となるように配置されるようになっている。なお、図6の例では、箱状のコンテナCnの前面において横方向に延びるようにRFIDタグ50が取り付けられており、コンテナCnの底面の方向とタグ方向とが略同方向となっている。つまり、コンテナCnを水平面に載置したときにRFIDタグ50の長手方向(タグ方向)が水平方向に沿うように取り付けられている。
【0043】
(非接触通信処理)
次に、本実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1によって行われる非接触通信処理(RFID通信処理)について説明する。図5は、図1の携帯型RFIDリーダで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。図6は、図1の携帯型RFIDリーダを用いて読み取る動作の一例を示す説明図である。図7は、携帯型RFIDリーダの傾きと送信出力(RF出力)との関係を例示するグラフである。図8は、携帯型RFIDリーダが垂直方向に沿って配されたときの読み取りの様子を説明する説明図である。図9は、携帯型RFIDリーダが水平に近い傾きで配されたときの読み取りの様子を説明する説明図である。
【0044】
図5に示す通信処理は、例えば、所定物品に付されたRFIDタグ50を読み取るときに行うものであり、以下の説明では、図6のように配されたRFIDタグ50を読み取る場合を代表例として説明する。なお、図6の例では、上述したように箱状のコンテナCnの前面において横方向に延びるようにRFIDタグ50が取り付けられており、各コンテナCnに取り付けられるRFIDタグ50の長手方向(タグ方向)がほぼ水平方向となっている。また、以下の例では、図6のように携帯端末1の高さ方向Hが略水平方向に維持された状態で上下に操作される場合を代表例として説明する。
【0045】
図5の通信処理は、例えば、トリガスイッチ7が押圧されたときに開始され、まず、傾斜角度を検出する処理を行う(S1)。このS1の処理では、傾斜センサ17の検出値に基づいて、上述した角度θ2(偏波面Fと水平方向とのなす角度)を算出する。
【0046】
本実施形態では、上述したように携帯端末1の長手方向L且つ高さ方向Hと平行な方向の偏波面Fが生じるようになっているため、例えば図8のように、ケース2の長手方向Lが鉛直方向と平行の場合には、偏波面Fと鉛直方向とのなす角θ1は0°となり、偏波面Fと水平方向とのなす角度θ2は90°となる。逆に、図9のように、ケース2の長手方向Lが水平方向に近くなる場合には、偏波面Fと水平方向とのなす角θ2は0°に近づく。なお、図9では、偏波面Fと水平面(水平方向に延びる仮想面)とのなす角度θ2が20°の例を示している。また、図8、図9では、携帯端末1の高さ方向H(図1(B))が水平方向に維持されることを前提として説明している。
【0047】
そして、得られたθ2の値に基づいて送信出力(RF出力)の制御値を算出する。具体的には、図7に示すように、上記θ2が0°以上であって所定の第2閾値θa(例えばθaは30°)未満であるとき(図9のような場合)には、アンテナ40に供給するRF信号の振幅がP1レベルとなるように増幅部23のゲインG1に決定する。このように、偏波面Fが水平に近い場合には、偏波面Fの方向が水平方向に延びるRFIDタグ50の方向に近く、通信しやすい関係といえるため、アンテナ40からの出力レベルを小レベルに設定して省電力化を図っている。
【0048】
また、上記θ2が第2閾値θa以上であって第1閾値θb(例えばθbは60°)未満であるときには、アンテナ40に供給するRF信号の振幅がP2レベルとなるように増幅部23のゲインをG1よりも高いG2に決定する。このような状態(第2状態)の場合、上記θ2が第2閾値θa未満の場合(第1状態)と比較して、水平方向に対する偏波面Fの傾斜が大きくなり、上記第1状態と比較してやや通信しにくい関係となる、従って、アンテナ40からの出力レベルを上記第1状態のときのレベル(小レベル)よりも大きく設定し、通信状態の向上を図っている。
【0049】
また、上記θ2が所定閾値θb以上であって90°以下であるとき(図8のような場合)には、アンテナ40に供給するRF信号の振幅がP3レベルとなるように増幅部23のゲインをG2よりも高いG3に決定する。このような状態(第3状態)の場合、上記θ2が第2閾値θa未満の場合(第1状態)や、第2閾値θa以上であって第1閾値θb未満の場合(第2状態)と比較して、水平方向に対する偏波面Fの傾斜がより大きくなり、上記第1状態や第2状態と比較して通信性が一層低下する。従って、アンテナ40からの出力レベルを上記第2状態のときのレベル(中レベル)よりもさらに大きいレベル(大レベル)に設定し、通信状態の一層の向上を図っている。
【0050】
そして、図5のS2で制御値(上記代表例ではゲインの指示値)を決定した後には、その決定された制御値を指示する信号を無線タグ処理部20に対して送信する(S3)。具体的には、制御部5から増幅部23に対し、S2で決定されたゲインの値を指示する。これにより、増幅部23では、指示されたゲインの値で増幅がなされ、θ2の大きさに応じた送信出力に設定されることとなる。そして、このように送信出力が設定された状態でRFIDタグ50に対する電波の送受信処理を行い、この電波を媒介としてRFIDタグ50の読み取りや書き込みを行う(S4)。
【0051】
なお、上記代表例では、傾斜センサ17によって検出された値に基づいて得られたθ2に応じて電波の送信出力を調整していたが、θ2に応じて電波の受信感度を調整するようにしてもよい。この調整方法は、S2、S3の処理を若干変更すれば可能である。例えば、上記θ2が0°以上であって所定の第2閾値θa未満であるとき(第1状態のとき)には、増幅部24のゲインを所定の小レベルG4に決定する。つまり、偏波面Fが水平に近く通信しやすい関係の場合には、増幅部24のゲインを低く設定することで受信感度を抑え、省電力化を図っている。
【0052】
また、上記θ2が第2閾値θa以上であって第1閾値θb未満であるとき(第2状態のとき)には、増幅部24のゲインをG4よりも大きい中レベルG5に決定する。つまり、第1状態と比較して、水平方向に対する偏波面Fの傾斜が大きく、上記第1状態と比較してやや通信しにくい関係となった場合には、増幅部24のゲインを第1状態のときのG4(小レベル)よりも大きく設定し、通信状態の向上を図っている。
【0053】
また、上記θ2が所定閾値θb以上であって90°以下であるとき(第3状態のとき)には、増幅部24のゲインをG5よりも大きい大レベルG6に決定する。つまり、第2状態と比較して、水平方向に対する偏波面Fの傾斜がより大きく、上記第2状態と比較して一層通信しにくい関係となった場合には、増幅部24のゲインを第2状態のときのG5(中レベル)よりもさらに大きく設定し、通信状態の一層の向上を図っている。
【0054】
なお、本実施形態では、S2、S3の処理を行う制御部5が「調整手段」の一例に相当し、傾斜センサ17によって検出された値に基づいて、アンテナ40を介して送信される電波の送信出力及びアンテナ40を介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整するように機能する。
具体的には、水平方向を基準方向としたときの当該基準方向と、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fとのなす角度θ2が所定の第1閾値θb以上のときに送信出力を最大レベルに設定し、第1閾値θb未満のときには送信出力を最大レベルよりも小さく設定している。また、上記基準方向(水平方向)と、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fとのなす角度θ2が所定の第2閾値θa未満のときに送信出力を最小レベルに設定し、第2閾値θa以上のときには送信出力を最小レベルよりも大きく設定している。そして、基準方向(水平方向)と偏波面Fとのなす角度θ2が大きくなるにつれて段階的に送信出力を大きく設定している。
【0055】
(第1実施形態の主な効果)
第1実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1は、直線偏波の電波を放射するアンテナ40が用いられ、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fと水平方向とのなす角度θ2に応じた値を検出する傾斜センサ17と、傾斜センサ17によって検出された値に基づいて、アンテナ40を介して送信される電波の送信出力及びアンテナ40を介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整する調整手段とが設けられている。この構成によれば、小型且つ安価な直線偏波型のアンテナ40を用いることができる。更に、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fが水平方向に対しでどのような角度となってるかを把握した上で、電波の送信出力或いは電波の受信感度を調整することができるため、RFIDタグ50が水平方向に対して所定の位置関係で配置されていることが想定される場合に偏波面FとRFIDタグ50との位置関係に基づいて電波の送信出力或いは電波の受信感度を適切に調整しやすくなる。
【0056】
また、本実施形態では、水平方向を基準方向としたときの当該基準方向と、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fとのなす角度θ2が所定の第1閾値θb以上のときに送信出力を最大レベル又は受信感度を最高レベルに設定し、第1閾値θb未満のときには送信出力を最大レベルよりも小さく設定、又は受信感度を最高レベルよりも小さく設定している。
このようにすると、偏波面Fが水平方向に対して第1閾値θb以上の角度で傾斜したときに通信し難くなる位置関係でRFIDタグ50が配置されている場合(例えば、図6のようにRFIDタグ50が水平方向に沿うようなタグ配置の場合)に送信出力又は受信感度を適切に制御できる。例えば、上記水平方向のタグ配置のときに、図8のように偏波面Fが水平方向に対して第1閾値θb以上となるように携帯型RFIDタグリーダ1が配置されたときには(即ち、通信が良好に行われにくいときには)、送信出力を最大レベル又は受信感度を最高レベルに設定して通信が良好に行われやすくすることができる(図6のE1も参照)。逆に、上記水平方向のタグ配置のときに、図9のように偏波面Fが水平方向に対して第1閾値θb未満となるように携帯型RFIDタグリーダ1が配置されたときには(即ち、通信が良好に行われやすいときには)、送信出力を最大レベルよりも小さく設定、又は受信感度を最高レベルよりも小さく設定し、消費電力を抑えることができる(図6のE2も参照)。
【0057】
また、本実施形態では、水平方向を基準方向としたときの当該基準方向と、アンテナ40から放射される電波の偏波面Fとのなす角度θ2が所定の第2閾値θa未満のときに送信出力又は受信感度を最小レベルに設定し、第2閾値θa以上のときには送信出力又は受信感度を最小レベルよりも大きく設定している。
このようにすると、偏波面Fが水平方向に対して第2閾値θa以上の角度で傾斜したときに通信し難くなる位置関係でRFIDタグ50が配置されている場合(例えば、図6のようにRFIDタグ50が水平方向に沿うようなタグ配置の場合)に送信出力又は受信感度を適切に制御できる。例えば、上記水平方向のタグ配置のときに、図8のように偏波面Fが水平方向に対して第2閾値θa以上となるようにRFIDタグリーダ1が配置されたときには(即ち、通信が良好に行われにくいときには)、送信出力又は受信感度を最小レベルよりも大きく設定して通信が良好に行われやすくすることができる(図6のE1も参照)。逆に、上記水平方向のタグ配置のときに、図9のように偏波面Fが水平方向に対して第2閾値θa未満となるようにRFIDタグリーダ1が配置されたときには(即ち、通信が良好に行われやすいときには)、送信出力又は受信感度を最小レベルに設定し、消費電力を抑えることができる(図6のE2も参照)。
【0058】
また、本実施形態では、水平方向(基準方向)と偏波面Fとのなす角度θ2が大きくなるにつれて段階的に送信出力又は受信感度を大きく設定している。このようにすると、偏波面と水平方向とのなす角度θ2が大きくなるにつれて通信し難くなる位置関係でRFIDタグ50が配置されている場合(例えば、図6のようにRFIDタグ50が水平方向又は基準方向に沿うようなタグ配置の場合)に、通信し難くなるにつれて段階的に送信出力又は受信感度を上げることができる。
【0059】
また、本実施形態では、ケース2が長手状に構成され、アンテナ40が、ケース2の長手方向一端側に配置されている。この構成では、ケース2の長手方向他端側を好適に把持することができるようになる。一方、このような把持状態では、例えば図6のように大きく振りかざされた場合などにおいて長手方向一端側の角度が大きく変化しやすく、直線偏波型のアンテナ40を用いると、通信し難くなる状態が発生することが懸念されるが、本発明では、ケース2の傾きに応じて使用するアンテナ40を切り替えることができるため、このような問題を効果的に抑えることができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
図10(A)は、第2実施形態に係る携帯型RFIDリーダを概略的に例示する平面図であり、図10(B)はその側面図である。図11は、図10の携帯型RFIDリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図12は、図10の携帯型RFIDリーダで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【0061】
第2実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1は、ハードウェア的には、直線偏波型のアンテナを2つ設けた点、アンテナを切り替える切替回路を設けた点、この切替回路を制御部5によって制御できるようにした点のみが第1実施形態の構成(図1〜図4)と異なり、それ以外は第1実施形態の構成(図1〜図4)と同様である。よって同様の部分については、第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明は省略し、異なる部分について重点的に説明することとする。特に、電池15や傾斜センサ17の構成、制御部5による「通信手段」としての機能は第1実施形態と同様である。
【0062】
図10に示すように、本実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1では、直線偏波の電波を放射する構成をなし、所定の向きの偏波面F1が設定される第1のアンテナ40aと、同じく直線偏波の電波を放射する構成をなし、第1のアンテナ40aの偏波面F1と直交する方向の偏波面F2が設定される第2のアンテナ40bとを備えており、これらアンテナ40a、40bが第1実施形態と同様のケース2に保持されている。
【0063】
図10に示すように、第1のアンテナ40aは、ケース1の長手方向一方側(把持領域とは反対の表示部10側)において、ケース2の長手方向Lに沿うように配置されており、長手方向Lと直交する偏波面F1が生じるように構成されている。一方、第2のアンテナ40bは、ケース1の長手方向一方側(把持領域とは反対の表示部10側)において、ケース2の長手方向Lと直交するように(長手方向L及び高さ方向Hと直交する短手方向(幅方向)に沿うように)配置されており、上記短手方向と直交する偏波面F2が生じるように構成されている。なお、第2のアンテナ40bの構成及び偏波面F2は、第1実施形態のアンテナ40及び偏波面Fと同様である。
【0064】
また、図11に示すように、アンテナ切替回路200が設けられており、このアンテナ切替回路200は、送信部20a及び受信部20b側にそれぞれ接続されるライン29を、第1のアンテナ30a及び第2のアンテナ40bのいずれに接続するかを切り替える切り替えスイッチによって構成されており、制御部5からの指示(制御信号)に応じてライン29へ接続するアンテナを切り替え、有効化するアンテナを選択している。
【0065】
本実施形態に係る携帯型RFIDリーダ1では、図12のような流れで非接触通信処理(RFID通信処理)が行われるようになっている。この図12の通信処理も、例えば、図6のように配されたRFIDタグ50を読み取る処理として行うことができ、図6の例では、上述したように箱状のコンテナCnの前面において横方向に延びるようにRFIDタグ50が取り付けられており、各コンテナCnに取り付けられるRFIDタグ50の長手方向(タグ方向)がほぼ水平方向となっている。
【0066】
図12の通信処理は、例えば、トリガスイッチ7が押圧されたときに開始され、まず、傾斜角度を検出する処理を行う(S21)。このS21の処理は、図5のS1と同様であり、傾斜センサ17の検出値に基づいて偏波面F2と水平方向とのなす角θ12を取得する。本実施形態では、偏波面F2は、短手方向(長手方向L及び高さ方向Hと直交する方向)と直交する方向で生じるようになっているため、図8のように、ケース2の短手方向が鉛直方向と直交する場合には、偏波面F2と水平方向とのなす角θ12は90°となる。逆に、図9のようにケース2の短手方向が鉛直方向と平行に近づく場合には、偏波面F2と水平方向とのなす角θ12は0°に近づく。なお、この例でも、ケース2の高さ方向Hが略水平方向に維持された状態で操作されることを前提としている。
【0067】
そして、S21で得られたθ12に基づいて使用アンテナを決定する(S22)。具体的にはθ12が45°未満の場合には、第2のアンテナ40bの偏波面F12の方向がRFIDタグ50の方向に近づくため、第2のアンテナ40bを選択する。一方、θ12が45°以上の場合には、第1のアンテナ40aの偏波面F11の方向がRFIDタグ50の方向に近づくため、第1のアンテナ40aを選択する。
【0068】
S22で使用アンテナを決定した後には、その決定されたアンテナを有効化するように制御部5からアンテナ切替回路200に制御信号を出力し、選択されたアンテナを動作させる。
なお、本実施形態では、制御部5及びアンテナ切替回路200が「アンテナ切替手段」の一例に相当し、傾斜センサ17によって検出された値に基づいて使用するアンテナ40を切り替えるように機能する。
【0069】
(第2実施形態の主な効果)
第2実施形態の構成によれば、小型且つ安価な直線偏波型のアンテナ40を用いることができる。特に、RFIDタグ50が水平方向に対して所定の向きに配置されている場合、ケース2が水平方向に対してどのように傾いているかを把握した上で、RFIDタグ50の配置に適した偏波面のアンテナ40を使用し易くなり、ひいては、通信が良好に行われ易くなる。
【0070】
また、本実施形態では、所定の向きの偏波面F1が設定される第1のアンテナ40aと、第1のアンテナ40aの偏波面F1と直交する方向の偏波面F2が設定される第2のアンテナ40bとを備え、アンテナ切り替え手段は、傾斜センサ17によって検出された値に基づき、使用するアンテナを第1のアンテナ40a及び第2のアンテナ40bのいずれかに切り替えている。この構成によれば、アンテナ構成をあまり大掛かりなものとすることなく偏波面が互いに直交する直線偏波型の2つのアンテナによって構成することができ、且つケース2が水平方向に対してどのように傾いているかを把握した上で、RFIDタグ50の配置により適した偏波面のアンテナを使用することができる。
【0071】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0072】
上記いずれの実施形態でも、傾斜センサ17によって検出された値に応じて変化する電波制御状態に関する情報(例えば、現在の出力レベル)を、ケース2に保持される表示部10に表示させるようにしてもよい。なお、この場合、制御部5が「表示制御手段」の一例に相当する。例えば、第1実施形態の場合には、S3で設定された送信出力又は受信感度のレベルを表示部10に表示することができる。また、第2実施形態の場合には、S22で決定された使用アンテナを表示部10に表示することができる。また、第1実施形態の場合には、偏波面Fがどの方向を向いているかを示す情報(例えば偏波面Fと水平方向とのなす角度θ2)を表示するようにしてもよい。
このようにすると、ユーザが電波制御状態に関する情報を把握することができる。従って、操作時のケース2の傾きと電波制御状態を把握することができ、それに応じてケース2を適切な傾きに調整し易くなる。
【0073】
上記実施形態では、RFIDタグ50の長手方向の向き(タグ配置)が所定配置(例えば、RFIDタグ50の長手方向が水平方向となる配置)であることを前提として水平方向と偏波面Fとのなす角度θ2(或いは角度θ12)を検出し、端末の角度に基づいて通信しやすい角度か否かを判断していたが、RFIDタグ50の配置を検出或いは設定できるようにしてもよい。
例えば、RFIDタグ50のタグ方向(タグの長手方向)と水平方向とのなす角度θ3或いはこのθ3を特定可能な値を初期設定として入力できるように構成し、この角度θ3と図5のS1で検出されたθ2とに基づいて送信出力又は受信感度を調整してもよい。或いは、この角度θ3と図12のS21で検出されたθ12とに基づいて使用するアンテナを切り替えても良い。
【0074】
上記実施形態では、水平方向を基準方向として水平方向と偏波面(偏波面F、偏波面F12)とのなす角度(角度θ2、角度θ12)を検出したが、鉛直方向を基準方向として鉛直方向と偏波面(偏波面F、偏波面F12)とのなす角度θ4を検出するようにしてもよい。例えば、鉛直方向に沿ったタグ方向でRFIDタグ50が配置される場合、上記θ2をθ4に代えて図5のような通信処理を行うことで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。或いは、上記θ12をθ4に代えて図12のような通信処理を行うことで、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
1…携帯型RFIDリーダ
2…ケース
5…制御部(通信手段、調整手段、表示制御手段、アンテナ切替手段)
10…表示部
15…バッテリ(電池)
17…傾斜センサ(傾き検出手段)
20…無線タグ処理部(通信手段)
40…アンテナ
200…アンテナ切替回路(アンテナ切替手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線偏波の電波を放射するアンテナと、
前記アンテナを保持するケースと、
前記ケース内に収容され、前記ケース内の電気部品に電力を供給する電池と、
前記アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線通信媒体を読み取る通信手段と、
前記アンテナから放射される電波の偏波面と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、
前記傾き検出手段によって検出された値に基づいて、前記アンテナを介して送信される電波の送信出力及び前記アンテナを介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とする携帯型RFIDリーダ。
【請求項2】
前記調整手段は、前記水平方向又は前記水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、前記アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第1閾値以上のときに前記送信出力を最大レベル又は前記受信感度を最高レベルに設定し、前記第1閾値未満のときには前記送信出力を前記最大レベルよりも小さく設定、又は前記受信感度を前記最高レベルよりも小さく設定することを特徴とする請求項1に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項3】
前記調整手段は、前記水平方向又は前記水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、前記アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第2閾値未満のときに前記送信出力又は前記受信感度を最小レベルに設定し、前記第2閾値以上のときには前記送信出力又は前記受信感度を前記最小レベルよりも大きく設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項4】
前記調整手段は、前記基準方向と前記偏波面とのなす角度が大きくなるにつれて段階的に前記送信出力又は前記受信感度を大きく設定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項5】
それぞれのアンテナが直線偏波の電波を放射する構成をなし、各アンテナの偏波面の向きが他のアンテナの偏波面の向きと異なるように設定された複数のアンテナと、
複数の前記アンテナを保持するケースと、
前記ケース内に収容され、前記ケース内の電気部品に電力を供給する電池と、
前記アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線通信媒体を読み取る通信手段と、
前記ケースの所定方向と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、
前記傾き検出手段によって検出された値に基づいて使用するアンテナを切り替えるアンテナ切替手段と、
を備えたことを特徴とする携帯型RFIDリーダ。
【請求項6】
前記複数のアンテナは、所定の向きの偏波面が設定される第1のアンテナと、前記第1のアンテナの偏波面と直交する方向の偏波面が設定される第2のアンテナとからなり、
前記アンテナ切替手段は、前記傾き検出手段によって検出された値に基づき、使用するアンテナを前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナのいずれかに切り替えることを特徴とする請求項5に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項7】
前記ケースは長手状に構成され、
前記アンテナは、前記ケースの長手方向一端側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項8】
前記ケースに保持される表示部と、
前記傾き検出手段によって検出された値に応じて変化する電波制御状態に関する情報を前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項1】
直線偏波の電波を放射するアンテナと、
前記アンテナを保持するケースと、
前記ケース内に収容され、前記ケース内の電気部品に電力を供給する電池と、
前記アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線通信媒体を読み取る通信手段と、
前記アンテナから放射される電波の偏波面と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、
前記傾き検出手段によって検出された値に基づいて、前記アンテナを介して送信される電波の送信出力及び前記アンテナを介して受信される電波の受信感度の少なくともいずれかを調整する調整手段と、
を備えたことを特徴とする携帯型RFIDリーダ。
【請求項2】
前記調整手段は、前記水平方向又は前記水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、前記アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第1閾値以上のときに前記送信出力を最大レベル又は前記受信感度を最高レベルに設定し、前記第1閾値未満のときには前記送信出力を前記最大レベルよりも小さく設定、又は前記受信感度を前記最高レベルよりも小さく設定することを特徴とする請求項1に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項3】
前記調整手段は、前記水平方向又は前記水平方向と所定角度をなす方向を基準方向としたときの当該基準方向と、前記アンテナから放射される電波の偏波面とのなす角度が所定の第2閾値未満のときに前記送信出力又は前記受信感度を最小レベルに設定し、前記第2閾値以上のときには前記送信出力又は前記受信感度を前記最小レベルよりも大きく設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項4】
前記調整手段は、前記基準方向と前記偏波面とのなす角度が大きくなるにつれて段階的に前記送信出力又は前記受信感度を大きく設定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項5】
それぞれのアンテナが直線偏波の電波を放射する構成をなし、各アンテナの偏波面の向きが他のアンテナの偏波面の向きと異なるように設定された複数のアンテナと、
複数の前記アンテナを保持するケースと、
前記ケース内に収容され、前記ケース内の電気部品に電力を供給する電池と、
前記アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線通信媒体を読み取る通信手段と、
前記ケースの所定方向と水平方向とのなす角度に応じた値を検出する傾き検出手段と、
前記傾き検出手段によって検出された値に基づいて使用するアンテナを切り替えるアンテナ切替手段と、
を備えたことを特徴とする携帯型RFIDリーダ。
【請求項6】
前記複数のアンテナは、所定の向きの偏波面が設定される第1のアンテナと、前記第1のアンテナの偏波面と直交する方向の偏波面が設定される第2のアンテナとからなり、
前記アンテナ切替手段は、前記傾き検出手段によって検出された値に基づき、使用するアンテナを前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナのいずれかに切り替えることを特徴とする請求項5に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項7】
前記ケースは長手状に構成され、
前記アンテナは、前記ケースの長手方向一端側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の携帯型RFIDリーダ。
【請求項8】
前記ケースに保持される表示部と、
前記傾き検出手段によって検出された値に応じて変化する電波制御状態に関する情報を前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の携帯型RFIDリーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−68839(P2012−68839A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212422(P2010−212422)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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