説明

携帯電話番号による取引処理システム

【課題】顧客は、各事業者が提供する商品やサービスを受けるため、銀行業のキャッシュカードや貸金業のクレジットカードや小売業、運輸業、サービス業等の会員カード及びこの会員カードに銀行業や貸金業との提携により決済機能を付加した提携カード等各事業者が顧客毎に発行するこれら口座番号や会員番号を個人IDとして記憶した磁気カードやICカード等より成る顧客カードを多数所持している。
【解決手段】顧客は、従来の顧客カードに代えて、唯一無二の携帯電話番号を備えた携帯電話1を用いて、事業者端末での取引種別等の入力による中央処理装置3での顧客管理データベースの取引残高等の更新処理と事業者端末での上記更新処理の内容に基づき現金の入出金やレシート受領や入場券・乗車券の受領等の取引処理を行ない、さらに携帯電話1に上記更新処理の内容を電子メールすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話番号を用いた取引処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
顧客は、各事業者が提供する商品やサービスを受けるため、磁気カードやICカード等より成る銀行業のキャッシュカードや貸金業のクレジットカードや小売業、運輸業、サービス業等の会員カード及びこの会員カードに銀行業や貸金業との提携により決済機能を付加した提携カード等各事業者の顧客管理体系等による顧客番号を備えた顧客カードを多数所持している。そして顧客は、これらの顧客カードを用いて、各事業者端末である自動取引装置での現金の入出金や係員処理によるPOS端末でのレシート受領や券売機等での入場券・乗車券の受領等の取引処理を行なっている。
【0003】
顧客は、この多数の顧客カードを所持するため、顧客カードの紛失や盗難の恐れがありその防止策として、顧客カードの代わりに生体情報を読取り変換して個人IDを得る方法等が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−304742
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の生体情報を読取り変換して個人IDを得る方法はその生体認証の方式において多種多様であり全ての顧客や事業者に統一した方式を提案することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明では、顧客は、従来の顧客カードに代えて、唯一無二の携帯電話番号を備えた携帯電話を用いて、事業者端末での取引種別等の入力による中央処理装置での顧客管理データベースの取引残高等の更新処理と事業者端末での上記更新処理の内容に基づき現金の入出金やレシート受領や入場券・乗車券の受領等の取引処理を行ない、さらに携帯電話に上記更新処理の内容を電子メールすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、、一台の携帯電話で従来通りの各事業者端末での取引処理が可能となり、顧客は多数の顧客カードの所持と管理から開放され、さらに中央処理装置での顧客管理データベースの更新処理の内容を携帯電話に電子メールすることにより、各事業者端末での顧客宛の印字処理が不要となり事業者端末の稼働率も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による携帯番号取引システムの実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は実施例1のシステム構成図、図2は実施例1の携帯電話のブロック図、図3は実施例1の自動取引装置のブロック図、図4は実施例1の取引処理を示すフローチャートである。図1において、1は携帯電話番号を記憶した非接触型ICカードを内蔵した携帯電話であり、2は金融機関の店舗やコンビニエンスストア等に設置され携帯電話1の携帯電話番号を読み取るICカードリーダを内蔵し、現金の入出金等を行なう自動取引装置であり、3は金融機関の計算センター等に設置され図示しない顧客管理データベースを備えた中央処理装置であり、4は自動取引装置2と中央処理装置3との間及び中央処理装置3と顧客サーバ5との間で情報の送受信を行なう専用回線であり、5は金融機関の計算センター等に設置されインターネット用顧客管理データベースを備えた顧客サーバであり、6は携帯電話1と中央処理装置3との間で情報の送受信を行なうインターネットである。
【0010】
図2において、11は制御部で、後述の通信部13,操作表示部14、非接触型ICカード15を含めた携帯電話1全体の動作をメモリ等で構成された記憶部12に記憶されたソフトウエアに基づいて制御する。13は通信部で、携帯電話1の図示しない無線ネットワークに接続されている。14は各種入力操作や各種表示を行なう操作表示部である。15は非接触型ICカードであり、その記憶部にはその携帯電話1に割り当てられた唯一無二の携帯電話番号が記憶されている。
【0011】
図3において、21は制御部で、後述の通信部23,操作表示部24、ICカードリーダ25,入出金部26、印字部27を含めた2全体の動作をメモリ等で構成された記憶部22記憶されたソフトウエアに基づいて制御する。23は通信部で、専用回線4を経由して、中央処理装置3の顧客管理データベースとの間で交信処理を行なう。24は操作表示部で、入力操作や案内表示を行なう。25はICカードリーダで、顧客が携帯電話1の非接触型ICカード15をICカードリーダ25に接近させることにより携帯電話番号を受信し、記憶部22に記憶する。26は入出金部で、中央処理装置3の顧客管理データベースの処理結果に基づいて現金の入出金を行なう。27は印字部で、伝票発行機や通帳印字機からなり、中央処理装置3の顧客管理データベースの更新処理の内容に基づいて印字を行なう。
【0012】
図4に示す実施例1の取引処理を示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って説明する。本実施例においては、自動取引装置2での出金処理について説明する。
【0013】
S01:自動取引装置2は図示しないセンサにより顧客の接近を検知すると操作表示部24に図示しない取引種別選択誘導画面を表示する。この選択誘導画面には「お引き出し」、「残高照会」、「お預入れ」等の取引種別を選択するボタンを表示する。顧客がこの選択誘導画面の「お引き出し」ボタンを押下すると制御部21は現金引出し取引を開始する。
【0014】
S02:制御部21が現金引出し取引を開始すると操作表示部24は図示しない携帯電話接近誘導画面を表示する。S03:顧客が所持している携帯電話1をICカードリーダ25に接近すると、ICカードリーダ25は携帯電話1の非接触型ICカード15に記憶された携帯電話番号を読み取り記憶部22に記憶する。
【0015】
S04:操作表示部24は図示しない暗証番号入力誘導画面を表示し、顧客が画面に表示された数字ボタン等を押下して暗証番号を入力すると制御部21は通信部23の制御により専用回線4を介して記憶部22に記憶された携帯電話番号および入力された暗証番号を中央処理装置3へ送信する。S05:中央処理装置3は自動取引装置2から受信した携帯電話番号及び暗証番号と顧客管理データベースの携帯電話番号及び暗証番号との照合一致により個人認証した旨の電文を自動取引装置2へ送信する。これは従来の自動取引装置2での出金処理において、中央処理装置3が事業者端末2から受信した店番・科目・口座番号及び暗証番号と顧客管理データベースの店番・科目・口座番号及び暗証番号との照合一致により個人認証した旨の電文を自動取引装置2へ送信する動作と機能は等価である。
【0016】
S06:制御部21は個人認証した旨の電文を受信すると操作表示部24のは図示しない入力誘導画面を表示し、顧客が画面に表示された数字ボタン等を押下して希望する引出金額を入力すると制御部21は通信部23の制御により専用回線4を介して引出金額を中央処理装置3へ送信する。S07:中央処理装置3は自動取引装置2から受信した引出金額に基づき顧客管理データベースの預金残高の更新処理を行ない、その処理情報を自動取引装置2及びに顧客サーバ5へ送信する。
【0017】
S08:自動取引装置2はその処理情報に基づき操作表示部24はその内容を表示し、入出金部26は顧客が入力した引出金額に相当する現金を計数し計数が終了すると現金を紙幣入出金部および硬貨入出金部へ搬送し、操作表示部24は図示しない現金受け取り誘導画面を表示して顧客に現金の受取りを促す。S09:顧客は紙幣入出金部および硬貨入出金部へ搬送された現金を受取り、自動取引装置2での取引は終結する。なお、携帯電話1への処理情報の電子メールにより印字部27での印字はしないとした。
【0018】
S10:顧客サーバ4は中央処理装置3から受信した処理情報を携帯電話用電子メールアドレスが格納されているインターネット用顧客管理データベースに格納し、引き続きその処理情報をインターネット6経由で携帯電話1の当該携帯電話用電子メールアドレス宛に電子メールする。S11:携帯電話1はその処理情報に基づき操作表示部14はその内容を表示し、顧客はその内容を確認する。
【0019】
なお、図3の自動取引装置2の構成において、入出金部26を入場券や乗車券等の発券部に代えても良い。これによって、入場券や乗車券等を発行する券売機として使用できる。また、入場券や乗車券や商品等で低価格の場合は暗証番号での個人認証を割愛しても良い。
【0020】
また、図3の自動取引装置2の構成において、生体認証検出装置を追加し、図4の中央処理装置3の顧客管理データベースの構成において、暗証番号33を生体認証に代えても良い。これによって、個人認証のセキュリティが向上する。
【0021】
なお、中央処理装置3の図示しない顧客管理データベースの構成において、口座番号を会員番号に、預金残高を与信残高や会費残高に代えても良い。これによって、全ての顧客カードでの入出金が携帯電話1で対応できる。
【実施例2】
【0022】
図5は実施例2のシステム構成図、図6は実施例2のPOS端末のブロック図、図7は実施例2の取引処理を示すフローチャートである。図5において、7はコンビニエンスストア等に設置され携帯電話1の携帯電話番号を読み取り可能なICカードリーダを接続した商品売上処理等を行なうPOS端末であり、8はクレジット会社の計算センター等に設置され図示しない顧客管理データベースを備えた中央処理装置であり、9ははPOS端末7と中央処理装置8との間及び中央処理装置8と顧客サーバ10との間で情報の送受信を行なう専用回線であり、10はクレジット会社の計算センター等に設置されインターネット用顧客管理データベースを備えた顧客サーバである。なお、実施例1と同一の符号を付してある部分の説明は省略する。
【0023】
図6において、31は制御部で、後述の通信部33,操作表示部34、バーコードリーダ35、印字部36、ICカードリーダ37,キーボード38を含めたPOS端末7全体の動作をメモリ等で構成された記憶部32に記憶されたソフトウエアに基づいて制御する。33は通信部で、専用回線10を経由して、中央処理装置8の顧客管理データベースとの間で交信処理を行なう。34は操作表示部で、入力操作や案内表示を行なう。35はバーコードリーダで、係員が図示しない商品に添付のタグをバーコードリーダ35に接近させることによりタグに印刷されたバーコードを読み取り、記憶部32に記憶する。36は印字部で、伝票発行機からなり、中央処理装置8の顧客管理データベースの処理結果に基づいて印字を行なう。37はICカードリーダで、顧客が携帯電話1の非接触型ICカード部をICカードリーダ37に接近させることにより携帯電話番号を受信し、記憶部32に記憶する。38はキーボードで、顧客の暗証番号を入力する。尚、ICカードリーダ37とキーボード38は共に別筐体に収納しても良い。これによって他人からの暗証番号の覗き見を防止できる。
【0024】
図7に示す実施例2の取引処理を示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って説明する。本実施例においては、POS端末7での売上処理について説明する。
【0025】
S21:POS端末6は売上処理として係員の操作によって商品に添付のタグに印刷されたバーコードをバーコードリーダ35で読み取り、そのバーコードに関連する商品コードや売上金額等の取引情報を操作表示部34で表示し同時に記憶部32に記憶する。
【0026】
S22:全ての商品の売上処理が終了すれば係員は顧客にICカードリーダ37への携帯電話の接近とキーボード38での暗証番号の入力を促す。S23:顧客は係員の誘導に従って、ICカードリーダ37への携帯電話1の接近とキーボード38での暗証番号を入力する。
【0027】
S24:暗証番号の入力が終了すると制御部31は通信部33の制御により専用回線9を介して記憶部32に記憶された携帯電話番号と暗証番号及び取引情報を中央処理装置8の顧客管理データベースへ送信する。
【0028】
S25:中央処理装置8はPOS端末7から受信した携帯電話番号と暗証番号及び取引情報と顧客管理データベースの携帯電話番号及び暗証番号との照合一致により個人認証し、取引情報の売上金額に基づいて顧客管理データベースの与信残高の更新処理を行ない、その処理情報をPOS端末7及びに顧客サーバ10へ送信する。
【0029】
S26:POS端末7はその処理情報に基づき操作表示部34はその内容を表示し、印字部36はその内容を印字し、顧客に商品と印字した売上伝票を手渡し、POS端末7での取引は終結する。
【0030】
S27:顧客サーバ10は中央処理装置8から受信した処理情報を携帯電話用電子メールアドレスが格納されているインターネット用顧客管理データベースに格納し、引き続きその処理情報を当該携帯電話用電子メールアドレス宛に電子メールする。S28:携帯電話1はその処理情報に基づき操作表示部14はその内容を表示し、顧客はその内容を確認する。 なお、図8の中央処理装置8の顧客管理データベースの構成において、会員番号を口座番号に、与信残高を預金残高や会費残高に代えても良い。これによって、全ての顧客カードでの商品購入が携帯電話1で対応できる。
【0031】
以上説明したように、従来の顧客カードに代えて唯一無二の携帯電話番号を備えた携帯電話により、従来通りの取引処理が可能となり、顧客は多数の顧客カードの所持と管理から開放され、さらに、顧客管理データベースでの取引残高等の更新処理とその処理情報をを携帯電話に電子メールし表示することにより、事業者端末での印字処理が不要となり事業者端末の稼働率も向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のシステム構成図
【図2】 実施例1の携帯電話のブロック図
【図3】 実施例1の自動取引装置のブロック図
【図4】 実施例1の取引処理を示すフローチャート
【図5】 実施例2のシステム構成図
【図6】 実施例2のPOS端末のブロック図
【図7】 実施例2の取引処理を示すフローチャート
【符号の説明】
1 携帯電話
2 実施例1の自動取引装置
3 実施例1の中央処理装置
4 実施例1の専用回線
5 実施例1の顧客サーバ
6 インターネット
7 実施例2のPOS端末
8 実施例2の中央処理装置
9 実施例2の専用回線
10 実施例2の顧客サーバ
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 操作表示部
15 非接触型ICカード
25 ICカードリーダ
26 入出金部
27 印字部
35:バーコードリーダ
38 キーボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話(1)に内蔵された非接触型ICカード(15)に記憶されている携帯電話番号を読み取るICカードリーダ(25)と、暗証番号、生体情報等の個人認証データと取引種別等の取引情報或いは取引情報のみを入力可能とする操作表示部(24)と、を備えた自動取引装置(2)或いはPOS端末(7)或いは券売機等の事業者端末と、上記携帯電話番号に関連付けた上記個人認証データと預金残高、与信残高、会費残高等の取引残高もしくは取引残高のみの顧客情報を格納した顧客管理データベースを備えた中央処理装置(3)とが専用回線(4)で接続されたシステム構成にあって、事業者端末での携帯電話番号と個人認証データ及び取引情報の読み取りもしくは携帯電話番号と取引情報の読み取りと、中央処理装置(3)での事業者端末から受信した携帯電話番号及び個人認証データともしくは携帯電話番号のみと、顧客管理データベースの携帯電話番号と個人認証データもしくは携帯電話番号のみとの照合一致により、事業者端末から受信した取引情報に基づき顧客管理データベースの取引残高等の更新処理を行ない、その処理情報を事業者端末に送信し事業者端末はその処理情報に基づき入出金や売上伝票処理や入場券・乗車券発行等の終結処理を行なうことを特徴とする取引処理システム。
【請求項2】
上記中央処理装置(3)とは専用回線(4)もしくはインターネットで接続され、上記携帯電話番号に関連付けた携帯電話用電子メールアドレスと上記中央処理装置(3)が事業者端末へ送信する処理情報とを格納するインターネット用顧客管理データベースを備えた顧客サーバ(5)にあって、上記中央処理装置(3)が事業者端末へ処理情報を送信すると同時に顧客サーバ(5)は、上記インターネット用顧客管理データベースに格納した上記処理情報をインターネット(6)経由で、上記携帯電話(1)の携帯電話用電子メールアドレス宛に電子メールすることを特徴とする請求項1記載の取引処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−40013(P2011−40013A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197341(P2009−197341)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(507253657)
【出願人】(509241672)
【出願人】(509241694)
【Fターム(参考)】