説明

携帯電子機器

【課題】携帯電子機器において、電池蓋にアンテナを実装しながら、電池蓋の薄型化を可能とし、その結果として機器ケースの薄型化を可能とする。
【解決手段】機器ケース1の電池収納用開口部に取り付けられる電池蓋8を備える携帯電子機器において、電池蓋8にアンテナ21を実装し、機器ケース1内に実装された回路と電池蓋8に実装したアンテナ21とを、当該アンテナ端子23に弾接する接点バネ25・26を介して接続する。さらに具体的には、機器ケース1の電池収納用開口部に、回路基板6に実装した接点バネ26と、回路基板6に接続したコネクタピン27とを備える。そして、アンテナ端子23は、電池収納用開口部に電池蓋8を取り付ける際において、接点板25を介して、先行して接点バネ26に接続してから、電池蓋8のスライド動作でコネクタピン27に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器と電磁界信号を介して通信するRFID(Radio Frequency Identification)を搭載した携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器において、アンテナコイルと、アンテナコイルに接続されたICチップ及び電磁シールド材とで構成された無線通信モジュールを、電池蓋の内側に一体で構成したものがある(特許文献1参照)。
また、電池の外側に配置されて電池蓋との間に位置する、アンテナコイルの形成されたフレキシブル基板を、コネクタを介して、携帯電話機の他の場所に実装されているICカードに接続したものもある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−67692号公報
【特許文献2】特開2004−227046号公報(段落0047、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示の構成は、電池蓋の内側にアンテナコイルとともにICチップも設けることから、電池蓋が厚くなってしまう。
また、特許文献2に開示の構成は、電池と電池蓋との間にアンテナコイルの形成されたフレキシブル基板を配置するので、電池を出し入れする際に、フレキシブル基板を引き起こす必要があり、電池を出し入れ作業が面倒である。
【0004】
本発明の課題は、携帯電子機器において、電池蓋にアンテナを実装しながら、電池蓋の薄型化を可能とし、その結果として機器ケースの薄型化を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、機器ケースの電池収納用開口部に取り付けられる電池蓋を備える携帯電子機器において、電池蓋にアンテナを実装し、機器ケース内に実装された回路と前記電池蓋に実装したアンテナとを、当該アンテナの端子に弾接する接点を介して接続したことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯電子機器であって、前記電池収納用開口部に、前記回路の基板に実装した接点バネと、前記回路の基板に接続したコネクタとを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の携帯電子機器であって、前記アンテナの端子は、前記電池収納用開口部に前記電池蓋を取り付ける際において、先行して前記接点バネに接続してから、電池蓋のスライド動作で前記コネクタに接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電池蓋にアンテナを実装することで、外部機器とのRFIDによる非接触データ通信の性能を確保しながら、電池蓋にはアンテナで受信された信号を処理するICチップを設ける必要がないので、電池蓋を薄型化でき、その結果として機器ケースを薄型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図1は本発明を適用した携帯電子機器の一実施形態としての折り畳み式携帯電話機を開いた状態で示したものであり、その機器ケースは、第一の筐体1と第二の筐体2がヒンジ部3を介して互いに折り畳み自在に連結して構成されている。
第一の筐体1には、各種キーによる操作部4等が備えられている。第二の筐体2には、メイン表示部5等が備えられている。
【0010】
図2は図1の携帯電話機を折り畳んだ状態での中央縦断面図で、第一の筐体1内には、回路基板6、電池7等が収納されている。電池7は、回路基板6を挟んで操作部4と反対側に配置され、電池蓋8で覆われている。なお、第二の筐体2には、サブ表示部9等が設けられている。サブ表示部9は、メイン表示部5と反対側に配置されている。
【0011】
図3は図1の携帯電話機を折り畳んだ状態での第一の筐体1の裏面側を示す底面図であり、矢印Cは電池蓋8の閉じ方向を示し、矢印Oは電池蓋8の開き方向を示している。
【0012】
図4は図3の矢印A−A線に沿った断面図で、第一の筐体1は、下ケース11、上ケース12及び中ケース13をビス止めにより合体して構成されている。回路基板6は、RFID用の回路を含む各種回路を実装し、中ケース13にビス止めして固定されている。なお、図5は図4の接点部Bの拡大図である。
【0013】
図6及び図7は電池蓋8の内側面に貼り付けるRFID用アンテナ21及び電波吸収シート22を示したもので、RFID用アンテナ21は、アンテナコイルを形成したフレキシブル基板により構成されている。このRFID用アンテナ21は、一方の面に両面接着テープでフェライトシートによる電波吸収シート22が貼り付けられ、他方の面が両面接着テープで電池蓋8の内側面に貼り付けられている。
【0014】
そして、RFID用アンテナ21には、その一側辺部に沿って前後一対の端子23が備えられている。この端子23は、電池蓋8の内側面の一側辺部に沿って形成した前後一対の端子台24の前後面の一面に沿って立ち上げられている。端子台24には、その前後面を挟む接点バネ25が装着されている。この接点バネ25と端子台24との間に端子23が挟まれて、接点バネ25が端子23に接続されている。
【0015】
また、図9に示すように、下ケース11の電池収納用開口部の奥方には、回路基板6の裏面が位置しており、この回路基板6の裏面には、電池収納用開口部の一側辺部に沿って一対の接点バネ26が実装されている。
さらに、下ケース11の電池収納用開口部の一側辺部に沿った部分には、一対のコネクタピン27が組み付けられている。このコネクタピン27は、図10に示すように、その先端を接点バネ26の近傍に向けて配置されている。このコネクタピン27の外周には、図4に示すように、接点バネ28が取り付けられている。この接点バネ28は、回路基板6の裏面に設けられた接点に弾接状態となっている。
【0016】
以上において、電池蓋8の閉じ方向C(図3参照)のスライドは、図7に示すように、電池蓋8の内側面の周囲に沿って形成した係止突部31・32・33・34・35が、図9に示すように、下ケース11の電池収納用開口部の周囲に沿って形成した係止凹部41・42・43・44・45にそれぞれ係止することでロック状態に保たれる。図11はその状態を示したもので、係止突部34が係止凹部44に係止している。また、このとき、電池蓋8側の接点バネ25は、回路基板6側の接点バネ26及び下ケース11の電池収納用開口部の一側辺部に設けられたコネクタピン27に弾接状態になっている。
【0017】
また、電池蓋8の図3の開き方向O(図3及び図8参照)のスライドは、図8に示すように、下ケース11の電池収納用開口部の周囲に組み付けた押釦46を押すことにより前述した閉じ方向のロック状態が解除されることで許容される。
すなわち、押釦46は、図示しないバネにより突出方向に付勢されて下ケース11の表面と面一状態に保持されており、下ケース11の電池収納用開口部内に位置する押え突部47を一体に有している。この押え突部47は、図11に示すように、係止凹部44に係止状態の係止突部34を背面から押えている。
【0018】
次に、電池蓋8を装着する際のRFID用アンテナ21の接点接続について説明する。
電池蓋8の装着は、その内側面周囲の係止突部31・32・33・34・35を、下ケース11の電池収納用開口部周囲の係止凹部41・42・43・44・45にそれぞれ挿入する。これにより、図12に示すように、電池蓋8側の接点バネ25が回路基板6側の接点バネ26に弾接状態になる。従って、電池蓋8の内側面に実装したRFID用アンテナ21の端子23が、接点バネ25・26を介して、回路基板6に実装したRFID用の回路に接続される。
【0019】
そして、電池蓋8を閉じ方向Cにスライドさせると、図11に示すように、電池蓋8側の接点バネ25が下ケース11側のコネクタピン27に弾接し、続いてコネクタピン27を押し込んだ状態になる。ここで、コネクタピン27の外周に取り付けた接点バネ28は、回路基板6の裏面に設けられた接点に接続状態となっている。
従って、電池蓋8側のRFID用アンテナ21の端子23は、接点バネ25、コネクタピン27及び接点バネ28を介して、同じく、回路基板6側のRFID用の回路に接続された状態になる。
【0020】
以上のように、折り畳み式携帯電話機において、電池蓋8の内側面にRFID用アンテナ21を実装したことで、外部機器とのRFIDによる非接触データ通信の性能を確保できる。
そして、電池蓋8にはRFID用アンテナ21のみを実装して、そのRFID用の回路は回路基板6に実装したことで、電池蓋8にはRFID用の回路(ICチップ)を設ける必要がなく、その分だけ電池蓋を薄型化できるものとなる。従って、その結果として第一の筐体1を薄型化できるものとなる。
【0021】
また、電池蓋8に実装したRFID用アンテナ21の端子23に設けた接点バネ25を、接点バネ26を介して、回路基板6に実装したRFID用の回路に接続した上で、さらに、別のコネクタピン27及び接点バネ28を介して、同じくRFID用の回路に接続したことで、これら二系統の接点接続構造により、携帯時におけるRFIDによる非接触データ通信機能を確保できるものとなる。
【0022】
なお、以上の実施形態においては、携帯電子機器として折り畳み式携帯電話機としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、PDA、その他の携帯型の電子機器であっても良い。
また、電池蓋及びアンテナの形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を適用した携帯電子機器の一実施形態の構成を示すもので、折り畳み式携帯電話機を開いた状態の正面図である。
【図2】図1の携帯電話機を折り畳んだ状態での中央縦断面図である。
【図3】図1の携帯電話機を折り畳んだ状態での第一の筐体1の裏面側を示す底面図である。
【図4】図3の矢印A−A線に沿った断面図である。
【図5】図4の接点部Bの拡大図である。
【図6】電池蓋とアンテナ及び電波吸収シートの貼り付けを示す分解斜視図である。
【図7】電池蓋とアンテナ及び電波吸収シートの貼り付け後を示した斜視図である。
【図8】図3の電池蓋を外す際を示した斜視図である。
【図9】電池蓋を外した状態を示した斜視図である。
【図10】図9の接点部の拡大図である。
【図11】接点部の接続状態(ロック時)を示した縦断面図である。
【図12】接点部のロック解除時を示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1・2 機器ケース
3 ヒンジ部
4 操作部
5 メイン表示部
6 回路基板
7 電池
8 電池蓋
9 サブ表示部
11 下ケース
12 上ケース
13 中ケース
21 アンテナ
22 電波吸収シート
23 端子
24 端子台
25 接点バネ
26 接点バネ
27 コネクタピン
28 接点バネ
31・32・33・34・35 係止突部
41・42・43・44・45 係止凹部
46 押釦
47 押え突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器ケースの電池収納用開口部に取り付けられる電池蓋を備える携帯電子機器において、
電池蓋にアンテナを実装し、
機器ケース内に実装された回路と前記電池蓋に実装したアンテナとを、当該アンテナの端子に弾接する接点を介して接続したことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記電池収納用開口部に、前記回路の基板に実装した接点バネと、前記回路の基板に接続したコネクタとを備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記アンテナの端子は、前記電池収納用開口部に前記電池蓋を取り付ける際において、先行して前記接点バネに接続してから、電池蓋のスライド動作で前記コネクタに接続することを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−54113(P2008−54113A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229406(P2006−229406)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】