説明

携帯端末での図形の選択方法および関連情報取得方法

【課題】携帯電話上に表示された画像化(ラスタ)された地図データ上で、図形どうしが重なった場合にその中からある1つの任意の図形をズームアウトすることなく特定し、図形に関連する情報を取得することができる方法を提供する。
【解決手段】携帯電話106が、処理装置101に公衆回線網104を介して通信自在に接続され、携帯電話106によって、携帯電話106の画面上に表示する重なり合う図形の一つを選択させ、その関連情報を取得する図形の選択方法および関連情報取得方法であって、携帯電話106が、処理装置101から図形IDに関連付けられた図形名称を受信するステップと、受信した図形名称を選択画面に表示するステップと、ユーザによって選択された図形名称に関連付けられた図形IDを処理装置に送信するステップ等を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話に表示される地図上から必要な図形情報および関連情報を取得するための携帯端末での図形の選択方法および関連情報取得方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話の急速な普及および携帯電話の高機能化に伴い、携帯電話を利用するモバイルビジネスが急速に普及しつつある。また最近、コンシューマを中心に携帯電話上で地図情報を利用しようとする動きが活発になってきている。
携帯電話で画像(ラスタ)地図を表示する技術として、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
下記特許文献1に記載のものは、通信網のネットワーク負荷を軽減するため背景地図とランドマーク情報を別々のサーバから取得するものである。
【特許文献1】特開2003−162217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明以前は水道、下水道、電気、ガス等の設備情報等を参照しようとした場合、特に交差点などの付近で各種インフラ設備が輻輳し、同じ位置に埋設している場合も多々あり、それを携帯電話のような小さい画面から選択するのが非常に困難であり、非常に使いづらいという問題があった。
【0005】
更に、PC等に比べ低解像度の携帯電話の表示画面において地図上の図形が重なってしまった場合、従来ではズームアウトなど地図表示操作をし直す必要があったため、地図を再検索したり、または図形が完全に重なってしまった場合には選択が不可能となる等の問題があった。
【0006】
以上の現状に鑑み、本発明は、携帯電話上に表示された画像化(ラスタ)された地図データ上で、図形どうしが重なった場合にその中からある1つの任意の図形をズームアウトすることなく特定し、図形に関連する情報を取得することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、携帯端末が、地図DBと属性DBを備えた処理装置に公衆回線網を介して通信自在に接続され、前記携帯端末によって、前記携帯端末の画面上に表示する重なり合う図形の一つを選択させ、その関連情報を取得する携帯端末での図形の選択方法および関連情報取得方法であって、
前記携帯端末が、画面に、画像地図を表示させるステップと、
前記携帯端末のユーザによるキー操作によって指定された地図上の位置を検知するステップと、
指定された地図上の位置を座標位置に変換するステップと、
変換した座標位置を前記処理装置側に送信するステップとを実行し、
前記処理装置が、前記携帯端末から座標位置を受信するステップと、
受信した座標位置を検索キーにして前記地図DBから図形レコードを検索するステップと、
検索された前記図形レコードが複数件であるかどうかを判定するステップと、
検索された前記図形レコードが複数件である場合に、前記図形レコードの中に含まれる図形IDを前記携帯端末に送信するステップとを実行し、
前記携帯端末が、前記処理装置から前記図形IDを受信するステップと、
受信した前記図形IDが複数件であるかどうかを判定するステップと、
受信した前記図形IDが複数件である場合に、その前記図形IDを前記処理装置に返送するステップとを実行し、
前記処理装置が、前記携帯端末から前記図形IDを受信するステップと、
受信した前記図形IDを検索キーにして前記地図DBから前記図形レコードを検索するステップと、
検索された前記図形レコードに含まれる関連属性IDを検索キーにして前記属性DBから属性レコードを検索するステップと、
検索された前記属性レコードに含まれる図形名称を抽出するステップと、
抽出した図形名称を関連する前記図形IDに関連付けて前記携帯端末に送信するステップとを実行し、
前記携帯端末が、前記処理装置から前記図形IDに関連付けられた図形名称を受信するステップと、
受信した図形名称を選択画面に表示するステップと、
ユーザによって選択された図形名称に関連付けられた前記図形IDを前記処理装置に送信するステップとを実行し、
前記処理装置が、前記携帯端末から前記図形IDを受信するステップと、
受信した前記図形IDを検索キーにして前記地図DBから前記図形レコードを検索するステップと、
検索された前記図形レコードに含まれる関連属性IDを検索キーにして前記属性DBから前記属性レコードを検索するステップと、
検索された前記属性レコードを前記携帯端末に送信するステップとを実行し、
前記携帯端末が、前記処理装置から前記属性レコードを受信するステップと、
受信した前記属性レコードを選択された前記図形名称の関連情報として選択画面に表示するステップとを実行することを特徴とする携帯端末での図形の選択方法および関連情報取得方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、携帯電話上に表示された画像化(ラスタ)された地図データ上で、図形どうしが重なった場合にその中からある1つの任意の図形をズームアウトすることなく特定し、図形に関連する情報を取得することを可能にした方法を提供できる。
この方法により図形の属性参照をプログラム的に実現できる。またこの方法の提供により地図検索回数を軽減できるなどの効果によりシステムのレスポンスが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の携帯端末での図形の選択方法および関連情報取得方法の実施の一形態であるシステムの概略構成を示すブロック図である。本システムは、図に示すように、各種処理を行う処理装置101と、本システムでの管理対象となる地図DB(データベース)102と、属性DB103と、公衆回線網104と、携帯電話の基地局105と、携帯端末である携帯電話106と、携帯電話106についているキーボード装置107とを備えている。
【0010】
処理装置101は、属性データ検索手段111と、地図データ検索手段112と、データ送受信手段113と、レコード判定手段114とを備えている。
また携帯電話106は、地図表示手段161と、入力検知手段162と、座標変換手段163と、データ送受信手段164と、データ判定手段165と、選択図形表示手段166とを備えている。
【0011】
図2は、地図DB102のテーブルの内容例である。地図DB102は図形レコード201を格納し、図形レコード201は、図形ID202を主キーとして、他に図形種別203、レイヤ番号204、図形座標情報205、関連属性ID206が設定されている。そして、関連属性ID206が、図3に示す属性DB103に収納される属性レコード301の検索キーとして利用される。
【0012】
図3は、地図DB102に関連する属性DB103のテーブルの内容例である。属性DB103は関連情報である属性レコード301を格納し、属性レコード301は、属性ID302を主キーとして、他に属性情報(1)303、属性情報(2)304…等が複数設定されている。
【0013】
図4は、本発明の携帯電話での図形の選択方法および関連情報取得方法を示す全体概略フローチャートである。この処理は、携帯電話106上に、地図表示手段161によって、画像(ラスタ)地図が表示されている状態において、携帯電話106のキーボード装置107のキー操作により任意の位置を指定することを契機に実行される。
【0014】
キーボード装置107のキー操作により任意の位置が指定されると、携帯電話106の入力検知手段162により、指定された携帯電話106のデバイス位置が取得される(ステップ401)。次に、座標変換手段163によって、取得されたデバイス位置が、画像地図表示領域のどの部分に該当するか示す座標変換を行い、さらに地図上で扱われているベクトル位置上の座標位置に座標変換を行なう(ステップ402)。そして、変換した座標位置を送信データにセットして、データ送受信手段164を介して処理装置101側に送信する(ステップ403)。
【0015】
処理装置101は、データ送受信手段113によって、携帯電話106から基地局105および公衆回線網104を介して送信データを受信し、受信データの中から座標位置を取得する(ステップ404)。次に、地図データ検索手段112によって、地図DB102に対して、座標位置を検索キーにして、その座標位置と同じ位置情報を持つ図形座標情報205を含む図形レコード201を検索する(ステップ405)。
【0016】
次に、レコード判定手段114によって、検索結果としての図形レコード201が1件以下か否か判定し(ステップ406)、図形レコード201が0件の場合は(ステップ407)、検索結果が0件である旨の送信データを作成し、その送信データをデータ送受信手段113によって携帯電話106に返却する(ステップ408)。
【0017】
図形レコード201が1件の場合は、取得した1件の図形レコード201の図形ID202をセットして送信データを作成し、携帯電話106に返却する(ステップ409)。
【0018】
また取得した図形レコード201が2件以上の場合は、取得した2件以上の図形レコード201の図形ID202をセットして送信データを作成し、携帯電話106に返却する(ステップ410)。
最後に後述する判定結果に応じた処理を実行する(ステップ411)。
【0019】
図5は、図4のフローチャート内の1ステップである判定結果に応じた処理411の詳細を説明するフローチャートである。
まず携帯電話106は、データ送受信手段164によって、処理装置101から送信された送信データを取得する(ステップ501)。次に、データ判定手段165によって、取得したデータから検索レコードが何件であったかを判定し(ステップ502)、検索レコードが0件の場合(ステップ503)は図形レコード201が検索されなかった事を示すメッセージを携帯画面に出力し、終了する(ステップ504)。
【0020】
検索レコードが1件の場合は取得した図形ID202を処理装置101側に送信し(ステップ506)、処理装置101側で後述する関連情報取得処理(ステップ507)が行なわれ、それによって取得された関連情報が携帯電話106に送信されると、携帯電話106は、その関連情報を受信して携帯画面に出力する(ステップ508)。
【0021】
また検索レコードが複数件以上の場合(ステップ505)は処理装置101から送信された複数の図形ID202をデータ送受信手段164によって処理装置101に返送し(ステップ509)、処理装置101は、データ送受信手段113によって複数の図形ID202を受信すると、地図データ検索手段112によって、複数の図形ID202をキーとして地図DB102の複数の図形レコード201を検索し(ステップ510)、属性データ検索手段111は、検索された複数の図形レコード201の関連属性ID206をキーとして属性DB103の属性レコード301を検索し、属性レコード301の中から図形名称に相当する情報が含まれる属性情報(1)303を取得する(ステップ511)。取得された属性情報(1)303は、関連する図形ID202に関連付けられ、送信データとして、データ送受信手段113によって携帯電話106に送信される(ステップ512)。
【0022】
携帯電話106は、データ送受信手段164によって処理装置101から送信データを受信し、送信データから複数の図形名称を取得すると、選択図形表示手段166によって、選択画面上に複数の図形名称を表示する(ステップ513)。選択画面は図8に示すような画面例となる。図8の項目欄801および項目欄802にユーザに選択をさせるための図形名称が夫々表示される。
【0023】
選択画面上でユーザによって任意の図形名称が選択されると、データ送受信手段164によって、その図形名称に関連付けられた図形ID202がセットされた送信データが作成され、処理装置101に送信される(ステップ514)。
次に、処理装置101に於いて、後述する関連情報取得処理が行なわれて関連情報が取得され(ステップ515)、携帯電話106は、データ送受信手段164によって、処理装置101から関連情報を受信すると、関連情報を携帯画面に出力する(ステップ516)。
【0024】
図6は図5のフローチャートの1ステップである関連情報取得処理507,515の詳細について説明している。最初に、受信した図形ID202をキーにして、地図データ検索手段112によって、地図DB102の中から対象の図形レコード201を検索する(ステップ601)。次に、検索された図形レコード201の中の関連属性ID206をキーにして、属性データ検索手段111によって、属性DB103を検索し(ステップ602)、属性レコード301(関連情報)を取得する(ステップ603)。
【0025】
図7は図形が複数選択される場面を示した図である。図に於いて、重なっている部分は、例えば、家屋704、および家屋705である。家屋704と家屋705に対して位置710を選択した場合に、図4に於けるステップ401から405の処理によって、検索結果として図2に示す地図DB102上の図形ID202の1と2がヒットすると、図5に示すステップ513の処理で図8に示す選択画面に関連する図形名称を表示する。
選択画面でいずれかの図形名称が選択されると、図5に示すステップ516の処理によって、選択された図形名称に関連する関連情報が表示される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の一形態であるシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の地図DBのテーブル内容の例を示すデータ構造図である。
【図3】本発明の属性DBのテーブル内容の例を示すデータ構造図である。
【図4】本発明の携帯端末での図形の選択方法および関連情報取得方法の全体概略フローチャートである。
【図5】本発明の判定結果に応じた処理のフローチャートである。
【図6】本発明の関連情報取得処理のフローチャートである。
【図7】本発明の複数の図形が重なって表示される地図表示例である。
【図8】本発明の複数の図形が重なって表示された時のユーザ選択画面例である。
【符号の説明】
【0027】
101 処理装置
102 地図DB
103 属性DB
104 公衆回線網
201 図形レコード
202 図形ID
206 関連属性ID
301 属性レコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末が、地図DBと属性DBを備えた処理装置に公衆回線網を介して通信自在に接続され、前記携帯端末によって、前記携帯端末の画面上に表示する重なり合う図形の一つを選択させ、その関連情報を取得する携帯端末での図形の選択方法および関連情報取得方法であって、
前記携帯端末が、画面に、画像地図を表示させるステップと、
前記携帯端末のユーザによるキー操作によって指定された地図上の位置を検知するステップと、
指定された地図上の位置を座標位置に変換するステップと、
変換した座標位置を前記処理装置側に送信するステップとを実行し、
前記処理装置が、前記携帯端末から座標位置を受信するステップと、
受信した座標位置を検索キーにして前記地図DBから図形レコードを検索するステップと、
検索された前記図形レコードが複数件であるかどうかを判定するステップと、
検索された前記図形レコードが複数件である場合に、前記図形レコードの中に含まれる図形IDを前記携帯端末に送信するステップとを実行し、
前記携帯端末が、前記処理装置から前記図形IDを受信するステップと、
受信した前記図形IDが複数件であるかどうかを判定するステップと、
受信した前記図形IDが複数件である場合に、その前記図形IDを前記処理装置に返送するステップとを実行し、
前記処理装置が、前記携帯端末から前記図形IDを受信するステップと、
受信した前記図形IDを検索キーにして前記地図DBから前記図形レコードを検索するステップと、
検索された前記図形レコードに含まれる関連属性IDを検索キーにして前記属性DBから属性レコードを検索するステップと、
検索された前記属性レコードに含まれる図形名称を抽出するステップと、
抽出した図形名称を関連する前記図形IDに関連付けて前記携帯端末に送信するステップとを実行し、
前記携帯端末が、前記処理装置から前記図形IDに関連付けられた図形名称を受信するステップと、
受信した図形名称を選択画面に表示するステップと、
ユーザによって選択された図形名称に関連付けられた前記図形IDを前記処理装置に送信するステップとを実行し、
前記処理装置が、前記携帯端末から前記図形IDを受信するステップと、
受信した前記図形IDを検索キーにして前記地図DBから前記図形レコードを検索するステップと、
検索された前記図形レコードに含まれる関連属性IDを検索キーにして前記属性DBから前記属性レコードを検索するステップと、
検索された前記属性レコードを前記携帯端末に送信するステップとを実行し、
前記携帯端末が、前記処理装置から前記属性レコードを受信するステップと、
受信した前記属性レコードを選択された前記図形名称の関連情報として選択画面に表示するステップとを実行することを特徴とする携帯端末での図形の選択方法および関連情報取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−197502(P2008−197502A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34214(P2007−34214)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】