説明

携帯端末およびその制御プログラム

【構成】 携帯電話機10はプロセッサ24を含み、携帯電話機10の使用開始時に、プロセッサ24は湿度センサ40で検出された湿度を取得する。湿度が第1閾値以上である場合には、フリックによるスクロールの速度およびスクロールの加速度の少なくとも一方を上昇させる。また、湿度が第1閾値よりも小さい第2閾値未満である場合には、フリックによるスクロールの速度およびスクロールの加速度の少なくとも一方を低下させる。ただし、湿度が第2閾値以上第1閾値未満である場合には、フリックによるスクロールの速度およびスクロールの加速度は変化させずに、フリックの速度で決まる初期値が設定される。
【効果】 湿度に応じて、フリックによるスクロールの速度および加速度を設定するので、操作環境に拘わらず、操作性の均一化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は携帯端末およびその制御プログラムに関し、特にたとえば、タッチパネルを備える、携帯端末およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の携帯端末の一例が特許文献1に開示されている。この特許文献1の携帯情報端末では、たとえば、「アドレス帳」のアプリケーション実行中に、フリックがなされると、アドレス帳データ記憶部に記憶されている情報の中の表示対象となる情報のグループが変更される。表示対象は、フリックがなされた方向に、スクロール表示がなされることにより、切り替えられる。
【特許文献1】特開2010−103919号[H04M 1/00,H04M 1/275]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の携帯情報端末では、フリックがなされると、グループ単位でスクロール表示がなされる。つまり、フリックの速さについては、何ら考慮されていないため、直感的な操作ができない。さらに、操作環境については何ら考慮されていない。したがって、たとえば、湿度が高く、タッチパネルの滑りが悪い環境下では、ユーザはいつも通りにフリックを行っているとの認識があっても、実際には、フリックの速さがいつもよりも遅く、スクロールがあまり高速に行われないことがある。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、携帯端末およびその制御プログラムを提供することである。
【0005】
また、この発明の他の目的は、操作性の均一化を図ることができる、携帯端末およびその制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
第1の発明は、表示部、表示部上に設けられるタッチパネル、およびタッチパネル上でフリックが実行された場合に、表示部に表示された表示画面の一部ないし全部の表示内容を当該フリックの速さおよび方向に従って移動させる表示制御部を備える、携帯端末において、湿度を検出する湿度検出部、および湿度検出部によって検出された湿度が第1閾値以上であるとき、表示画面の一部ないし全部の表示内容の移動速度および移動加速度の少なくとも一方を増加させるように制御する移動制御部を備えることを特徴とする、携帯端末である。
【0008】
第1の発明では、携帯端末(10)は、表示部(30)、タッチパネル(38)、および表示制御部(24、28、S31−S41)を備える。タッチパネルは、表示部上に設けられる。表示制御部は、タッチパネル上でフリックが実行された場合に、表示部に表示された表示画面の一部ないし全部の表示内容を当該フリックの速さおよび方向に従って移動させる。湿度検出部(24、40、S3)は、湿度を検出する。移動制御部(24、S5−S15)は、湿度検出部によって検出された湿度が第1閾値以上であるとき、表示画面の一部ないし全部の表示内容の移動速度および移動加速度の少なくとも一方を増加させるように制御する。
【0009】
第1の発明によれば、湿度が第1閾値以上である場合には、表示画面の一部ないし全部の表示内容の移動速度および移動加速度の少なくとも一方を増加させるので、指が滑り難い場合に、表示内容の移動を速くすることができる。したがって、湿度が中程度の場合と同じ操作感を得ることができる。つまり、操作環境に拘わらず、操作性の均一化を図ることができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、移動制御部は、湿度検出部によって検出された湿度が第2閾値以上第1閾値未満の場合には、移動速度および移動加速度の少なくとも一方を第1設定値に設定し、湿度検出部によって検出された湿度が第2閾値未満の場合には、移動速度および移動加速度の少なくとも一方を第1設定値よりも小さい第2設定値に設定し、湿度検出部によって検出された湿度が第1閾値以上の場合には、移動速度および移動加速度の少なくとも一方を第1設定値よりも大きい第3設定値に設定する。
【0011】
第2の発明では、移動制御部は、湿度検出部によって検出された湿度が第2閾値以上第1閾値未満の場合には(S11で“NO”)であれば、移動速度および移動加速度の少なくとも一方を第1設定値に設定し(S1)、湿度検出部によって検出された湿度が第2閾値未満の場合には(S11で“YES”)、移動速度および移動加速度の少なくとも一方を第1設定値よりも小さい第2設定値に設定し(S13、S15)、湿度検出部によって検出された湿度が第1閾値以上の場合には(S5で“YES”)、移動速度および移動加速度の少なくとも一方を第1設定値よりも大きい第3設定値に設定する(S7、S9)。
【0012】
第2の発明によれば、湿度が大きい場合には、表示内容の移動速度および移動加速度を比較的大きい設定値に設定し、湿度が小さい場合には、表示内容の移動速度および移動加速度を比較的小さい設定値に設定し、湿度が中程度である場合には、表示内容の移動速度および移動加速度をそれらの設定値の間の値に設定するので、ユーザがフリックの速さを調整することなしに、同じ操作感で同じ指示を入力することができる。つまり、操作感の均一化を図ることができる。
【0013】
第3の発明は、第1の発明に従属し、移動制御部は、湿度検出部によって検出された湿度が第1閾値よりも小さい第2閾値以上の場合には、移動速度および移動加速度の少なくとも一方を第1設定値に設定し、湿度検出部によって検出された湿度が第2閾値未満の場合には、移動速度および移動加速度の少なくとも一方を第1設定値よりも小さい第2設定値に設定する。
【0014】
第3の発明では、移動制御部は、湿度が中程度である場合には、表示内容の移動速度および移動加速度を中程度の設定値に設定する。また、移動制御部は、湿度が比較的小さい場合には、表示内容の移動速度および移動加速度を比較的小さい設定値に設定する。
【0015】
第3の発明においても、第2の発明と同様に、操作感の均一化を図ることができる。
【0016】
第4の発明は、第1の発明に従属し、移動制御部は、湿度検出部によって検出された湿度が第1閾値よりも小さい第2閾値未満の場合には、移動速度および移動加速度の少なくとも一方を第1設定値よりも小さい第2設定値に設定し、湿度検出部によって検出された湿度が第1閾値以上の場合には、移動速度および移動加速度の少なくとも一方を第1設定値よりも大きい第3設定値に設定する。
【0017】
第4の発明では、移動制御部は、湿度が比較的小さい場合には、表示内容の移動速度および移動加速度を比較的小さい設定値に設定する。また、移動制御部は、湿度が比較的大きい場合には、表示内容の移動速度および移動加速度を比較的大きい設定値に設定する。
【0018】
第4の発明においても、第2の発明と同様に、操作感の均一化を図ることができる。
【0019】
第5の発明は、第1の発明に従属し、移動制御部の制御は、所定タイミングで実行される。
【0020】
第5の発明では、移動制御部の制御は、所定タイミングで実行される。つまり、所定タイミング毎に、表示内容の移動速度および移動加速度が変化(更新)される。
【0021】
第5の発明によれば、所定タイミング毎に、表示内容の移動速度および移動加速度が更新されるので、湿度の変化に対応することができる。
【0022】
第6の発明は、第5の発明に従属し、所定タイミングは、携帯端末の使用開始時である。
【0023】
第6の発明では、所定タイミングは、携帯端末の使用開始時である。たとえば、携帯端末の主電源がオンされたとき、スリープ(スタンバイ)状態から起動(復帰)したときなどが該当する。
【0024】
第6の発明においても、第5の発明と同様に、湿度の変化に対応することができる。
【0025】
第7の発明は、第5の発明に従属し、所定タイミングは、所定時間の経過時である。つまり、所定時間間隔で、表示内容の移動速度および移動加速度が更新される。
【0026】
第7の発明においても、第5の発明と同様に、湿度の変化に対応することができる。
【0027】
第8の発明は、第2ないし第7の発明に従属し、第1設定値に設定される移動速度は、フリックの速さと同じまたは略同じである。
【0028】
第8の発明では、第1設定値に設定される移動速度は、フリックの速さと同じまたは略同じである。つまり、フリックの速さと同じまたは略同じ移動速度で、表示内容が移動される。
【0029】
第8の発明によれば、直感的な操作が可能である。
【0030】
第9の発明は、表示部、表示部上に設けられるタッチパネル、およびタッチパネル上でフリックが実行された場合に、表示部に表示された表示画面の一部ないし全部の表示内容を当該フリックの速さおよび方向に従って移動させる表示制御部を備える、携帯端末の制御方法であって、(a)湿度を検出し、そして(b)ステップ(a)によって検出された湿度が所定の閾値以上であるとき、表示画面の一部ないし全部の移動速度および移動加速度の少なくとも一方を増加させるように制御することを特徴とする、携帯端末の制御方法である。
【0031】
第9の発明においても、第1の発明と同様に、操作性の均一化を図ることができる。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、湿度に応じて、表示画面の一部ないし全部の移動速度および移動加速度の少なくとも一方を変化させるので、湿度の変化による影響を受けずに、同じ操作感を得ることができる。つまり、操作性の均一化を図ることができる。
【0033】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1はこの発明の一実施例の携帯電話機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は図1に示す携帯電話機の外観を示す図である。
【図3】図3は図1に示すディスプレイに表示されるアドレス帳画面の例を示す図である。
【図4】図4は図1に示すVRAMの描画領域およびディスプレイの表示領域との関係を示す図である。
【図5】図5は図1に示すRAMのメモリマップの例を示す図である。
【図6】図6は図1に示すプロセッサのパラメータ設定処理を示すフロー図である。
【図7】図7は図1に示すプロセッサの表示制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を参照して、この実施例の携帯電話機10は、携帯端末の一種であり、CPUまたはコンピュータと呼ばれるプロセッサ24を含む。このプロセッサ24には、無線通信回路14、A/D変換器16、D/A変換器20、キー入力装置26、表示ドライバ28、フラッシュメモリ32、RAM34、タッチパネル制御回路36および湿度センサ40が接続される。無線通信回路14にはアンテナ12が接続され、A/D変換器16にはマイク18が接続され、D/A変換器20にはアンプ(図示せず)を介してスピーカ22が接続される。表示ドライバ28には、ディスプレイ30が接続される。また、タッチパネル制御回路36にはタッチパネル38が接続される。
【0036】
プロセッサ24は、制御用のICであり、携帯電話機10の全体制御を司る。また、RAM34は、プロセッサ24の作業領域(描画領域を含む)ないしバッファ領域として用いられる。フラッシュメモリ32には、携帯電話機10の文字、画像、音声、音および映像のようなコンテンツのデータや使用者のプロファイルおよびアドレス帳のようなデータが記録される。
【0037】
A/D変換器16は、当該A/D変換器16に接続されたマイク18を通して入力される音声ないし音についてのアナログ音声信号を、デジタル音声信号に変換する。D/A変換器20は、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換(復号)して、アンプを介してスピーカ22に与える。したがって、アナログ音声信号に対応する音声ないし音がスピーカ22から出力される。
【0038】
キー入力装置26は、通話キー26a、機能キー26bおよび終話キー26cなど(図2(A)参照)を備える。そして、使用者が操作したキーの情報(キーデータ)はプロセッサ24に入力される。なお、キー入力装置26に含まれる各キーが操作されると、クリック音が鳴る。使用者は、クリック音を聞くことで、キー操作に対する操作感を得ることができる。
【0039】
表示ドライバ28は、プロセッサ24の指示の下、当該表示ドライバ28に接続されたディスプレイ30の表示を制御する。また、表示ドライバ28は、ディスプレイ30に表示する画面に対応する表示画像データを一時的に記憶するVRAM(図示せず)を含む。プロセッサ24は、表示画像データを、このVRAMに記憶させる。
【0040】
タッチパネル38は、ディスプレイ30の画面内で、任意の位置を指示するためのポインティングデバイスである。たとえば、この実施例のタッチパネル38は、指などの物体が表面に接近して生じた電極間の静電容量の変化を検出する静電容量方式のタッチパネルであって、たとえば1本または複数本の指がタッチパネル38に触れたことを検出可能である。また、タッチパネル38は、その表面(上面)を指で、押したり、撫でたり、触れたりすることにより操作されると、その操作を検出する。具体的には、タッチ検出部として機能するタッチパネル制御回路36は、タッチパネル38に指が触れると、その指の位置を特定し、操作された位置(タッチ位置)を示す座標のデータ(座標データ)をプロセッサ24に出力する。つまり、使用者は、タッチパネル38の上面を指で、押したり、撫でたり、触れたりすることによって、操作の位置、操作の方向や図形などを携帯電話機10に入力することができる。
【0041】
以下、この実施例においては、使用者がタッチパネル38の上面を指で触れる操作を「タッチ」と言うことにする。一方、タッチパネル38から指を離す操作を「リリース」と言うことにする。また、タッチパネル38の上面を指で撫でる操作を「スライド」と言うことにする。さらに、タッチパネル38の上面を指で弾いたり、はらったりする操作を「フリック」と言うことにする。具体的には、フリックは、タッチパネル38の上面に指を接触したまま所定時間(たとえば、50ms)内に所定距離(たとえば、50ドット)以上動かし(スライドし)、指をリリースする操作である。そして、タッチによって示された座標を「タッチ点(タッチ開始位置)」、リリースによって示された座標を「リリース点(タッチ終了位置)」と言うことにする。さらに、使用者がタッチパネル38の上面をタッチし、続けてリリースする操作を「タッチアンドリリース」と言うことにする。そして、タッチ、リリース、スライド、フリックおよびタッチアンドリリースなどのタッチパネル38に対して行う操作を、総じて「タッチ操作」と言うことにする。
【0042】
なお、タッチ操作は指だけに限らず、導電体が先端に取り付けられたタッチペンなど、その他の物体によって行われてもよい。また、タッチパネル38の検出方式には、表面型の静電容量方式が採用されてもよいし、抵抗膜方式、超音波方式、赤外線方式および電磁誘導方式などであってもよい。
【0043】
湿度センサ40は、湿度(%)を検出し、検出した湿度についてデータ(湿度データ)をプロセッサ24に与える。この湿度センサ40は、汎用の湿度センサであり、たとえば、北陸電気工業株式会社製の湿度センサモジュール(型番:HSU-04A1-N)やセンシリオン株式会社製のデジタル温湿度センサ(型番:SHT2x)を用いることができる。
【0044】
無線通信回路14は、CDMA方式での無線通信を行うための回路である。たとえば、使用者がキー入力装置26を用いて音声発信を指示すると、無線通信回路14は、プロセッサ24の指示の下、音声発信処理を実行し、アンテナ12を介して音声発信信号を出力する。音声発信信号は、基地局および通信網(図示せず)を経て相手の電話機に送信される。そして、相手の電話機において着信処理が行われると、通信可能状態(接続状態)が確立され、プロセッサ24は通話処理を実行する。
【0045】
通常の通話処理について具体的に説明すると、相手の電話機から送られてきた変調音声信号はアンテナ12によって受信される。受信された変調音声信号には、無線通信回路14によって復調処理および復号処理が施される。そして、これらの処理によって得られた受話音声信号は、D/A変換器20によってアナログ音声信号に変換された後、スピーカ22から出力される。一方、マイク18を通して取り込まれた送話音声信号は、A/D変換器16によってデジタル音声信号に変換された後、プロセッサ24に与えられる。デジタル音声信号に変換された送話音声信号には、プロセッサ24の指示の下、無線通信回路14によって符号化処理および変調処理が施され、アンテナ12を介して出力される。したがって、変調音声信号は、基地局および通信網を介して相手の電話機に送信される。
【0046】
また、相手の電話機からの発信信号がアンテナ12によって受信されると、つまり着信があると、無線通信回路14は、音声着信(着呼と言うこともある)をプロセッサ24に通知する。これに応じて、プロセッサ24は、表示ドライバ28を制御して、着信通知に記述された発信元情報(発信者(相手)の名称など)をディスプレイ30に表示する。また、これとほぼ同時に、プロセッサ24は、スピーカ22とは異なるスピーカ(図示せず)から着信音(着信メロディ、着信音声と言うこともある)を出力させる。
【0047】
なお、携帯電話機10に振動装置(バイブレータ)やLEDが設けられる場合には、それらを駆動することによって、振動や発光(明滅)或いはそれら両方によって、着信を通知することもできる。これは、上述の着信音と共に実行されてもよい。
【0048】
そして、使用者が、着信に応答することを指示すると、無線通信回路14は、プロセッサ24の指示の下、音声着信処理を実行し、通信可能状態が確立され、プロセッサ24は上述した通常の通話処理を実行する。
【0049】
また、通話可能状態に移行した後に終話キー26cによって通話終了操作が行われると、プロセッサ24は、無線通信回路14を制御して、通話相手に通話終了信号を送信する。通話終了信号の送信後、プロセッサ24は通話処理を終了する。また、先に通話相手から通話終了信号を受信した場合も、プロセッサ24は通話処理を終了する。さらに、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、プロセッサ24は通話処理を終了する。
【0050】
また、携帯電話機10は、ネットワークに接続されるサーバとのデータ通信を確立することで、複数の機能を実行することができる。たとえば、携帯電話機10は、メールサーバ(図示せず)とのデータ通信を確立することで、メールの送受信を行うメール機能や、サーバが公開するデータを取得するブラウザ機能を実行する事ができる。
【0051】
図2(A)は、携帯電話機10の表面の外観を示す外観図であり、図2(B)は携帯電話機10の裏面の外観を示す外観図である。図2(A)を参照して、携帯電話機10は、ストレート型の形状であり、平面矩形の筐体50を有する。上述のマイク18は、筐体50に内蔵される。内蔵されたマイク18に通じる開口OP2は、筐体50の表面であり、筐体50の長手方向の一方端に設けられる。同様に、上述のスピーカ22は、筐体50に内蔵される。内蔵されたスピーカ22に通じる開口OP1は、筐体50の表面であり、筐体50の長手方向の他方端に設けられる。同様に、上述の湿度センサ40は、筐体50に内蔵される。内蔵された湿度センサ40に通じる開口OP3は、筐体50の表面であり、開口OP1が設けられる側の角に設けられる。ただし、開口OP3および湿度センサ40は、湿度を検出可能な位置であれば、他の位置に設けるようにしてもよい。ディスプレイ30は、モニタ画面が筐体50から露出するように取り付けられる。図2(A)では表現することができないが、ディスプレイ30の上面(前面)には、上述したタッチパネル38が設けられる。
【0052】
また、図2(A)に示すように、キー入力装置26は、通話キー26a、機能キー26bおよび終話キー26cを含む。そして、これらのキーは筐体50の表面であり、ディスプレイ30と開口OP2との間に設けられる。
【0053】
たとえば、使用者は、ディスプレイ30に表示されたダイヤルキーに対して、タッチ操作を行うことで電話番号を入力し、通話キー26aによって音声発信操作を行う。そして、使用者は、通話が終了すると、終話キー26cによって通話終了操作を行う。また、使用者は、ディスプレイ30に表示されたソフトキーおよびメニューに対してタッチ操作を行うことで、メニューの選択や確定を行う。そして、使用者は、終話キー26cを長押しすることで携帯電話機10の電源をオン/オフする。
【0054】
なお、アンテナ12、無線通信回路14、A/D変換器16、D/A変換器20、プロセッサ24、表示ドライバ28、フラッシュメモリ32、RAM34およびタッチパネル制御回路36は筐体50に内蔵されているため、図2(A)、(B)では省略してある。
【0055】
たとえば、アドレス帳の機能が実行されると、図3(A)に示すようなアドレス帳画面60がディスプレイ30に表示される。アドレス帳画面60は、3つの表示画面60a、60bおよび60cを含む。表示画面60aは、電波強度、電池残量および日時を表示する。表示画面60bは、表示画面60cに表示される表示内容についてのインデックス(ここでは、画像および名前)を表示する。表示画面60cは、アドレス帳に登録された人物についての画像および名前を表示する。ただし、人物についての画像が登録されていない場合には、当該画像が登録されていない旨の図柄が表示される。また、名前の欄には、携帯電話機10のユーザが登録した名称などの文字列が表示される。
【0056】
このようなアドレス帳画面60では、ユーザが画面の上方向または下方向にスライドすると、そのスライドの方向に表示画面60cに表示された表示内容(画像および名前)が移動(変化)される。たとえば、図3(A)に示す状態から、図3(B)に示すように、ユーザが上方向にスライドすると、表示画面60cに表示された表示内容がそのスライドする指の移動とともに上方向に移動する。つまり、表示画面60cが下方向にスクロールされる。図示および説明は省略するが、下方向にスライドする場合には、上方向にスライドする場合とは、スクロールの向きが逆になる。
【0057】
また、高速でスクロールさせる場合には、ユーザは上方向または下方向にフリックする。図面では分かり難いが、図3(A)に示す状態から、図3(C)に示すように、ユーザが上方向にフリックすると、スライドの場合とは異なり、表示画面60cが上方向に高速にスクロールされる。ただし、フリックの場合には、スライドした(弾いた)後に、指がリリースされる。
【0058】
なお、この実施例では、アドレス帳の機能が実行されている場合について示してあるが、地図の機能が実行されたり、スケジュール帳の機能が実行されたりしているような場合にも、ユーザのフリックに従って、画面が高速でスクロールされる。したがって、スクロールの方向は、上下方向のみならず、左右方向または斜め方向の場合もある。
【0059】
図4は、VRAMの描画領域100とディスプレイ30の表示領域102との関係を概念的に説明するための図である。ここでは、簡単のため、ディスプレイ30の画面の全範囲が図4に示す表示領域102に相当するものとし、画面全体がスクロールするものとする。
【0060】
なお、詳細な説明は省略するが、上述したアドレス帳画面60の表示画面60aおよび60bのようにスクロールされない表示領域の表示画像データは、表示画面60cのようにスクロールされる表示領域とは異なる領域に描画されるのである。
【0061】
図4に示すように、VRAMの描画領域100は表示領域102よりも大きく設定される。また、図4に示すように、フリックの方向は、(1)−(8)を付した白抜きの矢印で示す8方向に分類することができる。ただし、フリックの方向とスクロールの方向とは逆である。たとえば、フリックの方向が(2)を付した白抜きの矢印の方向である場合には、表示領域102の移動方向、すなわちスクロールの方向は(6)を付した白抜きの矢印の方向である。他の場合も同様である。
【0062】
詳細な説明は省略するが、スクロールの方向もまた、図4の白抜きの矢印で示す方向である。したがって、厳密に言うと、フリックの方向は、(1)が付された矢印の方向を0°とすると、右回りまたは左回りに45°ずつ変化される必要がある。しかし、ユーザの指による操作であるため、正しい方向を指示するのは困難である。したがって、図4に示すような白抜きの矢印が示す方向のデータを記憶しておき、数2に従って算出された方向と最も近似する矢印の方向にフリックの方向を決定するようにしてある。ただし、斜め方向については、算出したフリックの方向を最も近似する白抜きの矢印の方向に決定せずに、算出されたフリックの方向とは反対方向にスクロールさせるようにしてもよい。
【0063】
また、詳細な説明は省略するが、フリックでは、その速さおよび方向が検出され、その速さに応じた速度または/および加速度で、その方向に表示内容が移動される。ただし、フリックの速さは、時系列に従って検出される複数のタッチ位置のうちのいずれか2つのタッチ位置の間の距離を算出し、それら2つのタッチ位置を検出した時間の差で割ることにより求められる。フリックの方向は、複数のタッチ位置のうちの2つのタッチ位置において、時間的に先に検出されたタッチ位置から時間的に後に検出されたタッチ位置に向かうベクトルの方向である。
【0064】
具体的には、フリックの速度vおよびフリックの方向dは、それぞれ、数1および数2によって算出される。ただし、時刻t1で検出されたタッチ位置に対応するVRAMの描画領域上の点P1の座標を(x1,y1)とし、時刻t2(>t1)で検出されたタッチ位置に対応するVRAMの描画領域上の点P2の座標を(x2,y2)とする。また、VRAMの描画領域において、原点O(0,0)は予め決定されるとともに、その原点Oを中心とする2次元座標系(XY軸)も決定されている。図4では省略したが、原点O(0,0)は、たとえば、VRAMの描画領域の中心に設定される。また、原点O(0,0)で直交するように、横向きにX軸が設定され、縦向きにY軸が設定される。さらに、右向きがX軸のプラス方向であり、上向きがY軸のプラス方向である。したがって、フリックの方向dは、原点Oを基準とした場合のベクトルの方向である。
【0065】
[数1]
=(√{(x2−x1)+(y2−y1)})/(t2−t1)
[数2]
=(x2−x1,y2−y1)
また、たとえば、フリックする場合には、表示内容の移動距離、つまりスクロールの距離Sは数3に従って決定される。ただし、aはスクロールの加速度であり、vはスクロールの速度であり、tはスクロールの時間である。
【0066】
[数3]
S=vt+1/2×at
通常、スクロール時間tは一定時間(たとえば、0.5〜1秒)であり、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aの少なくとも一方が、フリックの速さvに応じて可変的に設定される。これによって、フリックの速さvに応じたスクロールを実現している。つまり、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aの少なくとも一方が大きければ、一定のスクロール時間tにおけるスクロールの距離が長くなる。したがって、フリックの速さvが大きいほど、より高速にスクロールされるのである。
【0067】
ただし、スクロールの速度vはkvで表され、スクロールの加速度aはmaで表される。vはスクロールの速度vの初期値であり、aはスクロールの加速度aの初期値である。この実施例では、初期値vは、フリックの速度vと同じ値に設定される。また、初期値aは、携帯電話機10の設計者ないし開発者が予め設定した値である。また、係数kおよび係数mは、フリックの速度vに応じて設定される。たとえば、フリックの速度vが所定の閾値A以上である場合には、係数kおよび係数mは1よりも大きい値(たとえば、1.2)が設定され、フリックの速度vが所定の閾値B未満(B<A)である場合には、係数kおよび係数mは1よりも小さい値(たとえば、0.8)が設定される。なお、フリック速度vが閾値B以上閾値A以下である場合には、係数kおよび係数mは1に設定される。
【0068】
なお、この実施例では、閾値Aおよび閾値Bを設定し、フリックの速度vの大きさに応じて係数kおよび係数mを所定値に設定するようにしたが、係数kおよび係数mは算出したり、予め設定したテーブルで決定したりしてもよい。ただし、フリックの速度vが大きくなるに連れて、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aが大きくされる必要がある。
【0069】
しかし、湿度が高い環境下では、ディスプレイ30または指或いはその両方が湿った状態となり、スライドしたり、フリックしたりする場合に、指がディスプレイ30の上面を滑り難くなってしまう。上述したように、スライドの場合には、指の動きとともに表示内容が移動されることにより、画面がスクロールされるため、違和感を覚えないが、フリックの場合には、いつも通りの操作を行っているにも拘わらず、スクロールの速度が遅いと感じてしまう場合がある。つまり、違和感を覚えるおそれがある。
【0070】
そこで、この実施例では、湿度を検出することにより、湿度に応じて、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aを変化させるようにしてある。つまり、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aの設定値が制御される。
【0071】
具体的には、数3において、スクロールの速度vは、初期値vにさらに係数αを掛ける(v=αkv)ことにより求められ、スクロールの加速度aは、初期値aにさらに係数βを掛ける(a=βma)ことにより求められる。そして、係数αおよび係数βを変化させることにより、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aが変化される。
【0072】
この実施例では、係数αおよび係数β(パラメータ)を設定するため、大きさの異なる2つの閾値(閾値Cおよび閾値D)が設けられる。ただし、閾値Cは閾値Dよりも大きい値である。閾値Cおよび閾値Dは、実験等により決定(設定)される値である。この実施例では、湿度が閾値D以上閾値C未満である場合には、つまり湿度が中程度である場合には、係数αおよび係数βに初期値として第1設定値(この実施例では、1)が設定される。かかる場合には、フリックの速度vのみに基づいて、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aが変化される。また、この実施例では、湿度が閾値D未満である場合には、つまり湿度が比較的低い場合には、係数αおよび係数βに第2設定値(この実施例では、0.8)が設定される。したがって、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aが小さくされる。さらに、この実施例では、湿度が閾値C以上である場合には、つまり湿度が比較的高い場合には、係数αおよび係数βに第3設定値(この実施例では、1.2)が設定される。したがって、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aが大きくされる。
【0073】
なお、この実施例では、第1設定値−第3設定値として、係数α、βに同じ値を設定するようにしてあるが、これに限定される必要はなく、係数α、βに異なる値が設定されてもよい。
【0074】
また、詳細な説明は省略するが、係数α、βの設定(更新)は、携帯電話機10の使用を開始するとき、所定時間を経過するときなどの所定タイミングである。ただし、携帯電話機10を使用するときとは、主電源がオンされたときやスリープ(スタンバイ)状態から通常の状態に起動(復帰)されたときを意味する。
【0075】
図5は図1に示したRAM34のメモリマップ300を示す図である。図5に示すように、RAM34は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302は、携帯電話機10の制御プログラムを記憶し、この制御プログラムは、画面生成プログラム302a、画面表示プログラム302b、入力検出プログラム302c、入力判定プログラム302d、湿度検出プログラム302e、パラメータ設定プログラム302fおよび表示制御プログラム302gなどによって構成される。
【0076】
画面生成プログラム302aは、後述する画像データ304bを用いて、ディスプレイ30に表示する画面(60など)に対応する表示画像データを生成するためのプログラムである。画面表示プログラム302bは、画面生成プログラム302aに従って生成された表示画像データに対応する画面をディスプレイ30に表示するためのプログラムである。
【0077】
入力検出プログラム302cは、キー入力装置26から入力されるキーデータおよびタッチパネル38からタッチパネル制御回路36を介して入力される座標データを検出して、後述する操作データバッファ304aに記憶(一時記憶)するためのプログラムである。入力判定プログラム302dは、入力検出プログラム302cに従って検出された座標データに基づいて、タッチ、リリース、スライド、フリックまたはタッチアンドリリースの別を判定するためのプログラムである。
【0078】
湿度検出プログラム302eは、湿度センサ40からの湿度データを取得して、データ記憶領域304に記憶するためのプログラムである。パラメータ設定プログラム302fは、湿度データ304cに対応する湿度の値に応じて、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aを変化させるための係数αおよび係数βを設定するためのプログラムである。表示制御プログラム302gは、入力判定プログラム302dの判定結果に従って、画面のスクロール、拡大、縮小などを制御するためのプログラムである。
【0079】
図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、通話プログラム、通信プログラムおよび着信音(メロディ、音楽を出力(再生)するための音出力プログラムや各種機能(ブラウザ、電子メール、アドレス帳、電卓、スケジュールなど)を実行するための各々のプログラムも記憶される。
【0080】
データ記憶領域304には、操作データバッファ304aが設けられる。また、データ記憶領域304には、画像データ304b、湿度データ304c、フリック速度データ304d、フリック方向データ304e、係数αデータ304fおよび係数βデータ304gなどが記憶される。
【0081】
操作データバッファ304aは、キー入力装置26から入力されたキーデータおよびタッチパネル38から入力された座標データを一時記憶する。操作データバッファ304aに一時記憶されたキーデータや座標データは、プロセッサ24の処理に用いられた後、削除(消去)される。
【0082】
画像データ304bは、画面(60など)についての表示画像データを生成するためのテンプレートのデータおよびキャラクタ画像のデータなどである。湿度データ304cは、上述した湿度検出プログラム302dに従って湿度センサ40から取得された湿度のデータである。
【0083】
フリック速度データ304dは、フリックが検出された場合に、数1に従って算出されたフリックの速度vについてのデータである。フリック方向データ304eは、フリックが検出された場合に、数2に従って算出されたフリックの方向dについてのデータである。ただし、数2に従って算出されたフリックの方向dは、図4に示した白抜きの矢印が示す方向のうち、最も近似する方向に補正される。
【0084】
係数αデータ304fは、湿度データ304cおよびフリック速度データ304dに基づいて算出されたスクロールの速度vの係数αについてのデータである。係数βデータ304gは、湿度データ304cに基づいて算出されたスクロールの加速度aについての係数βのデータである。
【0085】
図示は省略するが、着信音(メロディ、音楽)についての音データなども記憶される。また、プロファイル、アドレス帳またはスケジュール(カンレダー)の読出しが指示されると、対応するデータがフラッシュメモリ32からRAM34にロードされる。
【0086】
図6は図1に示しプロセッサ24のパラメータ設定処理を示すフロー図である。上述したように、パラメータ設定処理は、携帯電話機10の使用を開始するとき、所定時間(この実施例では、1時間)を経過するときのような所定タイミングで実行される。
【0087】
図6に示すように、プロセッサ24はパラメータ設定処理を開始すると、ステップS1で、係数αおよび係数βを初期化する(α=β=1)。つまり、係数αデータ304fおよび係数βデータ304gに初期値のデータが設定される。次のステップS3では、湿度を検出する。つまり、プロセッサ24は、湿度センサ40から湿度データ304cを取得して、データ記憶領域304に記憶する。続いて、ステップS5で、湿度が閾値C以上であるかどうかを判断する。ステップS5で“YES”であれば、つまり湿度が閾値C以上であれば、ステップS7で、係数αを1.2に設定(α=1.2)し、ステップS9で、係数βを1.2に設定(β=1.2)して、パラメータ設定処理を終了する。つまり、ステップS7およびS9の処理によって、係数αデータ304fおよび係数βデータ304gが更新される。
【0088】
また、ステップS5で“NO”であれば、つまり湿度が閾値C未満であれば、ステップS11で、湿度が閾値D未満であるかどうかを判断する。ステップS11で“NO”であれば、つまり湿度が閾値D以上閾値C未満であれば、そのままパラメータ設定処理を終了する。一方、ステップS11で“YES”であれば、つまり湿度が閾値D未満であれば、ステップS13で、係数αを0.8に設定(α=0.8)し、ステップS15で、係数βを0.8に設定(β=0.8)して、パラメータ設定処理を終了する。つまり、ステップS13およびS15の処理によって、係数αデータ304fおよび係数βデータ304gが更新される。
【0089】
図7は図1に示したプロセッサ24の表示制御処理を示すフロー図である。詳細な説明は省略するが、表示制御処理は、所定時間(1フレーム)毎に実行される。図7に示すように、プロセッサ24は、表示制御処理を開始すると、ステップS31で、フリックであるかどうかを判断する。ここでは、プロセッサ24は、操作データバッファ304aに記憶された座標データを参照して、ユーザが指を所定時間(たとえば、50ms)内に所定距離(たとえば、50ドット)以上動かしてからリリースしたかどうかを判断する。
【0090】
ステップS31で“YES”であれば、つまりフリックであれば、ステップS33で、数1に従って、フリック速度vを算出し、ステップS35で、数2に従って、フリックの方向dを算出する。図示は省略するが、ステップS33では、算出されたフリックの速度vに対応するフリック速度データ304dがRAM34のデータ記憶領域304に記憶され、ステップS35では、算出されたフリックの方向dに対応するフリック方向データ304eがRAM34のデータ記憶領域304に記憶される。そして、ステップS37で、フリックの方向dとは逆向きに、スクロールの速度vおよびスクロールの加速度aで画面をスクロールさせて、表示制御処理を終了する。ただし、ステップS37では、スクロールの速度v(=αkv)およびスクロールの加速度a(=βma)は、上述したように、フリックの速度vおよび湿度に応じて決定される。
【0091】
また、ステップS31で“NO”であれば、つまりフリックでなければ、ステップS39で、他の操作があるかどうかを判断する。たとえば、キーデータに基づく操作やスライドやタッチアンドリリースなどの操作があるかどうかを判断するのである。ステップS39で“NO”であれば、つまり他の操作が無ければ、何ら操作が無いと判断して、そのまま表示制御処理を終了する。一方、ステップS39で“YES”であれば、つまり他の操作が有れば、当該他の操作に応じた表示処理を実行して、表示制御処理を終了する。たとえば、ステップS41では、プロセッサ24は、スライドやタッチアンドリリースに応じて、画面をスクロールしたり、画面を拡大または縮小したり、他のページ(画面)に移動したりする。
【0092】
この実施例によれば、湿度が高い場合には、画面の一部ないし全部の表示内容を移動させる速度および加速度を増大させ、湿度が低い場合には、画面の一部ないし全部の表示内容を移動させる速度および加速度を低減させるので、湿度の変化に拘わらず、ユーザのフリックに応じて、画面の一部ないし全部の表示内容を移動させる量を一定にすることができる。つまり、操作感を均一化することができる。
【0093】
なお、この実施例では、湿度が高い場合のみならず、湿度が低い場合にも、画面の一部ないし全部の表示内容を移動させる速度および加速度を変化させるようにしたが、湿度が低い場合については、その速度および加速度を変化させなくてもよい。または、湿度が低い場合だけ、画面の一部ないし全部を移動させる速度および加速度を変化させるようにしてもよい。
【0094】
また、この実施例では、湿度の高低を判別するための2つの閾値を設けて、閾値C以上と閾値D未満とのそれぞれで、画面の一部ないし全部の表示内容を移動させる速度および加速度の少なくとも一方を変化させるパラメータ(係数α、β)を所定値に設定するようにしたが、これに限定される必要はない。たとえば、湿度に応じて係数α、βを算出してもよいし、予め用意したテーブルに従って係数α、βを決定してもよい。ただし、いずれの場合であっても、湿度が高くなるに連れて、画面の一部ないし全部の表示内容を移動させる速度および加速度が大きくされるように係数α、βが設定され、逆に、湿度が低くなるに連れて、画面の一部ないし全部の表示内容を移動させる速度および加速度が小さくされるように係数α、βが設定される。
【0095】
さらに、この実施例では、携帯電話機に湿度センサを設けて、この湿度センサで検出される湿度に応じて、スクロールの速度およびスクロールの加速度を設定するようにしたが、これに限定される必要はない。たとえば、基地局からその地域の湿度の情報を通知するようにし、その湿度の情報を携帯電話機が取得するようにしてもよい。または、携帯電話機にGPS機能を設けることにより、現在位置を取得し、所定のインターネットサイトから現在位置の湿度を取得するようにしてもよい。
【0096】
さらにまた、この実施例では、湿度に応じて、スクロールの速度およびスクロールの加速度の両方を変化させるようにしたが、いずれか一方を変化させるようにしてもよい。具体的には、スクロールの速度のみを変化させる場合には、図6のステップS9およびS15の処理を削除すればよい。また、この場合には、ステップS1で、係数βを初期化する必要はない。一方、スクロールの加速度のみを変化させる場合には、図6のステップS7およびS13の処理を削除すればよい。また、この場合には、ステップS1で、係数αを初期化する必要はない。
【0097】
さらに、この実施例では、タッチパネルを備える携帯電話機についてのみ説明したが、これに限定される必要はない。タッチパネルを備えるタブレットPCや電子カメラなどの他の携帯端末にも適用することができる。
【0098】
さらにまた、この実施例では、リリースされた後、所定速度で、数3に示される距離だけスクロールするようにしてあるが、たとえば、リリースした後のスクロール時間t(ここでは、たとえば、1秒)を設定し、このスクロール時間tの間に、画面が距離S移動して徐々に停止するように、リリース後の加速度aをマイナスの値で設定するようにしてもよい。また、スクロール時間tのうち、前半(たとえば、0.5秒)加速した後に、後半(残り、0.5秒)減速するように、加速度aの値を可変的に設定するようにしてもよい。
【0099】
また、この実施例では、通信方式として、CDMA方式を採用するようにしてあるが、これに限定される必要は無く、LTE(Long Term Evolution)方式、W−CDMA方式、GSM方式、TDMA方式、FDMA方式およびPHS方式などの他の方式が採用されてもよい。
【0100】
さらに、以上の説明で挙げた所定距離、所定時間や閾値などの具体的数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0101】
10 …携帯電話機
14 …無線通信回路
18 …マイク
22 …スピーカ
24 …プロセッサ
26 …キー入力装置
30 …ディスプレイ
32 …フラッシュメモリ
34 …RAM
38 …タッチパネル
40 …湿度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部、前記表示部上に設けられるタッチパネル、および前記タッチパネル上でフリックが実行された場合に、前記表示部に表示された表示画面の一部ないし全部の表示内容を当該フリックの速さおよび方向に従って移動させる表示制御部を備える、携帯端末において、
湿度を検出する湿度検出部、および
前記湿度検出部によって検出された湿度が第1閾値以上であるとき、前記表示画面の一部ないし全部の表示内容の移動速度および移動加速度の少なくとも一方を増加させるように制御する移動制御部を備えることを特徴とする、携帯端末。
【請求項2】
前記移動制御部は、
前記湿度検出部によって検出された湿度が第2閾値以上第1閾値未満の場合には、前記移動速度および前記移動加速度の少なくとも一方を第1設定値に設定し、
前記湿度検出部によって検出された湿度が第2閾値未満の場合には、前記移動速度および前記移動加速度の少なくとも一方を前記第1設定値よりも小さい第2設定値に設定し、
前記湿度検出部によって検出された湿度が第1閾値以上の場合には、前記移動速度および移動加速度の少なくとも一方を前記第1設定値よりも大きい第3設定値に設定する、請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記移動制御部は、
前記湿度検出部によって検出された湿度が前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上の場合には、前記移動速度および前記移動加速度の少なくとも一方を第1設定値に設定し、
前記湿度検出部によって検出された湿度が第2閾値未満の場合には、前記移動速度および前記移動加速度の少なくとも一方を前記第1設定値よりも小さい第2設定値に設定する、請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
前記移動制御部は、
前記湿度検出部によって検出された湿度が前記第1閾値よりも小さい第2閾値未満の場合には、前記移動速度および前記移動加速度の少なくとも一方を前記第1設定値よりも小さい第2設定値に設定し、
前記湿度検出部によって検出された湿度が前記第1閾値以上の場合には、前記移動速度および前記移動加速度の少なくとも一方を前記第1設定値よりも大きい第3設定値に設定する、請求項1記載の携帯端末。
【請求項5】
前記移動制御部の制御は、所定タイミングで実行される、請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
前記所定タイミングは、前記携帯端末の使用開始時である、請求項5記載の携帯端末。
【請求項7】
前記所定タイミングは、所定時間の経過時である、請求項5記載の携帯端末。
【請求項8】
前記第1設定値に設定される前記移動速度は、前記フリックの速さと同じまたは略同じである、請求項2ないし7のいずれかに記載の携帯端末。
【請求項9】
表示部、前記表示部上に設けられるタッチパネル、および前記タッチパネル上でフリックが実行された場合に、前記表示部に表示された表示画面の一部ないし全部の表示内容を当該フリックの速さおよび方向に従って移動させる表示制御部を備える、携帯端末の制御方法であって、
(a)湿度を検出し、そして
(b)前記ステップ(a)によって検出された湿度が所定の閾値以上であるとき、前記表示画面の一部ないし全部の移動速度および移動加速度の少なくとも一方を増加させるように制御することを特徴とする、携帯端末の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−133732(P2012−133732A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287519(P2010−287519)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】