説明

携帯端末装置および送信周波数決定方法

【課題】携帯端末装置の小型化および軽量化を図りつつ、当該携帯端末装置が、音声信号送信用の未使用周波数を自動探査することができるようにする。
【解決手段】携帯電話機100が、FMラジオ周波数帯の複数の周波数のうち指定された周波数にて音声信号を送信するFMトランスミッタ回路182と、DTV(地上波デジタルテレビジョン放送)の放送波を受信および復調してDTV画像の画像信号を出力するDTVチューナ回路141とを具備する。DTVチューナ回路141は、DTVのオートチューニングに加えて、FMトランスミッタ回路182が送信可能な周波数における電波状況を測定する。これにより、携帯電話機100は、DTVチューナ回路141を用いて音声信号送信用の未使用周波数を自動探査できる。従って、携帯電話機100は、未使用周波数探査用の回路を別途具備する必要が無いので、携帯電話機100の小型化および軽量化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置および送信周波数決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの携帯端末装置から得られる各種音声を、その利用者が、携帯端末装置を手に持って自身の耳に直接当てることなく聴くための方法として、ワイヤー方式、即ち有線送信方式がある。例えば、携帯端末装置の音声出力端子にヘッドホンなどを接続した状態で音声信号の送信が行われる。
【0003】
しかし、有線送信方式は、音声信号を伝送するためのワイヤーを必要とし不便である。そこで、電波や赤外線などを用いたワイヤレス方式、即ち無線送信装置ないし回路を用いた無線送信方式が各種考案され、広く実用に供されている。ワイヤレス方式のうち、ラジオ放送用超短波帯(FM(Frequency Module)ラジオ周波数帯)を用いるものは、その電波の性質により、多少の障害物があっても確実に音声信号を伝送することができることから、特に多用されている。例えば、携帯端末装置が、簡単な構成で高い伝送品質を得られる周波数変調回路を含む無線送信回路(FMトランスミッタ)を具備し、FMラジオ放送の周波数帯にて音声信号を送信する。そして、ヘッドホンが、受信機を具備して当該音声信号を受信し、受信した音声信号を復調して音声を出力する。
【0004】
また本用途のワイヤレス方式において必要な電波の伝搬距離はおよそ5(m)程度までであることから、使用する電波のエネルギーは、無線局の免許を要しない微弱な電波の範囲で十分であり、当該方式を手軽に利用可能である。
FMラジオ放送用周波数帯を用いたワイヤレス方式による音声伝送では、当該周波数帯のうち使用されていない周波数を手動もしくは自動で探査し、その周波数で送信するといったことがなされる。
【0005】
なお、ワイヤレス方式の音声伝送に関して、特許文献1に記載の車載用の変調システムは、車両に搭載したFMトランスミッタの空き周波数帯認識手段により、周辺で使用している周波数以外の空き周波数帯を認識する。空き周波数帯の認識は、空き周波数帯認識手段の検波に基づいて認識したり、制御本体部の移動支援手段で車両の現在位置と地図情報の施設情報とに基づいて認識したりする。そして、認識した空き周波数帯で、本体制御部から出力したコンテンツデータをFMトランスミッタで変調して送信手段から送信させる。
これにより、移動により周辺で使用している周波数が変動する車両に搭載しても、適切にコンテンツデータを混信することなく送受信でき、車両に搭載したスピーカで良好な音響効果で再生出力できるとされている。
【0006】
また、特許文献2に記載のFM音声出力周波数自動調整装置では、FMモジュレーター、FMトランスミッタとして機能するFM信号送受信機能部の送信部からは、各種機器の音声信号をFM音声信号としてFMラジオに送信して、オーディオ装置のスピーカから出力する。FM信号送受信機能部にはFM放送を受信する受信部を備え、混信検出部で混信を検出し、送信部から送信していないときに、放送を受信しない適正送信周波数を検出する。検出した周波数を利用者に案内を行い、利用者が確認したときには送信周波数をその周波数に設定変更する。その後利用者は手動でFMラジオのFM音声受信用簡易周波数の設定変更を行う。
これにより、FMラジオを備えたヘッドユニット等の回路構成を変更することなく、安価で手軽な手法により、各種機器の音声信号のFM信号による送受信を、混信のない周波数に自動的に変更することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−203786号公報
【特許文献2】特開2007−174445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ワイヤレス方式による音声信号伝送を携帯端末装置に適用し、音声信号を無線送信するための未使用周波数を自動探査する場合、以下の様な課題が存在する。
即ち、未使用周波数探査のためにかなりの規模の電子回路が携帯端末装置に内蔵され、貴重なスペースを占めてしまう。これら未使用周波数探査のための回路が携帯端末装置のスペースを占めることで、携帯端末装置の小型化および軽量化が阻害されてしまう。
【0009】
この点に関して、特許文献1に記載の変調システムは、空き周波数帯認識手段を備える必要があり、この空き周波数帯認識手段にスペースを要する。同様に、特許文献2に記載のFM音声出力周波数自動調整装置も、受信部や混信検出部を備える必要があり、これら受信部や混信検出部にスペースを要する。すなわち、特許文献1や、特許文献2には、空き周波数帯認識手段を有することによるスペース増大を抑える技術は示されていない。
この点において、特許文献1に記載の技術や、特許文献2に記載の技術からは、携帯端末装置の小型化および軽量化を図りつつ、当該携帯端末装置が、音声信号送信用の未使用周波数を自動探査可能とすることはできない。
【0010】
本発明は、上述の課題を解決することのできる携帯端末装置および送信周波数決定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による携帯端末装置は、FMラジオ周波数帯の複数の周波数のいずれかを指定されると、指定された周波数の無線信号にてアンテナを介して音声信号を送信するFMトランスミッタ回路と、アンテナを介して地上波デジタルテレビジョン放送波を受信し、地上波デジタルテレビジョン放送周波数帯における電波状況を測定して、復調可能周波数を検出するDTVチューナ回路と、前記FMトランスミッタ回路が音声信号を送信する無線周波数を決定する周波数決定回路と、を具備し、前記DTVチューナ回路は、前記FMトランスミッタ回路が送信可能な無線周波数における電波状況を測定し、前記周波数決定回路は、前記DTVチューナ回路が測定した電波状況に基づいて、前記FMトランスミッタ回路が音声信号を送信する無線周波数を決定する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様による送信周波数決定方法は、FMラジオ周波数帯の複数の周波数のいずれかを指定されると、指定された周波数の無線信号にてアンテナを介して音声信号を送信するFMトランスミッタ回路と、アンテナを介して地上波デジタルテレビジョン放送波を受信し、地上波デジタルテレビジョン放送周波数帯における電波状況を測定して、復調可能周波数を検出するDTVチューナ回路と、を具備する携帯端末装置の送信周波数決定方法であって、前記DTVチューナ回路が、前記FMトランスミッタ回路が送信可能な無線周波数における電波状況を測定する電波状況測定ステップと、前記DTVチューナ回路が測定した電波状況に基づいて、前記FMトランスミッタ回路が音声信号を送信する無線周波数を決定する送信周波数決定ステップと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、携帯端末装置の小型化および軽量化を図りつつ、当該携帯端末装置が、音声信号送信用の未使用周波数を自動探査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における携帯電話機の概略構成を示す構成図である。
【図2】同実施形態における携帯電話機100を含む音声送信システムの概略構成を示す構成図である。
【図3】同実施形態において、携帯電話機100がFMトランスミッタによる送信周波数を設定する処理手順を示すフローチャートである。
【図4】同実施形態において、DTVチューナ回路141が測定する電界強度の例を示す説明図である。
【図5】同実施形態の一変形例における携帯電話機の概略構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態における携帯電話機の概略構成を示す構成図である。同図において、携帯電話機100は、表示装置101と、入力装置102と、スピーカ111と、マイク112と、トランスミッタ用アンテナ121と、地上波デジタルテレビジョン放送(以下、「DTV」(Digital Television)と称する)用アンテナ122と、携帯通信用アンテナ123と、近距離通信用アンテナ124と、高周波スイッチ131と、DTVチューナ回路141と、携帯通信回路151と、近距離通信回路161と、音声データ記憶装置171と、音声信号生成回路181と、FMトランスミッタ回路182と、制御回路(周波数決定回路)191とを具備する。
【0016】
携帯電話機100は、本発明における携帯端末装置の一例であり、ユーザ操作に応じて、音声通話機能や、DTV表示機能(DTVを受信し、復調して表示する機能)や、FMトランスミッタ送信機能(FMトランスミッタによる音声信号送信機能)などの各種機能を実行する。
ただし、本発明の適用範囲は携帯電話機に限らない。DTV表示機能とFMトランスミッタ送信機能とを有する様々な携帯端末装置に本発明を適用可能である。例えば、DTV表示機能とFMトランスミッタ送信機能とを有する個人情報端末装置(Personal Digital Assistant;PDA)に本発明を適用してもよい。
【0017】
表示装置101は、例えば液晶パネル等の表示画面を有し、制御回路191の制御に従って、動画像や静止画像や文字列(テキスト)など各種情報を表示する。特に、表示装置101は、DTVチューナ回路141がDTVの放送波を受信して出力する画像信号に従ってDTV画像を表示する。
入力装置102は、0〜9の数字キーや、上下左右の方向キーや、決定キーなどのキーボタンを有してユーザの操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に応じた信号を制御回路191に出力する。
【0018】
スピーカ111は、制御回路191から電気信号にて出力される音声信号に従って音声を出力する。例えば、スピーカ111は、携帯電話機100が音声通話機能を実行しているときに、通話相手の音声を出力する。
マイク112は、周囲音を採取し、アナログの電気信号に変換して制御回路191に出力する。例えば、マイク112は、携帯電話機100が音声通話機能を実行しているときに、ユーザの発話音声を採取して電気信号にて制御回路191に出力する。
【0019】
トランスミッタ用アンテナ121は、FMトランスミッタ回路182による無線信号を送信する。すなわち、トランスミッタ用アンテナ121は、高周波スイッチ131を介してFMトランスミッタ回路182から、FMラジオ周波数の交流の電流信号にて、音声信号を入力されると、当該音声信号を無線信号にて送信する。
DTV用アンテナ122は、前記地上波デジタルテレビジョン放送波を受信し、受信した放送波を交流の電気信号にて、高周波スイッチ131を介してDTVチューナ回路141に出力する。
【0020】
携帯通信用アンテナ123は、携帯電話通信における無線通信信号を送受信する。すなわち、携帯通信用アンテナ123は、携帯電話通信方式による送信信号を、電気信号にて携帯通信回路151から出力されると、当該信号を無線送信する。また、携帯通信用アンテナ123は、携帯電話通信方式による無線信号を受信すると、当該信号を電気信号にて携帯通信回路151に出力する。
なお、携帯通信用アンテナ123が送受信する信号の通信方式は、携帯通信回路151が変調・復調可能なものであればよく、様々な方式を用いることができる。例えば、携帯通信用アンテナ123が送受信する信号の通信方式は、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式であってもよいし、CDMA2000方式であってもよい。
【0021】
近距離通信用アンテナ124は、近距離通信における無線通信信号を送受信する。すなわち、近距離通信用アンテナ124は、近距離通信における送信信号を、電気信号にて近距離通信回路161から出力されると、当該信号を無線送信する。また、近距離通信用アンテナ124は、近距離通信における無線信号を受信すると、当該信号を電気信号にて近距離通信回路161に出力する。
なお、近距離通信用アンテナ124が送受信する信号の通信方式は、近距離通信回路161が変調・復調可能なものであればよく、様々な方式を用いることができる。例えば、近距離通信用アンテナ124が送受信する信号の通信方式は、NFC(Near Field Communication)にて規定される方式であってもよいし、Bluetooth(登録商標)にて規定される方式であってもよい。
【0022】
高周波スイッチ131は、FMラジオ周波数帯やDTVの周波数帯などの高周波の電気信号を切り替えるスイッチである。高周波スイッチ131は、トランスミッタ用アンテナ121と、DTV用アンテナ122と、FMトランスミッタ回路182と、DTVチューナ回路141との接続関係を切り替える。
特に、携帯電話機100がDTV表示機能を実行する場合、高周波スイッチ131は、DTV用アンテナ122とDTVチューナ回路141とを接続する。また、携帯電話機100がFMトランスミッタ送信機能を実行する場合、高周波スイッチ131は、まず、トランスミッタ用アンテナ121とDTVチューナ回路141とを接続し、次に、トランスミッタ用アンテナ121とFMトランスミッタ回路182とを接続する。詳細については後述する。
【0023】
DTVチューナ回路141は、DTVの放送波を受信して復調し、DTV画像の画像信号を、制御回路191を介して表示装置101に出力する。また、DTVチューナ回路141は、DTVのオートチューニングを行う。すなわち、DTVチューナ回路141は、アンテナを介して地上波デジタルテレビジョン放送波を受信し、地上波デジタルテレビジョン放送周波数帯における電波状況(例えば電界強度あるいはS/N比(Signal To Nose Ratio)を測定して、復調可能周波数(表示可能チャンネル)を検出する。
【0024】
さらに、DTVチューナ回路141は、FMトランスミッタ回路182が送信可能な無線周波数の電波状況(例えば電界強度)を測定し、測定結果を制御回路191に出力する。
ここで、DTVチューナ回路141が具備する、DTVオートチューニング用の電波状況測定回路は、FMラジオ周波数帯に拡張されており、DTVチューナ回路141は、当該電波状況測定回路を用いて、FMトランスミッタ回路182が送信可能な無線周波数の電波状況を測定する。FMラジオ周波数帯における電波状況を測定するために、DTVチューナ回路141は、DTV周波数帯(470メガヘルツ(MHz)〜770メガヘルツ)に加えてFMラジオ周波数帯(76メガヘルツ〜90メガヘルツ)に同調可能な同調回路を有する。また、DTVチューナ回路141は、RF(Radio Frequency)入力部において、DTVチューナが一般的に有する、DTV周波数帯のバンドパスフィルタ(Band-Pass Filter;BFP)に代えて、ローパスフィルタ(Low-Pass Filter;LPF)を有する。あるいは、DTVチューナ回路141が、RF入力部にフィルタを有しない(DTVチューナ回路141のバンドパスフィルタを削除する)ようにして、FMラジオ周波数帯に対応可能としてもよい。
【0025】
携帯通信回路151は、携帯電話通信を行う。具体的には、携帯通信回路151は、携帯電話基地局装置から送信されるダウンリンク(Downlink)の電波を、携帯通信用アンテナ123を介して受信し、ベースバンドの受信信号への変換や復調等の処理を行ってデータを抽出し、抽出したデータを制御回路191に出力する。また、携帯通信回路151は、制御回路191から出力されるデータに対して変調や送信周波数の信号への変換等の処理を行って、携帯電話基地局装置へのアップリンク(Uplink)の電波として、携帯通信用アンテナ123を介して送信する。
【0026】
近距離通信回路161は、近距離通信を行う。具体的には、近距離通信回路161は、近距離通信用アンテナ124が受信する近距離通信の信号に対して復調等の処理を行ってデータを抽出し、抽出したデータを制御回路191に出力する。また、近距離通信回路161は、制御回路191から出力されるデータに対して変調等の処理を行って、携帯通信用アンテナ123を介して送信する。
【0027】
音声データ記憶装置171は、例えば半導体メモリ等の記憶媒体を有し、音声データを記憶する。例えば、音声データ記憶装置171は、携帯通信回路151が取得(ダウンロード)した、音楽の音声データを記憶する。
音声信号生成回路181は、音声データ記憶装置171から音声データを読み出して音声信号を生成し、FMトランスミッタ回路182に出力する。なお、音声信号生成回路181が音声データを取得する方法は、音声データ記憶装置171から読み出す方法に限らない。例えば、音声信号生成回路181が、DTVチューナ回路141の取得(受信)するテレビ音声の音声データ、あるいは携帯通信回路151の取得(受信)する通話音声の音声データを、制御回路191を介して取得し、当該音声データを音声信号に変換するようにしてもよい。
【0028】
FMトランスミッタ回路182は、制御回路191によってFMラジオ周波数帯の複数の周波数のいずれかを指定されると、音声信号生成回路181から出力される音声信号を、指定された周波数の無線信号にてトランスミッタ用アンテナ121を介して送信する。具体的には、FMトランスミッタ回路182は、音声信号生成回路181から出力される音声信号に対して、FMラジオ周波数への変調等の処理を行ってFMラジオ周波数の電気信号に変換してトランスミッタ用アンテナ121に出力することで、音声信号を送信する。その際、FMトランスミッタ回路182は、制御回路191から指定される周波数に送信周波数を設定し、設定した送信周波数にて音声信号を送信する。
【0029】
制御回路191は、携帯電話機100の各部を制御して携帯電話機100の各種機能を実行する。特に制御回路191は、FMトランスミッタ回路182が音声信号を送信する無線周波数を決定する。具体的には、制御回路191は、DTVチューナ回路141が測定した、FMトランスミッタ回路182が送信可能な周波数の電波状況に基づいて、FMトランスミッタ回路182が音声信号を送信する無線周波数を決定する。
制御回路191は、例えばCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)と記憶媒体とを含み、記憶媒体の記憶するプログラムをCPUが読出して実行することで動作する。
【0030】
図2は、携帯電話機100を含む音声送信システムの概略構成を示す構成図である。同図において、音声通信システム1は、携帯電話機100とワイヤレスヘッドホン600とを具備する。
携帯電話機100は、図1の携帯電話機100と同一であり説明を省略する。
ワイヤレスヘッドホン600は、FMトランスミッタに対するレシーバ(Receiver)としてのFMチューナを備えたヘッドホンである。ここで、ワイヤレスヘッドホン600が受信可能な周波数として、FMラジオ周波数帯における複数の周波数が設定されている。そして、ワイヤレスヘッドホン600は、これら複数の周波数のうちいずれかの周波数にて、携帯電話機100から送信される無線信号を受信して復調する。この、ワイヤレスヘッドホン600が受信可能な周波数は、FMトランスミッタ回路182(図1)が送信可能な無線周波数として設定されている。
ここで、FMトランスミッタ回路182が送信可能な無線周波数として、ワイヤレスヘッドホン600が受信可能な複数の周波数を設定する方法としては、様々な方法を用いることができる。例えば、ユーザが携帯電話機100において当該周波数を設定するようにしてもよいし、携帯電話機100およびワイヤレスヘッドホン600の出荷時に当該周波数が予め設定されていてもよい。
【0031】
携帯電話機100が、音声信号を無線信号にて送信すると、ワイヤレスヘッドホン600は、当該無線信号を受信し、復調等の処理を行って音声信号を取得する。そして、ワイヤレスヘッドホン600は、取得した音声信号に従って音声を出力する。
このように、音声通信システム1では、音声信号を無線通信するので、携帯電話機100とワイヤレスヘッドホン600との間に音声信号伝送用のワイヤーを必要としない。この点において、音声通信システム1はユーザにとって使い勝手がよい。
【0032】
次に、図3を参照して、携帯電話機100の動作について説明する。
図3は、携帯電話機100がFMトランスミッタによる送信周波数を設定する処理手順を示すフローチャートである。携帯電話機100は、例えば音声信号の送信を指示するユーザ操作を受け付けると、同図の処理を開始する。
【0033】
同図の処理において、まず、制御回路191は、FMトランスミッタ回路182が送信可能な複数の周波数を示す情報を取得する(ステップS101)。具体的には、制御回路191の有する記憶媒体が、FMトランスミッタ回路182が送信可能な複数の周波数を示す情報を予め記憶しておき、制御回路191は、当該記憶媒体から当該情報を読み出すことで、当該情報を取得する。
【0034】
また、制御回路191は、高周波スイッチ131に対して、トランスミッタ用アンテナ121とDTVチューナ回路141とを接続するよう指示する。そして、高周波スイッチ131は、当該指示に従って、トランスミッタ用アンテナ121とDTVチューナ回路141とを接続する(ステップS102)。
【0035】
ここで、トランスミッタ用アンテナ121とDTVチューナ回路141とを接続するのは、DTVチューナ回路141が、FMトランスミッタ回路182が送信可能な周波数の電波状況を測定する際に、より適切なアンテナを使用できるようにするためである。すなわち、一般にアンテナ毎に周波数特性が異なっており、携帯電話機100においても、トランスミッタ用アンテナ121の周波数特性とDTV用アンテナ122の周波数特性とは異なる。そこで、DTVチューナ回路141が、FMトランスミッタ回路182が無線送信を行う際に用いるトランスミッタ用アンテナ121を用いて、電波状況を測定することで、FMトランスミッタ回路182が無線送信を行う状態と同様の状態における電波状況を測定することができる。すなわち、DTV用アンテナ122は、トランスミッタ用アンテナ121を用いて電波状況を測定することで、より適切に測定を行うことができる。
【0036】
なお、高周波スイッチ131が、携帯通信用アンテナ123または近距離通信用アンテナ124と、DTVチューナ回路141とを接続できるようにしてもよい。例えば、DTVチューナ回路141がDTV用アンテナ122を用いてDTVの放送波を受信および復調してDTVの音声信号を取得し、FMトランスミッタ回路182が、トランスミッタ用アンテナ121を用いて当該DTVの音声信号を送信している状態において、携帯電話機100からワイヤレスヘッドホン600(図2)への送信信号品質が劣化してFMトランスミッタ回路182の送信周波数の再設定を行う場合に、既に使用中のトランスミッタ用アンテナ121とDTV用アンテナ122とを電波状況の測定に使用できないことが考えられる。この場合、高周波スイッチ131が、携帯通信用アンテナ123または近距離通信用アンテナ124と、DTVチューナ回路141とを接続することで、DTVチューナ回路141は、電波状況の測定を行い得る。
【0037】
次に、制御回路191は、FMトランスミッタ回路182が送信可能な周波数の各々について処理を行うループL11を開始する(ステップS111)。
そして、制御回路191は、DTVチューナ回路141に対して、ループL11で処理対象となっている周波数(以下、「処理対象周波数」と称する)を指定して、当該処理対象周波数における電界強度を測定するよう指示する。そして、DTVチューナ回路141は、当該指示に従って、処理対象周波数における電界強度を測定し、測定結果を制御回路191に出力する(ステップS112)。
【0038】
次に、制御回路191は、DTVチューナ回路141から測定結果として出力される、処理対象周波数における電界強度を示す情報を、制御回路191自らの有する記憶媒体に書き込む(ステップS113)。
その後、制御回路191は、FMトランスミッタ回路182が送信可能な全ての周波数について、ループL11の処理を完了したか否かを判定する(ステップS114)。未処理の周波数があると判定した場合は、ステップS111に戻り、未処理の周波数に対して引き続きループL11の処理を行う。
【0039】
一方、全ての周波数について処理を完了したと判定した場合、制御回路191は、FMトランスミッタ回路182が送信可能な全ての周波数について、ステップS113で記憶媒体に書き込んだ、電界強度の測定結果情報を読み出す(ステップS121)。
そして、制御回路191は、ステップS121で読み出した情報に基づいて、FMトランスミッタ回路182が送信可能な周波数のうち、電界強度の最も小さい周波数(すなわち、電波状況の最もよい周波数)を選択する(ステップS122)。
【0040】
次に、制御回路191は、ステップS122で選択した周波数をFMトランスミッタ回路182に出力して、当該周波数を送信周波数に設定するよう指示する。そして、FMトランスミッタ回路182は、当該指示に従って、送信周波数を設定する(ステップS123)。
また、制御回路191は、ワイヤレスヘッドホン600(図2)の受信周波数を、ステップS122で選択した周波数に設定させる(ステップS124)。例えば、制御回路191が、ステップS122で選択した周波数を表示装置101に表示させ、当該表示に基づいて、ユーザが、ワイヤレスヘッドホン600の受信周波数を、表示装置101の表示する周波数に設定する。あるいは、携帯電話機100(FMトランスミッタ回路182)が、制御回路191の選択した周波数を示す情報を、ワイヤレスヘッドホン600が受信可能な全ての周波数でワイヤレスヘッドホン600に対して送信し、当該情報を受信したワイヤレスヘッドホン600が、当該情報の示す周波数に受信周波数を設定するようにしてもよい。
【0041】
また、制御回路191は、高周波スイッチ131に対して、トランスミッタ用アンテナ121とFMトランスミッタ回路182とを接続するよう指示する。そして、高周波スイッチ131は、当該指示に従って、トランスミッタ用アンテナ121とFMトランスミッタ回路182とを接続する(ステップS125)。
次に、制御回路191は、音声信号生成回路181に対して、音声信号を出力するよう指示する。そして、音声信号生成回路181は、当該指示に従って、音声データ記憶装置171から音声データを読み出し、読み出した音声データに基づいて音声信号を生成してFMトランスミッタ回路182に出力する。そして、FMトランスミッタ回路182は、音声信号生成回路181から出力される音声信号を、ステップS123で設定した送信周波数の無線信号にて送信する。これにより、携帯電話機100は、FMトランスミッタによる音声信号の送信を開始する(ステップS126)。
その後、図3の処理を終了し、携帯電話機100は、FMトランスミッタによる音声信号の送信を行う。
【0042】
次に、図4を参照して、携帯電話機100による送信周波数設定の具体例について説明する。
図4は、DTVチューナ回路141が測定する電界強度の例を示す説明図である。同図の例では、FMトランスミッタ回路182は、Xメガヘルツ、YメガヘルツおよびZメガヘルツの3つの周波数で音声信号を送信可能である。但し、FMトランスミッタ回路182が音声信号を送信可能な周波数は、同図に示す3つに限らず、2つ以上であればよい。
【0043】
この3つの周波数の各々について、DTVチューナ回路141は、図3のステップS112において電界強度を測定する。そして、DTVチューナ回路141は、Xメガヘルツにおける電界強度「−70デシベルミリ(dBm)」、Yメガヘルツにおける電界強度「−50デシベルミリ」、Zメガヘルツにおける電界強度「−65デシベルミリ」との測定結果を得ている。
【0044】
この測定結果に基づいて、制御回路191は、図3のステップS112において、FMトランスミッタ回路182の送信周波数に設定する最適周波数を選択する。図4の例の場合、制御回路191は、電界強度が最も小さいXメガヘルツを選択する。
なお、制御回路191がFMトランスミッタ回路182の送信周波数を選択する方法は、電界強度が最も小さい周波数を選択する方法に限らない。例えば、制御回路191が、電界強度の閾値を予め記憶しておき、当該閾値以下の電界強度となる周波数を選択するようにしてもよい。
【0045】
この場合、制御回路191が、閾値以下の電界強度となる周波数を検出した時点で周波数選択処理を終了することができる。そして、制御回路191が当該周波数を検出した時点で、DTVチューナ回路141も、電界強度の測定を終了することができ、必ずしもFMトランスミッタ回路182が送信可能な全ての周波数について電界強度を測定する必要は無い。従って、処理に要する時間が短くて済み、また、処理に要する電力も低減し得る。
一方、制御回路191が、電界強度最小の周波数を選択する場合、FMトランスミッタ回路182は、電界強度が最も小さい(すなわち、電波状況の最もよい)周波数を用いて音声信号を送信することができる。
【0046】
以上のように、DTVチューナ回路141が、FMトランスミッタ回路182の送信可能な周波数における電波状況を測定し、制御回路191は、DTVチューナ回路141の測定結果に基づいて、FMトランスミッタ回路182の送信周波数を決定する。これにより、携帯電話機100は、FMトランスミッタ回路182の送信周波数を決定するために未使用周波数を探査するための回路を別途具備する必要が無い。従って、携帯電話機100の小型化および軽量化を図りつつ、当該携帯電話機100が、音声信号送信用の未使用周波数を自動探査可能とできる。
【0047】
また、高周波スイッチ131が、DTVチューナ回路141に接続するアンテナを切り替えることで、DTVチューナ回路141は、FMトランスミッタ回路182が送信可能な周波数における電波状況を測定する際に、トランスミッタ用アンテナ121を用いることができる。すなわち、DTVチューナ回路141は、より適切なアンテナを用いて、電波状況の測定を行うことができる。
【0048】
なお、携帯電話機が周波数逓倍回路を具備することで、DTVチューナ回路に対する改造(FMラジオ周波数帯への対応)を不要とし得る。この点について、図5を参照して説明する。
図5は、本実施形態における携帯電話機100の変形例である携帯電話機200の概略構成を示す構成図である。同図において携帯電話機200は、表示装置101と、入力装置102と、スピーカ111と、マイク112と、トランスミッタ用アンテナ121と、DTV用アンテナ122と、携帯通信用アンテナ123と、近距離通信用アンテナ124と、高周波スイッチ131と、携帯通信回路151と、近距離通信回路161と、音声データ記憶装置171と、音声信号生成回路181と、FMトランスミッタ回路182と、周波数逓倍回路201と、DTVチューナ回路202と、制御回路(周波数決定回路)211とを具備する。
同図において、図1の各部に対応して同様の機能を有する部分には、同一の符号(101、102、111、112、121、122、123、124、131、151、161、171、181、182)を付し、説明を省略する。
【0049】
制御回路211は、制御回路191(図1)が行う処理に加えて、周波数逓倍回路201に対する逓倍数(周波数倍率)の指示を行う。具体的には、制御回路211は、携帯電話機200がDTV表示機能を実行するときは、1逓倍を指示する(すなわち、周波数を変換せずにそのまま出力するよう指示する)。一方、制御回路211は、FMトランスミッタ回路182の送信周波数を選択するときは、8逓倍を指示する(すなわち、周波数を8倍に変換するよう指示する)。
【0050】
周波数逓倍回路201は、高周波スイッチ131から出力される信号を、制御回路211から指示される逓倍数で逓倍して、DTVチューナ回路202に出力する。特に、周波数逓倍回路201は、制御回路211からの8逓倍の指示に従って、FMラジオ周波数の信号を8倍の周波数に変換する。ここで、FMラジオ周波数帯は76メガヘルツ〜90メガヘルツであり、これを8逓倍すると、608メガヘルツ〜720メガヘルツとなる、これは、DTV周波数帯の470メガヘルツ〜770メガヘルツに含まれる。すなわち、周波数逓倍回路201は、FMトランスミッタ回路182が送信可能な周波数の無線信号を地上波デジタルテレビジョン放送周波数帯の無線信号に変換してDTVチューナ回路202に出力する。
【0051】
DTVチューナ回路202は、DTVチューナ回路141(図1)と同様、DTVの放送波を受信および復調してDTV画像の画像信号を出力し、また、DTVのオートチューニングを行い、さらに、FMトランスミッタ回路182が送信可能な無線周波数の電波状況(例えば電界強度)を測定する。
ただし、DTVチューナ回路202は、FMラジオ周波数帯の信号を、周波数逓倍回路201が8逓倍した後に取得する。このため、DTVチューナ回路141の場合と異なり、DTVチューナ回路202が具備する同調回路は、FMラジオ周波数帯(76メガヘルツ〜90メガヘルツ)に同調可能である必要が無い。また、DTVチューナ回路202は、自らのRF入力部に、DTV周波数帯のバンドパスフィルタ(Band-Pass Filter;BFP)を有してよく、DTVチューナ回路141のように、ローパスフィルタに置き換える、あるいはバンドパスフィルタを削除する必要が無い。このように、DTVチューナ回路202では、FMラジオ周波数帯への対応のための改造を不要とし得る。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 音声通信システム
100、200 携帯電話機
101 表示装置
102 入力装置
111 スピーカ
112 マイク
121 トランスミッタ用アンテナ
122 DTV用アンテナ
123 携帯通信用アンテナ
124 近距離通信用アンテナ
131 高周波スイッチ
141、202 DTVチューナ回路
151 携帯通信回路
161 近距離通信回路
171 音声データ記憶装置
181 音声信号生成回路
182 FMトランスミッタ回路
191、211 制御回路
201 周波数逓倍回路
600 ワイヤレスヘッドホン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
FMラジオ周波数帯の複数の周波数のいずれかを指定されると、指定された周波数の無線信号にてアンテナを介して音声信号を送信するFMトランスミッタ回路と、
アンテナを介して地上波デジタルテレビジョン放送波を受信し、地上波デジタルテレビジョン放送周波数帯における電波状況を測定して、復調可能周波数を検出するDTVチューナ回路と、
前記FMトランスミッタ回路が音声信号を送信する無線周波数を決定する周波数決定回路と、
を具備し、
前記DTVチューナ回路は、前記FMトランスミッタ回路が送信可能な無線周波数における電波状況を測定し、
前記周波数決定回路は、前記DTVチューナ回路が測定した電波状況に基づいて、前記FMトランスミッタ回路が音声信号を送信する無線周波数を決定する、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記FMトランスミッタ回路による無線信号を送信するトランスミッタ用アンテナと、
前記地上波デジタルテレビジョン放送波を受信するDTV用アンテナと、
前記トランスミッタ用アンテナと前記DTV用アンテナとの前記DTVチューナ回路への接続を切り替える高周波スイッチと、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記FMトランスミッタ回路が送信可能な周波数の無線信号を地上波デジタルテレビジョン放送周波数帯の無線信号に変換して前記DTVチューナ回路に出力する周波数逓倍回路を具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
FMラジオ周波数帯の複数の周波数のいずれかを指定されると、指定された周波数の無線信号にてアンテナを介して音声信号を送信するFMトランスミッタ回路と、アンテナを介して地上波デジタルテレビジョン放送波を受信し、地上波デジタルテレビジョン放送周波数帯における電波状況を測定して、復調可能周波数を検出するDTVチューナ回路と、を具備する携帯端末装置の送信周波数決定方法であって、
前記DTVチューナ回路が、前記FMトランスミッタ回路が送信可能な無線周波数における電波状況を測定する電波状況測定ステップと、
前記DTVチューナ回路が測定した電波状況に基づいて、前記FMトランスミッタ回路が音声信号を送信する無線周波数を決定する送信周波数決定ステップと、
を具備することを特徴とする送信周波数決定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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