説明

携帯端末

【課題】筐体分離が落下等により生じたものであると判定した場合には、筐体分離時に行われる端末の動作を制御して不要な処理が発生することを防止する。
【解決手段】分離可能な複数の筐体からなる携帯端末であって、前記筐体の分離を検出する筐体分離検出手段と、前記筐体にかかる加速度を検出する加速度検出手段と、前記加速度検出手段で検出した加速度を記憶する加速度記憶手段と、前記筐体分離検出手段において筐体の分離を検出した後、前記加速度記憶手段に記憶された筐体の分離を検出する前の加速度に基づいて、前記携帯端末の動作を制御する端末動作制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分離可能な筐体を有する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末の多様化、高機能化が進み、日常生活においてもそれらを活用するシーンが飛躍的に増加している。それらの端末形状については、ストレート式、折りたたみ式、スライド式などがあり、それらの1つとして、端末の筐体が分離できる形状を有するものも登場してきており、表示部と入力部の分離を可能とすることで、ユーザに新しい使用形態を提供している。
【0003】
特許文献1には、ユーザが使用中に、表示部と入力部それぞれの筺体を分離あるいは結合した場合に、筺体間の通信を無線もしくは有線により行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−184501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、表示部と入力部が分離することで筐体間で無線通信を行う状態となるため、筐体の落下等でユーザの意図に反して分離してしまったような場合においても筐体間で通信する状態となってしまい、不要な処理が発生してしまう恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、筐体分離が落下等により生じたものであると判定した場合には、筐体間通信などの筐体分離時に行われる動作を制御して不要な処理が発生することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯端末は、分離可能な複数の筐体からなる携帯端末であって、前記筐体の分離を検出する筐体分離検出手段と、前記筐体にかかる加速度を検出する加速度検出手段と、前記加速度検出手段で検出した加速度を記憶する加速度記憶手段と、前記筐体分離検出手段において筐体の分離を検出した後、前記加速度記憶手段に記憶された筐体の分離を検出する前の加速度に基づいて、前記携帯端末の動作を制御する端末動作制御手段と、を備える構成となっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の携帯端末によれば、筐体分離が落下等により生じたものと判定した場合に、筐体分離時に行われる動作を制御することで、ユーザが意図せず筐体が分離してしまった場合でも、不要な処理が発生することを防止することが可能となり、消費電力を削減することができる。また、筐体分離時の動作を、落下検出時においては制限することにより、セキュリティ面での安全性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態における携帯端末の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態における携帯端末の動作を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における携帯端末の構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、携帯端末30は、第1筐体1と第2筐体2とから構成され、第1筐体1と第2筐体2は分離可能である。例えば、折り畳み式携帯電話の場合では、第1筐体1は入力キーデバイスを含む筐体に対応し、第2筐体2は表示ディスプレイを含む筐体に対応している。
【0013】
第1筐体1は、筐体分離検出部11、筐体接合部12、加速度検出部13、加速度記憶部14、制御部15、通信部16から構成される。第2筐体2は、筐体分離検出部21、筐体接合部22、制御部25、通信部26から構成される。
【0014】
筐体分離検出部11は、第1筐体1と第2筐体2との分離状態を、第1筐体1の筐体接合部12の接合状態により常時検出し、検出された分離状態を継続して制御部15に出力する。
【0015】
加速度検出部13は、第1筐体1にかかる加速度を常時検出し、加速度の検出結果を加速度記憶部14に継続して出力する。
【0016】
加速度記憶部14は、加速度検出部13から出力された加速度の検出結果を、設定された時間分記憶しておく。
【0017】
通信部16は、第1筐体1と第2筐体2との間で信号の送受信を行うための無線通信を行う。
【0018】
制御部15は、筐体分離検出部11から継続して出力されている分離状態を示す信号から、第1筐体1と第2筐体2が分離していない状態から分離している状態に変化したと判断した場合には、加速度記憶部14から分離状態の変化直前の加速度を読み出す。そして、読み出した加速度が設定した閾値以上であれば、筐体分離が落下により生じたものと判断し、通信部16に対して第1筐体1と第2筐体2との間の通信を制御する信号を出力する。例えば、通常の筐体分離時に行う第1筐体1と第2筐体2との間の無線通信の停止を指示する制御信号を出力する。また、筐体分離が落下により生じたものと判断した場合には、通信部16から第2筐体2の通信部26に対して、第2筐体2の動作を制限するための信号を送信するようにしてもよい。
【0019】
筐体分離検出部21は、第1筐体1と第2筐体2との分離状態を、第2筐体2の筐体接合部22の接合状態により検出し、検出された分離状態を制御部25に通知する。
【0020】
通信部26は、第2筐体2と第1筐体との間で信号の送受信を行うための無線通信を行う。
【0021】
制御部25は、筐体分離検出部21から継続して出力されている分離状態を示す信号から、第1筐体1と第2筐体2が分離していない状態から、分離している状態に変化したと判断した場合には、通信部26の無線通信機能を送受信可能な状態に遷移させる。
【0022】
以上のような構成により、筐体の落下などでユーザが意図せず筐体が分離してしまった場合において、不要な処理が発生することを防止したり、筐体分離時において通常行われる動作を落下検出時には制限したりすることが可能となる。
【0023】
なお、制限する動作としては、電話帳表示や送受信メール表示などの個人情報の閲覧に関わる操作や、発信/着信操作、キー入力操作などがある。また、落下により分離したことを検出した場合には、ディスプレイをオフにすることで不要な電力を消費しないようにしてもよい。
【0024】
また、筐体間の分離を検出した際に、自動的に行われる動作や、ユーザ操作が可能である動作について、落下による分離の際にその動作を制限するか否かを選択的に設定しておくことも可能である。
【0025】
図2は、本実施の形態における携帯端末の動作を説明するフローチャートである。
【0026】
図2に示す処理では、第1筐体1は、第2筐体2の分離を検出した際に、加速度記憶部14に記憶している加速度、および予め設定しておいた落下による筐体分離時の動作制限情報を元にして、第1筐体1、第2筐体2の動作を制限する。
【0027】
まず、筐体分離検出部11は、筐体接合部12から第2筐体2が分離されたか否かを検出し(S201)、筐体分離が検出された場合には制御部15に通知する。S201において筐体分離が検出されない場合は処理を終了する。
【0028】
S201において筐体分離が検出された場合、制御部15は、加速度記憶部14から筐体分離直前の加速度を読み出し(S202)、読み出した加速度が設定した閾値以上であるか否かを判定する(S203)。S203において加速度が閾値よりも大きい場合には、筐体分離が落下により生じたものと判断してS204の処理に進む。一方、S203において加速度が閾値よりも小さい場合には、筐体分離が落下によるものではなく通常に行われたと判断して処理を終了する。
【0029】
次に、S204では、予め設定しておいた落下による筐体分離時の動作制限情報に基づいて、第1筐体および第2筐体の動作制限を実行する。設定される動作制限情報としては、筐体間の通信制限、電話帳やメール内容の閲覧制限、キー操作制限などの情報がある。
【0030】
最後に、加速度記憶部14に記憶されている筐体分離前の加速度を初期化して(S205)、処理を終了する。
【0031】
以上のように、本実施の形態によれば、筐体の落下などでユーザが意図せず筐体が分離してしまった場合には、通常の筐体分離時に行われる動作を制限することが可能となるため、端末の消費電力の削減や、セキュリティの確保を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の携帯端末は、筐体が分離可能な構成を有する携帯電話などの通信端末やタブレット型コンピュータなどの情報端末に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 第1筐体
2 第2筐体
11、21 筐体分離検出部
12、22 筐体接合部
13 加速度検出部
14 加速度記憶部
15、25 制御部
16、26 通信部
30 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離可能な複数の筐体からなる携帯端末であって、
前記筐体の分離を検出する筐体分離検出手段と、
前記筐体にかかる加速度を検出する加速度検出手段と、
前記加速度検出手段で検出した加速度を記憶する加速度記憶手段と、
前記筐体分離検出手段において筐体の分離を検出した後、前記加速度記憶手段に記憶された筐体の分離を検出する前の加速度に基づいて、前記携帯端末の動作を制御する端末動作制御手段と、
を備えた携帯端末。
【請求項2】
前記端末動作制御手段は、前記筐体分離検出手段において筐体の分離を検出した後、前記加速度記憶手段に記憶された筐体の分離を検出する前の加速度が閾値よりも大きい場合には、前記携帯端末の動作を制限する請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記端末動作制御手段は、前記筐体分離検出手段において筐体の分離を検出した後、前記加速度記憶手段に記憶された筐体の分離を検出する前の加速度が閾値よりも大きい場合には、通常の筐体分離時に行われる前記携帯端末の動作を制限する請求項1記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−21582(P2013−21582A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154532(P2011−154532)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】