説明

撮像素子チップの実装方法、内視鏡の組立方法、撮像モジュール及び内視鏡

【課題】より簡単な構成で内視鏡の細径化が可能な撮像素子チップの実装方法、ならびにこの実装方法を用いた内視鏡の組立方法、撮像モジュール及び内視鏡を提供する。
【解決手段】内視鏡のスコープ先端部における筒状のハウジングチューブ内に挿入するフレキシブルな基板12に撮像素子チップ11を実装する方法であって、撮像素子チップ11を基板12に固定し、基板12の接続部26と撮像素子チップ11の接続部11bとをリード線24で結線し、リード線24全体を柔軟性のある非導電性の樹脂25で被覆して、基板12の接続部26と撮像素子チップ11の接続部11bとの間で基板12を湾曲可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の先端部に設けられる撮像素子チップをフレキシブルな基板に実装する撮像素子の実装方法に関する。また、本発明は、上記実装方法を用いた内視鏡の組立方法、撮像モジュール及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の先端部に撮像素子を設け、この撮像素子から配線を引き出し、画像情報を電気信号に変換して伝送する方式の内視鏡(電子内視鏡)が知られている。このような内視鏡では、撮像素子を実装した基板を筒状のスコープ先端部に挿入している(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1(段落0032〜0045、特に段落0033及び0044参照)には、U字状に屈曲されたフレキシブル回路基板の中央平面部に撮像素子を実装して、挿入部の径方向の寸法を縮小した電子内視鏡が記載されている。
特許文献2には、湾曲したフレキシブルなプリント基板の一端部に撮像素子を電気的に接続して、筒状体内に収容した内視鏡が記載されている。
特許文献3には、撮像素子の素子面に、カバーガラスを介することなく、直接プリズムを接着した内視鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3216650号公報
【特許文献2】特開昭61−50544号公報
【特許文献3】特開昭61−254917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載の内視鏡では、フレキシブル基板に撮像素子を実装している。これらのうち、特許文献1では、フレキシブル基板と撮像素子との電気的接続にワイヤボンディングを用いると必要寸法が大きくなる(特許文献1の段落0008参照)として、撮像素子を実装したフレキシブル基板を折り曲げた状態でリードフレームによって導通接続する(特許文献1の段落0035、0040参照)など、必要寸法の小さい手法で撮像素子とフレキシブル基板とを接続するようにしている。
特許文献2に記載の内視鏡では、明細書中に明記はないが、特許文献2の第2図によれば、特許文献1の図17と同様に撮像素子チップをパッケージ化した構造と考えられる。
特許文献3に記載の内視鏡では、撮像素子の入出力端子に配線を直接接続している。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、より簡単な構成で内視鏡の細径化が可能な撮像素子チップの実装方法、ならびにこの実装方法を用いた内視鏡の組立方法、撮像モジュール及び内視鏡を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、内視鏡のスコープ先端部における筒状のハウジングチューブ内に挿入するフレキシブルな基板に撮像素子チップを実装する撮像素子チップの実装方法であって、前記撮像素子チップを前記基板に固定し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部とをリード線で結線し、前記リード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆して、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部との間で前記基板を湾曲可能とする撮像素子チップの実装方法を提供する。
前記基板の接続部は、前記撮像素子チップの接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向に沿った方向に位置することも可能である。
前記基板の接続部は、前記撮像素子チップの第1の接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向に沿った方向に位置する第1の接続部と、前記撮像素子チップの第2の接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向と直交する方向に位置する第2の接続部とを有し、前記基板の第1の接続部と前記撮像素子チップの第1の接続部とを第1のリード線で結線して前記第1のリード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆するとともに、前記基板の第2の接続部と前記撮像素子チップの第2の接続部とを第2のリード線で結線して前記第2のリード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆することも可能である。
【0008】
また、本発明は、フレキシブルな基板に撮像素子チップを実装して内視鏡のスコープ先端部における筒状のハウジングチューブ内に挿入する内視鏡の組立方法であって、前記撮像素子チップを前記基板に固定し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部とをリード線で結線し、前記リード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部との間で前記基板を湾曲させて、前記ハウジングチューブ内に挿入する内視鏡の組立方法を提供する。
前記基板の接続部は、前記撮像素子チップの接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向に沿った方向に位置し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部との間で前記基板を前記長手方向に湾曲させて、前記ハウジングチューブ内に挿入することも可能である。
前記基板の接続部は、前記撮像素子チップの第1の接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向に沿った方向に位置する第1の接続部と、前記撮像素子チップの第2の接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向と直交する方向に位置する第2の接続部とを有し、前記基板の第1の接続部と前記撮像素子チップの第1の接続部とを第1のリード線で結線して前記第1のリード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆するとともに、前記基板の第2の接続部と前記撮像素子チップの第2の接続部とを第2のリード線で結線して前記第2のリード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆し、前記基板の第2の接続部と前記撮像素子チップの第2の接続部との間で前記基板を前記直交する方向に湾曲させて、前記ハウジングチューブ内に挿入することも可能である。
【0009】
また、本発明は、内視鏡のスコープ先端部における筒状のハウジングチューブ内に挿入するフレキシブルな基板に撮像素子チップを実装した撮像モジュールであって、前記撮像素子チップを前記基板に固定し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部とをリード線で結線し、前記リード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆して、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部との間で前記基板を湾曲可能とした撮像モジュールを提供する。
また、本発明は、フレキシブルな基板に撮像素子チップを実装して内視鏡のスコープ先端部における筒状のハウジングチューブ内に挿入した内視鏡であって、前記撮像素子チップを前記基板に固定し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部とをリード線で結線し、前記リード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆した撮像モジュールを備え、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部との間で前記基板を湾曲させて、前記撮像モジュールを前記ハウジングチューブ内に挿入した内視鏡を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板の接続部と撮像素子チップの接続部との間で基板を湾曲することができるので、より細径のスコープ先端部に挿入することが可能になり、より簡単な構成で内視鏡の細径化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によって撮像素子チップを実装した基板の第1形態例を示し、(a)はその断面図、(b)はその平面図である。
【図2】図1の撮像素子チップ上にレンズ及びプリズムを設けた撮像モジュールの一例を示す断面図である。
【図3】図2の撮像モジュールをレンズに対向する側から見た正面図である。
【図4】(a)は内視鏡の一例を示す平面図、(b)はスコープ先端部の一例を示す断面図である。
【図5】図2の撮像モジュールをスコープ先端部に挿入した一例を示す正面図である。
【図6】図5のスコープ先端部を樹脂で封止した一例を示す斜視図である。
【図7】本発明によって撮像素子チップを実装した基板の第2形態例を示し、(a)はその断面図、(b)はその平面図である。
【図8】図7の撮像素子チップ上にレンズを設けた撮像モジュールの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明によって撮像素子チップ11を実装した基板12の第1形態例を示す。
撮像素子チップ11としては、特に限定されるものではないが、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)、CCD(電荷結合デバイス)、CPD(チャージプライミングデバイス)等の半導体チップが挙げられる。チップ寸法は、特に限定されるものではないが、細径化のためには小型のチップを採用することが好ましく、例えば一辺(長辺及び短辺)が約2mm以下、厚さが約0.5mm以下のものを用いることもできる。
【0013】
基板12は、図4及び図5に示すように、内視鏡1のスコープ先端部3において、筒状のハウジングチューブ2内に挿入するとき、基板12を湾曲させることが可能なように、フレキシブルな基板が用いられる。
フレキシブルな基板12としては、フレキシブルな絶縁フィルムの片面又は両面に、銅箔などの金属層を形成したフレキシブル配線板(FPC)や、FPCを2層以上積層した積層配線板が好ましい。絶縁フィルムとしては、ポリイミド、ポリエステル、液晶ポリマー等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。基板12の厚さは、例えば50〜200μm程度とすることも可能である。
【0014】
本形態例の場合、絶縁フィルム31b,32bを基材とするFPC31,32を複数、接着層33を介して積層し、FPC31,32の金属層のパターニングによって形成した接続部31a,32aを2段に分けて形成した。これにより、撮像素子チップ11の接続部11aのピッチに比べて基板12の接続部31a,32aの面積を大きく確保することができる。最上段のFPC32の上には、絶縁フィルム34aの片面に接着層34bを形成したカバーレイ34(保護フィルム)が積層されている。
【0015】
本形態例の撮像素子チップ11の実装方法では、まず、撮像素子チップ11を基板12に固定する。撮像素子チップ11を基板12に固定する手段は、特に限定されるものではなく、接着剤や半田、銀ろう等の接合材17や、ネジ等の機械的手段等を適宜用いることができる。
【0016】
撮像素子チップ11の固定後に、撮像素子チップ11の接続部11a,11bを、基板12の接続部31a,32a,26とリード線21,22,24で結線する。接続部11a,11bは、撮像素子チップ11の上面に形成されたバンプなどの端子である。また、基板12の接続部31a,32a,26は、基板12の配線に形成されたパッドなどの端子である。リード線21,22,24としては、例えば、金(Au)ワイヤ、アルミ(Al)ワイヤ、銅(Cu)ワイヤなどが挙げられる。
リード線21,22,24を用いた結線の際、基板12は任意の形状、例えば平面状であってよい。このため、自動ワイヤボンディング装置を用いて効率的に作業を進めることができる。
【0017】
本形態例の場合、撮像素子チップ11は、スコープ先端部3の長手方向の端(図1(b)の右側)に位置する短辺に沿って配列する第1の接続部11aと、スコープ先端部3の長手方向と直交する端(図1(b)の下側)に位置する長辺に沿って配列する第2の接続部11bとを有する。
基板12の接続部は、撮像素子チップ11の第1の接続部11aに対して、スコープ先端部3の長手方向に沿った方向(図1(b)では左右方向)に位置する第1の接続部31a,32aと、撮像素子チップ11の第2の接続部11bに対して、スコープ先端部3の長手方向と直交する方向(図1(b)では上下方向)に位置する第2の接続部26を有する。
【0018】
撮像素子チップ11の第1の接続部11aと基板12の第1の接続部31a,32aとの間は、ほぼスコープ先端部3の長手方向に沿った方向に延在する第1のリード線21,22によって結線されている。
また、撮像素子チップ11の第2の接続部11bと基板12の第2の接続部26との間は、ほぼスコープ先端部3の長手方向と直交する方向に延在する第2のリード線24によって結線されている。
これにより、撮像素子チップ11が多数の接続部11a,11bを備え、撮像素子チップ11の直交する2辺に沿って第1の接続部11a及び第2の接続部11bが設けられていても、各リード線21,22,24が混雑することなく基板12上の配線と電気的に接続することができる。
【0019】
リード線21,22,24の結線後、リード線21,22,24全体を、柔軟性のある非導電性の樹脂23,25で被覆する。これにより、隣接するリード線21,22,24同士の接触を防いで電気的な短絡を防止することができる。また、樹脂23,25の被覆が基板12の接続部31a,32a,26及び撮像素子チップ11の接続部11a,11bを含むことにより、これら接続部とリード線21,22,24との接続箇所も保護され、耐久性が向上する。
【0020】
図2に示す本形態例の撮像モジュール10は、撮像素子チップ11の撮像エリアに光学的画像を結像させるための光学系として、撮像素子チップ11上に固定したプリズム14と、このプリズム14に取り付けた対物レンズ13を備える。プリズム14は、支持部材15が取り付けられるとともに、撮像素子チップ11における撮像エリアの周囲16に接着剤等で固定されている。
対物レンズ13は、円柱状の屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)でもよく、図8に示すようにレンズ19をフレーム20に取り付けた構造でもよい。
なお、プリズム14や対物レンズ13の取り付けは、撮像素子チップ11を基板12に実装した後でも、実装前でもよい。
【0021】
本形態例の撮像素子チップ11の実装方法によれば、基板12の接続部31a,32a,26と撮像素子チップ11の接続部11a,11bとの間が、可撓性のあるリード線21,22,24で接続され、さらに柔軟性のある非導電性の樹脂23,25で被覆されているので、基板12を湾曲することができる。
本形態例の撮像モジュール10の場合、基板12の第1の接続部31a,32aと撮像素子チップ11の第1の接続部11aとの間で基板12を長手方向に湾曲させることができる(図8参照)とともに、基板12の第2の接続部26と撮像素子チップ11の第2の接続部11bとの間で基板12を長手方向と直交する方向に湾曲させることができる。
柔軟性のある非導電性の樹脂23,25は、例えばゴム状、粘土状、ゲル状、ゼリー状、半固体状、ペースト状、スラリー状、液状などの性状を示し、塗布可能な程度の流動性を有する低粘度(例えば1000〜10000cP)であることが好ましい。塗布後に硬化や乾燥等の工程を行うこともでき、その場合は、硬化や乾燥後の樹脂に柔軟性があればよい。
【0022】
図2に示す撮像モジュール10は、図4に示すように、内視鏡1のスコープ先端部3において、ハウジングチューブ2内に挿入して用いることができる。フレキシブルな基板12は、途中でコードやケーブル等の電気信号線4に接続してもよい。図4に示す内視鏡1では、操作者が操作する側の端部にコネクタ(電気コネクタ)5を設け、電気信号線4をコネクタ5内の端子(図示せず)に電気的に接続している。これにより、内視鏡1の電気信号線4をビデオプロセッサやパーソナルコンピュータ等の画像表示装置に一括して接続することができる。
【0023】
電気信号線4としては、特に限定されるものではないが、極細同軸ケーブル(例えば中心導体のサイズがAWG(米国ワイヤーゲージ)で36以下の同軸ケーブル)が好ましい。コネクタ5としては、特に限定されるものではないが、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)などの各種規格が広く知られており、いずれも本発明に好適に用いることができる。
【0024】
図5は、撮像モジュール10の基板12をスコープ先端部3の長手方向と直交する方向に湾曲させ、ハウジングチューブ2内に挿入した状態を示す。基板12の第2の接続部26に結線されたリード線24とともに基板12をスコープ先端部3の長手方向(図5では紙面に垂直)と直交する方向に湾曲させてハウジングチューブ2に挿入している。これにより、基板を湾曲させない場合に比べてスコープ先端部3の長手方向と直交する方向の基板12の幅を小さくでき、内径のより小さなハウジングチューブ2を用いることが可能になる。なお、ハウジングチューブ2に挿入する前の撮像モジュール10は、図3に示すように、基板12が平坦であってよい。
【0025】
本形態例では、撮像モジュール10上にプリズム等の光路変更手段を設け、撮像モジュール10の撮像エリアをスコープ先端部3の長手方向と直交する方向(図5では上方)に向けたので、ハウジングチューブ2の内径が撮像素子チップ11の辺の長さより若干大きい程度でも、撮像モジュール10の挿入が可能になる。なお、特許文献1(特許第3216650号公報)のように、撮像モジュール10の撮像エリアをスコープ先端部3の長手方向に向けた場合、撮像素子チップ11を収容するには、ハウジングチューブ2は、内径が撮像素子チップ11の対角線の長さより大きいことが必要である。
【0026】
図6は、撮像モジュール10をハウジングチューブ2内に挿入した後、ハウジングチューブ2の先端部を封止材6で封止した状態を示す。対物レンズ13は、スコープ先端部3に露出されている。封止材6が対物レンズ13の対物面上に侵入することを防ぐため、対物レンズ13の周囲にはチューブ18の端部を突出させて、封止材6をせき止めるように構成することもできる。
【0027】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0028】
図7は、本発明によって撮像素子チップ11を実装した基板12の第2形態例を示す。
本形態例の場合、基板12の接続部31a,32aは、撮像素子チップ11の接続部11aに対して、スコープ先端部3の長手方向に沿った方向(図7(b)では左右方向)に位置する。撮像素子チップ11の接続部11aと基板12の接続部31a,32aとの間は、ほぼスコープ先端部3の長手方向に沿った方向に延在するリード線21,22によって結線されている。
【0029】
本形態例の撮像素子チップ11の実装方法は、第1形態例と同様に、撮像素子チップ11を基板12に固定し、基板12の接続部31a,32aと撮像素子チップ11の接続部11aとをリード線21,22で結線した後、リード線21,22全体を、柔軟性のある非導電性の樹脂23で被覆する。
これにより、隣接するリード線21,22同士の接触を防いで電気的な短絡を防止することができる。また、樹脂23の被覆が基板12の接続部31a,32a及び撮像素子チップ11の接続部11aを含むことにより、これら接続部とリード線21,22との接続箇所も保護され、耐久性が向上する。
また、基板12の接続部31a,32aと撮像素子チップ11の接続部11aとの間が、可撓性のあるリード線21,22で接続され、さらに柔軟性のある非導電性の樹脂23で被覆されているので、基板12を湾曲することができる。
【0030】
これにより、特許文献1(特許第3216650号公報)の段落0040に記載されたように接続基板を折り曲げた状態でリードフレームを接続する方法と比較して、本形態例では、フレキシブルな基板12を平坦にしたまま可撓性あるリード線21,22の結線が可能になり、生産性を向上することができる。
【0031】
図8に示す本形態例の撮像モジュール10Aは、撮像素子チップ11の撮像エリアに光学的画像を結像させるための光学系として、レンズ19をフレーム20に取り付け、撮像素子チップ11上に固定している。
本形態例の撮像モジュール10Aは、基板12の第1の接続部31a,32aと撮像素子チップ11の接続部11aとの間で基板12を長手方向に湾曲させて、内視鏡のスコープ先端部においてハウジングチューブ(図示せず)に挿入することができる。
【0032】
本形態例の撮像モジュール10Aを用いて内視鏡を構成する方法は、第1形態例の撮像モジュール10を用いた場合と同様に実施することができる。例えば、図6に示すように、撮像モジュールをハウジングチューブ内に挿入した後、対物レンズの周囲でハウジングチューブの先端部を封止材で封止することもできる。
本形態例の撮像モジュール10Aによれば、基板12の接続部31a,32aと撮像素子チップ11の接続部11aとを接続し、樹脂23で被覆した後でも基板12を湾曲することができるので、より細径のスコープ先端部に挿入することが可能になり、より簡単な構成で内視鏡の細径化を実現することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…内視鏡(スコープ)、2…ハウジングチューブ、3…スコープ先端部、10,10A…撮像モジュール、11…撮像素子チップ、11a…撮像素子チップの第1の接続部、11b…撮像素子チップの第2の接続部、12…基板、21,22…第1のリード線、24…第2のリード線、23,25…樹脂、26…基板の第2の接続部、31a,32a…基板の第1の接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡のスコープ先端部における筒状のハウジングチューブ内に挿入するフレキシブルな基板に撮像素子チップを実装する撮像素子チップの実装方法であって、
前記撮像素子チップを前記基板に固定し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部とをリード線で結線し、前記リード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆して、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部との間で前記基板を湾曲可能とする撮像素子チップの実装方法。
【請求項2】
前記基板の接続部は、前記撮像素子チップの接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向に沿った方向に位置する請求項1に記載の撮像素子チップの実装方法。
【請求項3】
前記基板の接続部は、前記撮像素子チップの第1の接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向に沿った方向に位置する第1の接続部と、前記撮像素子チップの第2の接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向と直交する方向に位置する第2の接続部とを有し、
前記基板の第1の接続部と前記撮像素子チップの第1の接続部とを第1のリード線で結線して前記第1のリード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆するとともに、前記基板の第2の接続部と前記撮像素子チップの第2の接続部とを第2のリード線で結線して前記第2のリード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆する請求項1に記載の撮像素子チップの実装方法。
【請求項4】
フレキシブルな基板に撮像素子チップを実装して内視鏡のスコープ先端部における筒状のハウジングチューブ内に挿入する内視鏡の組立方法であって、
前記撮像素子チップを前記基板に固定し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部とをリード線で結線し、前記リード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部との間で前記基板を湾曲させて、前記ハウジングチューブ内に挿入する内視鏡の組立方法。
【請求項5】
前記基板の接続部は、前記撮像素子チップの接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向に沿った方向に位置し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部との間で前記基板を前記長手方向に湾曲させて、前記ハウジングチューブ内に挿入する請求項4に記載の内視鏡の組立方法。
【請求項6】
前記基板の接続部は、前記撮像素子チップの第1の接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向に沿った方向に位置する第1の接続部と、前記撮像素子チップの第2の接続部に対して、前記スコープ先端部の長手方向と直交する方向に位置する第2の接続部とを有し、
前記基板の第1の接続部と前記撮像素子チップの第1の接続部とを第1のリード線で結線して前記第1のリード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆するとともに、前記基板の第2の接続部と前記撮像素子チップの第2の接続部とを第2のリード線で結線して前記第2のリード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆し、
前記基板の第2の接続部と前記撮像素子チップの第2の接続部との間で前記基板を前記直交する方向に湾曲させて、前記ハウジングチューブ内に挿入する請求項4に記載の内視鏡の組立方法。
【請求項7】
内視鏡のスコープ先端部における筒状のハウジングチューブ内に挿入するフレキシブルな基板に撮像素子チップを実装した撮像モジュールであって、
前記撮像素子チップを前記基板に固定し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部とをリード線で結線し、前記リード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆して、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部との間で前記基板を湾曲可能とした撮像モジュール。
【請求項8】
フレキシブルな基板に撮像素子チップを実装して内視鏡のスコープ先端部における筒状のハウジングチューブ内に挿入した内視鏡であって、
前記撮像素子チップを前記基板に固定し、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部とをリード線で結線し、前記リード線全体を柔軟性のある非導電性の樹脂で被覆した撮像モジュールを備え、前記基板の接続部と前記撮像素子チップの接続部との間で前記基板を湾曲させて、前記撮像モジュールを前記ハウジングチューブ内に挿入した内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−103011(P2013−103011A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249755(P2011−249755)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】