説明

摺動剤塗布容器

【課題】簡単、かつ確実に摺動剤液をリップ部表面に厚く塗布することができる摺動剤塗布容器を提供する。
【解決手段】ワイパーブレード13のリップ部13a表面に摺動剤を塗布するための摺動剤塗布容器11であって、上端に開口を設けた摺動剤液を収納する容器11からなり、前記ワイパーブレード13のリップ部13aの断面形状に対応する切欠部12を前記容器11の開口縁部に設け、また切欠部を開口縁部に斜めに設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパーブレードのリップ部表面に摺動剤を塗布するための摺動剤塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、航空機、船舶などのフロントガラスやリアガラスには、表面に付着した雨水や泥水等を払拭、除去して視界を良好ならしめるためにワイパー装置が設置されている。このワイパー装置には、ガラス面と接触する部分にワイパブレードが取り付けられている。
【0003】
ワイパブレードの材料には、天然ゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)などの合成ゴム、或いはオレフィン系ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマー(TPE)が用いられており、ガラスとワイパブレードとの摩擦により生じるビビリ音(スティックスリップ)が問題となっている。特に、フロントガラスの表面に撥水皮膜が形成されている場合には、摩擦係数が高くなるため、ビビリ音の問題はより顕著なものとなっていた。
【0004】
そこで、ビビリ音を軽減させることを目的として、ワイパブレードのリップ部表面に、鱗片状グラファイトなどの摺動剤と、この摺動剤をワイパーブレードゴムに付着させるためのウレタンやエポキシなどからなるバインダーと、固形分100質量部に対して150〜1200質量部の溶剤とを含む摺動剤液をスプレーすることで、ガラスとワイパブレードとの間の摩擦を低減することも提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−20695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ワイパブレードのリップ部表面に摺動剤液をスプレーにより付着させた場合、摺動剤液をリップ部表面に厚く塗布することができないため、長期間に亘ってビビリ音を効果的に防止することができないという不具合があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、簡単、かつ確実に摺動剤液をリップ部表面に厚く塗布することができる摺動剤塗布容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ワイパーブレードのリップ部表面に摺動剤を塗布するための摺動剤塗布容器であって、
上端に開口を設けた摺動剤液を収納する容器からなり、前記ワイパーブレードのリップ部の断面形状に対応する切欠部を前記容器の開口縁部に設けたことを特徴とする摺動剤塗布容器をその要旨とした。
【0009】
請求項2記載の発明は、切欠部を容器外周面の開口縁部近傍より該容器内周面の開口縁部に亘って斜めに設けたことを特徴とする請求項1に記載の摺動剤塗布容器をその要旨とした。
【0010】
請求項3記載の発明は、少なくとも容器の切欠部を構成する部分を変形可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の摺動剤塗布容器を。
【0011】
請求項4記載の発明は、容器の開口縁部に異なるワイパーブレードのリップ部の断面形状に対応する複数の切欠部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の摺動剤塗布容器は、摺動剤液を収納する容器の開口縁部にワイパーブレードのリップ部の断面形状に対応する切欠部を設けたことから、該容器の切欠部にワイパーブレード先端のリップ部を当接させ、この状態で容器を切欠部側に傾斜させることで、該容器内の摺動剤液面が切欠部側に傾斜し、ワイパーブレード先端のリップ部が摺動剤液に浸積するようになる。そして、この状態でワイパーブレードを前記切欠部に沿って摺動させることで、前記摺動剤液がワイパーブレードのリップ部全体に浸積されるようになっている。このため、本発明の摺動剤塗布容器によれば、簡単、かつ確実に摺動剤液をリップ部表面に厚く塗布することができるとの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の摺動剤塗布容器を図面に示した一実施の形態に従ってさらに詳しく説明する。本発明は、ワイパーブレードのリップ部表面に摺動剤を塗布するための摺動剤塗布容器(以下、単に容器をいう)に関するものであり、前記ワイパーブレードのリップ部の断面形状に対応する切欠部を前記容器の開口縁部に設けたことで特徴づけられたものである。
【0014】
図1に示す容器11は円柱状をなし、その上面が開口11aしている。容器11の素材としては特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂、鉄、アルミニウムなどの金属など自由に選択して使用することができる。
【0015】
この容器11の形状も、円筒形のほか、楕円柱状、四角柱状、半円状、半円錐状など自由に設計することができる。また、その大きさも任意であり、摺動剤液を塗布するワイパーブレードの長さや大きさ、或いは塗布する頻度に応じて適宜決定すればよい。
【0016】
図1及び図2に示すように、この容器11の開口縁部に切欠部12が設けられている。この切欠部12は、ワイパーブレード13のリップ部13aの断面形状に対応する形状に設けられている。図3に示すように、切欠部12にワイパーブレード13先端のリップ部13aを当接させ、この状態で容器11を切欠部12側に傾斜させると、該容器11内の摺動剤液面が切欠部12側に傾斜する。このとき、切欠部12に当接されたワイパーブレード13先端のリップ部13aが栓となって、容器11の切欠部12から摺動剤液Wが流下するのを阻止すると共に、該ワイパーブレード13先端のリップ部13aが摺動剤液Wに浸積するようになっている。
【0017】
そして、この状態で図4中矢印に示すようにワイパーブレード13を前記切欠部12に沿って摺動させることで、前記ワイパーブレード13のリップ部13a全体が前記摺動剤液Wに浸積されるようになっている。このような作用効果を奏する切欠部12としては、図1及び図2に示すように、切欠部12を容器11の外周面の開口12a縁部近傍より該容器11の内周面の開口12縁部に亘って斜めに設けたことが好ましい。このような形態とすることで、容器11の切欠部12を構成する該容器11の厚み全体がワイパーブレード13のリップ部13aに当接することになり、摺動剤液Wの切欠部12を通じた流下を確実に阻止すると共に安定した状態にワイパーブレード13を切欠部12に沿って摺動させることができる。
【0018】
また、ワイパーブレード13のリップ部13aの断面形状は、メーカーによって様々に異なることから、そのような形状に相違に対応すべく、少なくとも容器11の切欠部12を構成する部分を変形可能に設けることが望ましい。具体的には、ゴムなどの弾性材料からなるカバーで切欠部12を覆ったり、容器全体をゴムなどの弾性を有する素材で構成したりすることを挙げることができる。
【0019】
ワイパーブレード13のリップ部13aの断面形状がメーカーによって様々に異なることに対応する別の方法としては、図5に示すように、異なるワイパーブレードのリップ部の断面形状に対応する複数の切欠部12a、12b、12c、12dを容器11の開口縁部に設けることである。
【0020】
また、本発明の摺動剤塗布容器は、図6に示すように、容器11の開口縁部の切欠部12と対抗する側11aを斜めにカットした形態を採ることができる。このような形態とすることで、容器11の開口縁部に設けた切欠部12にワイパーブレード13先端のリップ部13aを当接させ、この状態で容器11を切欠部12側に傾斜させたとき、該容器11内の摺動剤液面が切欠部12側に傾斜し、ワイパーブレード13先端のリップ部13aが摺動剤液Wに浸積するようになり、
この状態でワイパーブレード13を前記切欠部12に沿って摺動させて前記摺動剤液Wをワイパーブレード13のリップ部13a全体に浸積させるとき、ワイパーブレード13の先端が容器11の開口縁部の切欠部12と対抗する側11aに当たることがなく、スムーズな摺動操作を行うことができる。
【0021】
また、本発明の摺動剤塗布容器は、図7に示すように、摺動剤液Wを収納する容器11の首部11bに浸積用キャップ11cを取り外し可能に設け、このキャップ11cの開口縁部に切欠部12を設けた形態を採ることもできる。このような形態とした場合、不使用時には容器11の首部11bに密栓用キャップ(図示しない)を取り付けておき、使用時には密栓用キャップ(図示しない)を取り外して、浸積用キャップ11cを容器11の首部11bに取り付けることができ、容器11の開口縁部に切欠部12を設けるよりも、該容器11の製造コストの低減化を図ることができる。尚、浸積用キャップ11cの容器11の首部11bへの取付形態としては、浸積用キャップ11cの内周面側と容器11の首部11bの外周面側にそれぞれ対応するネジ溝を形成しておき、浸積用キャップ11cを容器11の首部11bにネジ締めにより取り付ける方法、或いは浸積用キャップ11cをゴムなどの弾性体によって構成しておき、浸積用キャップ11cを容器11の首部11bに嵌着させる方法を挙げることができる。
【0022】
尚、本発明の容器に収納され、ワイパーブレードのリップ部に塗布される摺動剤液としては、例えばグラファイト、ポリテトラフルオロエチレンやオレフィン系ポリエステルエラストマーなどの摺動剤を含む摺動剤液、さらに詳しくは、ウレタンやアクリルなどの合成樹脂と、シランカップリング剤、及び界面活性剤をイソプロピルアルコールやエタノールなどの有機溶剤に添加した液中に上記摺動剤を配合したものを挙げることができる。
【0023】
尚、本発明の容器は、図面に示したものに限らず、例えば容器の開口にこれを覆うキャップを設けるなど、特許請求の範囲に記載された範囲で自由に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の容器を示す斜視図。
【図2】同じく本発明の容器を示す断面図。
【図3】本発明の容器の開口縁部に設けた切欠部にワイパーブレードのリップ部を挿入した状態を示す断面図。
【図4】本発明の容器を傾斜させた状態を示す断面図。
【図5】本発明の容器の別の形態を示す斜視図。
【図6】本発明の容器の別の形態を示す断面図。
【図7】本発明の容器の別の形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0025】
11a・・・開口
12・・・切欠部
13・・・ワイパーブレード
13a・・・リップ部
W ・・・摺動剤液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパーブレードのリップ部表面に摺動剤を塗布するための摺動剤塗布容器であって、
上端に開口を設けた摺動剤液を収納する容器からなり、前記ワイパーブレードのリップ部の断面形状に対応する切欠部を前記容器の開口縁部に設けたことを特徴とする摺動剤塗布容器。
【請求項2】
切欠部を容器外周面の開口縁部近傍より該容器内周面の開口縁部に亘って斜めに設けたことを特徴とする請求項1に記載の摺動剤塗布容器。
【請求項3】
少なくとも容器の切欠部を構成する部分を変形可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の摺動剤塗布容器。
【請求項4】
容器の開口縁部に異なるワイパーブレードのリップ部の断面形状に対応する複数の切欠部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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