携帯電話機
【課題】自機が属する通信システムの音量設定に関する情報量のみを予め記憶させておくだけで、他の通信システムの携帯電話機との通話時にも最適な音量にすることを可能にする。
【解決手段】音量データ記憶部に自機の通信システムの音量情報を予め格納しておき、最適音量制御手段により、発呼の場合には音量データ記憶部に格納された音量情報を相手機に対して送信し、一方、着呼の場合には受信した相手機の通信システムの音量情報と音量データ記憶部の自機の通信システムの音量情報に基づいて音量情報を最適化し、最適化された音量情報に基づいて音量調整手段による音量を調整設定する。
【解決手段】音量データ記憶部に自機の通信システムの音量情報を予め格納しておき、最適音量制御手段により、発呼の場合には音量データ記憶部に格納された音量情報を相手機に対して送信し、一方、着呼の場合には受信した相手機の通信システムの音量情報と音量データ記憶部の自機の通信システムの音量情報に基づいて音量情報を最適化し、最適化された音量情報に基づいて音量調整手段による音量を調整設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話の異なる通信システムにおいても使用可能な携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の通信システムは、周知のように、日本ではW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式であるが、例えば欧州、北米などではGSM(Global System for Mobile Communications)方式を採用している。そのため、通信システムの異なる国へ渡航した場合に、渡航者が自国で使用している携帯電話機を持っていってその電話機で渡航先の国の通信システムのサービスも受けられるようにする国際ローミングというサービスが適用されている。このように異なる通信システム環境下における携帯電話機の利用状況を図10に示す。異なる通信システムにAとBがあって、通信システムAのエリア13内には携帯電話機UE1とUE2が存在し、通信システムBのエリア14内には携帯電話機UE3とUE4が存在している。この場合、UE1とUE2は図11に示す処理フローに従って基地局11と情報交換を行い、また、UE3とUE4も同じ処理フローに従って基地局12と情報交換を行うことにより、それぞれ自機以外の携帯電話機との音声通話が可能となる。
【0003】
図11において、携帯電話機は、基地局に対して位置登録要求を送信して(ステップST1)、基地局から位置登録完了を受信する(ステップST2)。次に、発呼か着呼を判別し(ステップST3)、発呼の場合、ステップ4へ移行し基地局へ自局番号を送信し(ステップST4)、その後、通話回線を接続し(ステップST6)、携帯電話機内の通話音声パスをオープンに設定し、通話可能となる(ステップST8)。一方、ステップST3において着呼の場合、ステップ5へ移行し基地局から相手側番号を受信し(ステップST5)、その後は発呼時と同様に、通話回線を接続して(ステップST6)、携帯電話機内の通話音声パスをオープンに設定し、通話可能となる(ステップST8)。
【0004】
ところで、音声通話における送話音声レベルや受話音声レベルは通信システムによって異なっている。例えば、GSM端末とわが国のW−CDMA端末とを比較した場合、送話音声レベルはGSM端末の方がW−CDMA端末より大きく、受話音声レベルはGSM端末の方がW−CDMA端末より小さく設定されている。例えば図10において、通信システムAがGSMで通信システムBがW−CDMAであり、UE1、UE3、UE4がW−CDMA端末で、UE2がGSM端末であったとすると、UE1がUE2と通話を行う場合、在圏(Visitor)のUE1における送受音量の差が大きくなる。また、UE3からUE2に通話を行う場合も同様であり、通話がしにくくなるという問題がある。さらに、例えばハンドセット通話やハンズフリー通話等の通話形態によっても音量レベルが異なっているという問題がある。そのため、それぞれの通信システムや通話形態に応じて携帯電話機個別に送話音声レベルや受話音声レベルを最適なレベルに調整する必要がある。
【0005】
従来、同じ通信方式の網の地域エリア毎の基地局や制御局の設備の差に起因してエリア毎にばらつく送信音質または受信音質を改善する技術が提案されてきた(例えば特許文献1、特許文献2参照)。この特許文献1の技術は、移動通信端末において、移動通信網の各地域エリア別に、基地局との通話接続時に最適な送話音質が得られる送話音声信号系の回路特性設定情報を記憶手段に格納しておき、基地局から通知される位置情報に基づいて地域エリアを判別し、当該判別された地域エリアに適合した回路特性設定情報を記憶手段から読み出して送話音声信号系に設定することにより、端末が存在する地域エリアが変わっても常に良好な送(受)話音質が得るようにしたものである。また、特許文献2の技術は、記憶手段に、移動通信網の各地域エリア別に、各々移動通信網設備の受話音声伝送特性の地域エリア間の差を打ち消すように差を設けた所定の受話音量調節値を格納しておき、現在端末が存在している地域エリアに対応した受話音量調節値を読み出して受話音量調節手段に設定するようにしたものである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−261911号公報
【特許文献2】特開2002−290539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1、特許文献2の技術では、基地局ごとに送受話音声レベルの最適化を行うための設定情報を携帯電話機に記憶しておく必要があるが、各地域エリアに配置されている全ての基地局で最適な音量を得るためには、個々のエリアの設定情報を保持しなければならず、そのデータ量と設定管理が膨大となり、携帯電話機の低コスト化や小型化の妨げとなる。また、通信システムの違いに対して考えた場合、同じシステムでも国毎に音量設定も異なる場合があるので、それらの設定情報を全て携帯電話機毎に保持させることは適切ではない。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、自機が属する通信システムの音量設定に関する情報量のみを予め記憶させておくだけで、他の通信システムの携帯電話機との通話時にも最適な音量にすることを可能にする携帯電話機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る携帯電話機は、受話および送話音量を調整する音量調整手段を備え、携帯電話の異なる通信システムで使用可能な携帯電話機において、自機の通信システムの音量情報を予め格納する音量データ記憶部と、発呼の場合には音量データ記憶部に格納された音量情報を相手機に対して送信し、一方、着呼の場合には受信した相手機の通信システムの音量情報と前記音量データ記憶部の自機の通信システムの音量情報に基づいて音量情報を最適化し、最適化された音量情報に基づいて音量調整手段による音量を調整設定する最適音量制御手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
携帯電話機は自機の通信システムの音量情報を送信し、相手機の通信システムの音量情報を取得して自機の通信システムの音量情報とで設定する音量を適正化するだけで、他の通信システムの携帯電話機との通話時にも最適な音量に設定できるため、通信システムの違いによる通話の妨げを解消することができる。また、そのための音量データ記憶部には自機の通信システムの音量情報のみを予め記憶させておくだけ済むので、その分、記憶容量を少なくでき、携帯電話機の小型化、低コスト化にも寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による携帯電話機の音声処理を主とした基本機能構成を示すブロック図である。
図において、送受信部5は、基地局と通信を行う手段である。表示部2は、携帯電話機の状態や情報を表示する手段である。キー操作部3は、ユーザが携帯電話機に入力を行う手段である。音量データ記憶部4は、携帯電話機が属する通信システム(以下、自機の通信システムと呼ぶことにする。)の音量情報を予め格納する手段である。ここでいう音量情報は、送話音量あるいは受話音量を決めるボリューム設定を行う固定の設定パラメータ(デジタル値)である。音声制御部6は、通話音声パスの制御を行う手段である。受話ボリューム(音量調整手段)7は、音声制御部6から受話レシーバ9へ与えられる受話音声レベルを可変調整する手段である。送話ボリューム(音量調整手段)8は、送話マイク10から出力される送話音声レベルを可変調整する手段である。
【0012】
制御部1は、上記各部を制御する手段であるが、この実施の形態1の最適音量制御手段として、音量情報付加部101、音量情報取得部102、音量情報最適化部103および音量情報設定部104を備えている。音量情報付加部101は、送信部5から送信する自局番号に音量データ記憶部4に格納された自機の通信システムの音量情報を読み出して付加する手段である。音量情報取得部102は、送受信部5で受信された相手局番号に付加された相手機の通信システムの音量情報を取得する手段である。音量情報最適化部103は、取得した相手機の通信システムの音量情報と音量データ記憶部4に格納されている自機の通信システムの音量情報に基づいて最適化した音量情報を得る手段である。音量情報設定部104は、通話が開始される前に、音量情報最適化部103により最適化された音量情報に基づいて受話ボリューム7および送話ボリューム8による音量を設定する手段である。
【0013】
次に、携帯電話機の音量設定を含めた通話開始までの処理について図2に示すフローチャートに従って説明する。
送受信部5は、基地局に対して位置登録要求を送信し(ステップST11)、基地局から位置登録完了を受信する(ステップST12)。次に、発呼する場合(ステップST13)、音量情報付加部101により音量データ記憶部4から自機の通信システムの音量情報を読み出して自局番号に付加する(ステップST14)。次に、自機の通信システムの音量情報が付加された自局番号を基地局に対して送信し(ステップST15)、通話回線を接続する(ステップST19)。通話回線が接続されると、音声制御部6は、携帯電話機内の通話音声パスをオープンにし(ステップST20)、通話が開始できるようになる(ステップST21)。
【0014】
一方、ステップ13において、着呼の場合、送受信部5が相手局番号を受信すると、音量情報取得部102は、その相手局番号に付加された相手機の通信システムの音量情報を取得し音量情報最適化部103へ送る(ステップST16)。音量情報最適化部103では、取得した相手機の通信システムの音量情報と音量データ記憶部4に格納されている自機の通信システムの音量情報を用いて、後述する方法で音量情報の最適化を行う(ステップST17)。次に音量情報設定部104により、最適化された音量情報を用いて受話ボリューム7および送話ボリューム8による音量を再設定して(ステップST18)、通話回線を接続する(ステップST19)。通話回線が接続されると、音声制御部6により通話音声パスをオープンにし(ステップST20)、通話が開始できるようになる(ステップST21)。
【0015】
上記処理において、発呼側と着呼側の通信システムが同じ場合は、そのシステム用に記憶されている音量情報をそのまま使用すればよいが、通信システムが異なる場合には音量情報の最適化を行う必要である。その場合、音量情報の最適化は、図3(a)に示すように、システム毎に予め優先順位を設けておき、お互いの通信システムにおいて優先度の高い方のシステムの音量情報を選択して設定することで成される。例えば、国内W−CDMA端末では、その通信システムの送話/受話ボリュームの音量情報が音量データ記憶部4に記憶され、また、当初受話ボリューム7および送話ボリューム8に設定されている。この端末がGSM端末と通話する際に、受信したGSM端末の音量情報の方が優先度が高い場合には、GSM端末の音量情報を採用し、受話ボリューム7および送話ボリューム8に再設定することになる。また、音量情報の最適化の他の方法としては、図3(a)に示すように、互いの通信システムの音量情報を平均化処理することでもよい。
【0016】
以上のように、この実施の形態1によれば、自機の通信システムの音量情報を予め格納する音量データ記憶部4を備え、発呼の場合には音量データ記憶部4に格納された音量情報を発呼時に自局番号に付加して相手機に対し送信し、一方、着呼の場合には受信した相手機の通信システムの音量情報と音量データ記憶部4の自機の通信システムの音量情報に基づいて音量情報を最適化し、最適化された音量情報に基づいて受話ボリューム7および送話ボリューム8による音量を調整設定するようにしている。したがって、携帯電話機は自機の通信システムの音量情報を送信し、相手機の通信システムの音量情報を取得して自機の通信システムの音量情報とで設定する音量を適正化するだけで、他の通信システムの携帯電話機との通話時にも最適な音量に設定できるため、通信システムの違いによる通話の妨げを解消することができる。また、そのための音量データ記憶部4には、自機の通信システムの音量情報のみを予め記憶させておくだけ済むので、その分、記憶容量を少なくでき、携帯電話機の小型化、低コスト化にも寄与する。
【0017】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2による携帯電話機の音声処理を主とした基本機能構成を示すブロック図である。図において、図1に相当する部分には同一符号を付して示す。この実施の形態2では、音声制御部6が音量情報付加部601および音量情報取得部602を備えており、自機の通信システムの音量情報を送信する音声信号に付加することで、互い通信システムの音量情報を交換するようにしている。この場合、音量情報付加部601、音量情報取得部602、音量情報最適化部103および音量情報設定部104が、この発明の最適音量制御手段を構成する。
【0018】
この実施の形態2の携帯電話機の音量設定を含めた通話開始までの処理を図5に示す。この実施の形態2の場合、発呼、着呼を経て通話回線接続(ステップST36)となるまでは、図11で説明した従来の処理(ステップST1〜ST6)と同じである。通話回線が接続されると、発呼、着呼いずれの場合にも、音量情報付加部601により送話音声データに自機の通信システムの音量情報を付加して相手機に送信し(ステップST37)、一方、音量情報取得部602により、相手機から受信した受話音声データに付加された相手機の通信システムの音量情報を取得する(ステップST38)。次に、取得した相手機の通信システムの音量情報については、音量情報最適化部103により、実施の形態1と同様にして最適化を行い(ステップST39)、音量情報設定部104により、最適化された音量情報を用いて受話ボリューム7および送話ボリューム8による音量を再設定し(ステップST40)、音声制御部6により通話音声パスをオープンにし(ステップST41)、通話が開始できるようになる(ステップST42)。
【0019】
音声データに音量情報を付加する場合のデータ構成を図6に示す。音量情報は音声信号の一部として送受信され、その間の通話パスクローズしミュート状態にしておく。受話音データに付加された音量情報は音量情報取得部602で、例えば音声認識のようなアルゴリズムを用いて解析されることにより抽出される。
【0020】
以上のようにこの実施の形態2によれば、自機の通信システムの音量情報を、発呼および着呼の場合の通信回線接続後に自機の送話音声データに付加して送信し、発呼および着呼の場合のいずれにおいても、受話音声データに付加されている相手機の通信システムの音量情報を取得して最適化することにより音量を調整設定するようにしている。したがって、実施の形態1と同様な効果を奏する。また、通話回線での送話音声データに音量情報を付加することで音量設定が可能となることから、例えば通話中に相手機の音量を再設定することも可能となる。
【0021】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3に係る携帯電話機の音量情報提供方法の構成を示すブロック図である。
通信システムAのエリア13内において、基地局11は、例えば在圏のUE1と基地局11間および交換局15と基地局11間における通話回線や制御回線の制御を行う。この実施の形態3の場合、ホームロケーションレジスタ(Home Location Register:以下HLRとする)17は、加入者情報データベース171に加えて、その通信システムAに適した標準音量情報テーブル172を保持している。この標準音量情報テーブル172には、図8に例示すように、通信システムAに適した通話形態別の標準音量情報A1〜A4が設定されている。また、携帯電話機側の音量データ記憶部(図1の4に相当)にも自機の通信システムの通話形態別の標準音量情報が予め格納されている。例えば使用中の携帯電話機の通話形態がハンドセット通話の場合は、その標準音量情報A1が携帯電話機に与えられ、その通話形態に適した音量設定を行うようにする。
【0022】
この実施の形態3の携帯電話機の音量設定を含めた通話開始までの処理を図9に示す。
例えば、携帯電話機のUE1から基地局11に対して位置登録要求を送信すると、基地局11は交換局15系由でHLR17に対して登録要求を行う(ステップST41)。このときHLR17からは、加入者情報および標準音量情報が交換局15にダウンロードされ(ステップST42)、通信システムAのエリア13内での位置登録が完了する(ステップST43)。次に、通信システムAのエリア13内に在圏しているUE1が発呼または着呼すると(ステップST44)、端末情報(局番号)の確認が行われる際に、UE1から自機の現在の通話形態(例えばハンドセット通話とする。)を、基地局11を介して交換局15に送信する(ステップST45)。
【0023】
これにより、UE1には、交換局15からUE1の現在の通話形態(ハンドセット通話)に適した通信システムAの標準音量情報(ハンドセット通話の場合はA1)が送られてくるので、それを取得する(ステップST46)。次に、取得した通話形態の標準音量情報とこれに対応する音量データ記憶部4で格納する自機の通信システムの現在の通話形態の標準音量情報とで音量情報の最適化を行い(ステップST47)、最適化された通話形態の音量情報に基づいて受話ボリュームおよび送話ボリュームによる音量を調整設定する(ステップST48)。次に、通話音声パスをオープンにして(ステップST49)、通話が開始可能となる(ステップST50)。したがって、通話が開始されたUE1は、自機の通話形態において自機が現在おかれている通話形態の通話状態に適した音量での通話が可能となる。
【0024】
上記処理において、自機の現在の通話形態を基地局に送信すること、当該基地局の通信システム上のハードウェアに設けられた標準音量情報テーブルに予め格納した当該通信システムに適した通話形態別の標準音量情報から自機の現在の通話形態に対応する標準音量情報を取得すること、取得した通話形態の標準音量情報と音量データ記憶部4の自機の通信システムの現在の通話形態の標準音量情報に基づいて音量情報を最適化すること、および最適化された音量情報に基づいて受話ボリューム7および送話ボリューム8による音量を設定することは、この実施の形態3の発明の最適音量制御手段で行う。また、通話形態の音量情報の最適化は、実施の形態1と同様な処理、すなわち優先度による方法、平均化による方法のいずれかにより行う。
なお、上記例では、HLRに標準音量情報を保存する場合を想定して説明したが、通信システムの別のハードウェア、例えば、基地局内の記憶装置やネットワーク上に存在するサーバなどに標準音量情報テーブル172を保持しておき、そこにアクセスして標準音量情報を読み出すようにしても同様な処理を行うことが可能である。
【0025】
以上のように、この実施の形態3によれば、携帯電話機が現在使用している自機の通信システムの通話形態情報を送信することにより、自機が存在するエリアの通信システムの対応する通話形態の標準音量情報を、基地局を介して標準音量情報テーブル172から取得して、自機の通信システムの現在の通話形態の標準音量情報とで設定する音量を適正化しているので、他の通信システムの携帯電話機との通話時にも最適な音量に設定できるため、通信システムの違いによる通話の妨げを解消することができ、かつ使用している通話形態に適した音量での通話を可能にする。また、そのための音量データ記憶部4には自機の通信システムの通話形態毎の標準音量情報のみを予め記憶させておくだけ済むので、その分、記憶容量は少なくでき、携帯電話機の小型化、低コスト化にも寄与する。
なお、標準音量情報テーブル172で保持する通信システムの通話形態の標準音量情報を、エリア単位で適した音量が得られるように個別に設定してもよい。その場合には携帯電話機で行う通話形態の音量情報の最適化は平均化を適用することになる。このことにより、エリア間の音量較差も改善でき、従来技術における携帯電話機で大容量の設定情報を持つという問題点も解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施の形態1による携帯電話機の基本機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る携帯電話機の通話開始までの処理を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係る音量情報の最適化を示すテーブルである。
【図4】この発明の実施の形態2による携帯電話機の基本機能構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る携帯電話機の通話開始までの処理を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2に係る音声データに音量情報を付加する場合のデータ構成を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る携帯電話機の音量情報提供方法の構成を示すブロック図である。
【図8】この実施の形態3に係るHLRに設けた標準音量情報データテーブルのデータ構成例を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る携帯電話機の通話開始までの処理を示すフローチャートである。
【図10】異なる通信システム環境下における携帯電話機の利用状況を説明図である。
【図11】従来の携帯電話機の通話開始までの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
1 制御部、2 表示部、3 キー操作部、4 音量データ記憶部、5 送受信部、6 音声制御部、7 受話ボリューム、8 送話ボリューム、9 受話レシーバ、10 送話マイク、11,12 基地局、13 通信システムAのエリア、14 通信システムBのエリア、15,16 交換局、17,18 HLR、101,601 音量情報付加部、102,602 音量情報取得部、103 音量情報最適化部、104 音量情報設定部、171 加入者情報データベース、172 標準音量情報テーブル。
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話の異なる通信システムにおいても使用可能な携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の通信システムは、周知のように、日本ではW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式であるが、例えば欧州、北米などではGSM(Global System for Mobile Communications)方式を採用している。そのため、通信システムの異なる国へ渡航した場合に、渡航者が自国で使用している携帯電話機を持っていってその電話機で渡航先の国の通信システムのサービスも受けられるようにする国際ローミングというサービスが適用されている。このように異なる通信システム環境下における携帯電話機の利用状況を図10に示す。異なる通信システムにAとBがあって、通信システムAのエリア13内には携帯電話機UE1とUE2が存在し、通信システムBのエリア14内には携帯電話機UE3とUE4が存在している。この場合、UE1とUE2は図11に示す処理フローに従って基地局11と情報交換を行い、また、UE3とUE4も同じ処理フローに従って基地局12と情報交換を行うことにより、それぞれ自機以外の携帯電話機との音声通話が可能となる。
【0003】
図11において、携帯電話機は、基地局に対して位置登録要求を送信して(ステップST1)、基地局から位置登録完了を受信する(ステップST2)。次に、発呼か着呼を判別し(ステップST3)、発呼の場合、ステップ4へ移行し基地局へ自局番号を送信し(ステップST4)、その後、通話回線を接続し(ステップST6)、携帯電話機内の通話音声パスをオープンに設定し、通話可能となる(ステップST8)。一方、ステップST3において着呼の場合、ステップ5へ移行し基地局から相手側番号を受信し(ステップST5)、その後は発呼時と同様に、通話回線を接続して(ステップST6)、携帯電話機内の通話音声パスをオープンに設定し、通話可能となる(ステップST8)。
【0004】
ところで、音声通話における送話音声レベルや受話音声レベルは通信システムによって異なっている。例えば、GSM端末とわが国のW−CDMA端末とを比較した場合、送話音声レベルはGSM端末の方がW−CDMA端末より大きく、受話音声レベルはGSM端末の方がW−CDMA端末より小さく設定されている。例えば図10において、通信システムAがGSMで通信システムBがW−CDMAであり、UE1、UE3、UE4がW−CDMA端末で、UE2がGSM端末であったとすると、UE1がUE2と通話を行う場合、在圏(Visitor)のUE1における送受音量の差が大きくなる。また、UE3からUE2に通話を行う場合も同様であり、通話がしにくくなるという問題がある。さらに、例えばハンドセット通話やハンズフリー通話等の通話形態によっても音量レベルが異なっているという問題がある。そのため、それぞれの通信システムや通話形態に応じて携帯電話機個別に送話音声レベルや受話音声レベルを最適なレベルに調整する必要がある。
【0005】
従来、同じ通信方式の網の地域エリア毎の基地局や制御局の設備の差に起因してエリア毎にばらつく送信音質または受信音質を改善する技術が提案されてきた(例えば特許文献1、特許文献2参照)。この特許文献1の技術は、移動通信端末において、移動通信網の各地域エリア別に、基地局との通話接続時に最適な送話音質が得られる送話音声信号系の回路特性設定情報を記憶手段に格納しておき、基地局から通知される位置情報に基づいて地域エリアを判別し、当該判別された地域エリアに適合した回路特性設定情報を記憶手段から読み出して送話音声信号系に設定することにより、端末が存在する地域エリアが変わっても常に良好な送(受)話音質が得るようにしたものである。また、特許文献2の技術は、記憶手段に、移動通信網の各地域エリア別に、各々移動通信網設備の受話音声伝送特性の地域エリア間の差を打ち消すように差を設けた所定の受話音量調節値を格納しておき、現在端末が存在している地域エリアに対応した受話音量調節値を読み出して受話音量調節手段に設定するようにしたものである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−261911号公報
【特許文献2】特開2002−290539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1、特許文献2の技術では、基地局ごとに送受話音声レベルの最適化を行うための設定情報を携帯電話機に記憶しておく必要があるが、各地域エリアに配置されている全ての基地局で最適な音量を得るためには、個々のエリアの設定情報を保持しなければならず、そのデータ量と設定管理が膨大となり、携帯電話機の低コスト化や小型化の妨げとなる。また、通信システムの違いに対して考えた場合、同じシステムでも国毎に音量設定も異なる場合があるので、それらの設定情報を全て携帯電話機毎に保持させることは適切ではない。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、自機が属する通信システムの音量設定に関する情報量のみを予め記憶させておくだけで、他の通信システムの携帯電話機との通話時にも最適な音量にすることを可能にする携帯電話機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る携帯電話機は、受話および送話音量を調整する音量調整手段を備え、携帯電話の異なる通信システムで使用可能な携帯電話機において、自機の通信システムの音量情報を予め格納する音量データ記憶部と、発呼の場合には音量データ記憶部に格納された音量情報を相手機に対して送信し、一方、着呼の場合には受信した相手機の通信システムの音量情報と前記音量データ記憶部の自機の通信システムの音量情報に基づいて音量情報を最適化し、最適化された音量情報に基づいて音量調整手段による音量を調整設定する最適音量制御手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
携帯電話機は自機の通信システムの音量情報を送信し、相手機の通信システムの音量情報を取得して自機の通信システムの音量情報とで設定する音量を適正化するだけで、他の通信システムの携帯電話機との通話時にも最適な音量に設定できるため、通信システムの違いによる通話の妨げを解消することができる。また、そのための音量データ記憶部には自機の通信システムの音量情報のみを予め記憶させておくだけ済むので、その分、記憶容量を少なくでき、携帯電話機の小型化、低コスト化にも寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による携帯電話機の音声処理を主とした基本機能構成を示すブロック図である。
図において、送受信部5は、基地局と通信を行う手段である。表示部2は、携帯電話機の状態や情報を表示する手段である。キー操作部3は、ユーザが携帯電話機に入力を行う手段である。音量データ記憶部4は、携帯電話機が属する通信システム(以下、自機の通信システムと呼ぶことにする。)の音量情報を予め格納する手段である。ここでいう音量情報は、送話音量あるいは受話音量を決めるボリューム設定を行う固定の設定パラメータ(デジタル値)である。音声制御部6は、通話音声パスの制御を行う手段である。受話ボリューム(音量調整手段)7は、音声制御部6から受話レシーバ9へ与えられる受話音声レベルを可変調整する手段である。送話ボリューム(音量調整手段)8は、送話マイク10から出力される送話音声レベルを可変調整する手段である。
【0012】
制御部1は、上記各部を制御する手段であるが、この実施の形態1の最適音量制御手段として、音量情報付加部101、音量情報取得部102、音量情報最適化部103および音量情報設定部104を備えている。音量情報付加部101は、送信部5から送信する自局番号に音量データ記憶部4に格納された自機の通信システムの音量情報を読み出して付加する手段である。音量情報取得部102は、送受信部5で受信された相手局番号に付加された相手機の通信システムの音量情報を取得する手段である。音量情報最適化部103は、取得した相手機の通信システムの音量情報と音量データ記憶部4に格納されている自機の通信システムの音量情報に基づいて最適化した音量情報を得る手段である。音量情報設定部104は、通話が開始される前に、音量情報最適化部103により最適化された音量情報に基づいて受話ボリューム7および送話ボリューム8による音量を設定する手段である。
【0013】
次に、携帯電話機の音量設定を含めた通話開始までの処理について図2に示すフローチャートに従って説明する。
送受信部5は、基地局に対して位置登録要求を送信し(ステップST11)、基地局から位置登録完了を受信する(ステップST12)。次に、発呼する場合(ステップST13)、音量情報付加部101により音量データ記憶部4から自機の通信システムの音量情報を読み出して自局番号に付加する(ステップST14)。次に、自機の通信システムの音量情報が付加された自局番号を基地局に対して送信し(ステップST15)、通話回線を接続する(ステップST19)。通話回線が接続されると、音声制御部6は、携帯電話機内の通話音声パスをオープンにし(ステップST20)、通話が開始できるようになる(ステップST21)。
【0014】
一方、ステップ13において、着呼の場合、送受信部5が相手局番号を受信すると、音量情報取得部102は、その相手局番号に付加された相手機の通信システムの音量情報を取得し音量情報最適化部103へ送る(ステップST16)。音量情報最適化部103では、取得した相手機の通信システムの音量情報と音量データ記憶部4に格納されている自機の通信システムの音量情報を用いて、後述する方法で音量情報の最適化を行う(ステップST17)。次に音量情報設定部104により、最適化された音量情報を用いて受話ボリューム7および送話ボリューム8による音量を再設定して(ステップST18)、通話回線を接続する(ステップST19)。通話回線が接続されると、音声制御部6により通話音声パスをオープンにし(ステップST20)、通話が開始できるようになる(ステップST21)。
【0015】
上記処理において、発呼側と着呼側の通信システムが同じ場合は、そのシステム用に記憶されている音量情報をそのまま使用すればよいが、通信システムが異なる場合には音量情報の最適化を行う必要である。その場合、音量情報の最適化は、図3(a)に示すように、システム毎に予め優先順位を設けておき、お互いの通信システムにおいて優先度の高い方のシステムの音量情報を選択して設定することで成される。例えば、国内W−CDMA端末では、その通信システムの送話/受話ボリュームの音量情報が音量データ記憶部4に記憶され、また、当初受話ボリューム7および送話ボリューム8に設定されている。この端末がGSM端末と通話する際に、受信したGSM端末の音量情報の方が優先度が高い場合には、GSM端末の音量情報を採用し、受話ボリューム7および送話ボリューム8に再設定することになる。また、音量情報の最適化の他の方法としては、図3(a)に示すように、互いの通信システムの音量情報を平均化処理することでもよい。
【0016】
以上のように、この実施の形態1によれば、自機の通信システムの音量情報を予め格納する音量データ記憶部4を備え、発呼の場合には音量データ記憶部4に格納された音量情報を発呼時に自局番号に付加して相手機に対し送信し、一方、着呼の場合には受信した相手機の通信システムの音量情報と音量データ記憶部4の自機の通信システムの音量情報に基づいて音量情報を最適化し、最適化された音量情報に基づいて受話ボリューム7および送話ボリューム8による音量を調整設定するようにしている。したがって、携帯電話機は自機の通信システムの音量情報を送信し、相手機の通信システムの音量情報を取得して自機の通信システムの音量情報とで設定する音量を適正化するだけで、他の通信システムの携帯電話機との通話時にも最適な音量に設定できるため、通信システムの違いによる通話の妨げを解消することができる。また、そのための音量データ記憶部4には、自機の通信システムの音量情報のみを予め記憶させておくだけ済むので、その分、記憶容量を少なくでき、携帯電話機の小型化、低コスト化にも寄与する。
【0017】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2による携帯電話機の音声処理を主とした基本機能構成を示すブロック図である。図において、図1に相当する部分には同一符号を付して示す。この実施の形態2では、音声制御部6が音量情報付加部601および音量情報取得部602を備えており、自機の通信システムの音量情報を送信する音声信号に付加することで、互い通信システムの音量情報を交換するようにしている。この場合、音量情報付加部601、音量情報取得部602、音量情報最適化部103および音量情報設定部104が、この発明の最適音量制御手段を構成する。
【0018】
この実施の形態2の携帯電話機の音量設定を含めた通話開始までの処理を図5に示す。この実施の形態2の場合、発呼、着呼を経て通話回線接続(ステップST36)となるまでは、図11で説明した従来の処理(ステップST1〜ST6)と同じである。通話回線が接続されると、発呼、着呼いずれの場合にも、音量情報付加部601により送話音声データに自機の通信システムの音量情報を付加して相手機に送信し(ステップST37)、一方、音量情報取得部602により、相手機から受信した受話音声データに付加された相手機の通信システムの音量情報を取得する(ステップST38)。次に、取得した相手機の通信システムの音量情報については、音量情報最適化部103により、実施の形態1と同様にして最適化を行い(ステップST39)、音量情報設定部104により、最適化された音量情報を用いて受話ボリューム7および送話ボリューム8による音量を再設定し(ステップST40)、音声制御部6により通話音声パスをオープンにし(ステップST41)、通話が開始できるようになる(ステップST42)。
【0019】
音声データに音量情報を付加する場合のデータ構成を図6に示す。音量情報は音声信号の一部として送受信され、その間の通話パスクローズしミュート状態にしておく。受話音データに付加された音量情報は音量情報取得部602で、例えば音声認識のようなアルゴリズムを用いて解析されることにより抽出される。
【0020】
以上のようにこの実施の形態2によれば、自機の通信システムの音量情報を、発呼および着呼の場合の通信回線接続後に自機の送話音声データに付加して送信し、発呼および着呼の場合のいずれにおいても、受話音声データに付加されている相手機の通信システムの音量情報を取得して最適化することにより音量を調整設定するようにしている。したがって、実施の形態1と同様な効果を奏する。また、通話回線での送話音声データに音量情報を付加することで音量設定が可能となることから、例えば通話中に相手機の音量を再設定することも可能となる。
【0021】
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3に係る携帯電話機の音量情報提供方法の構成を示すブロック図である。
通信システムAのエリア13内において、基地局11は、例えば在圏のUE1と基地局11間および交換局15と基地局11間における通話回線や制御回線の制御を行う。この実施の形態3の場合、ホームロケーションレジスタ(Home Location Register:以下HLRとする)17は、加入者情報データベース171に加えて、その通信システムAに適した標準音量情報テーブル172を保持している。この標準音量情報テーブル172には、図8に例示すように、通信システムAに適した通話形態別の標準音量情報A1〜A4が設定されている。また、携帯電話機側の音量データ記憶部(図1の4に相当)にも自機の通信システムの通話形態別の標準音量情報が予め格納されている。例えば使用中の携帯電話機の通話形態がハンドセット通話の場合は、その標準音量情報A1が携帯電話機に与えられ、その通話形態に適した音量設定を行うようにする。
【0022】
この実施の形態3の携帯電話機の音量設定を含めた通話開始までの処理を図9に示す。
例えば、携帯電話機のUE1から基地局11に対して位置登録要求を送信すると、基地局11は交換局15系由でHLR17に対して登録要求を行う(ステップST41)。このときHLR17からは、加入者情報および標準音量情報が交換局15にダウンロードされ(ステップST42)、通信システムAのエリア13内での位置登録が完了する(ステップST43)。次に、通信システムAのエリア13内に在圏しているUE1が発呼または着呼すると(ステップST44)、端末情報(局番号)の確認が行われる際に、UE1から自機の現在の通話形態(例えばハンドセット通話とする。)を、基地局11を介して交換局15に送信する(ステップST45)。
【0023】
これにより、UE1には、交換局15からUE1の現在の通話形態(ハンドセット通話)に適した通信システムAの標準音量情報(ハンドセット通話の場合はA1)が送られてくるので、それを取得する(ステップST46)。次に、取得した通話形態の標準音量情報とこれに対応する音量データ記憶部4で格納する自機の通信システムの現在の通話形態の標準音量情報とで音量情報の最適化を行い(ステップST47)、最適化された通話形態の音量情報に基づいて受話ボリュームおよび送話ボリュームによる音量を調整設定する(ステップST48)。次に、通話音声パスをオープンにして(ステップST49)、通話が開始可能となる(ステップST50)。したがって、通話が開始されたUE1は、自機の通話形態において自機が現在おかれている通話形態の通話状態に適した音量での通話が可能となる。
【0024】
上記処理において、自機の現在の通話形態を基地局に送信すること、当該基地局の通信システム上のハードウェアに設けられた標準音量情報テーブルに予め格納した当該通信システムに適した通話形態別の標準音量情報から自機の現在の通話形態に対応する標準音量情報を取得すること、取得した通話形態の標準音量情報と音量データ記憶部4の自機の通信システムの現在の通話形態の標準音量情報に基づいて音量情報を最適化すること、および最適化された音量情報に基づいて受話ボリューム7および送話ボリューム8による音量を設定することは、この実施の形態3の発明の最適音量制御手段で行う。また、通話形態の音量情報の最適化は、実施の形態1と同様な処理、すなわち優先度による方法、平均化による方法のいずれかにより行う。
なお、上記例では、HLRに標準音量情報を保存する場合を想定して説明したが、通信システムの別のハードウェア、例えば、基地局内の記憶装置やネットワーク上に存在するサーバなどに標準音量情報テーブル172を保持しておき、そこにアクセスして標準音量情報を読み出すようにしても同様な処理を行うことが可能である。
【0025】
以上のように、この実施の形態3によれば、携帯電話機が現在使用している自機の通信システムの通話形態情報を送信することにより、自機が存在するエリアの通信システムの対応する通話形態の標準音量情報を、基地局を介して標準音量情報テーブル172から取得して、自機の通信システムの現在の通話形態の標準音量情報とで設定する音量を適正化しているので、他の通信システムの携帯電話機との通話時にも最適な音量に設定できるため、通信システムの違いによる通話の妨げを解消することができ、かつ使用している通話形態に適した音量での通話を可能にする。また、そのための音量データ記憶部4には自機の通信システムの通話形態毎の標準音量情報のみを予め記憶させておくだけ済むので、その分、記憶容量は少なくでき、携帯電話機の小型化、低コスト化にも寄与する。
なお、標準音量情報テーブル172で保持する通信システムの通話形態の標準音量情報を、エリア単位で適した音量が得られるように個別に設定してもよい。その場合には携帯電話機で行う通話形態の音量情報の最適化は平均化を適用することになる。このことにより、エリア間の音量較差も改善でき、従来技術における携帯電話機で大容量の設定情報を持つという問題点も解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施の形態1による携帯電話機の基本機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る携帯電話機の通話開始までの処理を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係る音量情報の最適化を示すテーブルである。
【図4】この発明の実施の形態2による携帯電話機の基本機能構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る携帯電話機の通話開始までの処理を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2に係る音声データに音量情報を付加する場合のデータ構成を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る携帯電話機の音量情報提供方法の構成を示すブロック図である。
【図8】この実施の形態3に係るHLRに設けた標準音量情報データテーブルのデータ構成例を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係る携帯電話機の通話開始までの処理を示すフローチャートである。
【図10】異なる通信システム環境下における携帯電話機の利用状況を説明図である。
【図11】従来の携帯電話機の通話開始までの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
1 制御部、2 表示部、3 キー操作部、4 音量データ記憶部、5 送受信部、6 音声制御部、7 受話ボリューム、8 送話ボリューム、9 受話レシーバ、10 送話マイク、11,12 基地局、13 通信システムAのエリア、14 通信システムBのエリア、15,16 交換局、17,18 HLR、101,601 音量情報付加部、102,602 音量情報取得部、103 音量情報最適化部、104 音量情報設定部、171 加入者情報データベース、172 標準音量情報テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受話および送話音量を調整する音量調整手段を備え、携帯電話の異なる通信システムで使用可能な携帯電話機において、
自機の通信システムの音量情報を予め格納する音量データ記憶部と、
発呼の場合には前記音量データ記憶部に格納された音量情報を相手機に対して送信し、一方、着呼の場合には受信した相手機の通信システムの音量情報と前記音量データ記憶部の自機の通信システムの音量情報に基づいて音量情報を最適化し、最適化された音量情報に基づいて前記音量調整手段による音量を調整設定する最適音量制御手段を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
最適音量制御手段は、自機の通信システムの音量情報を発呼時に自局番号に付加して送信することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
最適音量制御手段は、自機の通信システムの音量情報を、発呼の場合の通信回線接続後に自機の送話音声データに付加して送信することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項4】
最適音量制御手段は、自機の通信システムの音量情報を、着呼の場合の通信回線接続後にも自機の送話音声データに付加して送信することを特徴とする請求項3記載の携帯電話機。
【請求項5】
最適音量制御手段は、発呼の場合の通信回線接続後においても受話音声データに付加されている相手機の通信システムの音量情報を取得して最適化することにより音量を調整設定することを特徴とする請求項4記載の携帯電話機。
【請求項6】
音量情報の最適化は、相手機の通信システムの音量情報と自機の通信システムの音量情報の中から予め決められた優先順位に基づいて優先度の高い方を選択する処理としたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の携帯電話機。
【請求項7】
音量情報の最適化は、相手機の通信システムの音量情報と自機の通信システムの音量情報とを平均化する処理としたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の携帯電話機。
【請求項8】
受話および送話音量を調整する音量調整手段を備えた携帯電話機において、
自機の通信システムの通話形態別の標準音量情報を予め格納する音量データ記憶部と、
発呼または着呼の場合の自局番号の確認の際に、自機の現在の通話形態を基地局に送信し、当該基地局の通信システム上のハードウェアに設けられた標準音量情報テーブルに予め格納した当該通信システムに適した通話形態別の標準音量情報から前記現在の通話形態に対応する標準音量情報を取得し、取得した通話形態の標準音量情報と前記音量データ記憶部の自機の通信システムの現在の通話形態の標準音量情報に基づいて音量情報を最適化し、最適化された音量情報に基づいて前記音量調整手段による音量を調整設定する最適音量制御手段を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項9】
通話形態の音量情報の最適化は、自機の通信システムの通話形態の標準音量情報とこれに対応して取得した基地局の通信システムの通話形態の標準音量情報の中から予め決められた優先順位に基づいて優先度の高い方を選択する処理としたことを特徴とする請求項8記載の携帯電話機。
【請求項10】
通話形態の音量情報の最適化は、自機の通信システムの通話形態の標準音量情報とこれと対応して取得した基地局の通信システムの通話形態の標準音量情報とを平均化する処理としたことを特徴とする請求項8記載の携帯電話機。
【請求項1】
受話および送話音量を調整する音量調整手段を備え、携帯電話の異なる通信システムで使用可能な携帯電話機において、
自機の通信システムの音量情報を予め格納する音量データ記憶部と、
発呼の場合には前記音量データ記憶部に格納された音量情報を相手機に対して送信し、一方、着呼の場合には受信した相手機の通信システムの音量情報と前記音量データ記憶部の自機の通信システムの音量情報に基づいて音量情報を最適化し、最適化された音量情報に基づいて前記音量調整手段による音量を調整設定する最適音量制御手段を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
最適音量制御手段は、自機の通信システムの音量情報を発呼時に自局番号に付加して送信することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
最適音量制御手段は、自機の通信システムの音量情報を、発呼の場合の通信回線接続後に自機の送話音声データに付加して送信することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項4】
最適音量制御手段は、自機の通信システムの音量情報を、着呼の場合の通信回線接続後にも自機の送話音声データに付加して送信することを特徴とする請求項3記載の携帯電話機。
【請求項5】
最適音量制御手段は、発呼の場合の通信回線接続後においても受話音声データに付加されている相手機の通信システムの音量情報を取得して最適化することにより音量を調整設定することを特徴とする請求項4記載の携帯電話機。
【請求項6】
音量情報の最適化は、相手機の通信システムの音量情報と自機の通信システムの音量情報の中から予め決められた優先順位に基づいて優先度の高い方を選択する処理としたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の携帯電話機。
【請求項7】
音量情報の最適化は、相手機の通信システムの音量情報と自機の通信システムの音量情報とを平均化する処理としたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の携帯電話機。
【請求項8】
受話および送話音量を調整する音量調整手段を備えた携帯電話機において、
自機の通信システムの通話形態別の標準音量情報を予め格納する音量データ記憶部と、
発呼または着呼の場合の自局番号の確認の際に、自機の現在の通話形態を基地局に送信し、当該基地局の通信システム上のハードウェアに設けられた標準音量情報テーブルに予め格納した当該通信システムに適した通話形態別の標準音量情報から前記現在の通話形態に対応する標準音量情報を取得し、取得した通話形態の標準音量情報と前記音量データ記憶部の自機の通信システムの現在の通話形態の標準音量情報に基づいて音量情報を最適化し、最適化された音量情報に基づいて前記音量調整手段による音量を調整設定する最適音量制御手段を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項9】
通話形態の音量情報の最適化は、自機の通信システムの通話形態の標準音量情報とこれに対応して取得した基地局の通信システムの通話形態の標準音量情報の中から予め決められた優先順位に基づいて優先度の高い方を選択する処理としたことを特徴とする請求項8記載の携帯電話機。
【請求項10】
通話形態の音量情報の最適化は、自機の通信システムの通話形態の標準音量情報とこれと対応して取得した基地局の通信システムの通話形態の標準音量情報とを平均化する処理としたことを特徴とする請求項8記載の携帯電話機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−306577(P2008−306577A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153080(P2007−153080)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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