説明

携帯端末装置

【課題】 スライド操作型の携帯電話機において、大きな入力操作面で容易に入力操作を行うことを可能とする。
【解決手段】 第1の筐体1及び第2の筐体2をスライドさせて開状態とする際に、第1の筐体1に設けられている表示部と、第2の筐体2に設けられているキーボードとが同一平面上に位置するように、該各筐体1,2をスライド移動させる。これにより、各筐体1,2を開状態とした際に、各筐体1,2が重なり合う部分を無くすことができ、第2の筐体2の露出面全体を、キーボードの設置領域として用いることを可能とすることができる。このため、キーボードの入力操作面を大きくすることができ、入力操作を容易化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の筐体及び第2の筐体をスライドさせて開状態或いは閉状態とする、例えば携帯電話機、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、デジタルカメラ装置等の携帯機器に適用して好適な携帯端末装置に関する。
特には、第1の筐体及び第2の筐体をスライドさせて開状態とした際に、第2の筐体から露出するキーボードと、第1の筐体に設けられている表示部とが同一平面上に位置するように該各筐体を開状態とすることで、キーボードの露出面積を大きくして、大きな入力操作面で容易に入力操作を行うことを可能とした携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005−167847号の公開特許公報(特許文献1)に、スライド操作の容易化を図った移動通信端末が開示されている。この移動通信端末は、表示部が設けられた表示筐体が、ボタン操作部が設けられた操作筐体に対してスライド可能に設けられており、表示筐体のスライド動作によって、ボタン操作部が露出した露出状態と、表示筐体によってボタン操作部が隠蔽される隠蔽状態とに移行されるようになっている。
【0003】
また、操作筐体のアンテナ収容部には、第1圧縮コイルばねが収容されており、表示筐体は、第1圧縮コイルばねの付勢力によって上記隠蔽状態から上記露出状態に移行する方向に付勢されることで、当該移動通信端末を上記露出状態とする際のスライド操作の容易化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−167847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような特許文献1に開示されている移動通信端末は、ボタン操作部を露出させる上記露出状態とした場合に、表示筐体及び操作筐体の略半分程度がそれぞれ重なった状態となる(=表示筐体と操作筐体とが、それぞれ異なる平面上に位置する状態となる)。このため、ボタン操作部の各ボタンは、操作筐体の略半分程度の面積内に設ける必要があり、以下の不都合を生じていた。
【0006】
1.ボタン操作部の面積が狭くなると、当該ボタン操作部の隣接するボタン同士の間隔が狭くなる。
【0007】
2.ボタン操作部の面積が狭くなると、当該ボタン操作部に設けるボタンの大きさが制限される。
【0008】
3.ボタン操作部の面積が狭くなると、当該ボタン操作部に設けるボタンの数が制限される。
【0009】
そして、このようなことから、入力操作に支障を来す問題があった。
【0010】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、スライド操作型の携帯機器におけるキーボードの入力操作面を大きくすることができ、入力操作の容易化を図ることができるような携帯端末装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る携帯端末装置は、上述の課題を解決するために、
開放面側に表示部が設けられた第1の筐体と、
開状態時に露出する露出面側にキーボードが設けられた第2の筐体と、
上記各筐体をスライド移動可能に保持するスライド保持機構とを有し、
上記スライド保持機構は、
上記第1の筐体側に設けられ、上記各筐体のスライド方向に沿ったレール部を形成する一対のレール部材と、
一対のアーム部材と、
上記スライド方向に対して直交する方向の回転軸を有し、上記各アーム部材の一端部をそれぞれ上記各レール部材に対してスライド移動可能及び回動可能に接続すると共に、一方の回転軸の延長線と他方の回転軸の延長線とが、上記スライド方向に所定分、離間するように設けられる一対の回転スライド接続部材と、
上記スライド方向に対して直交する方向の回転軸を有し、上記各アーム部材の他端部をそれぞれ上記第2の筐体に対して回動可能に接続するように設けられると共に、一方の回転軸の延長線と他方の回転軸の延長線とが、上記スライド方向に上記所定分、離間するように設けられる一対の回転接続部材とを備える。
【0012】
そして、上記スライド保持機構は、上記各筐体が略々全面的に重なり合う閉状態と、上記第1の筐体に設けられた表示部、及び上記第2の筐体に設けられたキーボードが略同一平面上に位置する開状態との間において、上記各筐体をスライド移動可能に保持する。
【0013】
このような本発明は、各筐体を開状態とする際に、スライド保持機構が、第1の筐体に設けられた表示部、及び上記第2の筐体に設けられたキーボードが略同一平面上に位置するように各筐体をスライド移動する。
【0014】
これにより、当該携帯端末装置を開状態とした際に、各筐体が重なり合う部分を無くすことができるため、第2の筐体の上記露出面全体を、キーボードの設置領域として用いることを可能とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、第2の筐体の上記露出面全体を、キーボードの設置領域として用いることができるため、該キーボードの入力操作面を大きくすることができる。
【0016】
このため、キーボード上のキー間隔を広げることができ、入力操作を容易化することができる。
【0017】
また、キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、キーボード上に従前よりも物理的に大きなキーを設けることができ、入力操作を容易化することができる。
【0018】
或いは、キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、キーボード上に従前よりも多数のキーを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】閉状態時における本発明を適用した第1の実施例となる携帯電話機を右側面部側から透視した状態の斜視図である。
【図2】開状態時における第1の実施例となる携帯電話機を右側面部側から透視した状態の斜視図である。
【図3】第1の実施例となる携帯電話機に設けられるレール形成プレートの斜視図である。
【図4】第1の実施例となる携帯電話機に設けられるアーム部の斜視図である。
【図5】第1の実施例となる携帯電話機のスライド保持機構の斜視図である。
【図6】第1の実施例となる携帯電話機に設けられる連結プレートの斜視図である。
【図7】第1の実施例となる携帯電話機の左右の各回転軸等が、スライド移動方向に所定分ずらして設けられている構成を説明するための図である。
【図8】閉状態と開状態との間の中間状態における第1の実施例となる携帯電話機を右側面部側から透視した状態の斜視図である。
【図9】中間起立状態における第2の実施例となる携帯電話機の斜視図である。
【図10】本発明を適用した第2の実施例となる携帯電話機の要部を拡大した斜視図である。
【図11】第2の実施例となる携帯電話機の要部を示す斜視図である。
【図12】第2の実施例となる携帯電話機の第1及び第2の筐体をスライド可能に接続するアーム部の斜視図である。
【図13】第2の実施例となる携帯電話機に設けられている回転接続部材のシャフト部材の斜視図である。
【図14】第2の実施例となる携帯電話機に設けられているアーム部のカム面部に嵌込するカム部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、第1の筐体及び第2の筐体をスライド移動させることで開状態或いは閉状態とするスライド操作型の携帯電話機に適用することができる。
【0021】
[第1の実施例の携帯電話機の構成]
図1に、閉状態時における、本発明を適用した第1の実施例となる携帯電話機を、図2に、開状態時における、この第1の実施例となる携帯電話機を示す。図1は、閉状態時における当該携帯電話機の要部を、右側面部側から透視した状態の図である。また、図2は、開状態時における当該携帯電話機の要部を、右側面部側から透視した状態の図である。
【0022】
この図1及び図2からわかるように、この携帯電話機は、略長方形の箱型形状を有する第1の筐体1と、この第1の筐体1と略々同じ大きさの略長方形の箱型形状を有する第2の筐体2と、上記各筐体1,2が略々全面的に重なり合う閉状態から(図1参照)、上記各筐体1,2を同一平面上に位置させる開状態までの間(図2参照)、上記各筐体1,2を、該各筐体1,2の短手方向に沿ってスライド移動可能に保持するスライド保持機構3とを有している。
【0023】
第1の筐体1には、第2の筐体2との摺接面1aに対して反対側の面となる開放面1bに、例えば液晶表示部や有機EL表示部(EL:Electro Luminescence)等の表示部が設けられている。従って、この携帯電話機の場合、各筐体1,2を閉状態とした場合及び開状態とした場合の、いずれの場合も、上記表示部は常に露出するようになっている。第2の筐体2には、各筐体1,2を開状態とした際に露出する露出面2a側にキーボードが設けられている。
【0024】
スライド保持機構3は、一対のレール部4を形成するレール形成プレート5と、一端部が、このレール形成プレート5の各レール部4に対してスライド移動可能及び回動可能に接続されると共に、他端部が、第2の筐体2に対して回動可能に接続されるアーム部9とを有している。
【0025】
また、このスライド保持機構3は、各筐体1,2のスライド方向に対して直交する方向の回転軸を有し、各アーム部9の各一端部を、各レール部4に対してスライド移動可能及び回動可能に接続する一対の回転スライド接続部材10と、各筐体1,2のスライド方向に対して直交する方向の回転軸を有し、各アーム部9の他端部をそれぞれ第2の筐体2に対して回動可能に接続する回転接続部材11とを有している。
【0026】
また、このスライド保持機構3は、各筐体1,2のスライド移動の安定化を図るための一対のスライド補助部材12と、上記各回転スライド接続部材10同士を、それぞれ上記スライド移動可能及び回動可能な状態のまま連結すると共に、上記各スライド補助部材12同士を、それぞれスライド移動可能な状態のまま連結する連結プレート13とを有している。
【0027】
また、このスライド保持機構3は、上記各回転接続部材11にそれぞれ設けられ、上記各アーム部9をそれぞれ各筐体の閉方向に付勢する一対の第1のバネ部材14と、各一端部が連結プレート13にそれぞれ接続され、各他端部がそれぞれ第1の筐体1に接続されており、各アーム部9の回動位置が各筐体1,2の閉状態時に対応する回動位置である場合は、各筐体1,2を閉状態とする方向に、上記連結プレート13を介して各アーム部9を付勢し、各アーム部9の回動位置が各筐体1,2の開状態時に対応する回動位置である場合は、各筐体1,2を開状態とする方向に、上記連結プレート13を介して各アーム部9を付勢するように、上記各アーム部9の回動位置に応じて付勢方向を変化させる第2のバネ部材15とを有している。
【0028】
上記レール形成プレート5は、図3に示すように第1の筐体1内に収納可能なように、該第1の筐体1よりも若干小さめの略長方形の板形状を有しており、このレール形成プレート5の短手側の各辺部には、図3に示すように当該レール形成プレート5の長手方向に対して垂直方向の折曲加工が施されると共に、この垂直方向の折折曲加工された部分に対して、さらに略山形の折曲加工が施されている。これにより、第1の筐体1の短手側の一方の辺部1c及び他方の辺部1dに近接し、かつ、該各辺部1c,1dに沿った一対のレール部4が形成されている。
【0029】
このレール形成プレート5の各レール部4は、アーム部をスライド移動可能に挟持する溝部6を有している。また、この各レール部4の各外壁面部4aには、当該レール部4の長手方向に沿ったスライド孔部7がそれぞれ設けられている。同様に、各レール部4の各内壁面部4bには、当該レール部4の長手方向に沿ったスライド孔部8がそれぞれ設けられている。各レール部4の各外壁面部4aに設けられているスライド孔部7と、各内壁面部4bに設けられているスライド孔部8とは、それぞれ相対向するように設けられている。このため、スライド孔部7及びスライド孔部8は、各レール部4の短手方向に沿って連通する孔部となっている。
【0030】
上記各アーム部9は、図4に示すように略楕円の板形状を有しており、一端部9a近傍には、当該アーム部9の長手方向に直交する方向に沿って貫通する、当該各アーム部9を上記各レール部4に接続するための第1の接続用孔部16が設けられている。また、各アーム部9の他端部9b近傍には、当該アーム部9の長手方向に直交する方向に沿って貫通する、当該各アーム部9を第2の筐体2に接続するための第2の接続用孔部17が設けられている。また、各アーム部9の各一端部9aには、各レール部4の上壁部4c(図3参照)に対して当該各アーム部9の各一端部9aが直線的に接触するように切り欠き加工された切り欠き部19が設けられている。
【0031】
次に、図5に、アーム部9、回転接続部材11、及びスライド補助部材12の各部材の接続関係を示す斜視図を示す。この図5からわかるように、スライド補助部材12は、長板形状の補助部本体18と、この補助部本体18の長手方向に対して直交する方向に突出するように設けられるガイド軸部21とを有している。ガイド軸部21は、各レール部4のスライド孔部7及びスライド孔部8に挿入されることで、該スライド孔部7及びスライド孔部8に沿った補助部本体18の移動をガイドするようになっており、抜け落ち防止用のワッシャ22と共に、補助部本体18の他端部18b近傍にネジ止めされるようになっている。
【0032】
アーム部9の一端部9aには、上記切り欠き部19の形状に対応して該一端部9aを被覆するスライドカバー20が設けられるようになっている。このスライドカバー20は、各レール部4内を各アーム部9の各一端部9aがスライド移動する際に、少ない摩擦でスライド移動するように、摩擦を低減するためのカバーとなっている。
【0033】
このアーム部9の一端部9aは、スライドカバー20で被覆された状態で、抜け落ち防止用のワッシャ23と共に、回転スライド接続部材10により、上記第1の接続用孔部16を介して、スライド補助部材12の補助部本体18の一端部18a近傍に接続されている。回転スライド接続部材10は、略円柱形状を有している。このため、アーム部9及びスライド補助部材12は、互いに回動可能に接続されることとなる。
【0034】
これに対して、アーム部9の一端部9bには、上記第2の接続用孔部17を介して、スライド補助部材12側に突出するように回転接続部材11が接続される。この回転接続部材11は、略円柱形状のシャフト部材30を有している。このシャフト部材30の一端部30aは、アーム部9の第2の接続用孔部17に挿入されたうえで、抜け落ち防止用のワッシャ24を介して該アーム部9に設けられている。これにより、回転接続部材11に対してアーム部9が回動可能となっている。
【0035】
また、この回転接続部材11のシャフト部材30には、いわゆる弦巻バネとなっている第1のバネ部材14が、シャフト部材30の他端部30b側に設けられたワッシャ11aにより、当該シャフト部材30からの抜け落ちが防止されたうえで設けられている。この第1のバネ部材14は、アーム部9が各筐体1,2の閉方向に付勢されるように、一端部14aがアーム部9の裏面側に設けられた突出部に引っ掛けられており、他端部が第1の筐体1側に固定されて設けられている。
【0036】
次に、各回転スライド接続部材10を、それぞれ上記スライド移動可能及び回動可能な状態のまま連結すると共に、各スライド補助部材12を、それぞれスライド移動可能な状態のまま連結する連結プレート13は、図6に示すように略長方形の長板形状を有している。
【0037】
この連結プレート13の長手方向の長さは、レール形成プレート5の各レール部4の間の距離の長さよりも、若干短めの長さとなっている。このため、この連結プレート13は、レール形成プレート5の各レール部4の間に、若干余裕を持って設けることが可能となっている。
【0038】
また、この連結プレート13の短手側の各端部13a,13b近傍は、当該連結プレート13の長手方向に対して垂直方向に折曲加工されている。この折曲加工されている部分には、当該連結プレート13と上記アーム部9とを接続するためのアーム接続用孔部25aと、当該連結プレート13とスライド補助部材12とを接続するためのスライド補助部材接続用孔部25bとが並んで設けられている。
【0039】
また、連結プレート13の左右略中央には、それぞれバネ止め用の孔部26が設けられている。このバネ止め用の孔部26には、図1及び図2に示すように第2のバネ部材15の一端部が接続されるようになっている。この第2のバネ部材15の他端部は、第1の筐体1側に接続される。当該携帯電話機の場合、この第2のバネ部材15の付勢力が、連結プレート13、回転スライド接続部材10、及びスライド補助部材12を介して各アーム部9に伝達されるようになっている。
【0040】
詳しくは、各アーム部9の回動位置が、各筐体1,2の閉状態に対応する回動位置である場合、第2のバネ部材15の付勢力は、該各筐体1,2を閉状態とするための付勢力として、上記連結プレート13、回転スライド接続部材10、及びスライド補助部材12を介して各アーム部9に伝達され、各アーム部9の回動位置が、各筐体1,2の開状態に対応する回動位置である場合、第2のバネ部材15の付勢力は、該各筐体1,2を開状態とするための付勢力として、上記連結プレート13、回転スライド接続部材10、及びスライド補助部材12を介して各アーム部9に伝達されるようになっている。
【0041】
ここで、当該携帯電話機は、スライド保持機構3が、各筐体1,2が略々全面的に重なり合う閉状態と、第1の筐体1に設けられた表示部及び第2の筐体2に設けられたキーボードが略同一平面上に位置する開状態との間において、該各筐体1,2をスライド移動可能に保持するのであるが、各アーム部9の上記2つの回転軸となっている各回転スライド接続部材10の回転軸同士が相対向して一致するように、該各回転スライド接続部材10を第1の筐体1に設け、また、各回転接続部材11の回転軸同士が相対向して一致するように、該各回転接続部材11を第1の筐体1に設けてしまうと、各筐体1,2を上記開状態とするスライド操作が困難となる。これは、上記各回転軸を相対向させて一致させると、各アーム部9の動作範囲に余裕が無くなることに起因するものである。
【0042】
このため、当該携帯電話機の場合、図7に示すように各回転スライド接続部材10の回転軸が、各筐体1,2のスライド方向に沿って例えば2mm程離間するように、該各回転スライド接続部材10を設け、各回転接続部材11の回転軸も、各筐体1,2のスライド方向に沿って例えば2mm程離間するように、該各回転接続部材11を設けている。なお、このように離間させて設けられている上記各回転軸の離間距離(=上記2mm)に対応して、各レール部4の設置位置も、上記各筐体1,2のスライド方向に沿って上記2mm程離間している。
【0043】
これにより、各筐体1,2を開状態とする際に、各アーム部9の動作範囲に余裕を持たせることができ、該各筐体1,2をスムーズに上記開状態までスライド操作可能となっている。
【0044】
[組み立て工程]
次に、このような構成を有する当該携帯電話機の組み立て工程を説明する。
【0045】
まず、第1のバネ部材14を装着した回転接続部材11を、アーム部9の他端部9b近傍に設けられている第2の接続用孔部17を介して、抜け落ち防止用のワッシャ24と共に該アーム部9に設ける。この際、第1のバネ部材14の一端部は、アーム部9の裏面側(回転接続部材11が設けられる側)に設けられている突出部に引っ掛けておく。また、上述のように、回転接続部材11は略円柱形状を有しているため、アーム部9は、この回転接続部材11に対して回動可能に設けられることとなる。
【0046】
次に、上記切り欠き部19が設けられたアーム部9の一端部9aを図5に示したようにスライドカバー20で被覆し、この状態で、アーム部9の一端部9aを、図3に示すレール形成プレート5のレール部4の溝部6に挿入する。これにより、レール部4の外壁面部4aの長手方向に沿って設けられたスライド孔部7、アーム部9の第1の接続用孔部16、レール部4の内壁面部4bの長手方向に沿って設けられたスライド孔部8を連通する連通孔部が形成されることとなる。
【0047】
次に、図5に示すスライド補助部材12の補助部本体18の一端部18a近傍には、上記連通孔部に連通する孔部が設けられている。このため、この補助部本体18の一端部18a近傍に設けられた孔部と上記連通孔部とが連通するように、レール部4の内壁面部4bにスライド補助部材12の補助部本体18の一端部18a近傍を当接させる。
【0048】
さらに、スライド補助部材12の補助部本体18の一端部18a近傍に設けられている孔部と、連結プレート13のアーム接続用孔部25aとが連通するように、連結プレート13を各レール4間に設ける。
【0049】
この状態で、連結プレート13のアーム接続用孔部25aから、補助部本体18の一端部18a近傍に設けられた孔部及び上記連通孔部を介して、略円柱形状の上記回転スライド接続部材10を挿入し、レール部4の外壁面部4aから突出する上記回転スライド接続部材10の先端部に抜け落ち防止用のワッシャ23を設ける。これにより、アーム部9の一端部18aは、レール部4に対してスライド移動可能、及び回動可能に接続されることとなる。また、このアーム部9の一端部18aに対して連結プレート13が接続されることとなる。
【0050】
次に、スライド補助部材12の補助部本体18の他端部18b近傍にも、上記連通孔部に連通する孔部が設けられている。このため、この補助部本体18の他端部18b近傍に設けられた孔部と上記連通孔部とが連通するように、レール部4の内壁面部4bにスライド補助部材12の補助部本体18の他端部18b近傍を当接させる。
【0051】
さらに、上記アーム部9の一端部18aに接続された連結プレート13のスライド補助部材接続用孔部25bと、補助部本体18の他端部18b近傍に設けられた孔部とが連通する状態とする。
【0052】
この状態で、レール部4の各スライド孔部7,8に略円管形状のガイド軸部21を挿入し、図5に示す係止ピン27を、連結プレート13のスライド補助部材接続用孔部25bを介して、補助部本体18の他端部18b近傍に設けられた孔部、ガイド軸部21の略中心を通る孔部に挿入する。これにより、係止ピン27の先端部27aが、レール部4の外壁面部4a側から突出する。この係止ピン27の先端部27aに対して、抜け落ち防止用のワッシャ22を設ける。これにより、レール部4の各スライド孔部7,8に挿入されたガイド軸部21により、スライド補助部材12がレール部4に沿ってスライド移動可能に設けられる。また、スライド補助部材12に対して連結プレート13が接続されることとなる。
【0053】
次に、回転接続部材11に設けられている第1のバネ部材14により、アーム部9が各筐体1,2の閉方向に付勢されるように、第1のバネ部材14の他端部を第1の筐体1に固定する。
【0054】
最後に、図6に示した連結プレート13の各バネ止め用の孔部26に、第2のバネ部材15の一端部を接続し、この第2のバネ部材15の他端部を第1の筐体1に接続する。これにより、第2のバネ部材15の付勢力が連結プレート13及びスライド補助部材12を介して各アーム部9に伝達され、該各アーム部9が各筐体1,2を閉状態とする方向に付勢されることとなる。
【0055】
なお、以下に説明するが、各アーム部9の回動位置が各筐体1,2の閉状態に対応する回動位置である場合、第2のバネ部材15の付勢力は、該各筐体1,2を閉状態とする付勢力として各アーム部9に伝達され、各アーム部9の回動位置が各筐体1,2の開状態に対応する回動位置である場合、第2のバネ部材15の付勢力は、該各筐体1,2を開状態とする付勢力として各アーム部9に伝達される。すなわち、各アーム部9に対して付与される第2のバネ部材15の付勢力の方向は、各アーム部9の回動位置に応じて、上記閉状態の方向及び上記開状態の方向に変化(変向)するようになっている。
【0056】
[第1の実施例の携帯電話機のスライド動作]
次に、このような構成を有する当該実施例の携帯電話機のスライド動作を説明する。
【0057】
〔各筐体を閉状態から開状態にする際のスライド動作〕
まず、各筐体1,2を、図1に示す閉状態から図2に示す開状態にする際のスライド動作を説明する。各筐体1,2の閉状態時には、図1に示すように各筐体1,2が略々全面的に重なり合った状態となることで、第2の筐体2側に設けられているキーボードが、第1の筐体1で被覆された状態となっている。
【0058】
この状態で、第1の筐体1に対して短手方向で、かつ、図1に示す開方向の力を加えると共に、第2の筐体2に対して短手方向で、かつ、図1に示す閉方向の力を加えると、各アーム部9が各レール部4の溝部6(図3参照)をスライド移動する。そして、各筐体1,2に対して上記各方向の力をさらに加えると、各アーム部9の各一端部9aが、各レール部4の各終端部4dに当接する。
【0059】
次に、上述のように各アーム部9は、第1のバネ部材14及び第2のバネ部材15により、図1に示す閉方向に付勢されているのであるが、各アーム部9の各一端部9aが各レール部4の各終端部4dに当接した状態で、各筐体1,2に対して上記各方向の力がさらに加えられると、該各アーム部9が、回転スライド接続部材10及び回転接続部材11を回転軸として、上記閉方向の付勢力に逆らって回動し始め、図8に示すように各アーム部9により、第1の筐体1が持ち上げられた状態(中間状態)となる。
【0060】
次に、上述のように各筐体1,2の閉状態時に対応する各アーム部9の回動位置では、第2のバネ部材15の付勢力は、各筐体1,2を閉状態とする付勢力として、スライド補助部材12及び連結プレート13を介して各アーム部9に伝達されているのであるが、図8に示すように各アーム部9により第1の筐体1が持ち上げられた上記中間状態において、各筐体1,2に対して上記各方向の力を加えると、各アーム部9が各筐体1,2の開方向側に倒れる。各アーム部9が各筐体1,2の開方向側に倒れると、それまで上記各筐体1,2を閉状態とする付勢力として各アーム部9に伝達されていた第2のバネ部材15の付勢力が、上記各筐体1,2を開状態とする付勢力として、スライド補助部材12及び連結プレート13を介して各アーム部9に伝達されるようになる。
【0061】
すなわち、スライド補助部材12及び連結プレート13を介して各アーム部9に伝達されている第2のバネ部材15の付勢力は、各アーム部9の回動位置が各筐体1,2の閉状態時に対応する回動位置である場合には、該各筐体1,2を閉状態とする方向の付勢力となっているが、各筐体1,2の状態が上記中間状態から開状態に遷移するに従って、該各アーム部9の回動位置が、上記中間状態に対応する回動位置から上記開状態に対応する回動位置に遷移すると、この各アーム部9の回動位置の変化により、各アーム部9に伝達される第2のバネ部材15からの付勢力が、各筐体1,2を閉状態とする付勢力から、該各筐体1,2を開状態とする付勢力に変化する。
【0062】
そして、各アーム部9に伝達される第2のバネ部材15からの付勢力が、各筐体1,2を閉状態とする付勢力から、該各筐体1,2を開状態とする付勢力に変化すると、各アーム部9が第2のバネ部材15からの付勢力により、各筐体1,2を開状態とする方向に自動的に回動し、この各アーム部9の回動により、レール形成プレート5等を介して第1の筐体1が自動的に開方向へ移動し、当該携帯電話機は、図2に示すように第1の筐体1に設けられている表示部と、第2の筐体2に設けられているキーボードとが同一平面上に位置する開状態に遷移する。
【0063】
当該携帯電話機は、各筐体1,2を開状態とした際に、第1の筐体1に設けられている表示部と、第2の筐体2に設けられているキーボードとを同一平面上に位置させることができるため、各筐体1,2が重なり合う部分を無くすことができ、第2の筐体2の露出面全体を、キーボードの設置領域として用いることを可能とすることができる。
【0064】
そして、第2の筐体2の露出面全体を、キーボードの設置領域として用いることができるため、該キーボードの入力操作面を大きくすることができ、キーボード上のキー間隔を広げて、入力操作を容易化することができる。
【0065】
また、キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、キーボード上に従前よりも物理的に大きなキーを設けることができ、入力操作を容易化することができる。
【0066】
或いは、キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、キーボード上に従前よりも多数のキーを設けることができる。
【0067】
〔各筐体を開状態から閉状態にする際のスライド動作〕
次に、各筐体1,2を、図2に示す開状態から図1に示す閉状態にする際のスライド動作を説明する。
【0068】
この場合、図2に示す開状態時において、第1の筐体1に対して該第1の筐体1を持ち上げる方向の力を加えると共に、該第1の筐体1に対して、図1に示す閉方向の力を加える。この第1の筐体1を持ち上げる方向の力、及び上記閉方向の力が加えられると、各アーム部9が、回転スライド接続部材10及び回転接続部材11を回転軸として、上記閉方向の付勢力に沿った方向に回動しはじめ、図8に示すように各アーム部9により、第1の筐体1が持ち上げられた中間状態となる。
【0069】
次に、上述のように各筐体1,2の開状態時に対応する各アーム部9の回動位置では、第2のバネ部材15の付勢力は、各筐体1,2を開状態とする付勢力として、スライド補助部材12及び連結プレート13を介して各アーム部9に伝達されているのであるが、図8に示すように各アーム部9により第1の筐体1が持ち上げられた上記中間状態において、上記第1の筐体1に対して上記閉方向の力を加え、上記第2の筐体2に対して上記開方向の力を加えると、各アーム部9が各筐体1,2の閉方向側に倒れる。各アーム部9が各筐体1,2の閉方向側に倒れた回動位置となると、それまで上記各筐体1,2を開状態とする付勢力として各アーム部9に伝達されていた第2のバネ部材15の付勢力が、上記各筐体1,2を閉状態とする付勢力として、スライド補助部材12及び連結プレート13を介して各アーム部9に伝達されるようになる。
【0070】
すなわち、スライド補助部材12及び連結プレート13を介して各アーム部9に伝達されている第2のバネ部材15の付勢力は、各アーム部9の回動位置が各筐体1,2の開状態時に対応する回動位置である場合には、該各筐体1,2を開状態とする方向の付勢力となっているが、各筐体1,2の状態が上記中間状態から閉状態に遷移するに従って、該各アーム部9の回動位置が、上記中間状態に対応する回動位置から上記閉状態に対応する回動位置に遷移すると、この各アーム部9の回動位置の変化により、各アーム部9に伝達される第2のバネ部材15からの付勢力が、各筐体1,2を開状態とする付勢力から、該各筐体1,2を閉状態とする付勢力に変化する。
【0071】
そして、各アーム部9に伝達される第2のバネ部材15からの付勢力が、各筐体1,2を開状態とする付勢力から、該各筐体1,2を閉状態とする付勢力に変化すると、各アーム部9が第2のバネ部材15からの付勢力により、各筐体1,2を閉状態とする方向に自動的に回動し、この各アーム部9の回動により、レール形成プレート5等を介して第1の筐体1が自動的に閉方向へ移動し、当該携帯電話機は、図1に示すように各筐体1,2同士が略々全面的に重なり合う閉状態に遷移する。
【0072】
[第1の実施例の効果]
以上の説明から明らかなように、この第1の実施例の携帯電話機は、各筐体1,2を開状態とした際に、第1の筐体1に設けられている表示部と、第2の筐体2に設けられているキーボードとが同一平面上に位置するようになっている。このため、各筐体1,2を開状態とした際に、各筐体1,2が重なり合う部分を無くすことができ、第2の筐体2の露出面全体を、キーボードの設置領域として用いることを可能とすることができる。
【0073】
そして、第2の筐体2の露出面全体を、キーボードの設置領域として用いることができるため、該キーボードの入力操作面を大きくすることができ、キーボード上のキー間隔を広げて、入力操作を容易化することができる。
【0074】
また、キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、キーボード上に従前よりも物理的に大きなキーを設けることができ、入力操作を容易化することができる。
【0075】
或いは、キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、キーボード上に従前よりも多数のキーを設けることができる。
【0076】
[第2の実施例]
次に、本発明を適用した第2の実施例となる携帯電話機の説明をする。上述の第1の実施例の携帯電話機は、閉状態及び開状態の2つの状態に各筐体1,2の状態を移行させることが可能であったが、この第2の実施例の携帯電話機は、上記閉状態及び上記開状態の他、各筐体1,2が閉状態から開状態に移行する手前で、図9に示すように第1の筐体1が第2の筐体2から斜めに迫り上がるかたちで起立する状態(以下、この状態を中間起立状態という。)に移行させることを可能としたものである。
【0077】
なお、上述の第1の実施例とこの第2の実施例とでは、この中間起立状態を可能とする構成及び動作のみが異なる。このため、以下の第2の実施例の説明では、この中間起立状態を可能とする構成及び動作の説明のみ行い、上述の第1の実施例の説明と重複する説明は省略することとする。
【0078】
[第2の実施例の携帯電話機の構成]
図10及び図11に、この第2の実施例の携帯電話機の要部の斜視図を示す。このうち、図11は、この要部を拡大して図10とは別角度から見た斜視図となっている。この図10及び図11からわかるように、この第2の実施例の携帯電話機は、上記各筐体1,2を、該各筐体1,2の短手方向に沿ってスライド移動可能に保持する上記スライド保持機構3が、上述の一対のレール部4を形成するレール形成プレート5と、一端部が、このレール形成プレート5の各レール部4に対してスライド移動可能及び回動可能に接続されると共に、他端部が、第2の筐体2に対して回動可能に接続されるアーム部40とを有している。
【0079】
また、このスライド保持機構3は、各筐体1,2のスライド方向に対して直交する方向の回転軸を有し、各アーム部40の各一端部を、各レール部4に対してスライド移動可能及び回動可能に接続する一対の回転スライド接続部材41と、各筐体1,2のスライド方向に対して直交する方向の回転軸を有し、各アーム部40の他端部をそれぞれ第2の筐体2に対して回動可能に接続する回転接続部材42とを有している。
【0080】
また、このスライド保持機構3は、各筐体1,2のスライド移動の安定化を図るための一対のスライド補助部材43と、上記各回転スライド接続部材41同士を、それぞれ上記スライド移動可能及び回動可能な状態のまま連結すると共に、上記各スライド補助部材43同士を、それぞれスライド移動可能な状態のまま連結する連結プレート13とを有している。
【0081】
また、このスライド保持機構3は、各一端部が連結プレート13にそれぞれ接続され、各他端部がそれぞれ第1の筐体1に接続されることで、第1の実施例で上述したように、各アーム部40の回動位置に応じて、各筐体1,2に対して上記閉方向の付勢力、或いは上記開方向の付勢力を付与する上記第2のバネ部材15を有している。
【0082】
各アーム部40は、図12に示すように略楕円の板形状を有しており、一端部40a近傍には、当該アーム部40の長手方向に直交する方向に沿って貫通する、当該各アーム部40を上記各レール部4に接続するための第1の接続用孔部44が設けられている。また、各アーム部40の他端部40b近傍には、当該アーム部40の長手方向に直交する方向に沿って貫通する、当該各アーム部40を第2の筐体2に接続するための第2の接続用孔部45が設けられている。また、各アーム部40の各一端部40aには、各レール部4の上壁部4c(図3参照)に対して当該各アーム部40の各一端部40aが直線的に接触するように切り欠き加工された切り欠き部46が設けられている。
【0083】
また、各アーム部40の他端部40b近傍には、後述するカム部材(図10及び図14の符号55)と嵌込するカム面部56が設けられている。このカム面部56には、各筐体1,2の閉状態時及び中間起立状態時における各アーム部40の回動位置に対応する位置に第1の凹部56aが設けられており、各筐体1,2の開状態時における各アーム部40の回動位置に対応する位置に第2の凹部56cが設けられている。そして、カム面部56における、第1の凹部56aと第2の凹部56cとの間は、凸部56bとなっている。
【0084】
後述するが、カム部材(図10及び図14の符号55)と、上記いずれかの凹部56a,56cが嵌込する際には、バネ部材(図10の符号58)の付勢力により、「カチッ」という音と、いわゆるクリック感が得られるようになっている。
【0085】
なお、図10〜図12には図示していないが、各アーム部40の一端部40aには、図5を用いて説明したのと同様の、上記切り欠き部46の形状に対応して該一端部40aを被覆するスライドカバー(図5の符号20参照)が設けられるようになっている。上述のように、このスライドカバーは、各レール部4内を各アーム部40の各一端部40aがスライド移動する際に、少ない摩擦でスライド移動するように、摩擦を低減するためのカバーとなっている。
【0086】
スライド補助部材43は、長板形状の補助部本体47と、この補助部本体47の長手方向に対して直交する方向に突出するように設けられるガイド軸部48とを有している。補助部本体47には、その長手方向に沿って所定の間隔を空けて、上記ガイド軸部48が挿入される孔部と、上記回転スライド接続部材41のシャフト部材50が挿入される孔部とが設けられている。
【0087】
ガイド軸部48は、各レール部4のスライド孔部7、スライド孔部8、補助部本体47の一方の孔部47a、及び図6に示した連結プレート13のスライド補助部材接続用孔部25bをそれぞれ順に介したうえで、抜け落ち防止用のワッシャ49により、補助部本体47の他端部47b近傍に固定されている。このガイド軸部48は、各レール部4に沿った各補助部本体47の移動をガイドするようになっている。
【0088】
次に、回転スライド接続部材41は、図10及び図11からわかるように、略円柱形状のシャフト部材50を有している。このシャフト部材50は、各レール部4のスライド孔部7、各アーム部40の第1の接続用孔部44、各レール部4のスライド孔部8、スライド補助部材43の補助部本体47の他方の孔部47b、及びアーム接続用孔部25aを順に介するかたちで、抜け落ち防止用のワッシャ51(図11参照)と共に設けられている。これにより、回転スライド接続部材41は、各アーム部材40を各レール部4に沿ってスライド移動及び回動可能に保持すると共に、スライド補助部材43を各レール部4に沿ってスライド移動可能に保持している。
【0089】
また、回転スライド接続部材41のシャフト部材50には、その周方向に沿って巻線するかたちで第3のバネ部材52が、抜け落ち防止用のワッシャ53により抜け落ちが防止されたうえで設けられている。この第3のバネ部材52は、一端部52aの付勢方向が図10に示す矢印A方向(=反第2の筐体2方向)となるように、また、他端部52bの付勢方向が図10に示す矢印B方向(=第2の筐体2方向)となるようにシャフト部材50に設けられている。
【0090】
また、第3のバネ部材52の他端部52bは、図11に示すように抜け落ち防止用のワッシャ53に引っ掛けられて設けられているのに対して、該第3のバネ部材52の一端部52aは、各スライド補助部材43同士を連結するように設けられた連結プレート13により押圧されるかたちで設けられている。
【0091】
上述のように、第3のバネ部材52の一端部52aの付勢方向は第2の筐体2の方向に対して反対の方向(=上記反第2の筐体2方向)となっている。このため、一端部52aを連結プレート13で押圧するかたちで、第3のバネ部材52を回転スライド接続部材41に設けたことで、この一端部52aの付勢力が、連結プレート13及びスライド補助部材43を介してレール形成プレート5に伝達され、このレール形成プレート5を介して、閉状態時に重なり合っている各筐体1,2間の距離を狭める方向に第1の筐体1が付勢されるようになっている。
【0092】
次に、回転接続部材42は、略円柱形状のシャフト部材54と、このシャフト部材54の周方向に沿って回動しないように固定して設けられるカム部材55と、このカム部材55をアーム部40のカム面部56側(図12参照)に付勢するバネ部材58とを有している。図13に示すように、シャフト部材54の、アーム部40が装着される部分に対しては、該アーム部40が当該シャフト部材54の周方向に沿ってスムーズに回動するように、周面を滑らかにする加工が施されている。
【0093】
これに対して、シャフト部材54の、カム部材55(及びバネ部材58)が装着される部分に対しては、当該シャフト部材54の周方向に沿ったカム部材55の回動を防止するために、該シャフト部材54の径方向の断面を多角形状とする多角形加工が施されている。
【0094】
カム部材55は、図14に示すように所定の厚みを備えた略円板形状を有しており、一方の平面部が、アーム部40のカム面部56に相対向するカム面部61となっている。また、このカム部材55は、カム面部61の一部分から、当該カム部材55の径方向に直交する方向に突出するように設けられた嵌込突出部57を有している。この嵌込突出部57は、各筐体1,2の閉状態時に、アーム部40のカム面部56に設けられた第1の凹部56aに嵌込し、各筐体1,2の開状態時には、アーム部40のカム面部56に設けられた第2の凹部56cに嵌込するようになっている。
【0095】
また、このカム部材55は、上記図13に示したシャフト部材54が挿入されるシャフト挿入用孔部60を有している。上述のように、シャフト部材54の、カム部材55が装着される箇所には、該シャフト部材54の径方向の断面を多角形状とする多角形加工が施されている。このため、シャフト挿入用孔部60は、このシャフト部材54の多角形形状に合致する多角形形状の孔部となっている。
【0096】
回転接続部材42は、図10及び図11に示すように、アーム部40のカム面部56に対して反対側となる面部から、該アーム部40の第2の接続用孔部45にシャフト部材54を挿入し、このシャフト部材54に対して、アーム部40のカム面部56とカム部材55のカム面部61が相対向するように該カム部材55を装着し、このカム部材55がアーム部40のカム面部56方向に付勢されるようにバネ部材58をシャフト部材54に装着し、シャフト部材54の反カム面部側の端部に抜け落ち防止用のワッシャ62を装着して形成されている。
【0097】
また、この回転接続部材42は、シャフト部材54の、上記ワッシャ62が装着された端部に対して反対側となる端部を第1の筐体1に固定することで、シャフト部材54が回動しない状態で該第1の筐体1に設けられている。
【0098】
また、このようにシャフト部材54は、回動しない状態で第1の筐体1に設けられているのであるが、図13を用いて説明したように、シャフト部材54の、アーム部40が装着される箇所には、周面を滑らかにする処理が施されており、また、シャフト部材54の、カム部材55が設けられる箇所には、周面に対して多角形処理が施されている。さらに、アーム部40の第2の接続用孔部45は、滑らかな周面に加工されており、カム部材55のシャフト挿入用孔部60は、上記シャフト部材54の多角形形状に合致する多角形形状の孔部となるように多角形加工されている。このため、回動しない状態で第1の筐体1に設けられたシャフト部材54に対して、カム部材55は該シャフト部材54の周方向に沿って回動せず、アーム部40のみが該シャフト部材54の周方向に沿って回動するようになっている。
【0099】
なお、この第2の実施例の携帯電話機の場合も、図7に示したように各回転スライド接続部材41の各回転軸、及び各回転接続部材42の各回転軸は、それぞれ各筐体1,2のスライド方向に沿って例えば2mm程離間しており、また、各レール部4の設置位置も、上記各筐体1,2のスライド方向に沿って上記2mm程離間していることは上述のとおりである。これにより、各筐体1,2を開状態とする際に、各アーム部40の動作範囲に余裕を持たせることができ、該各筐体1,2を上記閉状態及び上記開状態の間でスムーズにスライド操作可能となっている。
【0100】
[第2の実施例の携帯電話機のスライド動作]
次に、このような構成を有する当該第2の実施例の携帯電話機のスライド動作を説明する。第1の実施例の携帯電話機の場合、各筐体1,2の閉状態及び開状態の計2つの状態に遷移可能であったが、この第2の携帯電話機は、各筐体1,2の閉状態、図9に示す各筐体1,2の閉状態と開状態との中間の状態である中間起立状態、及び各筐体1,2の開状態の計3つの状態に遷移可能となっている。
【0101】
〔各筐体を閉状態から中間起立状態にする際のスライド動作〕
まず、各筐体1,2を、図1に示す閉状態から図9に示す中間起立状態にする際のスライド動作を説明する。各筐体1,2の閉状態時には、図1に示すように各筐体1,2が略々全面的に重なり合った状態となることで、第2の筐体2側に設けられているキーボードが、第1の筐体1で被覆された状態となっている。
【0102】
この状態で、第1の筐体1に対して短手方向で、かつ、図1に示す開方向の力を加えると共に、第2の筐体2に対して短手方向で、かつ、図1に示す閉方向の力を加えると、各アーム部40が各レール部4の溝部6(図10及び図11参照)をスライド移動する。そして、各筐体1,2に対して上記各方向の力をさらに加えると、各アーム部40の各一端部40a(図12参照)が、各レール部4の各終端部4dに当接する。
【0103】
ここで、上述のように、第3のバネ部材52は、一端部52aが連結プレート13で押圧されているため、この一端部52aの付勢力が、連結プレート13及びスライド補助部材43を介してレール形成プレート5に伝達され、このレール形成プレート5を介して、閉状態時に重なり合っている各筐体1,2間の距離を狭める方向に第1の筐体1が付勢されるようになっている。
【0104】
このため、各アーム部40の各一端部40aが各レール部4の各終端部4dに当接した状態となり、閉状態時に比べ各筐体1,2の重なり合っている部分の面積が少ない状態になった際に、第3のバネ部材52の一端部52aの付勢力(=各筐体1,2間の距離を狭める方向の付勢力)が、このレール形成プレート5の各レール部4の各終端部4d近傍に対して作用すると、上記各筐体1,2の重なり合っている部分の面積が少ないことから、図9に示すように第2の筐体2に対して第1の筐体1が斜めに起立した状態に遷移する。
【0105】
すなわち、各筐体1,2の閉状態時には、第1の筐体1に対して上記第3のバネ部材52の一端部52aの付勢力を与えている連結プレート13、回転スライド接続部材41及びスライド補助部材43は、各レール部4の終端部4dに対して反対側の端部となる始端部近傍に位置しているため、第1の筐体1全体から第2の筐体2全体に対して、上記第3のバネ部材52の一端部52aの付勢力が掛かるが、各アーム部40の各一端部40aが各レール部4の各終端部4dに当接した状態となると、各筐体1,2の上記少ない面積で重なり合っている部分に対してのみ、上記第3のバネ部材52の一端部52aの付勢力が掛かるようになる。
【0106】
簡単に説明すると、第1の筐体1に対しては、各レール部4の各終端部4d近傍を第2の筐体2の方向に押圧したかたちの付勢力が掛かるようになる。これにより、当該携帯電話機は、第2の筐体2に対して第1の筐体1が斜めに起立した中間起立状態に遷移することとなる。
【0107】
このように、当該第2の実施例の携帯電話機は、第2の筐体2に対して第1の筐体1を斜めに起立させた中間起立状態に各筐体1,2の状態を遷移させることができるため、第2の筐体2側に設けられたキーボードを操作しながら、第1の筐体1側に設けられた表示部を視認し易くすることができる。また、当該携帯電話機を机等に載置した状態で、第1の筐体1の表示部に表示されるテレビジョン放送やビデオコンテンツ等を視聴し易くすることができる。
【0108】
なお、この各筐体1,2の中間起立状態時における各アーム部40の回動位置は、図9に示すように、該各筐体1,2の閉状態時における回動位置と同じ回動位置のままである。
【0109】
〔各筐体を中間起立状態から開状態にする際のスライド動作〕
次に、各筐体1,2の閉状態時及び上記中間起立状態時に対応する各アーム部40の回動位置では、第2のバネ部材15の付勢力は、各筐体1,2を閉状態とする付勢力として、連結プレート13及びスライド補助部材43を介して各アーム部40に伝達されているのであるが、各筐体1,2の上記中間起立状態時に各アーム部40の各一端部40aが各レール部4の各終端部4dに当接した状態となり、この状態から各筐体1,2に対して上記各方向の力をさらに加えると、該各アーム部40が、回転スライド接続部材41及び回転接続部材42を回転軸として、上記各筐体1,2を閉状態とする付勢力に逆らって回動し始め、図8に示したように各アーム部40により、第1の筐体1が持ち上げられた状態となる。
【0110】
そして、各アーム部40により第1の筐体1が持ち上げられた状態から各筐体1,2に対して上記各方向の力をさらに加えると、各アーム部40が各筐体1,2の開方向側に倒れる。各アーム部40が各筐体1,2の開方向側に倒れると、それまで上記各筐体1,2を閉状態とする付勢力として各アーム部40に伝達されていた第2のバネ部材15の付勢力が、上記各筐体1,2を開状態とする付勢力として、スライド補助部材43及び連結プレート13を介して各アーム部40に伝達されるようになる。
【0111】
すなわち、スライド補助部材43及び連結プレート13を介して各アーム部40に伝達されている第2のバネ部材15の付勢力は、各アーム部40の回動位置が各筐体1,2の閉状態時及び上記中間起立状態時に対応する回動位置である場合には、該各筐体1,2を閉状態とする方向の付勢力となっているが、各筐体1,2の状態が上記中間起立状態から開状態に遷移するに従って、該各アーム部40の回動位置が上記中間起立状態に対応する回動位置から上記開状態に対応する回動位置に遷移すると、この各アーム部40の回動位置の変化により、各アーム部40に伝達される第2のバネ部材15からの付勢力が、各筐体1,2を閉状態とする付勢力から、該各筐体1,2を開状態とする付勢力に変化する。
【0112】
そして、各アーム部40に伝達される第2のバネ部材15からの付勢力が、各筐体1,2を閉状態とする付勢力から、該各筐体1,2を開状態とする付勢力に変化すると、各アーム部40が第2のバネ部材15からの付勢力により、各筐体1,2を開状態とする方向に自動的に回動し、この各アーム部9の回動により、レール形成プレート5等を介して第1の筐体1が自動的に開方向へ移動し、当該携帯電話機は、図2に示すように第1の筐体1に設けられている表示部と、第2の筐体2に設けられているキーボードとが同一平面上に位置する開状態に遷移する。
【0113】
当該携帯電話機は、各筐体1,2を開状態とした際に、第1の筐体1に設けられている表示部と、第2の筐体2に設けられているキーボードとを同一平面上に位置させることができるため、各筐体1,2が重なり合う部分を無くすことができ、第2の筐体2の露出面全体を、キーボードの設置領域として用いることを可能とすることができる。
【0114】
そして、第2の筐体2の露出面全体を、キーボードの設置領域として用いることができるため、該キーボードの入力操作面を大きくすることができ、キーボード上のキー間隔を広げて、入力操作を容易化することができる。
【0115】
また、キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、キーボード上に従前よりも物理的に大きなキーを設けることができ、入力操作を容易化することができる。
【0116】
或いは、キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、キーボード上に従前よりも多数のキーを設けることができる。
【0117】
ここで、各筐体1,2の閉状態時及び上記中間起立状態時における各アーム部40の回動位置では、各アーム部40のカム面部56の第1の凹部56aに、カム部材55の嵌込突出部57が嵌込した状態となっている。また、上述のように回転接続部材42は、シャフト部材54に対してカム部材55が固定されており、アーム部40のみが回動するようになっている。
【0118】
このため、各筐体1,2の閉状態時及び上記中間起立状態時から開状態に遷移する際に、各アーム部40が回動すると、カム部材55の嵌込突出部57がバネ部材58の付勢方向に逆らった方向に移動することで、該嵌込突出部57がカム面部56の凸部56bに乗り上げた状態となり、該嵌込突出部57とカム面部56の第1の凹部56aとの嵌込が解除される。そして、各筐体1,2が開状態に遷移することで、各アーム部40がさらに回動すると、カム部材55の嵌込突出部57が、カム面部56の第2の凹部56cに嵌込する。この嵌込の際、嵌込突出部57はバネ部材58の付勢力により、ある程度の勢いで第2の凹部56cに嵌込する。
【0119】
これにより、嵌込突出部57とカム面部56の第2の凹部56cとの嵌込時に、「カチッ」というクリック音を発生させることができ、ユーザに対して当該携帯電話機が開状態となったことを認識させることができる。
【0120】
また、嵌込突出部57とカム面部56の第2の凹部56cとは、バネ部材58の付勢力により嵌込するようになっている。このため、当該携帯電話機が開状態となったことを認識させるクリック感をユーザに対して与えることができる。
【0121】
また、カム面部56の第2の凹部56cに嵌込した嵌込突出部57に対しては、バネ部材58の付勢力が付与され続けるため、カム面部56の第2の凹部56cと嵌込突出部57との嵌込状態は、上記バネ部材58の付勢力に対応した、ある程度強固な嵌込状態となる。このため、各筐体1,2の上記開状態を安定して維持可能とすることができる。
【0122】
〔各筐体を開状態から閉状態にする際のスライド動作〕
次に、各筐体1,2を、図2に示す開状態から図1に示す閉状態にする際のスライド動作を説明する。
【0123】
この場合、図2に示す開状態時において、第1の筐体1に対して該第1の筐体1を持ち上げる方向の力を加えると共に、該第1の筐体1に対して、図1に示す閉方向の力を加える。この第1の筐体1を持ち上げる方向の力、及び上記閉方向の力が加えられると、各アーム部40が、回転スライド接続部材41及び回転接続部材42を回転軸として回動し始め、図8に示すように各アーム部40により、第1の筐体1が持ち上げられた状態となる。
【0124】
次に、上述のように各筐体1,2の開状態時に対応する各アーム部40の回動位置では、第2のバネ部材15の付勢力は、各筐体1,2を開状態とする付勢力として、スライド補助部材43及び連結プレート13を介して各アーム部40に伝達されているのであるが、図8に示したように各アーム部40により第1の筐体1が持ち上げられた状態において、上記第1の筐体1に対して上記閉方向の力を加え、上記第2の筐体2に対して上記開方向の力を加えると、各アーム部40が各筐体1,2の閉方向側に倒れる。
【0125】
各アーム部40が各筐体1,2の閉方向側に倒れた直後における各筐体1,2の状態は、該各筐体1,2の端部近傍同士が少ない面積で重なり合っている状態である。このため、この状態で上記各方向の力を各筐体1,2に加えるのを止めると、上述のように各筐体1,2の上記少ない面積で重なり合っている部分に対してのみ、上記第3のバネ部材52の一端部52aの付勢力が掛かることとなるため、当該携帯電話機は、第2の筐体2に対して第1の筐体1が斜めに起立した中間起立状態に遷移する。
【0126】
次に、当該携帯電話機が、この中間起立状態となることで、各アーム部40が各筐体1,2の閉方向側に倒れた回動位置となると、それまで上記各筐体1,2を開状態とする付勢力として各アーム部40に伝達されていた第2のバネ部材15の付勢力が、上記各筐体1,2を閉状態とする付勢力として、スライド補助部材12及び連結プレート13を介して各アーム部40に伝達されるようになる。
【0127】
このため、第2の筐体2に対して第1の筐体1が斜めに起立した中間起立状態において、各筐体1,2に対して該各筐体1,2を平行とする力を加えると共に、第1の筐体1に対して短手方向で、かつ、図1に示す閉方向の力を、第2の筐体2に対して短手方向で、かつ、図1に示す開方向の力を加えると、上記各筐体1,2を閉状態とする付勢力に変化している上記第2のバネ部材15の付勢力により、レール形成プレート5の各レール部4を介して第1の筐体1が自動的に閉方向へ移動し、当該携帯電話機は、図1に示すように各筐体1,2同士が略々全面的に重なり合う閉状態に遷移する。
【0128】
ここで、各筐体1,2の開状態時における各アーム部40の回動位置では、各アーム部40のカム面部56の第2の凹部56cに、カム部材55の嵌込突出部57が嵌込した状態となっている。また、上述のように回転接続部材42は、シャフト部材54に対してカム部材55が固定されており、アーム部40のみが回動するようになっている。
【0129】
このため、各筐体1,2が開状態時から上記中間起立状態時に遷移する際に、各アーム部40が回動すると、カム部材55の嵌込突出部57がバネ部材58の付勢方向に逆らった方向に移動することで、該嵌込突出部57がカム面部56の凸部56bに乗り上げた状態となり、該嵌込突出部57とカム面部56の第2の凹部56cとの嵌込が解除される。そして、各筐体1,2が中間起立状態に遷移することで各アーム部40がさらに回動すると、カム部材55の嵌込突出部57が、カム面部56の第1の凹部56aに嵌込する。この嵌込の際、嵌込突出部57はバネ部材58の付勢力により、ある程度の勢いで第1の凹部56aに嵌込する。
【0130】
これにより、嵌込突出部57とカム面部56の第1の凹部56aとの嵌込時に、「カチッ」というクリック音を発生させることができ、ユーザに対して当該携帯電話機が中間起立状態となったことを認識させることができる。
【0131】
また、嵌込突出部57とカム面部56の第1の凹部56aとは、バネ部材58の付勢力により嵌込するようになっている。このため、当該携帯電話機が中間起立状態となったことを認識させるクリック感をユーザに対して与えることができる。
【0132】
また、カム面部56の第1の凹部56aに嵌込した嵌込突出部57に対しては、バネ部材58の付勢力が付与され続けるため、カム面部56の第1の凹部56aと嵌込突出部57との嵌込状態は、上記バネ部材58の付勢力に対応した、ある程度強固な嵌込状態となる。このため、各筐体1,2の上記中間起立状態(及び閉状態)を安定して維持可能とすることができる。
【0133】
[第2の実施例の効果]
以上の説明から明らかなように、この第2の実施例の携帯電話機は、各筐体1,2が略々全体的に重なり合う閉状態、及び第1の筐体1に設けられている表示部と、第2の筐体2に設けられているキーボードとが同一平面上に位置する開状態の他、第2の筐体2に対して第1の筐体1が斜めに起立した状態となる中間起立状態に各筐体1,2の状態を遷移させることができる。
【0134】
このため、この第2の実施例の携帯電話機は、上述の第1の実施例の携帯電話機と同じ効果を得ることができるうえ、各筐体1,2を上記中間起立状態とした場合には、第2の筐体2側に設けられたキーボードを操作しながら、第1の筐体1側に設けられた表示部を視認し易くすることができる。また、当該携帯電話機を机等に載置した状態で、第1の筐体1の表示部に表示されるテレビジョン放送やビデオコンテンツ等を視聴し易くすることができる。
【0135】
[変形例]
上述の各実施例の説明では、本発明を携帯電話機に適用することとしたが、本発明を、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、デジタルカメラ装置等の他の携帯機器に適用してもよい。いずれの場合も上述と同様の効果を得ることができる。
【0136】
最後に、上述の各実施例は、本発明の一例である。このため、本発明は上述の各実施例に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0137】
1 第1の筐体、1a 第1の筐体における第2の筐体との摺接面、1b 第1の筐体の開放面、1c 第1の筐体の短手側の一方の辺部、1d 第1の筐体の短手側の他方の辺部、2 第2の筐体、2a 第2の筐体の露出面、3 スライド保持機構、4 レール形成プレートのレール部、4a レール部の外壁面部、4b レール部の内壁面部、4c レール部の上壁部、4d レール部の終端部、5 レール形成プレート、6 アーム部をスライド移動可能に挟持するレール部の溝部、7 レール部の外壁面部の長手方向に沿って設けられたスライド孔部、8 レール部の内壁面部の長手方向に沿って設けられたスライド孔部、9 アーム部、9a アーム部の一端部、9b アーム部の他端部、10 回転スライド接続部材、11 回転接続部材、11a 第1のバネ部材の抜け落ち防止用のワッシャ、12 スライド補助部材、13 連結プレート、13a 連結プレートの短手側の端部、13b 連結プレートの短手側の端部、14 第1のバネ部材、14a アーム部の突出部に引っ掛けられた第1のバネ部材の一端部、15 第2のバネ部材、16 アーム部の第1の接続用孔部、17 アーム部の第2の接続用孔部、18 スライド補助部材の補助部本体、18a スライド補助部材の補助部本体の一端部、18b スライド補助部材の補助部本体の他端、19 アーム部の一端部に設けられた切り欠き部、20 アーム部の切り欠き部を被覆するように設けられるスライドカバー、21 スライド補助部材のスライド移動をガイドするガイド軸部、22 ガイド軸部の抜け落ち防止用のワッシャ、23 スライド補助部材の抜け落ち防止用のワッシャ、24 回転回転接続部材の抜け落ち防止用のワッシャ、25a アーム接続用孔部、25b スライド補助部材接続用孔部、26 連結プレートのバネ止め用の孔部、27 係止ピン、30 回転接続部材のシャフト部材、30a シャフト部材の一端部、30b シャフト部材の他端部、40 第2の実施例の携帯電話機に設けられているアーム部、40a アーム部の一端部、40b アーム部の他端部、41 第2の実施例の携帯電話機に設けられている回転スライド接続部材、42 第2の実施例の携帯電話機に設けられている回転接続部材、43 第2の実施例の携帯電話機に設けられているスライド補助部材、44 第2の実施例の携帯電話機に設けられているアーム部の第1の接続用孔部、45 アーム部の第2の接続用孔部、46 アーム部の切り欠き部、47 スライド補助部材の補助部本体、47a スライド補助部材の補助部本体に設けられている一方の孔部、47b スライド補助部材の補助部本体に設けられている他方の孔部、48 スライド補助部材のガイド軸部、49 抜け落ち防止用のワッシャ、50 回転スライド接続部材のシャフト部材、51 抜け落ち防止用のワッシャ、52 回転スライド接続部材に設けられる第3のバネ部材、52a 第3のバネ部材の一端部、52b 第3のバネ部材の他端部、53 抜け落ち防止用のワッシャ、54 回転接続部材のシャフト部材、55 回転接続部材のカム部材、56 アーム部のカム面部、56a アーム部のカム面部に設けられている第1の凹部、56b アーム部のカム面部に設けられている凸部、56c アーム部のカム面部に設けられている第2の凹部、57 カム部材の嵌込突出部、58 カム部材をアーム部のカム面部側に付勢するバネ部材、60 カム部材のシャフト挿入用孔部、61 カム部材のカム面部、62 抜け落ち防止用のワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放面側に表示部が設けられた第1の筐体と、
開状態時に露出する露出面側にキーボードが設けられた第2の筐体と、
上記各筐体をスライド移動可能に保持するスライド保持機構とを有し、
上記スライド保持機構は、
上記第1の筐体側に設けられ、上記各筐体のスライド方向に沿った一対のレール部を形成するレール形成部材と、
一対のアーム部材と、
上記スライド方向に対して直交する方向の回転軸を有し、上記各アーム部材の一端部をそれぞれ上記各レール部に対してスライド移動可能及び回動可能に接続すると共に、一方の回転軸の延長線と他方の回転軸の延長線とが、上記スライド方向に所定分、離間するように設けられる一対の回転スライド接続部材と、
上記スライド方向に対して直交する方向の回転軸を有し、上記各アーム部材の他端部をそれぞれ上記第2の筐体に対して回動可能に接続するように設けられると共に、一方の回転軸の延長線と他方の回転軸の延長線とが、上記スライド方向に上記所定分、離間するように設けられる一対の回転接続部材とを備え、
上記スライド保持機構は、上記各筐体が略々全面的に重なり合う閉状態と、上記第1の筐体に設けられた表示部、及び上記第2の筐体に設けられたキーボードが略同一平面上に位置する開状態との間において、上記各筐体をスライド移動可能に保持する
携帯端末装置。
【請求項2】
上記各回転接続部材にそれぞれ設けられ、上記各アーム部材をそれぞれ上記閉方向に付勢する一対の第1の付勢部材を有する
請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
上記各回転スライド接続部材同士を、それぞれ上記スライド移動可能及び回動可能な状態のまま連結する連結プレートと、
各一端部が上記連結プレートにそれぞれ接続され、各他端部がそれぞれ上記第1の筐体に接続されて設けられ、上記各アーム部材の回動位置が、上記各筐体の閉状態に対応する回動位置である場合は、上記各筐体を閉状態とする方向の付勢力を、上記連結プレートを介して上記各アーム部材に伝達し、上記各アーム部材の回動位置が、上記各筐体の開状態に対応する回動位置である場合は、上記各筐体を開状態とする方向の付勢力を、上記連結プレートを介して上記各アーム部材に伝達する第2の付勢部材と
を有する請求項1又は請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
上記スライド保持機構の上記各回転スライド接続部材は、上記各レール部に沿った当該各回転スライド接続部材のスライド移動方向に対して略直交する方向であって、上記閉状態時に重なり合っている上記各筐体間の距離を狭める方向に、上記レール形成部材を介して上記第1の筐体を付勢する第3の付勢部材を有し、
上記スライド保持機構は、上記各筐体を上記開状態とする際に、上記各回転スライド接続部材が上記レール形成部材の上記各レール部に沿ってスライド移動することで、上記各筐体同士の接触面積が所定の接触面積以下となった際に、上記各筐体間の距離を狭める方向の上記第3の付勢部材の付勢力により上記各回転スライド接続部材が回動し、上記第1の筐体を上記第2の筐体に対して斜めに起立させる中間起立状態を形成する
請求項1又は請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
上記各アーム部は、上記各回転接続部材との接続箇所に所定の凹凸を備えたカム面部を有し、
上記各回転接続部材は、
上記各アーム部を周方向に沿って回動可能に保持する略円柱状のシャフト部材と、
上記シャフト部材に対して、該シャフト部材の周方向に沿って回動しないように固定して設けられ、上記各アーム部の各カム面部の凹凸にそれぞれ嵌込する凹凸を備えたカム部材と、
上記シャフト部材の長手方向に沿って設けられ、上記カム部材を上記各アーム部の各カム面部にそれぞれ付勢する付勢部材とを有する
請求項4に記載の携帯端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−263583(P2010−263583A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114951(P2009−114951)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】