説明

携帯端末装置

【課題】電子マネーや定期乗車券の機能を搭載した携帯端末装置であって、電子マネーの残高や、定期乗車券やポイントカードのポイントの有効期限を、周囲に迷惑を及ぼすことなく事前にユーザが設定した方法で報知する携帯端末装置を提供する。
【解決手段】電子マネーの残高を格納し、外部装置(200)と非接触通信により会計処理を行う非接触ICカード機能部(110)と、外部音声出力機器(300)と接続して音声を出力する音声出力インタフェース(190)と、音声出力インタフェース(190)に外部音声出力機器(300)が接続されている状態で前記電子マネーの残高が所定の残高以下である場合、前記音声出力インタフェース(190)を介して音声によりその旨を通知する通知部(124)とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードの機能を搭載し、電子マネー及び定期乗車券の機能を有する携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一昔前で有れば、必ず携帯する機器と言えば腕時計であった。しかし最近では携帯端末装置に時計が有ることから、腕時計はせずに携帯端末装置の時計を見る人が増え、携帯端末装置が、必ず携帯する機器としての地位を確立している。また、携帯端末装置に集約されている機能は、メール、カメラ撮影、及び動画撮影と多岐にわたり、最近ではデジタルラジオ、ワンセグテレビ放送、及びシリコンオーディオと言った、長時間利用する機能まで搭載されている。
【0003】
また近年は、非接触型ICカードを用いた、電子マネーや乗車券などのプリペイド式の決済システムが普及しているが、この非接触型ICカード機能の、携帯端末装置(携帯電話など)への搭載が進んでいる。このような携帯端末装置は、非接触型ICカードと異なりビューアを使うことなく格納された内部情報を見ることができる、また専用端末を使用することなく、インターネット網を利用したチャージ(入金)や定期乗車券の継続期間の更新ができるなどの利点から、ユーザが急増している。
【0004】
携帯端末装置における乗車券機能の残高管理方法としては、ユーザが乗車しようと入札ゲート(改札口)を通過するときに携帯端末装置と入札ゲートとの間で非接触通信を行って位置データを取得し、乗車中の位置データと料金データベースから自端末の電子マネーの残高不足を判定して、残高不足の場合ユーザに報知するものがある。このように前もって残高不足を報知してユーザにインターネット網よりチャージさせ、ユーザが改札を出る前に残高不足を解消し、改札の円滑な人の動きを妨げないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−243809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献による技術は、本質的には、乗車券機能の残高管理に限定されている。さらに、定期乗車券機能付き携帯端末装置においては、従来の磁気カード式定期乗車券のようにカード表面に有効期限が印刷されているわけではなく、ユーザが意識して操作しなければ有効期限を確認することができない。
【0006】
非接触型ICカードタイプの定期乗車券の場合でも、表面に有効期限が印刷されてはいるものの、改札機に通すためにパスケース(定期乗車券入れ)から出す動作が必要無いこと、パスケースや鞄の中でも通信可能なため表面側が見えるようにパスケースに入れる必要性が無く、さらに有効期限は目に付かなくなっている。その為、有効期限を確認させる意味で、改札ゲートの表示部に有効期限が近づくと期限が切れることを知らせるために表示がなされている。もし、携帯端末装置側の液晶パネルに同様の表示をしても、折り畳んだ状態では表示部は隠れて見えない。仮に背面側表示部に表示しても、背面側表示部は、改札機の通過時には、通常、ユーザにより手で支持される面、即ち、握っている面なので見ることが出来ない。
【0007】
さらに、最近のシリコンオーディオ機能を有する携帯端末装置においては、イヤホンで音楽を聴きながら家から目的地までの時間を潰すため、改札口の通過時にイヤホンを外すことなど無く、また音楽を楽しんでいるので改札ゲートの表示部など気にとめる事はない。したがって、定期乗車券の有効期限が近づいていることに気が付かないことが容易に想像できる。このことは、定期乗車券ではなく、電子マネー機能を用いて運賃を支払って乗車する場合も同様であり、残高不足に気が付かないことが考えられる。
【0008】
また、電子マネーを利用して店舗での商品購入時の決済にはレシートに購入商品のリストと共に残金が記載されるが、よほどのことが無い限り、気に止めることもない。よって、店舗においても電子マネーの残金不足に気が付かないことが想定される。特に、店舗にある非接触式ICカード用の端末では、残金不足を含むエラー時には支払完了時とは異なる電子音で利用者に報知している。しかし、イヤホン装着者にとっては電子音が聞こえないので、本人は支払ったつもりでいるが支払っていないことにより会計時に無駄な時間を費やし、周囲の人に迷惑を掛けることが想定される。
【0009】
以上のようにイヤホンを利用している状態では、音楽に集中しているので改札口の表示を確認せず、携帯端末装置は閉じられた状態なので表示を見ることはない。もし、改札ゲート通過時に改札ゲート側から音声報知があったとしてもイヤホンを利用している状態では聞こえないことが多く、また周囲の人に聞かれてしまうと言った、本人に不具合で有るばかりでなく周囲に迷惑な現象が起きることが容易に想像できる。
【0010】
したがって、係る点に鑑みてなされた本発明の目的は、電子マネー及び定期乗車券の機能を搭載した携帯端末装置であって、電子マネーの残高を確認すると共に常時一定金額を保有させ、定期乗車券やポイントカードのポイントの有効期限を、周囲に迷惑を及ぼすことなく事前にユーザが設定した方法で報知する携帯端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による携帯端末装置は、
電子マネーの残高を格納し、外部装置(店舗レジやPOS等の支払端末)と非接触通信により(内蔵された演算処理装置(プロセッサ)を用いて電子マネーでの)会計処理を行う非接触ICカード機能部と、
外部音声出力機器(イヤホン、ヘッドホン等)と接続して音声を出力する音声出力インタフェースと、
(前記電子マネーの所定の残高を格納する設定情報記憶部と、)
(前記外部装置との非接触通信が行われた際に、電子マネーの支払動作が発生したか否かを判定する動作判定部と、)
(前記電子マネーの残高と前記設定情報記憶部に格納されている所定の残高とを比較する比較部と、)
(前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続(装着)されているか否かを監視する接続監視部と、)
前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続されている状態で(前記外部装置との非接触通信が行われ、)前記電子マネーの残高が(前記設定情報記憶部に格納されている)所定の残高以下である場合、前記音声出力インタフェースを介して(ユーザに)音声によりその旨を通知する通知部と、
を有することを特徴とする。
【0012】
また、第2の発明による携帯端末装置は、
定期券(定期乗車券)の乗車区間及び有効期限を格納し、外部装置(自動改集札機)と非接触通信により(内蔵された演算処理装置(プロセッサ)を用いて)乗降駅及び乗降日に関するデータの授受を行う(即ち、定期券としての機能を実現する)非接触ICカード機能部と、
外部音声出力機器(イヤホン、ヘッドホン等)と接続して音声を出力する音声出力インタフェースと、
(前記定期券の有効期限に到達するまでの所定の日数を格納する設定情報記憶部と、)
(前記外部装置との非接触通信が行われた際に、前記データの授受が行われたか否かを判定する動作判定部と、)
(有効期限までの日数と前記設定情報記憶部に格納されている所定の日数とを比較する比較部と、)
(前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続(装着)されているか否かを監視する接続監視部と、)
前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続されている状態で(前記外部装置との非接触通信が行われ、)前記非接触ICカード機能部に格納されている前記定期券の有効期限が(前記設定情報記憶部に格納されている)所定の日数以下である場合、前記音声出力インタフェースを介して(ユーザに)音声によりその旨を通知する通知部と、
を有することを特徴とする。
【0013】
また、第3の発明による携帯端末装置は、
ポイントカードのポイント数(購買額や来店回数などに応じてユーザに与えられ、品物やサービスと交換可能な電子的価値情報)及び該ポイントの有効期限を格納し、外部装置(店舗のレジやPOS等の支払端末)と非接触通信により(内蔵された演算処理装置(プロセッサ)を用いて)前記ポイント数及び前記ポイントの有効期限に関するデータの授受を行う非接触ICカード機能部と、
外部音声出力機器(イヤホン、ヘッドホン等)と接続して音声を出力する音声出力インタフェースと、
(前記有効期限に到達するまでの所定の日数を格納する設定情報記憶部と、)
(前記外部装置との非接触通信が行われた際に、前記データの授受が行われたか否かを判定する動作判定部と、)
(有効期限までの日数と前記設定情報記憶部に格納されている所定の日数とを比較する比較部と、)
(前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続(装着)されているか否かを監視する接続監視部と、)
前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続されている状態で(前記外部装置との非接触通信が行われ、)前記非接触ICカード機能部に格納されている前記ポイントの有効期限が(前記設定情報記憶部に格納されている)所定の日数以下である場合、前記音声出力インタフェースを介して(ユーザに)音声によりその旨を通知する通知部と、
を有することを特徴とする。
【0014】
また、第4の発明による携帯端末装置は、
前記所定の残高または前記所定の日数をユーザ入力に基づき設定するユーザ設定部、
(設定された情報は、前記設定情報記憶部に格納される)
をさらにを有することを特徴とする。
【0015】
また、第5の発明による携帯端末装置は、
前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続されていない状態で、前記電子マネーの残高が(前記設定情報記憶部に格納された)前記所定の残高以下または前記有効期限が(前記設定情報記憶部に格納された)前記所定の日数以下である(と前記比較部により判定された)場合、前記電子マネーの残高が前記所定の残高以下である旨を示す情報または前記有効期限が前記所定の日数以下である旨を示す情報を格納する記憶部をさらに有し、
前記通知部は、前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続され、該外部音声出力機器から音声データ(曲、ラジオ放送など)を出力する際に(例えば、曲と曲との間に挿入して、或いは前記欄らかの音声データと共に)、前記音声出力インタフェースを介して、(ユーザに)前記記憶部に格納されている前記電子マネーが前記所定の残高以下である旨を示す情報または前記有効期限が前記所定の日数以下である旨を示す情報を音声により通知する、
ことを特徴とする。
【0016】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
例えば、本発明を方法として実現させた第6の発明による携帯端末装置の制御方法は、
電子マネーの残高を格納し、外部装置(店舗レジやPOS等の支払端末)と非接触通信により(内蔵された演算処理装置(プロセッサ)を用いて電子マネーでの)会計処理を行うステップと、
外部音声出力機器(イヤホン、ヘッドホン等)と接続して音声を出力するステップと、
(前記電子マネーの所定の残高を格納するステップと、)
(前記外部装置との非接触通信が行われた際に、電子マネーの支払動作が発生したか否かを判定するステップと、)
(前記電子マネーの残高と前記設定情報記憶部に格納されている所定の残高とを比較するステップと、)
(前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続(装着)されているか否かを監視するステップと、)
前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続されている状態で(前記外部装置との非接触通信が行われ、)前記電子マネーの残高が(前記設定情報記憶部に格納されている)所定の残高以下である場合、前記音声出力インタフェースを介して(ユーザに)音声によりその旨を通知するステップと、
を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明をプログラムとして実現させた第7の発明によるプログラムは、
携帯端末装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
電子マネーの残高を格納し、外部装置(店舗レジやPOS等の支払端末)と非接触通信により(内蔵された演算処理装置(プロセッサ)を用いて電子マネーでの)会計処理を行うステップと、
外部音声出力機器(イヤホン、ヘッドホン等)と接続して音声を出力するステップと、
(前記電子マネーの所定の残高を格納するステップと、)
(前記外部装置との非接触通信が行われた際に、電子マネーの支払動作が発生したか否かを判定するステップと、)
(前記電子マネーの残高と前記設定情報記憶部に格納されている所定の残高とを比較するステップと、)
(前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続(装着)されているか否かを監視するステップと、)
前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続されている状態で(前記外部装置との非接触通信が行われ、)前記電子マネーの残高が(前記設定情報記憶部に格納されている)所定の残高以下である場合、前記音声出力インタフェースを介して(ユーザに)音声によりその旨を通知するステップと、
を有することを特徴とする。
【0018】
このように、ユーザが電子マネー、定期券機能付き携帯端末装置にイヤホンを装着して音楽や音声を楽しめる機器であって、定期券の有効期限が近づいた場合や残高不足の時に音楽や音声等を中断して、または音楽や音声等に重ねてアナウンスさせることを特徴とするものである。
【0019】
また、定期券の有効期限が近づいた場合や残高不足の時にイヤホンを装着していない場合は一度情報を記憶部に保存することで、イヤホン装着後音楽や音声等の前に報知音を流すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、携帯端末装置にイヤホンを装着しているユーザに対して、電子マネーの残高が少なくなっていることや定期券の有効期日が間近に迫っていることをイヤホンから警告することができる。さらに、電子マネーの残高や定期券の有効期限に問題がない場合は、音楽や音声等を中断されることなく聞くことができることで格段に利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以降、諸図面を参照しながら、本発明による携帯端末装置の実施態様を詳細に説明する。携帯端末装置としては、携帯電話、PDA(パーソナルデジタルアシスタンス)、携帯ゲーム機、携帯オーディオプレイヤー、携帯ビデオプレイヤー、携帯電子辞書、携帯電子書籍ビューワーなどの携帯電子機器に幅広く本発明を適用することが可能である。
第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施例に係る携帯端末装置のブロック図である。携帯端末装置100は、少なくとも非接触ICカード機能部110、ユーザが最低残高を設定する例えばテンキー等のユーザ設定部150、前記ユーザ設定部150で設定した最低残高を格納する設定情報記憶部132を含む記憶部130、外部に音を出力するスピーカ140、ユーザが耳に装着するイヤホン、ヘッドホン等の外部音声出力機器300と前記スピーカ140の信号を切替え、音声を出力する音声出力インタフェース190、視聴用の音楽、音声信号などに報知音を付加する音声合成部160、アンテナANT2を介して通話や無線データの送受信を行う送受信装置170、フラッシュメモリカード等の外部メモリ400用の外部メモリインタフェース180、これら装置全体の制御を司る制御部120とを備えている。非接触ICカード機能部110は、電子マネーによる会計時の演算処理を行う管理部(典型的には、MPU等の演算処理装置(プロセッサ)、および、管理ソフトウェアモジュールで構成される)112及び残高や履歴を格納する記憶部114を備えている。また、制御部120は、外部装置200(例えば、店舗レジやPOS等の支払端末、または交通機関で運賃を支払うための支払装置)との非接触通信が行われた際に電子マネーの支払動作が発生したか否かを判定する動作判定部121、音声出力インタフェース190に外部音声出力機器300が接続されているか否かを監視する接続監視部122、非接触通信が行われた際に電子マネーの演算処理後に設定情報記憶部132に格納された最低残高と記憶部114に記憶された電子マネーの残高とを比較する比較部123、及び電子マネーの残高が最低残高以下の場合にユーザにその旨を通知する通知部124とを備えている。
【0022】
前記設定情報記憶部132に格納された最低残高は初期設定されていてもよいが、ユーザ設定部150により、ユーザが携帯端末装置100の表示画面を見ながら、最低残高を設定することもできる。図5は、携帯端末装置100における、上述の最低残高を設定する際の設定画面の一例である。
【0023】
例えばユーザが店舗で物品を購入した場合を想定し、図2のフローチャートを用いて、本発明の携帯端末装置における電子マネーの支払時の動作及び残高が最低残高以下となった旨の報知方法を説明する。なお、非接触ICカード機能部110内の記憶部114には非接触ICカード機能の非接触通信もしくはインターネット等を介して、情報記憶部132に格納された最低残高以上の電子マネーが入金して有るものとする。まずユーザが店舗で物品を購入するために携帯端末装置100を外部装置200のリーダ・ライタ面(図示せず)にかざすと、非接触ICカード機能部110のANT1を介して外部装置200(この場合、店舗レジ)との非接触通信が行われ、動作判定部121は、非接触ICカード機能部110の非接触通信機能を利用した電子マネーの支払動作が発生したか否かを判定する(ステップS21)。支払動作が発生した場合は、非接触ICカード機能部110の管理部112が、記憶部114に記憶された電子マネー残高から商品の代金の減額処理を行う(ステップS22)。
【0024】
比較部123は、非接触ICカード機能部110の記憶部114に記憶された電子マネーの残高と設定情報記憶部132に格納された最低残高とを比較し、設定情報記憶部132の最低残高よりも記憶部114の電子マネー残高が少ない場合はステップS24へ、記憶部114の電子マネー残高が多い場合はステップS21へ移行する(ステップS23)。記憶部114の電子マネー残高が少ないと判定された場合、ステップS24にて、接続監視部122は音声出力I/F190に外部音声出力機器(イヤホン、ヘッドホン等)300が接続されているか否かを判定する。外部音声出力機器300が接続されていない場合はステップS27へ移行し、報知情報記憶部133に電子マネー残高が最低残高以下になったという情報が格納される。
【0025】
ステップS24にて外部音声出力機器300が接続されていると判定された場合は、制御部120は、電子マネー残高が最低残高以下となった旨を報知する報知音声を生成し、生成した報知音声データと外部音声出力機器300に送っている音声・音楽データなどを音声合成部160で合成させる(ステップS25)。音声合成部160は、外部音声出力機器300に送っている音声・音楽データの一時中断と報知音声データの挿入、および、音声・音楽データの音量の調節と報知音声データの重ね合わせ等の、音声や音楽の加工を司どっている。音声合成部160による音声の合成が行われた後、外部音声出力機器300を通じて電子マネー残高が最低残高以下となった旨がユーザに報知される(ステップS26)。なお、電子マネーの残高が最低残高以下となった際に、電子マネーの残高そのものを報知するようにしてもよい。
【0026】
また、ユーザ設定部150では、ユーザは通常の購入金額を想定して最低残高を設定するが、生活のパターンが変わり当初設定した最低残高では支払時に電子マネーが不足することが多くなることも想定される。その場合は、自動的に最低残高を変更するか、または最低残高を変更するようにユーザに注意を促すこともできる。
【0027】
第2の実施の形態
図1は、第2の実施の形態に係る携帯端末装置のブロック図である。この携帯端末装置100のブロック図において、第1の実施の形態と同一の機能を果たす部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。携帯端末装置100において、非接触ICカード機能部110の記憶部114は、定期乗車券またはポイントカードのポイント(購買額や来店回数などに応じてユーザに与えられ、品物やサービスと交換可能な電子的価値情報)の有効期限(有効期日)を格納する。ユーザ設定部150にて、ユーザは、定期乗車券またはポイントカードのポイントの有効期限が切れるまでの所定の日数を設定することができ、設定情報記憶部132は、前記ユーザ設定部150で設定された所定の日数を格納する。また、動作判定部121は、外部装置200(例えば、店舗レジやPOS等の支払端末、または交通機関で運賃を支払うための支払装置)との非接触通信が行われた際に、定期乗車券またはポイントカードのポイントの有効期限を確認する処理が行われたか否か、またはポイントの追加/引き落としが発生したか否かを判定する。以下、店舗/改札口ゲート、支払端末装置200が、鉄道やバス等の公共交通機関で定期乗車券の有効期限を管理する装置等である場合を例に説明するが、定期乗車券またはポイントカードのポイントの有効期限を管理できる装置で有れば店舗/改札口ゲート、支払端末装置200とみなすことができる。
【0028】
比較部123は、非接触通信が行われて定期乗車券の有効期限が確認処理された後に、設定情報記憶部132に格納された所定の日数と記憶部114に記憶された有効期日とを比較し、通知部124は、記憶部114に記憶された有効期日が設定情報記憶部132に格納された所定の日数以下の場合にユーザにその旨を通知する。設定情報記憶部132に格納された所定の日数は通常、公共交通機関(JRや私鉄、バスなど)の継続定期乗車券が購入可能な14日前に設定することが望ましく、初期設定として14日に設定することもできる。しかし、ユーザ設定部150により、ユーザが携帯端末装置100の表示画面を見ながら、定期乗車券の有効期限に達するまでの所定の日数を設定することもできる。図6は、携帯端末装置100における、上述した定期乗車券の有効期日までの所定の日数を設定する設定画面の一例である。
【0029】
例えば、ユーザが携帯端末装置100の定期乗車券機能を利用して改札口を通過した場合を、図3のフローチャートで説明する。なお、非接触ICカード機能部110の記憶部114には、定期乗車券発行機もしくは携帯端末装置100の無線通信機能により接続可能なインターネットなどを介して、非接触ICカード機能部110が定期乗車券としての機能を実現するための乗車区間や有効期限等の情報を記憶させてあるものとする。まず、ユーザが改札口を通過する際に、携帯端末装置100を外部装置(店舗/改札口ゲート、支払端末装置)200のリーダ・ライタ面(図示せず)にかざす、触れる等の動作を行うと、外部装置200と携帯端末装置100との間で非接触通信が行われ、動作判定部121は改札口を通過する動作が発生したか否かの判定を行う(ステップS31)。通過動作が発生した場合、非接触ICカード機能部110の管理部112は、記憶部114に記憶された有効期日と当日の日付データ、設定情報記憶部132に格納されている所定の日数データを取得する。なお当日の日付データは、外部装置200、携帯端末装置100の時計機能等のどちらから取得しても良い(ステップS32)。次に、比較部123は、管理部112が取得した有効期日と当日の日付データとに基づき、設定情報記憶部123に格納されている所定の日数より有効期日までの残日数(余裕)が多いか少ないかを判定する。有効期日までの残日数が所定の日数より多い場合はステップS31へ移行し、少ない場合はステップS34へ移行する(ステップS33)。
【0030】
有効期日までの残日数が所定の日数より少ない場合は、接続監視部122により音声出力I/F190の接続状況を確認し、外部音声出力機器300が接続されているか否か確認を行う(ステップS34)。ステップS34で外部音声出力機器300が接続されていない場合はステップS37へ移行し、報知情報記憶部133に報知情報(有効期日が近づいている旨)を記憶する。ステップS34で外部音声出力機器300が接続されている場合は、制御部120は有効期日が迫っている旨を報知する報知音声を生成し、生成した報知音声を通知部124より音声合成部160に送る。その後、音声合成部160にて、有効期日が迫っている旨を報知する報知音声データと外部音声出力機器300に送っている音声、音楽データなどを合成する(ステップS35)。次に、ステップS36で外部音声出力機器300(この場合、イヤホン)を通じて定期乗車券の有効期日が迫っている旨(残日数等)をユーザに報知する。以上の処理により、定期乗車券が切れる前に継続購入を促すことができる。
【0031】
ここで、ユーザへの報知方法として、定期券の有効期日が近づくにつれて、音量が徐々に大きくなる、報知回数が増えてくるといった手法も効果的である。
【0032】
第3の実施の形態
次に、ユーザが外部音声出力機器(イヤホン、ヘッドホン等)300を非利用時に報知すべき状況が発生した場合の携帯端末装置100の処理を、図4のフローチャートで説明する。すなわち、図2および図3における、それぞれステップS24、S34で外部音声出力機器300と接続していないと判定され、ステップS27、S37で報知すべき状況が報知状況記憶部133に格納されている状態である。
【0033】
ユーザは携帯端末装置100に外部音声出力機器300を装着せずに、外部装置200への支払処理、または改札口の通過を行い、このときに携帯端末装置100では電子マネーの残高が最低残高以下となったことや定期券の有効期日が間近であることを検出し、報知情報記憶部133にその旨を記憶していたとする。その状態で、ユーザがラジオ、TVの音声または音楽などを楽しもうと、外部音声出力機器300を装着すると、報知処理が開始される。外部音声出力機器300が音声出力I/F190に接続され、音声の信号線がスピーカ140から切り替わると、制御部120が検出信号を受け取る。比較部123は、報知情報記憶部133に報知情報(報知すべき状況)が記憶されているかの確認を行う(ステップS41)。報知情報記憶部133に報知情報が記憶されていない場合は処理を終了し、通常の音声出力を続行する。報知情報がある場合はステップS42へ移行し、制御部120は、報知情報に基づく報知音声を生成する(ステップS24)。報知情報としては、電子マネー残高が最低残高以下である、定期券の有効期日が近づいている等の情報であり、「残高が2,500円です。」、「13日後に定期券の有効期限が終了します。」等の音声データを生成する(ステップS42)。
【0034】
ステップS43では、ユーザへの音声の出力が発生したか否か(例えば、音声データの入出力に係わるスイッチが押されたかどうか)を動作判定部121が判定する。これは、TV、ラジオ、音楽等を聞く場合には、通常、ユーザは、外部音声出力機器300を音声出力I/F190に接続して耳に装着してから再生ボタンを押下する等により視聴を開始することから、視聴開始のタイミングを検出するものである。すなわち、外部音声出力機器300が音声出力I/F190に接続されたときに報知情報を外部音声機器に出力しても、ユーザはまだ外部音声出力機器300を耳に装着しておらず、報知情報がユーザの耳に届かない状況があり得ることを考慮したものである。ユーザの意志により音声の出力が指示されたとき、すなわち、TV、ラジオ、音楽等の視聴開始ボタンが操作された時であればイヤホン等をユーザが装着していると考えられ、ユーザに確実に情報を伝えることができる。
【0035】
ステップS44で、ユーザに視聴開始を指示された音声・音楽などを出力する際に、報知情報に基づく報知音声を、外部音声出力機器300を通じて報知する。音声通知データの報知後には報知情報記憶部133の内容は消去される。このことで、何回も音声通知を聞くことが避けられる。
【0036】
ここで、定期乗車券などの有効期日が近いことを報知する処理を行う場合に、比較部123は、外部装置200を通過した日付と現在の日付を確認し、両者が一致しない場合は日数の差分を演算し、報知音声データの内容を変えることも出来る。例として、改札を通過した時点では「13日前」であったが、外部音声出力機器300を装着したのが翌日で有れば、「12日後に定期券の有効期限が終了します。」等の報知音声が作成される。
【0037】
ユーザ設定部150は、テンキー等で構成され、上述したように有効期日の余裕日数を設定することができるほか、チェックボタン等を表示し、余裕日数に応じて音量を上げる、通学、通勤ルート変更に伴う機能の停止および変更など、詳細な設定ができる。
【0038】
なお報知情報記憶部133に格納されている報知情報の報知は、上述のように外部音声出力機器300が接続され音声の出力が開始されたときだけではなく、音声の出力がユーザによって一時停止/全停止されたとき、音声の出力が開始されたとき、或いは開始から所定の時間が経過したとき等に行うように、設定することもできる。また、ユーザ設定部150、携帯端末装置100の数字ボタン等の入力インタフェース(図示せず)または携帯端末装置100の背面や側面に設けたボタン(図示せず)によって、ユーザの好きなときに報知状況があるか否かを確認できるようにすることも可能である。
【0039】
なお、本発明の各実施の形態に係る携帯端末装置100は、典型的には携帯電話等の端末装置とすることができるが、これに限定されるものではなく、PDA等の携帯端末装置を含む様々な携帯端末装置にも応用できる。さらに、本発明をプログラムとして実現させ、無線通信機能を利用してインターネット網からダウンロードし、携帯端末装置の記憶部、或いは、携帯端末装置に内蔵された非接触ICカード機能部内の記憶部に格納して、上述した諸機能をもたせることもできる。この場合には、非接触ICカード機能部内のプロセッサが、ダウンロードしたプログラムを実行する構成を取ることも可能である。さらに、上述した実施態様では、公共交通機関(電車やバスなど)の乗車を例として説明したが、これに限定されるものではなく、タクシー等で用いることもできる。
【0040】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係わる携帯端末装置のブロック図の一例である。
【図2】本発明に係わる携帯端末装置の電子マネー支払処理のフローチャートである。
【図3】本発明に係わる携帯端末装置の有効期限確認処理のフローチャートである。
【図4】本発明に係わる携帯端末装置の、外部音声出力機器(イヤホン等)の接続後における音声報知処理のフローチャートである。
【図5】本発明に係わる携帯端末装置の、電子マネーの所定の残高の設定画面の一例である。
【図6】本発明に係わる携帯端末装置の、定期乗車券の有効期限までの所定の日数の設定画面の一例である。
【符号の説明】
【0042】
100 携帯端末装置
110 非接触ICカード機能部
112 管理部
114 記憶部
120 制御部
121 動作判定部
122 接続監視部
123 比較部
124 通知部
130 記憶部
131 報知データ記憶部
132 設定情報記憶部
133 報知情報記憶部
134 音楽記憶部
140 スピーカ
150 ユーザ設定部
160 音声合成部
170 送受信装置
180 外部メモリインタフェース
190 音声出力インタフェース
200 外部装置
300 外部音声出力機器
400 外部メモリ
ANT1、ANT2 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネーの残高を格納し、外部装置と非接触通信により会計処理を行う非接触ICカード機能部と、
外部音声出力機器と接続して音声を出力する音声出力インタフェースと、
前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続されている状態で、前記電子マネーの残高が所定の残高以下である場合、前記音声出力インタフェースを介して音声によりその旨を通知する通知部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
定期券の乗車区間及び有効期限を格納し、外部装置と非接触通信により乗降駅及び乗降日に関するデータの授受を行う非接触ICカード機能部と、
外部音声出力機器と接続して音声を出力する音声出力インタフェースと、
前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続されている状態で、前記非接触ICカード機能部に格納されている前記定期券の有効期限が所定の日数以下である場合、前記音声出力インタフェースを介して音声によりその旨を通知する通知部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
ポイントカードのポイント数及び該ポイントの有効期限を格納し、外部装置と非接触通信により前記ポイント数及び前記ポイントの有効期限に関するデータの授受を行う非接触ICカード機能部と、
外部音声出力機器と接続して音声を出力する音声出力インタフェースと、
前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続されている状態で、前記非接触ICカード機能部に格納されている前記ポイントの有効期限が所定の日数以下である場合、前記音声出力インタフェースを介して音声によりその旨を通知する通知部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯端末装置において、
前記所定の残高または前記所定の日数をユーザ入力に基づき設定するユーザ設定部、
をさらに有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯端末装置において、
前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続されていない状態で、前記電子マネーの残高が前記所定の残高以下または前記有効期限が前記所定の日数以下である場合、前記電子マネーの残高が前記所定の残高以下である旨を示す情報または前記有効期限が前記所定の日数以下である旨を示す情報を格納する記憶部をさらに有し、
前記通知部は、前記音声出力インタフェースに外部音声出力機器が接続され、該外部音声出力機器から音声データを出力する際に、前記音声出力インタフェースを介して、前記記憶部に格納されている前記電子マネーが前記所定の残高以下である旨を示す情報または前記有効期限が前記所定の日数以下である旨を示す情報を音声により通知する、
ことを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−130040(P2008−130040A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317572(P2006−317572)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】