説明

携帯電話の充電方法および装置

【課題】外出先等において緊急充電が必要なときに対応でき、携帯用の充電器を常に持ち歩くという負担と煩わしさがなく、信頼性と安定供給に優れる携帯電話の充電方法および装置の提供。
【解決手段】携帯電話の筐体内部表面に近接して配置する発電素子を使用し前記携帯電話における温度差によって熱電発電を行い、その熱電発電により発生した電力を前記携帯電話のバッテリーに供給して充電を行なうことを特徴とする携帯電話の充電方式。およびその充電方式を適用した携帯電話の充電装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話のバッテリーに充電する技術分野に属する。特に、周囲環境の温度(気温)と人体の温度(体温)との温度差を利用して発電する熱電発電の電力を充電に使用する携帯電話の充電方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話はその名のとおり携帯して利用することができる電話である。いつ来るか判らない着信を待ち、必要なときにいつでも電話を掛けることができるように、室内外にかかわらず利用者は携帯電話を身に付けていることが一般的である。このような携帯電話はバッテリーから電力の供給を受けて動作する機器である。いうまでもなくバッテリーは充電によって蓄積された電力を供給するのであるから、定期的に充電を行なわなければならない。旧来の携帯電話は電話とメール作成といった基本的な機能しか持ち合わせていなかったが、昨今の携帯電話は機能拡張が著しく、その機能拡張に伴い携帯電話の電力消費量が増大している。そのため、バッテリーの大型化、その充電の回数と時間の増大化というような問題が起き、利用者にとっては煩わしい充電管理を強いられるという問題が起きている。
【0003】
携帯電話への充電は、一般的には、AC100V(Volt)の家庭電源コンセントから電源ケーブル接続で電力供給を受けた専用の充電器に携帯電話を接続して行なわれる(特許文献1)。また、乾電池を電源として携帯電話の充電に適合する電圧電流を発生する充電パックが市販されており、その充電パックに携帯電話を接続して行なわれる。また、一般的ではないが、携帯電話を携行する利用者の動作によって発生する振動エネルギーを電力に変換して充電する方式の提案がある(特許文献2)。また、充電器の本体にソーラーパネルを設けて、そのソーラーパネルが発生する電力を携帯電話の充電に利用する方式の提案がある(特許文献3)。また、複数個の気温と体温との差異によって発電する熱発電ユニットを結合したバンドと蓄電池と電力出力端子を備える携帯用充電器の提案がある(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−150881
【特許文献2】特開2003−169423
【特許文献3】特開2006−136098
【特許文献4】特開平11−206032 しかしながら、家庭電源コンセントからの電源ケーブル接続は外出先等において緊急充電が必要なときに対応できない。また、携帯用の充電器を常に持ち歩くことは負担であり煩わしい。振動エネルギーや太陽エネルギーを電力に変換する方式は信頼性と安定供給に問題がある。また、熱発電ユニットを結合したバンドを身に付けることは携帯用の充電器を常に持ち歩くこと以上に負担であり煩わしい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、外出先等において緊急充電が必要なときに対応でき、携帯用の充電器を常に持ち歩くという負担と煩わしさがなく、信頼性と安定供給に優れる携帯電話の充電方法および装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る携帯電話の充電方式は、携帯電話の筐体内部表面に近接して配置する発電素子を使用し前記携帯電話における温度差によって熱電発電を行い、その熱電発電により発生した電力を前記携帯電話のバッテリーに供給して充電を行なうようにしたものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る携帯電話の充電方式は、請求項1に係る携帯電話の充電方式において、前記発電素子は前記携帯電話の表面と内部の温度差によって熱電発電を行うようにしたものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る携帯電話の充電方式は、請求項1に係る携帯電話の充電方式において、前記発電素子は前記携帯電話における2つの背反する表面の温度差によって熱電発電を行うことを特徴とする携帯電話の充電方式。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る携帯電話の充電装置は、携帯電話の筐体内部に近接して配置する発電素子を有し前記携帯電話における温度差によって熱電発電を行う発電部と、その熱電発電により発生した電力を前記携帯電話のバッテリーに供給して充電を行なう充電部とを具備するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
外出先等において緊急充電が必要なときに対応でき、携帯用の充電器を常に持ち歩くという負担と煩わしさがなく、信頼性と安定供給に優れる携帯電話の充電方法および装置が提供される。また、携帯電話の利用形態によって消費電力に充電電力が達しないことがあったとしても、携帯電話におけるバッテリーの持続時間を延長させることができ、その充電の回数と時間を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した携帯電話の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明を適用した携帯電話の利用形態の一例(その1)を示す図である。
【図3】本発明を適用した携帯電話の利用形態の一例(その2)を示す図である。
【図4】本発明を適用した携帯電話における発電部の一例を示す図である。
【図5】本発明を適用した携帯電話における充電部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明の携帯電話の充電装置における構成の一例を図1に示す。図1には折畳式の携帯電話を折り畳んだ状態の表面図(A)と、側面図(B)と、裏面図(C)とが、その内部構成が判るように、示されている。図1において、1,2は発電素子、3,4は回路基板、5はバッテリー、6は入力部、7,8は表示部、9はカメラ、10は蝶番、100,200は筐体である。
【0013】
発電素子1,2は熱電変換により発電を行なう素子である。熱電効果としてゼーベック効果、ペルチェ効果、トムソン効果がよく知られている。その内のゼーベック効果は、2種類の金属または半導体のp型とn型で一対の接合部を形成し、一対の接合部の間に温度差を与えると熱起電力を発生する現象のことである。その熱起電力を外部負荷に接続することにより電力を取り出すことができる。発電素子1,2はそのような電力を取り出すことのできる熱起電力を発生する素子である。発電素子1,2における接合部の材料としては、クロメル(ニッケル、クロム合金)−コンスタンタン(銅、ニッケル合金)、鉄−鉄基合金(Fe−4%SiFe)、ビスマス−テルル系(Bi−Te系)、鉛−テルル系(Pb−Te系)、シリコン−ゲルマニウム系(Si−Ge系)、酸化物系、等が周知である。特に、本発明においては低い温度範囲で熱起電力特性の高いビスマス−テルル系が好適である。
【0014】
この一対の接合部において発生する電圧はゼーベック効果におけるゼーベック係数によって決まる。そのゼーベック係数は電圧の単位をV(ヴォルト)、温度差の単位をK(絶対温度)として、金属の場合で数〜数十μV/K、半導体で数百μV/Kである。このように、一対の接合部において発生する電圧は通常の温度範囲においては小さい。したがって、一対の接合部の多数を直列に接続して必要な電圧を得る。また、必要な電流を得るためには一対の接合部の面積を大きくするか、一対の接合部の多数を並列に接続する。発電素子1,2はそのような接続によって必要とする電圧電流、すなわち必要とする熱起電力が得られるようにした発電素子である。発電素子1,2は本発明における発電部を構成する。
【0015】
発電素子1,2は、図1に示すように、外観形状が板状となっている。その板状の発電素子1,2における一方の表面の側に一対の接合部における一方の接合部が形成され、他方の表面の側に他方の接合部が形成されている。多数ある一対の接合部のすべてがそのように形成され、各々の一対の接合部は電気的に接続されている(図4参照)。したがって、形状が板状となっている発電素子1,2の一方の表面の側と他方の表面の側に温度差が発生すると、一対の接合部の間に温度差が発生する。その温度差の発生により、発電素子1,2は熱起電力を発生する。
【0016】
発電素子1は、図1(A)、図1(B)に一例を示すように、筐体100の内部表面に近接して設置される。また同様に、発電素子2は、図1(B)、図1(C)に一例を示すように、形状が板状であり筐体200の内部表面に近接して設置される。特に、図1に一例を示すような折畳式の携帯電話の場合には、発電素子1,2は、折り畳んだときに携帯電話の外側となる筐体100,200の部位における内部表面に近接して設置される。このように筐体100または筐体200の内部表面に近接して設置する理由は、発電素子1,2の接合部において熱の効率的な流れを得られるようするためである。発電素子1,2は熱電変換により発電を行なう素子である。この熱電変換による発電は熱エネルギーを電気エネルギーに変換する過程である。したがって、発電素子1,2の設置形態はその接合部において熱の効率的な流れを得られるようすることが重要である。
【0017】
回路基板3,4は本発明においては携帯電話の各種機能を実現するための電気回路を搭載した回路基板であるだけでなく、本発明の携帯電話の充電装置を実現するための電気回路を搭載した回路基板である。回路基板3,4には本発明における充電部が形成されている。充電部の一例については後述する(図5参照)。
【0018】
バッテリー5は携帯電話に電力を供給するためのバッテリーである。バッテリー5は充電が可能なバッテリーであって本発明の携帯電話の充電装置はこのバッテリー5に対して充電を行なう。すなわち、バッテリー5は本発明における充電対象のバッテリーである。
【0019】
入力部6は携帯電話を操作するときに、電話番号、メールの文章、コマンド、等を利用者が入力する部分である。入力部6はタッチパネル、押ボタン、等によって構成される。
【0020】
表示部7,8は携帯電話の状態(着信状態、通話時間、バッテリー残量、等)、入力または着信した電話番号やメールの文章、その他の情報(ニュースのテロップ等)を利用者に対して表示する部分である。表示部7,8は液晶、有機EL、等の表示パネル、等によって構成される。
【0021】
カメラ9は撮像を行なうためのもので、携帯電話が備える電話機以外の機能の1つとしてのカメラである。
【0022】
蝶番10は、折畳式の携帯電話における筐体100,200の開閉を自在に行なうためのものである。
【0023】
筐体100,200は折畳式の携帯電話における2つの筐体で蝶番10によって開閉自在に結合している。発電素子1,2は、図1に一例を示すように、折り畳んだ状態の携帯電話において外側となる筐体100,200の内部表面に近接した部位に設置される。
【0024】
以上、全体構成について説明した。この全体構成から明らかなように、本発明の携帯電話の充電装置は携帯電話の本体の内部に完全に一体のものとして形成される。したがって、携帯電話とは別個に携帯用の充電器を持ち歩くという負担と煩わしさがない。
【0025】
次に、本発明の携帯電話の充電装置における発電部について説明する。
【0026】
上述した構成の携帯電話を利用者が携帯するときの利用形態の一例を図2に示す。図2に示す一例においては、携帯電話を上着のポケットに収める等により、携帯電話の一方の側である筐体100の側が人側で、携帯電話の他方の側である筐体200の側が外側となっている。人側は体温(たとえば摂氏36度(36℃))が作用することにより相対的に高温となっており、外側は気温(たとえば摂氏20度(20℃))が作用することにより相対的に低温となっている。すなわち、筐体100の側は相対的に高温となっており、筐体200の側は相対的に低温となっている。熱流は、図2において矢印→で示すように、人側から携帯電話を通過して外側に向かって流れる熱流となっている。
【0027】
このような、図2に示す一例の利用形態においては、発電素子1,2における温度の状況は、発電素子1の人側に近い接合部が最も高い温度となっており、発電素子1の人側から離れた接合部が次に高い温度となっており、発電素子2の人側に近い接合部がその次に高い温度となっており、発電素子2の人側から離れた接合部が最も低い温度となっている。このように、発電素子1,2の各々における一対の接合部において温度差が生じることにより発電素子1,2の各々は熱起電力を生じ発電を行う。
【0028】
この説明では、携帯電話における電力消費により携帯電話そのものが発熱することは考慮に入れていない。しかし、携帯電話を上着のポケットに収める等により携帯するとき、すなわち図2に示す利用形態においては、携帯電話は待機状態であるから携帯電話そのものの発熱は小さく、定常状態において無視することができる。
【0029】
上述とは別の携帯電話の利用形態の一例を図3に示す。図3(A)に示す一例は携帯電話の温度が周囲温度よりも低い場合を示す図であり、図3(B)に示す一例は携帯電話の温度が周囲温度よりも高い場合を示す図である。
【0030】
たとえば、肌身離さず携帯して体温で暖められた携帯電話を机の上、等の気温に相当する周囲環境に置いたとき、あるいは気温の低い冬季においてハンドバックに入れて外出した後に暖房の効いた気温の高い室内に携帯電話を持ち込んだとき、等においては携帯電話の温度が周囲温度よりも低い。そのようなときには、図3(A)に示すように、熱流は、図3(A)において矢印→で示すように、周囲から携帯電話に向かって流れる熱流となっている。このような、図3(A)に示す一例の利用形態においては、発電素子1,2における温度の状況は、発電素子1,2の各々における周囲の側に近い接合部が高い温度となっており、発電素子1,2の各々における周囲の側から離れた接合部が相対的に低い温度となっている。このように、発電素子1,2の各々における一対の接合部において温度差が生じることにより発電素子1,2の各々は熱起電力を生じ発電を行う。
【0031】
またたとえば、長電話をした、ワンセグTVを見ていた等において電力消費により携帯電話そのものが発熱したとき、あるいは気温の高い夏季においてハンドバックに入れて外出した後に冷房の効いた気温の低い室内に携帯電話を持ち込んだとき、等においては携帯電話の温度が周囲温度よりも高い。そのようなときには、図3(B)に示すように、熱流は、図3(B)において矢印→で示すように、携帯電話から周囲に向かって流れる熱流となっている。このような、図3(B)に示す一例の利用形態においては、発電素子1,2における温度の状況は、発電素子1,2の各々における周囲の側に近い接合部が低い温度となっており、発電素子1,2の各々における周囲の側から離れた接合部が相対的に高い温度となっている。このように、発電素子1,2の各々における一対の接合部において温度差が生じることにより発電素子1,2の各々は熱起電力を生じ発電を行う。
【0032】
本発明を適用した携帯電話における発電部の一例を図4に示す。発電部は、図4に示す一例においては、半導体のp型とn型で一対の接合部を形成した発電素子1,2を有している。また、発電素子1,2は、図4に示すように、一対の接合部の多数を電極によって直列に接続して必要な電圧を得る構成を有している。その直列に接続した両端の電極、すなわち発電素子1においては電極Aと電極B、発電素子2においては電極Cと電極Dが発電素子の出力端子となっている。そして、発電素子1,2は、それらの端子からバッテリー5に充電する電力を供給する。
【0033】
図4において、(内部)は携帯電話の内部であることを示し、(外部)は携帯電話の外部であることを示している。筐体100,200の各々は携帯電話の内部と外部の境界に存在する。その筐体100,200の各々の内部表面に近接して発電素子1,2の各々が設置されている。筐体100,200が電気的な絶縁性を有する材料すなわち強誘電体材料であるときには発電素子1,2を直接機械的に接触させることができる。また、筐体100,200が電気的な絶縁性を有しない材料すなわち導電材料であるときには発電素子1,2を電気的な絶縁性を有する材料を介して機械的に接触させることができる。
【0034】
以上、発電部について説明した。次に、本発明の携帯電話の充電装置における充電部について説明する。本発明を適用した携帯電話における充電部の一例を図5に示す。充電部は、図5に示すように、電極Aと電極Bを入力端子とするダイオードブリッジと電極Cと電極Dを入力端子とするダイオードブリッジの2つを有し、それら2つのダイオードブリッジの出力端子を直列に接続してバッテリーに直接接続する構成となっている。
【0035】
ダイオードD11〜D24は整流用のダイオードであり、それらの極性から明らかなように、バッテリー5の正極の側から充電部の正極の側へは電流が流出することはなく、バッテリー5の負極の側へ充電部の負極の側から電流が流入することはない。すなわち、バッテリー5の側から見ると充電部は無限大のインピーダンスを有している。
【0036】
一方、充電部の電圧がバッテリーの電圧よりも大きいときには、ダイオードD11〜D24の極性から明らかなように、充電部の正極の側からバッテリー5の正極の側へ電流が流出し、充電部の負極の側へバッテリー5の負極の側から電流が流入する。すなわち、この電流の流れによって充電が行なわれる。
【0037】
充電が行なわれているときの電流の流れは次のようになる。
【0038】
電極Aと電極Cが正極であり、電極Bと電極Dが負極のときには、発電素子1の電極Aから流出する電流はダイオードD11を経由して充電部の正極の側に達しそこからバッテリー5の正極の側へ流入する。バッテリー5の負極の側から流出する電流は充電部の負極の側に達し、そこからダイオードD24を経由して発電素子2の電極Dに流入する。発電素子2の電極Cから流出する電流はダイオードD21を経由しさらにダイオードD14を経由して発電素子1の電極Bに流入する。
【0039】
電極Bと電極Cが正極であり、電極Aと電極Dが負極のときには、発電素子1の電極Bから流出する電流はダイオードD13を経由して充電部の正極の側に達しそこからバッテリー5の正極の側へ流入する。バッテリー5の負極の側から流出する電流は充電部の負極の側に達し、そこからダイオードD24を経由して発電素子2の電極Dに流入する。発電素子2の電極Cから流出する電流はダイオードD21を経由しさらにダイオードD12を経由して発電素子1の電極Aに流入する。
【0040】
電極Aと電極Dが正極であり、電極Bと電極Cが負極のときには、発電素子1の電極Aから流出する電流はダイオードD11を経由して充電部の正極の側に達しそこからバッテリー5の正極の側へ流入する。バッテリー5の負極の側から流出する電流は充電部の負極の側に達し、そこからダイオードD22を経由して発電素子2の電極Cに流入する。発電素子2の電極Dから流出する電流はダイオードD23を経由しさらにダイオードD14を経由して発電素子1の電極Bに流入する。
【0041】
電極Bと電極Dが正極であり、電極Aと電極Cが負極のときには、発電素子1の電極Bから流出する電流はダイオードD13を経由して充電部の正極の側に達しそこからバッテリー5の正極の側へ流入する。バッテリー5の負極の側から流出する電流は充電部の負極の側に達し、そこからダイオードD22を経由して発電素子2の電極Cに流入する。発電素子2の電極Dから流出する電流はダイオードD23を経由しさらにダイオードD12を経由して発電素子1の電極Aに流入する。
【0042】
上述の充電が行なわれているときの電流の流れから明らかなように、図5に一例を示す充電部においては、発電素子1の電極Aと電極Bの極性、および発電素子2の電極Cと電極Dの極性に係わらず充電が行なわれる。また、図5に一例を示す充電部においては、発生する電圧は、発電素子1(極Aと電極Bの間)で発生した電圧と、発電素子2(電極Cと電極Dの間)で発生した電圧とを加算した電圧となる(正確にはD11〜D24、配線、等における電圧降下を考慮に入れる。)。言い換えると、発電素子1,2における一対の接合部において温度差があるときには、その温度差の向きに係わらず充電に利用することができる。そして発電素子1,2において発生する電圧の合計がバッテリー5が発生する電圧を超えれば充電が行なわれることになる。
【0043】
なお、発電素子1,2からバッテリー5への充電電流が大きくなると発電素子1,2の内部抵抗により発電素子1,2において発生する電圧が低下するように作用する。したがって、発電素子1,2において発生する電圧の合計がバッテリー5が発生する電圧を大きく超えて危険な状態となるようなことは避けられる。勿論、必要に応じて充電の電圧と電流を制限する電気回路を設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
携帯電話のようなバッテリーで動作する電気機器に対し充電する用途において利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1,2 発電素子
3,4 回路基板
5 バッテリー
6 入力部
7,8 表示部
9 カメラ
10 蝶番
100,200 筐体
D11〜D24 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話の筐体内部表面に近接して配置する発電素子を使用し前記携帯電話における温度差によって熱電発電を行い、その熱電発電により発生した電力を前記携帯電話のバッテリーに供給して充電を行なうことを特徴とする携帯電話の充電方式。
【請求項2】
請求項1記載の携帯電話の充電方式において、前記発電素子は前記携帯電話の表面と内部の温度差によって熱電発電を行うことを特徴とする携帯電話の充電方式。
【請求項3】
請求項1記載の携帯電話の充電方式において、前記発電素子は前記携帯電話における2つの背反する表面の温度差によって熱電発電を行うことを特徴とする携帯電話の充電方式。
【請求項4】
携帯電話の筐体内部に近接して配置する発電素子を有し前記携帯電話における温度差によって熱電発電を行う発電部と、その熱電発電により発生した電力を前記携帯電話のバッテリーに供給して充電を行なう充電部とを具備することを特徴とする携帯電話の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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