説明

携帯情報端末及びその制御方法

【課題】水中でより効果的な通知動作を行う携帯情報端末及びその通知方法を提供する。
【解決手段】携帯情報端末1は、音声、光及び振動のうちの1以上の手段により着信を外部に通知する通常通知部103と、水中で気体を放出して着信を外部に通知する水中通知部108と、水中であるか否かを検知する検知部101と、検知部の検知結果に基づき通常通知部103及び水中通知部108のいずれで通知するかを切り換え制御する制御部113と、を有する。また、制御部113は、通常通知部103及び水中通知部108の少なくとも1以上により通知を行うための操作部110をさらに有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯情報端末及びその制御方法に関し、特に水中での着信の通知手段を有する携帯情報端末及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末の水中での通知方法が特許文献1に記されている。特許文献1に記載の携帯情報端末は、水中で着信があった場合に、音以外の振動や、発信者の氏名や名称を表示部に表示するなどしてユーザに通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−112037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の通知方法は、大気中にある場合と比較すると、携帯情報端末が水中にある場合には効果的な通知手段ではない。特に、透明度の低い池等の汚水に水没し、所在が不明確となってしまった携帯情報端末を探す際は、他の携帯情報端末から電話をかけて水没した携帯情報端末に着信させる等しても、水中の音発生源、及び汚水中の光発生源の確認は困難であり、所在を絞り込むには不十分であるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、特に水中でより効果的な通知動作を行うことが可能な携帯情報端末及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる携帯情報端末は、音、光及び振動のうちの1以上の手段により着信を外部に通知する通常通知部と、水中で気体を放出して着信を外部に通知する水中通知部と、水中であるか否かを検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づき前記通常通知部及び前記水中通知部のいずれで通知するかを切り換え制御する制御部とを有する。
【0007】
本発明にかかる携帯情報端末の制御方法は、音、光及び振動のうちの1以上の手段により着信を外部に通知する通常通知工程と、水中で気体を放出して着信を外部に通知する水中通知工程と、水中であるか否かを検知する検知工程と、前記検知部の検知結果に基づき前記通常通知部及び前記水中通知部のいずれで通知するかを切り換え制御する制御工程とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特に水中でより効果的な通知動作を行うことが可能な携帯情報端末及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1にかかる携帯情報端末を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる携帯情報端末の詳細を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1にかかる気泡発生のイメージを示す図である。
【図4】実施の形態1にかかる水没センサと気体発生部の搭載位置例(折りたたみ型携帯情報端末を閉じた状態)を示す図である。
【図5】実施の形態1にかかる携帯情報端末の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2にかかる携帯情報端末を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2にかかる携帯情報端末本体に搭載したスクリュー部の位置を示す図である。
【図8】実施の形態2にかかる携帯情報端末本体を回転運動させた時のイメージを示す図である。
【図9】実施の形態2にかかる携帯情報端末の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる携帯情報端末1を示すブロック図である。本実施の形態にかかる携帯情報端末1は、音、光及び振動のうちの1以上の手段により着信を外部に通知する通常通知部103と、水中で気体を放出して着信を外部に通知する水中通知部108と、水中であるか否かを検知する検知部101と、検知部101の検知結果に基づき通常通知部103及び水中通知部108のいずれで通知するかを切り換え制御する制御部113と、を有する。通常通知部103及び水中通知部108は、着信を外部に通知する他、指定時刻を外部に通知する(アラーム通知)。
【0011】
このように構成された携帯情報端末1は、大気中で使用する通常通知部103以外に、水中で使用することができる水中通知部108を有しているため、水中での着信やアラーム通知を可能とする。特に、水中通知部108は、気体を放出して通知するため、着信が可視化でき、透明度の低い水の中であっても、着信を視認することができる。
【0012】
次に、このような携帯情報端末1について具体的に説明する。携帯情報端末1は、具体的には、図2のように構成することができる。図2は、本実施の形態にかかる携帯情報端末1の詳細を示すブロック図である。
【0013】
図2に示すように、水中通知部108は、タンクに蓄えた気体を水中で放出することで気泡を発生する気体発生部109を有している。水中通知部108は、制御部113の制御に基づいて、気体発生部109を作動させユーザに対し通知を行う。なお、通常通知部103及び水中通知部108は、着信を外部に通知するのみならず、ユーザの設定に基づき指定の時刻をアラーム通知することも可能である。
【0014】
気体発生部109は、目視可能なサイズの気泡を水中で放出する。図3は、水中で気体発生部109より気体を発生させた時の気泡発生のイメージを示す図である。気体発生部109は、例えばガスの補充及び交換が可能なタンクを有し、タンクからガスを放出するなどすればよい。
【0015】
検知部101は、水没センサ102を有し、携帯情報端末1が水没したかどうかを検知し、その結果を制御部113に出力する。図4は水没センサ102と気体発生部109の搭載位置例(折りたたみ型携帯情報端末を閉じた状態)を示す図である。21は水没センサ102の搭載位置例を示し、22は気体発生部109の搭載位置例を示している。折りたたみ型等の変形可能な携帯情報端末の場合、どの形に変形させても水中か否か判定可能な位置に水没センサを搭載するよう考慮する。また、気体発生部109は携帯情報端末1が変形可能な場合、どの形に変形させても気体を放出できる位置に搭載するよう考慮する。
【0016】
図2に戻って、通常通知部103は、スピーカ104、バイブレータ105、LED106及び表示部107を有している。通常通知部103は、制御部113からの制御に基づいて、通知を行う。通常通知部103は、スピーカ104を制御して着信音を鳴動させる動作、バイブレータ105を制御して携帯情報端末1を振動させる動作、LED106を制御して点滅させる動作及び着信があった際又は予め設定したアラーム時刻に達した際に表示部107にそれを通知する表示を表示する動作のいずれか1つ以上の動作を組み合わせて外部に対し通知を行う。
【0017】
制御部113は、通常検知部103及び水中検知部108の少なくとも一方を動作させるための操作部110をさらに有する。操作部110は、通常通知部103及び水中通知部108の少なくとも一方を動作させるように設定し、それを制御部113に出力する。また、動作している通知部の動作の停止を制御部113に出力する。制御部113は、操作部110の操作を検出し、操作に応じてスピーカ104から出力される着信音、バイブレータ105の振動、LED106の点滅および気体発生部109からの気体放出を停止させる。
【0018】
制御部113は、通常通知部103及び水中通知部108を制御するためのプログラムを記録したメモリ112を有する。制御部113は、着信があったこと又は予め設定した時刻になったことを外部から受け取ると、検知部101の検知結果から携帯情報端末1が水中か否かを判定し、大気中であれば通常通知部103を作動し、水中であれば水中通知部108を作動する。なお、水中で通常通知部103を水中通知部108と共に作動させてもよい。
【0019】
メモリ112は、水没センサ102の情報から、携帯情報端末1が水中か否かを判定するプログラム、通常通知部103を制御するプログラム及び水中通知部108を制御するプログラムを有する。
【0020】
メモリ112はまた、通常通知部103のうち、スピーカ104、バイブレータ105、LED106のいずれを使用するか、水中通知部108を使用するか否か及び水中通知部108を使用する場合に通常通知部103を併用するか否かを指定するための設定情報を有する。これらを設定する情報は、操作部110の操作によって任意に変更することが可能である。
【0021】
メモリ112はさらに、水中か否か、水中通知部108を使用するか否か及び水中通知部108を使用する場合に通常通知部103を併用するか否かの設定情報を基にユーザに通知する通知部を通常通知部103又は水中通知部108に切り替えるプログラムを有する。
【0022】
次に、通常通知部103と水中通知部108とを制御する動作について詳細に説明する。図5は、携帯情報端末1の動作を示すフローチャートである。着信があったことや、予め設定したアラーム時刻に達したこと等をユーザに通知する場合、図5に示す判定処理を実施する。
【0023】
着信したこと又はあらかじめ設定された時間になったことを検出した制御部113は、先ず、水没センサ102から得られる情報により、携帯情報端末1が水中にあるか否かを判定する(ステップS301)。
【0024】
水中でない場合は、通常通知部103により通知する(ステップS301:NO)。
【0025】
水中である場合には(ステップS302:YES)、水中通知部108を使用するか否かの設定を確認する(ステップS302)。水中通知部108を使用しない設定の場合は、通常通知部103により通知する(ステップS302:NO)。
【0026】
水中通知部108を使用する場合は(ステップS302:YES)、通常通知部103を併用するか否かの設定を確認する(ステップS303)。通常通知部を併用しない場合は、水中通知部108により通知する(ステップS303:NO)。通常通知部を併用する場合は、水中通知部108及び通常通知部103の組み合わせにより通知する(ステップS303:YES)。
【0027】
以上により、水中であるか否かの情報を基に、着信があったことや、予め設定したアラーム時刻に達したこと等をユーザに通知する通知部を、通常通知部103又は水中通知部108に切り替える制御が可能となり、携帯情報端末1の通知部の設定及び使用環境に適した通知部を用いることが可能となる。
【0028】
本実施の形態においては、携帯情報端末がプールや浴槽などの水中にある状態で、着信があったこと、又は予め設定したアラーム時刻に達したことをユーザに通知する際に、大気中にある場合とは別の水中ならではの通知方法、すなわち、気泡発生による通知に切り替えることが可能となり、着信等の通知を目で楽しむことが可能となる。また、透明度の低い池等の汚水に水没し、所在が不明確となってしまった携帯情報端末を探す際に、水没した携帯情報端末に着信させることにより、気体発生部より水中で気体を放出して気泡を発生させることで、水面に浮上した気泡から、水面を見るだけで水中の携帯情報端末の所在を絞り込み易くすることが可能となる。
【0029】
実施の形態2
以下、本発明の実施の形態2について説明する。図6は、実施の形態2にかかる携帯情報端末2を示すブロック図である。図6は、携帯情報端末1に検知部201として水圧センサ214をさらに有し、また、水中通知部208として水中で携帯情報端末2本体を回転させるスクリュー部215をさらに有する。
【0030】
検知部201は、水圧センサ214により水圧を測定し、一定以上の水深にあるか否かを判定して水中通知部208を使用するか否かを判定すること及び水中通知部208としてスクリュー部215を用いて携帯情報端末2を回転させること以外は、実施の形態1での説明と同様であるため、重複する部分の説明は省略する。
【0031】
本実施の形態にかかる携帯情報端末2は、検知部201は水圧検知部としての水圧センサ214をさらに有し、制御部213は検知部201の検知結果に基づき通常通知部2103及び水中通知部208を制御する。水中か否かを判定する検知部201として、さらに水圧センサ214を併用することで、より正確に水中か否か、一定以上の水深にあるか否かを判定することが可能となる。
【0032】
また、水中通知部208は、さらに水中で携帯情報端末2本体を回転させるスクリュー部215を有する。スクリュー部215は内蔵されたCPU(不図示)により回転のオンオフを制御する。水中通知部208は、制御部213からの制御に基づいて、水中通知部208を用いてユーザに対し通知を行う。水中通知部208は、携帯情報端末1が水中にある場合に、気体発生部209を制御して気体を発生させること、もしくはスクリュー部215を制御して携帯情報端末2を回転させることのいずれか1以上を用いて通知を行う。
【0033】
図7は携帯情報端末2本体に搭載したスクリュー部215の位置を示す図である。72及び73がそれぞれスクリュー部215の搭載位置を示す。スクリュー部215の位置は、スクリュー部215の回転により携帯情報端末2本体が回転運動できる位置になるよう考慮する。
【0034】
図8は、水中でスクリュー部215を回転させることにより携帯情報端末2本体を回転運動させた時のイメージを示す図である。
【0035】
本実施の形態にかかる通知方法について詳細に説明する。図9は、携帯情報端末2の動作を示すフローチャートである。図9は、図5に水圧が一定以上かを判定する工程(ステップS502)を追加している。水圧が一定以上の場合(ステップS502:YES)、水中通知部208を使用するか否かを判定する(ステップS503)。水圧が一定以上でなければ(ステップS502:NO)、通常通知部203で通知する。ステップS502の工程以外は、実施の形態1での工程と同様である。
【0036】
本実施の形態においては、水中通知部208として、スクリュー部215を用いて携帯情報端末2を水中で回転させユーザに着信等を通知することができるので、水中でより効果的な通知をすることができ、着信等の通知を可視化することが可能となる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、気体発生にはタンクを用いるのではなく、燃料電池から発生するガスを用いるなどしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 携帯情報端末
2 携帯情報端末
21 水没センサ搭載位置
22 気体発生部搭載位置
71 水圧センサ搭載位置
72 スクリュー部搭載位置
73 スクリュー部搭載位置
101 検知部
102 水没センサ
103 通常通知部
104 スピーカ
105 バイブレータ
106 LED
107 表示部
108 水中通知部
109 気体発生部
110 操作部
112 メモリ
113 制御部
201 検知部
202 水没センサ
203 通常通知部
204 スピーカ
205 バイブレータ
206 LED
207 表示部
208 水中通知部
209 気体発生部
210 操作部
212 メモリ
213 制御部
214 水圧センサ
215 スクリュー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音、光及び振動のうちの1以上の手段により着信を外部に通知する通常通知部と、
水中で気体を放出して着信を外部に通知する水中通知部と、
水中であるか否かを検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づき前記通常通知部又は前記水中通知部のいずれで通知するかを切り換え制御する制御部と、を有する携帯情報端末。
【請求項2】
前記通常通知部及び前記水中通知部はさらに設定された時刻を外部に通知する請求項1記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記通常通知部及び前記水中通知部の少なくとも一方により通知させるための操作部をさらに有する請求項1又は2記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記水中通知部は、水中で前記携帯情報端末を回転させるスクリュー部をさらに有する請求項1乃至3のいずれか1項記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記検知部は、周囲の水圧を測定する水圧測定部をさらに有し、
前記制御部は、前記検知部の検知結果及び水圧測定結果に基づき、前記通常通知部又は前記水中通知部のいずれで通知するかを切り換え制御する請求項1乃至4のいずれか1項記載の携帯情報端末。
【請求項6】
前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づき、大気中では前記通常通知部により通知させ、水面から所定の水圧以内では前記通常通知部及び前記水中通知部により通知させ、所定の水圧以上では前記水中通知部により通知させる請求項5記載の携帯情報端末。
【請求項7】
音、光及び振動のうちの1以上の通常通知部により着信を外部に通知する通常通知工程と、
水中で気体を放出する水中通知部により着信を外部に通知する水中通知工程と、
水中であるか否かを検知する検知工程と、
前記検知部の検知結果に基づき前記通常通知部及び前記水中通知部のいずれで通知するかを切り換え制御する制御工程と、を有する耐水性の携帯情報端末の制御方法。
【請求項8】
前記通常通知部及び/又は水中通知部により、設定された時刻を外部に通知する工程をさらに有する請求項7記載の携帯情報端末の制御方法。
【請求項9】
周囲の水圧を測定する水圧測定工程をさらに有し、
前記制御工程は、前記検知工程の検知結果に基づき、大気中では前記通常通知部により通知させ、水面から所定の水圧以内では前記通常通知部及び前記水中通知部により通知させ、所定の水圧以上では前記水中通知部により通知させる請求項7又は8記載の携帯情報端末の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−66770(P2011−66770A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216982(P2009−216982)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】