説明

携帯電子機器

【課題】スピーカ及び基板を収納する筐体を備え、設計の自由度を向上可能な携帯電子機器を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、音響信号を出力する出力端子37が設けられた基板31と、出力端子37から出力された音響信号が入力される入力端子39を有し、入力端子39に入力された音響信号を音響に変換するスピーカ32と、互いに固定されるフロントケース21及びリアケース22を有し、基板31及びスピーカ32を収納する受話筐体2とを備え、基板31は、出力端子37が設けられた実装面31cをリアケース22の内面に対向させて配置され、スピーカ32は、実装面31cの外方において、リアケース22の内面に入力端子39を対向させて配置され、リアケース22の内面には、一端が出力端子37に、他端が入力端子39に当接するブリッジ端子33が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等、スピーカを有する携帯電子機器が種々知られている。一般に、スピーカは、一方の端面に音響信号が入力される端子を有し、他方の端面に音響を出力する放音面を有している。そして、携帯電子機器では、電子機器全体の小型化のために、スピーカと、スピーカに音響信号を出力する電子回路が設けられた基板とは、スピーカの端子が設けられた面に基板の実装面を当接させるようにして積層配置される(例えば特許文献1)。なお、特許文献1では、基板としてFPC(フレキシブルプリント配線板)を用いて筐体の薄型化を図っている。
【特許文献1】特開2005−268592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、スピーカと基板とを積層する携帯電子機器では、種々の不都合が生じる。例えば、携帯電子機器の筐体を薄型にデザインする場合、スピーカの厚みと基板の厚みとを合算した厚みを筐体に確保する必要があり、デザインに制約が生じる。また、スピーカの厚みも自由に選択することができず、選択肢が狭くなる。スピーカの放音面側のキャビティが十分に確保できず、音質が低下するおそれもある。
【0004】
本発明の目的は、スピーカ及び基板を収納する筐体を備え、設計の自由度が高い携帯電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の携帯電子機器は、音響信号を出力する出力端子が実装面に設けられた基板と、前記出力端子から出力された音響信号が入力される入力端子を有し、前記入力端子に入力された音響信号を音響に変換するスピーカと、前記基板及び前記スピーカを内部に格納するよう互いに固定される第1カバー部材及び第2カバー部材を有する筐体と、を備え、前記基板は、前記実装面を前記第1カバー部材の内面側に対向させて配置され、前記スピーカは、前記筐体内において前記基板に隣り合うよう前記実装面の外方において、前記第1カバー部材の前記内面に前記入力端子を対向させて配置され、前記第1カバー部材の前記内面には、一端が前記出力端子に、他端が前記入力端子に当接する複数の端子片を有するブリッジ端子が設けられている。
【0006】
好適には、前記スピーカを複数備え、それぞれの前記入力端子及び当該入力端子に前記音響信号の出力を行う前記出力端子の組が複数設けられるとともに、それぞれの前記入力端子と出力端子との組ごとに少なくとも一つが配されるよう前記ブリッジ端子を複数備え、複数の前記ブリッジ端子は互いに同一の形状である。
【0007】
好適には、前記スピーカ及び前記基板は、前記入力端子と前記出力端子とがそれぞれ前記第1カバー部材の前記内面への対向方向において均等な位置になるよう配置され、前記ブリッジ端子は、前記カバー部材の内面へ取り付けられる取付部を有するとともに、当該取付部から延びて前記入力端子に当接する第1端子片と、前記取付部から延びて前記出力端子に当接する第2端子片とを、前記複数の端紙片として有し、前記第1端子片と前記第2端子片とは同一の長さである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スピーカ及び基板を収納する筐体を備えた携帯電子機器の設計の自由度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機1の外観を開状態で示す斜視図である。携帯電話機1は、いわゆる折り畳み式の携帯電話機として構成されており、開状態と閉状態との間で互いに回動可能に連結された受話筐体2及び送話筐体3を備えている。
【0010】
受話筐体2及び送話筐体3は、それぞれの端部が回動の中心となる連結部4により連結されることにより携帯電話機1全体の筐体を構成するようになっている。受話筐体2及び送話筐体3は、それぞれ概ね薄型直方体状に形成されており、閉状態では互いに重ねあわされて互いの輪郭が略一致する(図5(a)参照)。
【0011】
受話筐体2には、例えば、通話用のスピーカ107(図6参照)、報知用のスピーカ32(図3参照)、画像や文字を表示するメイン表示部6、サブ表示部35(図5参照)、カメラモジュール51(図3参照)が設けられている。送話筐体3には、例えば、通話用のマイクロフォン108(図6参照)、通信のための内蔵アンテナ105(図6参照)、ユーザの操作を受け付ける操作部7が設けられている。
【0012】
連結部4は、送話筐体3の端部に形成された凹部10に、受話筐体2の端部に形成された凸部9が嵌合して構成されている。凹部10及び凸部9の互いに摺動する面には不図示の筒状の部材が携帯電話機1の幅方向(図1の紙面左右方向)に挿通され、当該筒状の部材を回転軸として受話筐体2及び送話筐体3は回転する。また、当該筒状の部材には、受話筐体2の電子回路と送話筐体3の電子回路とを接続する信号線が挿通されている。
【0013】
図2及び図3は、受話筐体2の分解斜視図であり、図2は、受話筐体2のうち閉状態において送話筐体3と対向する面(正面)側から見た図であり、図3は受話筐体2のうち閉状態において送話筐体3と対向する面の背面側から見た図である。
【0014】
受話筐体2は、閉状態において送話筐体3と対向する面を構成するフロントケース21と、その背面側の面を構成するリアケース22とを備えている。フロントケース21及びリアケース22は、例えば、非導電性の樹脂により構成され、フロントケース21に形成された透孔24(図3)に正面側から挿通された不図示のネジが、リアケース22に形成されたネジボス25(図2)に螺合されることにより互いに固定される。なお、図2では透孔24はシートなどにより被覆されて不図示である。
【0015】
フロントケース21とリアケース22との間には、基板31(図3)、スピーカ32、及び、基板31とスピーカ32とを電気的に接続するためのブリッジ端子33が設けられている。すなわち、受話筐体2には、基板31、スピーカ32、ブリッジ端子33が収納されている。なお、リアケース22は、基板31及びスピーカ32上に積層されている。フロントケース21と基板31との間には、メイン表示部6を構成する表示装置などが配置されている(図5(b)参照)。
【0016】
基板31は、例えば樹脂をベースとしたプリント配線基板により構成されている。基板31は、フロントケース21及びリアケース22に対して積層的に配置され、受話筐体2の長手方向(回転軸に直交する方向、図1の紙面上下方向)においては、凸部9に隣接する位置から凸部9とは反対側の受話筐体2の端部に亘って、受話筐体2の幅方向(回転軸方向、図1の紙面左右方向)においては、受話筐体2の一の側部から他の側部に亘って広がっている。ただし、凸部9側とは反対側の略半分程度の範囲においては、受話筐体2の背面側に画像を表示するサブ表示部35を構成する表示装置(例えば液晶表示装置)を挿入して配置するための切り欠き部31aが比較的広い範囲で形成されている。
【0017】
基板31には、例えば、メイン表示部6やサブ表示部35の動作を制御する画像処理部103(図6参照)やスピーカ32に音響信号を出力するための音響処理部106(図6参照)が設けられている。また、基板31のリアケース22に対向する実装面31cには、音響信号を出力するための出力端子37P、37N(以下、単に「出力端子37」といい、両者を区別しないことがある。)が設けられている。
【0018】
出力端子37P、37Nは、一方が他方よりも電位が高く、その電位の差の変動により音響信号を伝達するものである。なお、出力端子37P、37Nの一方は基準電位であってもよい。出力端子37P及び37Nは、受話筐体2の幅方向に配列されている。ただし、受話筐体2の長手方向に互いに若干ずれた位置に配置されている。出力端子37P、37Nの組は、受話筐体2の幅方向両側に1組ずつ設けられ、合計2組設けられている。
【0019】
出力端子37は、例えば基板31の実装面31cに形成された導電パターン層により形成されており、接触面を実装面31cの向く方向と同一方向に向けて(リアケース22に対向して)有している。すなわち、出力端子37はパッド状に形成されている。出力端子37の平面形状は適宜であるが、例えば矩形である。
【0020】
基板31は、縁部がフロントケース21の外周面21aの内側面に当接することにより、受話筐体2に対して位置決めされている。また、フロントケース21の内側には、受話筐体2の長手方向において、凸部9の配置領域と、それ以外の領域とを仕切るように、受話筐体2の幅方向に延びるリブ21bが設けられており、基板31は、縁部がリブ21bに当接することによっても受話筐体2に対して位置決めされている。
【0021】
スピーカ32は、例えば受話筐体2の凸部9側の端部に、凸部9を挟むようにして幅方向両側に1つずつ、合計2つ設けられている。スピーカ32は、例えば、ダイナミックスピーカにより構成されている。スピーカ32は、例えば、略円盤状に構成され、フロントケース21及びリアケース22に対して積層的に配置されている。
【0022】
スピーカ32のリアケース22に対向する端面32aには入力端子39P、39N(以下、単に「入力端子39」といい、両者を区別しないことがある。)が設けられている。スピーカ32の他方の端面32bは放音面(以下、「端面32b」を「放音面32b」ということがある。)となっている。スピーカ32は、入力端子39P、39Nの電位差の変動を振動板の振動に変換し、すなわち、入力された音響信号を音響に変換して放音面32bから出力する。
【0023】
入力端子39P、39Nは、例えば、端面32aのうち外周側付近に概ね円周方向に沿って配列されている。入力端子39は、例えば、板金により構成されており、端面32aと略同一面上に位置する接触面を端面32aの向く方向と同一方向に向けて(リアケース22に対向して)有している。すなわち、入力端子39はパッド状に形成されている。入力端子39の平面形状は適宜であるが、例えば矩形である。
【0024】
スピーカ32は、ホルダ45により、受話筐体2に対して位置決めされている。ホルダ45は、一のスピーカ32を保持するスピーカ保持部46Aと、カメラモジュール51を保持するカメラ保持部47と、他のスピーカ32を保持するスピーカ保持部46B(単に、「スピーカ保持部46」といい、スピーカ保持部46Aとスピーカ保持部46Bとを区別しないことがある。)とを、受話筐体2の幅方向へ順に、一列に有している。ホルダ45は、例えば樹脂により形成されており、スピーカ保持部46A、46B、カメラ保持部47は一体的に形成されている。
【0025】
スピーカ保持部46は、リアケース22側にスピーカ32が嵌合する凹部46a(図3)が形成されている。凹部46aの底部には、スピーカ32の放音面32bをフロントケース21側に露出させる孔部46b(図2)が開口している。
【0026】
カメラ保持部47は、フロントケース21側にカメラモジュール51が嵌合する凹部47aが形成されている。凹部47aの底部には、カメラモジュール51の撮像レンズ51aをリアケース22側に露出させる孔部47bが開口している。
【0027】
ホルダ45は、フロントケース21の凸部9側の外周面21aの内側面と、リブ21bとによって囲まれた領域(凹部)に嵌合してフロントケース21に対して位置決めされている。これにより、ホルダ45に保持されたスピーカ32やカメラモジュール51もフロントケース21に対して位置決めされている。
【0028】
フロントケース21の外周面21aの内側面やリブ21bのうちホルダ45側の壁部には、ホルダ45側に突出する爪部21c(図3)が設けられており(ただし、外周面21aに設けられているものは外周面21aによって隠れて不図示)、ホルダ45の縁部などに係合してホルダ45の抜けを防止している。
【0029】
スピーカ32の放音面32bから出力された音響は、スピーカ保持部46の孔部46b、スピーカ保持部46とフロントケース21との間に配置されたメッシュシート55、フロントケース21の外周面21aに開口する放音孔56を順に経由して、受話筐体2の外部へ出力される。
【0030】
なお、メッシュシート55は、樹脂、金属、布などの適宜な材料により形成されるとともに外周にスポンジなどの弾性部材を有しており、フロントケース21に接着剤などの固定手段により取り付けられている。メッシュシート55は、例えば、スピーカ32の音漏れ、スピーカ32へのゴミの侵入防止、スピーカ音によるいわゆるビビリ防止に寄与するものである。
【0031】
カメラモジュール51は、通常撮影モードと、近影を撮影するマクロモードとを、レバー51aに対する揺動操作により切換可能に構成されている。レバー51aは、カメラ保持部47に形成された切り欠き部に挿通されて、筐体外部に露出するマクロノブ57に連結されており、マクロノブ57のスライド操作によって操作される。
【0032】
ブリッジ端子33は、出力端子37と入力端子39との組が合計4組設けられていることに対応して4つ設けられている。4つのブリッジ端子33は、互いに同一の材質、形状である。換言すれば、4つのブリッジ端子33は、互いに交換可能である。
【0033】
ブリッジ端子33は、例えば板金の打ち抜き加工や曲げ加工等のプレス加工により形成されており、一枚の金属片からなる。ブリッジ端子33は、全体として概ね長尺状に形成されるとともに、長尺方向において湾曲するように形成されており、リアケース22に取り付けられる取付部33aと、取付部33aを挟んで互いに反対方向へ延び、互いに同一形状(同一の長さ)、つまり取付部33aを挟んで長手方向において対称になる2つの端子片33bとを有している。取付部33aには、D字などの非円形の孔部33cが形成されている。端子片33bは、長尺方向の端部側において二股に分かれている。
【0034】
ブリッジ端子33は、リアケース22の内面に形成されたボス60(図2)が孔部33cに挿通されることにより、リアケース22に対して位置決めされている。ブリッジ端子33と、リアケース22とは、フロントケース21とリアケース22との固定前に、接着剤による接着や熱かしめ等の適宜な方法により互いに固定されている。ボス60の断面を孔部33cに対応させD字状などの非円形とすれば、取り付けの際の位置決めにより有効である。
【0035】
そして、基板31及びスピーカ32をフロントケース21に対して位置決めし、リアケース22を被せて、フロントケース21とリアケース22とを互いに固定すると、基板31の出力端子37と、スピーカ32の入力端子39とは、ブリッジ端子33を介して電気的に接続される。
【0036】
図4は、フロントケース21とリアケース22とが互いに固定されている状態において、受話筐体2の内部を示す斜視図である。
【0037】
ブリッジ端子33は、2つの端子片33bのうち、一方の端子片33bの端部が出力端子37に、他方の端子片33bの端部が入力端子39に当接している。これにより、出力端子37と入力端子39とは導通している。なお、ブリッジ端子33は、リアケース22、出力端子37及び入力端子39により、長尺方向の湾曲を矯正する方向に力を受けて弾性変形している。換言すれば、ブリッジ端子33は、板バネとして機能し、その付勢力により、出力端子37及び入力端子39に確実に当接している。
【0038】
スピーカ32は、その外周部のうち一部に、直方体状に若干突出する突出部が形成され、当該突出部に入力端子39が設けられている。また、スピーカ32は、スピーカ32の受話筐体2の長手方向における配置領域を小さくするために、当該突出部が形成された範囲を受話筐体2の長手方向に対して斜めの方向に向けて配置されている。このため、入力端子39Pと入力端子39Nとは、受話筐体2の長手方向において互いにずれた位置に配置されている。一方、出力端子37P、37Nも入力端子39P、39Nのずれ量に応じて受話筐体2の長手方向において互いにずれた位置に配置されている。従って、出力端子37Pと入力端子39Pとの接続、出力端子37Nと入力端子39Nとの接続は、同一形状のブリッジ端子33により可能となっている。
【0039】
フロントケース21とリアケース22との固定の際には、ホルダ45により、カメラモジュール51と、リアケース22に設けられた撮影窓65との位置決めも行われる。具体的には、ホルダ45のカメラ保持部47のリアケース22側(図4の紙面上方側)の面に、位置決め孔47c、47dが対角線上に設けられており、一方、リアケース22の内面に、図2に示すように、ボス62、63が設けられており、ボス62、63がそれぞれ位置決め孔47c、47dに嵌合することにより、ホルダ45とリアケース22とが位置決めされ、ひいては、カメラモジュール51と撮影窓65とが位置決めされる。そして、当該位置決めにより、カメラモジュール51の撮像レンズ51aの光軸と撮影窓65の中心とが一致し、撮像画像の欠け、センターズレによる撮像画像に対する違和感が防止される。なお、リアケース22には、撮影窓65に隣接してストロボ用の開口66が設けられている。
【0040】
図5は、ブリッジ端子33を用いることによる筐体の薄型化の効果を説明する図であり、図5(a)は閉状態の携帯電話機1を受話筐体2の背面側(リアケース22側)から見た平面図であり、図5(b)は図5(a)のVb−Vb線矢視方向における断面図(ただし、受話筐体2のみ示す。)、図5(c)は図5(a)のVc−Vc線矢視方向における断面図(ただし、受話筐体2のみ示す。)である。
【0041】
図5(b)に示すように、受話筐体2の平面方向(図5(b)の紙面左右方向)において、カメラモジュール51は基板31の外方に設けられている。また、受話筐体2の厚み方向(図5(b)の紙面上下方向)において、基板31は、カメラモジュール51のリアケース22側の端面からフロントケース21側の端面までの間に設けられている。換言すれば、基板31とカメラモジュール51とは、受話筐体2の厚み方向において同一の位置に配置されている。従って、受話筐体2に、カメラモジュール51の厚みと基板31の厚みとを合算した厚みを確保する必要がない。なお、フロントケース21のリブ21b(図3)は、受話筐体2の幅方向中央において切り欠かれており、図5(b)に示すように、基板31と、ホルダ45のカメラ保持部47とは隣接している。
【0042】
図5(c)に示すように、受話筐体2の平面方向において、スピーカ32は基板31の外方に設けられている。また、受話筐体2の厚み方向において、基板31は、スピーカ32のリアケース22側の端面32aからフロントケース21側の端面32bまでの間に設けられている。換言すれば、基板31とスピーカ32とは、受話筐体2の厚み方向において同一の位置(ケース内面からそれぞれの端子の距離が均等になるよう)に配置されている。従って、受話筐体2に、スピーカ32の厚みと基板31の厚みとを合算した厚みを確保する必要がない。
【0043】
図6は、携帯電話機1の信号処理系の構成の一例を示すブロック図である。CPU101及びメモリ102は例えばICにより構成され、操作部7等の各種手段からの信号に基づいて所定の演算を行い、画像処理部103等の各種手段の制御を実行する制御部として機能する。
【0044】
通信処理部104は、高周波回路を含んで構成され、電波を利用した無線通信を行うために、CPU101で処理された音声データ、画像データ等の各種データを変調して、アンテナ105を介して送信する。また、通信処理部104は、アンテナ105を介して受信した信号を復調してCPU101に出力する。
【0045】
音響処理部106は、CPU101からの音響データを音響信号に変換して通話用のスピーカ107、報知や音楽再生用のスピーカ32に出力する。又、音響処理部106は、マイクロフォン108からの音響信号を音響データに変換してCPU101に出力する。
【0046】
なお、音響処理部106は、例えば基板31に設けられており、音響処理部106からスピーカ32への音響信号の出力は、上述のように、出力端子37、ブリッジ端子33、入力端子39を順に経由して行われる。
【0047】
画像処理部103は、CPU101からの画像データを画像信号に変換してメイン表示部6、サブ表示部35に出力する。また、カメラモジュール51から出力される撮像信号(画像データ)を所定のフォーマットの画像データに変換してCPU101へ出力する。
【0048】
以上の携帯電話機1によれば、基板31は、出力端子37が設けられた実装面31cをリアケース22の内面に対向させて配置され、スピーカ32は、基板31の実装面31cの外方において、リアケース22の内面に入力端子39を対向させて配置され、リアケース22の内面には、一端が出力端子37に、他端が入力端子39に当接するブリッジ端子33が設けられていることから、基板31とスピーカ32とを積層せずに出力端子37から入力端子39に音響信号を入力することができ、受話筐体2内に基板31の厚みとスピーカ32の厚みとを合算した厚みを確保する必要がなくなり、設計の自由度が向上する。その結果、受話筐体2の薄型化、スピーカ32の選択肢の増加、スピーカ32のフロントキャビティやバックキャビティの確保による音質向上の容易化、スピーカ32からの音を筐体外部へ導く音道の設計の容易化などの効果が得られる。
【0049】
また、従来は、出力端子と入力端子とを直接当接させていたことから、スピーカの入力端子は板バネとして機能するようにスピーカの端面から突出しており、組み込み工程等において誤って曲げてしまうおそれがあったが、携帯電話機1では、入力端子39はスピーカ32の端面32aに沿うパッド状に形成されていることから、そのようなおそれがない。
【0050】
さらに、スピーカ32の組み込み又は取り外しと、基板31の組み込み又は取り外しは、それぞれ独立して行うことができる。すなわち、従来は、基板の組み込み前にスピーカを組み込む必要があり、また、スピーカの取り外し前に基板を取り外す必要があったが、その必要がない。その結果、例えば、基板に手を触れる機会が減り、手油等による基板の腐食が低減される。
【0051】
複数のブリッジ端子33は互いに同一の形状であることから、部品の共通化による製造コストの低減が図られる。
【0052】
スピーカ32及び基板31は、入力端子39と出力端子37とがリアケース22の内面への対向方向において均等な位置になるよう配置され、2つの端子片33bは互いに同一の長さであるから、ブリッジ端子33の向きに互換性が生じる。その結果、作業負担が軽減される。例えば、実施形態では、ブリッジ端子33のD字状の孔部33cにリアケース22のボス60を嵌合させてブリッジ端子33を位置決めする構成としたが、これらの位置決め孔及びボスの形状を長方形や長円等の点対称な非円形形状とすれば、ブリッジ端子を入力端子と出力端子とを結ぶ方向に沿って位置決め可能、かつ、2つの端子片33bのいずれを入力端子又は出力端子に当接させてもよいことになり、組み込み作業の負担が軽減され、工数の削減からコストダウンを図れる。
【0053】
なお、以上の実施形態において、受話筐体2のリアケース22は本発明の第1カバー部材の一例であり、受話筐体2のフロントケース21は本発明の第2カバー部材の一例である。
【0054】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施してよい。
【0055】
携帯電子機器は、スピーカ及び基板を収納する筐体を有するものであればよく、携帯電話機に限定されない。例えば、ノートパソコン、PDA、デジタルカメラであってもよい。スピーカは報知用のスピーカに限定されず、例えば通話用のものであってもよい。第1カバー部材と第2カバー部材との固定は、ネジとネジボスとによるものに限定されず、ボルト及びナットのように他の適宜な締結手段によって行われてもよいし、係合部及び被係合部、接着剤などの他の適宜な固定手段により行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機を開状態で示す外観斜視図。
【図2】図1の携帯電話機の受話筐体を正面側から見た分解斜視図。
【図3】図1の携帯電話機の受話筐体を背面側から見た分解斜視図。
【図4】図1の携帯電話機の受話筐体の内部を示す斜視図。
【図5】図1の携帯電話機の平面図及び断面図。
【図6】図1の携帯電話機の信号処理系の構成の一例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0057】
1…携帯電話機(携帯電子機器)、2…受話筐体、21…フロントケース(第2カバー部材)、22…リアケース(第1カバー部材)、31…基板、31c…実装面、32…スピーカ、33…ブリッジ端子、37…出力端子、39…入力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響信号を出力する出力端子が実装面に設けられた基板と、
前記出力端子から出力された音響信号が入力される入力端子を有し、前記入力端子に入力された音響信号を音響に変換するスピーカと、
前記基板及び前記スピーカを内部に格納するよう互いに固定される第1カバー部材及び第2カバー部材を有する筐体と、
を備え、
前記基板は、前記実装面を前記第1カバー部材の内面側に対向させて配置され、
前記スピーカは、前記筐体内において前記基板に隣り合うよう前記実装面の外方において、前記第1カバー部材の前記内面に前記入力端子を対向させて配置され、
前記第1カバー部材の前記内面には、一端が前記出力端子に、他端が前記入力端子に当接する複数の端子片を有するブリッジ端子が設けられている
携帯電子機器。
【請求項2】
前記スピーカを複数備え、
それぞれの前記入力端子及び当該入力端子に前記音響信号の出力を行う前記出力端子の組が複数設けられるとともに、それぞれの前記入力端子と出力端子との組ごとに少なくとも一つが配されるよう前記ブリッジ端子を複数備え、
複数の前記ブリッジ端子は互いに同一の形状である
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記スピーカ及び前記基板は、前記入力端子と前記出力端子とがそれぞれ前記第1カバー部材の前記内面への対向方向において均等な位置になるよう配置され、
前記ブリッジ端子は、前記カバー部材の内面へ取り付けられる取付部を有するとともに、当該取付部から延びて前記入力端子に当接する第1端子片と、前記取付部から延びて前記出力端子に当接する第2端子片とを、前記複数の端紙片として有し、
前記第1端子片と前記第2端子片とは同一の長さである
請求項1又は2に記載の携帯電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−300231(P2007−300231A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124502(P2006−124502)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】