説明

撮像データ生成装置、撮像データ復号装置および撮像データ生成方法

【課題】広角レンズを用いたカメラにおいて、システムの制約などでイメージサークル全体のデータを記録することが困難または不要である場合には更なるデータ量の削減が求められる撮像データ生成装置、撮像データ復号装置および撮像データ生成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】撮像モードに応じて記録対象の領域を決定する記録対象領域決定部と、記録対象領域決定部の決定した記録対象の画素の情報に基づいて画像データを生成する画像データ生成部と、撮像モードの情報を切り出した画像データに付加する撮像データ出力部とを備える。この構成から出力される撮像モード情報と画像データとがあれば可逆に画像を複合化することが可能となり、出力データを一定量に抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広角レンズによる撮像画像の撮像データ生成を行う撮像データ生成装置および生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広角レンズで撮像した撮像画像のうちイメージサークル領域のデータのみを撮像データとして生成することで撮像データ量を圧縮する技術が知られている。
【0003】
(特許文献1)では、画像センサのうちイメージサークル領域のデータのみを画像センサの領域よりも小さな四角形のデータに割り当てることでデータ量を圧縮する技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−318597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(特許文献1)に記載の撮像データ生成方法の場合、カメラシステムの制約などにおいてイメージサークル全体のデータを記録することが困難または不要である場合には更なるデータ量の削減が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像データ生成装置では、広角レンズのイメージサークル領域全体を撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像画像から、前記イメージサークル領域よりも面積の小さな領域を記録対象として画像データを生成する画像データ生成部と、前記画像データ生成部で生成した前記画像データを撮像データとして出力する撮像データ出力部とを備えた。
【0007】
上記構成により、カメラシステムに影響を及ぼさない最適な撮像データ量で撮像することが可能となる。
【0008】
上記構成において、撮像モードを設定するモード設定部を備え、前記画像データ生成部は、モード設定部で設定された撮像モードに応じて記録対象の領域を決定し、前記撮像データ出力部は、画像データと撮像モード情報とを対応付けて撮像データとして出力する。
【0009】
上記構成により、どのような撮像モードでも最適な撮像データ量で撮像することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より最適なデータ量で撮像データを記録することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係る撮像装置の主要な構成を示すブロック図
【図2】実施の形態に係る再生装置の主要な構成を示すブロック図
【図3】実施の形態に係る撮像と再生の方法を示すフローチャート
【図4】撮像モードの記録対象画素領域のバリエーションを示す図
【図5】撮像モードの記録対象画素領域を詳細に説明する図
【図6】記録対象画素の具体例を説明する図
【図7】画像データを作成するイメージ図
【図8】撮像データのフォーマットを表す図
【図9】従来技術を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態)
図1は実施の形態に係る撮像装置の主要な構成を示すブロック図である。図1に示すように撮像装置100は撮像部101と、モード設定部102と、記録領域DB103と、記録領域決定部104と、画像データ生成部105と、撮像データ出力部106とから構成される。
【0014】
撮像部101は、広角レンズのイメージサークル全体を含む領域を撮像する。モード設定部102は、後述する撮像モードと必要に応じて角度パラメータを設定する。記録領域DB103は、各撮像モードと角度パラメータにおけるイメージサークル内の記録対象となる領域情報を保持する。記録領域決定部104は、モード設定部102により設定された撮像モードと角度パラメータに応じて、記録領域DB103を参照し、イメージサークル内の撮像部101の撮像したイメージサークルのうち記録対象の領域を決定する。画像データ生成部105は、記録領域決定部104によって決定された記録対象の領域に基づいて記録対象の領域を含む画像データを作成する。撮像データ出力部106は、画像データ生成部105が生成した画像データに撮像モードと角度パラメータの情報を付与し撮像データとして出力する。
【0015】
図2は実施の形態に係る再生装置の主要な構成を示すブロック図である。図2に示すように再生装置200は、復号部201と記録領域DB103とデータ受付部202とから構成される。
【0016】
記録領域DB103は、撮像装置100で説明したものと同一のものであり、撮像モードと角度パラメータによって決まる記録対象となる領域情報を保持する。データ受付部202は、撮像装置100が生成した撮像データを受け付ける。復号部201は、データ受付部202が受け付けた撮像データから抽出した撮像モードと角度パラメータの情報に基づき、記録領域DB103を参照して撮像データ中の画像データを画像として復号する。
【0017】
撮像装置100と再生装置200はネットワークや記録媒体を介して撮像データの受け渡しを行う、または一体型となっているなどの構成が考えられる。
【0018】
本特許における課題を具体的に説明する。図9は従来技術を説明する図である。図9は、イメージサークル902の直径が画像センサの長辺となるような4:3サイズの画像センサ901を表す。このようなイメージサークル902と画像センサ901の関係は従来多く見られる。ここで、画像センサ901をイメージサークル902全体を撮像可能な画像センサに置き換える場合について考える。置き換え後の画像センサの形状は問わないが、イメージサークル902と同じ大きさの円形のセンサや、イメージサークル902の直径を辺とする正方形のセンサなどでもよい。イメージサークル902全体を撮像可能なセンサで撮像した画像に(特許文献1)の撮像データ生成方法を適用する場合を考える。イメージサークル902の半径をrとすると、従来の画像センサ901の撮像データ量は3r2であり、置き換え後のイメージサークル902全体を撮像可能な画像センサでイメージサークル902内のデータのみで撮像データを生成した場合の撮像データ量はπr2(≒3.14r2)となる。
【0019】
この場合、従来の撮像データ量に比べて約0.14r2だけデータ量が増えることになり3r2の撮像データ量を前提として設計されたカメラでは処理量が増えシステムに影響を及ぼす可能性がある。システムに影響を及ぼす可能性をなくすためには、イメージサークル902全体の撮像データを記録せず、3r2分だけの撮像データを作成するようにすればよい。
【0020】
続いてフローチャートを用いて撮像装置100での撮像の流れを具体的に説明する。図3(a)は実施の形態に係る撮像と再生の方法を示すフローチャートである。
【0021】
はじめにモード設定部102が撮像モードを設定する(ステップS301)。撮像モードは、撮像部101が取得したイメージサークルのうち、どの領域を記録・表示するかを示すモードである。撮像モードはユーザが任意に設定したり、状況に応じて自動的に設定される。
【0022】
撮像装置100は撮像モードとして「通常モード」、「ワイドモード」、「全周囲モード」の3つの撮像モードを持つ。図4は撮像モードの記録対象画素領域のバリエーションを示す図である。円は広角レンズによるイメージサークルであり、イメージサークル内の色付きの領域が記録・表示の対象領域で、白抜きの領域は記録・表示の対象外であることを表している。図4(a)は「通常モード」、図4(b)は「ワイドモード」、図4(c)は「全周囲モード」を示す。「通常モード」と「ワイドモード」の場合は更に角度をパラメータとして持つ。図4(d)、(e)は「通常モード」、「ワイドモード」における角度パラメータが45°の場合の例である。
【0023】
図5は撮像モードの記録対象画素領域を詳細に説明する図である。図5(a)は「通常モード」での領域を表す。図中のθはθ−1/2・sin2θ=(π−3)/4を満たすθ(≒21度)である。図5(b)は「ワイドモード」での領域を表す。図中のθはθ−1/2・sin2θ=(π−3)/2を満たすθ(≒27度)である。図5(c)は「全周囲モード」での領域を表す。図中のRはr=(3/π)・Rを満たすRである。このようなθやRを用いることでデータ量を3r2以下に抑えることができる。
【0024】
続いて記録領域決定部104は、モードに応じて記録領域DB103を参照して撮像部101の取得したイメージサークル内の各画素のうち記録対象の画素を決定する(ステップS302)。記録領域DB103は、全ての撮像モードと角度ごとにあらかじめ記録対象の領域となる画素の情報を保持している。図6は記録対象画素の具体例を説明する図である。撮像モード=「通常モード」、角度=0°における記録対象の領域の画素を表す例である。図中の「○」で表された画素は記録対象であることを表し、「×」で表された画素は記録対象でないことを表す。少なくともイメージサークル内の画素全てについて記録対象であるか否かを示す情報が付与されている。記録領域DB103ではこのようなデータを全ての撮像モード、角度パラメータごとに保持している。
【0025】
続いて画像データ生成部105は画像データの生成を行う(ステップS303)。画像データは記録対象となった画素を含むように構成されたデータである。図7は画像データを作成するイメージ図である。記録対象の画素をx軸方向のラインごとにy軸方向にスキャンを実施し得られた各画素のデータを連結して画像データを作成する。この画像データは撮像モードと角度パラメータが求まれば可逆に画像を復号化することができる。
【0026】
続いて撮像データ出力部106は画像データにメタデータを付与し撮像データを作成する(ステップS304)。付与されるメタデータは、少なくとも撮像モードと撮像モードが通常モード、ワイドモードの場合には角度パラメータである。その他に、撮像日時・場所・撮像者・カメラ種別・レンズ特性などのメタデータを付与してもよい。図8は撮像データのフォーマットを表す図である。撮像データは画像データに加えて撮像モードと角度パラメータを含んでいる。
【0027】
以上のようにして撮像データが作成される。
【0028】
続いて再生装置200の復号部201で画像への復号化を行う手順について図3(b)のフローチャートをもとに説明する。撮像データを受け取った再生装置200は、データ受付部202が受け取った撮像データから復号部201が撮像モードと角度パラメータの抽出を行う(ステップS311)。続いて、復号部201は抽出した撮像モードと角度パラメータに応じて記録領域DB103を参照して画素の配置情報を取得する(ステップS312)。続いて、復号部201は取得した画素の配置情報に基づいて撮像データから抽出した画像データを再配置し画像を生成する(ステップS313)。このように撮像データを作成する際の逆の手順で画像を復元することができる。
【0029】
以上本発明の実施の形態について述べてきたが、本発明の撮像装置は実施の形態に限定されるものではなく多様な形態を取ることが可能である。
【0030】
例えば、記録領域DB103の変わりに、撮像モードと角度パラメータから記録対象の領域を2次元平面上の式で表現しておき、各画素が記録対象か否かを式を満たすか否かで判別してもよい。これにより、記録領域DB103の容量を削減することができる。
【0031】
また、画像データ生成部が生成する画像データは通常単体では画像を復号することができないが、撮像モードが固定であれば撮像装置100はメタデータの付与を行うことなく画像データを撮像データとして生成してもよい。撮像モードが固定であれば画像データから画像を復元することが可能である。この場合には撮像装置と再生装置で同じ撮像モードであるようにあらかじめ情報を共有しておき、画像データ生成・復号の際には決められた撮像モードにおける有効領域の配置情報を利用すればよい。
【0032】
また、画像データの作成方法は可逆に画像が復元できれば実施の形態に記載した以外の方法でもよい。例えば、イメージサークルの中心部から一定距離の画像データをまとめて読み取っていってもよい。更に、画像データを圧縮して記録してもよい。
【0033】
また、本実施の形態ではハードウエアで構成する場合を例に説明したがソフトウエアで実現することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る撮像装置は広角に撮像するカメラシステムで有効である。
【符号の説明】
【0035】
100 撮像装置
101 撮像部
102 モード設定部
103 記録領域DB
104 記録領域決定部
105 画像データ生成部
106 撮像データ出力部
200 再生装置
201 復号部
202 データ受付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広角レンズのイメージサークル領域全体を撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像画像から、前記イメージサークル領域よりも面積の小さな領域を記録対象として画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データ生成部で生成した前記画像データを撮像データとして出力する撮像データ出力部と、
を有する撮像データ生成装置。
【請求項2】
撮像モードを設定するモード設定部を有し、
前記画像データ生成部は、モード設定部で設定された撮像モードに応じて記録対象の領域を決定し、
前記撮像データ出力部は、画像データと撮像モード情報とを対応付けて撮像データとして出力する、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像データ生成装置。
【請求項3】
前記撮像モードに応じた記録領域情報を保持する記録領域DBを有し、
前記撮像データ出力部は記録領域DBを参照して前記モード設定部によって設定された撮像モードに対応する記録対象の領域を決定する、
ことを特徴とする請求項2記載の撮像データ生成装置。
【請求項4】
広角レンズのイメージサークル領域全体を撮像する撮像部と、撮像モードを設定するモード設定部と、前記撮像部による撮像画像から、前記モード設定部で設定された撮像モードに応じた領域を記録対象として画像データを生成する画像データ生成部と、前記画像データ生成部で生成した前記画像データを撮像データとして出力する撮像データ出力部と、を有する撮像データ生成装置から出力される撮像データを受け付ける撮像データ受け付け部と、
前記撮像モードに応じた記録領域の画素情報を保持する前記記録領域DBと、
前記画像データと撮像モード情報とを受け取り、前記記録領域DBを参照して画像を復号する復号部と
から構成される撮像データ復号装置。
【請求項5】
広角レンズのイメージサークル領域全体を撮像する撮像ステップと、
前記撮像部による撮像画像から、前記イメージサークル領域よりも面積の小さな領域を記録対象として画像データを生成する画像データ生成ステップと、
前記画像データ生成部で生成した前記画像データを撮像データとして出力する撮像データ出力ステップと、
を有する撮像データ生成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−3756(P2013−3756A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132975(P2011−132975)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】