説明

携帯通信端末、該携帯通信端末で用いられるアイコン表示方法及びアイコン表示制御プログラム

【課題】電波アイコンに頼らずに、次回通信発生時に使用する通信ベアラを容易に認識することができるようにする。
【解決手段】ユーザがブラウザの起動を要求したら(ステップSP301)、制御部は、ROM内の通信モード設定を参照し、参照の結果、通信モード設定が、固定設定(WLAN固定又は公衆回線固定)であるときは、設定内容に基づいて、通信ベアラアイコン201を決定して、表示部に表示する。一方、参照の結果、通信モード設定が、優先設定(WLAN優先又は公衆回線優先)であるときは、さらに、優先網が圏内であるか圏外であるか、あるいは、非優先網が圏内であるか圏外であるか等の状況に基づいて、優先通信ベアラ又は非優先通信ベアラを選択決定して、通信ベアラアイコン201として、表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯通信端末、該携帯通信端末で用いられるアイコン表示方法及びアイコン表示制御プログラムに係り、詳しくは、次回通信発生時に使用する通信システムをアイコン表示する機能を備える携帯通信端末該携帯通信端末で用いられるアイコン表示方法及びアイコン表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発達した各種の無線通信システムや無線通信サービス(以下、まとめて通信ベアラともいう)に対応して、何れの無線通信システムにも接続可能な携帯通信端末が開発されている。具体的には、公衆回線アンテナモジュールだけでなく、WLANアンテナモジュールといった近距離無線通信を可能とする機能が搭載される機種が増加している。この携帯通信端末では、各種の無線通信システムのうち、手動により、あるいは、自動的に、いずれかの無線通信システムを選択してデータ通信を実行できるようになっている。
【0003】
一般的な使い方としては、WLAN(Wireless Local Area Network、無線LAN)アクセスポイントに接続できるWLAN圏内のときには、公衆回線に比べて高速通信が行えるため、ブラウザを利用する際にはWLAN通信ベアラを使って通信を行い、WLAN圏外のときには公衆回線通信ベアラを利用する。この通信ベアラ選択は、自動的に選択され(特許文献1、特許文献2)、あるいは、ユーザが手動で選択、変更することで、その利用シーンに合わせた幅広い使い方ができるが、ユーザが、これから通信を行うときに、どちらの通信ベアラを利用して通信が行われるのかが判らない状況が存在する。
【0004】
特許文献1及び特許文献2に記載の携帯通信端末では、LCD等のディスプレイ上段付近に、各種通信ベアラについて、電波の受信レベルを示す電波アイコンが表示されるため、利用される通信ベアラをある程度予測することが可能であり、受信レベルの高い通信ベアラを認識することもできる。
【特許文献1】特開2003−309874号公報
【特許文献2】特開2007−259039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、受信レベル重視モード、コスト重視モード、又は通信速度重視モ−ドの選択に基づき、通信ベアラ選択が自動的に行われる特許文献1に記載の構成に代えて、ユーザの恣意により、通信ベアラ選択を、利用通信ベアラの優先度を定める通信ベアラ優先、あるいは、利用通信ベアラを固定する通信ベアラ固定に設定できる携帯通信端末が望まれている。これは、熟知した道では、カーナビよりもドライバの記憶が優るの場合が多いことと類似している。
【0006】
しかしながら、通信ベアラ優先、あるいは、通信ベアラ固定では、ユーザが通信ベアラ選択を通信ベアラ優先に設定しているのか、通信ベアラ固定に設定しているのかを忘れたとき等では、電波アイコンを見ただけでは、どちらのベアラが利用されるか、判らないという不都合がある。とくに、通信用アプリケーションごとに、異なる通信ベアラ優先、あるいは、通信ベアラ固定に設定している場合には、ことさら、判らないので、不愉快である。
【0007】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、電波アイコンに頼らずに、次回通信発生時に使用する通信ベアラを容易に認識することができる携帯通信端末、該携帯通信端末で用いられるアイコン表示方法及びアイコン表示制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、利用可能な複数種類の通信システムのうち、いずれかの通信システムを選択使用してデータ通信を実行する機能を備える携帯通信端末に係り、次回通信発生時に選択される通信システムを、アイコンを用いて画面表示するアイコン表示手段と、通信要求時、前記複数種類の通信システムのうち、ユーザによって予め優先通信システムとして登録された通信システムを優先的に使用する優先通信モードの設定が少なくとも可能な通信モード設定手段と、該通信モード設定手段によって前記優先通信モードが設定されたときであって、前記優先通信システムが所定の条件を満足するときは、当該優先通信システムを選択して、前記アイコン表示手段に、次回通信発生時に使用する前記通信システムとしてアイコン表示させる一方、前記優先通信システムが前記所定の条件を満足しないときは、所定の条件を満足する非優先通信システムを代替的に選択して、前記アイコン表示手段に、次回通信発生時に使用する前記通信システムとして、アイコン表示させる制御部とを備えてなることを特徴としている。
【0009】
また、この発明の第2の構成は、利用可能な複数種類の通信システムのうち、いずれかの通信システムを選択してデータ通信を実行する機能を備える携帯通信端末に係り、次回通信発生時に選択される通信システムを、アイコンを用いて画面表示するアイコン表示手段と、通信要求時、前記複数種類の通信システムのうち、ユーザによって予め優先通信システムとして登録された通信システムを優先的に使用する優先通信モードの設定が少なくとも可能な通信モード設定手段と、該通信モード設定手段によって前記優先通信モードが設定されたときであって、前記優先通信システムが圏内にあるとき、又は、圏外から圏内に移行したときは、当該優先通信システムを選択して、前記アイコン表示手段に、次回通信発生時に使用する前記通信システムとしてアイコン表示させる一方、前記優先通信システムが圏外にあるとき、又は、圏内から圏外に移行したときは、圏内にある非優先通信システムを代替的に選択して、前記アイコン表示手段に、次回通信発生時に使用する前記通信システムとして、アイコン表示させる制御部とを備えてなることを特徴としている。
【0010】
また、この発明の第3の構成は、利用可能な複数種類の通信システムのうち、いずれかの通信システムを選択してデータ通信を実行する機能を備える携帯通信端末の表示部に、次回通信発生時に使用すべき前記通信システムをアイコン表示する方法に係り、通信要求時、前記複数種類の通信システムのうち、予め優先通信システムとして登録された通信システムを優先的に使用する優先通信モードを設定し、この後、前記優先通信システムが所定の条件を満足するときは、当該優先通信システムを選択して、次回通信発生時に使用する前記通信システムとしてアイコン表示させる一方、前記優先通信システムが前記所定の条件を満足しないときは、圏内にある非優先通信システムを代替的に選択して、次回通信発生時に使用する前記通信システムとして、アイコン表示させることを特徴としている。
【0011】
また、この発明の第4の構成は、利用可能な複数種類の通信システムのうち、いずれかの通信システムを選択してデータ通信を実行する機能を備える携帯通信端末の表示部に、次回通信発生時に使用すべき前記通信システムをアイコン表示する方法に係り、通信要求時、前記複数種類の通信システムのうち、予め優先通信システムとして登録された通信システムを優先的に使用する優先通信モードを設定し、この後、前記優先通信システムが圏内にあるときは、当該優先通信システムを選択して、次回通信発生時に使用する前記通信システムとしてアイコン表示させる一方、前記優先通信システムが圏外にあるときは、圏内にある非優先通信システムを代替的に選択して、次回通信発生時に使用する前記通信システムとして、アイコン表示させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
この発明の構成によれば、ブラウザ起動時に、ベアラ通信アイコンをユーザが確認できるので、ホームURLやブックマークからネットワークへ接続するときに、どのベアラを使用するのかを認識できる。
加えて、ブラウザで通信中に、優先通信ベアラが圏外のため非優先通信ベアラ使用中に、優先通信ベアラが圏内になったときに、ベアラ通信アイコンが自動的に切り替わるのをユーザが確認できるので、比較的通信速度の遅い公衆回線網を利用して大きなファイルをダウンロードしているときに、比較的高速通信を行うことができるWLAN網が圏外から圏内へ変化したときには、ユーザが現在の通信をキャンセルして、再度ダウンロードを開始したときにWLAN網を利用して高速にダウンロードすることができる。
さらにまた、ベアラ通信アイコンをユーザが見ることにより、ユーザが意図しないベアラを利用することで、通信費が発生してしまうのを防ぐこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳細に説明する。
【実施形態1】
【0014】
この発明を第1の実施形態である携帯通信端末1としては、図1、図2、図3及び図9に示すように、次回通信発生時に選択される通信システムを、アイコンを用いて画面表示するアイコン表示手段107、111と、通信要求時、複数種類の通信システムのうち、ユーザによって予め優先通信システムとして登録された通信システムを優先的に使用する優先通信モードの設定が少なくとも可能な通信モード設定手段105、111と、該通信モード設定手段105、111によって優先通信モードが設定されたときであって、優先通信システムが所定の条件を満足するときは(条件具備のとき)、当該優先通信システムを選択して、アイコン表示手段107、111に、次回通信発生時に使用する通信システムとしてアイコン201表示させる一方、優先通信システムが上記所定の条件を満足しないときは(条件不具備のとき)、所定の条件を満足する非優先通信システムを代替的に選択して、アイコン表示手段107、111に、次回通信発生時に使用する通信システムとして、アイコン201表示させる制御部111とを備えるようにする。
【0015】
この優先通信モードでは、例えば、図9に示すように、優先通信システムが条件不具備でも非優先通信システムが条件具備のときは(同図のa欄)、非優先通信システムがアイコン表示される。これ以外の状況下、すなわち、優先通信システムが条件具備で非優先通信システムも条件具備のとき(同図のd欄)、優先通信システムが条件不具備で非優先通信システムも条件不具備のとき(同図のb欄)、優先通信システムが条件具備で非優先通信システムが条件不具備のとき(同図のc欄)、優先通信システムがアイコン表示される。
【実施形態2】
【0016】
この発明を第2の実施形態である携帯通信端末1としては、図1、図2、図3及び図6に示すように、通信モード設定手段105、111によって優先通信モードが設定されたときであって、優先通信システムが圏内にあるとき、又は、圏外から圏内に移行したときは、当該優先通信システムを選択して、アイコン表示手段107、111に、次回通信発生時に使用する通信システムとしてアイコン201表示させる一方、優先通信システムが圏外にあるとき、又は、圏内から圏外に移行したときは、圏内にある非優先通信システムを代替的に選択して、アイコン表示手段107に、次回通信発生時に使用する通信システムとして、アイコン201表示させる制御部111とをるようにする。
【0017】
なお、上記通信モード設定手段による優先通信モードの設定は、通信用アプリケーションごとの設定が可能であるように構成しても良い。
また、利用可能な複数種類の通信システムは、少なくとも、無線基地局と通信路を確立して通信を行う公衆回線通信ベアラと無線LANアクセスポイントと通信路を確立して通信を行うWLANベアラを有している。
また、上記通信モード設定手段には、通信要求時、上記複数種類の通信システムのうち、ユーザによって予め固定通信システムとして登録された通信システムのみを使用する固定通信モードの設定も付加されている。
さらに、上記アイコン表示は、ブラウザ表示画面7内で行われる。
【実施例1】
【0018】
以下、図面を参照して、この発明の実施例について詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施例である通信ベアラ切替え機能を備える携帯通信端末の表示部に表示される通信ベアラアイコンの画面例を示す図、図2は、同携帯通信端末が利用できる複数の無線通信システムの全体的構成を示す概念図、また、図3は、同携帯通信端末の電気的構成を示すブロック図である。
【0019】
まず、図2を参照して、この実施例の携帯通信端末が接続可能な複数の無線通信システムの構成概要について説明する。この例の携帯通信端末1は、携帯電話機に係り、同図に示すように、オペレータ(公衆回線)網2、WLANアクセスネットワーク3及びインターネット網4に直接的又は間接的に接続できる構成となっている。具体的には、携帯通信端末1は、無線基地局5との間で通信路を確立して、オペレータ網2へ接続する。また、携帯通信端末1は、オペレータ網2に設置されているプロキシ・サーバ2a経由で、オペレータ網2内の固有サイト2bを閲覧したり、インターネット網4へ接続することができる。さらに、携帯通信端末1は、WLANアクセスネットワーク3のWLANアクセスポイント3aとの間で通信路を確立して、オペレータ網2やインターネット網4へ接続することもできる。ここで、WLANアクセスネットワーク3には、家庭内LANやイントラネットも含まれる。
【0020】
次に、図3を参照して、携帯通信端末1の電気的構成について説明する。
この形態の携帯通信端末1は、主アンテナ101を介して、無線基地局5との間で通信路を確立して、無線信号を送受信する主無線部102と、無線LANのチップを備え、副アンテナ103を介して、WLANアクセスポイント3aとの間で通信路を確立して、近距離無線通信を行う副無線部104と、各種データを一時保持するためのRAM105と、携帯通信端末1の各種の設定情報、及び携帯通信端末1のソフトプログラムを格納しているROM106と、電話番号及び各種設定情報を表示するLCD(液晶表示装置)等の表示部107と、キー入力を受付けるキー入力部108と、音声を出力するためのスピーカ部109と、音声を入力するためのマイク部110と、装置各部を制御するマイクロコンピュータを内蔵するコンピュータ構成の制御部(CPU)111とから概略構成されている。上記ROM106には、制御部111に、この実施例に係る、後述の次回利用通信システムのアイコン表示方法を実行させるアイコン表示制御プログラムも格納されている(図1、図4乃至図8参照)。
【0021】
図4(a)は、従来の携帯通信端末1の表示部107に表示される一般的なブラウザ表示画面6を示す図で、ブラウザを用いることによって、インターネットで公開されているホームページを閲覧することが可能である。
図4(b)は、この実施例の携帯通信端末1の表示部107に表示されるブラウザ表示画面7を示す図である。このブラウザ表示画面7には、通信ベアラアイコン201及び切替えアイコン202が設けられている。この通信ベアラアイコン201は、ブラウザ閲覧時に、次に、利用・接続すべき通信ベアラ(無線通信システム)を表示する機能を備えている。携帯通信端末1のユーザは、ブラウザ表示画面7内の通信ベアラアイコン201を見ることにより、次回通信時に接続すべき通信ベアラを確認できる。
【0022】
図5(a)は、ブラウザ表示画面7aを示し、ユーザが、次回通信時に利用する通信ベアラがWLAN通信ベアラであることを表している。また、同図(b)は、ブラウザ表示画面7bを示し、ユーザが、次回通信時に利用する通信ベアラが、例えば、FOMA(Freedom of Mobile Multimedia Access)等の公衆回線通信ベアラであることを表している。この通信ベアラアイコン201は、図5に示すように、切替えアイコン202を用いて、WLAN通信ベアラと公衆回線通信アイコンとをトグル的に手動切替えできる構成となっている。
【0023】
この実施例では、図1に示すように、携帯通信端末1のブラウザが起動され(ステップSP301)、ブラウザメニュー8が表示されると、通信ベアラアイコン201及び切替えアイコン202も表示される構成となっている。このとき、WLAN通信ベアラアイコンと公衆回線通信ベアラアイコンとのどちらの通信ベアラアイコン201が表示されるかは、図6に示す通信モード設定9の種類によって決定される。この通信モード設定9は、図6に示すように、WLAN優先9a、公衆回線優先9b、WLAN固定9c、及び公衆回線固定9dの4種類からなり、ROM104に保持されている。
【0024】
ここで、WLAN優先設定9aを設定すると、WLAN通信ベアラと公衆回線通信ベアラとの両方を利用できる場合に、WLAN通信ベアラを優先的に使用すると定義されている。公衆回線優先設定9bを設定すると、WLAN通信ベアラと公衆回線通信ベアラとの両方を利用できる場合に公衆回線通信ベアラを優先的に使用すると定義されている。また、WLAN固定9cを設定すると、WLAN通信ベアラのみを使用すると定義されている。公衆回線固定9dを設定すると、公衆回線通信ベアラのみのみを使用すると定義されている。
【0025】
別の言い方をすれば、この実施例では、WLAN優先設定9aを設定すると、たとえ、受信レベル、コスト、又は通信速度の点で、公衆回線通信ベアラが優っている状況下でも、WLAN通信ベアラを優先的に使用する。また、公衆回線優先設定9bを設定すると、たとえ、受信レベル、コスト、又は通信速度の点で、WLAN通信ベアラが優っている状況下でも、公衆回線通信ベアラを優先的に使用する。WLAN固定9cを設定すると、たとえ、受信レベル、コスト、又は通信速度の点で、公衆回線通信ベアラが優っている状況下でも、WLAN通信ベアラのみを使用する。また、公衆回線固定9dを設定すると、たとえ、受信レベル、コスト、又は通信速度の点で、WLAN通信ベアラが優っている状況下でも、公衆回線通信ベアラのみのみを使用する。
【0026】
WLAN優先9a設定時及び公衆回線優先9b設定時には、通信ベアラアイコン201はどちらの網も利用できる状況が存在する。一方、WLAN固定9c設定及び公衆回線固定9d設定は、通信ベアラを固定して利用するために、通信ベアラアイコン201もどちらかに固定となる。
【0027】
さらに具体的に言えば、通信モード設定9が、WLAN優先9aに設定されているときは、図7(a)に示す各種通信ベアラ状況により、次回通信で利用される通信ベアラアイコン201が、WLAN通信ベアラアイコンなのか公衆回線通信ベアラアイコンなのかが決定される。例えば、WLAN網が圏外のときでも公衆回線網が圏内のときは、公衆回線ベアラ通信アイコンが表示部107に表示される。これ以外の状況下、すなわち、WLAN網が圏内で公衆回線網も圏内のとき、WLAN網が圏外で公衆回線網も圏外のとき、WLAN網が圏内で公衆回線網が圏外のとき、WLANベアラ通信アイコンが設定されて表示部107に表示される。
【0028】
同様に、通信モード設定9が、公衆回線優先9bに設定されているときは、図7(b)に示す各種通信ベアラ状況により、利用設定される通信ベアラアイコン201が、WLAN通信ベアラアイコンなのか公衆回線通信ベアラアイコンなのかが決定される。例えば、公衆回線網が圏外のときでもWLAN網が圏内のときは、WLAN通信ベアラアイコンが表示部107に表示される。これ以外の状況下、すなわち、公衆回線網が圏内でWLAN網も圏内のとき、公衆回線網が圏外でWLAN網も圏外のとき、公衆回線網が圏内でWLAN網が圏外のとき、公衆回線通信ベアラアイコンが設定されて表示部107に表示される。
【0029】
制御部111は、ブラウザ起動時に、ROM105内の(例えば、アプリケーションごとの)通信モード設定9を参照し、通信モード設定9が、WLAN優先9a又は公衆回線優先9bのときは、さらに、WLAN網が圏内であるか圏外であるか、また、公衆回線網が圏内であるか圏外であるかの状況に基づいて、次回通信に利用される通信ベアラアイコン201を決定して、表示部107に表示する。
【0030】
図1に示すように、ブラウザメニュー8の画面に表示される通信ベアラアイコン201がWLAN通信ベアラアイコンのときは、ブラウザメニュー8からユーザが接続したいURL(Uniform Resource Locator)入力が完了したときに、WLAN通信ベアラを利用して通信を開始して、URL情報を入手することができる。以上が、ブラウザ起動時(ステップSP301)の通信ベアラアイコンの決定方法である。
【0031】
次に、この実施例の制御部が行う動作のうち、ブラウザ起動後・データ通信中の通信ベアラアイコンの動作について説明する。
ブラウザ起動後は、決定された通信ベアラ、すなわち、通信ベアラアイコン201に表示されている通信ベアラを利用して次回の通信が行われる。しかしながら、この実施径庭では、通信モード設定9が、WLAN優先9a、あるいは、公衆回線優先9bに設定にされているにも関わらず、優先通信ベアラが圏外であるため、やむをえず、非優先通信ベアラが利用されている状況下では、途中で、通信ベアラアイコン201が変更する状況が存在する。携帯通信端末1のユーザが移動することにより、優先網が圏外から圏内へ変化したときであり、このときは、制御部111は、優先設定の定義に基づき、次回通信時に使用すべき通信ベアラを優先通信ベアラに変更して表示部107に表示する。
【0032】
例えば、通信モード設定9が、WLAN優先9aが設定されているときに、WLAN網が圏外、公衆回線網が圏内のときは非優先通信ベアラである公衆回線通信ベアラを利用しているが、携帯通信端末1のユーザが移動することにより、WLAN網(優先網)が圏外から圏内へ変化したときには、次回通信ベアラをWLAN通信ベアラ(優先通信ベアラ)に変更して表示部107に表示する。
同様に、通信モード設定9が、公衆回線優先9bが設定されているときは、公衆回線網が圏外、WLAN網が圏内のときは非優先通信ベアラであるWLANベアラを利用しているが、携帯通信端末1のユーザが移動することにより、公衆回線通信網(優先網)が圏外から圏内へ変化したときには、次回通信ベアラを公衆回線通信ベアラ(優先通信ベアラ)に変更して表示部107に表示する。
このため、ブラウザ起動後に制御部111は、図8に示すアルゴリズムに従って、優先網の状態の監視を開始する。
【0033】
次に、図8のフローチャートを参照して、制御部111の優先網・非優先網の状態監視動作について説明する。
ステップSP301で、ユーザがブラウザの起動を要求したら(図1)、制御部111は、ROM105内の通信モード設定9を参照し、参照の結果、通信モード設定9が、固定設定(WLAN固定9c又は公衆回線固定9d)であるときは、設定内容に基づいて、通信ベアラアイコン201を決定して、表示部107に表示する。
一方、参照の結果、通信モード設定9が、優先設定(WLAN優先9a又は公衆回線優先9b)であるときは、さらに、優先網が圏内であるか圏外であるか、あるいは、非優先網が圏内であるか圏外であるか等の状況に基づいて、優先通信ベアラ又は非優先通信ベアラを選択決定して、通信ベアラアイコン201として、表示部107に表示する。
【0034】
通信が確立すると、制御部111は、ステップSP302へ進み、通信モード設定9が、優先設定(WLAN優先9a又は公衆回線優先9b)であるか否かを判断し、判断の結果、固定設定(WLAN固定9c又は公衆回線固定9d)であるときは、通信ベアラアイコンを途中で自動変更する事態は起こり得ないので、当該監視処理を終了する。一方、判断の結果、優先設定(WLAN優先9a又は公衆回線優先9b)であるときは、ステップSP303へ進み、非優先通信ベアラでの通信の発生か否かを判断する。
【0035】
ステップSP303における判断の結果、非優先通信ベアラでの通信が発生しているときは、ステップSP304へ進んで、優先通信ベアラ網が圏外から圏内になるのを監視する。
【0036】
携帯通信端末1のユーザが移動することにより、優先通信ベアラ網が圏内になったときは、優先通信ベアラを利用することが可能となったので、制御部111は、ステップSP305で通信ベアラアイコン201を非優先通信ベアラアイコンから優先通信ベアラアイコンに切り換える。携帯通信端末1のユーザは、表示部107の表示画面7から、通信ベアラアイコン201が変更されたことを認識できるので、次の通信時に優先通信ベアラが利用されることを確認できる。
【0037】
この後、ステップSP306へ進み、非優先通信ベアラでの通信が完了するまで待機する。そして、この通信が終了したときは、ステップSP307へ進む。ステップSP307では、ユーザによる通信要求が再度発生するまで(ブラウザ起動のまま)待機する。
【0038】
もし、通信要求を検出したときは、ステップSP308へ進み、優先通信ベアラを使用して通信を開始する。この後、ステップSP309へ進み、優先通信ベアラ網が圏外になるのを監視する。もし、携帯通信端末1のユーザが移動することにより、優先通信ベアラ網が圏外になったときは、ステップSP310へ進み、非優先通信ベアラ網が利用できるかを確認する。非優先通信ベアラ網が圏内のときは、ステップSP311へ進み、ベアラ通信アイコン201を非優先通信ベアラのアイコンへ変更して、ステップSP302へ進んで、次の通信要求に備える。一方、非優先通信ベアラ網も圏外のときは、優先、非優先通信ベアラ網が共に圏外のため、ベアラ通信アイコン201は、優先通信ベアラのアイコンのままとし、ステップSP302へ進んで、次の通信要求に備える。
【0039】
以上、この発明の実施形態及び実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態及び実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、利用できる通信ベアラは、公衆回線通信ベアラとWLAN通信ベアラの限らず、複数種類の公衆回線通信ベアラ(公衆回線を用いる無線通信システム又はサービス)同士や複数種類のWLAN通信ベアラ(WLANを用いる無線通信システム又はサービス)同士にも適用できる。利用可能な通信ベアラは、3種類以上でも良く、3種類以上のときは、第1優先通信ベアラ、第2優先通信ベアラ、…を設定するようにすれば良い。なお、この発明において、優先通信ベアラでの通信が完了した後、ブラウザ閲覧中に、優先通信ベアラ網が圏外になったときは、そのとき、非優先通信ベアラ網が圏内であれば、優先通信ベアラアイコン表示から、非優先通信ベアラアイコン表示に切り替わることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明は、携帯電話機に限らず、例えばPDA等の携帯通信端末に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の第1、第2の実施形態及び第1の実施例による通信ベアラ切替え機能を備える携帯通信端末の表示部に表示される通信ベアラアイコンの画面例を示す図である。
【図2】同携帯通信端末が利用できる複数の無線通信システムの全体的構成を示す概念図である。
【図3】同携帯通信端末の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の第1の実施例によるブラウザ表示画面を示し、同図(a)は、従来のブラウザ表示画面を示す図、また、同図(b)は、この実施形態のブラウザ表示画面を示す図である。
【図5】同実施例によるブラウザ表示画面を示し、同図(a)は、WLANの通信ベアラアイコンが表示されているブラウザ表示画面を示す図、また、同図(b)は、公衆回線の通信ベアラアイコンが表示されているブラウザ表示画面を示す図である。
【図6】同実施例による通信モード設定の種類を示す概念図である。
【図7】通信モード設定が、優先に設定されているときの動作の説明に供される図である。
【図8】同携帯通信端末を構成する制御部が優先網・非優先網の状態を監視する際の動作処理手順を示すフローチャートである。
【図9】この発明の第1の実施形態による優先通信モード設定後の動作条件を説明するための図である。
【符号の説明】
【0042】
1 携帯通信端末
2 オペレータ(公衆回線)網(通信システム)
3 WLANアクセスネットワーク(通信システム)
3a 無線LANアクセスポイント
5 無線基地局
7 ブラウザ表示画面
9 通信モード設定
9a WLAN優先
9b 公衆回線優先
9c WLAN固定
9d 公衆回線固定
105 ROM(通信モード設定手段)
107 表示部(アイコン表示手段)
111 制御部(アイコン表示手段、通信モード設定手段)
201 通信ベアラアイコン(アイコン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用可能な複数種類の通信システムのうち、いずれかの通信システムを選択使用してデータ通信を実行する機能を備える携帯通信端末であって、
次回通信発生時に選択される通信システムを、アイコンを用いて画面表示するアイコン表示手段と、
通信要求時、前記複数種類の通信システムのうち、ユーザによって予め優先通信システムとして登録された通信システムを優先的に使用する優先通信モードの設定が少なくとも可能な通信モード設定手段と、
該通信モード設定手段によって前記優先通信モードが設定されたときであって、前記優先通信システムが所定の条件を満足するときは、当該優先通信システムを選択して、前記アイコン表示手段に、次回通信発生時に使用する前記通信システムとしてアイコン表示させる一方、前記優先通信システムが前記所定の条件を満足しないときは、所定の条件を満足する非優先通信システムを代替的に選択して、前記アイコン表示手段に、次回通信発生時に使用する前記通信システムとして、アイコン表示させる制御部とを備えてなることを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
利用可能な複数種類の通信システムのうち、いずれかの通信システムを選択してデータ通信を実行する機能を備える携帯通信端末であって、
次回通信発生時に選択される通信システムを、アイコンを用いて画面表示するアイコン表示手段と、
通信要求時、前記複数種類の通信システムのうち、ユーザによって予め優先通信システムとして登録された通信システムを優先的に使用する優先通信モードの設定が少なくとも可能な通信モード設定手段と、
該通信モード設定手段によって前記優先通信モードが設定されたときであって、前記優先通信システムが圏内にあるとき、又は、圏外から圏内に移行したときは、当該優先通信システムを選択して、前記アイコン表示手段に、次回通信発生時に使用する前記通信システムとしてアイコン表示させる一方、前記優先通信システムが圏外にあるとき、又は、圏内から圏外に移行したときは、圏内にある非優先通信システムを代替的に選択して、前記アイコン表示手段に、次回通信発生時に使用する前記通信システムとして、アイコン表示させる制御部とを備えてなることを特徴とする携帯通信端末。
【請求項3】
前記通信モード設定手段は、通信用アプリケーションごとに、前記ユーザによる前記優先通信モードの設定が可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯通信端末。
【請求項4】
利用可能な複数種類の通信システムは、少なくとも、無線基地局と通信路を確立して通信を行う公衆回線通信ベアラと無線LANアクセスポイントと通信路を確立して通信を行うWLANベアラを備えてなることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記通信モード設定手段には、通信要求時、前記複数種類の通信システムのうち、ユーザによって予め固定通信システムとして登録された通信システムのみを使用する固定通信モードの設定も付加されていることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯通信端末。
【請求項6】
前記アイコン表示は、ブラウザ表示画面内で行われることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯通信端末。
【請求項7】
利用可能な複数種類の通信システムのうち、いずれかの通信システムを選択してデータ通信を実行する機能を備える携帯通信端末の表示部に、次回通信発生時に使用すべき前記通信システムをアイコン表示する方法であって、
通信要求時、前記複数種類の通信システムのうち、予め優先通信システムとして登録された通信システムを優先的に使用する優先通信モードを設定し、この後、
前記優先通信システムが所定の条件を満足するときは、当該優先通信システムを選択して、次回通信発生時に使用する前記通信システムとしてアイコン表示させる一方、前記優先通信システムが前記所定の条件を満足しないときは、圏内にある非優先通信システムを代替的に選択して、次回通信発生時に使用する前記通信システムとして、アイコン表示させることを特徴とする次回利用通信システムのアイコン表示方法。
【請求項8】
利用可能な複数種類の通信システムのうち、いずれかの通信システムを選択してデータ通信を実行する機能を備える携帯通信端末の表示部に、次回通信発生時に使用すべき前記通信システムをアイコン表示する方法であって、
通信要求時、前記複数種類の通信システムのうち、予め優先通信システムとして登録された通信システムを優先的に使用する優先通信モードを設定し、この後、
前記優先通信システムが圏内にあるときは、当該優先通信システムを選択して、次回通信発生時に使用する前記通信システムとしてアイコン表示させる一方、前記優先通信システムが圏外にあるときは、圏内にある非優先通信システムを代替的に選択して、次回通信発生時に使用する前記通信システムとして、アイコン表示させることを特徴とする次回利用通信システムのアイコン表示方法。
【請求項9】
前記ユーザによる前記優先通信システムの登録は、通信用アプリケーションごとに行われることを特徴とする請求項7又は8記載の次回利用通信システムのアイコン表示方法。
【請求項10】
利用可能な複数種類の通信システムは、少なくとも、無線基地局と通信路を確立して通信を行う公衆回線通信ベアラと無線LANアクセスポイントと通信路を確立して通信を行うWLANベアラを備えてなることを特徴とする請求項7又は8記載の次回利用通信システムのアイコン表示方法。
【請求項11】
通信要求時、前記複数種類の通信システムのうち、予め固定通信システムとして登録された通信システムのみを使用する固定通信モードの設定も行われることを特徴とする請求項7又は8記載の次回利用通信システムのアイコン表示方法。
【請求項12】
前記アイコン表示は、ブラウザ表示画面内で行われることを特徴とする請求項7又は8記載の次回利用通信システムのアイコン表示方法。
【請求項13】
コンピュータに請求項7又は8記載の次回利用通信システムのアイコン表示方法を実行させることを特徴とするコンピュータ読み取り可能なアイコン表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−206806(P2009−206806A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46771(P2008−46771)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】