説明

携帯情報端末

【課題】 表示画面をコンビニエンスストア等に設置されている通常の複写機により、表示画面の文字及び画像情報の複写を行うことが可能な表示部を有する携帯情報端末を提供する。
【解決手段】 本発明の携帯情報端末は、自身が発光手段を有さない反射型の表示方式であり、反射面上部の入射光及び反射光を透過させる表面層が偏光無依存型透明部材で形成されている表示部を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光の反射により、画像表示を行う反射型の表示手段、例えば電子ペーパーを表示画面として有する携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型や携帯型のパソコンを含む携帯情報機器の発達は著しく、商品販売・契約時等の様々な場面において、幅広く活用される様になってきている。
ところが、携帯情報機器を用いた商品販売においても、最終的には紙に印刷された説明や契約書類等が、販売側と顧客側とのコミニュケーションに必要不可欠となっており、保険販売等においては、携帯情報端末に付属したプリンタにより、説明した商品内容及び契約内容等の資料を印刷して、顧客に渡すことが行われている(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平07−239885号公報
【特許文献2】特開2002−108578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1及び2に示す装置にあっては、打ち合わせた契約内容の画面をプリンタにより印刷することが行われるが、上記画面と印刷された書類とが異なる印象を有しており、顧客側に対して十分な安心感を持たせられないという問題がある。
また、販売員は、所有している携帯情報端末がプリンタを有さない場合、一端、事務所または会社に戻り、資料を作成して顧客に送付するかまたは顧客を再度訪問する必要があり、顧客の心証を害する可能性がある。
【0004】
一方、現在、複写機がコンビニエンスストアや書店等に設置されており、携帯情報端末の表示画面を複写することができれば、販売員が顧客に説明した表示画面をそのまま印刷物として残すことができれば、顧客の安心感を得ることができ、そのまま契約書として使用することも可能である。
しかし、現在の携帯情報機器の表示部は、表示部が偏光板を透過させて画像を表示させる構造であるため、表示画面の画像が複写機により、複写することができない構造となっている。(この構造については、「発明を実施するための最良の形態」において、本発明の構造と比較して説明する。)
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、表示画面をコンビニエンスストア等に設置されている通常の複写機により、表示画面の文字及び画像情報の複写を行うことが可能な表示部を有する携帯情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯情報端末は、自身が発光手段を有さない反射型の表示方式であり、反射面上部の入射光及び反射光を透過させる表面層が偏光無依存型透明部材で形成されている表示部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の携帯情報端末は、前記表示部が、前記表面層と、該表面層の下部に設けられた透明電極と、該透明電極に対向して設けられた対向電極と、該対向電極及び前記透明電極間に画素単位で反射/無反射状態が制御される表示素子とを有しており、前記表示素子が、透明電極と対向電極との間の電界の方向により反射/無反射状態が制御されることを特徴とする。
【0008】
本発明の携帯情報端末は、前記表示素子の反射及び無反射状態でのコントラスト比が6対1以上であることを特徴とする。
本発明の携帯情報端末は、前記表示素子の反射状態での反射率が35%以上であることを特徴とする。
【0009】
本発明の携帯情報端末は、前記表示部の表示画面の面積が50×75mm以上であり、50×75mm,100×150mm,142×213mm,164×246mm,174×260mmのいずれかであることを特徴とする。
【0010】
本発明の携帯情報端末は、前記表示部に表示された表示画像を複写機にて複写する際、複写機の原稿台の複写領域に、表示部を適切に配置させる、取りはずし可能な固定枠が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の携帯情報端末は、前記固定枠が複写機の用紙サイズ検出器の位置に、延伸された一部が配置され、所定の用紙サイズに対応させ、表示部の画像を複写する際の拡大率が、前記延伸された一部に示されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の携帯情報端末によれば、表示画面をコンビニエンスストア等に設置されている通常の複写機により、表示画面の文字及び画像情報の複写を行うことが可能となる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による携帯情報端末を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成例を示す携帯情報端末の一例である。
この図において、表示部1には、キー部2の各キーにより入力されたデータにより、携帯情報端末内部の制御部により所定の演算がなされ、この演算結果として所定の画像データが表示される。
【0014】
次に、図を参照して表示部1について詳細に説明する。図2は、本実施形態による携帯情報端末で使用される表示部1の断面構造を示す概念図である。
透明部材10は偏向無依存型の透明材料、例えば通常のガラス、透明フィルムなどから構成されている。この偏向無依存型とは、色々な波の偏りを有する自然光を、偏光による減衰をさせずに透過させる性質を示している。
透明電極11は、上記透明部材10の下部表面に設けられており、ITO(インジウム・錫酸化物)等により形成されている。
【0015】
基板12は、上記透明部材10の下部に、この透明電極11と所定の距離にて対向して配置され、裏面には対向電極13が形成されている。透明電極11と対向電極13とは、平面視においてマトリクス上に形成されて、マトリクスの交点が画素となるように配置されている。
そして、背面板14は、基板12の下部に、表示部1全体の固定部材として最下層に設けられている。
【0016】
また、透明部材10と基板12とが対向した空間は、隔壁15により、複数のセル(小部屋)に分割されており、小部屋の内部に所定の粘度を有する溶媒が充填され、この溶媒中に所定数の着色粒子(16,17)が混入されている。この着色粒子は、表示部1が白黒画面であると、黒色に着色された黒粒子16と白色に着色された白粒子17との2つの粒子から構成されている。
【0017】
また、着色粒子は、表示部1がカラー画面であると、白粒子と、黒粒子と、RGBに対応した各色に着色された色粒子との5つの粒子から構成される。
すなわち、カラーの場合、白粒子及び黒粒子と、白粒子及び赤粒子と、白粒子及び緑粒子と、白粒子及び青粒子と、の4つの組合せが各々独立したセルに溶媒とともに封止され、各色の表示を行う。
【0018】
そして、上記白粒子17及び黒粒子16は、各々異なった極性に帯電されており、例えばし白粒子17が(+)の極性に帯電されており、黒粒子16が(−)の極性に帯電されている。
この結果、透明電極11を0Vの接地電圧とし、画素毎に制御可能な上記対向電極12を+Vの電圧とすることにより、白粒子17が上部へ、すなわち透明電極11側へ引きつけられ、一方、黒粒子16が下部へ、すなわち対向電極12側へ引きつけられ、このセル部(画素)は入射光を反射して白く見えることになる(反射状態)。
【0019】
また、透明電極11を0Vの接地電圧とし、上述と逆に、上記対向電極12を−Vの電圧とすることにより、白粒子17が下部へ、すなわち対向電極12側へ引きつけられ、一方、黒粒子16が上部へ、すなわち透明電極11側へ引きつけられ、このセル部(画素)は入射光を反射することなく黒く見えることになる(無反射状態)。カラーの場合の制御も同様である。
上述したように、透明電極11の電圧に対して、対向電極13の電圧の極性を+と−とのいずれかとして、各画素毎において着色粒子にかかる電界の向きを制御することにより、反射状態または無反射状態のいずれとするかの制御を行う。
【0020】
ここで、上述した表示部1の表示画面の表示画像を複写機にて複写する方法について説明する。
図3は一般的に使用されている複写機の構造を示す概念図である。
原稿台100の上部に被複写物101(例えば、本発明の携帯情報端末の表示部1)を、被複写面を原稿台100の上部面に接するように配置する。
そして、複写機は、複写開始のボタンを押すと上記被複写面の複写の動作を開始する。
【0021】
複写機は、被複写物101を載せる透明な平板(原稿台100)の下に、線形光を照射する線形光源102と、上記線形光を検出する線形光学検出器103とがあり、両者が一緒に被複写物101を走査する構造となっている。
すなわち、線形光源102から放射された照射光は、鏡104を介して被複写物101の被複写面に入射する。
そして、この入射光が被複写面にて反射し、この反射光が鏡105を介して、線形光学検出器105により検出されて、被複写物の画像データとされ、図示しない後段の画像処理部へ出力される。
【0022】
このとき、被複写物101への線形光源102からの照射光の照射方向と、光学検出器103とが受光する反射光との方向は、物理的に配置させることが困難であるが故に、所定の角度θを有し、図4に示すように一致していない。
したがって、被複写物101の被複写面を歪曲のない画像として捉えるため、線形光学検出器103が反射光を受光する方向を、被複写物101の被複写面の鉛直方向として構成している。
【0023】
一方、線形光源102が照射光を照射する方向は、先に述べたように受光方向に重ねることが出来ない。照射光を受光方向にほぼ一致させると、表面での反射光強度が強すぎてしまい、被複写面のテカリが強くなり、被複写面における画像及び文字の識別が困難となってしまう。
また、被複写面に沿うような角度においては、線形光源102の照射の効率が著しく落ちてしまう。
上述した理由から、受光方向に対し、照射方向のなす角度は、5〜70°以内に収まる斜め方向に設定されるのが通常である。
【0024】
このとき、被複写物101が紙であれば問題にならないが、携帯情報端末の表示部の画像を複写使用とした場合、従来の携帯端末の表示部は液晶ディスプレイで構成されており、この液晶ディスプレイにおいては、構造上、十分判読に耐え得る画像を複写し難い場合が存在する。
すなわち、液晶ディスプレイは、反射型であったとしても、液晶により表示部裏面による反射光の偏光を制御し、表面の偏光板により偏光した光を通過させるかさせないかにより、画像を表示する構造のため、上記偏光板が線形光源102からの照射光(自然光)を、透過光として多くても50%程度しか通さないためである。
【0025】
上記照射光は、自然光であるため、偏光の方向が統一されておらず、偏光板において半分近くが透過されない。
さらに、透過型液晶ディスプレイにおいては、自発光であるため、複写機の線形光源102からの照射光を反射させるようには設計されていない。
このため、透過型液晶ディスプレイにおいては、十分にバックライトを明るくすることは効果があるかもしれないが、画像表示のコントラストが取り難くなるとともに、バッテリの消耗が大きくなってしまう。
【0026】
一方、本発明の携帯情報端末に搭載された表示部1の場合、光の偏光を制御して画像を表示するのではなく、所定の極性に帯電された着色粒子を電界により制御して、表示面を画素単位に反射状態及び無反射状態として画像及び文字の表示を行なっている。
このため、本発明の表示部1は、画像のコントラストを十分に得られるよう、表面層に偏光板ではなく、偏光無依存型の透過部材を用いているため、自然光である入射光を減衰させることがない。
したがって、本発明の表示部1は、コンビニエンスストア等に設置されている通常の複写機により、表示画面の複写を容易に得ることができる。
【0027】
このとき、判読に耐え得る複写結果を得るためには、まず被複写物101である表示部1の表示画面の文字及び画像が判読に耐え得る表示でなければならない。
ここで、どのような表示が読むに耐え得るか研究した報告はいくつかあり、例えばIDW2003(International Display Workshop)における報告(H. Isono, et al., ”The Effects of Contrast and Reflectance on the Readability of Characters Printed on Postcards”)がある。
上述の文献によると、読むに耐え得る表示には、白地の反射率が少なくとも35%以上必要であり、かつ、反射状態及び非反射状態のコントラスト比が少なくとも6:1以上であることが必要であることが記載されている。
したがって、表示部1の表示画面は、複写機の光学系においてこれらの値を満足する必要がある。
【0028】
また、通常の複写機の印刷可能な解像力は、300dpi以上と画面の解像度より圧倒的に高い能力である。
このため、複写される情報の量と表示品質とは、複写元となる被複写物101の被複写面の表示能力で定まることとなる。
SVGA(600×800ドット)より少ないディスプレイの規格は、VGA(640×480ドット)、及びQVGAである。
【0029】
一方、画面を複写して意味があるのは、一画面に十分な情報が表示できるものである。標準的なテキスト文書、例えばワードプロセッサで標準的とされる文書形式は、横40文字縦45行である。
上記VGAを拡大してA4サイズの文書にしたとすると、480ドットで40文字を表現することになり、単純計算で1文字は12×12ドットで表現されることになる。
日本語、特に漢字をこのドット数で表現することは難しく、SVGAであれば、600ドットで40文字を表現することから、1文字15×15ドットとなる。
駅構内など見かけるLED表示器において、16×16ドット文字が使われていることと、LED表示器ではあまり使われない階調表現も考慮すれば、A4サイズの文書に拡大することを前提とした場合、この1文字15×15ドットが漢字表示可能な下限であり、表示部1はSVGA以上の解像力とする必要があるため、表示画面1の解像度を600×800ドット以上で形成する。
【0030】
また、現在、公に用いられる文書サイズは、一般的にA4サイズである。
一方、通常の複写機の拡大複写機能として、予め拡大率が設定されたボタンと、任意の拡大率を設定できるボタンがある。
予め設定された拡大率は、115%、122%、141%、200%であり、任意の拡大率の最大値は400%である。
これらの拡大率で拡大されてA4サイズに元のサイズとしては、142×213mm、164×246mm、174×260mm、100×150mm、50×75mmのサイズである。
【0031】
したがって、本発明の携帯情報端末における表示部1の表示画面の面積は、142×213mm、164×246mm、174×260mm、100×150mm、50×75mmのいずれかのサイズとする。
こうすることにより、通常の液晶ディスプレイの大きさの規格は、複写機における印刷用紙の大きさの規格と異なっているため、単に拡大しても画面をそのまま紙に複写することはできず、縦か横が切れることになるが、本発明はこれを回避することが可能となる。
【0032】
そして、携帯情報端末の形状面を考えると、ノート型パソコンなどの小型パーソナルコンピュータは、本体を開いて使用するよう設計されており、開いた一方の面がディスプレイであり、他方の面がキーボードとして構成されている。
このため、多くの製品においては、一方と他方とを180°まで開く構造となっておらず、たとえ開ける製品であっても、表示面に対して突出したヒンジなどにより、原稿台100に平らに置くことができない。
一方、複写機は、被複写物101を歪曲なく複写するよう、被複写面を原稿台100に合わせて載せるよう設計されているが、平らでない形状のものを複写機の原稿台と平行に置くことは難しい。
上述した理由より、本発明の携帯情報端末はPDA(登録商標)の形状が望ましい。
【0033】
また、PDA(登録商標)は、表示部のディスプレイ側は概ね平らであり、複写機の原稿台100の表面に対して並行に置くこと自体はたやすくできる。
ここで、複写機の原稿台100は、被複写物101を走査する上で、走査範囲を設定するため、被複写物101の位置あわせを行う基準点(原点)が設けられている。
そして、被複写物101の角を原稿台100の上記原点に合わせることで、所定の用紙サイズに複写できるように設計されている。
【0034】
このため、携帯情報端末の表示部1の表示画面をそのまま複写する際、この表示画面の被複写面製品を原稿台100へ対向させて伏せることになる。
ここで、小型パーソナルコンピュータはもちろんのことPDA(登録商標)においても、表示画面の周りには枠があるため、表示画面の角を原稿台100の上記原点に正確に合わせることは容易ではない。
また、複写機には、非複写物101の大きさを自動的に検知する検出器があり、この検出器が非複写物101の大きさを検知できない場合、ユーザーに用紙サイズの設定を要求する。
【0035】
また、小型パーソナルコンピュータ及びPDA(登録商標)等の携帯情報端末そのものの大きさも、印刷用紙の大きさの規格とは異なっており、この携帯情報端末を原稿台100に載せただけだと、上記検出器は携帯情報端末の大きさを、非複写物101の被複写面である表示画面の大きさであると、誤って認識してしまうし、複写機の検出器が判別できる被複写物101の大きさは、印刷用紙の規格で定まった大きさである。
上述したが、複写機の拡大複写機能は、予め拡大率が設定されたボタンと、任意の拡大率を設定できるボタンがあり、予め設定されている拡大率が、115%,122%,141%,200%であり、任意の拡大率の最大値は400%である。
【0036】
そして、これらの拡大率で拡大されてA4サイズとなるのは、142×213mm、164×246mm、174×260mm、100×150mm,50×75mmのサイズである。
被複写物101の被複写面のによって、何倍に拡大複写すれば、表示画面を印刷用紙の紙面に収めるに好適なのかは、従来であると、複写動作を何度か試行錯誤して、複写結果を確認してみないと分からなかった。
また、一旦適切な拡大率が分かっても、次に複写する際に、適切な拡大率を忘れてしまう可能性があり、複数の表示装置を持つ場合、複写処理を行う度に混乱する場合がある。
【0037】
したがって、本発明の携帯情報機器には、取り外し及び取り付け可能な固定枠が搭載されており、表示部1の画像表示面のみを露出させる穴が開いており、キー部2などの複写する必要のない部分をカバーして、複写を行いやすくしている。
上記固定枠は、反射率が高い白色等により塗装されており、また一部が用紙サイズの検出器の位置、例えばA4サイズを検知する検出器の位置に延伸されている。
これにより、上記検出器が上記固定枠の延伸された部分によって被印刷物がいずれの用紙サイズであるかを検出することができる。
【0038】
また、この固定枠の延伸させた一部の裏面、すなわち、携帯情報端末の表示画面を、原稿台100に対向させるように乗せた際、利用者が見える位置に、例えばA4のサイズの印刷用紙に拡大するための拡大率が記載されている。
さらに、固定枠には、表示部1の表示画面の角を、原稿台100の上記原点に正確に合わせるための配置マークが、利用者が見える位置に記載されている。
【0039】
また、上述した表示部1は、図2に示した構造に特定されるものでなく、以下に示す構造のものでも、表面層の透明部材に偏光無依存性の材料が使用されていて、入射光を反射して画像表示を行う構成のものであり、コントラスト比や反射率を満足させられるであれば使用することが可能である。
図5に示す構造は、図2に示した表示部1と同様に、溶媒中に、帯電した着色粒子が分散しており、これに電圧を印加すると、着色粒子が電界の向きに応じて移動させる電気泳動方式、すなわちこの溶媒中における着色粒子の移動により、着色粒子を観察者に見せる見せないで表示を行う方式である。
特に、図5の構造は、隔壁を特に設けず、単に透明電極と対向電極との間に、所定の粘度を有した溶媒を挟持している。
【0040】
また、図6には、図2に示した表示部1のように、隔壁を設けて画素に対応したセルを形成するのではなく、マイクロカプセルを2枚の基板で挟持する構成が示されている。
ここで、上記マイクロカプセルには着色粒子が分散された溶媒が封止されており、透明電極と対向電極とにより、着色粒子の移動を制御して、反射及び非反射の制御を行う。
【0041】
そして、着色粒子を分散させた溶媒は、
1)図7に示すように、透明な溶媒に、ある色の粒子を分散させる
2)図8に示すように、着色した溶媒に、ある色の粒子を分散させる
3)図9に示すように、透明な溶媒に、ある色の粒子と別の色の粒子とを分散させる
4)図10に示すように、着色した溶媒に、別の色の粒子とさらに別の色の粒子とを分散させる
、などのバリエーションの構成が考えられる。
【0042】
また、帯電した粒子を溶媒において、電界の制御により移動させる電気泳動方式ではなく、その他、本発明に適用可能な表示方式を以下に示す。
すでに述べたように、偏光板を用いない反射型表示方式が好適であり、そのような方式としては、以下のものがある。
図11に示すボール回転方式として、1つのボールにおいて上半球/下半球で、着色/帯電が異なる微小な球体を、2枚の基板(透明電極及び対向電極)の間に封じ、電圧を印加すると、このボールが電界の向きに応じて回転するもの。
【0043】
また、図12に示す粉体移動方式として、上述した電気泳動方式と異なり溶媒がなく、空気または任意のガス中に、帯電した着色粒子があり、電圧を印加すると、着色粒子が電界の向きに応じて移動するもの。
さらに、図13に示す高分子分散液晶方式として、高分子(樹脂)中に出来た空隙(液胞:ポリマーネットワーク)に液晶を封じ、閾値以上の電圧の有無で、液晶が光を透過/散乱するもの。
図13(a)は、電圧を印加しない状態で、液晶が無秩序に配向しており、入射光を散乱、すなわち反射する。
一方、図13(b)は電圧を印可した状態で、液晶が秩序を有し配向しており、入射光を透過する。
【0044】
図14に示すコレステリック液晶方式とは、2枚の基板(透明電極及び対向電極)の間に、コレステリック液晶を挟持し、電圧の印加の仕方で、画面の光を通す透過状態(Focal cinic)と、液晶がとる螺旋構造のピッチに応じて特定の波長の光のみを反射する選択反射状態(Planer)との2状態とするものである。
また、透過状態(Focal cinic)と選択反射状態(Planer)との遷移の際に、中間状態(Homeotropic)となる。
そして、コレステリック液晶の場合には、CN液晶ディスプレイとして構成する際、後方に反射板を配置し、透過状態(Focal cinic)を明るい表示とし、、選択反射状態(Planer)を暗い表示とすることが行われている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態の構成例を示す携帯情報端末の概念図である。
【図2】本発明の一実施形態による表示部1の断面構造を示す概念図である。
【図3】複写機の複写処理を説明するための、複写機の構造を説明する概念図である。
【図4】図3における照射光の照射方向及び反射光の受光方向との対応関係を説明する概念図である。
【図5】他の実施形態の表示部の断面構造を示す概念図である。
【図6】他の実施形態の表示部の断面構造を示す概念図である。
【図7】他の実施形態の表示部の断面構造を示す概念図である。
【図8】他の実施形態の表示部の断面構造を示す概念図である。
【図9】他の実施形態の表示部の断面構造を示す概念図である。
【図10】他の実施形態の表示部の断面構造を示す概念図である。
【図11】他の実施形態の表示部の断面構造を示す概念図である。
【図12】他の実施形態の表示部の断面構造を示す概念図である。
【図13】他の実施形態の表示部の断面構造を示す概念図である。
【図14】他の実施形態の表示部の断面構造を示す概念図である。
【符号の説明】
【0046】
1…表示部 2…キー部
10…透明部材 11…透明電極
12…基板 13…対向電極
14…背面板 15…隔壁
16…黒粒子 17…白粒子
100…原稿台 101…被複写物
102…線形光源 103…線形光学検出器
104,105…鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身は発光手段を有さない反射型の表示方式であり、反射面上部の入射光及び反射光を透過させる表面層が偏光無依存型透明部材で形成されている表示部を有することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記表示部が
前記表面層と
該表面層の下部に設けられた透明電極と
該透明電極に対向して設けられた対向電極と
該対向電極及び前記透明電極間に画素単位で反射/無反射状態が制御される表示素子と を有しており、
前記表示素子が、透明電極と対向電極との間の電界の方向により反射/無反射状態が制御されることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項3】
前記表示素子の反射及び無反射状態でのコントラスト比が6対1以上であることを特徴とする請求項2記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記表示素子の反射状態での反射率が35%以上であることを特徴とする請求項2及び3に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記表示部の表示画面の面積が50×75mm以上であり、50×75mm,100×150mm,142×213mm,164×246mm,174×260mmのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯情報端末。
【請求項6】
前記表示部に表示された表示画像を複写機にて複写する際、複写機の原稿台の複写領域に、表示部を適切に配置させる、取りはずし可能な固定枠が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の携帯情報端末。
【請求項7】
前記固定枠が複写機の用紙サイズ検出器の位置に、延伸された一部が配置され、所定の用紙サイズに対応させ、表示部の画像を複写する際の拡大率が、前記延伸された一部に示されていることを特徴とする請求項6に記載の携帯情報端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−64775(P2006−64775A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244276(P2004−244276)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】