説明

携帯電話機、キーイルミネーション方法およびキーイルミネーションプログラム

【課題】ユーザが当該メールをメインディスプレイに表示させる前に、携帯電話機の筐体を開くだけでそのメールの内容を知ることを可能とする携帯電話機などを提供する。
【解決手段】本発明に係る携帯電話機10は、開閉可能な筐体11と、筐体の開閉操作を認識する入力制御部114と、複数の操作キーを備えるキー操作部102と、独立して点灯可能であるキーバックライト103と、電子メールの送受信を行うメール送受信部111と、新着電子メールの内容から当該メールの表している内容について判断する感情認識判断部112と、キーバックライトを発光させるパターンを記憶する表示パターン記憶部123と、判断された内容に対応するパターンに基づいてキーバックライトを発光制御する表示制御部113とを有し、入力制御部が筐体の開閉操作を認識し、かつ未読メールが存在する場合に、表示制御部がキーバックライトを発光制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機に関し、特に操作キーを特定の表示パターンで発光制御するキーイルミネーションに関する。
【背景技術】
【0002】
電子メール(以後単にメールという)を送受信可能な携帯電話機は、いまや我々の生活にすっかり定着している。携帯電話機がメールを受信すると、そのメールの差出人に応じて異なる着信音の鳴動やメインディスプレイの表示(たとえば差出人の顔写真を表示するなど)を行うことも一般的であり、これによってユーザは誰からのメールを受信したかを知ることができる。
【0003】
また、携帯電話機においては、メインディスプレイだけでなく、たとえば開閉可能な筐体を閉じた状態でも確認できるサブディスプレイや、電話番号や文字の入力に使用される操作キーを特定の色やパターンなどで光らせるイルミネーションによって、種々の情報をユーザに伝えるという構成も一般的にみられる。
【0004】
これに関連する技術として、たとえば次のような文献がある。特許文献1には、動作に応じて操作キーを2種類以上の色で光らせることが可能な携帯電話機が記載されている。特許文献2には、ディスプレイ用と操作キー用というように、複数領域に分割されたバックライトを備えた携帯電話機が記載されている。特許文献3には、操作キーの各々に3色のLEDによるキーバックライトが配置されており、各々のキーを異なる発光色で光らせて特定のパターンのイルミネーションを表示することが可能な携帯電話機が記載されている。
【0005】
一方、特許文献4には、受信したメールの内容をキーワードによって解析して、そのメールが表す感情に応じたアイコンを表示する通信機器が記載されている。特許文献5には、操作キーの各々に配置されたバックライトが、伝達すべき状態情報に応じて点灯する携帯電話機が記載されている。
【0006】
図7は、特許文献3、4、および5を組み合わせて得られる携帯電話機の動作を示すフローチャートである。携帯電話機が新規メールを受信し、その内容を保存する(ステップS501)と、その受信された新規メールのテキストデータを感情キーワードと照合して、そのテキストデータがどのような感情を表しているかを解析する(ステップS502)。
【0007】
該携帯電話機にあらかじめ保存された設定パターンに基づき、ステップS502の解析で得られたその新規メールの表している感情に対応した点灯パターンで、各々のキーを光らせてイルミネーションを表示する(ステップS503)。そして、その新規メールをメインディスプレイに表示する(ステップS504)。
【0008】
このように、特許文献3、4、5の技術を組み合わせることにより、受信したメールの表す感情を検出して、その感情に応じて操作キーを特定のパターンのイルミネーションで光らせ、これによって当該メールの表す感情をユーザに伝えるということが可能となる。
【0009】
【特許文献1】特開2001−217904号公報
【特許文献2】特開2002−101195号公報
【特許文献3】特開2005−134998号公報
【特許文献4】特開2007−148939号公報
【特許文献5】特表2006−520125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般的な携帯電話機では、ユーザは着信音の鳴動によってメールの受信を知ることができる。またユーザは、その着信音の種類やメインディスプレイの表示の種類によって、そのメールが誰からのものであるかを知ることができる。しかしながら、その着信音や表示の種類は、一般的にそのメールの差出人のアドレスのみによって判断される。従ってユーザは、そのメールの内容については、当該メールをメインディスプレイに表示させるまで知ることはできない。
【0011】
一方、特許文献4には、受信したメールの内容を解析して、そのメールが表す感情を検出し、その感情に応じた表示をメインディスプレイ上に行うという携帯電話機が記載されている。また、特許文献3には、操作キーの各々を異なる発光色で光らせて特定のパターンのイルミネーションを表示させる携帯電話機が記載されている。さらに特許文献5には、ユーザに伝達すべき状態情報に応じて操作キーの点灯させる携帯電話機が記載されている。
【0012】
従って、前述の特許文献3〜5の組み合わせによる携帯電話機で、着信音の鳴動によってメールの受信を知ったユーザは、操作キーのイルミネーションによる点灯を見てそのメールの表す感情を知ることは可能となる。
【0013】
しかしながら、多くの携帯電話機は開閉式であり、メールをメインディスプレイに表示させる操作をするには、まずその携帯電話機の筐体を開いて、それからメールを表示させる操作をする必要がある。この操作を簡略化し、ユーザが筐体を開くだけでそのメールの内容を知ることのできる構成は、特許文献1〜5の組み合わせによっても得ることはできない。
【0014】
本発明の目的は、ユーザが当該メールをメインディスプレイに表示させる前に、携帯電話機の筐体を開くだけでそのメールの内容を知ることを可能とする携帯電話機、キーイルミネーション方法およびキーイルミネーションプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る携帯電話機は、開閉可能な筐体と、筐体の開閉操作を認識する入力制御部と、ユーザからの操作入力を受け付ける複数の操作キーを備えるキー操作部と、各操作キーの背後を照らす操作キーごとに独立して点灯可能であるキーバックライトと、電子メールの送受信を行うメール送受信部と、メール送受信部によって受信された新着電子メールから当該メールが表している内容があらかじめ指定されたいずれの内容に該当するかを判断する感情認識判断部と、感情認識判断部によって判断された内容に対応してキーバックライトを発光させるパターンをあらかじめ記憶する表示パターン記憶部と、感情認識判断部によって判断された内容に対応するパターンに基づいてキーバックライトを発光制御する表示制御部とを有し、入力制御部が筐体の開閉操作を認識し、かつメール送受信部によって受信された未読メールが存在する場合に、感情認識判断部が認識した内容に対応するパターンに基づいて、表示制御部がキーバックライトを発光制御することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係るキーイルミネーション方法は、開閉可能な筐体と、ユーザからの操作入力を受け付ける複数の操作キーを備えるキー操作部と、各操作キーの背後を照らす操作キーごとに独立して点灯可能であるキーバックライトとを有する携帯電話機にあって、新着電子メールの内容に応じたパターンでキーバックライトを発光制御するキーイルミネーション方法であって、新着電子メールを受信し、受信された新着電子メールから当該メールの表している内容があらかじめ指定されたいずれの内容に該当するかを判断し、携帯電話機の筐体の開閉操作を認識し、開閉操作が認識され、かつ新着メールが未読である場合に、新着メールについて判断された内容に対応してあらかじめ記憶されたパターンに基づいてキーバックライトを発光制御することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係るキーイルミネーションプログラムは、開閉可能な筐体と、ユーザからの操作入力を受け付ける複数の操作キーを備えるキー操作部と、各操作キーの背後を照らす操作キーごとに独立して点灯可能であるキーバックライトとを有する携帯電話機にあって、携帯電話機が備えるコンピュータに、新着電子メールを受信する手順と、受信された新着電子メールの内容から当該メールの表している内容があらかじめ指定されたいずれの内容に該当するかを判断する手順と、携帯電話機の筐体の開閉操作を認識する手順と、開閉操作が認識され、かつ新着メールが未読である場合に、新着メールについて判断された内容に対応してあらかじめ記憶されたパターンに基づいてキーバックライトを発光制御する手順とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上述したように携帯電話機の筐体の開閉操作を認識したことに応じて、新着電子メールの内容から認識された内容に対応するパターンに基づいてキーバックライトを発光させるように構成したので、ユーザが当該メールをメインディスプレイに表示させる前にキーイルミネーションを通じて当該メールの内容を知ることができる。これによって、ユーザが携帯電話機の筐体を開くだけでそのメールの内容を知ることを可能とするという、従来にない優れた携帯電話機、キーイルミネーション方法およびキーイルミネーションプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施形態の内容)
以下、本発明の実施形態の構成について添付図1〜2に基づいて説明する。
最初に、本実施形態の基本的な内容について説明し、その後でより具体的な内容について説明する。
本実施形態に係る携帯電話機10は、開閉可能な筐体11と、筐体の開閉操作を認識する入力制御部114と、ユーザからの操作入力を受け付ける複数の操作キーを備えるキー操作部102と、各操作キーの背後を照らす操作キーごとに独立して点灯可能であるキーバックライト103と、メール送受信部によって受信された新着電子メールから当該メールが表している内容があらかじめ指定されたいずれの内容に該当するかを判断する感情認識判断部112と、感情認識判断部112によって判断された内容に対応してキーバックライト103を発光させるパターンを記憶する表示パターン記憶部(表示パターン123)と、感情認識判断部112によって判断された内容に対応するパターンに基づいてキーバックライトを発光制御する表示制御部113とを有する。同時に、入力制御部114が筐体11の開閉操作を認識し、かつメール送受信部111によって受信された未読メールが存在する場合に、感情認識判断部112が認識した内容に対応するパターンに基づいて、表示制御部113がキーバックライト103を発光させる。
【0020】
また、携帯電話機10は、ユーザに対して種々の情報を出力するメインディスプレイ101を備え、表示制御部113が、感情認識判断部112によって判断された内容に対応してあらかじめ記憶されたパターンに基づいてキーバックライト103を発光制御すると共に、このパターンに対応するアイコンをメインディスプレイ101に表示させる。
【0021】
同時に感情認識判断部112には、新着メールのテキストデータ121と照合してテキストデータ121がいずれの内容に該当するかを判断するための感情キーワード記憶部(感情キーワード122)が併設されている。
【0022】
ここで感情認識判断部112が新着メールについて判断するようあらかじめ指定された内容が、「ビジネス」「お知らせ」「迷惑メール」と「該当なし」のうち、少なくとも1つ以上を含む。さらに、感情認識判断部112が、新着メールの内容が「迷惑メール」に該当すると判断した場合、表示制御部113はキーバックライト103を発光させる処理を行わない。
【0023】
さらに、キーバックライト103は各キーごとに複数色の発光が可能であり、表示制御部113がキーバックライト103を各キーごとに異なる発光色で発光制御することが可能である。
【0024】
この構成を備えることにより、本実施形態は、ユーザが携帯電話機の筐体を開くだけでそのメールの内容を知ることを可能とする。
以下、これをより詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機10の構成を示す説明図である。図1(a)は携帯電話機10の筐体11の外観を示し、図1(b)は筐体11内部の概略構成を示す。携帯電話機10は、開閉可能な筐体11を備え、ユーザに対して種々の情報を出力する液晶表示装置であるメインディスプレイ101、ユーザからの操作入力を受け付ける複数の操作キーを備えるキー操作部102、およびキー操作部102を構成する各々の操作キーの背後を照らすキーバックライト103を備える。図1(a)では、キーバックライト103の一部が「色A」なる点灯色で点灯している状態を示している。
【0026】
さらに携帯電話機10は、その各部の動作を制御する動作プログラムを記憶するRAM(Random Access Memory)104、携帯電話機10と地上局(図示せず)との間でメールのデータを通信する無線通信部105、各種データおよびプログラムを記憶する不揮発性記憶装置である記憶部106、およびRAM104に記憶されたプログラムを実行するMPU(Micro Processing Unit)である制御部107を備える。
【0027】
無線通信部105を制御してメールの送受信を行うメール送受信部111、受信されたメールの内容から当該メールの表している感情もしくは内容を認識する感情認識判断部112、感情認識判断部112が認識した感情もしくは内容に基づいてメインディスプレイ101およびキーバックライト103に特定の表示を実行する表示制御部113、およびユーザによるキー操作部102の操作および筐体11を開閉する操作を検出する入力制御部114は、いずれも記憶部106からRAM104に読み出され、制御部107で実行されるプログラムである。
【0028】
記憶部106には、メール送受信部111が受信したメールの内容であるテキストデータ121、感情認識判断部112が感情もしくは内容の認識のために使用するキーワードのリストである感情キーワード122、および表示制御部113が行うメインディスプレイ101およびキーバックライト103の表示のパターンを示す表示パターン123が記憶される。
【0029】
図2は、図1で示した携帯電話機10のキー操作部102およびキーバックライト103のより詳細な構成を示す説明図である。図2(a)はキー操作部102を前面から見た状態、図2(b)はそこから前面カバーを取り外した状態、図2(c)は操作キー201に備え付けられたライト202のうちの1つを拡大した状態、図2(d)はメインディスプレイ101に新規メール到着の状態が表示され、同時にライト202の一部が「色A」による表示パターン123に基づいて点灯された状態を示す。
【0030】
キー操作部102は、操作者が指で触って操作可能な複数の操作キー201を備え、各々の操作キー201は透光性部材で構成されていると同時に、該操作キー201の各々の背後を照らすライト202が備えられている。
【0031】
図2(c)に示すように、ライト202は、RGBの3色の点灯素子202r、202g、202bを備える。同時にライト202はR、G、B、接地(GND)の4つの端子を備え、Rと接地との間を通電すれば赤色(R)の点灯素子202rが点灯する。Gと接地との間を通電すれば緑色(G)の点灯素子202rが点灯する。Bと接地との間を通電すれば青色(B)の点灯素子202rが点灯する。
【0032】
表示制御部113は各キーの各色ごとに各々の点灯素子を独立して通電することが可能であり、これによってライト202を各キーごとに異なる発光色で発光制御可能である。表示制御部113は、感情認識判断部112が認識した感情もしくは内容に応じて、表示パターン123に登録されたパターンをライト202によって表示することができる。
【0033】
なお、キー操作部102に実装された操作キー201およびライト202の実装位置と個数は、面積などの実装条件内で任意に決定して配置することができる。図2では、横3個×縦7個の操作キー201を配置し、各々の操作キー201に対応してライト202を実装した例を示すが、実際にはこの配置に限定されない。
【0034】
(新規メール受信時の処理)
図3は、携帯電話機10が新規メールを受信した際に行う処理を表すフローチャートである。メール送受信部111が新規メールを受信し、その内容をテキストデータ121として保存する(ステップS301)と、感情認識判断部112は受信された新規メールの件数をチェックする(ステップS302)。複数のメールが同時に受信された場合、最新のメール1件のみを以後に示す処理の対象として(ステップS303)、ステップS304に進む。受信された新規メールが1件のみの場合は、もちろんそれを以後に示す処理の対象としてステップS304に進む。
【0035】
感情認識判断部112は、対象として指定されたメールのテキストデータ121を感情キーワード122と照合して、感情キーワード122と一致するフレーズと、そのフレーズが表す感情もしくは内容とを点数化し、どのような感情もしくは内容を表すフレーズが最も高い点数を得たかを解析する(ステップS304)。
【0036】
この時、感情キーワード122では、いわゆる絵文字や顔文字などのような感情を表しやすい文字やフレーズに対して、より高い点数が与えている。感情認識判断部112は、最も高い点数を得た感情もしくは内容を、このメールが表す感情もしくは内容として認識する。ただし、感情認識についての処理はこの例に限定されず、より高度な感情解析が可能な公知技術を適用することができる。
【0037】
ステップS304で感情認識判断部112が認識した感情もしくは内容に基づいて、表示制御部113は表示パターン123を検索し(ステップS305)、それに基づいてキーバックライト103を点灯させる(ステップS306)。以後、表示パターン123に基づいてキーバックライト103を点灯させる動作のことをキーイルミネーションという。
【0038】
これと同時に、メール送受信部111が通常の新規メール受信時と同様にして、この新規メールのテキストデータ121をメインディスプレイ101に表示する(ステップS307)。この時、ステップS304で感情認識判断部112が認識した感情もしくは内容に応じたアイコンを、表示制御部113が同時にメインディスプレイ101に表示する。このアイコンのパターンも、表示パターン123に含まれて記憶部106に記憶されている(後述のアイコンパターン123a)。
【0039】
また、このアイコンの表示と同時に、たとえば着信音の鳴動、バイブレーターの振動(いずれも図示せず)などもユーザの事前の設定などに基づいて、適宜行うことができる。以上で、新規メール受信時の処理を終了する。このステップS306および307の処理は、新規メールが受信された直後からあらかじめ設定された処理継続時間(通常は数秒間程度)行われる。
【0040】
以上に示した処理により、ユーザはキーイルミネーションを通じてこの新規メールの大まかな内容を知ることができる。
【0041】
(表示パターン)
図4は、図3のステップS306および307で使用される、表示パターン123の一例を示す表である。この例では、感情認識判断部112は「喜び」「怒り」「悲しみ」「楽しい」という4種類の感情、および「ビジネス」「お知らせ」「迷惑メール」という3種類の内容と、これらのいずれの感情や場合にも該当しない「該当なし」とを、テキストデータ121を感情キーワード122と照合することによって認識する。
【0042】
ちなみに、「ビジネス」は、ユーザが仕事で交換するメールを表す。「お知らせ」は、たとえばメールマガジンなどのように、ユーザ本人が受け取りを希望して配信される各種の告知事項を記載したメールを表す。「迷惑メール」は、ユーザ本人が受け取りを希望していないのに送信される、主に公序良俗に反する内容の商用宣伝目的のメールを表す。
【0043】
これらの「ビジネス」「お知らせ」「迷惑メール」の3種類は該メールの「内容」を表すものであり、「感情」であるとは言えない。しかしながら、感情認識判断部112はこれらの内容についても、感情キーワード122の選択によって他の4種類の「感情」を認識するのと同一の手法によって認識することが可能であるため、ここでは「感情」の一種として捉えてもよい。
【0044】
表示パターン123は、それら各々の感情キーワードに対して、メインディスプレイ101に表示するアイコンパターン123a、キーバックライト103を点灯させるイルミネーション点灯色123b、およびイルミネーション点灯パターン123cを対応づけて記憶している。それらの感情および内容のいずれにも該当しない「該当なし」の場合のデータも、表示パターン123には含まれている。
【0045】
ちなみに、感情キーワードが「迷惑メール」の場合は、キーイルミネーションの点灯は行わないので、イルミネーション点灯色123bおよびイルミネーション点灯パターン123cは登録されていない。感情キーワードが「該当なし」の場合は、ステップS307ではメインディスプレイ101へのアイコンの表示を行わないので、アイコンパターン123aは登録されていない。
【0046】
図5は、図4で示したイルミネーション点灯パターン123cの一例を示す説明図である。図5は、図2に示したキー操作部102を前面から見た状態で、各操作キー201に備えられたライト202の各々の点灯色を、文字によって示している。文字の表示されていないキーは点灯されないことを示している。
【0047】
図5(a)は「お知らせ」、図5(b)は「喜び」、図5(c)は「怒り」に該当するイルミネーション点灯パターン123cの例を示す。共に、図4に示されたイルミネーション点灯色123bに基づいて点灯する色が決定され、またイルミネーション点灯パターン123cが決定される。ここでいう色およびパターンについては、色彩心理学的手法などを利用して適宜決定することができる。
【0048】
図5(a)の「お知らせ」に該当するイルミネーション点灯パターン123cは、(a−1)〜(a−6)に示すように、緑色の点灯で「中心の1点を表示後、中心点から横の点を表示、横一線表示したら縦へ点灯する」という形の点灯パターンを、1パターンあたり0.5秒間ずつ表示するパターンである。図5(a)では緑色の点灯を「緑」の文字で表示し、文字の表示されていないキーは点灯されないことを示している。
【0049】
図5(b)の「喜び」に該当するイルミネーション点灯パターン123cは、(b−1)〜(b−3)に示す「全てのキーについて、黄色、黄緑、水色を3通りの表示色を散りばめ、輝度レベルは明るめで点灯させる」という形の点灯パターンを、1パターンあたり0.5秒間ずつ表示するパターンである。図5(b)では黄色、黄緑、水色の各色での点灯を各々「黄」「緑」「水」の文字で表示している。
【0050】
図5(c)の「怒り」に該当するイルミネーション点灯パターン123cは、(c−1)〜(c−2)に示す「全てのキーについて、赤色表示、かつ最大輝度で点滅させる」という形の点灯パターンを、1パターンあたり0.3秒間ずつ表示するパターンである。図5(c)では赤色の点灯を「赤」の文字で表示し、文字の表示されていないキーは点灯されないことを示している。
【0051】
(ユーザが携帯電話機を操作した時の処理)
図6は、図3で示した新規メール受信時の処理が行われた後で、ユーザが携帯電話機10をキー操作もしくは筐体11を開閉した際の処理を示すフローチャートである。入力制御部114がユーザによる筐体11の開閉の操作、もしくはキー操作部102の操作を検出すると(ステップS401)、まずメール送受信部111が新規メールの有無を判断する(ステップS402)。
【0052】
ステップS402で新規メールがなければ、表示制御部113が通常の設定に基づいてキーイルミネーションを行う(ステップS406)。この場合のキーイルミネーションは、認識された感情および内容とは関係なく、イルミネーション点灯パターン123cに「該当なし」の場合のパターンとして登録されたパターンを使用する。
【0053】
ステップS402で新規メールがあれば、さらに入力制御部114に検出されたこの操作が「初回の操作」であるか否かを判断する(ステップS403)。「初回の操作」でなければ、前述のステップS406に進む。新規メールがあり、かつ「初回の操作」であれば、当該新規メールに対して図3の処理で認識された感情に基づいて表示制御部113が表示パターン123を検索し(ステップS404)、それに基づいてキーイルミネーションを行う(ステップS405)。
【0054】
これと同時に、メール送受信部111が通常の新規メール受信時と同様にして、この新規メールのテキストデータ121をメインディスプレイ101に表示する(ステップS407)。前述のステップS406の処理が終了した後も、このステップS407に進む。このステップS407では、前述のステップS307と同様に、感情認識判断部112が認識した感情に応じたアイコン(アイコンパターン123a)を、表示制御部113が同時にメインディスプレイ101に表示する。
【0055】
前述のステップS406に進んだ後も、ステップS407でテキストデータ121をメインディスプレイ101に表示するが、この場合はアイコンの表示はない。以上で、新規メール受信時の処理を終了し、ユーザの操作に基づいたメールの読み書きに係る通常の処理となる。
【0056】
(全体的な動作)
次に、上記の第1の実施形態の全体的な動作について説明する。本実施形態に係る動作は、開閉可能な筐体11と、ユーザからの操作入力を受け付ける複数の操作キーを備えるキー操作部102と、各操作キーの背後を照らす操作キーごとに独立して点灯可能であるキーバックライト103とを有する携帯電話機10にあって、新着電子メールの内容に応じたパターンでキーバックライトを点灯させるキーイルミネーション方法であって、新着電子メールを受信し(図3:ステップS301)、受信された新着電子メールから当該メールの表している内容があらかじめ指定されたいずれの内容に該当するかを判断し(図3:ステップS304)、携帯電話機の筐体の開閉操作を認識し(図6:ステップS401)、開閉操作が認識され、かつ新着メールが未読である場合に(図6:ステップS402)、新着メールについて判断された内容に対応してあらかじめ記憶されたパターンに基づいてキーバックライトを発光制御する(図6:ステップS404〜405)。
【0057】
ここで、上記各動作ステップについては、これをコンピュータで実行可能にプログラム化し、これらを前記各ステップを直接実行するコンピュータである制御部107に実行させるようにしてもよい。
この動作により、本実施形態は以下のような効果を奏する。
【0058】
ユーザは、図3に示した新規メール受信直後のステップS306および307の処理に対して、他の用事などのため、すぐには反応できない場合がある。そこで、未読メールがある状態でユーザが携帯電話機10をキー操作もしくは開閉した場合に、図6に示した処理が行われることにより、ユーザはメインディスプレイ101に新規メールの内容を表示させる操作をする前に、キーイルミネーションを通じてこの新規メールの大まかな内容を知ることができる。本実施形態は、このことによって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0059】
これまで本発明について図面に示した特定の実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、携帯電話機に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の構成を示す説明図である。図1(a)は携帯電話機の筐体の外観を示し、図1(b)は筐体内部の概略構成を示す。
【図2】図1で示した携帯電話機のキー操作部およびキーバックライトのより詳細な構成を示す説明図である。図2(a)はキー操作部を前面から見た状態、図2(b)はそこから前面カバーを取り外した状態、図2(c)は操作キーに備え付けられたライトうちの1つを拡大した状態、図2(d)はメインディスプレイに新規メール到着の状態が表示され、同時にライトの一部が「色A」による表示パターンに基づいて点灯された状態を示す。
【図3】携帯電話機が新規メールを受信した際に行う処理を表すフローチャートである。
【図4】図3のステップS306および307で使用される、表示パターンの一例を示す表である。
【図5】図4で示したイルミネーション点灯パターンの一例を示す説明図である。図5(a)は「お知らせ」、図5(b)は「喜び」、図5(c)は「怒り」に該当するイルミネーション点灯パターンの例を示す。
【図6】図3で示した新規メール受信時の処理が行われた後で、ユーザが携帯電話機をキー操作もしくは筐体を開閉した際の処理を示すフローチャートである。
【図7】特許文献3、4、および5を組み合わせて得られる携帯電話機の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
10 携帯電話機
11 筐体
101 メインディスプレイ
102 キー操作部
103 キーバックライト
104 RAM
105 無線通信部
106 記憶部
107 制御部
111 メール送受信部
112 感情認識判断部
113 表示制御部
114 入力制御部
121 テキストデータ
122 感情キーワード
123 表示パターン
123a アイコンパターン
123b イルミネーション点灯色
123c イルミネーション点灯パターン
201 操作キー
202 ライト
202r、202g、202b 点灯素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な筐体と、
前記筐体の開閉操作を認識する入力制御部と、
ユーザからの操作入力を受け付ける複数の操作キーを備えるキー操作部と、
前記各操作キーの背後を照らす前記操作キーごとに独立して点灯可能であるキーバックライトと、
電子メールの送受信を行うメール送受信部と、
前記メール送受信部によって受信された新着電子メールから当該メールが表している内容があらかじめ指定されたいずれの内容に該当するかを判断する感情認識判断部と、
前記感情認識判断部によって判断された内容に対応して前記キーバックライトを発光させるパターンをあらかじめ記憶する表示パターン記憶部と、
前記感情認識判断部によって判断された内容に対応するパターンに基づいて前記キーバックライトを発光制御する表示制御部とを有し、
前記入力制御部が前記筐体の開閉操作を認識し、かつ前記メール送受信部によって受信された未読メールが存在する場合に、前記感情認識判断部が認識した前記内容に対応するパターンに基づいて、前記表示制御部が前記キーバックライトを発光制御することを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
ユーザに対して種々の情報を出力するメインディスプレイを備え、
前記表示制御部が、前記感情認識判断部によって判断された内容に対応してあらかじめ記憶されたパターンに基づいて前記キーバックライトを発光制御すると共に、前記パターンに対応するアイコンを前記メインディスプレイに表示させることを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記感情認識判断部に、前記新着メールのテキストデータと照合して前記テキストデータが前記いずれの内容に該当するかを判断する処理を行うためのキーワードがあらかじめ記憶された感情キーワード記憶部が併設されていることを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記感情認識判断部が前記新着メールについて判断するようあらかじめ指定された内容が、「ビジネス」「お知らせ」「迷惑メール」および「該当なし」のうち、少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記感情認識判断部が、前記新着メールの内容が「迷惑メール」に該当すると判断した場合、前記表示制御部は前記キーバックライトを発光制御する処理を行わないことを特徴とする、請求項4に記載の携帯電話機。
【請求項6】
前記キーバックライトが各キーごとに複数色の発光が可能であり、
前記表示制御部が前記キーバックライトを各キーごとに異なる発光色で発光制御することが可能であることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のうちいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項7】
開閉可能な筐体と、ユーザからの操作入力を受け付ける複数の操作キーを備えるキー操作部と、前記各操作キーの背後を照らす前記操作キーごとに独立して点灯可能であるキーバックライトとを有する携帯電話機にあって、新着電子メールの内容に応じたパターンで前記キーバックライトを発光制御するキーイルミネーション方法であって、
前記新着電子メールを受信し、
前記受信された新着電子メールから当該メールの表している内容があらかじめ指定されたいずれの内容に該当するかを判断し、
前記携帯電話機の筐体の開閉操作を認識し、
前記開閉操作が認識され、かつ前記新着メールが未読である場合に、前記新着メールについて判断された内容に対応してあらかじめ記憶されたパターンに基づいて前記キーバックライトを発光制御する
ことを特徴とするキーイルミネーション方法。
【請求項8】
開閉可能な筐体と、ユーザからの操作入力を受け付ける複数の操作キーを備えるキー操作部と、前記各操作キーの背後を照らす前記操作キーごとに独立して点灯可能であるキーバックライトとを有する携帯電話機にあって、前記携帯電話機が備えるコンピュータに、
新着電子メールを受信する手順と、
前記受信された新着電子メールの内容から当該メールの表している内容があらかじめ指定されたいずれの内容に該当するかを判断する手順と、
前記携帯電話機の筐体の開閉操作を認識する手順と、
前記開閉操作が認識され、かつ前記新着メールが未読である場合に、前記新着メールについて判断された内容に対応してあらかじめ記憶されたパターンに基づいて前記キーバックライトを発光制御する手順と
を実行させることを特徴とするキーイルミネーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−109766(P2010−109766A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280407(P2008−280407)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】