説明

携帯電話機を使った広告方法

【課題】携帯電話会社の収益源を多様化することにより通信料の割引又は無料化の途を開く。
【解決手段】携帯電話機10と相手の電話機とを接続する伝達装置14には、ホームメモリ16の他にCM配信装置22が接続され、CM配信装置22から供給されるCM情報が伝達装置14、無線基地局18を通じて発呼側携帯電話機10に配信される。このCM情報の配信は、発呼側携帯電話機10の認証が完了した後であって且つ回線接続設定の前に実行される。これにより相手の電話機20を呼び出している最中に発呼側携帯電話機10のスピーカから聞こえるコール音の前にCM情報が発呼側携帯電話機10から出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機を使った広告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビCMを中心にしたマスメディア広告は、消費社会の熟成に伴ってその効果が薄れてきたと言われており、インターネットを使ったWeb広告が台頭してきている。特許文献1は、インターネットに接続可能なテレビ(TV)受信機でURLデータを放送すると共にTV受信機が自動的にインターネットからCMの詳細データ(コンテンツ)をダウンロードし、TV受信機に配信されたコンテンツをプリンタを使って出力することを提案している。
【0003】
日本では、携帯電話(PHSを含む)の人口に対する普及率が84%(2008年3月現在)に達したと言われている。また、昨今の携帯電話機は、ワンセグ放送対応、フルブラウザ対応というように高機能化して大容量のコンテンツを容易に利用できるようになったことにより、インターネットの利用に関し、携帯電話機の利用者数がパーソナルコンピュータの利用者数とほぼ同じになったと言われている。このように携帯電話機が普及し且つ高機能化した今日、携帯電話機を広告媒体して利用する提案が行われている(特許文献2、3など)。
【0004】
特許文献2は、特に携帯電話機に限定して発明を開示している訳ではないが、電話料金の割引を実現するために、発呼側電話機に接続先電話機の電話番号(相手の電話番号)を入力する際に、この相手の電話番号の前に特定の番号を付加することで発呼側電話機に所定のメッセージ(CM)を送信することを提案している。電話をかけた者は所定のメッセージを聞いた後に相手と通話することができる。
【0005】
特許文献3は、広告情報を格納した広告主サーバから携帯電話機に広告情報格納信号を配信し、携帯電話機からのダウンロード要求信号を受けて広告主サーバから当該携帯電話機に広告情報を配信すると共に、当該携帯電話機で視聴された広告情報の視聴単位(視聴時間又はアクセス回数)をモニタリングして、モニタリングした視聴単位に応じた対価の通話料金や電子メール料金を割り引することを提案している。この特許文献3は、また、他の実施例として、携帯電話機からのダウンロード要求信号を受けて広告主サーバから当該携帯電話機に広告情報のサブジェクトを配信することを提案している。これにより、携帯電話機の所有者は一以上の広告情報のサブジェクトを視聴することになる。そして、携帯電話機の所有者が所望のサブジェクトを選択したときには、選択サブジェクトダウンロード要求信号を広告主サーバに送信し、これにより携帯電話機の所有者は広告主サーバから選択サブジェクトの詳細な広告内容を受け取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−186847号公報
【特許文献2】特開平11−341183号公報
【特許文献3】特開2006−140688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
携帯電話会社の収益源は携帯電話契約者の通信料が主体となっていることもあり、特に携帯電話機を活用している若年層にとっては通話料が経済的に大きな負担になっている、という報道が見られる。
【0008】
他方、大量消費時代で活躍したテレビCMを中心にしたマスメディア広告は上述したようにその役割も限定的になってきており、ターゲットを絞り込んだ他の広告手法が模索されている。また、折り込みチラシや地域フリーペーパーなどの広告主である地域密着型の商店、スーパーマーケットにあっては、タイムセール、大売り出し等の際に更なる集客能力を期待したい、との声が当然の如く存在している。
【0009】
本発明の目的は、携帯電話会社の収益源を多様化することにより通信料の割引又は無料化の途を開くことのできる携帯電話機を使った広告方法を提供することにある。
【0010】
本発明の更なる目的は、大企業に限られず地域社会に密着した個人商店でも気軽に広告主となることができ、且つ、性別、世代を絞り込んだ戦略的な広告を展開することのできる携帯電話機を使った広告方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明を説明する前に、携帯電話機における従来の回線接続の一連の処理動作を図8を参照して説明すると、発呼側携帯電話機10に接続先電話番号を入力して通話ボタンを押し下げるなど発呼側携帯電話機10に発呼動作開始指令を入力すると、発呼側携帯電話機10と携帯電話会社12の伝達装置14との間で認証処理が実行される。すなわち、伝達装置14は、サービス要求信号を送ってきた発呼側携帯電話機10が携帯電話会社12のホームメモリ16に登録されている加入電話端末であるか否かの確認処理が実行される。この確認処理つまり認証処理が終わると、発呼側携帯電話機10は、最寄りの無線基地局18に接続先電話番号を含む呼設定要求信号を送信する。
【0012】
携帯電話会社12は、発呼側携帯電話機10からの呼設定要求信号を受け取ると着呼側電話機20と発呼側の携帯電話機10との回線を接続するための設定処理を実行し、この回線接続設定が完了して回線が確立すると、発信者は発呼側携帯電話機10から聞こえてくるコール音を耳にすることで相手を呼び出していることを知ることができる。そして、着呼側の者は、着呼側電話機20から聞こえる呼び出し音によって電話がかっていることを知る。そして、仮にこの着呼側電話機20が携帯電話機であれば通話ボタンを押し下げることにより発呼者と通話することができる。そして、通話が終わったら発呼側又は着呼側の少なくとも一方が通話切断ボタンを押し下げる又は着呼側の電話機が固定電話であれば受話器を電話機本体に戻すことで接続回線を切断することができる。
【0013】
本願発明者は、携帯電話機を使って電話をかけるときに、通話ボタンを押し下げるなど発呼動作開始指令を入力してからコール音を耳にするまでの間に数秒の待ち時間があるのに着目して本発明を案出するに至ったものである。
【0014】
前述した技術的課題は、本発明によれば、
携帯電話機に接続先の電話番号を入力すると共に通話ボタンを押し下げるなどの発呼動作開始指令を入力することに伴って該発呼側携帯電話機と携帯電話会社の伝達装置との間で実行される認証作業とその後の回線接続設定との間に、前記伝達装置からCM情報が前記発呼側携帯電話機に送信され、該発呼側携帯電話機のスピーカからコール音が出力される前に前記CM情報が音声で出力されることを特徴とする携帯電話機を使った広告方法を提供することにより達成される。
【0015】
図1は、本発明の概念を説明するための図である。この図1を参照して、伝達装置14つまり交換局には、ホームメモリ16の他にCM配信装置22が接続され、CM配信装置22から供給されるCM情報が伝達装置14、無線基地局18を通じて発呼側携帯電話機10に送信可能である。このCM情報の配信は、発呼側携帯電話機10の認証が完了した後であって且つ着呼側との回線接続が確立する前に実行される。これにより着呼側の電話機20(図8)を呼び出す前つまり着呼側との回線接続処理を行っている最中からCM情報を発呼側携帯電話機10のスピーカやディスプレーを通じて出力することができる。出力の方法としては音声によるCMの他に画像によるCMを含んでいてもよく、CM画像は動画であってもよく、あるいは静止画であってもよく、また、テロップであってもよい。
【0016】
これによれば、携帯電話会社はCM配信料を広告主から入手することができることから、このCM配信料によって携帯電話機の電話料の割引きや無料化の途を開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の概念を説明するための図である。
【図2】実施例の広告方法を実施するのに適用可能な携帯電話網の全体構成の概略図である。
【図3】実施例の広告方法を実施する携帯電話網の具体的な構成図である。
【図4】CM配信装置に記憶される広域CM情報、ローカルCM情報、公共情報、会員登録情報の概要を説明するための図である。
【図5】携帯電話機の所有者が配信を求めるCMのジャンルやローカルCM、広域CMのいずれかを選択するために携帯電話機のディスプレーに表示される選択画面を説明するための図である。
【図6】CM1〜CM3のユニットから成るCM情報を発呼側携帯電話機に配信し、この3つのCM1〜CM3の出力が全て完了した後に着呼側電話機が応答した場合の例を示すフローである。
【図7】CM1〜CM3のユニットから成るCM情報を発呼側携帯電話機に配信し、この3つのCM1〜CM3の出力が全て完了する前に着呼側電話機が応答した場合の例を示すフローである。
【図8】携帯電話機に相手の電話番号を入力した後、相手と通話し、そして切断ボタンを押し下げて回線を切断処理する従来の一連の工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0018】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0019】
図2は携帯電話網の概要を示す図であり、図3は実施例の構成例を示す図である。図2、図3を参照して、各セル30毎に無線基地局18が設置され、発呼側の携帯電話機10から無線基地局18に届いた音声は、光ファイバなどの伝送路を通じてノードビル32に到達し、そして、更に他のノードビル34を経由して着呼側の電話機20に伝達される。具体的には、ゲートウエイ36によってインターネット網に接続され、関門交換機38によって他の携帯電話会社や固定電話網に接続される。
【0020】
携帯電話会社12の伝達装置14は、図3に図示の無線ネットワーク制御装置40、加入者交換機又は加入者パケット交換機42、中継交換機44を含み、中継交換機44には、ホームメモリ16とCM配信装置22が接続されている。
【0021】
ホームメモリ16は、既知のように、契約加入者の携帯電話機10のデータを記録しているデータベースであり、契約加入者のデータには、加入契約書に書き込まれている住所、氏名、年齢、性別など属性が含まれる。
【0022】
携帯電話機10が移動すると、携帯電話機10の移動に伴って、それまで交信していた基地局A−1との交信から隣のセル30の基地局A−2(図2)との交信に移行して携帯電話機10の通話を持続するハンドオーバー処理が行われる。加入者のデータがAの伝達装置14(図3)のホームメモリ16に記憶されている場合に、例えば遠方への出張でAの伝達装置14の管轄から離れたBの伝達装置14の管轄に入ったときには、当該Bの伝達装置14のホームメモリ16にビジターホームメモリが作成される。
【0023】
図1を参照して、発呼側の携帯電話機10は、相手(着呼側)の電話番号を入力すると共に、音声や「通話ボタン」を押し下げるなどの発呼動作開始指令を入力すると、交換機42、44との間で認証処理が実行される。認証は、発呼側携帯電話機10が自社と契約している電話機であるか否かを確認する処理であり、この認証処理が終わると、回線を接続するための処理が行われる。この回線接続設定処理では、先ず発呼側携帯電話機10から相手の電話番号(接続先番号)が交換機42、44に送信される。また、認証処理が終わると、上記回線接続設定処理とは別に、図1から分かるように、CM情報がCM配信装置22から発呼側携帯電話機10に配信され、発呼側携帯電話機10からCM情報が出力される。
【0024】
CM情報を発呼側携帯電話機10に送信するタイミングは、交換機42、44が発呼側携帯電話機10から相手の電話番号(接続番号)を受信する前又は後であってもよいし、交換機42、44が発呼側携帯電話機10から相手の電話番号を受信したのをトリガとしてCM情報を発呼側携帯電話機10に送信するようにしてもよい。
【0025】
接続回線を設定する処理は従来と同じであり、中継交換機44は、通話に使用するチャンネルなどの回線の設定を行う一方で、関門交換機38に対して相手の電話番号を送信して、関門交換機38を介して相手の電話機20(図8)への回線の設定を行う。この一連の呼設定の処理が完了して接続回線が確立すると、相手の電話機20の呼び出しが実行される。発呼側の携帯電話機10ではCM情報がスピーカから流れているときには、このCM情報が終了した時点から呼び出し音が出力される。
【0026】
CM配信装置22は、図4に示すように、広域CM情報50、ローカルCM情報52の記憶領域の他に、好ましくは公共情報54の記憶領域を有している。広域CM情報50は、配信地域を限定しない日本全国に配信されるCMが対象となる。広域CM情報50は、登録された各CM毎に、数秒のアブストラクトCM(「A自動車会社はB車をモデルチェンジしました。」や「キャッチフレーズ」)、一回の配信で携帯電話機から出力するリピート回数(例えば、配信を受けた携帯電話機が1回だけCM情報を出力するのか、2回CM情報を出力するのかという出力回数)、詳細なCM(例えば商品の特徴)、契約した配信回数又は期間などが含まれる。
【0027】
ローカルCM情報52は、配信地域を限定したCMが対象となり、このローカルCM情報52は、基地局18又は小規模ノードビル32のサービスエリアを単位として配信地域を限定したCMが対象となり、各CM毎にその配信領域が記憶されている。すなわち、ローカルCM情報52は、登録された各CM毎に、広告主が指定する配信領域、数秒のアブストラクトCM(例えば「AA商店で本日00時から1時間のタイムサービスを行います。」)、その詳細なCM(例えば「00時から1時間のタイムサービスでは、Aが・・円、Bが・・円、Cが・・円、Dが・・円、Eが・・円、Fが・・円の大安売りです。」)、配信領域、一回の配信で携帯電話機から出力するリピート回数、配信期間又は期間などが含まれる。
【0028】
なお、旅行や出張でビジターホームメモリが他のホームメモリ16に作成されたときには、この他のビジターホームメモリのサービスエリアに基づいてローカルCMが配信されるのがよい。
【0029】
公共情報54は都道府県や市町村に限定した領域又は全国を対象にした公共に関する情報が対象となり、最も典型的には地震、水害、津波などの天災地変、台風の予告や避難情報、事件、事故、失踪者情報の他に、迷子のペットや落とし物などを挙げることができ、各情報には緊急度が登録される。例えば津波情報などの時間的余裕の無い情報には緊急度「大」が登録され、落とし物などの場合には、緊急度「小」が登録される。また、台風などの場合には、時々刻々緊急度が更新され、この後直ぐに台風の影響が現れる時点になったら緊急度「大」に更新される。
【0030】
公共情報54の具体例としては、「x時y分頃、Aを震源地とするマグニチュードBBの地震が発生します。至急火元を消して下さい。」「x時y分にAを震源地とする地震によりB地方に津波が発生しますので至急高台に避難して下さい。」などを挙げることができる。
【0031】
回線接続設定処理(呼設定処理)中に発呼側携帯電話機10から出力されるCMは、広域CM情報及びローカルCM情報共にアブストラクトCMが対象とされ、このアブストラクトCMは携帯電話機10のスピーカを通じた音声CMだけであってもよいが、静止画、動画やテロップを含んでいてもよく、静止画、動画、テロップは携帯電話機10のディスプレー10aに音声CMと共に発呼側携帯電話機10の表示部に表示される。
【0032】
好ましい実施の形態として、CM配信装置22から発呼側携帯電話機10に送信するCMデータは、上述したアブストラクトCMの他に詳細CMを含めるのがよく、この詳細CMを発呼側携帯電話機10の通話切断ボタンが操作された直後に、この発呼側携帯電話機10から出力される。発呼側携帯電話機10から出力される詳細CMには、音声CM及び/又は静止画、動画CMが含まれる。通話切断ボタンを操作した直後の詳細CMの出力は、これを実行するプログラムによって実行され、このプログラムは発呼側携帯電話機10に予めインストールされる。勿論、通話の後に、このような詳細CMを発呼側携帯電話機10で出力するか否かはユーザの意思に委ねられ、この詳細CMを出力するか否かは予め登録することができる。この登録は、発呼側携帯電話機10の内部メモリに対して行うようにしてもよいし、或いは、後に説明するCM配信装置22の会員登録情報に加えてもよい。会員登録情報に、「詳細CM拒否」を登録したときには、当該会員の携帯電話機10に対して詳細CMの配信が行われない。
【0033】
CM配信装置22は、図4に示すように、会員登録得情報56を含んでいるのがよい。勿論、ホームメモリ16の契約者登録情報をCM配信装置22の会員登録情報として利用してもよい。会員登録情報56は、携帯電話機10を購入した際又はその後にCM配信を了承した者が会員としてデータベース化される。各会員のデータベースは、氏名、年齢、性別などの基本属性の他に、嗜好や、配信を希望するジャンルなど会員が自ら選択した付加的な属性を含み、この付加的な属性は、会員が携帯電話機10を使ってCM会員サーバ60に随時アクセスすることで更新することができ、CM会員サーバ60に送られて来た情報は、CM配信装置22の会員登録データベースに記憶される。
【0034】
図5は、携帯電話機10を使ってCM会員サーバ60(図2)にアクセスしたときに携帯電話機10のディスプレー10aに表示される選択画面を説明するための図である。図5の(A)は、ローカルCMを選択するか否かを登録する画面を示す。ローカルCMを選択したときには、当該携帯電話機10に対してローカルCMと公共情報が配信される。他方、ローカルCMを選択しなかったときには、当該携帯電話機10に対して広域CMと公共情報が配信される。
【0035】
図5の(B)は、会員が配信を希望するジャンルを選択する表示画面を示す。選択することのできるジャンルの設定は任意であるが、この例では、自動車、食品、住宅、家電製品、化粧品、ファッションなどに分類されている。例えば、化粧品を選択したときには、当該携帯電話機10に対して化粧品に関連したCM情報が優先的に配信される。
【0036】
ジャンルの変更があったときには、CM会員サーバ60(図2)からジャンルの変更情報がCM配信装置22又はホームメモリ16に供給され、CM配信装置22又はホームメモリ16の会員登録情報が更新されると共に選択ジャンルの履歴ログが作成される。
【0037】
CM配信装置22から発呼側携帯電話機10に送信されるCM情報は、会員登録情報56に従って決定され、当該会員が希望するジャンルのCM及びローカルCM又は広域CMと共に公共情報が発呼側携帯電話機10に配信される。緊急度の高い公共情報の場合は、優先的に発呼側携帯電話機10から出力するのがよい。これにより、発呼側携帯電話機10から例えば津波情報が出力され、次いでCM情報が出力される。勿論、緊急度の高い公共情報を反復して出力するようにしてもよい。
【0038】
また、発呼側携帯電話機10において、着呼側の電話機が応答する前、つまり、着呼側が通話し始める前に、アブストラクトCMの音声出力が終了するのを約束するために、アブストラクト音声CMが完了するまでコール音及び着呼側の電話機20の呼び出しを遅延させる手段を講じてもよい。すなわち、図1に示す回線接続設定(呼設定)が素早く終了したときには、発呼側携帯電話機10のコール音及び着呼側電話機20の呼び出しを、アブストラクト音声CMが完了するまで実行しないプログラムを組み込むようにしてもよい。例えば、一組のアブストラクトCM(ローカルCM又は広域CMと公共情報の組)の時間枠を6秒と設定したときに、その1秒前に回線接続設定が完了したときには1秒間、発呼側携帯電話機10のコール音及び着呼側電話機20の呼び出しを遅延させるようにしてもよい。これによれば、予定したアブストラクトCMが途中で終わってしまうのを防止することができる。
【0039】
着呼側の違和感を解消するのに、着呼側の電話機20が応答したとき、着呼側電話機20が携帯電話機であれば通話ボタンを押し下げたとき、着呼側電話機20が固定電話機であれば受話器を持ち上げたときに、この応答信号を発呼側携帯電話機10に送信して、この応答信号をトリガにしてCM情報の出力を強制終了するようにしてもよい。
【0040】
具体例を図6、図7を参照して説明する。例示として、発呼側携帯電話機10に3つのCM情報がCM配信装置22から供給されたとする。図6は、この3つのCM情報(CM1、CM2、CM3)の全てが発呼側携帯電話機10から出力された後に着呼側電話機20が応答した例を示す。図7は、3つのCM情報(CM1、CM2、CM3)の全てが発呼側携帯電話機10から出力される前に着呼側電話機20が応答した例を示す。
【0041】
図6を参照して、前述した認証処理が完了すると直ちにCM情報(CM1〜3)がCM配信装置22から送信され、発呼側携帯電話機10はこれを受信すると、CM情報に含まれる出力順序に従って、先ずCM1が発呼側携帯電話機10のスピーカから出力される。このCM1の所要時間が1秒であるとすると、1秒経過後にCM1が終わり、次に、第2番目に設定されているCM2がスピーカから出力される。このCM2の所要時間が1秒であるとすると、1秒経過後にCM2が終わり、次に、第3番目に設定されているCM3がスピーカから出力される。このCM3の所要時間が1秒であるとすると、1秒経過後にCM3が終わると、この時までに着呼側との接続回線設定が確立していれば、CM3の出力が終了する、CM情報の出力完了の信号が携帯電話会社12の伝達装置14に送信され、これに伴って、発呼側携帯電話機10のスピーカの出力はコール音に切り替わる。発呼側携帯電話機10の使用者は携帯電話機10を耳に当てながら着呼側の応答を待つことになる。CM情報の出力完了からコール音への切換えは、予め携帯電話機10にインストールしたプログラムによって行うようにしてもよい。
【0042】
図7は、CM情報を出力している最中に、着呼側が応答した場合の例である。発呼側携帯電話機10がCM情報(CM1〜3)を受信すると、第1番目に設定されているCM1から出力が行われる。このCM1の出力が終わると、第2番目に設定されているCM2が発呼側携帯電話機10のスピーカから出力されことになるが、発呼側携帯電話機10からCM配信装置22にCM1を終了したことを知らせるCM1完了信号が送信される。第2番目のCM2も同様であり、このCM2が終わると、CM2を終了したことを知らせるCM2完了信号がCM配信装置22に送信される。第3番目のCM3も同様であり、このCM3が終わると、CM3を終了したことを知らせるCM3完了信号がCM配信装置22に送信される。この図7の例では、発呼側携帯電話機10のスピーカからCM3を流している最中に着呼側の応答があると、着呼側の電話機20から出力される応答信号を受けて発呼側携帯電話機10はCM情報の出力が強制終了され、通話可能な状態となる。また、発呼側携帯電話機10からCM3が途中で終わった旨を知らせるCM3強制終了信号がCM配信装置22に送信される。
【0043】
例えば、CM1を可能な限り何回もリピートする場合には、発呼側携帯電話機10がリピートした回数、つまり、2回のリピートは完全に実行されたものの第3回目のリピートが終わる前に着呼側が応答して通話を開始したときには、リピート回数は「2回」である旨の情報がCM配信装置22に送信される。
【0044】
図7に例示した例によれば、着呼側の電話機20が応答すると直ちに、発呼側携帯電話機10から流れているCM情報が終了されるため、着呼側及び発呼側の使用者に違和感を感じさせることなく通話を始めることができる。また、CM配信装置22は、配信した3つのCM情報(CM1〜3)が発呼側携帯電話機10で出力されたか否かを、各CMが終了する毎に発呼側携帯電話機10からCM配信装置22に送信される各CM完了信号又はCM強制終了信号によって確認することができる。
【0045】
CM配信装置22は、「CM完了信号」を受け取ったCM情報(上記の例ではCM1、CM2)については当該CM情報の配信回数をインクリメントし、「CM強制終了信号」を受け取ったCM情報(上記の例ではCM3)については当該CM情報の配信回数のインクリメントを行わない処理を行うことができる。これにより、確実にCMを配信した回数で広告主から広告配信料金を徴収することが可能になる。
【0046】
通話後に発呼側携帯電話機10に出力される詳細CMは、音声と画像とを含んでいてもよいが画像だけであってもよい。詳細CMの画像に広告主のホームページのアドレスを埋め込んでおいてもよい。これにより、発呼側携帯電話機10の所有者は、目にしたCM情報の商品や広告主に興味を持ったときには、広告主のホームページにアクセスして更に詳細な情報を入手することができる。勿論、詳細CMを発呼側携帯電話機10から出力し、その全てを出力し終わったら、詳細CM出力完了情報を発呼側携帯電話機10の内部メモリに記録し、適当な時に、この詳細CM出力完了情報をCM配信装置22に送信するのがよい。CM配信装置22は、「詳細CM出力完了信号」を受け取ることで、当該CM情報の配信を的確に管理することができる。
【0047】
実施例の広告方法によれば、発呼側携帯電話機10を使用する者にとって、回線接続設定処理中を含めて着呼側が応答するまでの待ち時間にCMを聞くことになる。そして、このCM情報は、携帯電話の伝達装置14を経由して発呼側携帯電話機10に送信されるため、携帯電話会社12はCM配信の手数料を広告主から徴収することができ、これにより携帯電話機10の通話料を割り引く又は無料化する途を開くことができる。
【0048】
また、実施例の広告方法によれば、CMの配信領域として日本全国という広域広告と、広告主が指定した領域に限定したローカル広告とを含むため、配信する領域の広さによって広告料を設定することができるため、地域社会に密着した小さな商店であってもCM配信サービスを利用するのが容易になる。
【0049】
また、携帯電話機10の所有者が、配信を受けるCMのジャンルを選択できることから、配信する側の広告主にとってターゲットを絞り込んでCMを配信することができる。また、CM配信装置22から携帯電話機10にCMを配信する際に、所有者の会員登録情報に含まれる性別や年齢(世代)によって配信するか否かを決定することで広告主にとってターゲットを絞り込んだCM配信を容易に実施することができる。
【0050】
また、携帯電話機10の所有者が、配信を受けるCMのジャンルを変更したときに、この変更を会員登録情報に反映すると共に、会員登録情報のジャンル更新履歴ログを作成することから、会員登録情報から、当該会員が今現在興味を持っているジャンルやその嗜好の変遷を知ることできるため、会員登録情報そのものを市場調査に有効に活用することができる。
【0051】
また、発呼側携帯電話機10に配信するCM情報に加えて公共情報を含めて配信するときには、迷子のペットの特徴を音声で知らせると共に写真を表示させることができる。勿論、地震予告など緊急を要する情報を携帯電話機10に流すことで防災上重要とされる初期情報により多くの人にリスク回避行動をとるように直接的に促すことができる。
【符号の説明】
【0052】
10 携帯電話機
10a 携帯電話機のディスプレー
12 携帯電話会社
14 伝達装置
16 ホームメモリ
18 無線基地局
20 着呼側電話機
22 CM配信装置
30 セル
40 無線ネットワーク制御装置
42 加入者交換機又は加入者パケット交換機
44 中継交換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機に接続先の電話番号を入力すると共に発呼動作開始指令を入力することに伴って該発呼側携帯電話機と携帯電話会社の伝達装置との間で実行される認証作業とその後の回線接続設定との間に、前記伝達装置からCM情報が前記発呼側携帯電話機に送信され、該発呼側携帯電話機のスピーカからコール音が出力される前に前記CM情報が音声で出力されることを特徴とする携帯電話機を使った広告方法。
【請求項2】
前記CM情報に、前記発呼側携帯電話機のディスプレーに表示可能な画像によるCMが含まれ、該CM画像が、前記発呼側携帯電話機のスピーカからコール音が出力される前の前記音声によるCM情報と共に該発呼側携帯電話機のディスプレーに表示される、請求項1に記載の携帯電話機を使った広告方法。
【請求項3】
前記CM情報に公共情報が含まれ、該広告情報が、前記発呼側携帯電話機のスピーカからコール音が出力される前の前記音声によるCM情報の前後に音声で出力される、請求項1又は2に記載の携帯電話機を使った広告方法。
【請求項4】
前記広告情報に、前記発呼側携帯電話機のディスプレーに表示可能な画像による公共情報が含まれ、該公共情報画像が、前記発呼側携帯電話機のスピーカからコール音が出力される前の前記音声による公共情報の出力と共に該発呼側携帯電話機のディスプレーに表示される、請求項3に記載の携帯電話機を使った広告方法。
【請求項5】
前記公共情報が緊急情報であるときに、前記CM情報の前に前記発呼側携帯電話機から出力される、請求項3又は4に記載の携帯電話機を使った広告方法。
【請求項6】
前記CM情報が、配信する領域が広域の広域CM情報と、配信する領域を地域に限定したローカルCM情報とを含む、請求項1又は2に記載の携帯電話機を使った広告方法。
【請求項7】
前記携帯電話機の所有者の選択により、配信を受けるCM情報として広域CM情報又はローカルCM情報のいずれか一方が前記発呼側携帯電話機に供給される、請求項5に記載の携帯電話機を使った広告方法。
【請求項8】
前記携帯電話機の所有者の選択により、配信を受けるCM情報のジャンルを指定できる、請求項7に記載の携帯電話機を使った広告方法。
【請求項9】
前記携帯電話機の所有者が選択したジャンルが会員登録情報データベースに記憶される、請求項8に記載の携帯電話機を使った広告方法。
【請求項10】
回線接続設定が完了した後の着呼側電話機の呼び出し及び送信側携帯電話機のコール音を前記CM情報の出力が完了するまで遅延させる、請求項1又は2に記載の携帯電話機を
使った広告方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−50959(P2010−50959A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169393(P2009−169393)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(508063624)株式会社秀和企画 (1)
【出願人】(508221280)
【Fターム(参考)】