説明

携帯端末

【課題】カバーの内面と接点シートとの間、特に接点シートの接点位置部分に空気溜まりが出来ないようにするものである。
【解決手段】本体部と、この本体部に回動自在に保持されたカバー体と、表面に多数の登録キーを有し、この登録キーに1対1で対応する可動接点と固定接点とからなる接点が多数配設された接点シートと、 この接点シートを前記カバー体の内面に接着させるとともに、接点シートの接着側の各接点位置部分を連通させるエアベント溝を有する接着シートとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品登録用の携帯端末として、出来るだけ多くの商品を登録キーに割り当てられるように見開き構造の筐体となっており、筐体の見開いたカバーの内面にも登録用のキーボードを設けていた。このキーボードは接点シートで構成され、両面テープなどの接着シートを使って見開きカバーの内面に貼り付けられたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−107863公報
【特許文献2】特開2009−111664公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような携帯端末において、接点シートの接着構造は、接点シートの接着面全体に両面テープなどの接着シートを貼り付けていた。そのため接点シートを貼り付ける際、カバーの内面と接点シートとの間、特に接点シートの接点位置部分に空気が入り込むと空気溜まりが出来て接点間の距離が変化してしまい、キーON荷重にバラツキが生じてキー入力の操作性を著しく低下させてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、カバーの内面と接点シートとの間、特に接点シートの接点位置部分に空気溜まりが出来ないようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態における携帯端末は、本体部と、この本体部に回動自在に保持されたカバー体と、表面に多数の登録キーを有し、この登録キーに1対1で対応する可動接点と固定接点とからなる接点が多数配設された接点シートと、 この接点シートを前記カバー体の内面に接着させるとともに、接点シートの接着側の各接点位置部分を連通させるエアベント溝を有する接着シートとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態の携帯端末の斜視図。
【図2】携帯端末の接点シート、接着シート、およびカバー体の分解斜視図。
【図3】接点シートと接着シートを接着シート側から見た平面図。
【図4】固定接点シートとスペーサシートをスペーサシート側から見た平面図。
【図5】接点シートと接着シートの接点収納空間位置における部分断面図。
【図6】接点シートの接点収納空間の連通路と接着シートのエアベント溝が固定接点シートの連通孔を介して連通している部分の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の携帯端末を図面を参照して説明する。図1は、実施形態の携帯端末の斜視図、図2は、携帯端末の接点シート、接着シート、およびカバー体の分解斜視図、図3は、接点シートと接着シートを接着シート側から見た平面図、図4は、固定接点シートとスペーサシートをスペーサシート側から見た平面図、図5は、接点シートと接着シートの接点収納空間位置における部分断面図、図6は、接点シートの接点収納空間の連通路と接着シートのエアベント溝が固定接点シートの連通孔を介して連通している部分の部分断面図である。本実施の形態は、携帯端末として、スーパー、百貨店、飲食店などで使用される折り畳み式のハンディターミナルへの適用例である。
【0009】
図1に示すように、携帯端末であるハンディターミナル1は、本体部2と、この本体部2にヒンジ部4により回動自在に保持されたカバー体3とから構成されている。
【0010】
図2及び図5に示すように、カバー体3の内面3aには、商品登録用のキーボードとしての接点シート5が両面接着テープなどの接着シート6を介して接着されている。この接点シート5は、複数の固定接点8aがマトリクス状に配設された固定接点シート8と、複数の固定接点8aに1対1で対応する複数の可動接点7aがマトリクス状に配設された可動接点シート7と、固定接点シート8と可動接点シート7との間に介在して、1対1で対応する可動接点7aと固定接点8aとで構成される接点10を収納する接点収納空間11がマトリクス状に形成されたスペーサシート9とから構成されている。これら固定接点シート8と、スペーサシート9と、可動接点シート7とは接着剤により互いに接着され、積層した状態に組み立てられている。そして、可動接点シート7の表面には、可動接点7aに1対1で対応する登録キーとしての押圧部15がマトリクス状に配設されている。
【0011】
そして、図4に示すように、スペーサシート9には、隣り合う接点収納空間11、11同士を連通させる連通路12がそれぞれ形成され、全ての接点収納空間11はこの連通路12を介して各空間が1本に繋がるように構成されている。なお、固定シート8には、後述する接着シート6のエアベント溝14とスペーサシート9の全ての接点収納空間11および連通路12とを連通させる連通孔13が複数形成されている。
【0012】
次に、図2ないし図3に示すように、接着シート6には、接点シート5への貼り付け時、この接点シート5の接着側の各接点位置部分16を連通させるエアベント溝14が形成されている。即ち、このエアベント溝14は、接点シート5の接着側の各接点位置部分16の全てに跨る5本の溝と、これら5本の溝を端部で連通させる1本の溝とから構成されている。なお、本実施形態では、各接点位置部分16を跨るエアベント溝14は1本の溝で形成したが、実施に際して、エアベント溝14の溝幅や溝の本数は必要に応じて適宜選択できるものである。
【0013】
そして、図6に示すように、接着シート6のエアベント溝14とスペーサシート9の連通路12とは固定接点シート8の連通孔13を介して互いに連通する構成となっている。なお、本実施形態では、この連通孔13を3個形成して3箇所で連通する構成としたが、この連通孔13は必要に応じていくらでも設定できるものである。
【0014】
次に、本実施形態の携帯端末1における接点シート5のカバー体3への接着作業について説明する。先ず、接点シート5の接着側に接着シート6を貼り付け、その後、この接点シート5の接着シート6側をカバー体3の内面3aに貼り付けて接着作業は終了する。この貼り付け作業において、接点シート5とカバー体3の内面3aとの間に若干の空気が封入された状態で貼り付けられても、接点シート5の各接点位置部分16にはエアベント溝14が必ず存在するので、例えこの接点位置部分16に若干の空気が封入されてもその空気はエアベント溝14を介して分散される。よって、この各接点位置部分16には空気溜まりは発生しないものである。
【0015】
以上、説明したように、本実施形態の携帯端末によれば、接点シート5の接着面を構成する接着シート6に、接点シート5の接着側の各接点位置部分16を連通させるエアベント溝14を形成したので、各接点位置部分16における空気溜まりの発生を防止でき、各接点10におけるキーON荷重を安定させることができる。
【0016】
さらに、接点シート5の各接点収納空間11は連通路12を介してそれぞれ連通させたので、全ての接点収納空間11の空気圧は同一で、各接点におけるキーON荷重を一定にできる。
【0017】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0018】
1 ハンディターミナル(携帯端末)
2 本体部
3 カバー体
5 接点シート
6 接着シート
7 可動接点シート
8 固定接点シート
9 スペーサシート
10 接点
11 接点収納空間
12 連通路
13 連通孔
14 エアベント溝
15 押圧部(登録キー)
16 接点位置部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と
この本体部に回動自在に保持されたカバー体と、
表面に多数の登録キーを有し、この登録キーに1対1で対応する可動接点と固定接点とからなる接点が多数配設された接点シートと、
この接点シートを前記カバー体の内面に接着させるとともに、接点シートの接着側の各接点位置部分を連通させるエアベント溝を有する接着シートと、
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記接点シートは、表面に登録キーおよび裏面に可動接点を有する可動接点シートと、前記可動接点シートに対向して配置され、前記可動接点に対応する固定接点を有する固定接点シートと、この可動接点シートと固定接点シートとの間に介在し、可動接点と固定接点とからなる接点を収納する接点収納空間を形成するスペーサシートとから構成されたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記接点シートの全ての接点収納空間は連通路を介して連通していることを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記接点シートの全ての接点収納空間および連通路と前記接着シートのエアベント溝とは前記固定接点シートに形成された連結孔を介して連通していることを特徴とする請求項3記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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