説明

撮像システム及びこれを用いた電子機器

【課題】主にカメラや携帯電話等の電子機器に用いられる撮像システム及びこれを用いた電子機器に関し、簡易な構成で振れ補正制御が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】撮像システム120は、全体制御部107で、角速度信号と姿勢信号に基づきレンズL11の前後方向(X軸方向)及び左右方向(Y軸方向)の目標位置を決め、目標位置にレンズL11を移動させる第二の電流I2及び前記第三の電流I3を設定するので、位置センサを使用しなくても、精度の高い振れ補正を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にカメラや携帯電話等に用いられる撮像システム及びこれを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラや携帯電話等の電子機器において、撮影時の手ぶれ等による映像や画像の乱れを抑制するため、レンズの振動を機械的に抑制する振れ補正機構を備えた撮像システムを用いたものが提案されている。
【0003】
このような従来の撮像システムについて、図6、図7を用いて説明する。
【0004】
図6は従来の撮像システムのピント合わせに関するシステム構成図、図7は同撮像システムの振れ補正に関するシステム構成図である。
【0005】
ここで、撮像システム20は、ピント合わせシステム20Aと、振れ補正システム20Bを備えて構成されている。
【0006】
まず、図6のピント合わせシステム20Aにおいて、カメラモジュール1は、レンズL1〜L3と撮像素子2を備えている。ここで、レンズL1とレンズL3の間で、レンズL2が移動することにより、撮像素子2で撮像される画像のピント合わせが行われる。
【0007】
このピント合わせの方法について以下説明する。
【0008】
撮像素子2で撮像された画像は、画像信号としてアナログ処理部(AFE)3に送られる。アナログ処理部(AFE)3で処理された信号は、画像処理部4で画像処理された後、画像データとして画像メモリ5に保存される。なおタイミングジェネレータ(TG)6は、タイミング信号をアナログ処理部(AFE)3と撮像素子2に送り、アナログ処理部(AFE)3はタイミング信号を用いて、撮像素子2で撮像するタイミングと画像信号を取得するタイミングを同期させている。
【0009】
また、全体制御部7は振れ補正制御部7Aを備え、液晶ディスプレイなどの表示部8と記録媒体に画像データを保存する画像記録部9に接続されている。画像メモリ5で保存された画像データは、画像メモリ5から画像信号として全体制御部7に送られ、表示部8で画像が表示される。また、全体制御部7は画像記録部9で画像データを保存することが出来る。
【0010】
また、画像処理部4は全体制御部7に、処理画像信号を送る。全体制御部7は処理画像信号に基づいて、ピント指令信号をピント制御部10に送信し、レンズL2を光軸方向に移動させ、ピント合わせを行う。
【0011】
さらに、全体制御部7は、シャッター駆動部11へシャッター制御信号を送出する。このシャッター制御信号に応答して、シャッター駆動部11はカメラモジュール1のシャッター(図示せず)を駆動する。
【0012】
次に、図7の振れ補正システム20Bについて説明する。
【0013】
同図において、振れ補正システム20Bは、振れ補正制御部7Aと、ピッチ方向ジャイロ21とヨー方向ジャイロ22と、シャッターボタン23と、カメラユニット24を備えている。
【0014】
ここで、振れ補正制御部7Aは全体制御部7の一部である。また、ピッチ方向ジャイロ21、ヨー方向ジャイロ22は全体制御部7と同様、電子機器の回路基板(図示せず)に配置されている。また、シャッターボタン23は、電子機器の筐体(図示せず)に配置され、操作者が写真などの画像を撮像する際に押圧するものである。そして、カメラユニット24は、電子機器の回路基板に配置され、カメラモジュール1と手振れ補正機構25を備えている。
【0015】
なお、手振れ補正機構25は、位置センサ31と、カメラモジュール1を所定の方向に傾動させる第一方向アクチュエータ32と、第一方向アクチュエータ32が傾動させる方向に対し直交した方向にカメラモジュール1を傾動させる第二方向アクチュエータ33を備えている。
【0016】
ここで、振れ補正制御部7Aでの処理について説明する。振れ補正制御部7Aは、振れ検出回路41と振れ量検出回路42と係数変換回路43と制御回路44と駆動回路45とシーケンスコントロール回路46を備える。
【0017】
ここで、振れ検出回路41はピッチ方向ジャイロ21とヨー方向ジャイロ22に接続されている。このピッチ方向ジャイロ21はピッチ方向の角速度となる第一の角速度信号を出力し、ヨー方向ジャイロ22はヨー方向の角速度となる第二の角速度信号を出力する。そして、振れ検出回路41は第一の角速度信号と第二の角速度信号に対しフィルタ回路や増幅回路を経由した振れ信号を生成し、振れ量検出回路42に出力する。
【0018】
振れ量検出回路42では、振れ信号を基にカメラモジュール1をいずれの方向に傾動させれば振れ補正できるか算出し、振れ方向信号を係数変換回路43に出力する。
【0019】
係数変換回路43では、振れ方向信号に対して所定の係数を掛け合わせ、カメラモジュール1の傾動量を算出し、振れ補正信号として制御回路44に出力する。
【0020】
制御回路44では、駆動回路45を介して、第一方向アクチュエータ32と、第二方向アクチュエータ33を駆動するための駆動信号を出力する。
【0021】
なお、シーケンスコントロール回路46は、シャッターボタン23の押圧操作に対応して、振れ量検出回路42、係数変換回路43、制御回路44を動作させる。
【0022】
そして、第一方向アクチュエータ32と、第二方向アクチュエータ33が駆動し、カメラモジュール1が傾動される。このカメラモジュール1の傾動量はホール素子などの位置センサ31で検出され、制御回路44にフィードバックされる。
【0023】
そして、制御回路44は、カメラモジュール1が所望の傾動方向、傾動量になるまで、駆動回路45に駆動信号を出力する。
【0024】
つまり、位置センサ31を用い、カメラモジュール1の傾動方向、傾動量を検出することで、カメラモジュール1を確認して振れ補正を行っていた。
【0025】
このような構成により、電子機器の振れを打ち消すように、カメラモジュール1を傾動させることが出来る。その結果、手振れを補正することが出来る。
【0026】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2011−066580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかしながら、従来の撮像システムは前記の通り振れ補正制御が可能ではあるが、構成部品が多く組立の手間がかかるため、高価であるという課題があった。
【0029】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、より簡易な構成で振れ補正制御が可能な撮像システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
前記目的を達成するために本発明は、特に、全体制御部において角速度信号と姿勢信号に基づきレンズの前後方向(X軸方向)及び左右方向(Y軸方向)の目標位置を決め、目標位置にレンズを移動させる第二の電流及び第三の電流を設定するものとして構成される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、全体制御部において角速度信号と姿勢信号に基づきレンズの前後方向(X軸方向)及び左右方向(Y軸方向)の目標位置を決め、目標位置にレンズを移動させる第二の電流及び第三の電流を設定することにより、ホール素子などの独立した比較的高価な位置センサを使用しなくても、振れ補正制御が出来るので、より簡易な構成で撮像システムを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態による撮像システムのピント合わせに関するシステム構成図
【図2】同撮像システムの振れ補正に関するシステム構成図
【図3】同撮像システムに用いるレンズアクチュエータの分解斜視図
【図4】同撮像システムに用いるレンズアクチュエータの部分斜視図
【図5】同撮像システムに用いるレンズアクチュエータの部分分解斜視図
【図6】従来の撮像システムのピント合わせに関するシステム構成図
【図7】同撮像システムの振れ補正に関するシステム構成図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
【0034】
また、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付する。
【0035】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による撮像システムのピント合わせに関するシステム構成図、図2は同撮像システムの振れ補正に関するシステム構成図である。
【0036】
ここで、撮像システム120は、ピント合わせシステム120Aと、振れ補正システム120Bを備えて構成されている。
【0037】
まず、図1のピント合わせシステム120Aにおいて、カメラユニット101は、レンズユニット102と、レンズアクチュエータ103と、撮像素子104を備えている。
【0038】
ここで、レンズユニット102は、内部にレンズL11を備え、レンズL11の光軸方向である上下方向(Z軸方向)に移動可能にレンズアクチュエータ103がレンズL11を保持している。また、レンズアクチュエータ103は、レンズユニット102を上下方向(Z軸方向)に移動させる機構となる、第一のコイル105と、磁石106を備えている。ここで、第一のコイル105に第一の電流I1が流れ、磁石106との間に電磁力が生じ、この電磁力によりレンズユニット102が第一のコイル105と一体として上下方向に移動するよう、レンズアクチュエータ103が構成される。
【0039】
また、ここでレンズユニット102を上下方向に移動させることにより、レンズユニット102のレンズL11を介して撮像素子104で撮像される画像のピント合わせが行われる。
【0040】
このピント合わせの方法について、以下説明する。
【0041】
撮像素子104で撮像された画像は、画像信号としてアナログ処理部(AFE)3に送られる。アナログ処理部(AFE)3で処理された信号は、画像処理部4で画像処理された後、画像データとして画像メモリ5に保存される。なおタイミングジェネレータ(TG)6は、タイミング信号をアナログ処理部(AFE)3と撮像素子104に送り、アナログ処理部(AFE)3はタイミング信号を用いて、撮像素子104で撮像するタイミングと画像信号を取得するタイミングを同期させている。
【0042】
また、全体制御部107は、マイコンやASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの半導体により構成される。
【0043】
全体制御部107は、振れ補正制御部107Aを備え、液晶ディスプレイなどの表示部8と記録媒体に画像データを保存する画像記録部9に接続されている。
【0044】
そして、画像メモリ5で保存された画像データは、画像メモリ5から画像信号として全体制御部107に送られ、表示部8で画像が表示される。また、全体制御部107は画像記録部9で画像データを保存することが出来る。
【0045】
また、画像処理部4は全体制御部107に、処理画像信号を送る。全体制御部107は処理画像信号に基づいて、ピント指令信号をピント制御部10に送信し、レンズユニット102を上下方向(Z軸方向)、すなわち、レンズL11を光軸方向に移動させ、ピント合わせを行う。
【0046】
さらに、全体制御部107は、シャッター駆動部11へシャッター制御信号を送出する。このシャッター制御信号に応答して、シャッター駆動部11はカメラユニット101のシャッター(図示せず)を駆動する。
【0047】
次に、図2の振れ補正システム120Bについて説明する。
【0048】
同図において、振れ補正システム120Bは、振れ補正制御部107Aと、ピッチ方向ジャイロ21とヨー方向ジャイロ22と、シャッターボタン23と、カメラユニット101と、姿勢センサ122を備えている。
【0049】
ここで、振れ補正制御部107Aは全体制御部107の一部である。また、ピッチ方向ジャイロ21、ヨー方向ジャイロ22、姿勢センサ122は全体制御部107と共に、電子機器の回路基板(図示せず)に配置されている。また、シャッターボタン23は、電子機器の筐体(図示せず)に配置され、操作者が写真などの画像を撮像する際に押圧するものである。
【0050】
なお、ピッチ方向ジャイロ21はピッチ方向の角速度を検出し、ピッチ方向の角速度となる第一の角速度信号を出力する。また、ヨー方向ジャイロ22はヨー方向の角速度を検出し、第二の角速度信号を出力する。
【0051】
さらに、姿勢センサ122は、例えば三軸の加速度センサで、姿勢センサ122が搭載された電子機器の姿勢の変化に応じて出力する姿勢信号が変化する。
【0052】
そして、カメラユニット101は、電子機器の回路基板に配置されており、レンズユニット102と、レンズアクチュエータ103と、撮像素子104を備えている。
【0053】
そして、レンズアクチュエータ103は、前記のピント合わせシステム120Aで説明した第一のコイル105と磁石106以外に、第二のコイル108と、第三のコイル109を備えている。
【0054】
ここで、磁石106と第二のコイル108と第三のコイル109から手振れ補正機構110が構成されている。磁石106と第二のコイル108は前後方向(X軸方向)で対向し、磁石106と第三のコイル109は左右方向(Y軸方向)で対向して配置されている。
【0055】
また、第一のコイル105と磁石106とレンズユニット102が一体に、可動ブロック118として構成されている。
【0056】
そして、レンズアクチュエータ103において、第二のコイル108に第二の電流I2を流すと、第二のコイル108と磁石106の間で生じる電磁力により、可動ブロック118が前後方向(X軸方向)に移動する。また、第三のコイル109に第三の電流I3を流すと、第三のコイル109と磁石106の間で生じる電磁力により、可動ブロック118が左右方向(Y軸方向)に移動する。
【0057】
次に、振れ補正制御部107Aでの処理について説明する。
【0058】
振れ補正制御部107Aは、振れ検出回路111と振れ量検出回路112と係数変換回路113と電流設定回路114と駆動回路115とシーケンスコントロール回路116とを備える。
【0059】
ここで、振れ検出回路111はピッチ方向ジャイロ21とヨー方向ジャイロ22に接続されている。
【0060】
そして、振れ検出回路111はピッチ方向ジャイロ21から第一の角速度信号が入力され、ヨー方向ジャイロ22から第二の角速度信号が入力される。そして、第一の角速度信号、第二の角速度信号を基にフィルタ回路や増幅回路を経由した振れ信号を生成し、振れ量検出回路112に出力する。
【0061】
振れ量検出回路112では、振れ信号を基に、可動ブロック118を前後左右(XY平面内)のいずれの方向に移動させれば振れ補正できるか算出し、振れ方向信号を係数変換回路113に出力する。
【0062】
係数変換回路113では、振れ方向信号に対して所定の係数を掛け合わせ、可動ブロック118の移動量を算出し、振れ補正信号として電流設定回路114に出力する。
【0063】
電流設定回路114では、駆動回路115を介して、第二のコイル108と第三のコイル109に流す第二の電流I2、第三の電流I3の電流値を設定し、電流値信号を出力する。ここで、電流設定回路114は姿勢センサ122に接続され、姿勢センサ122から姿勢信号が入力される。そして、姿勢信号と係数変換回路113から入力された振れ補正信号を基に、レンズL11を前後方向(X軸方向)及び左右方向(Y軸方向)に動作させる目標位置を決める。そして、電流設定回路114は目標位置にレンズL11を移動させる第二の電流I2及び第三の電流I3の電流値を設定し、電流値信号を駆動回路115に出力する。なお、この第二の電流I2及び第三の電流I3の電流値はレンズL11を保持する可動ブロック118の前後方向(X軸方向)及び左右方向(Y軸方向)の目標位置と一対一で対応している。
【0064】
なお、シーケンスコントロール回路116は、シャッターボタン23の押圧操作に対応して、振れ量検出回路112、係数変換回路113、電流設定回路114を動作させる。
【0065】
そして、駆動回路115は、電流設定回路114から入力された電流値信号を基に、第二のコイル108に第二の電流I2を第三のコイル109に第三の電流I3を、それぞれ流す。
【0066】
そして、第二のコイル108に第二の電流I2が、第三のコイル109に第三の電流I3が流れると、可動ブロック118に保持されるレンズL11が、それぞれ前後方向(X軸方向)、左右方向(Y軸方向)に移動する。
【0067】
つまり、全体制御部107で、角速度信号と姿勢信号に基づきレンズL11の前後方向(X軸方向)及び左右方向(Y軸方向)の目標位置を決め、目標位置にレンズL11を移動させる第二の電流I2及び前記第三の電流I3を設定するので、位置センサを使用しなくても、精度の高い振れ補正を行うことが可能となっている。
【0068】
なお、姿勢センサ122の姿勢信号が変化すると、撮像システム120の表示部8に表示された画像の方向等の画像の変化が生じるようになっている。つまり、姿勢センサ122の姿勢信号は、振れ補正制御と撮像システム120が搭載された電子機器の姿勢を検出して表示部8の表示を変化させる表示制御の双方に使用されるものとなっている。このため、特に姿勢センサ122を表示制御に使用する電子機器に対して、表示制御で従来から使用していた姿勢センサ122を振れ補正制御で共用して精度の高い振れ補正を行うことが可能な構成となっている。
【0069】
なお、振れ検出回路111、振れ量検出回路112、係数変換回路113、電流設定回路114、駆動回路115、シーケンスコントロール回路116は全体制御部107内にプログラムなどのソフトウェアとして記録されていても良いし、論理回路などのハードウェアとして構成されていても良い。
【0070】
ここで、振れ補正システム120Bにおいて、電流設定回路114は、予め定めた可動ブロック118の基準位置に対して目標位置を決め、第二の電流I2、第三の電流I3を設定するものである。
【0071】
この可動ブロック118の基準位置の設定は、例えば電子機器の電源がオンされた場合などに、所定時間、第二のコイル108と第三のコイル109のそれぞれに第二の電流I2、第三の電流I3を流し行われる。第二のコイル108と第三のコイル109に所定時間、電流を流すことにより、可動ブロック118が可動可能な範囲で、前後方向(X軸方向)、左右方向(Y軸方向)の端となる端部位置に到達する。
【0072】
これにより、電子機器を使用している際に、可動ブロック118の移動量の推定で生じる誤差が累積することを防ぐことが可能となっている。
【0073】
このように構成される撮像システム120に用いるレンズアクチュエータ103の具体的な構成について、図3〜図5を用いて説明する。
【0074】
図3は撮像システム120に用いるレンズアクチュエータ103の分解斜視図、図4は上カバー136とフレキシブルプリント配線板135を外した部分斜視図である。
【0075】
ここで、レンズアクチュエータ103は、可動ユニット131とコイルユニット132と下カバー133と、シャフト134A〜134Dと、フレキシブルプリント配線板135と上カバー136から構成される。
【0076】
まず、可動ユニット131の構成から説明する。ここで、図5に示すのは可動ユニット131の部分分解斜視図である。
【0077】
そして、図5の分解斜視図から判るように、可動ユニット131は、レンズホルダ141と、磁石ホルダ142と、下バネ143と上バネ144から構成される。なお、可動ユニット131は、可動ブロック118の構成から、レンズユニット102を除いたものである。
【0078】
このレンズホルダ141は、キャリア145と、キャリア145の外周に上下二段に配置された第一のコイル105A、105Bを備えている。なお、第一のコイル105A、105Bは、前記の第一のコイル105に対応している。
【0079】
ここで、キャリア145は中央に円孔145Aを備えた方形筒状で、ガラス入りポリカーボネート等の絶縁樹脂を材料として形成されている。
【0080】
そして、第一のコイル105A、105Bは、線径Φ40μm〜Φ60μmのエナメル線等のコイル線が、上方向を軸としてキャリア145に巻回されて形成される。
【0081】
また、磁石ホルダ142は、ホルダ147と磁石148A〜148D、磁石149A〜149Dから構成されている。なお、磁石148A〜148D、磁石149A〜149Dは前記の磁石106の一例である。
【0082】
ここで、ホルダ147は、中央に角孔147Aを備えた方形筒状でガラス入りポリカーボネート等の絶縁樹脂により形成されている。また、ホルダ147の底面には四方に張り出したホルダ側リム部147Bが設けられており、ホルダ側リム部147Bには略V字状の溝としてホルダ側係止部147Cが設けられている。
【0083】
そして、ホルダ147の前後左右方向の側面に直方体形状でやや大型の磁石148A〜148D、同じく直方体形状でやや小型の磁石149A〜149Dが、磁石148A〜148Dを上方、磁石149A〜149Dを下方として所定の間隔を離間して、接着剤(図示せず)等で固定される。
【0084】
ここで、磁石148A〜148Dと磁石149A〜149Dは、それぞれの内側面側の磁極が互いに異なる磁極となるように着磁され、一方、それに伴いそれぞれの外側面側の磁極も互いに異なる磁極となるように着磁されている。これにより、磁石148A〜148Dと磁石149A〜149Dが発生する磁界が阻害されず、強い磁界を発生することが可能になっている。
【0085】
例えば、磁石148A〜148Dの内側面がS極で着磁され、磁石149A〜149Dの内側面がN極で着磁されている。これに伴い、磁石148A〜148Dの外側面がN極で着磁され、磁石149A〜149Dの外側面がS極で着磁される。
【0086】
そして、ホルダ147の角孔147Aにレンズホルダ141が収納され、第一のコイル105A、105Bと磁石148A〜148D、磁石149A〜149Dが対向する。
【0087】
つまり可動ユニット131において、第一のコイル105A、105Bに第一の電流I1が流れることにより、磁石148A〜148D、磁石149A〜149Dとの間で電磁力が生じ、レンズホルダ141が磁石ホルダ142に対し上下に可動するよう構成されている。
【0088】
また、下バネ143は、外周部143Aと内周部143Bとが、蛇行した複数のバネ部143Cで接続された導電金属製の板バネである。また、上バネ144も、外周部144Aと内周部144Bとが、蛇行した複数のバネ部144Cで接続された導電金属製の板バネである。
【0089】
そして、外周部143Aと外周部144Aは磁石ホルダ142に固定され、内周部143Bと内周部144Bはレンズホルダ141に固定されている。これにより、第一のコイル105A、105Bに第一の電流I1が流れていない場合は、レンズホルダ141が磁石ホルダ142に対し所定位置に復帰可能な構成となっている。
【0090】
つまり、可動ユニット131は、第一のコイル105A、105Bに第一の電流I1を流すことにより、レンズホルダ141が磁石ホルダ142に対し上下に可動し、あるいはレンズホルダ141の重量と下バネ143、上バネ144のバネ力と電磁力との均衡をとってレンズホルダ141を停止させる。また、第一のコイル105A、105Bに第一の電流I1が流れていない場合は、レンズホルダ141が磁石ホルダ142に対し所定位置に復帰するものである。
【0091】
次に、図3、図4を用いて、可動ユニット131以外の構成要素について説明する。
【0092】
ここで、コイルユニット132は、ベース151と第二のコイル108A、108B、第三のコイル109A、109Bから構成されている。そして、ベース151は角孔151Aを中央に備えた方形筒状で、絶縁樹脂等により形成されている。そして、前後左右の側壁にT字状の溝151Bを備え、上面には四方に突出した複数のベース側リム部151Cと、ベース側リム部151Cそれぞれに孔151Dを備えている。なお、第二のコイル108A、108Bと第三のコイル109A、109Bは、前記の第二のコイル108と第三のコイル109に対応している。
【0093】
また、第二のコイル108A、108B、第三のコイル109A、109Bは、溝151Bの上半分に接着剤(図示せず)等で固定されている。この、第二のコイル108A、108B、第三のコイル109A、109Bは、線径Φ40μm〜Φ60μmのコイル線が前後方向(X軸方向)あるいは左右方向(Y軸方向)を軸として巻回され形成される。
【0094】
そして、シャフト134A〜134Dは、導電金属製のシャフトである。ここで、可動ユニット131は、ベース151の角孔151Aに収納されると共に、このシャフト134A〜134Dの上端はベース151の孔151Dに係止され、下端はホルダ147のホルダ側係止部147Cに係止されている。なお、磁石148A〜148Dを、第二のコイル108A、108B、第三のコイル109A、109Bに対向するように、可動ユニット131は、ベース151の角孔151Aに収納される。
【0095】
つまり、可動ユニット131は、シャフト134A〜134Dを介してコイルユニット132と接続されており、シャフト134A〜134Dは可動ユニット131をコイルユニット132内で前後左右(XY平面内)に水平を維持しつつ移動できるよう構成されている。
【0096】
そして、フレキシブルプリント配線板135は、端面に複数の端子を有するコネクタ161を備えた柔軟性のあるフレキシブルプリント配線板で、内部に複数の配線(図示せず)が配設されている。そして、立体的に折り返され、ベース151の四方の側面に沿うように、さらに折り曲げられている。
【0097】
なお、第一のコイル105A、105Bは、下バネ143、上バネ144、シャフト134A〜134D等を介し、フレキシブルプリント配線板135のコネクタ161に設けられた端子に電気的に接続されている。また、第二のコイル108A、108B、第三のコイル109A、109Bを構成するコイル線の端部がフレキシブルプリント配線板135に接続されることで、フレキシブルプリント配線板135のコネクタ161に設けられた端子に第二のコイル108A、108B、第三のコイル109A、109Bが電気的に接続されている。
【0098】
つまり、第一のコイル105A、105Bと、第二のコイル108A、108B、第三のコイル109A、109Bは、それぞれ、コネクタ161に設けられた端子を介して第二の電流I2、第三の電流I3が流されるように構成されている。
【0099】
そして、下カバー133は中央に円孔133Aを備えた、例えばアルミニウムや洋白等の非磁性材料で形成された金属板で、この下カバー133はベース151の下面に接着剤(図示せず)等で固定されている。
【0100】
また、上カバー136は、中央に円孔136Aを備え、下面開放の方形箱状に、アルミニウムや洋白等の非磁性材料で形成されている。そして、上カバー136は下カバー133との間に、可動ユニット131、コイルユニット132、シャフト134A〜134D、フレキシブルプリント配線板135を収納して、下カバー133に溶接等で固定されている。なお、円孔136A、円孔145A、円孔133Aは連なっており、レンズアクチュエータ103の上面から下面へ貫通孔が形成される。
【0101】
つまり、レンズアクチュエータ103は、磁石148A〜148Dを、第一のコイル105Aと、第二のコイル108A、108B及び第三のコイル109A、109Bに対向させて設け、第一のコイル105A、105Bに第一の電流I1を流してキャリア145を上下方向に移動させ、第二のコイル108A、108Bに第二の電流I2を流して可動ユニット131を前後方向(X軸方向)、第三のコイル109A、109Bに第三の電流I3を流して可動ユニット131を左右方向(Y軸方向)に移動させるよう構成されている。
【0102】
なお、前述の説明で、レンズユニット102は、レンズL11の一枚のレンズを備えて構成されるものとして説明したが、複数のレンズを備えるものとして構成されても良い。
【0103】
また、ピッチ方向ジャイロ21とヨー方向ジャイロ22は、二軸の角速度センサで一つの部品として構成されていても良いし、一軸の角速度センサで別々の部品として構成されていても良い。
【0104】
なお、前述では、撮像システム120は静止画である画像を撮像するものとして説明したが、動画である映像を撮像するものとしても本発明の実施は可能である。
【0105】
また、前述では姿勢センサとして加速度センサを例にとり説明したが、これに限られるものではない。ここで、姿勢センサは、機器が重力に対してどのような姿勢で保持されているかを検出するセンサである。例えば、姿勢センサは姿勢角を検出するもので、姿勢角は重力の方向に対する相対角度として定義される。より具体的には、姿勢角は例えばレンズの光軸方向と重力方向のなす角度である。
【0106】
加速度センサ以外の姿勢センサの例として、重りが姿勢に応じた位置に転がる構造を備えたものが考えられる。その重りの位置を例えば光センサなどで検出することによって姿勢を検出する構造をもつものも考えられる。
【0107】
また、姿勢センサの別の構造例としては、内部に磁性体で作った振り子が組み込まれており,部品背面に固定した磁石と振り子で磁気回路を構成し、振り子の位置が変わったときの磁界の方向の変化をホール素子などで検知することによって姿勢を検出する構造が考えられる。
【0108】
なお、前記ではレンズアクチュエータ103として可動ユニット131がシャフト134A〜134Dで保持されている例を示したが、別の保持方法であってもよい。たとえば、超音波モーターによって可動ユニット131を保持する方法も考えられる。
【0109】
また、可動ユニット131を移動させるアクチュエータとして電磁力を用いる例について示したが、例えば、超音波モーター、ピエゾアクチュエータ、形状記憶合金アクチュエータ、静電気力を用いたアクチュエータ、ポリマーアクチュエータなどの別の構造のアクチュエータを用いることが出来る。
【0110】
さらに、レンズアクチュエータ103に位置検出センサを設けて手振れ補正制御をフィードバック制御で行う方法も考えられる。これによれば、フィードバック制御で可動ユニット131が目標位置に達したか、正確に把握することが可能となる。
【0111】
また、第二の電流I2及び第三の電流I3の電流値はレンズL11の目標位置と一対一で対応しているものとして説明したが、第二の電流I2及び第三の電流I3が可動速度に対応している場合は、第二の電流I2及び第三の電流I3を流している時間を乗算してレンズL11が目標位置に移動したか判定しても良い。
【0112】
このように本実施の形態によれば、撮像システム120は、全体制御部107で、角速度信号と姿勢信号に基づきレンズL11の前後方向(X軸方向)及び左右方向(Y軸方向)の目標位置を決め、目標位置にレンズL11を移動させる第二の電流I2及び前記第三の電流I3を設定するので、位置センサを使用しなくても、精度の高い振れ補正を行うことが可能となっている。
【0113】
また、姿勢センサ122として加速度センサを用いているので、より高精度に電子機器の姿勢の変化を検出することが可能となる。
【0114】
さらに、レンズL11の基準位置として、所定時間、第二の電流I2と第三の電流I3をレンズアクチュエータ103に流し、レンズL11が移動する端部位置を用いるため、電子機器を使用している際に、レンズL11の移動量の推定で生じる誤差が累積することを防ぐことが可能となっている。
【0115】
そして、撮像システム120が備える姿勢センサ122の姿勢信号が変化すると、表示部8に表示された画像又は映像が変化するよう電子機器を構成しているので、振れ補正制御と撮像システム120が搭載された電子機器の姿勢を検出して表示部8の表示を変化させる表示制御の双方に姿勢センサ122の姿勢信号を共用することができ、良好な振れ補正制御と表示制御を簡易な構成で実現しうる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明による撮像システム及びこれを用いた電子機器は、より簡易な構成で振れ補正制御ができ、主にカメラや携帯電話等のレンズ動作用として有用である。
【符号の説明】
【0117】
3 アナログ処理部
4 画像処理部
5 画像メモリ
6 タイミングジェネレータ
8 表示部
9 画像記録部
10 ピント制御部
11 シャッター駆動部
21 ピッチ方向ジャイロ
22 ヨー方向ジャイロ
23 シャッターボタン
101 カメラユニット
102 レンズユニット
103 レンズアクチュエータ
104 撮像素子
105、105A、105B 第一のコイル
106、148A〜148D、149A〜149D 磁石
107 全体制御部
107A 振れ補正制御部
108、108A、108B 第二のコイル
109、109A、109B 第三のコイル
110 手振れ補正機構
111 振れ検出回路
112 振れ量検出回路
113 係数変換回路
114 電流設定回路
115 駆動回路
116 シーケンスコントロール回路
118 可動ブロック
120 撮像システム
120A ピント合わせシステム
120B 振れ補正システム
122 姿勢センサ
131 可動ユニット
132 コイルユニット
133 下カバー
133A、136A、145A 円孔
134A〜134D シャフト
135 フレキシブルプリント配線板
136 上カバー
141 レンズホルダ
142 磁石ホルダ
143 下バネ
143A、144A 外周部
143B、144B 内周部
143C、144C バネ部
144 上バネ
145 キャリア
147 ホルダ
147A 角孔
147B ホルダ側リム部
147C ホルダ側係止部
151 ベース
151A 角孔
151B 溝
151C ベース側リム部
151D 孔
161 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交する三軸方向に移動可能なレンズと、前記レンズを保持し前記レンズを第一の電流を流すとZ軸方向に移動させ第二の電流を流すとX軸方向に移動させ第三の電流を流すとY軸方向に移動させるレンズアクチュエータと、前記レンズアクチュエータに電気的に接続された全体制御部と、前記全体制御部に接続され角速度信号を出力する角速度センサと、前記全体制御部に接続され姿勢信号を出力する姿勢センサを備え、前記全体制御部で、前記角速度信号と前記姿勢信号に基づき前記レンズのX軸方向及びY軸方向の目標位置を決め、前記目標位置に前記レンズを移動させる前記第二の電流及び前記第三の電流を設定する撮像システム。
【請求項2】
前記姿勢センサは加速度センサとなる請求項1記載の撮像システム。
【請求項3】
前記レンズの基準位置として、所定時間、前記第二の電流及び前記第三の電流を流し前記レンズが移動する端部位置を用いる請求項1記載の撮像システム。
【請求項4】
請求項1記載の撮像システムと画像又は映像を表示する表示部を備え、前記撮像システムが備える前記姿勢センサの姿勢信号が変化すると、前記表示部に表示された画像又は映像が変化する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38678(P2013−38678A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174727(P2011−174727)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】