説明

携帯機器

【課題】筐体内に電子部品を収容してなる携帯機器において、人体から筐体に放電される静電気をより確実に逃がすことができ、筐体内の電子部品をより効果的に保護し得る構成を提供する。
【解決手段】携帯端末1は、一部が把持部3として構成されたケース2が設けられており、ケース2の一方面側から導電性の第1導電部41が露出している。また、把持部3において導電性の第2導電部42が露出しており、一方面側を載置面Fに対向させてケース2を載置したときに第1導電部41が載置面Fと当接するように構成されている。更に、第1導電部41及び第2導電部42よりも大きい抵抗値で構成された抵抗器R1、R2、R3、R4が設けられており、第2導電部42と第1導電部41との間に抵抗器を介在させて通電路が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯型の光学的情報読取装置や携帯電話などの携帯機器は、使用者が手に持った状態で使用されることが多く、使用者に帯電した静電気が機器を構成する電子部品に悪影響を及ぼすことが問題視されている。例えば、機器を構成する電子部品に対して耐圧を越えた静電気が印加されると、誤動作や素子破壊等の原因となり得るため、携帯機器ではこのような静電気を想定した対策が求められており、特に、近年では、電子部品の低電圧化に伴いこの問題が重要視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−130912公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような問題に対し、現在では、電子部品に対する沿面距離の確保やケースのシールド塗装などの対策が提案されている。例えば、特許文献1では、キー側筐体(10)の内部にカメラ(15)やメイン基板(13)が配設された携帯端末装置が開示されており、この携帯端末装置では、ケース部品において電子部品を収容して保持する保持部が形成され、この保持部の内面に導電塗装が施されている。そして、導電塗装が施された導電部位がメイン基板(13)のGNDと電気的に接続されており、静電気が印加されたときには、この静電気による電流を導電部位からメイン基板(13)のGND側に逃がしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1のように筐体に導電塗装を施す場合、導電塗装に起因するコストの増大が避けられず、機器全体のコスト高騰が懸念される。また、特許文献1の技術は、静電気に起因して発生する放電電流をメイン基板のGND側のみに逃がしており、機器内で閉じた放電経路を構成しているため、人体等に帯電した大量の静電気を確実に逃がすことができないという問題もある。更に、大量の放電電流がメイン基板側に流れることに起因して機器が誤動作することも懸念される。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、筐体内に電子部品を収容してなる携帯機器において、人体から筐体に放電される静電気をより確実に逃がすことができ、筐体内の電子部品をより効果的に保護し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、電子部品を実装してなる回路基板と、前記回路基板を収容する筐体とを備え、前記筐体の少なくとも一部に把持部が設けられた携帯機器であって、導電性材料によって構成されると共に前記筐体の一方面側から外部に露出して配置され、前記一方面側を載置面に対向させて前記筐体を載置したときに前記載置面と当接するように構成される第1導電部と、導電性材料によって構成されると共に前記把持部において前記筐体の外部に露出して配置された第2導電部と、一端側が前記第1導電部と導通し、他端側が前記第2導電部と導通して配置され、前記第1導電部及び前記第2導電部よりも大きい抵抗値で構成された抵抗器とを有し、前記第2導電部と第1導電部との間に前記抵抗器を介在させて通電路が構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、載置時に載置面に接触する第1導電部と把持部に配置される第2導電部との間に抵抗器を介在させて通電路が構成されているため、載置面に置かれた携帯機器を手に取る時、或いは把持していた携帯機器を載置面に置く時などにおいて、人体側に蓄積された静電気を、基板上の電子部品には流さずに地面に緩やかに且つ確実に逃しやすくなり、機器の静電気耐圧を効果的に高めることができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、筐体が、長手状に構成されると共に筐体の一方面側に配置された底壁部と、長手状に構成され且つ一方面とは反対面側に配置される上壁部と、上壁部と底壁部とを連結すると共に上壁部及び底壁部の長手方向に沿って配置される一対の側壁部とを備え、当該筐体の長手方向の少なくとも一部が把持部として構成されており、把持部において上壁部及び側壁部の少なくともいずれかの壁部から露出する構成で第2導電部が配置されている。このように、機器が載置面に載置されているときに、手が最初に触れ易い位置に第2導電部を配置すれば、より早期に且つより確実に静電気を逃がすことができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、筐体の一方面とは反対面側において、当該筐体の長手方向一方寄りに表示装置が設けられ、筐体の反対面側において、当該筐体の長手方向他方側に複数の操作ボタンが配置されている。また、筐体の長手方向他方側において側壁部から露出する構成で第2導電部が設けられている。このような構成では、携帯機器を使用する場合に筐体の表示装置側を避けて操作ボタン側が把持され易く、そのような位置に第2導電部を配置すれば、静電気をより確実に逃がし易くなる。
【0011】
請求項4の発明によれば、第2導電部は、側壁部において筐体の長手方向一方側の位置にも設けられている。このような構成では、操作ボタン側を把持された場合であれば、当然に第2導電部の存在により静電気を逃がすことができ、一方で、表示装置側を把持された場合であっても、第2導電部が存在することで、より広範囲に亘って静電気を逃がすことができる。
【0012】
請求項5の発明によれば、底壁部における長手方向一端側及び他端側の少なくともいずれか一方に、下方側に凸となる凸部が形成されており、凸部に第1導電部が設けられている。このような構成では、携帯機器が載置面に載置される時に、下方側に突出する凸部に設けられた第1導電部が載置面に確実に接触し易くなる。また、第1導電部をそれほど広い構成にしなくても第1導電部を載置面に確実に接触させることができるため、第1導電部の面積の低減を図ることができ、コスト面や構成簡素化の面で有利となる。
【0013】
請求項6の発明によれば、回路基板と第2導電部とが電気的に絶縁されている。このような構成では、静電気による放電電流が回路基板側には回り込むことがなくなり、回路基板を静電気からより確実に保護することができる。
【0014】
請求項7の発明によれば、抵抗器は筐体の内部に収容されており、第2導電部から第1導電部に至るまでの通電路が筐体内部を通って構成されている。このような構成では、筐体外に抵抗器等を配置する必要が無くなるため、導電経路を全て筐体外に配置する構成と比較して筐体外の部品点数や経路面積を削減して簡易な構成にまとめることができ、デザイン性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る携帯機器を概略的に例示する側面図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る携帯機器を概略的に例示する平面図である。
【図3】図3(A)は、図1の携帯機器の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3(B)は、情報コード読取部の構成を例示するブロック図である。
【図4】図4は、図1の携帯機器の内部構造を概略的に示す説明図である。
【図5】図5は、図1の携帯機器の内部構造の一部を拡大して説明する説明図である。
【図6】図6は、図1の携帯機器を把持したときの放電の様子を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の携帯機器を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(全体構成)
まず、図1〜図3等を参照して実施形態に係る携帯機器1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る携帯機器を概略的に例示する側面図である。図2は、第1実施形態に係る携帯機器を概略的に例示する平面図である。図3(A)は、図1の携帯機器の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図3(B)は、情報コード読取部の構成を例示するブロック図である。
【0017】
図1に示す携帯機器1は、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられるものであり、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能を有している。図1、図2に示すように、携帯機器1は、全体的に長手状に構成されており、長手状のケース2によって外郭が構成され、このケース2の内部に各種部品(各種電気部品等)が収容されている。ケース2は、例えば樹脂材料などからなる複数のケース体によって構成され、これらが結合した箱状形態をなしている。
【0018】
本実施形態では、ケース2の長手方向を前後方向とし、表示装置11(図2)が形成された側を前方側、それとは反対側を後方側としている。また、ケース2の厚さ方向を上下方向とし、キー操作部14や表示装置11が設けられた側を上方側、それとは反対側を下方側としている。また、これら前後方向及び上下方向と直交する方向を幅方向(横方向)としている。なお、図1等では前後方向をX軸方向として示しており、上下方向をY軸方向として示している。また、幅方向(横方向)をZ軸方向としている(図示は省略)。
【0019】
ケース2の前方側且つ下方側には情報コードからの反射光を取り込む読取口(図1、図2では図示略)が形成されている。この読取口は、ケース2の内部に光を取り込みうる開口形状となっており、その開口が透明部材(例えば透明の樹脂部材)によって閉塞された構成をなしている。また、携帯機器1には、ケース2から露出する形態で様々な部品が設けられている。例えば、図2に示すように、上面側には、表示装置11や、複数個の操作ボタン14a(数字キーや機能キー等)を有するキー操作部14が設けられており、図1に示すように、側面側には、読取指示用のトリガスイッチ13などが設けられている。
【0020】
次に、電気的構成について説明する。携帯機器1におけるケース2の内部には、図3(A)に示すように、携帯機器1全体を制御する制御部10が設けられている。この制御部10は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有しており、メモリ16と協働して情報処理手段として機能している。また、制御部10には、表示装置11、スピーカ12、トリガスイッチ13、キー操作部14、外部インターフェース15なども接続されている。
【0021】
更に、制御部10には、通信部20が接続されている。この通信部20は、例えば規格化された公知の通信方式(例えばIrDA通信方式、Bluetooth(商標名)通信方式等)でデータ通信を行うインターフェースとして構成されている。
【0022】
トリガスイッチ13やキー操作部14は、制御部10に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部10は、これらからの操作信号を受けて操作信号の内容に応じた各種制御を行う。表示装置11は、例えば液晶表示器として構成されており、制御部10からの指令を受けて様々な表示動作が行われるようになっている。外部インターフェース15は、外部(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御部10と協働して通信処理を行うように構成されている。また、ケース2内には、電源となる電池17や電源部18が設けられており(図1では図示略)、これらによって制御部10や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0023】
また、制御部10には、情報コード読取部30が接続されている。この情報コード読取部30は、図3(B)に示すように、CCDエリアセンサ等の受光センサ33、結像レンズ37、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部31などを備えた構成をなしており、制御部10と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。この情報コード読取部30によって読み取りを行う場合、まず、制御部10によって指令を受けた照明部31から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードC(バーコードや二次元コード)にて反射した反射光Lrは、読取口5を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ37を通って受光センサ33に入射する。読取口5と受光センサ33との間に配される結像レンズ37は、情報コードCの像を受光センサ33上に結像させる構成をなしており、受光センサ33はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ33から出力された受光信号は、データとしてメモリ16(図3(A)))に記憶され、デコード処理に用いられる。なお、情報コード読取部30には、受光センサ33からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0024】
(特徴的構成)
次に、図1〜図6等を参照し、本実施形態の特徴的構成について詳述する。
図4は、図1の携帯機器の内部構造を概略的に示す説明図である。図5は、図1の携帯機器の内部構造の一部を拡大して説明する説明図である。図6は、図1の携帯機器を把持したときの放電の様子を説明する説明図である。なお、図4は、図1のA−A位置で断面概略図であり、切断面のハッチングや一部部品(基板に実装される電子部品等)は省略して示している。
【0025】
まず、ケース2の構造について詳しく説明する。
ケース2は、上下左右及び前後をそれぞれ壁部によって囲んでなる箱体として構成されており、厚さ方向一方面側(即ち上面側)には長手状の上壁部2aが設けられており、厚さ方向他方面側(即ち、下面側)には、その長手状の上壁部2aと対向する構成で長手状の下壁部2bが設けられている。更に、ケース2の幅方向両側には、上壁部2a及び底壁部2bの長手方向に沿って配置される一対の側壁部2c、2bがそれぞれ長手状に設けられている。また、ケース2の前後を閉塞する構成で、前壁部や後壁部も設けられている。
【0026】
このように構成されるケース2では、当該ケース2の長手方向の少なくとも一部が把持部として構成されており、図2の例では、表示装置11の表示領域の後端部11aよりも後方側の領域が把持部3とされている。図1、図2等に示す例では、ケース2の長手方向一方側(前方側)の所定位置に表示装置11が配置されており、長手方向において表示装置11が配置される領域では、ケース2の幅が、ケース2における平均幅よりも大きい第1の幅W1となっている。また、ケース2の長手方向他方側(後方側)は、少なくとも長手方向中心位置よりも後方側の領域C全体が、上記第1の幅W1よりも幅が小さく構成されている。また、領域Cの大部分はケース2における平均幅よりも小さい第2の幅W2となっている。
【0027】
次に、導電部及び導電路について詳しく説明する。
本実施形態に係る携帯機器1では、上記ケース2の内部又は外部において、第1導電部41、第2導電部42、抵抗器R1〜R4、内部導電部材50などが設けられている。そして、第1導電部41と第2導電部42との間に抵抗器R1〜R4を介在させて通電路が構成されている。
【0028】
図1に示すように、第1導電部41として、前側第1導電部41aと後側第1導電部41bとが設けられており、これら前側第1導電部41a及び後側第1導電部41bはいずれも、導電性材料(金属材料や導電性の樹脂材料等)によって構成され、ケース2の一方面側(下面側)から外部に露出して配置されている。そして、図1のように下方側を載置面Fに対向させてケース2を載置したときには、前側第1導電部41a及び後側第1導電部41bのいずれもが載置面Fと当接するように構成されている。
【0029】
図1に示すように、ケース2の下方側において長手方向一端側(前方側)には、下方側に凸となる凸部44が形成されている。この凸部44は、ケース2の底壁部2bの外壁面(下面)よりも下方側に突出して設けられており、当該凸部44に前側第1導電部41aが設けられている。従って、図1のようにケース2の底壁部2bを載置面Fと対向させるように携帯機器1を載置したときに、突出した凸部44に設けられた導電部(前側第1導電部41a)が載置面Fに当接し易くなっている。
【0030】
また、図1、図4に示すように、第2導電部42として、右側第2導電部42aと左側第2導電部42bとが設けられている。右側第2導電部42aは、携帯機器1を前方側から正面視したときに右側に配置され、左側第2導電部42bは携帯機器1を前方側から正面視したときに左側に配置されるようになっている。そして、これら右側第2導電部42a及び左側第2導電部42bはいずれも、導電性材料(金属材料や導電性の樹脂材料等)によって構成され、ケース2の両側壁部2c、2d側から外部に露出して配置されている。
【0031】
本実施形態では、上述したように、ケース2において表示装置11の後端部11aよりも後方側の部分が把持部3とされており、右側第2導電部42a及び左側第2導電部42bはいずれも把持部3においてケース2の外部に露出した構成で配置されている。また、右側第2導電部42a及び左側第2導電部42bはいずれも、ケース2の長手方向の中心よりも後方側に配置されており、且つ、厚さ方向において上面側寄りに配置されている。従って、ケース2の後方側を把持したときに、右側第2導電部42a及び左側第2導電部42bのいずれかの位置に手が接触し易く、上面側寄りに配置されているため、端末を把持する指が右側第2導電部42a及び左側第2導電部42bのいずれかに届き易くなっている。
【0032】
また、本実施形態では、内部導電部材50(内部中央導電路51a,51b、内部前側導電路52a,52b、内部後側導電路53a,53b)がいずれもケース2の内部において当該ケース2の長手方向に沿って配置されている。これら内部中央導電路51a,51b、内部前側導電路52a,52b、内部後側導電路53a,53bは、いずれも導電性材料(金属材料や導電性の樹脂材料等)によって構成されており、静電気に起因する放電電流を流す経路として機能している。
【0033】
このうち、内部中央導電路51a,51bは、右側第2導電部42a、左側第2導電部42bにそれぞれ連結されて、これら右側第2導電部42a、左側第2導電部42bにそれぞれ導通している。
【0034】
そして、内部中央導電路51a,51bの前側には、間隔をあけて内部前側導電路52a,52bがそれぞれ配置されている。そして、内部中央導電路51aの前端部側には抵抗器R1の一端が接続され、内部前側導電路52aの後端部側には抵抗器R1の他端が接続されており、更に内部前側導電路52aの前端部側には、前側第1導電部41aが形成されている。これにより、右側第2導電部42aと前側第1導電部41aとの間には、内部中央導電路51a、抵抗器R1、内部前側導電路52aによる導電路が構成され、右側第2導電部42aと前側第1導電部41aとが導通している。
【0035】
更に、内部中央導電路51aの後端部側には抵抗器R2の一端が接続され、内部後側導電路53aの前端部側には抵抗器R2の他端が接続されており、更に内部後側導電路53aの後端部側には、後側第1導電部41bが形成されている。これにより、右側第2導電部42aと後側第1導電部41bとの間には、内部中央導電路51a、抵抗器R2、内部後側導電路53aによる導電路が構成され、右側第2導電部42aと後側第1導電部41bとが導通している。
【0036】
同様に、内部中央導電路51bの前端部側には抵抗器R3の一端が接続され、内部前側導電路52bの後端部側には抵抗器R3の他端が接続されており、更に内部前側導電路52bの前端部側にも、前側第1導電部41aが形成されている。これにより、左側第2導電部42bと前側第1導電部41aとの間にも、内部中央導電路51b、抵抗器R3、内部前側導電路52bによる導電路が構成され、左側第2導電部42bと前側第1導電部41aとが導通している。
【0037】
更に、内部中央導電路51bの後端部側には抵抗器R4の一端が接続され、内部後側導電路53bの前端部側には抵抗器R4の他端が接続されており、更に内部後側導電路53bの後端部側には、後側第1導電部41bが形成されている。これにより、左側第2導電部42bと後側第1導電部41bとの間には、内部中央導電路51b、抵抗器R4、内部後側導電路53bによる導電路が構成され、左側第2導電部42bと前側第1導電部41aとが導通している。
【0038】
更に、各抵抗器R1〜R4は、いずれも第1導電部41、第2導電部42よりも大きい抵抗値(例えば1MΩ程度の抵抗値)で構成され、抵抗率も第1導電部41、第2導電部42よりも大きくなっている。これら抵抗器R1〜R4は、いずれもケース2の内部に収容されており、第2導電部42(42a、42b)から第1導電部41(41a、41b)に至るまでの通電路がケース2の内部を通って構成されている。
【0039】
以上のように構成されているため、図6に示すように、携帯端末1の載置時に第1導電部41(41a、41b)が載置面Fに対してより確実に当接することになり、静電気を帯びた使用者が把持部3を把持した際には、静電気に起因する放電電流が把持部3に配置される第2導電部42から、導電路(内部導電部材50及び抵抗器R1、R2、R3、R4)、第1導電部41を介して載置面側に流れ込むことになる。また、第2導電部42(42a、42b)と第1導電部41(41a、41b)との間が抵抗器R1〜R4を介して導通し、静電気に起因する放電電流が第2導電部42から第1導電部41側に流れる際には、当該放電電流が必ず抵抗器R1〜R4のいずれかを流れることになる。従って、端末内を大電流が流れる事態を回避することができる。
【0040】
また、第2導電部42、内部導電部材50、第1導電部41、抵抗器R1,R2,R3,R4のいずれもが、ケース2の内部に配置された回路基板4と電気的に絶縁されている。特に、第2導電部42、内部導電部材50、第1導電部41、抵抗器R1,R2,R3,R4のいずれもが回路基板4と離間しており、これら第2導電部42、内部導電部材50、第1導電部41、抵抗器R1,R2,R3,R4による導電経路は回路基板4のグランドラインとも絶縁されているため、静電気に起因する放電電流が回路基板4内に回り込むことをより確実に防ぐことができる。
【0041】
(第1実施形態の主な効果)
第1実施形態に係る携帯機器1は、図6に示すように、把持部4に配置される第2導電部42と載置時に載置面Fに接触する第1導電部41との間に抵抗器を介在させて通電路が構成されているため、機器を手に取る時及び載置面に置く時に、人体側からケース2に放電される静電気を基板4上の電子部品には流さず、地面に緩やかに且つ確実に逃がすことができ、機器の静電気耐圧を高めることができる。
【0042】
また、ケース2は、長手状に構成され下面側(一方面側)に配置される底壁部2bと、長手状に構成され上面側(前記一方面とは反対面側)に配置される上壁部2aと、上壁部2aと底壁部2bとを連結すると共に上壁部2a及び底壁部2bの長手方向に沿って配置される一対の側壁部2c、2dとを備えている。そして、ケース2の長手方向の少なくとも一部が把持部3として構成されており、把持部3において上壁部2a及び側壁部2c、2dの少なくともいずれかの壁部から露出する構成で第2導電部42が配置されている。この構成では、図1のように底壁部2b側を載置面Fと対向させて機器を載置した場合に、上壁部2aや側壁部2c、2dが最初に接触し易い部分となる。そして、このように機器が載置面Fに載置されているときに、手が最初に触れ易い位置に第2導電部42を配置すれば、使用者が機器を把持しようとしたときに、より早期に且つより確実に静電気を逃がすことができる。
【0043】
また、図1等に示す携帯機器1では、ケース2の上面側(一方面とは反対面側)において、当該ケース2の長手方向一方寄り(即ち前方寄り)に表示装置11が設けられ、ケース2の上面側において長手方向他方側(即ち後方側)には複数の操作ボタン14aが配置されている。そして、ケース2の長手方向他方側(後方側)において側壁部2c、2dから露出する構成で第2導電部42が設けられている。この構成では、携帯機器を使用する場合に、表示装置11側を避けて操作ボタン14a側が把持され易いため、このような位置に第2導電部42を配置すれば、静電気をより確実に逃がし易くなる。
【0044】
また、図1等に示す携帯機器1では、底壁部2bにおける長手方向一端側(前端側)に下方側に凸となる凸部44が形成されており、この凸部44に第1導電部41が設けられている。このような構成では、携帯機器1が載置面に載置される時に、下方側に突出する凸部44に設けられた第1導電部41が載置面Fに確実に接触し易くなる。また、第1導電部41をそれほど広い構成にしなくても第1導電部41を載置面Fに確実に接触させることができるため、第1導電部41の面積の低減を図ることができ、コスト面や構成簡素化の面で有利となる。
【0045】
また、図1等に示す携帯機器1では、回路基板4と第2導電部42とが電気的に絶縁されている。このような構成では、静電気による放電電流が回路基板4側には回り込むことがなくなり、回路基板4を静電気からより確実に保護することができる。
【0046】
また、図1等に示す携帯機器1では、抵抗器は筐体の内部に収容されており、第2導電部から第1導電部に至るまでの通電路が筐体内部を通って構成されている。このような構成では、筐体外に抵抗器等を配置する必要が無くなるため、導電経路を全て筐体外に配置する構成と比較して筐体外の部品点数や経路面積を削減して簡易な構成にまとめることができ、デザイン性も向上させることができる。
【0047】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0048】
上記実施形態では、携帯機器の例として、携帯型の光学的情報読取装置を挙げたが、携帯型の他の電子機器であってもよく、例えば、RFIDタグやICカードを読み取る携帯型の非接触通信端末などであってもよい。
【0049】
上記実施形態では、把持部3において、側壁部2c、2dから露出する形態で第2導電部42が設けられていたが、このような構成に加え、又はこのような構成に換えて、上壁部2a側から露出する第2導電部を設けるようにしてもよい。
【0050】
上記実施形態では、第2導電部42が側壁部2c、2dにおいて長手方向他方側(後方側)に設けられた例を示したが、このような構成に加え、更に、側壁部2c、2dにおける長手方向一方側(前方側)の位置から露出するように第2導電部を設けるようにしてもよい。例えば、表示装置11の両側方における一点鎖線142の位置において両側壁部2c、2dから露出するように第2導電部42と同様の部材をそれぞれ配置し、これら同様の部材を内部前側導電路52a、52bにそれぞれ導通させるようにすることができる。
この構成では、操作ボタン14a側を把持された場合であれば、当然に第2導電部42の存在により静電気を逃がすことができ、他方、表示装置11側を把持された場合であっても、第2導電部(一点鎖線142の位置に配置される導電部)によって静電気を逃がすことができるようになり、より広範囲に亘って静電気の除去が可能となる。
【0051】
また、上記実施形態では、底壁部2bにおける長手方向一端側(前端側)に下方側に凸となる凸部44が形成された例を示したが、このような構成に加え、或いはこのような構成に換えて、長手方向他端側(後端側)において下方側に凸となる凸部を設け、この凸部に第1導電部を配置するようにしてもよい。例えば、図1の構成において、後端側の第1導電部41bの位置を下方側に凸となる凸状に構成し、その突出した位置に配置される第1導電部を載置面Fに当接させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…携帯機器
2…ケース(筐体)
2a…上壁部
2b…底壁部
2c,2d…側壁部
3…把持部
4…回路基板
11…表示装置
14…キー操作部
14a…操作ボタン
17…電池
41…第1導電部
42…第2導電部
44…凸部
51a,51b…内部中央導電路(導電路)
52a,52b…内部前側導電路(導電路)
53a,53b…内部後側導電路(導電路)
R1,R2,R3,R4…抵抗器(導電路)
F…載置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を実装してなる回路基板と、
前記回路基板を収容する筐体と、
を備え、
前記筐体の少なくとも一部に把持部が設けられた携帯機器であって、
導電性材料によって構成されると共に前記筐体の一方面側から外部に露出して配置され、前記一方面側を載置面に対向させて前記筐体を載置したときに前記載置面と当接するように構成される第1導電部と、
導電性材料によって構成されると共に前記把持部において前記筐体の外部に露出して配置された第2導電部と、
一端側が前記第1導電部と導通し、他端側が前記第2導電部と導通して配置され、前記第1導電部及び前記第2導電部よりも大きい抵抗値で構成された抵抗器と、
を有し、
前記第2導電部と第1導電部との間に前記抵抗器を介在させて通電路が構成されていることを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
前記筐体は、長手状に構成されると共に前記一方面側に配置され底壁部と、長手状に構成され且つ前記一方面とは反対面側に配置される上壁部と、前記上壁部と前記底壁部とを連結すると共に前記上壁部及び前記底壁部の長手方向に沿って配置される一対の側壁部とを備え、当該筐体の長手方向の少なくとも一部が前記把持部として構成されており、
前記把持部において前記上壁部及び前記側壁部の少なくともいずれかの壁部から露出する構成で前記第2導電部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯機器。
【請求項3】
前記筐体の前記一方面とは反対面側において、当該筐体の長手方向一方寄りに表示装置が設けられ、
前記筐体の前記反対面側において、当該筐体の長手方向他方側に複数の操作ボタンが配置されており、
前記筐体の長手方向他方側において前記側壁部から露出する構成で前記第2導電部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の携帯機器。
【請求項4】
前記第2導電部は、前記側壁部において前記筐体の長手方向一方側の位置にも設けられていることを特徴とする請求項3に記載の携帯機器。
【請求項5】
前記底壁部における長手方向一端側及び他端側の少なくともいずれか一方に、下方側に凸となる凸部が形成されており、
前記凸部に前記第1導電部が設けられていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の携帯機器。
【請求項6】
前記回路基板と前記第2導電部とが電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の携帯機器。
【請求項7】
前記抵抗器は、前記筐体の内部に収容されており、
前記第2導電部から前記第1導電部に至るまでの前記通電路が前記筐体内部を通って構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−190895(P2012−190895A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51389(P2011−51389)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】