説明

携帯端末装置

【課題】何処ででも最新の真贋情報にて手軽に紙幣の真贋判定を行うことができる携帯端末装置を提供する。
【解決手段】少なくともデータ通信機能を備えた携帯端末装置1に紙葉類(紙幣30)から真贋判定用の情報を読み取るための情報読取手段と、この情報読取手段にて読み取られた情報と基準情報とを比較して当該紙葉類(紙幣30)の真贋を判定する比較判定手段の全て、又は、当該比較判定手段の一部を構成する手段と、真贋判定結果を出力する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信機能を備えた携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来自動販売機や遊技機、ATM機、自動両替機などには紙幣挿入口が設けられており、紙幣挿入口から挿入された紙幣は、内部に設けられた紙幣識別装置にて光学的パターンや磁気的情報などから真贋判定が行われていた。そして、真贋判定された紙幣が真札の場合にはそのまま搬送されて紙幣収納部に収納され、紙幣が贋札の場合には搬送方向を逆転させて紙幣挿入口に返却できるようになっていた(特許文献1参照)。
【0003】
一方、スーパーマーケットや大規模、小規模商店などにおいては、多くの場合紙幣識別装置は設置されていない。そこで、レジでの紙幣の真贋判定は、手による紙幣の感触や大きさ、或いは、模様や色などにより贋と思われたものを、紙幣の真贋判定が可能な金融機関(例えば、銀行や郵便局などの金融機関)に持って行き、贋と思われる紙幣の真贋判定が行われていた。
【特許文献1】特開2006−12003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の紙幣識別装置は大きくて持ち運びが困難であった。このため、手による紙幣の感触や大きさ、或いは、模様や色などが贋と思われた場合でも、手軽に紙幣の真贋判定を行うことができなかった。
【0005】
また、従来の紙幣の真贋装置は、予め紙幣上に真贋ポイントが複数箇所決められており、決められた真贋ポイント以外の箇所に贋情報がある新たな贋札の場合は、その情報を入手してからでないと紙幣の真贋判定を行うことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、何処ででも最新の真贋情報にて手軽に紙幣の真贋判定を行うことができる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明の携帯端末装置は、少なくともデータ通信機能を備えたものであって、紙葉類から真贋判定用の情報を読み取るための情報読取手段と、この情報読取手段にて読み取られた情報と基準情報とを比較して当該紙葉類の真贋を判定する比較判定手段の全て、又は、当該比較判定手段の一部を構成する手段と、真贋判定結果を出力する手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明の携帯端末装置は、上記において、情報読取手段は、紙葉類に判定用の光を照射するための発光手段と、紙葉類からの反射光を受ける受光手段と、該受光手段からの信号をデジタル変換する信号変換手段とから構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明の携帯端末装置は、請求項1において、情報読取手段は、紙葉類を撮像する撮像手段から構成されており、比較判定手段は、撮像手段にて撮像された画像を判定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明の携帯端末装置は、請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、データ通信機能により配信された基準情報を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明の携帯端末装置は、請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、比較判定手段の一部を構成する手段は、情報読取手段にて読み取られた情報をデータ通信機能により真贋判定のためのホストに送信し、当該ホストにて判定された結果をデータ通信機能により受信することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6の発明の携帯端末装置は、請求項1乃至請求項5の何れかにおいて、情報読取手段にて読み取り可能な情報以外の真贋判定用の情報を読み取るための追加情報読取手段を接続可能としたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項7の発明の携帯端末装置は、請求項1乃至請求項6の何れかにおいて、通話機能を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では少なくともデータ通信機能を備えた携帯端末装置において、紙葉類から真贋判定用の情報を読み取るための情報読取手段と、この情報読取手段にて読み取られた情報と基準情報とを比較して当該紙葉類の真贋を判定する比較判定手段の全て、又は、当該比較判定手段の一部を構成する手段と、真贋判定結果を出力する手段とを備えているので、データ通信用の携帯端末装置を利用して、手軽に紙葉類の真贋判定を行うことができるようになる。
【0015】
請求項2の如く情報読取手段を、紙葉類に判定用の光を照射するための発光手段と、紙葉類からの反射光を受ける受光手段と、この受光手段からの信号をデジタル変換する信号変換手段とから構成することで、紙葉類の真贋を光学的パターンから判定することができるようになる。
【0016】
また、請求項3の如く情報読取手段を、紙葉類を撮像する撮像手段から構成し、比較判定手段が、撮像手段にて撮像された画像を判定するようにすれば、紙葉類の画像を基に模様やシリアル番号を利用して真贋を判定することができるようになる。
【0017】
また、請求項4の如くデータ通信機能により配信された基準情報を記憶する記憶手段を備えれば、真贋判定のための最新の基準情報の配信を受けて記憶しておき、常に的確な判定を実現できるようになる。
【0018】
また、請求項5の如く比較判定手段の一部を構成する手段を、情報読取手段にて読み取られた情報をデータ通信機能により真贋判定のためのホストに送信し、当該ホストにて判定された結果をデータ通信機能により受信するものとすれば、ホストを利用して精度良い真贋判定を行うことができるようになると共に、携帯端末装置自体の負担も軽くなる。
【0019】
また、請求項6の如く情報読取手段にて読み取り可能な情報以外の真贋判定用の情報を読み取るための追加情報読取手段を接続可能とすれば、光学的パターンや画像以外の例えば紙質やインク材質などに基づく真贋判定も行うことが可能となる。
【0020】
そして、請求項7の如く通話機能を備えれば、日常用いられる携帯電話を利用した紙葉類の真贋判定を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、最新の贋紙葉類の情報を用いて何処ででも手軽に紙葉類の真贋判定を行えるようにしたことを最も主要な特徴とする。最新の贋紙葉類情報で何処ででも手軽に紙葉類の真贋判定を行えるという目的を、最新の贋紙葉類情報を受信可能な携帯端末装置に真贋判定用の情報を読み取るための情報読取手段を設けることにより実現した。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例を示す携帯端末装置1の斜視図、図2は本発明の一実施例の主要な構成を示すブロック図をそれぞれ示している。本実施形態における携帯端末装置1は、図1に示すように一面側にカメラ16を備えると共に、メールなどのデータ通信機能を備えた、所謂通話機能とカメラ16を有する携帯電話にて構成されている。
【0023】
即ち、携帯端末装置1は通信回路2(図2に図示)を備えており、この通信回路2は、後述するベースバンド部3からの信号を、アンテナ2Aを介して基地局へ発信できるように構成されると共に、アンテナ2Aを介して基地局からの電波を受信できるように構成されている。尚、実施例の図1(図3、図5、図6を含む)の携帯端末装置1は、アンテナ2Aを内蔵しているため図示していない。
【0024】
次に、携帯端末装置1を図2のブロック図を参照して詳しく説明する。3は、ベースバンド部であり、このベースバンド部3は、CDMA処理回路31と音声コーデック32を備えている。CDMA処理回路31は、符号分割多元接続、スクランブル、誤り制御、タイミング検出を行う。また、音声コーデック32は、音声を圧縮(符号化)・伸張(復号化)したり、アナログとデジタルの変換を行ったり、内部の増幅回路(図示せず)により受話音量やマイクロホンの感度を変更する。
【0025】
4は、耳にあてて通話に使用されるスピーカであり、増幅回路5で増幅されたベースバンド部3の電気信号を音声に変換する。6は、通話に使用されるマイクロホンであり、音声を電気信号に変換する。7は、増幅回路であり、マイクロホン6の出力を増幅してベースバンド部3に出力する。
【0026】
8は、受話音を周囲の人にも聞かせるための拡声用のスピーカである。このスピーカ8は増幅回路9で増幅されたベースバンド部3の電気信号を音声に変換する。また、このスピーカ8は着信報知の鳴動も行う。
【0027】
10は、切替回路であり、3つの夫々の増幅回路5、7、9とベースバンド部3との接続を、後述する制御装置11の制御によりON/OFFする。尚、これら3つの増幅回路5、7、9はゲインが固定されており、受話音量やマイクロホンの感度を変更することはできない。受話音量やマイクロホンの感度の変更は、制御装置11の制御によりベースバンド部3の音声コーデック32が行う。
【0028】
11は、マイクロプロセッサからなる制御装置であり、動作プログラムを記憶したROM12に基づき各部を制御する。13は、メモリ(RAM)であり、制御装置11の動作に必要な情報を記憶すると共に、データ通信機能により配信された基準情報やソフトウエア(紙幣30の真贋判定用のソフトウエアなど)を記憶する。16は、CCD方式のカメラ(本発明の撮像手段に相当)であり、このカメラ16は通常の画像を撮像するもので、解像度は300万画素以上のものが好ましい。尚、カメラ16のピントは自動で合うようになっている。また、基準情報については後で詳しく説明する。
【0029】
14は、バックライト(図示せず)を有する液晶の表示部(本発明の真贋判定結果を出力する手段に相当)であり、電話番号及びカメラ16で撮像した映像などを表示する。15は、入力部であり、電話番号の入力等を行うテンキー151と、通話の開始を操作する通話キー152と、通話の終了を操作する終話キー153とを有している。更に、入力部15には、信号の登録操作を行う登録キー154と、撮像の操作を行う撮像キー155と、紙幣30(図4に図示)の真贋判定モードを選択するモードキー156とを有している。157は、プリンタやデータのバックアップを行うアダプタ等を接続するための外部接続部である。
【0030】
17は、発光ランプ(本発明の発光手段に相当)であり、この発光ランプ17は携帯電話の写真撮影用の白色光ライトでLEDにて構成されると共に、表示部14の背面(カメラ16の近傍)に配設されている。18は、バイブレータであり、振動で着信を報知する。19は、電池容量検出回路であり、携帯端末装置1に電力を供給する充電式乾電池(図示せず)の電池残量を検出する。
【0031】
ここで、紙幣30(図4に図示)には、磁気的情報と違って贋札発見用のために、紫外線反応インクによって、当該紙幣30表面に紫外線発光パターンや、印刷技術などを利用して真似することが困難な印刷模様などが印刷形成されている。前記発光ランプ17は白色光であり、この白色光は紫外光を含む幅広い範囲の波長が含まれているため、紙幣30の印刷に関する分解能も高い。この白色光に含まれる紫外光で、紙幣30に印刷されているインク材の蛍光反応などを判定するようにしている。
【0032】
また、後述するメモリ13には紙幣30の真贋判定を行うための基本情報が記憶されている。この基本情報は、紙幣30の表面に印刷形成された光学的パターンや真似することが困難な印刷模様のポイント箇所が複数設定され、これを基本情報としている。尚、本実施例では、紫外線発光パターンや光学的バーコードパターン、光量の変化パターン、反射光の位置による光量の変化パターン、スペクトル的情報の変化パターンなどを総称して、単に光学的パターンと称す。
【0033】
基本情報は、後述する契約者が基本情報配信サイト35(図5に図示)と有料契約を結ぶことにより、基本情報配信サイト35から定期的に契約者の携帯端末装置1に送信され、メモリ13に記憶される。また、基本情報は、真贋判定に不具合が発生した場合や新たに贋札が発見された場合、或いは、新札が発行された場合などに基本情報配信サイト35にて変更されて送信され、契約者の携帯端末装置1で受信されメモリ13に記憶される。尚、基本情報配信サイト35と契約を結んだ契約者には、基本情報配信サイト35から常に最新の真贋判定用ソフトウエアが配信され、携帯端末装置1のメモリ13に記憶され更新される。これにより、新たな贋札が流通し始めた場合にも紙幣30の真贋判定に、迅速に対応することができ、便利である。
【0034】
また、携帯端末装置1の制御装置11は、紙幣30(本発明の紙葉類に相当)から真贋判定用の情報を読み取るための情報読取手段を備えている。この情報読取手段は、紙幣30に真贋判定用の光を照射する発光ランプ17と、照射した発光ランプ17の反射光を紙幣30から受ける受光手段と、この受光手段からの信号をデジタル変換する信号変換手段とから構成されている。該受光手段は、後述する紙幣30の光学的パターンを収集可能な光学センサ24にて構成されている。
【0035】
また、携帯端末装置1の入力部15に設けられたモードキー156により、真贋判定モードが選択されると、図3に示すように表示部14に紙幣30の輪郭を合わせる枠20が表示される。そして、携帯端末装置1の使用者は、図4に示すような例えば予め決められた左右の何れか一方の紙幣30(この場合1000円)の輪郭を枠20に合わせる。尚、真贋判定モードが選択された場合、カメラ16は撮像できないように構成されている。
【0036】
そして、カメラ16のピントが合いシャッターが切られると同時に、制御装置11は発光ランプ17を自動発光させる。これにより、光学センサ24は紙幣30の反射光を受光し、紙幣30の識別要因となる光学的パターンを読み取り、読み取ったデータはメモリ13に記憶される。尚、カメラ16のピントが合ったら、制御装置11はスピーカ8から音を出して、ピントが合った旨を報知するようにしても良い。
【0037】
尚、カメラ16にて紙幣30を撮像する際(具体的には、光学センサ24にて紙幣30の反射光を受光する際)、カメラ16を紙幣30の長手方向、或いは、幅方向に所定の速度で移動させる。このときカメラ16のシャッターは開いたままにして、例えば競馬の着順判定画像のように光学センサ24にて紙幣30の反射光を受光する。光学センサ24で受光した紙幣30の反射光(信号)は、信号変換手段にてデジタル変換される。
【0038】
そして、デジタル変換された紙幣30の情報は真贋判定用の情報としてメモリ13に記憶される。尚、光学センサ24を設けず、制御装置11に所定の幅(約0.5mm〜1mm)にて画像を走査する走査回路(図示せず)を設け、この走査回路にてカメラ16で撮像した紙幣30の映像を左右方向、或いは、上下方向に走査して紙幣30の情報を取得するようにしても差し支えない。
【0039】
この走査によって、紙幣30の光学的パターンなどの情報を読み取り、この読み取った情報を真贋判定用の情報として用いる。これにより、カメラ16を紙幣30の長手方向、或いは、幅方向に所定の速度で移動させる必要もなくなるので、移動スピードやカメラ16の手ぶれなどにより読み取った情報が不安定情報になってしまう不都合も解消され、極めて精度の高い紙幣30の光学的パターン情報を取得することができる。
【0040】
一方、前記制御装置11は、光学センサ24にて受光した紙幣30の情報と、メモリ13に記憶された基準情報とを比較して、紙幣30の真贋を判定する比較判定手段の全て、又は、当該比較判定手段の一部を構成する手段を備えると共に、真贋判定結果を出力する手段を備えている。即ち、制御装置11には、紙幣30の真贋を判定する比較判定手段の全てと、比較判定手段の一部を構成する手段との制御プログラムを備えており、これらの制御プログラムはメモリ13に記憶され、紙幣30の真贋判定時に実行される。
【0041】
詳しくは、紙幣30の真贋を判定する比較判定手段の全てを構成する手段は、光学センサ24にて受光した紙幣30の光学的パターンと、メモリ13に記憶された基準情報とを比較判定手段にて比較判定する。比較判定手段は、予め設定された紙幣30情報の内、しきい値範囲の基本情報に基づいて、光学センサ24が受光した紙幣30の情報(光学的パターン)と比較し、本発明の最終目的とする紙幣30の真贋判定を行う。尚、紙幣30の真贋を判定する比較判定手段の一部を構成する手段は、後の実施例で詳しく説明する。
【0042】
即ち、制御装置11(比較判定手段)は、光学センサ24が受光し、読み取った紙幣30の光学的パターンと、メモリ13に記憶された基本情報とを比較して、紙幣30の真贋判定を行う。そして、制御装置11は、比較した紙幣30の情報が基本情報の所定の許容範囲内であれば真札、許容範囲外であれば贋札と判断する。制御装置11は、比較判定手段にて比較された紙幣30が真札と判断された場合には、そのまま何もせず終了する。尚、紙幣30が真札と判断された場合、制御装置11にて表示部14に紙幣30が真札である旨の表示を行っても差し支えない。
【0043】
また、制御装置11は、比較判定手段にて比較された紙幣30が贋札と判断された場合、光学センサ24にて読み取った紙幣30が贋札である旨を表示部14に出力し表示する。尚、紙幣30が贋札と判断され、表示部14に紙幣30が贋札である旨の表示を行うと同時に、制御装置11にてスピーカ4、或いは、スピーカ8(本発明の真贋判定結果を出力する手段に相当)から所定の警報音を鳴らすようにしても良い。
【0044】
そして、比較判定手段にて比較判定された贋札情報は、制御装置11によって自動的に基本情報配信サイト35に送信される。基本情報配信サイト35は、受信した贋札情報が新たに発見されたものであれば、データベース(図5に図示)に記憶された基本情報を更新した後、更新した基本情報を、契約を結んでいる契約者に配信する。この配信情報には、新更新された基本情報、及び、発見された地域(携帯端末装置1はGPSを搭載しているので地域特定可能)なども添付され送信される。
【0045】
このように、携帯端末装置1には、紙幣30から真贋判定用の情報を読み取るための情報読取手段と、紙幣30の真贋を判定する比較判定手段と真贋判定結果を出力する手段(表示部14及びスピーカ8)とを備えている。この情報読取手段には、判定用の光を紙幣30に照射するための白色光の発光ランプ17と、紙幣30からの反射光を受ける光学センサ24と、この光学センサ24からの信号をデジタル変換するための信号変換手段とを備えている。
【0046】
そして、情報読取手段で読み取った紙幣30の情報(光学的パターン)と、データ通信機能により基本情報配信サイト35から送信され、メモリ13に記憶された基準情報とを比較判定手段(制御装置11)にて比較するようにしている。これにより、制御装置11は、光学的パターンから紙幣30の真贋を容易に判定することができるようになる。従って、データ通信用の携帯端末装置1を利用して、手軽に紙幣30の真贋判定を行うことができるようになる。
【0047】
また、携帯端末装置1はデータ通信機能とメモリ13を備えているので、基本情報配信サイト35より真贋判定のための最新の基準情報の配信を受信してメモリ13に記憶しておくことができる。これにより、常に最新の基準情報で紙幣30の的確な真贋判定を実現することができるようになる。
【実施例2】
【0048】
次に、本発明の他の実施例の携帯端末装置1を説明する。該携帯端末装置1は、前述の実施例と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施例と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。携帯端末装置1は、実施例1の情報読取手段を、紙幣30を撮像可能な前記カメラ16(本発明の撮像手段)にて構成している。また、実施例2では光学センサ24は使用していない。
【0049】
そして、実施例1で説明した如き、予め決められた、真似することが困難な印刷模様のポイント箇所が複数設定されて基準情報が決定される。この基本情報は、基本情報配信サイト35から定期的に送信され、契約者の携帯端末装置1にて受信され、メモリ13に記憶される。
【0050】
また、携帯端末装置1の入力部15のモード選択キー(図示せず)にて、真贋判定モード(図示せず)が選択されると、カメラ16は撮像モードとなり、そのとき表示部14に紙幣30の輪郭を合わせる枠20が表示される。そして、前述同様、シャッターを開いたままカメラ16を紙幣30の長手方向、或いは、幅方向に所定の速度で移動させて紙幣30を撮像する。即ち、競馬の着順判定画像のように紙幣30を撮像する。これによって、紙幣30の特定の模様(紙幣30の真似することが困難な印刷模様など)や、シリアル番号30Aなどが真贋判定用の情報としてメモリ13に記憶される。
【0051】
そして、比較判定手段は、カメラ16で撮像された紙幣30の画像情報と、メモリ13に記憶された基本情報とを比較する。比較判定手段にて比較された紙幣30が真札と判断された場合には、制御装置11はそのまま何もせず終了する。尚、紙幣30が真札と判断された場合、制御装置11にて表示部14に紙幣30が真札である旨の表示を行っても差し支えない。
【0052】
また、比較された紙幣30が贋札と判断された場合、制御装置11はカメラ16にて撮像した紙幣30が贋札である旨を表示部14に出力し表示する。尚、この場合も、紙幣30が贋札と判断され、表示部14に紙幣30が贋札である旨の表示を行うと同時に、制御装置11にてスピーカ4、或いは、スピーカ8(本発明の真贋判定結果を出力する手段に相当)から所定の警報音を鳴らすようにしても良い。
【0053】
このように、紙幣30を撮像するカメラ16を情報読取手段としている。そして、カメラ16にて撮像された画像とメモリ13に記憶された基本情報を比較判定手段にて比較判定するようにしているので、紙幣30の画像を基に模様やシリアル番号30Aを利用して真贋を判定することができる。
【0054】
尚、制御装置11に所定の幅(0.5mm〜1mm)にて画像を走査する走査回路(図示せず)を設け、この走査回路にてカメラ16で撮像した紙幣30の映像を左右方向、或いは、上下方向に走査することにより、撮像した紙幣30の情報を読み取り、この読み取った情報を真贋判定用の情報としても差し支えない。これにより、カメラ16を紙幣30の長手方向、或いは、幅方向に所定の速度で移動させる必要もなくなるので、移動スピードやカメラ16の手ぶれによる読み取り不安定情報となる心配などもなく、より精度の高い紙幣30の画像情報を読み取ることができる。
【実施例3】
【0055】
次に、図5には本発明の他の実施例の携帯端末装置1を示している。該携帯端末装置1は、前述の実施例と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施例と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。携帯端末装置1は、図5に示すように基本情報配信サイト35と通信可能に構成されている。
【0056】
基本情報配信サイト35は、ネットワークを介して複数の契約者が所有している携帯端末装置1と通信可能に構成されている。また、基本情報は、前述した如き契約者が基本情報配信サイト35と契約を結ぶことにより、基本情報配信サイト35から基本情報が定期的に契約者の携帯端末装置1に送信され、メモリ13に記憶される。
【0057】
基本情報配信サイト35には、サーバ36が設けられており、このサーバ36にはマイクロプロセッサからなるホストコンピュータ38、及び、データベース40が接続されている。ホストコンピュータ38は、図示しない制御装置やメモリなどを備えると共に、前記比較判定手段の一部を構成する手段を備えている。即ち、携帯端末装置1では紙幣30の情報を読み取るだけ(紙幣30の真贋判定を行わない)で、真贋判定はホストコンピュータ38にて行うように構成している。
【0058】
詳しくは、比較判定手段の一部を構成する手段は、実施例1で説明した紙幣30の真贋を判定する比較判定手段の全てを構成する手段に対して、紙幣30の光学的パターンを受光する光学センサ24、及び、カメラ16は有していない。また、ホストコンピュータ38は、情報読取手段にて読み取られ、携帯端末装置1から送信された紙幣30の情報を受信できる機能を有している。このホストコンピュータ38は、実施例1の光学的パターン、或いは、実施例2の画像情報の何れも受信可能に構成されている。
【0059】
また、比較判定手段は、携帯端末装置1から受信した紙幣30の情報とデータベース40に記憶された基準情報とを比較判定可能な機能を有している。尚、比較判定手段は、予め設定した紙幣30情報の内、しきい値範囲の基本情報に基づいて、受信した紙幣30の情報と比較し、本発明の最終目的とする紙幣30の真贋判定を行い、その真贋判定結果を受信した携帯端末装置1に返信する。
【0060】
即ち、携帯端末装置1の使用者が、前述同様所定の紙幣30の光学的パターン、或いは、画像情報を収集し、その情報を携帯端末装置1のデータ通信機能により真贋判定のためにホストコンピュータ38に送信する。そして、ホストコンピュータ38が携帯端末装置1から紙幣30の情報(光学的パターン、或いは、画像情報)を受信し、メモリに記憶した後、比較判定手段はデータベース40に記憶された基準情報とメモリに記憶した紙幣30の情報とを比較する。
【0061】
そして、比較判定手段にて比較された紙幣30が真札と判断された場合には、ホストコンピュータ38の制御装置は、紙幣30判定用の情報を送信してきた携帯端末装置1にその真贋判定結果が真札であるメッセージを送信する。ホストコンピュータ38からの真贋判定結果の送信により、携帯端末装置1の表示部14には受信した真贋判定結果のメッセージが表示される。
【0062】
また、比較された紙幣30が贋札と判断された場合、ホストコンピュータ38の制御装置は、紙幣30判定用の情報を送信してきた携帯端末装置1にその真贋判定結果が贋札であるメッセージを送信する。ホストコンピュータ38からの真贋判定結果の送信により、携帯端末装置1の表示部14には受信した真贋判定結果のメッセージが表示される。尚、この場合もホストコンピュータ38は、携帯端末装置1の表示部14に紙幣30が贋札であるメッセージを表示するのと同時に、スピーカ4或いはスピーカ8から所定の警報音を鳴らす信号を送信しても良い。
【0063】
このように、ホストコンピュータ38には比較判定手段の一部を構成する手段を備えている。そして、携帯端末装置1の情報読取手段にて読み取った情報を、データ通信機能によりホストコンピュータ38に送信する。ホストコンピュータ38は、その情報を比較判定手段にて真贋判定を行い、その真贋判定結果(贋札、或いは、真札)を紙幣30の情報を送信してきた携帯端末装置1に返信する。
【0064】
これにより、新たな贋札が流通した場合などでもネットワークのホストコンピュータ38を利用して、高精度の真贋判定を行うことができるようになると共に、携帯端末装置1自体の負担を軽くすることができる。また、ホストコンピュータ38に比較判定手段の一部を構成する手段を備えているので、携帯端末装置1に設けられている制御装置11の負担を軽くすることができ、メモリ13に保持すべき情報や、紙幣30の真贋判定を行うソフトも簡素化することができる。
【実施例4】
【0065】
次に、図6には本発明の他の実施例の携帯端末装置1を示している。該携帯端末装置1は、前述の実施例と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施例と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。携帯端末装置1は、図6に示すように下部に設けられた外部接続部157に追加情報読取手段(磁気読取装置42)が挿入され接続される。
【0066】
該追加情報読取手段は、前記実施例1乃至3で説明した情報読取手段にて読み取り可能な情報以外の、真贋判定用の情報を読み取れるように構成している。即ち、追加情報読取手段は、紙幣30のインク材などの磁気的情報(磁気パターン情報)を読み取り可能な磁気読取装置42にて構成されている。この追加情報読取手段には、紙質を検出できるセンサなども設けられている。
【0067】
該磁気読取装置42の一側には、携帯端末装置1に設けられた外部接続部157に着脱可能な接続コネクタ44が設けられている。この接続コネクタ44が外部接続部157に装着されて、携帯端末装置1と磁気読取装置42とが接続される。これにより、携帯端末装置1からは、磁気読取装置42に電力が供給されると共に、磁気読取装置42と携帯端末装置1との情報の送受信が行えるように構成されている。
【0068】
また、磁気読取装置42には紙幣30が長手方向に通過可能なスリット46が設けられており、このスリット46内には紙幣30の磁気的情報を収集するための磁気センサ(図示せず)が設けられている。また、スリット46内には図示しないが紙幣30が挿入されたのを感知するための感知センサ、及び、紙幣30を一定のスピードで移動させるための駆動装置が設けられている。この駆動装置は、スリット46の一側(図6矢印)から紙幣30が挿入されて感知センサがそれを感知すると駆動し、紙幣30を一定のスピードで白抜き矢印方向に移動させる。
【0069】
一方、前記比較判定手段には、磁気センサが読み取った紙幣30の磁気情報を比較判定するためのプログラムを有している。また、携帯端末装置1のメモリ13には前述した如き紙幣30の真贋を判定するための基本情報が記憶されている。この基本情報には前記光学センサ24、及び、カメラ16などからの情報の他に、磁気読取装置42の磁気センサが読み取った紙幣30の磁気的情報を比較判定可能な基本情報も有している。この比較判定手段は、磁気センサから紙幣30の磁気的情報を受信すると、メモリ13に記憶された基本情報と比較して、紙幣30の真贋判定を行う。
【0070】
そして、スリット46の一側から紙幣30が挿入されると、感知センサがそれを感知して駆動装置が駆動する。これにより、紙幣30はスリット46内を一定のスピードで白抜き矢印方向に移動し、スリット46内を通過すると共に、磁気センサにより紙幣30に記録された磁気的情報(紙質を含む)が磁気読取装置42にて読み込まれる。この場合、紙幣30は駆動装置にて一定のスピードにて矢印方向に移動するので紙幣30の磁気的情報を的確に読み取ることができる。
【0071】
そして、比較判定手段は、読み込まれた磁気情報を予め設定された、しきい値範囲の基本情報に基づいて比較し、真札と判断された場合には、制御装置11はそのまま何もせず終了する。尚、紙幣30が真札と判断された場合、制御装置11にて表示部14に紙幣30が真札である旨の表示を行うようにしても差し支えない。
【0072】
また、比較された紙幣30が贋札と判断された場合、制御装置11は紙幣30が贋札である旨を表示部14に出力し表示する。尚、制御装置11は、表示部14に紙幣30が贋札である旨の表示を行うと同時に、スピーカ4或いはスピーカ8(本発明の真贋判定結果を出力する手段に相当)から所定の警報音を鳴らしても良い。
【0073】
このように、携帯端末装置1(外部接続部157)に、実施例1乃至3の情報読取手段にて読み取り可能な情報以外の、真贋判定用の情報を読み取るための追加情報読取手段(磁気読取装置42)を接続可能としているので、紙幣30の光学的パターンや画像以外に紙質やインク材質などに基づく真贋判定も行うことが可能となる。
【0074】
尚、携帯端末装置1では、追加情報読取手段(磁気読取装置42)にて紙幣30の情報のみ検出して、真贋判定は携帯端末装置1のデータ通信機能によりホストコンピュータ38に送信しても良い。そして、ホストコンピュータ38の比較判定手段にて真贋判定を行い、その判定結果(贋札、或いは、真札)を、紙幣30の情報を受信した携帯端末装置1に返信する。これにより、携帯端末装置1に設けた制御装置11の負担を軽くすることができ、メモリ13に保持すべき情報や、紙幣30の真贋判定を行うソフトも簡素化することができる。
【0075】
また、追加情報読取手段(磁気読取装置42)にて紙幣30の情報を読み込み、携帯端末装置1の制御装置11にて真贋判定を行ったが、追加情報読取手段にて紙幣30の情報を読み込み、真贋判定まで行うようにしても差し支えない。これにより、携帯端末装置1に設けた制御装置11の負担を軽くすることができ、メモリ13に保持すべき情報や、紙幣30の真贋判定を行うソフトも簡素化することができる。
【0076】
また、磁気読取装置42に透過型センサ(発光素子と受光素子とを所定の間隔を存して配置する)を設け、この透過型センサにて駆動装置で駆動される紙幣30の透過光(明暗パターン)を検出し、予めメモリ13に記憶させた、基本情報(この場合、透過光の基本明暗パターン)と比較して、紙幣30の真贋判定を行うようにしても差し支えない。これにより、紙幣30の真贋判定を更に向上させることができる。
【0077】
尚、実施例では、真贋判定用の紙幣30を1000円で説明したが、紙幣30は1000円に限らず、2000円、5000円、10000円などの紙幣であっても差し支えない。この場合、紙幣30の真贋判定用の制御装置11は、それらの紙幣を自動的に認識して真贋判定することができるプログラム及び基本情報などを備えれば良い。
【0078】
また、携帯端末装置1を携帯電話にて説明したが、携帯端末装置1は携帯電話に限らず、通話はできないけれどカメラ機能及びメールの送受信や、インターネットなどを行うことができるPDA50(図5)であっても差し支えない。尚、PDA50は、本発明の携帯端末装置1とは異なる携帯端末装置である。
【0079】
また、実施例では紙葉類を紙幣30で説明したが、紙葉類は紙幣30に限らず、商品券などの金券や証券、或いは、演劇などのチケット等であっても差し支えない。この場合も、実施例同様それら紙葉類の真贋を携帯端末装置1にて真贋判定することができるので、携帯端末装置1の利便性を更に向上させることが可能となる。
【0080】
また、各実施例では別々に紙幣30の真贋判定を行ったが、紙幣30の真贋はこれに限らず、実施例1と実施例2の組み合わせや、実施例4と実施例1及び実施例2の組み合わせなどにて、紙幣30の真贋判定を行っても良い。これにより、更に紙幣30の真贋判定精度を向上させることができる。
【0081】
勿論本発明は、上記各実施例のみに限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の様々な変更を行っても本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施例を示す携帯端末装置(携帯端末装置を折り畳んだ状態)の斜視図である(実施例1、実施例2)。
【図2】本発明の一実施例の主要な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例を示す携帯端末装置(折り畳んだ携帯端末装置を開いた状態)の斜視図である。
【図4】紙幣の平面図である。
【図5】本発明の一実施例を示す携帯端末装置のネットワーク構成を示す図である(実施例3)。
【図6】本発明の一実施例を示す携帯端末装置に追加情報読取手段(磁気読取装置)を取り付けた図である(実施例4)。
【符号の説明】
【0083】
1 携帯端末装置
2 通信回路
11 制御装置
13 メモリ
14 表示部
16 カメラ
17 発光ランプ
20 枠
24 光学センサ
30 紙幣
35 基本情報配信サイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともデータ通信機能を備えた携帯端末装置において、
紙葉類から真贋判定用の情報を読み取るための情報読取手段と、
該情報読取手段にて読み取られた情報と基準情報とを比較して当該紙葉類の真贋を判定する比較判定手段の全て、又は、当該比較判定手段の一部を構成する手段と、
真贋判定結果を出力する手段とを備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記情報読取手段は、前記紙葉類に判定用の光を照射するための発光手段と、前記紙葉類からの反射光を受ける受光手段と、該受光手段からの信号をデジタル変換する信号変換手段とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記情報読取手段は、前記紙葉類を撮像する撮像手段から構成されており、前記比較判定手段は、前記撮像手段にて撮像された画像を判定することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記データ通信機能により配信された前記基準情報を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記比較判定手段の一部を構成する手段は、前記情報読取手段にて読み取られた情報を前記データ通信機能により真贋判定のためのホストに送信し、当該ホストにて判定された結果を前記データ通信機能により受信することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記情報読取手段にて読み取り可能な情報以外の真贋判定用の情報を読み取るための追加情報読取手段を接続可能としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の携帯端末装置。
【請求項7】
通話機能を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−293405(P2007−293405A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117668(P2006−117668)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】