説明

携帯電子機器、充電制御方法及び充電制御プログラム

【課題】エニュメレーションが完了しない場合であっても、効率的に充電することができる携帯電子機器、充電制御方法及び充電制御プログラムを提供すること。
【解決手段】携帯電話機1の制御部60は、USB端子部45がホスト装置100と接続された場合、USB端子部45を介してホスト装置100との間でデータ転送を行うことによってエニュメレーションを開始すると共に第1電力でバッテリ46への充電を行い、USB端子部45がホスト装置100に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了した場合には当該エニュメレーションに基づいた処理を行い、USB端子部45がホスト装置100に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了しなかった場合には第1電力よりも大きい第2電力でバッテリ46への充電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスト装置とUSB接続が可能な携帯電子機器、充電制御方法及び充電制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、USB(Universal Serial Bus)等によるデータ転送を行うことが可能なデバイスが知られている。このデバイスは、2本の通信線と、電力供給線とを備えており、ホストとUSB接続されたことに応じて、2本の通信線によってデバイス認識のための処理を行うエニュメレーションを行い、エニュメレーションが完了した後、2本の通信線によってホストとデータ転送を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−244775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリを備えた携帯電子機器等のUSBデバイスは、ホストとUSB接続することにより、電力供給線を介して電力の供給を受けたことに応じて、バッテリへの充電が可能である。例えば、携帯電子機器は、エニュメレーションを行っている場合に、電力供給線により第1の電流(例えば、100mA)の供給を受けることによって充電が可能である。また、携帯電子機器は、エニュメレーションの完了後に、第1の電流より大きい第2の電流(例えば、500mA)の供給を受けることによって充電が可能である。また、携帯電子機器は、2本の通信線の電位が同電位の場合に、第2の電流の供給を受けることによって充電が可能である。
【0005】
しかしながら、携帯電子機器は、エニュメレーションが完了しない場合、第1の電流によって電力の供給を受け続けることになってしまい、効率的な充電ができない。
【0006】
本発明は、エニュメレーションが完了しない場合であっても、効率的に充電することができる携帯電子機器、充電制御方法及び充電制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯電子機器は、外部装置からの充電電力の供給時に充電可能で電力を各種電子部品に供給するバッテリと、前記外部装置との間でのデータ転送時に前記外部装置と接続される端子部と、当該端子部が外部装置と接続された場合、前記端子部を介して前記外部装置との間でデータ転送を行うことによってエニュメレーションを開始すると共に第1電力での前記バッテリに対する充電を行い、前記端子部が前記外部装置に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了した場合には当該エニュメレーションに基づいた処理を行い、前記端子部が前記外部装置に接続されてから前記所定時間以内に前記エニュメレーションが完了しなかった場合には前記第1電力よりも大きい第2電力での前記バッテリに対する充電を行う制御部と、を備える。
【0008】
また、本発明に係る携帯電子機器では、前記端子部は、データ転送を行う第1端子及び第2端子と、充電を行う第3端子とを有し、前記制御部は、前記第2電力で前記バッテリに対して充電を行う場合には前記第1端子と前記第2端子の電位を同電位にすることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る携帯電子機器では、前記制御部は、前記所定時間以内にエニュメレーションが完了しなかった場合、前記第1端子及び前記第2端子をプルダウンさせることにより前記外部装置との接続を擬似的に解除し、前記第3端子に充電電力の供給を行わせることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る携帯電子機器は、前記端子部によって前記外部装置から電力の供給を受ける充電モードと、前記端子部によって前記外部装置と通信を行う通信モードとの切り換えを行うモード切換部を更に備え、前記制御部は、前記モード切換部により前記充電モードに切り換えられている場合、前記第1端子と前記第2端子とを同電位となる状態とし、前記モード切換部により前記通信モードに切り換えられている場合、前記第1端子と前記第2端子とを異なる電位とすることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る携帯電子機器は、記憶部を更に備え、前記制御部は、前記端子部が前記外部装置と初めて接続を開始した場合において、エニュメレーションが完了したときには、接続を開始してからエニュメレーションが完了するまでの時間を前記所定時間として前記記憶部に記憶させ、エニュメレーションが完了しなかったときには、接続を開始してから前記端子部が前記外部装置から離間されるまでの時間を前記所定時間として前記記憶部に記憶させ、前記端子部が前記外部装置と2回目以降の接続を開始した場合、前記記憶部に記憶されている前記所定時間を用いてエニュメレーションの完了を判定することが好ましい。
【0012】
本発明に係る充電制御方法は、外部装置からの充電電力の供給時に充電可能で電力を各種電子部品に供給するバッテリと、前記外部装置との間でのデータ転送時に前記外部装置と接続される端子部とを備える携帯電子機器が前記バッテリへの充電を制御する充電制御方法であって、当該端子部が外部装置と接続された場合、前記端子部に前記外部装置とのデータ転送を行わせることによってエニュメレーションを開始すると共に第1電力での前記バッテリに対する充電を行うステップと、前記端子部が前記外部装置に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了した場合には当該エニュメレーションに基づいた処理を行い、前記端子部が前記外部装置に接続されてから前記所定時間以内に前記エニュメレーションが完了しなかった場合には前記第1電力よりも大きい第2電力での前記バッテリに対する充電を行うステップと、を含む。
【0013】
本発明に係る充電制御プログラムは、外部装置からの充電電力の供給時に充電可能で電力を各種電子部品に供給するバッテリと、前記外部装置との間でのデータ転送時に前記外部装置と接続される端子部とを備える携帯電子機器に、前記バッテリへの充電を実行させるための充電制御プログラムであって、当該端子部が外部装置と接続された場合、前記端子部に前記外部装置とのデータ転送を行わせることによってエニュメレーションを開始すると共に第1電力での前記バッテリに対する充電を行う処理と、前記端子部が前記外部装置に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了した場合には当該エニュメレーションに基づいた処理を行い、前記端子部が前記外部装置に接続されてから前記所定時間以内に前記エニュメレーションが完了しなかった場合には前記第1電力よりも大きい第2電力での前記バッテリに対する充電を行う処理と、を前記携帯電子機器に実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、エニュメレーションが完了しない場合であっても、効率的に充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【図2】本実施形態に係る携帯電話装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る携帯電話機が、USB端子部によりUSBケーブルを介してホスト装置と接続されている状態を示す模式図である。
【図4】本実施形態に係る携帯電話機がホスト装置とUSB接続が行われた場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図4に続くフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る携帯電話機がホスト装置とUSB接続が行われた場合のD+端子、D−端子及びVbus端子の電圧並びにVbusを流れる電流の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の携帯電子機器の一実施形態に係る携帯電話機1の基本構造について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る携帯電話機1の外観斜視図である。
【0017】
携帯電話機1は、操作部側筐体部2と、表示部側筐体部3と、を備えて構成される。
操作部側筐体部2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12とを備えて構成される。操作部11は、各種設定や電話機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメールにおける文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作キー15とから構成されている。
また、操作部側筐体部2の側面には、外部装置(例えば、ホスト装置100)と通信を行うUSB端子部45用のキャップ16が備えられている。
【0018】
また、表示部側筐体部3は、表面部20に、各種情報を表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)表示部21と、通話の相手側の音声を出力するスピーカ22とを備えて構成されている。
【0019】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0020】
図2は、本実施形態に係る携帯電話機1の機能を示す機能ブロック図である。
携帯電話機1は、図2に示すように、操作部11と、マイク12と、通信部30と、LCD制御部41と、音声処理部42と、USB端子部45と、バッテリ46と、記憶部50と、制御部60とを操作部側筐体部2に備える。また、携帯電話機1は、LCD表示部21と、スピーカ22と、LCDドライバ23とを表示部側筐体部3に備える。
【0021】
通信部30は、基地局(図示省略)等の外部機器と信号の送受信を行う。この通信部30は、アンテナとしてのメインアンテナ31と、RF回路部32とを備える。
【0022】
メインアンテナ31は、基地局等の外部機器と、所定の変調方式で変調された高周波信号の送受信を行う。
RF回路部32は、メインアンテナ31により送受信される高周波信号を処理する。具体的には、RF回路部32は、メインアンテナ31によって受信した信号を所定の復調方式で復調し、処理後の信号を制御部60に供給する。また、RF回路部32は、制御部60から供給された信号を所定の変調方式で変調し、メインアンテナ31を介して基地局等の外部機器に送信する。
【0023】
LCD制御部41は、制御部60の制御に従って、所定の画像処理を行い、処理後の画像データをLCDドライバ23に出力する。LCDドライバ23は、フレームメモリを備えており、LCD制御部41から供給された画像データをフレームメモリに蓄える。そして、LCDドライバ23は、フレームメモリに蓄えられた画像データを所定のタイミングでLCD表示部21又はサブLCD表示部(図示省略)に出力する。
【0024】
音声処理部42は、制御部60の制御に従って、所定の音声処理を行い、処理後の信号をスピーカ22に出力する。スピーカ22は、音声処理部42から供給された信号を外部に出力する。また、音声処理部42は、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号を制御部60に出力する。
【0025】
USB端子部45は、USBケーブルと接続されているホスト装置100との接続が可能である。
【0026】
図3は、本実施形態に係る携帯電話機1が、USB端子部45により、USBケーブルを介してホスト装置100と接続されている状態を示す模式図である。
図3に示すように、USB端子部45は、USBケーブルと接続可能なコネクタ部451と、USB制御部452とを備える。このUSB端子部45は、コネクタ部451によって、USBケーブル(図示)と接続可能である。また、USB端子部45は、コネクタ部451と接続されたUSBケーブルを介して、USBケーブルと接続されているホスト装置100との接続が可能である。
【0027】
図3に示すように、コネクタ部451は、第1端子としてのD+端子と、第2端子としてのD−端子と、第3端子としてのVbus端子と、GND端子とを有する。
D+端子及びD−端子は、データの送受信に用いられる。つまり、D+端子及びD−端子の電圧は、それぞれ、電圧が低い状態であるL状態と、電圧が高い状態であるH状態をとることができ、D+端子とD−端子の電位差を利用して信号の送受信が行われる。
Vbus端子は、電源を供給するための端子であり、GNDとの電位差に基づいて、ホスト装置100から電力が供給される。
【0028】
USB制御部452は、コネクタ部451によって接続されたホスト装置100とのデータ転送や、ホスト装置100から供給された電力のバッテリ46への充電を行う。USB制御部452は、D+端子と、D−端子とが同電位となった場合、Vbus端子に流れる電流を第2電流(例えば、500mA)とする。また、USB制御部452は、D+端子と、D−端子とが同電位ではない場合、通信に応じて、Vbus端子に流れる電流を第1電流(例えば、100mA)や第2電流等の所定の電流に適宜変更する。
【0029】
図2に説明を戻す。バッテリ46は、携帯電話機1全体(各種電子部品)に電力を供給する。また、バッテリ46は、USB制御部452の制御により、USB端子部45及びUSBケーブルを介してホスト装置100からの電力(充電電力)の供給時に、供給される電力を充電する。
【0030】
記憶部50は、例えば、情報を記憶するメモリ等により構成されており、制御部60による演算処理に利用される。また、記憶部50は、本実施形態に係るアプリケーションや各種プログラム等を記憶する。なお、記憶部50は、着脱可能な外部メモリを兼ねていてもよい。
【0031】
制御部60は、携帯電話機1の全体を制御しており、例えば、通信部30、LCD制御部41、音声処理部42等に対して所定の制御を行う。また、制御部60は、操作部11等から入力を受け付けて、各種処理を実行する。また、制御部60は、処理実行の際には、記憶部50を制御し、各種プログラム及びデータの読み出し、並びにデータの書き込みを行う。
【0032】
このように構成される携帯電話機1は、制御部60によってUSB端子部45を介してホスト装置100とのデータの送受信を行う。また、携帯電話機1は、制御部60によって、USB端子部45を介してホスト装置100から供給された電力をバッテリ46に充電させる。以下に、制御部60について、詳細な説明を行う。
【0033】
携帯電話機1には、USB端子部45によってホスト装置100との接続が行われた場合の動作モードとして、USB端子部45によってホスト装置100から電力の供給を受けるのみの充電モードと、USB端子部45によってホスト装置100と通信を行う通信モードとが設けられている。そして、制御部60は、モード切換部として機能し、操作部11によって所定の操作を受け付けたことによって、充電モードと通信モードとのいずれかの動作モードへの切り換えを行う。
【0034】
そして、制御部60は、モードが充電モードに切り換えられている場合、コネクタ部451のD+端子とD−端子とが同電位となる状態にする。また、制御部60は、モードが通信モードに切り換えられている場合、コネクタ部451のD+端子とD−端子とが異なる電位となる状態にする。
【0035】
以下に、携帯電話機1のモードが通信モードである場合の処理について詳細に説明する。
【0036】
制御部60は、USB端子部45がホスト装置100と接続された場合、USB端子部45にホスト装置100とのデータ転送を行わせることによってエニュメレーションを開始させると共に、USB端子部45に第1電力で、バッテリ46に対する充電を行わせる。
【0037】
ここで、エニュメレーションとは、ホスト装置100が、当該ホスト装置100に接続されたデバイスを認識のために、携帯電話機1とホスト装置100との間で行われる所定のデータ通信をいう。つまり、制御部60は、エニュメレーションにおいて、USB制御部452に、コネクタ部451のD+端子及びD−端子を介して、ホスト装置100とのデータ転送を行わせる。
【0038】
具体的には、制御部60は、コネクタ部451がUSBケーブルを介してホスト装置100と接続された場合、USB制御部452にホスト装置100とのデータ転送を行わせることによって、エニュメレーションを開始する。また、制御部60は、USB制御部452に、コネクタ部451のVbus端子を介してバッテリ46への第1電力での充電を行わせる。ここで、第1電力は、Vbus端子とGND端子との電位差(例えば、5V)及びVbus端子の電流(例えば、100mA)によって決定される。
【0039】
続いて、制御部60は、USB端子部45がホスト装置100に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了した場合、当該エニュメレーションに基づいた処理を行う。
【0040】
具体的には、制御部60は、コネクタ部451がUSBケーブルを介してホスト装置100と接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了した場合、USB制御部452に、当該エニュメレーションに基づいた処理(例えば、通信部30によって送受信されるデータの転送等)を行わせる。また、制御部60は、USB制御部452に、コネクタ部451のVbus端子を介して所定電力でバッテリ46への充電を行わせる。ここで、所定電力は、Vbus端子とGND端子との電位差及びVbus端子の電流によって決定される。この場合、Vbus端子の電流の大きさは、エニュメレーションの完了後のホスト装置100によって制御される。
【0041】
一方、制御部60は、USB端子部45がホスト装置100に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了しなかった場合、USB端子部45に第1電力より大きい第2電力で、バッテリ46に対する充電をホスト装置100に行わせる。
【0042】
具体的には、制御部60は、コネクタ部451がUSBケーブルを介してホスト装置100と接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了しなかった場合、D+端子及びD−端子をプルダウンさせることによって、D+端子とD−端子との電位を同電位にし、ホスト装置100との接続を擬似的に解除する。このようにすることで、制御部60は、USB制御部452に、コネクタ部451のVbus端子を介して第2電力でバッテリ46への充電を行わせる。
【0043】
ここで、擬似的に解除とは、携帯電話機1とホスト装置100とのエニュメレーションが完了しないままエニュメレーションを終了させることをいう。この場合、ホスト装置100は、USBケーブルを介してデバイス機器が接続されていることを認識するものの、エニュメレーションが完了していないため、どのようなデバイス機器が接続されているか認識することができない状態となる。
また、第2電力は、Vbus端子とGND端子との電位差(例えば、5V)及びVbus端子の電流(例えば、500mA)によって決定される。
【0044】
また、制御部60は、以下のようにして所定時間を決定し、所定時間を示す情報として記憶部50に記憶させる。
すなわち、制御部60はUSB端子部45がホスト装置100と初めて接続を開始した場合において、エニュメレーションが完了したときには、接続を開始してからエニュメレーションが完了するまでの時間を所定時間とし、この所定時間を示す情報として記憶部50に記憶させる。
【0045】
また、制御部60は、エニュメレーションが完了しなかったときには、接続を開始してからUSB端子部45がホスト装置100から離間されるまでの時間を所定時間とし、この所定時間を示す情報を記憶部50に記憶させる。
【0046】
そして、制御部60は、USB端子部45がホスト装置100と2回目以降の接続を開始した場合、記憶部50に記憶されている所定時間を示す情報を用いてエニュメレーションの判定を行う。
【0047】
続いて、携帯電話機1とホスト装置100との間でUSB接続が行われた場合の処理の流れについて説明する。図4及び図5は、本実施形態に係る携帯電話機1がホスト装置100とUSB接続が行われた場合の処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートでは、携帯電話機1の動作モードが通信モードであるものとする。また、本フローチャートでは、携帯電話機1は、ホスト装置100との接続が初めてではないものとする。
【0048】
ステップS1において、制御部60は、ホスト装置100によってVbus端子に対して電圧が印加されたことを検出する。ここで、Vbus端子を流れる電流を第1電流とする。
【0049】
ステップS2において、制御部60は、Vbusに対して電圧が印加されたことを契機として、USB制御部452にエニュメレーションに係るデータ転送を開始させ、ホスト装置100との間でエニュメレーションを行う。
【0050】
ステップS3において、制御部60は、エニュメレーションが完了したか否かを判定する。制御部60は、この判定がYESの場合、処理をステップS4に移し、この判定がNOの場合、処理をステップS7に移す。
【0051】
ステップS4において、制御部60は、記憶部50に所定時間を示す情報が記憶されているか否かを判定する。制御部60は、この判定がYESの場合、ステップS6に処理を移し、この判定がNOの場合、ステップS5に処理を移す。
【0052】
ステップS5において、つまり、携帯電話機1がホスト装置100と初めて接続され、かつ、所定時間以内にエニュメレーションが完了したとき、制御部60は、ステップS2においてエニュメレーションが開始してからエニュメレーションが完了するまでの時間を所定時間とし、当該所定時間を示す情報を記憶部50に記憶させる。
【0053】
ステップS6において、つまり、所定時間以内にエニュメレーションが完了したとき、制御部60は、エニュメレーションに基づいた処理を行う。この処理が終了すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0054】
ステップS7において、制御部60は、記憶部50に所定時間を示す情報が記憶されているか否かを判定する。制御部60は、この判定がYESの場合、ステップS8に処理を移し、この判定がNOの場合、図5のステップS10に処理を移す。
【0055】
ステップS8において、制御部60は、ステップS2においてエニュメレーションが開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する。制御部60は、この判定がYESの場合、ステップS9に処理を移し、この判定がNOの場合、ステップS3に処理を移す。なお、制御部60は、記憶部50に記憶されている所定時間に基づいて判定を行う。
【0056】
ステップS9において、つまり、所定時間以内にエニュメレーションが完了しなかったとき、制御部60は、コネクタ部451のD+端子及びD−端子をプルダウンさせることによって、D+端子とD−端子との電位を同電位にする。すると、ホスト装置100は、D+端子とD−端子との電位が同電位になったことに応じて、Vbusに供給する電流を第1電流から第2電流に変更する。制御部60は、USB制御部452に第2電力で、バッテリ46への充電を行わせる。
【0057】
説明を図5に移す。ステップS10において、制御部60は、USB端子部45がホスト装置100から離間されたか否か、すなわち、携帯電話機1とホスト装置100とのUSB接続が解除されたか否かを判定する。制御部60は、この判定がYESの場合、ステップS11に処理を移し、この判定がNOの場合、ステップS3に処理を移す。
【0058】
ステップS11において、つまり、携帯電話機1がホスト装置100と初めて接続され、かつ、エニュメレーションが完了しないままUSB接続が解除されたとき、制御部60は、携帯電話機1がホスト装置100とUSB接続されてから、USB端子部45がホスト装置100から離間されるまでの時間を所定時間として記憶部50に記憶させる。この処理が終了すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0059】
図6は、本実施形態に係る携帯電話機1がホスト装置100とUSB接続が行われた場合に、エニュメレーションが所定時間以内に完了しなかった場合のD+端子、D−端子及びVbus端子の電圧並びにVbus端子を流れる電流Ivの時間的な変化を示す図である。ここでは、所定時間を示す情報が記憶部50に記憶されているものとする。
【0060】
時刻tにおいて、Vbusに電圧が印加されることによって、エニュメレーションが開始される。ここで、Vbusを流れる電流Ivは、第1電流(例えば、100mA)である。
【0061】
続いて、エニュメレーションが完了しなかった場合、すなわち、時刻tから所定時間経過した時刻tにおいて、制御部60は、コネクタ部451のD+端子及びD−端子をプルダウンさせることによって、D+端子とD−端子との電位を同電位にする。すると、Vbusを流れる電流Ivは、第2電流(例えば、500mA)に変化する。
【0062】
続いて、時刻tにおいて、携帯電話機1とホスト装置100とが物理的に離間されることによってUSB接続が解除されたことにより、Vbusに電圧が低下すると共に、Vbusを流れる電流Ivが0となる。
【0063】
以上、本実施形態によれば、携帯電話機1の制御部60は、USB端子部45がホスト装置100と接続された場合、USB端子部45を介してホスト装置100とのデータ転送を行うことによってエニュメレーションを開始すると共に第1電力でのバッテリ46に対する充電を行い、USB端子部45がホスト装置100に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了した場合には当該エニュメレーションに基づいた処理を行い、USB端子部45がホスト装置100に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了しなかった場合には第1電力よりも大きい第2電力でのバッテリ46に対する充電を行う。
【0064】
よって、携帯電話機1は、ホスト装置100とのエニュメレーションが完了しなかった場合でも、エニュメレーション時におけるホスト装置100からの供給電力(第1電力)より大きい電力(第2電力)で充電を行うことができる。したがって、携帯電話機1は、エニュメレーションが完了しない場合であっても、効率的に充電することができる。
【0065】
また、携帯電話機1の制御部60は、第2電力でバッテリ46への充電を行う場合には、コネクタ部451のD+端子とD−端子の電位を同電位にする。具体的には、携帯電話機1の制御部60は、所定時間以内にエニュメレーションが完了しなかった場合、コネクタ部451のD+端子とD−端子をプルダウンさせることによりホスト装置100との接続を擬似的に解除し、Vbus端子によってバッテリ46に充電を行わせる。
【0066】
USBでは、D+端子とD−端子とが同電位である場合に、Vbus端子に流れる電流がエニュメレーション中におけるVbus端子に流れる電流に比べて大きくなる。よって、携帯電話機1は、D+端子とD−端子とを同電位にすることによって、効率的に充電することができる。
なお、充電の際には、D+端子とD−端子とが同電位となっているだけでよいため、例えば、D+端子とD−端子とをプルダウンさせずに、短絡させるようにしてもよい。
【0067】
また、携帯電話機1は、動作モードが充電モードに切り換えられている場合、D+端子とD−端子とを同電位となる状態とし、動作モードが通信モードに切り換えられている場合、D+端子とD−端子とを異なる電位とする。よって、携帯電話機1は、動作モードを切り換えることによって、ホスト装置100と接続された直後から第2電力による充電を開始させるか否かを選択することができる。
【0068】
また、携帯電話機1の制御部60は、USB端子部45がホスト装置100と初めて接続を開始した場合において、エニュメレーションが完了したときには、接続を開始してからエニュメレーションが完了するまでの時間を所定時間として記憶部50に記憶させ、エニュメレーションが完了しなかったときには、接続を開始してからUSB端子部45がホスト装置100から離間されるまでの時間を所定時間として記憶部50に記憶させる。そして、携帯電話機1の制御部60は、USB端子部45がホスト装置100と2回目以降の接続を開始した場合、記憶部50に記憶されている所定時間を用いてエニュメレーションの完了を判定する。
【0069】
よって、携帯電話機1は、ホスト装置100と初めて接続を開始した場合の接続状況に応じて所定時間を設定することができる。また、携帯電話機1は、ホスト装置100との2回目以降の接続の際に、当該所定時間を用いて、エニュメレーションが完了したか否かを判定することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0071】
1 携帯電話機
11 操作部
50 記憶部
60 制御部
45 USB端子部
46 バッテリ
451 コネクタ部
452 USB制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置からの充電電力の供給時に充電可能で電力を各種電子部品に供給するバッテリと、前記外部装置との間でのデータ転送時に前記外部装置と接続される端子部と、
当該端子部が外部装置と接続された場合、前記端子部を介して前記外部装置との間でデータ転送を行うことによってエニュメレーションを開始すると共に第1電力での前記バッテリに対する充電を行い、前記端子部が前記外部装置に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了した場合には当該エニュメレーションに基づいた処理を行い、前記端子部が前記外部装置に接続されてから前記所定時間以内に前記エニュメレーションが完了しなかった場合には前記第1電力よりも大きい第2電力での前記バッテリに対する充電を行う制御部と、
を備える携帯電子機器。
【請求項2】
前記端子部は、データ転送を行う第1端子及び第2端子と、充電を行う第3端子とを有し、
前記制御部は、前記第2電力で前記バッテリに対して充電を行う場合には前記第1端子と前記第2端子の電位を同電位にする、
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定時間以内にエニュメレーションが完了しなかった場合、前記第1端子及び前記第2端子をプルダウンさせることにより前記外部装置との接続を擬似的に解除し、前記第3端子に充電電力の供給を行わせる、
請求項2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記端子部によって前記外部装置から電力の供給を受ける充電モードと、前記端子部によって前記外部装置と通信を行う通信モードとの切り換えを行うモード切換部を更に備え、
前記制御部は、前記モード切換部により前記充電モードに切り換えられている場合、前記第1端子と前記第2端子とを同電位となる状態とし、前記モード切換部により前記通信モードに切り換えられている場合、前記第1端子と前記第2端子とを異なる電位とする、
請求項2又は3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
記憶部を更に備え、
前記制御部は、
前記端子部が前記外部装置と初めて接続を開始した場合において、エニュメレーションが完了したときには、接続を開始してからエニュメレーションが完了するまでの時間を前記所定時間として前記記憶部に記憶させ、エニュメレーションが完了しなかったときには、接続を開始してから前記端子部が前記外部装置から離間されるまでの時間を前記所定時間として前記記憶部に記憶させ、
前記端子部が前記外部装置と2回目以降の接続を開始した場合、前記記憶部に記憶されている前記所定時間を用いてエニュメレーションの完了を判定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
外部装置からの充電電力の供給時に充電可能で電力を各種電子部品に供給するバッテリと、前記外部装置との間でのデータ転送時に前記外部装置と接続される端子部とを備える携帯電子機器が前記バッテリへの充電を制御する充電制御方法であって、
当該端子部が外部装置と接続された場合、前記端子部に前記外部装置とのデータ転送を行わせることによってエニュメレーションを開始すると共に第1電力での前記バッテリに対する充電を行うステップと、
前記端子部が前記外部装置に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了した場合には当該エニュメレーションに基づいた処理を行い、前記端子部が前記外部装置に接続されてから前記所定時間以内に前記エニュメレーションが完了しなかった場合には前記第1電力よりも大きい第2電力での前記バッテリに対する充電を行うステップと、
を含む充電制御方法。
【請求項7】
外部装置からの充電電力の供給時に充電可能で電力を各種電子部品に供給するバッテリと、前記外部装置との間でのデータ転送時に前記外部装置と接続される端子部とを備える携帯電子機器に、前記バッテリへの充電を実行させるための充電制御プログラムであって、
当該端子部が外部装置と接続された場合、前記端子部に前記外部装置とのデータ転送を行わせることによってエニュメレーションを開始すると共に第1電力での前記バッテリに対する充電を行う処理と、
前記端子部が前記外部装置に接続されてから所定時間以内にエニュメレーションが完了した場合には当該エニュメレーションに基づいた処理を行い、前記端子部が前記外部装置に接続されてから前記所定時間以内に前記エニュメレーションが完了しなかった場合には前記第1電力よりも大きい第2電力での前記バッテリに対する充電を行う処理と、
を前記携帯電子機器に実行させる充電制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−203765(P2012−203765A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69318(P2011−69318)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】