説明

携帯無線機

【課題】機器自体の大型化並びに高コスト化することなく広帯域なアンテナ特性が得られる携帯無線機を提供する。
【解決手段】筐体2の上部の外側面に沿って略半周の長さで第1の金属フレーム6を設けるとともに、筐体2の下部の外側面に沿って略半周の長さで第2の金属フレーム7を設け、第1の金属フレーム6の一端6aを回路基板3上の整合回路部5に接続された給電端子9に接続し、他端6bを回路基板3のグランド3Gと第1の接地端子10を介して接続し、第2の金属フレーム7の一端7aを給電端子9付近で第2の接地端子11によって回路基板3のグランド3Gに接続し、他端7bを開放端として、第1の接地端子10の近傍に配置し、第1,第2の金属フレーム6,7の電気長を略同じにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域のアンテナ特性を有する携帯無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の共振周波数の動作帯域幅を有する広帯域のアンテナ特性を有する携帯無線機として、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された携帯無線機は、複数の共振周波数の動作帯域幅を有する平面逆Fアンテナを備えており、この平面逆Fアンテナは、低周波数帯域においては約1/4波長の共振器として動作し、高周波数帯域においては2つの約1/2波長の共振器として動作する。
【0003】
また、広帯域化を図った他のアンテナとして、特許文献2に記載された複数周波数帯用アンテナもある。この複数周波数帯用アンテナは、低周波数帯域用の第1のアンテナエレメントと高周波数帯域用の第2のアンテナエレメントを有し、第1のアンテナエレメントの基端と第2のアンテナエレメントの基端を同じ給電点に電気的に接続し、また、第1のアンテナエレメントを高い周波数帯の1/2波長の電気長に設定するとともにその先端を接地短絡せずに解放し、第2のアンテナエレメントを低い周波数帯の1/4波長の電気長に設定するとともにその先端を接地短絡している。この複数周波数帯用アンテナでは、低周波数帯に対して第2のアンテナエレメントのインピーダンスが無限大となり、高い周波数帯に対して第1のアンテナエレメントのインピーダンスは無限大となる。第1と第2のアンテナエレメントは相互干渉を生じず、相互に独立してアンテナ動作を行う。
【0004】
なお、広帯域のアンテナ特性は得られないが、特許文献3に記載されたアンテナ装置は、アンテナ素子と無給電素子を組み合わせた構成を採り、無給電素子の装荷により筐体電流を抑制して、筐体電流による放射パターン特性の劣化を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2004/109855号
【特許文献2】特開2007−288649号公報
【特許文献3】特開2006−033798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された無線端末の平面逆Fアンテナは、広帯域のアンテナ特性が得られるものの、当該アンテナを端末内に配置するための占有スペースが必要となるため、端末自体が大型化するという課題がある。
また、上述した特許文献2に記載された複数周波数帯用アンテナは、携帯無線端末に内蔵する場合に、専用のアンテナ素子部品が必要となるため、端末自体の小型化を阻害するとともに、当該部品を使用する分、コスト高になるという課題がある。
また、上述した特許文献3に記載されたアンテナ装置は、広帯域なアンテナ特性は得られない。
【0007】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、機器自体の大型化並びに高コスト化することなく広帯域なアンテナ特性が得られる携帯無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯無線機は、筐体と、前記筐体の内部に設けられ、グランドを有する回路基板と、前記筐体の内部に設けられ、前記回路基板上に構成された無線回路部と、前記筐体の内部に設けられ、前記回路基板上に構成され、前記無線回路部に接続された整合回路部と、前記筐体に沿って略半周の長さで設けられ、前記回路基板のグランドと所定の間隔を隔てて配置された第1の金属板と、前記筐体に沿って略半周の長さで設けられ、前記回路基板のグランドと所定の間隔を隔てて配置された第2の金属板と、を備え、前記第1の金属板は、一端が前記回路基板上の前記整合回路部と接続された給電端子と接続され、他端が前記回路基板のグランドと第1の接地端子で接続され、前記第2の金属板は、一端が前記給電端子付近で第2の接地端子によって前記回路基板のグランドと接続され、他端が開放端であり前記第1の接地端子の近傍に配置され、前記第1の金属板の電気長と、前記第2の金属板の電気長が略同じとなる構造を有する。
【0009】
上記構成によれば、第1の金属板の他端を回路基板のグランドに接地することで、全長が(n/2)λ(nは正の整数)で共振する伝送線路アンテナとして動作し、第2の金属板の他端を開放端とすることで、全長が(n/2−1/4)λ(nは正の整数)で共振するモノポールアンテナとして動作するとともに、アース電流が第1の金属板に流れてバランス動作するので、広帯域なアンテナ特性が得られる。また、第1の金属板と第2の金属板を筐体に沿って設けることから機器本体が大型化することがない。また、第1の金属板と第2の金属板は、筐体の強度を高めるための部品として兼用できるので、特許文献2(特開2007−288649号公報)に記載された複数周波数帯用アンテナのような専用のアンテナ素子部品を設けるものとは異なり、高コスト化を最小限に抑えることができる。
【0010】
上記構成において、前記第1の金属板及び前記第2の金属板は、それぞれ前記筐体の外周に沿って設けられた。
【0011】
上記構成によれば、第1の金属板及び第2の金属板を筐体の外周に沿って設けることで、筐体の強度向上が図れる。
【0012】
上記構成において、前記第1の金属板及び前記第2の金属板は、それぞれ前記筐体の内周に沿って設けられた。
【0013】
上記構成によれば、第1の金属板及び第2の金属板を筐体の内周に沿って設けることで、第1の金属板及び第2の金属板に強度を持たせる必要がないため、これらをメッキや蒸着による銅箔、FPC(Flexible Printed Circuits)などで形成することができ、これらを設けることによるコストの削減が可能となる。
【0014】
上記構成において、前記給電端子と前記第2の接地端子は、前記無線回路部の最大動作周波数の0.1波長以下で近接配置された。
【0015】
上記構成によれば、広帯域なアンテナ特性が得られる。
【0016】
上記構成において、前記第1の接地端子と前記開放端は、前記無線回路部の最大動作周波数の0.1波長以下で近接配置された。
【0017】
上記構成によれば、広帯域なアンテナ特性が得られる。
【0018】
上記構成において、前記給電端子及び前記第2の接地端子は、前記回路基板の短辺側に配置され、前記第1の接地端子及び前記開放端は、前記回路基板の前記短辺側と対向する短辺側に配置された。
【0019】
上記構成によれば、広帯域なアンテナ特性が得られる。
【0020】
上記構成において、前記給電端子及び前記第2の接地端子は、前記回路基板の角部に配置され、前記第1の接地端子及び前記開放端は、前記回路基板の前記角部と対向する角部に配置された。
【0021】
上記構成によれば、広帯域なアンテナ特性が得られる。
【0022】
上記構成において、前記給電端子及び前記第2の接地端子は、前記回路基板の長辺側に配置され、前記第1の接地端子及び前記開放端は、前記回路基板の中心に対して前記長辺側の位置と点対称となる位置に配置された。
【0023】
上記構成によれば、広帯域なアンテナ特性が得られる。
【0024】
上記構成において、前記第1の金属板及び前記第2の金属板は、該第1の金属板及び第2の金属板の少なくともいずれか一方の途中にミアンダ形状を有する。
【0025】
上記構成によれば、第1の金属板及び第2の金属板の電気長を調整することができるので、共振周波数の調整が容易になる。
【0026】
上記構成において、前記第1の金属板及び前記第2の金属板は、該第1の金属板及び第2の金属板の少なくともいずれか一方の途中に容量結合構造を有する。
【0027】
上記構成によれば、第1の金属板及び第2の金属板の電気長を調整することができるので、共振周波数の調整が容易になる。
【0028】
上記構成において、前記第1の接地端子と前記グランドの間、前記第2の接地端子と前記グランドの間、及び前記第1の接地端子と前記開放端の間のうち少なくともいずれか一つの間にリアクタンス素子が装荷された。
【0029】
上記構成によれば、第1の金属板及び第2の金属板の電気長を調整することができるので、共振周波数の調整が容易になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、携帯無線機自体の大型化並びに高コスト化することなく広帯域なアンテナ特性を有する携帯無線機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態に係る携帯無線機の概観を示す斜視図
【図2】図1の携帯無線機を示す要部構成図
【図3】(a),(b)は図1の携帯無線機の第1,2の金属フレームにおける各種周波数帯の高周波電流分布を示す図
【図4】図1の携帯無線機の具体的な解析例を示す図であり、(a)は寸法図、(b)はVSWR特性図
【図5】図1の携帯無線機において、図4の(a)の寸法としたときの各種周波数帯の高周波電流分布を示す図
【図6】図1の携帯無線機の第1の金属フレーム及び第2の金属フレームそれぞれの一部分に設ける構造の一例を示す図であり、(a)はミアンダ形状とした構造を示す図、(b)は容量結合構造を示す図
【図7】図1の携帯無線機の変形例1を示す要部構成図であり、第1の金属フレーム及び第2の金属フレームを筐体の内周に沿って設けた例を示す図
【図8】図1の携帯無線機の変形例2を示す要部構成図
【図9】図1の携帯無線機の変形例3を示す要部構成図
【図10】図1の携帯無線機の変形例4を示す要部構成図
【図11】図1の携帯無線機の変形例5を示す要部構成図
【図12】図1の携帯無線機の変形例6を示す要部構成図
【図13】図1の携帯無線機において、第1の接地端子と回路基板のグランドとの間と、第2の接地端子と回路基板のグランドとの間と、第1の接地端子と第2の金属フレームの開放端との間のそれぞれにリアクタンス素子を装荷した例を示す要部構成図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施の形態に係る携帯無線機の概観を示す斜視図である。また、図2は、図1の携帯無線機を示す要部構成図である。なお、図1では、携帯無線機の2箇所で内部を露出させて各部材が見えるようにしている。
【0034】
図1及び図2において、本実施の形態の携帯無線機1は、スマートフォンと呼ばれるストレート型の携帯無線機であり、筐体2と、筐体2の内部に設けられ、グランド3Gを有する回路基板3と、回路基板3上に構成された無線回路部4と、回路基板3上に構成され、無線回路部4に接続された整合回路部5と、筐体2の上部の外側面に沿って略半周の長さで設けられ、回路基板3のグランド3Gと所定の間隔を隔てて配置された第1の金属フレーム(第1の金属板)6と、筐体2の下部の外側面に沿って略半周の長さで設けられ、回路基板3のグランド3Gと所定の間隔を隔てて配置された第2の金属フレーム(第2の金属板)7と、筐体2の一方の面側(正面側)に設けられ、携帯電話としての無線通信機能の使用における各種表示、スケジュール機能や個人情報管理機能等の使用における各種表示を行うための液晶表示装置8と、を備える。
【0035】
第1の金属フレーム6は、一端6aが回路基板3上の整合回路部5に接続された給電端子9に接続され、他端6bが回路基板3のグランド3Gと第1の接地端子10を介して接続される。第2の金属フレーム7は、一端7aが給電端子9付近で第2の接地端子11によって回路基板3のグランド3Gに接続され、他端7bが開放端として第1の接地端子10の近傍に配置される。第1の金属フレーム6の電気長と第2の金属フレーム7の電気長とが略同じになっている。給電端子9と第2の接地端子11は、無線回路部4の最大動作周波数の0.1波長以下で近接配置されている。また、第1の接地端子10と第2の金属フレーム7の開放端7bは、無線回路部4の最大動作周波数の0.1波長以下で近接配置されている。
【0036】
第1,第2の金属フレーム6,7には、例えばアルミニウム、銅、ステンレス、マグネシウム、これらの合金などの金属材が用いられる。なお、液晶表示装置8の表面側にはタッチパネル(図示略)が設けられている。
【0037】
本実施の形態の携帯無線機1は、上記の構成により、筐体2の側面の周囲を囲む第1,第2の金属フレーム6,7の上に異なる共振周波数の電流を流すことで、広帯域なアンテナとして動作する。すなわち、第1の金属フレーム6の先端(他端6b)を接地することで、全長が(n/2)λで共振する伝送線路アンテナとして動作し、第2の金属フレーム7の先端(開放端7b)を開放端とすることで、全長が(n/2−1/4)λで共振するモノポールアンテナとして動作するとともに、アース電流が第1の金属フレーム6に流れてバランス動作する。これにより、広帯域なアンテナ特性が得られる。図3(a),(b)は、第1,2の金属フレーム6,7における各種周波数帯の高周波電流分布を示す図である。同図に示すように、複数の周波数に共振する。
【0038】
図4は、本実施の形態の携帯無線機1の具体的な解析例を示す図であり、(a)は寸法図、(b)はVSWR特性図である。(a)の寸法図に示すように、回路基板3のグランド3Gが長方形状を成し、縦方向の長さが112mm、横方向の長さが52mmである。第1の金属フレーム6の全長が184(61+61+62)mm、第2の金属フレーム7の全長が182(60+60+62)mmである。回路基板3のグランド3Gと第1の金属フレーム6及び第2の金属フレーム7のそれぞれとの間隔が5mmである。このような寸法とすることで、(b)のVSWR特性図に示すように、800MHz、1200MHz、1700MHz、2020MHz、2500MHzの各周波数帯で共振することになる。
【0039】
図5は、図4の(a)の寸法としたときの各種周波数帯の高周波電流分布(A/m)を示す図である。同図に示す電流分布から分かるように、800MHz帯では第1の金属フレーム6が動作し、1200MHz帯では第1,第2の金属フレーム6,7が動作し、1700MHz帯では第1の金属フレーム6が動作し、2020MHz帯では第1,第2の金属フレーム6,7が動作し、2500MHz帯では第1の金属フレーム6が動作する。共振モードは、800MHz帯で1/2波長伝送線路(1波長ループ)、1200MHz帯で3/4波長モノポール(3/2波長ダイポール)、1700MHz帯で2/2波長伝送線路(2波長ループ)、2020MHz帯で5/4波長モノポール(5/2波長ダイポール)、2500MHz帯で3/2波長伝送線路(3波長ループ)となる。また、図5では示していないが、400MHz帯では1/4波長モノポール(1/2波長ダイポール)の共振モードも存在する。
【0040】
このように本実施の形態の携帯無線機1によれば、筐体2の上部の外側面に沿って略半周の長さで第1の金属フレーム6を設けるとともに、筐体2の下部の外側面に沿って略半周の長さで第2の金属フレーム7を設け、第1の金属フレーム6の一端6aを回路基板3上の整合回路部5に接続された給電端子9に接続し、他端6bを回路基板3のグランド3Gと第1の接地端子10を介して接続し、第2の金属フレーム7の一端7aを給電端子9付近で第2の接地端子11によって回路基板3のグランド3Gに接続し、他端7bを開放端として、第1の接地端子10の近傍に配置し、第1,第2の金属フレーム6,7の電気長を略同じにしたので、広帯域なアンテナ特性が得られる。また、第1の金属フレーム6と第2の金属フレーム7とを筐体2の周囲に設けることから携帯無線機1自体が大型化することがない。また、第1の金属フレーム6と第2の金属フレーム7は、筐体2の強度を高めるための部品として兼用できることから、特許文献2(特開2007−288649号公報)に記載された複数周波数帯用アンテナのような専用のアンテナ素子部品を設けるものとは異なり、高コスト化を最小限に抑えることができる。
【0041】
なお、本実施の形態において、第1の金属フレーム6及び第2の金属フレーム7の少なくともいずれか一方の途中部分をミアンダ形状としてもよいし、当該部分を容量結合構造としてもよい。このようにすることで、第1の金属フレーム6及び第2の金属フレーム7の電気長を調整することができ、共振周波数の調整が容易になる。図6は、ミアンダ形状の一例(同図の(a))と容量結合構造の一例(同図の(b))を示す図である。
【0042】
(変形例1)
また、上述した実施の形態では、第1の金属フレーム6及び第2の金属フレーム7を筐体2の外周に沿って設けたが、筐体2の内周に沿って設けてもよい。図7は、図1の携帯無線機1の変形例1の携帯無線機20を示す要部構成図であり、第1の金属フレーム6及び第2の金属フレーム7を筐体2の内周に沿って設けた例である。なお、同図において前述した図2と共通する部分には同一の符号を付けている。第1の金属フレーム6及び第2の金属フレーム7を筐体2の内周に沿って設けることで、第1の金属フレーム6及び第2の金属フレーム7に強度を持たせる必要がないため、これらをメッキや蒸着による銅箔、FPCなどで形成することができ、これらを設けることによるコストの削減が可能となる。
【0043】
また、上述した実施の形態では、給電端子9を整合回路部5と第1の金属フレーム6の一端6aに接続し、第1の接地端子10を回路基板3のグランド3Gと第1の金属フレーム6の他端6bに接続し、第2の接地端子11を第1の接地端子10と対向する辺のグランド3Gと第2の金属フレーム7の一端7aに接続したが、これらの接続位置には限定はない。以下にそれらの変形例を挙げる。
【0044】
(変形例2)
図8は、図1の携帯無線機1の変形例2を示す要部構成図である。同図において、変形例2の携帯無線機30は、給電端子9及び第2の接地端子11を回路基板3の短辺側3aに配置し、第1の接地端子10及び第2の金属フレーム7の開放端7bを回路基板3の短辺側3aと対向する短辺側3bに配置したものである。このように配置しても広帯域なアンテナ特性が得られる。
【0045】
(変形例3)
図9は、図1の携帯無線機1の変形例3を示す要部構成図である。同図において、変形例3の携帯無線機40は、給電端子9及び第2の接地端子11を回路基板3の角部3cに配置し、第1の接地端子10及び第2の金属フレーム7の開放端7bを回路基板3の角部3cと対向する角部3dに配置したものである。このように配置しても広帯域なアンテナ特性が得られる。
【0046】
(変形例4)
図10は、図1の携帯無線機1の変形例4を示す要部構成図である。同図において、変形例4の携帯無線機50は、給電端子9及び第2の接地端子11を回路基板3の長辺側3eに配置し、第1の接地端子10及び第2の金属フレーム7の開放端7bを回路基板3の長辺側3eと対向する長辺側3fで、回路基板3の中心に対して点対称となる位置に配置したものである。このように配置しても広帯域なアンテナ特性が得られる。
【0047】
(変形例5)
図11は、図1の携帯無線機1の変形例5を示す要部構成図である。同図において、変形例5の携帯無線機60は、第2の金属フレーム7の電気的長さを、第1の金属フレーム6の電気的長さより若干長くしたものである。第1の金属フレーム6の電気的長さと第2の金属フレーム7の電気的長さに若干の差異を持たせることで、周波数の微調整が可能となる。
【0048】
(変形例6)
図12は、図1の携帯無線機1の変形例6を示す要部構成図である。同図において、変形例6の携帯無線機70は、第1の金属フレーム6の電気的長さを、第2の金属フレーム7の電気的長さより若干長くしたものである。第1の金属フレーム6の電気的長さと第2の金属フレーム7の電気的長さに若干の差異を持たせることで、周波数の微調整が可能となる。
【0049】
以上が、給電端子9及び第2の接地端子11と、第1の接地端子10及び開放端7bの配置の変形例である。本実施の形態においては、さらに、第1の金属フレーム6及び第2の金属フレーム7の少なくとも一方にリアクタンス素子を装荷させることも可能である。
【0050】
図13は、上記リアクタンス素子を装荷した携帯無線機を示す要部構成図である。なお、同図において前述した図2と共通する部分には同一の符号を付けている。同図に示す携帯無線機80は、第1の接地端子10と回路基板3のグランド3Gとの間と、第2の接地端子11と回路基板3のグランド3Gとの間と、第1の接地端子10と第2の金属フレーム7の開放端7bとの間のそれぞれにリアクタンス素子21を装荷したものである。第1の金属フレーム6及び第2の金属フレーム7にアクタンス素子21を装荷することで、第1の金属フレーム6及び第2の金属フレーム7の電気長を調整することができ、共振周波数の調整が容易になる。なお、上記全ての箇所にリアクタンス素子21を装荷する必要はなく、少なくとも1箇所に装荷すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、機器自体の大型化並びに高コスト化することなく広帯域なアンテナ特性が得られるといった効果を有し、スマートフォン等のストレート型の携帯無線機への適用が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1,20,30,40,50,60,70,80 携帯無線機
2 筐体
3 回路基板
3G 回路基板のグランド
4 無線回路部
5 整合回路部
6 第1の金属フレーム
6a 第1の金属フレームの一端
6b 第1の金属フレームの他端
7 第2の金属フレーム
7a 第2の金属フレームの一端
7b 第2の金属フレームの他端(開放端)
8 液晶表示装置
9 給電端子
10 第1の接地端子
11 第2の接地端子
21 リアクタンス素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、グランドを有する回路基板と、
前記筐体の内部に設けられ、前記回路基板上に構成された無線回路部と、
前記筐体の内部に設けられ、前記回路基板上に構成され、前記無線回路部に接続された整合回路部と、
前記筐体に沿って略半周の長さで設けられ、前記回路基板のグランドと所定の間隔を隔てて配置された第1の金属板と、
前記筐体に沿って略半周の長さで設けられ、前記回路基板のグランドと所定の間隔を隔てて配置された第2の金属板と、を備え、
前記第1の金属板は、一端が前記回路基板上の前記整合回路部と接続された給電端子と接続され、他端が前記回路基板のグランドと第1の接地端子で接続され、
前記第2の金属板は、一端が前記給電端子付近で第2の接地端子によって前記回路基板のグランドと接続され、他端が開放端であり前記第1の接地端子の近傍に配置され、
前記第1の金属板の電気長と、前記第2の金属板の電気長が略同じとなる構造を有することを特徴とする携帯無線機。
【請求項2】
前記第1の金属板及び前記第2の金属板は、それぞれ前記筐体の外周に沿って設けられた請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項3】
前記第1の金属板及び前記第2の金属板は、それぞれ前記筐体の内周に沿って設けられた請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項4】
前記給電端子と前記第2の接地端子は、前記無線回路部の最大動作周波数の0.1波長以下で近接配置された請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項5】
前記第1の接地端子と前記開放端は、前記無線回路部の最大動作周波数の0.1波長以下で近接配置された請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項6】
前記給電端子及び前記第2の接地端子は、前記回路基板の短辺側に配置され、
前記第1の接地端子及び前記開放端は、前記回路基板の前記短辺側と対向する短辺側に配置された請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項7】
前記給電端子及び前記第2の接地端子は、前記回路基板の角部に配置され、
前記第1の接地端子及び前記開放端は、前記回路基板の前記角部と対向する角部に配置された請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項8】
前記給電端子及び前記第2の接地端子は、前記回路基板の長辺側に配置され、
前記第1の接地端子及び前記開放端は、前記回路基板の中心に対して前記長辺側の位置と点対称となる位置に配置された請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項9】
前記第1の金属板及び前記第2の金属板は、該第1の金属板及び第2の金属板の少なくともいずれか一方の途中にミアンダ形状を有する請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項10】
前記第1の金属板及び前記第2の金属板は、該第1の金属板及び第2の金属板の少なくともいずれか一方の途中に容量結合構造を有する請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の携帯無線機。
【請求項11】
前記第1の接地端子と前記グランドの間、前記第2の接地端子と前記グランドの間、及び前記第1の接地端子と前記開放端の間のうち少なくともいずれか一つの間にリアクタンス素子が装荷された請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の携帯無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−235258(P2012−235258A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101618(P2011−101618)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】