説明

携帯端末および情報表示連動システム

【課題】ネットワークに対応したテレビと携帯端末との連動を向上させ、ウェブ上のサービスを最適な方法で得られるようにする。
【解決手段】サーバー10に専用通信回線PNを通じてアクセス可能な携帯端末30において、サーバー10には携帯用コンテンツとTV用コンテンツが記憶されており、インターネットINを通じてサーバー10にアクセス可能なテレビジョン20との間で端末間通信を行う無線通信部31と、インターネットINを通じてサーバー10から取得した携帯用コンテンツを表示する表示部32と、携帯用コンテンツに含まれるTV用コンテンツの所在情報に基づいてテレビジョン20にサーバー10からTV用コンテンツを取得させて表示部22にTV用コンテンツを表示させる同期部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末および情報表示連動システムに関し、特に、携帯端末用の第1コンテンツを記憶したサーバーに第1の通信回線を通じてアクセス可能な携帯端末および携帯端末用の第1コンテンツと該第1コンテンツに対応して作成されたテレビジョン用の第2コンテンツとを記憶したサーバーに第1の通信回線を通じてアクセス可能な携帯端末と、上記サーバーに第2の通信回線を通じてアクセス可能なテレビジョンとを備える情報連動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビは、デジタル放送の開始やインターネットとの通信機能の搭載に伴って多機能・高機能化してきている。その一方で、デジタルテレビのリモコンや操作パネルは、ボタン数減少やデザイン性向上の要望が強いことから簡易化される傾向にある。このような現状に対応するために、テレビと他の機器とを連携させる技術が模索されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、操作用端末の操作に従って表示用端末にサーバー上のコンテンツを表示させる技術が開示されている。この技術では、携帯電話や操作用PCといった操作用端末からサーバーにアクセスして表示すべきコンテンツに表示用端末IDを関連付けるとともに、表示用端末においてウェブブラウザあるいは専用のアプリケーションを通じてサーバーにアクセスさせ、サーバーから表示用端末にコンテンツまたはその参照先を送信させている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、移動体端末をデジタルテレビ(DTV)のリモコンとして機能させる技術について開示されている。この技術では、管理装置がサーバーにアクセスしてコンテンツデータを取得するようにしており、移動体端末やDTVは管理装置を経由してコンテンツデータを取得する。このとき、まず、移動体端末のIDとデジタルテレビ(DTV)のIDとを関連付けて管理装置に登録しておき、移動体端末もしくはDTVが切替要求を管理装置に入力すると、コンテンツデータの送信先が移動体端末とDTVとの間で切り替わるようになっている。
【0005】
また、例えば特許文献3に記載のブロードキャストシステムは、放送局からブロードキャストされる対話的プログラムを受信する機能とWAP(Wireless Application Protocol)通信機能とを備えたテレビ受信機と、放送局の対話的プログラムと同期したWAP通信可能なインターネットサーバーと、このインターネットサーバーに接続されたトランシーバとを備え、対話的プログラムに対する応答をトランシーバとインターネットサーバーとを介して送信できる構成となっている。
【0006】
また、例えば特許文献4には、赤外線を用いてテレビと通信可能な携帯端末を利用してテレビ受像機にチャンネル信号を出力し、テレビ受像機にザッピングを行わせる技術について開示されている。
また、例えば特許文献5には、テレビ番組連動データをテレビで受信し、近距離無線通信によって携帯端末に転送して表示する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−159188号公報
【特許文献2】特開2008−278266号公報
【特許文献3】特表2004−502382号公報
【特許文献4】特開2005−333401号公報
【特許文献3】特開2002−015151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上説明した特許文献1,2の技術では、携帯端末などとデジタルテレビとを連動させることにより、デジタルテレビにおけるユーザーインターフェースの乏しさをある程度は改善している。しかし、ネットワークに対応したデジタルテレビと携帯端末との連携にはまだ改善の余地が多くある。
【0009】
例えば、デジタルテレビでは、ブロードバンド回線を通じてネットワーク接続しているが、このブロードバンド回線はセキュリティの信頼性が低く、インターネットショッピング等の決済を行うには不安があった。また、ブロードバンド回線用に作成されたリッチコンテンツは、年々、サイズが大きくなってきているし、広告などの不要な情報も多いため、ユーザーは、常にリッチコンテンツを表示したいわけではない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、ネットワークに対応したテレビと携帯端末との連動を向上させ、ウェブ上のサービスを最適な方法で得られる携帯端末および情報表示連動システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる携帯端末では、携帯端末用の第1コンテンツを記憶したサーバーに第1の通信回線を通じてアクセス可能な携帯端末において、無線通信部と、表示部と、同期部とを備える構成としてある。なお、上記サーバーには、上記第1コンテンツに対応して作成されたテレビジョン用の第2コンテンツも記憶されている。
【0012】
上記構成において、上記無線通信部は、第2の通信回線を通じて上記サーバーにアクセス可能なテレビジョンと端末間通信を行う。上記第2の通信回線と上記第1の通信回線とは異なる通信回線であって、例えば、第2の通信回線は特定の種類の携帯端末でしかアクセスできないような専用通信回線や、他のユーザーが使用できない専用通信回線や、通信内容を暗号化することにより通信回線の他のユーザーからは解読できないようにされたバーチャルプライベート回線などで構成することができる。また、第1の通信回線は、不特定多数のユーザーに開放されている通信回線であり、例えば、インターネットやローカルエリアネットワークなどである。上記端末間通信とは、2台の端末が1対1で行う通信であり、いわゆるP2P(Peer to Peer)通信などが該当する。
【0013】
上記構成において、上記表示部は、上記第1の通信回線を通じてサーバーから取得した第1コンテンツを表示する。第1コンテンツは、上記携帯端末での表示に最適化されており、データサイズが小さいシンプルコンテンツである。これに対し、後述の第2コンテンツは、携帯端末の画面よりも画面サイズの大きいテレビジョンでの表示に最適化されており、データサイズの大きいリッチコンテンツである。従って、上記第1の通信回線の通信速度は、上記第2の通信回線の通信速度よりも遅くても構わない。上記第1コンテンツおよび第2コンテンツは、例えば、ウェブページやインターネットテレビ放送番組などのように、映像を画面に表示するためのコンテンツであり、画像や音声を含んで構成されている。
【0014】
上記構成において、上記同期部は、上記第1コンテンツに含まれる第2コンテンツの所在情報を上記端末間通信により上記テレビジョンに送信し、上記テレビジョンに上記サーバーから上記第2コンテンツを取得させて上記テレビジョンの画面に上記第2コンテンツを表示させる。上記第1コンテンツと上記第2コンテンツとは、互いに密接に関連した構成になっており、第1コンテンツによって表示される部品や情報に対応する部品や情報が上記第2コンテンツにも表示されている。従って、上記携帯端末と上記テレビジョンの表示とを同期させることにより、携帯端末で上記第1コンテンツを閲覧しつつ、大画面で閲覧したいときや各部品や情報を詳細に観察したいときは上記テレビジョンに表示された第2コンテンツを閲覧するといった使い分けが可能になる。
【0015】
また、本発明の選択的な一態様として、上記表示部に表示された第1コンテンツに対する操作を行う操作部を更に備え、上記同期部は、上記操作により発生するイベントに対応したイベントを上記テレビジョンに表示されている上記第2コンテンツに発生させる。上記第1コンテンツと上記第2コンテンツとは、一方のコンテンツで発生可能なイベントに対応するイベントが他方のコンテンツでも発生可能になっている。イベントとは、表示されるアイテムの種類やアイテム間の相対的な位置関係や、操作が行われたときに発生するアクションなどである。また、上記第1コンテンツには、各イベントに対応する第2コンテンツのイベントの発生方法を示す情報が記載されており、この情報を上記テレビジョンに送信することにより、上記テレビジョンは上記第1コンテンツのイベントと対応するイベントを発生することができる。よって、上記操作部により上記第1コンテンツに対して行われた操作により発生するイベントに対応する第2コンテンツのイベントの発生方法を示す情報を上記テレビジョンに送信することにより、上記テレビジョンに表示されている上記第2コンテンツにも同様のイベントを発生させることができる。従って、上記操作部に対して行われる各操作と同様の操作を上記テレビジョンにも行ったことになり、操作性に優れた携帯端末を利用してテレビジョンの画面に表示された第2コンテンツの操作が可能になる。
【0016】
また、本発明の選択的な一態様として、上記同期部は、上記携帯端末と同期可能なテレビジョンを上記端末間通信により発見すると、上記表示部に同期可能である旨の表示を行うようにしてもよい。該構成によれば、ユーザーは、同期可能なテレビジョンが存在することを容易に把握することができる。
【0017】
また、本発明の選択的な一態様として、上記同期部は、上記携帯端末と上記テレビジョンとの同期状況を上記表示部に表示するようにしてもよい。該構成によれば、ユーザーは、同期状況を容易に把握することができる。
【0018】
また、本発明の選択的な一態様として、上記同期部は、上記テレビジョンにおいて上記第1コンテンツに対応する第2コンテンツの表示が完了するまで上記操作部に対する操作をロックするようにしてもよい。該構成によれば、上記同期部の同期が適切に調停されるようになる。このような同期や調停は、例えば、XMPP(eXtensible Messaging and Presence Protocol)などのプロトコルにて行うことができる。
【0019】
また、本発明の選択的な一態様として、上記表示部に表示される上記第1コンテンツが決済画面であるときは、上記同期部は、上記テレビジョンの画面に上記第1コンテンツに対応していないダミー画面を表示させる。なお、決済画面の第1コンテンツに対応してダミー画面を上記第2コンテンツとして表示させるためには、例えば、決済画面の第1コンテンツに対応して作成される第2コンテンツを予めダミー画面となるように作成して上記サーバーに格納しておいてもよいし、上記第1コンテンツに記載される上記第2コンテンツの所在情報をダミー画面としたり上記第1コンテンツに発生するイベントに対応して発生する第2コンテンツのイベントをダミーのイベント情報としたりすることにより実現してもよい。該構成によれば、決済情報が送受信される際には第1の通信回線を通じて通信を行うようになる。従って、上述したように、第1の通信回線を専用通信回線とすることにより、セキュリティを向上させることが可能となる。
【0020】
上述した携帯端末は、他の機器に組み込まれた状態で実施されたり他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。また、本発明は上記携帯端末とテレビジョンとの表示を連動させる情報表示連動システム、上記携帯端末の構成に対応した工程を有する制御方法、上記携帯端末の構成に対応した機能をコンピューターに実現させるプログラム、該プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体、等としても実現可能である。これら情報連動システム、携帯端末制御方法、携帯端末制御プログラム、該プログラムを記録した媒体、の発明も、上述した作用、効果を奏する。むろん、請求項2〜6に記載した構成も、前記システムや前記方法や前記プログラムや前記記録媒体に適用可能である。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、携帯端末での閲覧とネットワークに対応したテレビジョンでの閲覧と連動させ、ウェブ上にあるサーバーの提供するサービスを受ける際に、携帯端末とテレビジョンのいずれか適切な方で閲覧することが可能な携帯端末を提供することができる。
また請求項2にかかる発明によれば、携帯端末の表示とテレビジョンの表示とを同期させているときに、操作性に優れた携帯端末を利用してテレビジョンの画面に表示された第2コンテンツの操作が可能になる。
また請求項3にかかる発明によれば、ユーザーは、同期可能なテレビジョンが存在することを容易に把握することができる。
また請求項4にかかる発明によれば、ユーザーは、同期状況を容易に把握することができる。
また請求項5にかかる発明によれば、上記同期部の同期が適切に調停される。
また請求項6にかかる発明によれば、既存のプロトコルを利用して同期を実現できる。
また請求項7にかかる発明によれば、携帯端末での閲覧とネットワークに対応したテレビジョンでの閲覧と連動させ、ウェブ上にあるサーバーの提供するサービスを受ける際に、携帯端末とテレビジョンのいずれか適切な方で閲覧することが可能な携帯端末とテレビジョンの情報表示連動システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】情報表示連動システムの構成を示す図である。
【図2】情報表示連動システムの機能構成を示すブロック図である。
【図3】携帯用コンテンツの構成を示す概念図である。
【図4】携帯用コンテンツとTV用コンテンツとにより表示される画面の一例を示す図である。
【図5】同期処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】コンテンツ表示処理のフローチャートである。
【図7】同期表示中の情報表示連動システムにおけるデータの流れを示す説明図である。
【図8】ステップS260の処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)本実施形態の構成:
(2)同期処理:
(3)コンテンツ表示処理:
(4)まとめ:
【0024】
(1)本実施形態の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる情報表示連動システムの構成を示す図である。同図において、情報表示連動システム100は、インターネットINを介してテレビ放送や動画提供やウェブページのコンテンツ等の提供をおこなうウェブサーバーとして機能するサーバー10と、インターネットINに接続可能なテレビジョン20と、携帯電話網等の専用通信回線PNを介してインターネットINに接続可能な携帯端末30と、を備えている。
【0025】
テレビジョン20とサーバー10はインターネットINを介して通信可能に接続されており、携帯端末30とサーバー10は専用通信回線PNで通信可能に接続されている。本実施形態においては、専用通信回線PNが第1の通信回線を構成し、インターネットINが第2の通信回線を構成する。なお、図1ではテレビジョン20のアクセスするサーバーと携帯端末30のアクセスするサーバーとを同一のサーバー10としてあるが、各々アクセスするサーバーに携帯用コンテンツとTV用コンテンツがそれぞれ格納されていれば、サーバーは別体であってもよい。
【0026】
なお、専用通信回線PNは、回線上で送受信される情報が暗号化され、専用通信回線の管理コンピューターに予め登録された機器でしか接続できないようになっている。従って、専用通信回線網は、インターネット回線網よりも情報漏洩の心配の少ない高セキュリティになっている。TV20は、例えばAndoroidのような高度なGUI(Graphical User Interface)を実現可能なOS(Operating System)を搭載している。携帯端末30は、例えば、携帯電話機、PDA、パームトップコンピューター、等であり、表示画面が小さく、操作性の高いユーザーインターフェースを備えている。
【0027】
図2は、情報表示連動システム100の機能構成を示すブロック図である。
同図に示すように、サーバー10は、コンテンツ格納部11とサーバー処理部12とを備えており、サーバー処理部12はウェブサーバーとして機能する。コンテンツ格納部11は、HD(Hard Disk)のような不揮発性の大容量記憶媒体で構成され、TV用コンテンツと携帯用コンテンツとが格納されている。TV用コンテンツと携帯用コンテンツは密接に関連付けて作成されている。本実施形態において、携帯用コンテンツが携帯端末用の第1コンテンツを構成し、TV用コンテンツがテレビジョン用の第2コンテンツを構成する。
【0028】
図3は携帯用コンテンツの構成を示す概念図である。同図に示すように、携帯用コンテンツは、表示単位毎に作成された部品データの組合せで構成されている。各部品データは、端末画面を構成するためのデータ(HTML(HyperText Markup Language)データなど)と、付随する画像、動画、音楽などのデータで構成されている。また、各部品データには複数の属性が定義されている。属性は、アイテム名、形状、配置、アクション等である。
【0029】
また、携帯用コンテンツに対応するTV用コンテンツがある場合には、データ全体もしくは部品データごとに、対応するTV用コンテンツに関するテレビ用情報とが含まれている。テレビ用情報は、部品データが表示データの場合にはTV用コンテンツの有無やTV用コンテンツの入手先(URLやURI等)で構成され、部品データが何らかのイベントを発生させるための部品データの場合にはTV用コンテンツの有無やテレビ用のイベントを発生させるための制御情報で構成される。
【0030】
図4は携帯用コンテンツとTV用コンテンツとにより表示される画面の一例を示す図である。同図において、テレビジョン20の画面には3D画像が表示されており、携帯端末30の画面には2D画像が表示している。両画像は、対応する部品データであるが、携帯用コンテンツでは情報量の少ない2D画像が表示されるようになっており、TV用コンテンツでは情報量の多い3D画像が表示されるようになっている。
【0031】
すなわち、携帯用コンテンツはデータ量の少ないシンプルコンテンツであり、TV用コンテンツはデータ量の多いリッチコンテンツである。携帯端末30は表示画面が小さく通信速度が低く、テレビジョン20は画面が大きく通信速度の速いブロードバンド回線に接続されているからである。2D/3Dの使い分けの他、画像のサイズや解像度、動画のサイズや解像度やフレームレートを変更したり、画面レイアウトを最適化したりしてもよい。画面レイアウトの最適化とはスクロールの有無やフレーム構成の有無などであり、シンプルコンテンツではスクロール方向を縦横の一方のみに限定したりフレーム構成を使わないようにし、リッチコンテンツではスクロール方向を限定せずフレーム構成を利用可能にする等の使い分けができる。
【0032】
テレビジョン20は、図2に示すように、Wifi(Wireless Fidelity)などの無線通信によって携帯端末30との間で端末間通信(例えばP2P(Peer to Peer)通信など)するための無線通信部21と、映像を表示する表示部22と、ユーザーの操作入力を受付ける操作部23と、無線通信部21を介して通信する携帯端末30との間で表示を同期させる同期マネージャー24と、チューナーから入力されたテレビ放送信号に基づいて映像を表示部に表示させたり音声を不図示のスピーカに出力させたりするテレビ処理部25と、TV用のリッチコンテンツデータに基づいて映像を表示部に表示させたり音声を不図示のスピーカに出力させたりするコンテンツ表示部26と、に相当する機能を備えている。本実施形態においては、無線通信部21が第2無線通信部を構成し、表示部22が第2表示部を構成し、同期マネージャー24が第2同期部を構成する
【0033】
コンテンツ表示部26は、ウェブページを閲覧するウェブブラウザやインターネットテレビ放送に基づく映像や音声を表示する映像表示プログラム等であり、インターネットを介して取得したコンテンツデータに基づく表示制御や音声出力制御を行う。むろん、プログラムと同様の機能を備えた専用のカスタムIC(Integrated Circuit)で構成してもよい。コンテンツ表示部26は、携帯端末30の操作できるように構成されており、同期マネージャー24を介して入力される制御情報に基づいて表示を変更できるようになっている。以下の説明ではコンテンツ表示部26がウェブブラウザである場合を例にとって説明する。
【0034】
なお、無線通信部21は、テレビジョン20の備える無線通信機能を利用して携帯端末30と通信してもよいし、テレビジョン20の接続された所定のイーサネット(登録商標)内に無線通信機能を備えたアクセスポイントが接続されているのであれば、そのアクセスポイントを経由して携帯端末30と通信するようにしてもよい。
【0035】
また、携帯端末30は、図2に示すように、Wifi(Wireless Fidelity)などの無線通信によってテレビジョン20との間で端末間通信(例えばP2P通信など)するための無線通信部31と、映像を表示する表示部32と、ユーザーの操作入力を受付ける操作部33と、同期マネージャー34と、携帯用のシンプルコンテンツデータに基づいて映像を表示部に表示させたり音声を不図示のスピーカに出力させるコンテンツ表示部35とを備えている。本実施形態においては、無線通信部31が第1無線通信部を構成し、表示部32が表示部もしくは第1表示部を構成し、操作部33が操作部を構成し、同期マネージャー34が同期部もしくは第1同期部を構成する。
【0036】
コンテンツ表示部35は、ウェブページを閲覧するウェブブラウザやインターネットテレビ放送に基づく映像や音声を表示する映像表示プログラム等であり、インターネットを介して取得したコンテンツデータに基づく表示制御や音声出力制御を行う。むろん、プログラムと同様の機能を備えた専用のカスタムICで構成してもよい。コンテンツ表示部35は、同期マネージャー24を介してテレビジョン20に制御情報を入力することにより、テレビジョン20の表示を携帯端末30の表示に同期させられるようになっている。以下の説明ではコンテンツ表示部26がウェブブラウザである場合を例にとって説明する。
【0037】
(2)同期処理:
次に、図5を参照しつつテレビジョン20と携帯端末30の同期処理について説明する。図5は、同期処理の流れを示すフローチャートである。同期処理は同期マネージャー34が実行する処理であり、この処理を実行するために同期マネージャー34は、端末間通信によって同期通信可能なテレビジョン20を探索する探索部34aと、同期通信可能なテレビジョン20との間で同期通信を行う同期通信部34bと、を備えている。本同期処理は、同期動作が可能なアプリケーションが起動されたときに呼び出されて実行される。
【0038】
処理が開始されると、探索部34aが同期通信可能なテレビジョン20を探索する(ステップS100)。このとき、探索部34aは、例えば、無線通信部31を介してMultiCastDNSによって端末間通信を可能なテレビジョンを発見する。次に、探索部34aは、同期マネージャー34において同期制御に利用することになっている連動サービスをテレビジョンが許容するか否かを問合せる。そして、この問合せに対して、許容すると返答したテレビジョンを同期通信可能なテレビジョンと特定する。なお、同期可能なテレビジョンが無い場合は、同期処理を終了する(ステップS105:No)。
【0039】
同期通信可能なテレビジョンが特定されると(ステップS105:Yes)、同期通信部34bは、テレビジョン20との間にXMPP(eXtensible Messaging and Presence Protocol)でセッションを確立する(ステップS110)。このようにしてセッションが確立すると、テレビジョン20との同期表示が可能な状態になる。以上のようにして行われる同期表示の準備を整える処理はバックグランドで行われており、その間コンテンツ表示プログラムは、下記のコンテンツ表示処理を実行している。
【0040】
(3)コンテンツ表示処理:
図6は携帯端末で実行されるコンテンツ表示処理のフローチャートであり、図7は同期表示中の情報表示連動システムにおけるデータの流れを示す説明図である。このコンテンツ表示処理では、同期表示が選択されたときに、上述の同期処理によって確立したセッションを利用してテレビジョン20と携帯端末30の同期表示を行うことになる。
【0041】
このコンテンツ表示処理を実行するために、コンテンツ表示部35は、サーバー10から携帯用コンテンツを取得するコンテンツ取得部35aと、携帯端末10の表示部32に携帯用コンテンツに基づく表示を行う携帯表示制御部35bと、テレビジョン20などの他の端末との連動状況を表示部32に表示する連動状況表示部35cと、を備えている。
【0042】
処理が開始されると、コンテンツ取得部35aは、操作部33に行われた操作に対応する携帯用コンテンツを専用通信回線PNを介してサーバー10に要求し、この要求に対する返答としてサーバー10から送信される携帯用コンテンツを取得する(ステップS200)。このとき、コンテンツ取得部35aは、図7(A)のように、サーバー10のサーバー処理部12との間で同期マネージャー34を介してインターネットに接続するためのプロトコルに準拠した通信を行うことにより、携帯用コンテンツを取得する。このようにして取得した携帯用コンテンツに基づいて、携帯表示制御部35bは表示部32に対する表示を行う(ステップS205)。
【0043】
このとき、連動状況表示部35cは、ステップS200において取得した携帯用コンテンツに対応するTV用コンテンツがサーバー10上に存在するか否かを判断する(ステップS210)。この判断は、本実施形態においては、携帯用コンテンツを解析することにより行うことができる。すなわち、図3に示すように、対応するTV用コンテンツが存在するか否かは携帯用コンテンツに記載されており、この記載に基づいてTV用コンテンツの有無を判断することができる。
【0044】
連動状況表示部35cは、TV用コンテンツが存在する場合はステップS215に進んで、表示部32にTV用コンテンツが存在することを示すTVアイコンを表示する。なお、同期処理において同期通信可能なテレビジョン20が発見されなかったときは、このTVアイコンは表示されない。また、ステップS210,S215の処理とステップS205の処理とは、順番不不同もしくは並行して実行されてもよい。
【0045】
次に、携帯表示制御部35bは、TVとの同期表示を選択されたか否かを判断する(ステップS220)。この判断はTVとの同期表示を選択する操作が操作部33に行われたか否かにより判断可能であり、例えば、操作部33を介してTVアイコンに対する操作の有無を判断する。同期表示が選択されると、携帯表示制御部35bはステップS235に進んで同期マネージャー34にテレビジョン20との同期表示を指示する。
【0046】
一方、同期表示が選択されない場合は、携帯表示制御部35aが、他の操作が行われたか否かを判断する(ステップS225)。携帯表示制御部35aは、他の操作が行われた場合はステップS230に進んでその操作に対応する処理(携帯データのダウンロード処理、ページ変更など)を行い(ステップS225:Yes)、ステップS205に戻る。一方、他の操作が行われていない場合はステップS220に戻る(ステップS225:No)。
【0047】
同期マネージャー34は、ステップS235において同期表示を指示されると、携帯端末30の状態とテレビジョン20の状態とを把握する(ステップS240)。すなわち、同期マネージャー34は、コンテンツ表示部35に対し、現在コンテンツ表示部35の実行しているサービスの情報とコンテンツ表示部35が表示部32に表示している携帯用コンテンツに対応するTV用コンテンツに関するTV用情報とを要求する。コンテンツ表示部35は、この要求に応答して、これらの情報を同期マネージャー34に出力する。
【0048】
同期マネージャー34は、ステップS240で得た情報に基づいて、携帯端末30とテレビジョン20の表示を同期させる(ステップS245)。仮に、テレビジョン20と携帯端末30とが連動していなかったり、テレビジョン20と携帯端末30のサービスの状態が異なっていたりする場合は、テレビジョン20の状態が携帯端末30と同じサービスの同じ状態になるまで、同期マネージャー34はコンテンツ表示部35から情報を取得して同期マネージャー24に送信する。同期マネージャー24は、受信した情報に対応するコンテンツ表示部26を起動させ、受信したTV用情報に対応するTV用コンテンツに基づく表示をコンテンツ表示部26に行わせる。
【0049】
同期表示が完了すると、携帯表示制御部35bは操作部33に何らかの操作が行われたか否かを判断し(ステップS250)、操作が行われた場合はこれを検知してステップS255に進み、操作が行われていない場合はステップS250の処理を繰り返し実行する。
【0050】
ステップS255では、携帯表示制御部35bが操作に対応する表示変更を行う。この操作が他のウェブページの表示を指示するものであれば、コンテンツ表示部35は、図7(A)の経路でサーバー10から携帯用コンテンツを取得し、取得した携帯用コンテンツに基づいて表示部32に対する表示を行う。
【0051】
またステップS260では、携帯表示制御部35bが同期マネージャー34を介してステップS250で検知した操作に対応する表示変更をテレビジョン20に実行させる。
図8は、ステップS260の処理の説明図である。同図に示すように、携帯用コンテンツとTV用コンテンツとは対応付けられており、操作部33の操作に対応する携帯用コンテンツの制御情報を参照することにより、この制御情報に対応するTV用コンテンツの制御情報を取得することができる。このようにして取得したTV用コンテンツの制御情報に基づいて各種処理を行う。例えば、制御情報が他のウェブページの表示を指示するものであれば、コンテンツ表示部35は、図7(B)の経路でテレビジョン20に送信する。このとき、テレビジョン20のコンテンツ表示部26は、図7(C)の経路でサーバー10からTV用コンテンツを取得し、取得したTV用コンテンツに基づいて表示部22に対する表示を行う。
【0052】
その後、同期マネージャー34は、ステップS240と同様の処理を行って、実際に同期が完了したか否かを判断する(ステップS265)。テレビジョン20と携帯端末30とで状態が一致していれば同期が完了しているものとしてステップS250に戻る。一方、テレビジョン20と携帯端末30とで状態が一致していなければ同期に失敗しているものと判断し、ステップS260の処理を繰り返す。
【0053】
なお、このステップS260,265やステップS240,245のようにテレビジョン20の表示を携帯端末30の表示に同期させる処理が行われている間は、携帯表示制御部35bは、携帯端末30の操作部33に対して行われる操作を無効化、もしくは保留する。
また連動状況表示部35cは、ステップS260,265やステップS240,245の処理の間は、TVとの同期状況を示す情報を表示部32に表示する。例えば、TVアイコンをステップS215と異なる形状にして変更して表示したり、同期作業の進行度合を示すプログレスバーを表示したりする。このように同期状況を表示することにより、ユーザーは、同期状況を把握できるし、たとえ操作が無効化されていても不審に思うことがない。
【0054】
以上のコンテンツ表示処理により、ユーザーは所望のタイミングで携帯端末30とテレビジョン20の表示を同期させることが出来るようになる。
【0055】
なお、携帯用コンテンツが決済画面などの高セキュリティを要求する画面を表示するコンテンツの時には、テレビジョン20にはダミー画面が表示されるようにすることが好ましい。テレビジョン20はセキュリティの低いインターネットINを通じてサーバー10と通信しているからである。テレビジョン20にダミーが面を表示するには、例えば、携帯用コンテンツとTV用コンテンツとを対応しないように構成することにより実現することができる。このようにすると、テレビジョン20の表示部22に表示されるTV用コンテンツは、携帯端末30の表示部32に表示される携帯用コンテンツとは表示内容が対応しておらず、決済用の情報等も画面に表示されない。また、携帯用コンテンツに対する操作が行われても、表示用コンテンツには対応する操作が発生しないようになる。また、例えば、携帯用データに記載されるTV用情報に、イベントを発生させない情報を記載しておいてもよい。
【0056】
(4)まとめ:
以上説明した実施形態によれば、サーバー10に専用通信回線PNを通じてアクセス可能な携帯端末30において、サーバー10には携帯用コンテンツとTV用コンテンツが記憶されており、インターネットINを通じてサーバー10にアクセス可能なテレビジョン20との間で端末間通信を行う無線通信部31と、インターネットINを通じてサーバー10から取得した携帯用コンテンツを表示する表示部32と、携帯用コンテンツに含まれるTV用コンテンツの所在情報に基づいてテレビジョン20にサーバー10からTV用コンテンツを取得させて表示部22にTV用コンテンツを表示させる同期部とを備えさせている。よって、ネットワークに対応したテレビと携帯端末との連動を向上させ、ウェブ上のサービスを最適な方法で得られるようになる。
【0057】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組合せを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組合せを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組合せを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0058】
10…サーバー、11…コンテンツ格納部、12…サーバー処理部、20…テレビジョン、21…無線通信部、22…表示部、23…操作部、24…同期マネージャー、25…テレビ処理部、26…コンテンツ表示部、30…携帯端末、31…無線通信部、32…表示部、33…操作部、34…同期マネージャー、34a…探索部、34b…同期通信部、35…コンテンツ表示部、35a…コンテンツ取得部、35b…携帯表示制御部、35c…連動状況表示部、100…情報表示連動システム、IN…インターネット、PN…専用通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末用の第1コンテンツを記憶したサーバーに第1の通信回線を通じてアクセス可能な携帯端末において、
上記サーバーには上記第1コンテンツに対応して作成されたテレビジョン用の第2コンテンツも記憶されており、
第2の通信回線を通じて上記サーバーにアクセス可能なテレビジョンと端末間通信を行う無線通信部と、
上記第1の通信回線を通じてサーバーから取得した第1コンテンツを表示する表示部と、
上記第1コンテンツに含まれる第2コンテンツの所在情報を上記端末間通信により上記テレビジョンに送信し、上記テレビジョンに上記サーバーから上記第2コンテンツを取得させて上記テレビジョンの画面に上記第2コンテンツを表示させる同期部と、
を具備することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
上記表示部に表示された第1コンテンツに対する操作を行う操作部を更に備え、
上記同期部は、上記操作により発生するイベントに対応したイベントを上記テレビジョンに表示されている上記第2コンテンツに発生させる請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
上記同期部は、上記携帯端末と同期可能なテレビジョンを上記端末間通信により発見すると、上記表示部に同期可能である旨の表示を行う請求項1または請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
上記同期部は、上記携帯端末と上記テレビジョンとの同期状況を上記表示部に表示する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項5】
上記同期部は、上記テレビジョンにおいて上記第1コンテンツに対応する第2コンテンツの表示が完了するまで上記操作部に対する操作をロックする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
上記同期部は、XMPP(eXtensible Messaging and Presence Protocol)にて上記テレビジョンと上記携帯端末とを同期させる請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
上記表示部に表示される上記第1コンテンツが決済画面であるときは、上記同期部は、上記テレビジョンの画面に上記第1コンテンツに対応していないダミー画面を表示させる請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の携帯端末。
【請求項8】
携帯端末用の第1コンテンツと該第1コンテンツに対応して作成されたテレビジョン用の第2コンテンツとを記憶したサーバーに第1の通信回線を通じてアクセス可能な携帯端末と、上記サーバーに第2の通信回線を通じてアクセス可能なテレビジョンとを備える情報表示連動システムであって、
上記携帯端末は、上記テレビジョンと端末間通信を行う第1無線通信部と、上記第1の通信回線を通じて上記サーバーから取得した第1コンテンツを表示する第1表示部と、上記第1コンテンツに含まれる第2コンテンツの所在情報を上記端末間通信により上記テレビジョンに送信する第1同期部と、を備え、
上記テレビジョンは、上記第1無線通信部と端末間通信を行う第2無線通信部と、上記所在情報を上記端末間通信により上記第1同期部から取得する第2同期部と、上記所在情報に基づいて上記第2の通信回線を通じて上記サーバーから取得した第2コンテンツを表示する第2表示部と、を備えることを特徴とする情報表示連動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−160119(P2011−160119A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19134(P2010−19134)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】