説明

携帯無線通信端末装置

【課題】効率的なテレビ電話を行うことができる携帯無線通信端末装置を提供すること。
【解決手段】被写体を撮像するカメラ部23と、画像に対して所定の処理を行う動画処理部42と、通信を行う無線通信部45と、無線通信部45による通信速度に応じて、動画処理部42の動作を制御し、通信速度が所定の速度以下の場合には、動画処理部42によりカメラ部23で撮像された画像に対して所定の処理としてトリミング処理を行い、無線通信部45により動画処理部42で処理された後の画像を送信するように制御する制御部47を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ部を有する携帯無線通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD(charge coupled device)等により構成されるカメラ部により撮影した画像を、デジタルデータ(画像データ)に変換し、その後、内部のメモリに記憶し、当該画像データを表示部(LCD)に表示したり、当該画像データを外部の他の機器に転送したりする電子機器が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
また、近年の通信機能を有する電子機器は、テレビ電話機能を備えたものがある。テレビ電話機能とは、カメラ部によって撮像した自身の動画データを音声と共に通話相手の機器に送信し、同時に、通話相手の機器から送信されてきたデータに基づいて、通信相手の動画データを表示部に表示しつつ通信相手の音声をスピーカから出力することにより通話を行う機能のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−7611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、電子機器のユーザは、テレビ電話機能を利用する場合、自分の顔画像が全体画像において適切な位置(例えば、中心位置)になるように、適切な撮影条件(撮影角度や位置等)を選択して通話を行う必要があった。また、撮影条件は、カメラ部の取り付け位置や、カメラ部の画角や倍率によって左右される。
【0006】
したがって、ユーザは、テレビ電話機能を利用して通話を行う場合、適切な撮影条件を選択して電子機器を使用(一般的に、手に持って使用)する必要があり、さらに通話中においても、その適切な撮影条件を維持する必要がある。
【0007】
また、テレビ電話機能を利用する場合、表示部に映る相手の顔を見ながら通話をすることが目的であるため、表示部には顔の画像又は顔を含んだ上半身の画像があれば十分であり、その他の画像(例えば、背景の画像)はあまり必要な情報ではない。
【0008】
例えば、ユーザがカメラ部から少し離れて通話をする場合、すなわち、電子機器を机等の上に載置し、机から少し離れた位置に立って通話をする場合には、顔の画像がその他の画像に比して小さくなってしまう。このような場合には、不必要な情報が多く含まれた画像を送信することになり、相手側において送信者の顔が判別し辛くなり、効率的なテレビ電話を行うことが困難になる。
【0009】
本発明は、ユーザが適切な撮影条件を意識しなくても、効率的なテレビ電話を行うことができる携帯無線通信端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る携帯無線通信端末装置は、上記課題を解決するために、被写体を撮像するカメラ部と、前記カメラ部により撮像される動画データを用いて動画通信を行う無線通信部と、前記無線通信部での動画通信により通信相手の機器に送信される動画データサイズを変更可能なデータサイズ変更部と、前記動画データに対してトリミング処理を実施可能なトリミング機能部と、を有し、前記データサイズ変更部は、動画通信の際に、前記無線通信部の無線通信状態に応じて前記通信相手の機器に送信される前記動画データに対して前記トリミング機能部にて前記トリミング処理を行って動画データのデータサイズを変更し、前記無線通信部は、前記データサイズ変更部によりデータサイズが変更された動画データを用いて動画通信を行う構成である。
【0011】
また、携帯無線通信端末装置では、前記動画データに含まれている人物の顔を認証する顔認識部を有し、前記データサイズ変更部は、動画通信の際に、無線通信状態に応じて前記通信相手の機器に送信される前記動画データに対して、前記顔認識部による顔認識を行い、顔認識された人物以外の情報を前記動画データから取り除くように前記トリミング機能部にて前記トリミング処理を行って動画データのデータサイズを変更し、前記無線通信部は、前記データサイズ変更部によりデータサイズが変更された動画データを用いて動画通信を行うことが好ましい。
【0012】
また、携帯無線通信端末装置では、前記無線通信部の無線通信状態をエラーレート及びRSSI(Received Signal Strength Indicator)に基づく通信品質により管理する通信品質管理部を備え、前記データサイズ変更部は、動画通信の際に、前記通信品質管理部により前記通信品質が所定の品質以下になったと判断した場合には、前記通信相手の機器に送信される前記動画データに対して、前記顔認識部による顔認識を行い、顔認識された人物以外の情報を前記動画データから取り除くように前記トリミング機能部にて前記トリミング処理を行って動画データのデータサイズを変更し、前記無線通信部は、前記データサイズ変更部によりデータサイズが変更された動画データを用いて動画通信を行うことが好ましい。
【0013】
また、携帯無線通信端末装置では、電池の残量を管理する電池残量管理部を備え、前記データサイズ変更部は、動画通信の際に、前記電池残量管理部により前記電池の残量が所定量以下になったと判断した場合には、前記通信相手の機器に送信される前記動画データに対して、前記顔認識部による顔認識を行い、顔認識された人物以外の情報を前記動画データから取り除くように前記トリミング機能部にて前記トリミング処理を行って動画データのデータサイズを変更し、前記無線通信部は、前記データサイズ変更部によりデータサイズが変更された動画データを用いて動画通信を行うことが好ましい。
【0014】
また、携帯無線通信端末装置では、前記顔認識部により顔認識された画像を記憶する記憶部を備え、前記無線通信部は、前記顔認識部による顔認識の処理が不能な状態になった場合、前記トリミング処理を中断し、前記記憶部に記憶されている直近の画像を読み出し、読み出した画像を送信し、再度、顔認識の処理が可能な状態になった場合、前記トリミング処理を再開し、動画データの送信を再開することが好ましい。
【0015】
また、携帯無線通信端末装置では、前記データサイズ変更部は、前記顔認識部で顔認識された人物以外の情報を前記カメラ部で撮像された動画データに対してトリミング処理を行って、トリミング処理後の動画データが所定のデータサイズよりも小さくなった場合には、当該トリミング処理後の動画データを前記所定のデータサイズまで拡大する処理を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが適切な撮影条件を意識しなくても、効率的なテレビ電話を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】携帯電話装置の外観斜視図である。
【図2】携帯電話装置を折畳んだ状態の斜視図である。
【図3】携帯電話装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】テレビ電話を利用する場合の制御部の動作についての説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る携帯無線通信端末装置の一例である携帯電話装置1の外観斜視図を示す。なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話装置の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話装置の形態としては特にこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが一つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ、フリップタイプ)でも良い。
【0019】
携帯電話装置1は、操作部側筐体部2と、表示部側筐体部3と、を備えて構成される。操作部側筐体部2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話装置1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。
【0020】
また、表示部側筐体部3は、表面部20に、各種情報を表示するための表示部21(例えば、LCD(Liquid Crystal Display))と、通話の相手側の音声を出力するスピーカ22と、被写体を撮像するカメラ部23と、スピーカ24を備えて構成されている。カメラ部23は、主にテレビ電話機能を利用した通話時に利用される。また、スピーカ24は、スピーカ22よりも口径が大きく設計されており、スピーカ22よりも大きな音を出力することができる。スピーカ24は、例えば、テレビ電話機能を利用した際に相手側の音声を外部に出力するときに利用される。
【0021】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話装置1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0022】
また、図2は、携帯電話装置1を折畳んだ状態の斜視図を示している。操作部側筐体部2は、外平面部に、時計やメールの着信等が表示されるサブ表示部30と、被写体を撮像するカメラ部31が備えられている。
【0023】
また、このように構成される携帯電話装置1は、テレビ電話を行うに際して、ユーザが適切な撮影条件を意識しなくても、効率的なテレビ電話を行うことができる機能を有している。以下に当該機能を発揮するための構成と動作の一例について詳細に説明する。
【0024】
図3は、携帯電話装置1の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話装置1は、図3に示すように、マイク12と、表示部21と、カメラ部23と、スピーカ24と、動画処理部42(データサイズ変更部、トリミング機能部)と、音声処理部43と、合成処理部44と、無線通信部45と、分離処理部46と、制御部47を備える。マイク12と、表示部21と、カメラ部23と、スピーカ24の構成と動作については、上述したので詳細な説明を省略する。
【0025】
動画処理部42は、動画データに対して所定の処理を行う。具体的には、動画処理部42は、制御部47の制御にしたがって、無線通信部45での動画通信により通信相手に送信される動画データサイズを変更可能なデータサイズ変更部として動作し、また、動画データに対してトリミング処理を実施可能なトリミング機能部として動作する。動画処理部42は、処理後の動画データを動画信号として合成処理部44に出力する。
【0026】
音声処理部43は、マイク12から入力された音声信号に対して処理(例えば、デジタル変換処理)を行い、処理後の信号を合成処理部44に供給する。また、音声処理部43は、分離処理部46から入力された音声信号に対して処理(例えば、アナログ信号処理)を行い、スピーカ24に供給する。スピーカ24は、音声処理部43から供給された音声信号に基づいて音を外部に出力する。
【0027】
合成処理部44は、動画処理部42から入力された動画信号と、音声処理部43から入力された音声信号を合成し、合成後の信号(合成信号)を無線通信部45に出力する。
無線通信部45は、合成処理部44から入力された合成信号に対して、所定の信号処理(変調処理であって、例えば、CDM(Code Division Multiplex)や、FDM(Frequency Division Multiplex)等)を行い、処理後の信号を外部(基地局)に出力(放射)する。
【0028】
また、無線通信部45は、外部(基地局)から受信した信号に対して、所定の信号処理(復調処理)を行い、処理後の信号を分離処理部46に出力する。分離処理部46は、入力された信号を動画信号と音声信号に分離し、動画信号を動画処理部42に出力し、音声信号を音声処理部43に出力する。
【0029】
動画処理部42は、入力された動画信号に基づく動画データに対して、所定の動画処理を行い、処理後の動画データを表示部21に出力する。また、音声処理部43は、入力された音声信号に対して、所定の音声処理を行い、処理後の信号をスピーカ24に出力する。なお、表示部21に表示される動画と、スピーカ24から出力される音は、同期ずれが生じないように同期処理が図られている。
【0030】
また、制御部47は、無線通信部45による通信速度に応じて、動画処理部42の動作を制御し、特に、通信速度が所定の速度以下の場合には、動画処理部42によりカメラ部23で撮像された動画データに対して所定の処理としてトリミング処理を行うように制御する。また、本実施例のトリミング処理とは、動画データの一部を削除したり、動画データに含まれている特定の画像(人物の顔画像)の位置を変更したり、動画データのデータサイズを変更することをいう。したがって、携帯電話装置1は、トリミング処理を行うことにより、テレビ電話を行うに際して、適切な動画データを通話相手の機器に送信することができる。
【0031】
ここで、通信速度が所定の速度以下の状態で、テレビ電話によるデータ送信が発生すると、スループットが低下しているため、送信したデータが通話相手の機器に届くまでに時間がかかり、円滑な会話が成立しなくなる。このような状況を回避するために、携帯電話装置1は、通信速度が所定の速度以下の場合には、トリミング処理を行うことにより動画データのデータサイズを小さくして送信するので、円滑な会話を成立させることができる。
【0032】
このようにして、携帯電話装置1は、通信速度が所定の速度以下の場合には、テレビ電話を行うに際して、ユーザが適切な撮影条件を意識しなくても、効率的なテレビ電話を行うことができる。
【0033】
また、携帯電話装置1は、図3に示すように、カメラ部23により撮像されている人物の顔を認証する顔認識部41を備える構成でも良い。
このような構成の場合には、制御部47は、無線通信部45による通信速度に応じて、顔認識部41及び動画処理部42の動作を制御し、通信速度が所定の速度以下の場合には、顔認識部41によりカメラ部23で撮像された画像に含まれている人物に対して顔認識を行い、動画処理部42により顔認識部41で顔認識された人物以外の情報の一部又は全部をカメラ部23で撮像された画像から取り除く処理(トリミング処理)を動画処理部42に行わせる。
【0034】
ここで、顔認識部41の動作について説明する。顔認識部41は、カメラ部23で撮像した動画像に対して、所定の分析方法(例えば、顔器官(眉、目、鼻、口、頬等)の局所的なパターンに対する主成分分析方法)を行って人の顔を認証する。また、動画処理部42は、顔認識された人物以外の情報(背景画像等の情報)を削除する。また、動画処理部42は、顔認識された人物が画像の隅の方に映っている場合には、その人物の画像部分が画像全体における中心位置に移動するように移動する処理を行い、その人物以外の画像部分を削除する処理を行っても良い。
【0035】
このようにして、携帯電話装置1は、通信速度が所定の速度以下の場合には、顔認識による結果に基づいて、人物以外の画像部分に対してトリミング処理を行うことにより、動画データのデータサイズを小さくして送信するので、円滑な会話を成立させることができる。
【0036】
ここで、テレビ電話を利用する場合の携帯電話装置1の動作について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。なお、テレビ電話を利用する場合には、マイク12の感度が上がり、通話相手の声がスピーカ22ではなく、スピーカ24から出力される、いわゆるハンズフリー状態となるものとする。また、以下では、所定の操作によって、携帯電話装置1は、通話相手の携帯電話装置に繋がっており、テレビ電話をするための条件が整っているものとする。
【0037】
ステップST1において、制御部47は、カメラ部23を起動する。
ステップST2において、制御部47は、カメラ部23で撮像された動画データの解析を動画処理部42に行わせる。ここで、動画処理部42は、顔認識部41により動画データに対して顔認識処理を行わせる。
【0038】
ステップST3において、制御部47は、顔認識部41による顔認識処理によって、動画データにおいて顔の位置や大きさが適切であるかどうかを判断する。具体的には、制御部47は、動画データの中心位置付近に人物の顔画像がない場合や、画像全体の大きさに比して人物の顔画像が小さい場合等に、顔の位置や大きさが適切でないと判断する。顔の位置や大きさが適切でないと判断した場合(No)には、ステップST4に進み、顔の位置や大きさが適切であると判断した場合(Yes)には、ステップST6に進む。
【0039】
ステップST4において、制御部47は、動画処理部42にトリミング処理を実行させる。動画処理部42は、顔認識処理の結果に基づいて、動画データに対してトリミング処理を行う。
【0040】
ステップST5において、制御部47は、ステップST4の工程でトリミング処理された動画データに対して、必要に応じて、動画処理部42により動画データの拡大処理を行わせる。動画処理部42は、トリミング処理された後の動画データにおいて、人物が所定のサイズよりも小さかった場合には、一定のサイズまで拡大する処理等を行う。
【0041】
ステップST6において、制御部47は、無線通信部45に動画データの送信処理を行わせる。具体的には、制御部47は、合成処理部44により、処理後の動画データに基づく動画信号と音声処理部43から入力される音声信号を合成させた後、無線通信部45により合成信号の送信処理を行わせる。
【0042】
ステップST7において、制御部47は、テレビ電話による通話が継続中であるかどうかを判断する。テレビ電話による通話が継続中であると判断した場合(Yes)には、ステップST2に戻り、テレビ電話による通話が継続中でない、すなわち終了したと判断した場合(No)には、ステップST8に進む。
ステップST8において、制御部47は、カメラ部23を停止させる。
【0043】
また、ステップST3からステップST5の工程においては、テレビ電話を効率的に行うために、制御部47は、複数の適切な画像処理パターンの中から、撮像画像の内容に基づいて、一のパターンを選択し、そのパターンに沿って画像処理を動画処理部42に行わせても良い。なお、動画処理部42は、使用者又は通話相手によって選択された画像処理パターンに沿って画像処理を行っても良い。
【0044】
複数の適切な画像処理パターンとしては、例えば、顔のアップ(拡大)になるような適切な画像処理(アップ画像処理)や、バストアップ(上半身の拡大)になるような適切な画像処理(バストアップ画像処理)や、使用者がカメラ部23から一定距離離れた場合に、使用者の全身が一画像に納まるような適切な画像処理(全身画像処理)や、撮影画像の中に人物が複数いた場合に、携帯電話装置1の持ち主の顔がアップするような適切な画像処理(複数人画像処理1)、撮影画像の中に人物が複数いた場合に、発言者の顔がアップするような適切な画像処理(複数人画像処理2)や、撮影画像の中に人物が複数いた場合に、全員が一画像に納まるような適切な画像処理(複数人画像処理3)や、撮影画像の中に人物が複数いた場合に、全員のアップ画像に順に映るような適切な画像処理(複数人画像処理4)等がある。なお、複数人画像1においては、予め、使用者の顔画像を登録しておき、動画処理部42は、この登録された顔画像に一致する顔画像をアップするような適切な画像処理を行う。
【0045】
ただし、画角の都合で希望するパターン通りの画像処理にならない場合もある。したがって、パターン選択は、送信画像に緩やかに関連し、制御部47において適切でないと判断した場合は、選択されたパターンを無視しても良い。例えば、制御部47は、全身画像処理が選択された場合でも、距離が近すぎて全身が写せない場合には、全身画像処理を行わず、例えばアップ画像処理やバストアップ画像処理を代替として実行する。また、制御部47は、複数人画像処理1乃至4が選択された場合でも、発言者や参加者が正しく判断できない場合には、複数人画像処理1乃至4を行わず、そのままの画像を送信するか、他の処理を実行する。
【0046】
このようにして、携帯電話装置1は、顔認識による結果に基づいて、人物以外の画像部分に対してトリミング処理を行うことにより、円滑な会話を成立させることができる。
【0047】
また、携帯電話装置1は、図3に示すように、無線通信部45の無線通信状態をエラーレート及びRSSI(Received Signal Strength Indicator)に基づく通信品質により管理する通信品質管理部48を備える構成でも良い。
【0048】
このような構成の場合には、制御部47は、動画通信の際に、通信品質管理部48により通信品質が所定の品質以下になったと判断した場合には、顔認識部41によりカメラ部23で撮像された動画データに含まれている人物に対して顔認識を行い、動画処理部42により顔認識部41で顔認識された人物以外の情報(画像部分)の一部又は全部をカメラ部23で撮像された動画データからトリミングする処理を行い、無線通信部45により動画処理部42で処理された後の動画データを送信するように制御する。
【0049】
例えば、携帯電話装置1は、地上から地下に移動して基地局との間の通信状況が不安定になると、通信品質が所定の品質以下になり、スループットが低下してしまう。
【0050】
そこで、携帯電話装置1は、通信品質が所定の品質以下になった場合には、顔認識による結果に基づいて、人物以外の情報(画像部分)に対してトリミング処理を行うことにより、送信するデータサイズを小さくするので、円滑な会話を成立させることができる。
【0051】
また、携帯電話装置1は、通信品質管理部48によって把握される通信品質の変化に基づいて、徐々にトリミングする大きさを増やすように動画処理部42を制御する構成であっても良い。さらに、携帯電話装置1は、通信品質管理部48によって把握される通信品質の変化に基づいて、徐々に動画自体の縦横比を小さくするように動画処理部42を制御する構成であっても良い。
【0052】
また、携帯電話装置1は、図3に示すように、電池49の残量を管理する電池残量管理部50を備える構成であっても良い。
【0053】
制御部47は、電池残量管理部50により電池49の残量が所定量以下になったと判断した場合には、顔認識部41によりカメラ部23で撮像された動画データに含まれている人物に対して顔認識を行い、動画処理部42により顔認識部41で顔認識された人物以外の情報(画像部分)の一部又は全部をカメラ部23で撮像された動画データからトリミングする処理を行い、無線通信部45により動画処理部42で処理された後の動画データを送信するように制御する。
【0054】
このようにして、携帯電話装置1は、電池49の残量が所定量以下になった場合には、顔認識による結果に基づいて、人物以外の情報(画像部分)に対してトリミング処理を行うことにより、送信するデータサイズを小さくするので、円滑な会話を成立させることができる。
【0055】
また、携帯電話装置1は、電池残量管理部50によって把握される電池49の残量の変化に基づいて、徐々にトリミングする大きさを増やすように動画処理部42を制御する構成であっても良い。さらに、携帯電話装置1は、電池残量管理部50によって把握される電池49の残量の変化に基づいて、徐々に動画自体の縦横比を小さくするように動画処理部42を制御する構成であっても良い。
【0056】
また、携帯電話装置1は、図3に示すように、顔認識部41により顔認識された動画データを記憶する記憶部51を備える構成であっても良い。
このような構成の場合には、制御部47は、顔認識部41による顔認識の処理が不能になった場合、動画処理部42によるトリミング処理を中断し、記憶部51に記憶されている直近の画像を読み出し、読み出した画像を無線通信部45により送信し、中断し、記憶部51に記憶されている直近の画像を読み出し、読み出した画像を送信し、再度、顔認識の処理が可能な状態になった場合、トリミング処理を再開し、動画データの送信を再開する。
【0057】
例えば、携帯電話装置1は、使用者がテレビ電話中にカメラ部23の画角から外れた場合には、顔認識ができなくなるので、一旦、トリミング処理を中断して、その直前まで送信していた使用者の顔画像を送信する。そして、携帯電話装置1は、再度、使用者がカメラ部23の画角に入ってきた場合には、トリミング処理を再開して動画データの送信を継続する。
【0058】
このようにして、携帯電話装置1は、テレビ電話中に顔認識が行えなくなった場合にトリミング処理を中断するので、無駄な処理を排除して処理負担を軽減することができる。また、携帯電話装置1は、顔認識処理を中断している場合には、直前まで送信していた顔画像の送信を行い、再度、顔認識が行える状況になった場合にトリミング処理を再開して動画データの送信を継続するので、円滑な会話を成立させることができる。
【0059】
また、制御部47は、顔認識部41で顔認識された人物以外の情報(画像部分)の一部又は全部をカメラ部23で撮像された動画データに対してトリミング処理を行って、トリミング処理後の動画データが所定のデータサイズよりも小さくなった場合には、当該処理後の動画データを所定のデータサイズまで拡大する処理を行う構成であっても良い。
【0060】
したがって、携帯電話装置1は、テレビ電話を行う際に、動画データにトリミング処理を行って、所定のデータサイズよりも小さくなった場合には、トリミング処理後の画像データサイズを所定のデータサイズまで拡大するので、円滑な会話を成立させることができる。
【0061】
なお、本実施例では、カメラ部23で撮像された動画像を動画処理部42でトリミングの処理を行うこととして説明したが、これに限られず、制御部47の制御にしたがって、カメラ部23の望遠機能を利用して人物の画像を拡大処理しても良い。
【0062】
また、動画処理部42は、静止画像を処理しても良い。また、動画データは、静止画データの連続画像として構成されていても良い。
【0063】
また、本実施例では、通常の通話の場合には、通話相手の音声をスピーカ22から出力し、テレビ電話による通話の場合には、通話相手の音声をスピーカ24から出力することとしたが、これに限られない。例えば、スピーカ22がハンズフリー状態でも使用可能であれば、通常の通話の場合及び、テレビ電話による通話の場合に、スピーカ22から通話相手の音声を出力しても良い。この構成の場合には、スピーカ24は、不要となる。
【0064】
また、本実施例では、カメラ部23(Inカメラ)を利用してテレビ電話を行う構成について説明したが、カメラ部31(Outカメラ)を利用してテレビ電話を行っても良い。このような構成の場合には、携帯電話装置1の使用者は、他のモニタを利用して通話相手の顔画像を確認しても良い。
【0065】
また、携帯電話装置1は、認証された顔画像の情報を利用し、送信する動画像の処理や制御を行うこととしたが、認証された顔の情報から別の制御を行っても良い。
例えば、携帯電話装置1は、認証された顔画像のサイズから距離を判断し、マイク12の感度を向上したり、スピーカ24の音量を増加させる制御を行っても良い。また、携帯電話装置1は、認証された顔画像の明るさから周辺の明るさを判断し、補助灯(不図示)を点灯させる制御を行っても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 携帯電話装置
12 マイク
21 表示部
23 カメラ部
24 スピーカ
41 顔認識部
42 動画処理部(データサイズ変更部、トリミング機能部)
43 音声処理部
44 合成処理部
45 無線通信部
46 分離処理部
47 制御部
48 通信品質管理部
50 電池残量管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像するカメラ部と、
前記カメラ部により撮像される動画データを用いて動画通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部での動画通信により通信相手の機器に送信される動画データサイズを変更可能なデータサイズ変更部と、
前記動画データに対してトリミング処理を実施可能なトリミング機能部と、を有し、
前記データサイズ変更部は、動画通信の際に、前記無線通信部の無線通信状態に応じて前記通信相手の機器に送信される前記動画データに対して前記トリミング機能部にて前記トリミング処理を行って動画データのデータサイズを変更し、
前記無線通信部は、前記データサイズ変更部によりデータサイズが変更された動画データを用いて動画通信を行う携帯無線通信端末装置。
【請求項2】
前記動画データに含まれている人物の顔を認証する顔認識部を有し、
前記データサイズ変更部は、動画通信の際に、無線通信状態に応じて前記通信相手の機器に送信される前記動画データに対して、前記顔認識部による顔認識を行い、顔認識された人物以外の情報を前記動画データから取り除くように前記トリミング機能部にて前記トリミング処理を行って動画データのデータサイズを変更し、
前記無線通信部は、前記データサイズ変更部によりデータサイズが変更された動画データを用いて動画通信を行う請求項1記載の携帯無線通信端末装置。
【請求項3】
前記無線通信部の無線通信状態をエラーレート及びRSSI(Received Signal Strength Indicator)に基づく通信品質により管理する通信品質管理部を備え、
前記データサイズ変更部は、動画通信の際に、前記通信品質管理部により前記通信品質が所定の品質以下になったと判断した場合には、前記通信相手の機器に送信される前記動画データに対して、前記顔認識部による顔認識を行い、顔認識された人物以外の情報を前記動画データから取り除くように前記トリミング機能部にて前記トリミング処理を行って動画データのデータサイズを変更し、
前記無線通信部は、前記データサイズ変更部によりデータサイズが変更された動画データを用いて動画通信を行う請求項2記載の携帯無線通信端末装置。
【請求項4】
電池の残量を管理する電池残量管理部を備え、
前記データサイズ変更部は、動画通信の際に、前記電池残量管理部により前記電池の残量が所定量以下になったと判断した場合には、前記通信相手の機器に送信される前記動画データに対して、前記顔認識部による顔認識を行い、顔認識された人物以外の情報を前記動画データから取り除くように前記トリミング機能部にて前記トリミング処理を行って動画データのデータサイズを変更し、
前記無線通信部は、前記データサイズ変更部によりデータサイズが変更された動画データを用いて動画通信を行う請求項2記載の携帯無線通信端末装置。
【請求項5】
前記顔認識部により顔認識された画像を記憶する記憶部を備え、
前記無線通信部は、前記顔認識部による顔認識の処理が不能な状態になった場合、前記トリミング処理を中断し、前記記憶部に記憶されている直近の画像を読み出し、読み出した画像を送信し、再度、顔認識の処理が可能な状態になった場合、前記トリミング処理を再開し、動画データの送信を再開する請求項2記載の携帯無線通信端末装置。
【請求項6】
前記データサイズ変更部は、前記顔認識部で顔認識された人物以外の情報を前記カメラ部で撮像された動画データに対してトリミング処理を行って、トリミング処理後の動画データが所定のデータサイズよりも小さくなった場合には、当該トリミング処理後の動画データを前記所定のデータサイズまで拡大する処理を行う請求項2記載の携帯無線通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−10222(P2012−10222A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145936(P2010−145936)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】