説明

撮像装置、アクセサリ及び撮像システム

【課題】撮像装置と接続されたアクセサリとの通信品質を低下させることなく、接続されたアクセサリから休止状態の撮像装置を起動可能にする。
【解決手段】撮像装置と、当該撮像装置に接続されたアクセサリとを有する撮像システムであって、アクセサリは、電圧値または電流値に基づいて撮像装置との通信を行うための信号端子と、撮像装置を休止状態から非休止状態にするための起動信号を生成する起動信号生成手段と、信号端子を介して起動信号を撮像装置に出力させる制御手段と、を有し、撮像装置は、撮像装置の状態を休止状態と非休止状態とに変更する状態変更手段を有し、状態変更手段は、休止状態において信号端子を介して起動信号を受け付けると非休止状態に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像装置に接続されるアクセサリ、及び撮像装置にアクセサリが接続された撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラなどの撮像装置は、閃光装置などのアクセサリを接続することが可能となっている。撮像装置と閃光装置とを接続するインターフェースを介して、接続された閃光装置を制御するために、発光を指示する信号を閃光装置に送信するなどの通信が可能である。しかしながら、撮像装置が省電力モードにあって動作していない場合には、撮像装置と閃光装置との間でデータの授受ができない。よって、このような場合、撮像装置に閃光装置を装着して閃光装置側の操作部材を操作しても、その操作内容は撮像装置に反映されない。
【0003】
特許文献1では、省電力モードにある撮像装置を閃光装置から起動可能にする構成について提案されている。特許文献1によれば、閃光装置において、撮像装置からの通信用クロックパルスを受信する接続端子に、当該閃光装置の起動に連動して起動信号を発する回路が付加される。また、撮像装置においては、閃光装置へのクロックパルスを出力する接続端子に閃光装置からの起動信号を受信するための回路を付加する。すなわち、特許文献1によれば、クロックパルス用端子を経由して閃光装置から撮像装置へ起動信号を送信し、それを受けた撮像装置は省電力モードによる休止状態から起動して通常の動作状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−287643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、撮像装置と閃光装置のクロックパルス用端子に新たな回路を付加する必要があり、通信クロックの波形を劣化させる可能性や通信速度の高速化への妨げとなる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、撮像装置と接続されたアクセサリとの通信品質を低下させることなく、接続されたアクセサリから休止状態の撮像装置を起動可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係るアクセサリは、撮像装置と接続可能なアクセサリであって、電圧値または電流値に基づいて接続された撮像装置との通信を行うための信号端子と、前記接続された撮像装置を休止状態から非休止状態にするための起動信号を生成する起動信号生成手段と、 前記信号端子を介して前記起動信号を前記接続された撮像装置に出力させる制御手段と、を有することを特徴とする。
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、接続された撮像装置を休止状態から非休止状態にするための起動信号を生成する起動信号生成手段を備えたアクセサリと接続可能な撮像装置であって、電圧値または電流値に基づいて接続されたアクセサリとの通信を行うための信号端子と、前記撮像装置の状態を前記休止状態と前記非休止状態とに変更する状態変更手段と、を有し、前記状態変更手段は、前記休止状態において前記信号端子を介して前記起動信号を受け付けると前記非休止状態に変更することを特徴とする。
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る撮像システムは、撮像装置と、当該撮像装置に接続されたアクセサリと、を有する撮像システムであって、前記アクセサリは、電圧値または電流値に基づいて前記撮像装置との通信を行うための信号端子と、前記撮像装置を休止状態から非休止状態にするための起動信号を生成する起動信号生成手段と、前記信号端子を介して前記起動信号を前記撮像装置に出力させる制御手段と、を有し、前記撮像装置は、当該撮像装置の状態を休止状態と非休止状態とに変更する状態変更手段を有し、前記状態変更手段は、前記休止状態において前記信号端子を介して前記起動信号を受け付けると前記非休止状態に変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像装置と接続されたアクセサリとの通信品質を低下させることなく、接続されたアクセサリから休止状態の撮像装置を起動することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態のアクセサリシューにおける回路構成を示すブロック図。
【図2】実施形態によるカメラシステムを示す全体ブロック図。
【図3】実施形態によるカメラの動作を説明するフローチャート。
【図4】実施形態によるカメラの動作を説明するフローチャート。
【図5】実施形態による閃光装置の動作を説明するフローチャート。
【図6】実施形態による閃光装置の動作を説明するフローチャート。
【図7】カメラと閃光装置の連携を説明するフローチャート。
【図8】カメラの休止状態からの起動処理を説明するフローチャート。
【図9】実施形態による閃光装置の動作を説明するタイミングチャート。
【図10】閃光装置におけるカメラ判定出力回路の一例を示す図。
【図11】実施形態によるカメラシステムを示す模式図。
【図12】一般的なアクセサリシューにおける回路構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、実施形態にかかわる撮像装置としてのカメラと撮像装置と接続可能なアクセサリとしての閃光装置とを接続するためのインターフェース(アクセサリシュー)に係る構成を抽出して示したブロック図である。図2は、実施形態にかかわる撮像システム(カメラ及び閃光装置)の全体構成を示すブロック図である。
【0012】
まず図2を参照して、実施形態に係わる撮像システム(デジタルカメラ、レンズ、閃光装置から成る)の構成を詳細に説明する。図2において、100はカメラ本体を、200はレンズを、300は閃光装置(発光装置)をそれぞれ示している。まず、カメラ100内の構成について説明する。
【0013】
カメラマイコン101は、カメラ100の各部を制御するマイクロコンピュータCPUである。カメラマイコン101は、マイコン内蔵ワンチップIC回路構成となっている。例えば、CPU、ROM、RAM、入出力制御回路(I/Oコントロール回路)、マルチプレクサ、タイマ回路、EEPROM(電気的にデータを消去・書き込みできるROM)、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等を含む。カメラマイコン101は、ソフトウェアを実行することにより、カメラシステムの各種制御や各種の条件判定を行う。カメラマイコン101は、内蔵もしくは外付けの発振回路で生成されたクロックにより駆動され、このクロックをカウントすることによって正確な時間管理を行う。これにより、カメラ全体の動作シーケンスにおけるタイミング、及び、外部の閃光やリモコン等との通信シーケンスにおけるタイミングをコントロールする。
【0014】
撮像素子102は、赤外カットフィルタやローパスフィルタ等を含み、CCD,CMOS等の素子で構成される。撮像素子102には、後述のレンズ群202によって撮影時に被写体の像が結像される。シャッター103は制御回路を含み、非撮影時には閉じて撮像素子102を遮光し、撮影時には開いて撮像素子102へ光を導く。シャッター103の制御回路は、カメラマイコン101からのシャッター駆動信号118(シャッター先幕駆動信号、シャッター後幕駆動信号)に従って、シャッターを制御する。本実施形態では、シャッター103が公知のフォーカルプレンシャッターであり、シャッター103の制御回路はフォーカルプレンシャッターを構成する2つのシャッター駆動マグネットを制御し、シャッター先幕と後幕を走行させ、露出動作を担う。またシャッター103は公知のフォトインタラプタを内蔵し、羽の位置や、シャッター走行完了などのタイミングを検出するようになっており、その検出結果を検出信号119としてカメラマイコン101に送信する。
【0015】
シャッター先幕駆動信号を出力してから、実際にシャッター幕が走行完了する時間には動作回数や温度、姿勢差等によるばらつきがある。カメラマイコン101内の記憶装置(EEPROMなど)には、このような先幕の動作のばらつきに対する補正値があらかじめ記憶されている。
【0016】
主ミラー104(ハーフミラー)は、非撮影時にレンズ群202より入射する光の一部を反射しピント板105に結像させる。ピント板105は不図示の光学ファインダーにおいてピントを目視で確認するために用いられる。測光回路106は、被写体輝度値を測定する。測光回路106内の測光センサは、被写体の撮影範囲を複数の領域に分割しそれぞれの領域で測光を行う。焦点検出回路107は、複数点を測距ポイントとして持つ測距センサを有し、測光センサの分割された部分に対応した位置に測距ポイントが含まれているよう構成されている。なお、測光回路106内の測光センサはペンタプリズム114を介してピント板105に結像された被写体像を見込んでいる。ゲイン切換回路108は、撮像素子102の信号の増幅のゲインを切換える。ゲイン切換回路108によるゲインの切換え制御は、撮影の条件や後述の充電電圧条件によるレベル設定、撮影者の入力等に基づいてカメラマイコン101が行う。
【0017】
A/D変換器109は、増幅された撮像素子102からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。タイミングジェネレータ110(TG)は、撮像素子102の増幅された信号の入力タイミングと、A/D変換器109の変換タイミングとを同期させる。デジタル信号処理回路111は、A/D変換器109でデジタル信号に変換された画像データに対して、パラメータにしたがった画像処理を施す。尚、処理画像の記憶のためのメモリ等については図示を省略する。SCはカメラ100とレンズ200及び閃光装置300とのインターフェースの信号ラインであり、例えばカメラマイコン101をホストとしてデータの交換やコマンドの伝達を相互に行う。
【0018】
カメラIF回路1001は、カメラ100と閃光装置300とのインターフェースであり、カメラ−閃光装置間の通信を行うための回路である(図1で後述)。カメラIF回路1001は、閃光装置300への、発光用信号端子や後述するストロボマイコン310との通信クロック端子を持ち、カメラマイコン101とストロボマイコン310の間での通信を可能にしている。
【0019】
割込発生回路1003は、カメラ休止要因発生後の閃光装置300からの起動信号に応じてカメラ起動を行うための割り込み信号を発生させる。割込発生回路1003はカメラマイコン101に接続されるとともに、アナログスイッチ1002にも接続される。アナログスイッチ1002は、アクセサリシューのアナログ信号用端子401(図1)を、割込発生回路1003とカメラIF回路1001のANALOG端子のいずれに接続するかの切り替えを行う。詳細は、図1により後述する。
【0020】
また、カメラ100は、レンズマイコン201とのインターフェースを有し、カメラマイコン101とレンズマイコン201の間のデータ通信を可能にしている。さらに、カメラ100は、ユーザが各種の入力を行なうための入力部112を有する。入力部112は、カメラ100や閃光装置300に対する設定操作、予備発光の指示操作、日中シンクロモード等の指示操作のためのスイッチやボタン、ダイヤルなどを有する。表示部113は、各種設定されたモードやその他の撮影情報などを表示する。表示部113は、例えば液晶装置や発光素子などからなる。ペンタプリズム114は、ピント板105の被写体像を測光回路106内の測光センサ及び不図示の光学ファインダーに導く。サブミラー115は、レンズ群202より入射し、主ミラー104を透過した光を焦点検出回路107の測距センサへ導く。
【0021】
次に、レンズ200内の構成と動作について説明する。レンズマイコン201は、レンズ200の各部の動作を制御するマイクロコンピュータLPUである。レンズマイコン201は、マイコン内蔵ワンチップIC回路構成となっている。例えば、CPU、ROM、RAM、入出力制御回路(I/Oコントロール回路)、マルチプレクサ、タイマ回路、EEPROM(電気的にデータを消去・書き込みできるROM)、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等を含む。
【0022】
レンズ群202は複数枚のレンズで構成される。レンズ駆動部203はレンズ群202の焦点位置合わせ用の光学系を移動させる。レンズ群202の駆動量は、カメラ100内にある焦点検出回路107の出力に基づいてカメラマイコン101により算出され、レンズマイコン201に提供される。エンコーダ204は、レンズ群202の駆動時に位置を検出する。レンズマイコン201は、エンコーダ204の駆動情報を用いることにより、上記算出された駆動量分だけレンズ駆動部203を動作させ、レンズ群202を合焦位置へ移動させる。絞り205は絞り制御回路206を介してレンズマイコン201により制御される。なお、レンズ群202の焦点距離は、単焦点のもの(固定)であっても、ズームレンズのように可変であっても構わない。
【0023】
次に、閃光装置300の構成について説明する。ストロボマイコン310は、閃光装置300の各部の動作を制御するマイクロコンピュータFPUである。ストロボマイコン310はマイコン内蔵ワンチップIC回路構成となっている。例えば、CPU、ROM、RAM、入出力制御回路(I/Oコントロール回路)、マルチプレクサ、タイマ回路、EEPROM(電気的にデータを消去・書き込みできるROM)、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ等を含む。
【0024】
アナログIF回路3000,シリアル通信IF回路3010はカメラ100と閃光装置300との間のインターフェースである。アナログIF回路3000、シリアル通信IF回路3010は、カメラ100からの複数の信号をストロボマイコン310に接続するものであり、詳細は図1により後述する。
【0025】
電池301は閃光装置300の電源(VBAT)であり、昇圧回路302、ストロボマイコン310に接続される。昇圧回路302は、ストロボマイコン310の制御下で、電池301の電圧を数百Vに昇圧し、放電管307を発光させるためのエネルギーを主コンデンサ(不図示)に蓄積させる。なお、主コンデンサは、ストロボ発光のための高圧コンデンサであり、本実施形態では330Vまで充電し、発光トリガにより放電する。また、主コンデンサの両端には、主コンデンサ電圧を検出する電圧検出回路(不図示)が接続されている。主コンデンサに充電された電圧は電圧検出回路において分圧され、分圧された電圧はストロボマイコン310のA/D変換端子に入力される。この情報はストロボマイコン310からSC通信を介してカメラマイコン101に通信される。
【0026】
トリガ回路306は、ストロボマイコン310より発光指示があるとトリガ信号パルスを出力する。発光部である放電管307は、主コンデンサに充電されたエネルギーをトリガ回路306から印加される数KVのパルス電圧を受け励起する事で発光し、その光を被写体に照射する。発光制御回路308は、トリガ回路306と共に放電管307の発光の開始を制御し、さらに発光の停止を制御する。フォトダイオード323は放電管307の発光量を受光するセンサであり、直接またはグラスファイバーなどを介して放電管307の光を受光する。積分回路309は、フォトダイオード323の受光電流を積分する。積分回路309は、積分開始信号をストロボマイコン310から受信すると、その積分結果をコンパレータ312の反転入力端子とストロボマイコン310のA/Dコンバータ端子に出力する。
【0027】
コンパレータ312の非反転入力端子はストロボマイコン310のD/Aコンバータ出力端子に接続され、コンパレータ312の出力はANDゲート311の入力端子に接続される。ANDゲート311のもう一方の入力はストロボマイコン310の発光制御端子と接続され、ANDゲート311の出力は発光制御回路308に入力される。放電管307は反射傘315により取り囲まれて配置される。また、光学系316はパネル等から成り、閃光装置300の照射角を決める。入力部320はストロボマイコン310に接続される入力インタフェースであり、ユーザの各種操作入力を受け付けてストロボマイコン310に伝える。入力部320は、例えば閃光装置300の側面などに配置されたスイッチを含み、手動によりストロボ情報を入力することが可能となっている。また、本実施形態のカメラ起動要因を発生させる、休止中のカメラの起動を行うスイッチも入力部320に含まれる。表示部321は、ストロボマイコン310の制御下で、閃光装置300の各状態を表示する。
【0028】
定電圧回路322は、電池301の電圧を所定電圧(V1)に制御し、出力する。上述したように、積分回路309は、フォトダイオード323の受光電流を積分する。公知の無線通信回路324、無線アンテナ325により、外部のストロボやリモコン等のカメラアクセサリと電波を用いたデータの送受信が行われる。無線通信回路324はストロボマイコン310に接続され、ストロボマイコン310で送信、受信信号を指示、解析、判断する。例えば図11の閃光装置300−2との間で、無線通信回路324及び無線アンテナ325を介して、ストロボマイコン310によって生成された無線通信パケットがやりとりされる。モータ駆動回路313は、光学系316を駆動して閃光装置300における照射角を制御する。エンコーダ314は、放電管307による光の照射方向における光学系316の位置を検出し、検出結果に基づいてストロボの照射角が制御させる。
【0029】
[カメラ部]
図1は、実施形態によるカメラ100のアクセサリシュー部分、すなわち、カメラ100と閃光装置300とのインターフェースに関する構成を示すブロック図である。上述したように、カメラマイコン101はカメラ100の全体の機能を制御する中央演算処理装置である。カメラマイコン101は、後述のアナログスイッチ1002をコントロールする信号を出力するC_SW端子と、後述の割込発生回路1003からの割り込み信号を受け付けるC_IRQ端子を有する。カメラマイコン101及びストロボマイコン310はペリフェラル通信機能を備え、カメラIF回路1001及びシリアル通信IF回路3010を経由して互いに通信を行う。カメラマイコン101は外部信号による割り込み入力機能を備え、割り込み入力信号C_IRQより割り込み要因が発生した場合は休止状態から起動して動作状態へとカメラ100の状態変更を行う。休止状態とはカメラマイコン101が閃光装置のストロボマイコン310からの通信要求を受け付けない状態のことを言い、動作状態(非休止状態)とはカメラマイコンが閃光装置のストロボマイコン310からの通信要求を受け付ける状態のことを言う。なお、カメラマイコン101は、省電力モードにおいて所定の条件を満たすと休止状態へ移行するものとする。
【0030】
ここで、閃光装置300のストロボマイコン310からカメラマイコン101に通信を行うことができるのは、カメラマイコン101が起動していること(動作状態であること)をストロボマイコン310が認識している場合に限られる。すなわち、カメラマイコン101がストロボマイコン310へカメラマイコン101の動作終了の通知を行うと、ストロボマイコン310はカメラマイコン101が休止状態であると認識してカメラマイコン101への通信を禁止する。あるいはカメラ100と閃光装置300の接続後であって、カメラマイコン101とストロボマイコン310がまだ一度も通信を行っていない場合も、ストロボマイコン310からカメラマイコン101への通信は禁止される。
【0031】
以上の制約を持つカメラ100と閃光装置300との通信システムにおいては、ストロボマイコン310からの通信によって休止状態のカメラマイコン101を起動させることはできない。このため、本実施形態では、後述のアナログ信号用端子401を経由する信号線を用いてストロボマイコン310から休止状態のカメラマイコン101を起動させることを可能とする。アナログ信号用端子401は、カメラ100から閃光装置300へ、あるいは閃光装置300からカメラ100へアナログ信号を出力して、双方の状態をカメラ100と閃光装置300の少なくとも一方が認識するための状態検出用の端子である。なお、アナログ信号とは、電圧値や電流値そのものに意味を持たせた信号のことであり、アナログ信号用端子401は、電圧値または電流値に基づいてカメラ100と閃光装置300との通信を行うための信号端子といえる。例えば、アナログ信号用端子401を通してカメラ100から閃光装置300へx[v]の電圧が出力されている場合、閃光装置300はカメラ100がレリーズ準備完了状態(撮影準備完了状態)であることを認識する。また、閃光装置300からカメラ100への通知としては、閃光装置300における充電完了(放電管307が発光可能な状態)を通知することが挙げられる。
【0032】
カメラIF回路1001は、カメラ100と閃光装置300との間のインターフェースであり、シリアル通信のレベル変換等を行ってカメラマイコン101と閃光装置300との間の通信を実現する。カメラ100と閃光装置300との間の通信であるSC信号を接続するアクセサリシュー端子は、アナログ信号用端子401、SCLK端子402、MOSI端子403、MISO端子404、X端子405を含む。アナログ信号用端子401はカメラから閃光装置300に対してアナログ制御を行う端子であり、従来のカメラ動作ではストロボAF補助光発光制御や充電完了制御を行うのに用いられる。本実施形態では、アナログ信号用端子401は、条件によってカメラ休止状態からカメラ起動状態に起動するのに用いられる。SCLK端子402はシリアル通信で用いられるクロックを送信するのに用いられるクロック端子である。MOSI端子403は、シリアル通信においてカメラ100から閃光装置300に情報を送信するための端子である。MISO端子404は、シリアル通信において閃光装置300からカメラ100に情報を送信するための端子である。X端子405は、カメラ100からシンクロタイミング(発光指示信号)を送信するための発光用信号端子である。
【0033】
カメラIF回路1001は、シリアル通信制御のためのSCLK端子402、MOSI端子403、MISO端子404の3つのシリアル通信用信号端子で閃光装置300を制御している。カメラIF回路1001とカメラマイコン101は既存のシリアル通信SPIで接続されていて、カメラIF回路1001は、カメラマイコン101からのシリアル通信SPIのレベル変換等を行う。カメラIF回路1001はSCLK端子402、MOSI端子403、MISO端子404を介してストロボマイコン310と互いにシリアル通信を行う。
【0034】
また、カメラIF回路1001は、アナログ信号入力のためのANALOG端子を有する。ANALOG端子はプルダウン抵抗1004によりプルダウンされている。このプルダウン抵抗1004は、本実施形態によるウエイクアップ可能なカメラ(以下対応カメラとする)か否かの判別に用いられる(詳細は後述する)。またカメラIF回路1001のANALOG端子はプルダウン抵抗1004とアナログスイッチ1002を介してアナログ信号用端子401に接続されている。アナログ信号用端子401は閃光装置300のアナログIF回路3000と接続されている。アナログスイッチ1002は、コントロール端子を有しており、そのコントロール端子から入力される制御信号がHレベルかLレベルかによって2つの経路(a−cかb−c)のうちどちらか一方のみを接続する。
【0035】
カメラマイコン101のC_SW端子はアナログスイッチ1002のコントロール端子に接続されていてHあるいはLレベルの電圧を出力する。本実施形態においては、アナログスイッチ1002のコントロール端子がLレベルの場合にはアナログスイッチ1002はa−c間を接続し、割込発生回路1003(信号反転回路)がアナログ信号用端子401と接続される。他方、アナログスイッチ1002のコントロール端子がHレベルの場合にはアナログスイッチ1002はb−c間を接続し、カメラIF回路1001のANALOG端子とアナログ信号用端子401が接続される。なお、アナログスイッチ1002のコントロール端子における論理は逆でも構成可能である。
【0036】
割込発生回路1003は信号反転回路を形成している。割込発生回路1003は、NPNトランジスタ1033と、NPNトランジスタ1033のベースに接続される抵抗1031とベースエミッタ間に接続される抵抗1032を有する。なお、抵抗1031と抵抗1032の合成抵抗が対応カメラか否かの判別に用いられる抵抗となる(詳細は後述する)。
【0037】
[閃光装置側]
図2で上述したように、ストロボマイコン310は閃光装置300の全体の機能を制御する中央演算処理装置である。ストロボマイコン310はペリフェラル通信機能を備え、閃光装置300のシリアル通信IF回路3010、カメラIF回路1001を経由して、カメラマイコン101と互いに通信を行う。カメラマイコン101が閃光装置300のストロボマイコン310へカメラマイコン101の動作終了の通知を行うと、閃光装置300のストロボマイコン310はカメラマイコン101が休止状態であると認識してカメラマイコンへの通信を禁止する。あるいはカメラ100と閃光装置300の接続後に、カメラマイコン101と閃光装置のストロボマイコン310が一度も通信を行っていない場合も同様に閃光装置300のストロボマイコン310はカメラ100との通信を禁止する。
【0038】
アナログIF回路3000は次に説明する構成を有する。カメラ判定出力回路3001は、本実施形態のカメラ休止状態からの復帰動作に対応した特定のカメラ(対応カメラ)か否かの判別を行うための判定信号を生成し出力する判定信号生成処理を行う。カメラ判定出力回路3001は、ストロボマイコン310のST_OUT1端子と接続され、ST_OUT1端子にHレベルが出力されると判定信号を出力し、Lレベルが出力されると判定信号を停止する。カメラ判定出力回路3001は、例えば、図10に示すような構成とすることができる。すなわち、定電圧電源の電圧V1を抵抗3011と抵抗3012で分圧した一定電圧出力を判定信号として出力する回路である。アナログスイッチ3013のコントロール端子とストロボマイコン310のST_OUT1とが接続され、アナログスイッチ3013のコントロール端子にHレベルが入力されると接続状態、Lレベルが入力されると解放状態となる。こうしてカメラ判定出力回路3001による判定信号の出力のオン/オフが、アナログスイッチ3013により実現される。
【0039】
アナログスイッチ3002のコントロール端子は、ストロボマイコン310のST_SW1端子と接続されており、コントロール端子にHレベルが入力されると接続状態、Lレベルが入力されると解放状態となる。アナログスイッチ3002の一方はアナログ信号用端子401と接続され他端はカメラ判定出力回路3001に接続されている。したがって、アナログスイッチ3002のコントロール端子にHレベルが入力されると、アナログ信号用端子401とカメラ判定出力回路3001が接続される。
【0040】
起動回路3003は、カメラ休止状態からカメラ起動状態に起動する対応カメラか否かの判別を行うためのカメラ判定入力回路3032(AD変換)とカメラの起動出力を行なうウエイクアップ出力回路3033とを有する。また、起動回路3003は、アナログ信号用端子401との接続を切り替えるアナログスイッチ3031を備える。アナログスイッチ3031は、コントロール端子を有し、コントロール端子にHレベルあるいはLレベルのどちらかの電位が入力されているかによって接続状態が決定される。アナログスイッチ3031のコントロール端子にはストロボマイコン310のST_SW3端子が接続されている。
【0041】
本実施形態においては、アナログスイッチ3031のコントロール端子(ST_SW3端子)がLレベルの場合にはアナログスイッチ3031はb−c間が接続状態となり、ウエイクアップ出力回路3033とアナログ信号用端子401が接続される。アナログスイッチ3031のコントロール端子(ST_SW3)がHレベルの場合には、アナログスイッチ3031はa−c間が接続状態となり、カメラ判定入力回路(AD変換)3032とアナログ信号用端子401が接続される。なお、ST_SW3の論理は逆でも構成可能である。
【0042】
また、起動回路3003は、カメラ判定入力回路3032とウエイクアップ出力回路3033の切り替えをストロボマイコン310の内部で行い、切り替え方法としてファームで行ってもよい。カメラ判定入力回路3032はカメラ判定出力回路3001の出力電圧がアナログスイッチ3002を介してアナログ信号用端子401に接続されたときの、カメラ接続時の負荷による電圧低下を検出する。カメラ判定入力回路3032はストロボマイコン310のST_IN端子に接続される。ストロボマイコン310は、検出された電圧降下の値から、接続されているカメラが対応カメラか否かを判別する。
【0043】
例えば、カメラ判定入力回路3032は、判別電圧レベルをVaoutとして、この値未満の場合は対応カメラ、それ以外の場合は非対応カメラと判定する。後述するが、対応カメラか非対応カメラかといったカメラの種類によってカメラ接続時の負荷による電圧低下が異なる設定にしているため、上記判別が可能となっている。ウエイクアップ出力回路3033はストロボマイコン310のST_OUT2端子に接続されている。ウエイクアップ出力回路3033は、ストロボマイコン310の内蔵タイマにより一定期間Hレベルの信号(起動信号)を出力する。こうして、ストロボマイコン310とウエイクアップ出力回路3033は、休止状態にあるカメラ100を動作状態へと起動するための信号を生成する起動信号生成処理を行う。アナログ信号用端子401を介してカメラ100の割込発生回路1003に供給され、カメラマイコン101への割り込み信号が生成、出力される。
【0044】
アナログスイッチ3004は、アナログ制御回路3005とアナログ信号用端子401とを接続する。アナログスイッチ3004のコントロール端子はストロボマイコン310のST_SW2端子とインバータ回路3006を介して接続されている。アナログスイッチ3004は、コントロール端子にHレベルが入力されると接続状態、Lレベルが入力されると解放状態となる。アナログスイッチ3004が接続状態になると、アナログ信号用端子401とアナログ制御回路3005が接続される。アナログ制御回路3005は、ストロボマイコン310のST_CONTに接続され、アナログ信号用端子401を介してカメラ100と信号をやりとりして、閃光装置AF補助光発光制御や充電完了制御を行う。すなわち、アナログ制御回路3005は、信号端子(アナログ信号用端子401)への電圧または電流の印加によりカメラ100との通信を行う通信部として機能する。
【0045】
インバータ回路3006は、入力側がストロボマイコン310のST_SW2端子と接続され、出力側がアナログスイッチ3004のコントロール端子と接続されている。ST_SW2端子がHレベルのときはインバータ回路3006の出力がLとなるためアナログスイッチ3004は開放となり、アナログ信号用端子401とアナログ制御回路3005は接続されない。他方、ST_SW2端子がLレベルのときはインバータ回路3006がHとなるため、アナログスイッチ3004は接続状態となり、アナログ信号用端子401とアナログ制御回路3005は接続される。なお、ST_SW2の論理は逆でも構成可能である。
【0046】
シリアル通信IF回路3010は、例えば3線式シリアル通信を制御する。シリアル通信IF回路3010は、カメラIF回路1001からSCLK端子402を介して入力された同期クロックにレベル変換等を行ない、ストロボマイコン310のSCLK端子に供給する。また、シリアル通信IF回路3010は、カメラIF回路1001からMOSI端子403を介して入力されたMOSI端子信号(カメラ情報)にレベル変換等を施し、ストロボマイコン310のMOSI端子に供給する。
【0047】
またシリアル通信IF回路3010は、ストロボマイコン310のMISO端子から出力された信号にレベル変換等を行い、MISO端子404を介してカメラIF回路1001のMISO端子へ信号(ストロボ情報など)を出力する。なお、本例では3線式シリアル通信を説明したが、これに限られるものではなく、例えば2線式のシリアル通信でもよい。また、ストロボマイコン310は、X端子から入力された発光指示信号により発光を行う。
【0048】
(フローチャートの説明)
次に、図3〜図9のフローチャートを参照して本実施形態によるカメラ100、閃光装置300の動作を説明する。図3、図4は、カメラ100の動作を示すフローチャートである。また、図5、図6は閃光装置300の動作を示すフローチャートである。また、図7〜図8は、カメラ100の休止状態への移行から閃光装置300により起動されるまでの動作を示すフローチャートである。さらに、図9は、休止状態のカメラ100を閃光装置300から起動する際の、ストロボマイコン310が出力する各信号のタイミングチャートである。
【0049】
まずカメラマイコン101の具体的な動作について図3、図4のフローチャートにより説明する。なお、このフローチャートはカメラマイコン101とストロボマイコン310がともに動作状態であることが前提のシーケンスである。休止状態のシーケンスは図8、図9で説明する。
【0050】
不図示の電源スイッチがオンされてカメラ100のカメラマイコン101が動作可能となると、カメラマイコン101は、図3のS1から所定の動作を開始する。まず、S1において、カメラマイコン101は、自身のメモリやポートの初期化を行う。また入力部112より入力されたスイッチの状態や予め設定された入力情報を読み込み、シャッタースピードの決め方や、絞りの決め方等、様々な撮影モードの設定を行う。閃光装置300が起動した後、カメラ100はユーザからのレリーズ操作待ちの状態(SW1のオン待ちの状態)となる。
【0051】
S2において、カメラマイコン101は、図示しないシャッターボタンの半押し状態であるSW1がONか否かを判別し、OFFのときはこのステップを繰り返し、ONのときは処理をS3に進める。S3において、カメラマイコン101はレンズ200内のレンズマイコン201と通信ラインSCを介して通信を行う。そして、レンズ200の焦点距離情報(以下、レンズの焦点距離情報)や測距、測光に必要な光学情報を取得する。S4において、カメラマイコン101は、カメラ100に閃光装置300が装着されているかどうかをチェックする。カメラ100に閃光装置300が装着されているならば処理はS5へ進み、未装着ならば処理はS6へ進む。
【0052】
S5において、カメラマイコン101はペリフェラル通信機能により、カメラIF回路1001を介して閃光装置300と通信を行い、S3にて取得したレンズの焦点距離情報をストロボマイコン310に出力する。カメラIF回路1001は、SCLK端子402、MOSI端子403、MISO端子404を介して、レベル変換されたシリアル信号を送信し、シリアル通信IF回路3010を経由してストロボマイコン310と通信を行う。このようにカメラマイコン101はストロボマイコン310と通信ラインSCを介して通信を行う。これにより、ストロボマイコン310は受信した焦点距離情報に基づいてモータ駆動回路313を駆動してストロボの照射角を制御する。
【0053】
また、S5では、さらにカメラマイコン101はストロボマイコン310と通信を行い、ストロボマイコン310自身のメモリ内に格納されているストロボ情報を出力するように指示を出す。ストロボマイコン310は、この指示に応じてカメラマイコン101へストロボ情報を出力する。このストロボ情報は、現在の発光モード情報、主コンデンサ充電情報、AF補助光出力情報などである。
【0054】
次に、S6で、カメラマイコン101は、S1にて設定された撮影モードのうち、自動焦点検出動作を行うモード(AFモード)であるか、そうでないモード(MFモード)であるかを判別する。AFモードと判別されると、処理はS7に進み、MFモードであれば、処理はすぐにS9へ進む。
【0055】
S7では、カメラマイコン101は、焦点検出回路107を駆動することにより周知の位相差検出法による焦点検出動作を行う。なお、複数の測距点のうちのどのポイントに焦点を合わせるか(測距ポイント)は、入力部112から設定されたポイントまたはカメラの撮影モードに応じて決定されたり、近点優先を基本の考え方とした周知の自動選択アルゴリズムなどで決定されたりする。S8において、カメラマイコン101は、S7で決定された測距ポイントを不図示のRAMに記憶させ、焦点検出回路107の情報に基づきレンズの駆動量を演算する。カメラマイコン101は、レンズ200内のレンズマイコン201と通信ラインSCを介して通信を行い、上記演算結果である駆動量を通知する。レンズマイコン201は、通知された駆動量に基づいてレンズ駆動部203を制御してレンズ群202を合焦位置に駆動する。
【0056】
S9では、カメラマイコン101は、被写体輝度値を測光回路106より得る。なお、本例では、画面上を12のエリアに分割して被写体輝度値を得るものとする。S10においてカメラマイコン101は、入力部112より入力されたゲイン設定をゲイン切換回路108に設定する。ゲイン設定とは、例えばISO感度設定である。また、更にS10ではカメラマイコン101はストロボマイコン310と通信ラインSCを介して通信を行い、取得したゲイン設定情報をストロボマイコン310に出力する。S11において、カメラマイコン101は、S9で取得した複数のエリアの被写体輝度値EVbから、周知のアルゴリズムにより露出値(EVs)を決定する。
【0057】
S12において、カメラマイコン101は、ストロボマイコン310が充電完了信号を出力しているかどうかをチェックする。ここで、ストロボマイコン310が充電完了信号を出力しているならば処理はS13へ進み、出力していなければ処理はS14へ進む。なお、カメラマイコン101は、このS12におけるストロボマイコン310が充電完了信号を出力しているかどうかの判定結果を、後のステップで用いるために記憶しておく。S13において、カメラマイコン101は、ストロボ撮影を行うために適したシャッター速度(Tv)と絞り値(Av)とをS9にて得られた測光出力(被写体輝度値)をもとに決定する。S14において、カメラマイコン101は、自然光撮影を行うために適したシャッター速度(Tv)と絞り値(Av)とを、上記のS9にて得られた測光出力(被写体輝度値)をもとに決定する。上記S13又はS14の処理が実行されると、処理はS15へ進む。
【0058】
S15において、カメラマイコン101はストロボマイコン310と通信ラインSCを介して通信を行い、その他のストロボに関する情報をストロボマイコン310に送信する。続いて、S16において、図示しない撮影開始のスイッチであるSW2がONであるか否かを判別し、OFFであればS1からS16までの動作を繰り返し、ONであれば図4に示すS17以下の一連のレリーズ動作に進む。
【0059】
レリーズ後の動作について図4のフローチャートを参照して説明する。S17において、カメラマイコン101は、上述のS5と同様にストロボマイコン310と通信ラインSCを介して通信を行い、カメラ情報をストロボマイコン310に出力する。S18では、カメラマイコン101は、定常光の測光動作を行う。
【0060】
S19では、カメラマイコン101は、プリ発光を閃光装置300にて行うためのプリ発光通信を通信ラインSCを介してストロボマイコン310と行い、カメラ情報をストロボマイコン310に出力する。閃光装置300のプリ発光動作についてはストロボ動作を示す図5のフローチャートにより説明する。S20において、カメラマイコン101は、閃光装置300でのストロボプリ発光状態での測光動作を行う。カメラマイコン101は、このようにして得られた測光情報から、シャッタースピード、絞り値、閃光装置300の発光量を演算する。
【0061】
S21において、カメラマイコン101は、主ミラー104をアップさせ、撮影光路内から退避させる。S22において、カメラマイコン101は、ストロボマイコン310との間で光量設定通信を行う。カメラマイコン101は、S20で得られた測光情報をストロボマイコン310に通信ラインSCを介して送信し、カメラ情報をストロボマイコン310に出力する。S23では、カメラマイコン101は、発光コマンドをストロボマイコン310に送信する。S5と同様にカメラマイコン101からストロボマイコン310に通信ラインSCを介して通信を行い、カメラ情報をストロボマイコン310に出力する。
【0062】
S24では、カメラマイコン101は、公知のシャッターと絞り動作を行う。S25では、カメラマイコン101は、シャッター103が全開状態に近くなると、メイン発光指示である発光トリガ通信を行い、閃光装置300にメイン発光動作を行なわせる。なお、カメラ100では、シャッター103の先幕走行開始とともに、撮像素子102を蓄積状態に制御している。そして、シャッター103の後幕走行完了とともに、撮像素子102を蓄積状態から読み出し状態に制御して、画像データの読み出しを開始する。こうして一連の露光動作が終了すると、S26で、カメラマイコン101は、撮影光路より退避させていた主ミラー104をダウンして再び撮影光路内に斜設させる。S27において、ゲイン切換回路108は撮像素子102の画素データをS10で設定されたゲインで増幅し、得られた信号はA/D変換器109によりデジタル信号に変換する。こうして変換された画素データは、デジタル信号処理回路111によりホワイトバランスなど所定の信号処理が施され、現像される。そしてS28において、カメラマイコン101は、現像された画像データを図示しないメモリに記憶する。こうして1枚の撮影のルーチンが終了する。
【0063】
続いて、閃光装置300内のストロボマイコン310での具体的な動作(ストロボ制御動作)について、図5、図6のフローチャートに従って説明する。
【0064】
不図示の電源スイッチがオンされてストロボマイコン310が動作可能となると、ストロボマイコン310はS101より所定の動作を開始する。まず、S101では、ストロボマイコン310は自身のメモリやポートの初期化を行う。また、ストロボマイコン310は、入力部320より入力されたスイッチの状態や予め設定された入力情報を読み込み、ストロボ撮影モードや発光量等の設定を行う。
【0065】
S102において、ストロボマイコン310は、昇圧回路302を動作開始させて発光の準備を行う。そして、S103にて、ストロボマイコン310は、カメラマイコン101から通信ラインSCを介してカメラ情報(レンズの焦点距離情報、発光モード情報等)を受信し、チェックする。S104において、ストロボマイコン310は、自身のメモリ内に記憶されたストロボ情報を表示部321に表示する。S105において、ストロボマイコン310は、カメラマイコン101に通信ラインSCを介して通信を行い、ストロボ情報をカメラマイコン101に出力する。
【0066】
S106では、ストロボマイコン310は、昇圧回路302が昇圧した電圧が放電管307の発光に必要な電圧レベルにまで達したか(充電完了か)どうかを判定する。放電管307の発光に必要な電圧レベルにまで達していると判定した場合には、処理はS108に進む。他方、S106にて昇圧回路302が昇圧した電圧が放電管307の発光に必要な電圧レベルにまで達していないと判定された場合には、処理はステップS107へ進む。S107において、ストロボマイコン310は、充電信号を昇圧回路302へ送信することで昇圧を継続する。なお、このとき、充電未完信号を通信ラインSCを介してカメラマイコン101に送信し、ストロボの発光準備中であることを知らせるようにしてもよい。その後、処理はS102へ戻り、上記したステップを繰り返す。
【0067】
S108において、ストロボマイコン310は、充電完了信号を通信ラインSCを介して送信し、ストロボの発光準備ができたことをカメラマイコン101に知らせる。次に、ストロボマイコン310は、S109にてカメラ情報を受信する。このときストロボマイコン310は、カメラマイコン101よりプリ発光開始用信号が出力されているかどうかをチェックする。プリ発光開始用信号が出力されていれば、ストロボマイコン310は、S110にてプリ発光通信を行う(カメラ100の動作フローチャートの図4のS19に対応)。なお、このとき、ストロボマイコン310は無線通信回路324を制御して無線アンテナ325によりスレーブ閃光装置300−2にプリ発光開始を送信する。
【0068】
S111では、ストロボマイコン310は、プリ発光動作とともに測光動作を行う(カメラ100の動作フローチャートの図4のS19に対応)。閃光装置300のプリ発光/本発光(後述のS117)の動作を図6のフローチャートに示す。
【0069】
S201にて、ストロボマイコン310は、カメラマイコン101より発光開始用信号が出力されているかどうかをチェックし、発光開始用信号が出力されていなければ本ルーチンを終了する。一方、発光開始用信号が出力されているならばS202へ進む。S202において、ストロボマイコン310は発光制御端子よりANDゲート311を介して発光制御回路308にトリガ信号を与えてストロボの発光を開始させる。
【0070】
S203において、ストロボマイコン310は、カメラマイコン101より通信ラインSCを介して通知された発光量演算値で決められた光量に相当する発光量に到達したかを判定する。フォトダイオード323の受光電流を積分する積分回路309の出力はコンパレータ312の反転入力端子とストロボマイコン310のA/Dコンバータ端子に入力される。コンパレータ312の非反転入力端子にはストロボマイコン310内のD/Aコンバータの出力端子に接続されており、そのD/Aコンバータには発光量演算値で決められた光量に相当する発光量に相当する値が設定されている。プリ発光量は例えばフル発光量の1/32等のように小光量に設定されている。なお、本発光量がプリ発光量の相対値で設定されてもよい。
【0071】
コンパレータ312の反転入力端子に入力される積分回路309からの積分値が非反転入力端子に設定された発光光量以上になると、コンパレータ312がオンする。その結果、発光量が設定された値に到達していない間は、発光が継続され(S203)、到達した場合は、ANDゲート311より発光停止信号が出力されて発光制御回路308により発光が停止される(S204)。
【0072】
図5に戻り、S112においてストロボマイコン310は、カメラ情報を受信し、カメラマイコン101より光量設定信号が出力されているかどうかをチェックする。プリ発光の測光演算結果から光量設定がされていれば、S113にてストロボマイコン310は光量設定を行う(カメラ100の動作フローチャートの図4のS22に対応)。次に、S114において、ストロボマイコン310は、カメラ情報を受信し、カメラマイコン101よりストロボ発光スタート信号が出力されているかどうかをチェックする。ここでいうストロボ発光スタート信号は、X端子405から閃光装置300に入力されるシンクロ信号であり、シンクロタイミングを示す(カメラ100の動作フローチャートの図4のS25(メイン発光指示)に対応)。メイン発光指示が出力されていれば、ストロボマイコン310は、S115にてメイン発光通信を行う。S117にて、ストロボマイコン310は、放電管307による本発光を行う。本発光の動作は、前述の図6のフローチャートで説明した動作と同様である(但し、ストロボマイコン310内のD/Aコンバータによる発光量の設定が異なる)。
【0073】
S118にて、ストロボマイコン310は、発光終了処理を行う。発光終了処理において、ストロボマイコン310は、閃光装置300−2に対して、シーケンスが終了したことを無線により送信する。カメラ100は、今撮影した画像が、正常にストロボ発光したときの撮影画像であると判断すると、画像を記録する際に撮影条件の情報としてファイルに添付して保存する。なお、ストロボ撮影が正常に行われなかった場合には、その旨を画像ファイルに添付して記録する。
【0074】
(休止状態のフローチャート)
次に、カメラ100が休止状態へ移行する場合、及び、休止状態から動作状態へ移行する場合の、カメラ100及び閃光装置300の動作について、図7、図8のフローチャート、図9のタイミングチャートを参照して説明する。なお、休止状態へ移行するカメラ休止要因としては、例えば省電力モードで動作しているカメラ100において、所定時間にわたって操作入力が発生しなかった場合が挙げられる。また、本実施形態のカメラ100では、カメラ休止要因が発生してから所定時間後に休止状態へ移行する。
【0075】
カメラマイコン101はカメラIF回路1001とシリアル通信IF回路3010を介してストロボマイコン310と通信を行う。このようなカメラ100と閃光装置300との間で通常通信が行なわれている場合、閃光装置300からのカメラ起動信号の出力は禁止される(S400,S401)。このとき、カメラ100では、カメラマイコン101はC_SW端子にHレベルを出力してアナログスイッチ1002がb−c間を接続するようにする。これにより、割込発生回路1003とアナログ信号用端子401との接続が遮断され、アナログ信号用端子401はカメラIF回路1001のANALOG端子と接続される。
【0076】
閃光装置300側では、ストロボマイコン310がST_SW2をLレベルに設定することによりインバータ回路3006がHレベルを出力し、アナログスイッチ3004は接続状態となる。これによりアナログ信号用端子401とアナログスイッチ3004を介して、アナログ制御回路3005とカメラIF回路1001のANALOG端子が接続される。またストロボマイコン310がST_SW1をLレベルに設定することでアナログスイッチ3002はオープン状態となり、カメラ判定出力回路3001とアナログ信号用端子401との接続は遮断される。またストロボマイコン310のST_SW3はHレベルに設定され、アナログスイッチ3031ではa−c間が接続状態となる。このため、カメラ判定入力回路3032がアナログ信号用端子401と接続され、ウエイクアップ出力回路3033とアナログ信号用端子401との接続は遮断される。またストロボマイコン310のST_OUT2はLレベルとする。
【0077】
以上の設定により、アナログ信号用端子401の接続先は、従来の図12で示す回路と同様の状態が選択される。図12は、従来のカメラと閃光装置のインターフェースに関する構成を示すブロック図であり、アナログ信号用端子401を介してカメラIF回路1001のANALOG端子が直接に閃光装置300のアナログ制御回路3005と接続されている。
【0078】
カメラ休止要因が発生すると、処理はS402からS403へ進む。S403において、カメラマイコン101は、アナログスイッチ1002の接続を切り替えて割込発生回路1003とC_IRQ端子を接続する。より具体的には、カメラマイコン101は、C_SW端子からLレベルの信号を出力することによりアナログスイッチ1002のa−c間を接続状態とし、割込発生回路1003とC_IRQ端子を接続する。また、この切り替えにより、アナログ信号用端子401とカメラIF回路1001のANALOG端子との接続は遮断される。
【0079】
なお、割込発生回路1003とカメラマイコン101のC_IRQ端子を接続した際には、C_IRQ端子による割り込み入力を有効とする。なお、カメラマイコン101のC_IRQ端子からの割り込み入力は常に有効としておいても良い。C_IRQ端子はカメラマイコン101内部あるいは外部にてカメラマイコン電源にプルアップされており、Lレベル入力を検出すると割り込みが発生する構成とする。
【0080】
その後、S404において、カメラマイコン101は休止状態へ遷移することを閃光装置300のストロボマイコン310へ通知し、S405で休止状態へ遷移する。以上の処理を経て、カメラマイコン101は休止状態へ遷移して割り込み入力待ちとなる。割り込み要因が発生したか否かの判別は、カメラマイコン101のC_IRQ端子の割り込み状態で判別する。閃光装置300よりカメラ起動のための割り込み要因が発生すると、休止状態が解除される。
【0081】
閃光装置300からカメラ起動信号が出力されると(S412)、カメラマイコン101のC_IRQ端子に割込発生回路1003から信号が供給され、カメラマイコン101は起動する(S413)。カメラ起動信号は、閃光装置300のウエイクアップ出力回路3033から出力されるHレベル信号である。より詳細に説明すると、ウエイクアップ出力回路3033からカメラ起動信号(Hレベル信号)がアナログ信号用端子401に入力されると、割込発生回路1003のNPNトランジスタ1033のベースにHレベル信号が印加される。これによりNPNトランジスタ1033がオンしてカメラマイコン101のC_IRQ端子にLレベル信号が印加されることとなり、カメラマイコン101に割り込みが発生する(S412)。
【0082】
S413において、カメラマイコン101は、当該割り込みを処理して起動状態に遷移する。S414において、カメラマイコン101は、アナログスイッチ1002の接続状態をb−c間の接続へ切り替え、割込発生回路1003とアナログ信号用端子401との接続を遮断する。また、この切り替えにより、アナログ信号用端子401とカメラIF回路1001のANALOG端子とがアナログスイッチ1002を介して接続される。
【0083】
S415において、カメラマイコン101は、閃光装置300へカメラ100が動作状態であることを、通信割り込み信号により通知する。なお、通知方法としては、例えばシリアル通信端子のいずれかの電位を変化させる方法(例えば、SCLK端子をLレベルからHレベルへ変化させる)でもよい。また通知方法はアナログ信号用端子401の電圧変動であってもよい。その後、S421において、閃光装置300によるカメラ起動信号の出力を禁止する(S400と同様)。その後は従来通りのカメラマイコン101とストロボマイコン310との通信を行う。
【0084】
一方、閃光装置300側では、S406において、ストロボマイコン310は、休止状態へ遷移することの通知受けると、カメラ起動信号を出力可能な状態となる。次に、S407において、ストロボマイコン310は、カメラ100に対する所定の要因(起動要因)が発生するのを待つ。ストロボマイコン310は、例えば入力部320より特定のボタン操作がなされたときに、カメラ100の起動要因が発生した判断する。
【0085】
また起動要因の発生の例として、閃光装置300を有するワイヤレスカメラシステムのような環境において、マスター閃光装置の送信信号がスレーブ閃光装置に受信されたときにカメラ起動要因が発生したと判断することが挙げられる。例えば、図11で示すワイヤレスシステムは、カメラ100、スレーブカメラ100−2、閃光装置300、スレーブ閃光装置300−2とから構成されるワイヤレスシステムである。上述のように、カメラ100には閃光装置300がアクセサリシューを介して接続されている。カメラ100と閃光装置300は、それぞれマスターカメラ、マスター閃光装置として機能する。閃光装置300は、無線通信回路324及び無線アンテナ325によって外部のストロボやリモコン等のカメラアクセサリと電波を用いたデータの送受信を行う。データの受信時には、無線アンテナ325より受信した電波信号を無線通信回路324で受信信号に変換し、ストロボマイコン310で解析する。送信時には、ストロボマイコン310より指示された送信信号を無線通信回路324において電波信号に変換し、無線アンテナ325より出力する。
【0086】
スレーブカメラ100−2、スレーブ閃光装置300−2は、閃光装置300が指令した通信により動作する。閃光装置300とスレーブ閃光装置300−2とは、既知の無線通信規格であるIEEE802.15.4等の方法によって無線通信を行う。400は被写体、600はスクリーン、500はカメラ100を固定する三脚であり、500−2はカメラ100−2を固定する三脚であり、写真スタジオでのストロボ撮影を想定している。例えば、スレーブ閃光装置300−2に受信信号が受信されたときにカメラ起動要因が発生する。その後、スレーブ閃光装置300−2経由でスレーブカメラ100−2の起動を行い、カメラ100とカメラ100−2による連動撮影が行われる。すなわち、スレーブ閃光装置300−2は、外部機器であるカメラ100からカメラ100−2に対する撮影指示信号を受信すると、スレーブカメラ100−2が休止状態であれば起動させる。
また、撮影指示信号を受信した場合とは異なる起動要因の発生の例として、モデリング発光指示を受信した場合も挙げられる。例えば、図11で示すワイヤレスシステムにおいて、マスターカメラであるカメラ100が休止状態のときに閃光装置300を操作してモデリング発光を指示した場合、各閃光装置のモデリング発光量を決定するためにカメラ100を起動させる必要がある。そのため、閃光装置300がカメラ起動信号を出力してカメラ100を起動させてモデリング発光が行われる。
【0087】
図7のフローチャートに戻り、S408ではカメラの種類判別を行う。ここでいう種類判別とは、接続されているカメラが本実施形態のシステムに対応したものか否かの判別である。このような種類判別を行う理由は、本システムに非対応なカメラに対して電気的ダメージからの保護を行うためである。非対応なカメラでは、アナログ信号用端子401に従来のインターフェース回路が接続されており、閃光装置300からの起動信号出力を受けることができない回路構成である可能性がある。例えば、図12に示した従来の回路構成のカメラと、図1に示した回路構成の閃光装置の組み合わせの場合である。このようにカメラ内部の回路に対して電気的なダメージが発生する恐れがあるので、これを避けるためにカメラの種類判別が行われる。
【0088】
閃光装置300によるカメラの種類判別の動作について図8のフローチャートで説明する。種類判別の動作においては、カメラの種類判別を行うために、アナログ信号用端子401ヘの接続の切り替え等が行われる。S601において、ストロボマイコン310は、カメラ100が起動中であるか判別する。この判別は、例えば、カメラ100の休止状態の信号がS406で入力されたが、その後のS408までの間にカメラ100が再起動したかを判別している。起動中でなければ処理はS602へ進み、再起動していれば処理はS609へ進む。S609では、ストロボマイコン310は、あらかじめ設定したタイマ時間をスタートさせる。その後、S610において、ストロボマイコン310は、カメラ−閃光装置間の通信が行われているか否かを判定する。通信が行なわれていなければ、S611において、ストロボマイコン310は、S609で起動したタイマ時間が経過したかどうかを判定する。タイマ時間が経過していなければ処理はS610に戻り、経過していれば処理はS602へ進む。他方、S610でカメラ−閃光装置間の通信が行われていると判定された場合は、ストロボマイコン310は、閃光装置300からのカメラ起動信号の出力を禁止し、その他の処理へ進む。
【0089】
S602において、ストロボマイコン310は、ST_SW2端子をLレベルからHレベルにする(図9の(a))。ST_SW2端子がHレベルのときはインバータ回路3006の出力がLレベルとなるため、アナログスイッチ3004は開放状態となり、アナログ信号用端子401とアナログ制御回路3005とは接続されない(図9の(g))。S603では、ストロボマイコン310は、ST_OUT1端子をHレベルにする(図9の(b))。ストロボマイコン310のST_OUT1がHレベルになると、カメラ判定出力回路3001のアナログスイッチ3013(図10)が接続状態となり、対応カメラか否かの判別を行う判定信号がカメラ判定出力回路3001から出力される。
【0090】
S604において、ストロボマイコン310は、ST_SW1端子をLレベルからHレベルにする(図9の(c))。アナログスイッチ3002はコントロール端子がHレベルとなるため接続状態になり、アナログ信号用端子401とカメラ判定出力回路3001とが接続される。S605において、ストロボマイコン310は、ST_SW3端子をHレベルにする(図9の(d))。本実施形態では、図9(d)に示すように、カメラの種類判別処理を行う前のST_SW3端子がHレベルであるため、S605においてST_SW3端子のレベルの切り替えを行わずHレベルを維持することになる。カメラの種類判別処理を行う前のST_SW3端子がLレベルであれば、S605においてST_SW3端子をLレベルからHレベルにする。アナログスイッチ3031のコントロール端子ST_SW3がHレベルとなるため、アナログスイッチ3031の接続はa−c間となり、カメラ判定入力回路3032とアナログ信号用端子401が接続される。
【0091】
以上の状態で、閃光装置300ではカメラ判定出力回路3001がアナログ信号用端子401と接続される。カメラ100では、アナログスイッチ1002のa−c間接続を介して、アナログ信号用端子401が割込発生回路1003の抵抗1031、1032に接続される。その結果、カメラ判定入力回路3032は、抵抗1031、1032の合成抵抗値に応じた電圧値を検出することになる。他方、一般的なカメラであった場合、アナログ信号用端子401はカメラIF回路1001のANALOG端子のプルダウン抵抗1004に接続される(図12)。その結果、カメラ判定入力回路3032は、プルダウン抵抗1004の抵抗値に応じた電圧値を検出することになる。
【0092】
なお、カメラ100のグランドレベルと閃光装置300のグランドレベルとは同電位とする。ここでは、対応カメラと非対応カメラの判別のために、抵抗1031、1032の合成抵抗とプルダウン抵抗1004の抵抗値を変えて、アナログ信号用端子401から見た入力抵抗の値が変化するようにする。カメラ判定出力回路3001の出力レベルは、この入力抵抗の値により変化する。ストロボマイコン310は、カメラ判定入力回路3032が、そのレベルを読み取り、AD変換して得られた値に基づいてカメラの種別判定を行う。以下、この判別方法について説明する。
【0093】
カメラ判定出力回路3001の未接続時の出力電圧は割込発生回路1003のNPNトランジスタ1033のベースエミッタ間の電圧がトランジスタ動作しない電圧、例えば、0.5V程度とする。仮に対応カメラにおける抵抗1031と1032の合成抵抗値をRa、プルダウン抵抗1004の抵抗値をRnとし、且つ、Ra<Rnとする。
【0094】
また、図10のカメラ判定出力回路3001の抵抗3011の抵抗値をR1、抵抗3012の抵抗値をR2とし、各アナログスイッチの抵抗、接触抵抗を0Ωとした場合、各条件の出力電圧は以下のように計算される。
対応カメラ検出電圧:Vaout
非対応カメラ検出電圧:Vnout
未接続カメラ検出電圧:Vout
定電圧出力:V1とすると
Vaout=V1×[(R2×Ra)/(R2+Ra)]/{R1+[(R2×Ra)/(R2+Ra)]}
Vnout=V1×[(R2×Rn)/(R2+Rn)]/{R1+[(R2×Rn)/(R2+Rn)]}
Vout=V1×[(R2)/(R1+R2)]
となる。また、出力は
Vaout<Vnout<Vout (Ra<Rn)
となるため、例えばVaout電圧未満のときに、接続されているカメラ100が対応カメラであると判定できる。
【0095】
図8に戻り、S606において、ストロボマイコン310は、カメラ判定入力回路3032の出力をST_IN端子を介して入力して、ストロボマイコン310で一定期間AD変換を行う(図9の(e)、Timer1)。ストロボマイコン310は、そのAD変換の結果を記憶する。S607において、ストロボマイコン310は、ST_OUT1端子をHレベルからLレベルにする(図9の(b))。ストロボマイコン310のST_OUT1がLレベルに設定されると、アナログスイッチ3013(図10)が開放状態となり、カメラ判定出力回路3001は、対応カメラか否かの判別を行うための信号の出力を停止する。S608において、ストロボマイコン310は、は、ストロボマイコン310のST_SW1端子をHレベルからLレベルにする(図9の(c))。アナログスイッチ3002、コントロール端子にLレベルが印加されるため、解放状態となり、アナログ信号用端子401とカメラ判定出力回路3001が遮断される。
【0096】
図7に戻り、S408による判定の結果、対応カメラと判定された場合には、処理はS410へ進み、非対応カメラと判定された場合には処理はS420へ進む。対応カメラと判定された場合、S410以降で、アナログ信号用端子401への接続の切り替えが行なわれ、休止状態のカメラ100を起動して動作状態とするためのカメラ起動信号がカメラ100に提供される。
【0097】
S410において、ストロボマイコン310はST_SW3端子をHレベルからLレベルにする(図9の(d))。アナログスイッチ3031のコントロール端子ST_SW3がLレベルとなるためアナログスイッチ3031の接続はb−c間となり、ウエイクアップ出力回路3033とアナログ信号用端子401とが接続される。S411において、ストロボマイコン310は、ST_OUT2端子をLレベルから、内蔵タイマにより設定された時間だけHレベルにする(図9の(f))。これによりウエイクアップ出力回路3033は、ST_OUT2端子がHレベルの間だけHレベル信号(カメラ起動信号)を出力する。ウエイクアップ出力回路3033のHレベル出力は、アナログスイッチ3031のb−c間の接続、アナログ信号用端子401、アナログスイッチ1002のa−c間の接続、を介して、カメラ100の割込発生回路1003に供給される。割込発生回路1003は、ウエイクアップ出力回路3033からのHレベル信号に応じて、C_IRQ端子へ割り込み信号を出力する。
【0098】
S421でカメラ100が動作状態である通知を受け取ったか否かを判別するため、ストロボマイコン310は、通信割り込み信号がカメラ100から送信されたかどうかを判別する。通信割り込み信号が来ていれば処理はS422へ、来ていなければ処理はS424へ進む。S424は、タイマによる経過時間判別であり、所定のタイマ時間が経過しているか否かを判定する。タイマ時間が経過していなければ処理はS421へ戻り、経過していれば処理はS425の通常通信へ進む。S422では、カメラ100が動作状態である通知を受け取ったため、ストロボマイコン310はカメラ起動信号の出力を禁止する。またカメラ判定入力動作も禁止する。S423では、ストロボマイコン310はST_SW3端子をLレベルからHレベルにする(図9の(d))。これによりアナログスイッチ3031のコントロール端子がHレベルとなるため、アナログスイッチ3031の接続はa−c間となり、カメラ判定入力回路3032とアナログ信号用端子401が接続される。本実施形態では、S423においてST_SW3端子をLレベルからHレベルにしたが、前述のようにS605においてST_SW3端子のレベルの切り替えを行うのであれば、S423においてST_SW3端子のレベルの切り替えを行わなくても構わない。そして、処理はS420へ進む。
【0099】
S420ではストロボマイコン310はST_SW2端子をHレベルからLレベルにする(図9の(a))。ST_SW2端子がLレベルの場合、インバータ回路3006の出力がHレベルとなるため、アナログスイッチ3004は接続状態となり、アナログ信号用端子401とアナログ制御回路3005が接続される(図9の(g))。その後、S425において、カメラ100と閃光装置300の間の通常通信が行われる。このとき、カメラ起動信号の出力が禁止されていない状態であれば、閃光装置300からのカメラ起動信号の出力を禁止する。カメラマイコン101はカメラIF回路1001とシリアル通信IF回路3010を介してストロボマイコン310と通信を行う。そして、図3〜図5の動作フローチャートの処理に進む。
【0100】
以上のように、本実施形態によれば、接続されたアクセサリからの休止状態のカメラを起動する起動信号が、アナログ通信用端子を利用して提供されるので、シリアル通信の通信能力に悪影響を与えることが無い。また、対応カメラか否かが判定され、対応カメラと判定された場合にのみ起動信号が出力されるので、非対応カメラの回路素子へのダメージが低減される。また、上記実施形態によれば、従来の外部インターフェースの互換性を維持しつつ、接続されたアクセサリからカメラの起動制御を行うことが可能なシステムを提供することができる。
【0101】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、実施形態においては接続されたアクセサリとして閃光装置を適用した例を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、閃光装置と同様なアクセサリシューに装着可能なアクセサリとして、GPSユニットや、閃光装置のような発光部を備えていない主に外部機器との通信に利用される通信装置などを適用することも考えられる。
【0102】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と接続可能なアクセサリであって、
電圧値または電流値に基づいて接続された撮像装置との通信を行うための信号端子と、
前記接続された撮像装置を休止状態から非休止状態にするための起動信号を生成する起動信号生成手段と、
前記信号端子を介して前記起動信号を前記接続された撮像装置に出力させる制御手段と、を有することを特徴とするアクセサリ。
【請求項2】
前記接続された撮像装置とシリアル通信を行うための、前記信号端子とは異なるシリアル通信用信号端子を有することを特徴とする請求項1に記載のアクセサリ。
【請求項3】
前記接続された撮像装置が前記休止状態のときは、当該接続された撮像装置とシリアル通信を行わないことを特徴とする請求項2に記載のアクセサリ。
【請求項4】
発光手段と、
前記接続された撮像装置から前記発光手段の発光指示信号を受け付けるための、前記信号端子とは異なる発光用信号端子と、を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアクセサリ。
【請求項5】
前記信号端子を介して前記接続された撮像装置に前記発光手段を発光可能な状態であることを通知することを特徴とする請求項4に記載のアクセサリ。
【請求項6】
前記信号端子を介して前記接続された撮像装置が撮影準備完了状態であることを認識することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアクセサリ。
【請求項7】
前記接続された撮像装置の種別を判定する判定手段を有し、
前記制御手段は、前記判定手段により前記接続された撮像装置が特定の撮像装置であると判定された場合、前記信号端子を介して前記起動信号を前記接続された撮像装置に出力させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のアクセサリ。
【請求項8】
前記制御手段は、前記判定手段により前記接続された撮像装置が前記起動信号によって前記非休止状態となる撮像装置であると判定された場合、前記信号端子を介して前記起動信号を前記接続された撮像装置に出力させることを特徴とする請求項7に記載のアクセサリ。
【請求項9】
前記判定手段は、前記接続された撮像装置が前記休止状態のときに、前記信号端子を介して前記撮像装置の種別を判定することを特徴とする請求項7または8に記載のアクセサリ。
【請求項10】
前記接続された撮像装置の種別を判定するための判定信号を生成する判定信号生成手段を有し、
前記制御手段は、前記接続された撮像装置が前記休止状態のときに、前記信号端子を介して前記判定信号を前記接続された撮像装置に出力させることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載のアクセサリ。
【請求項11】
前記制御手段は、前記信号端子を介して前記判定信号を前記接続された撮像装置に出力させるときには、前記判定手段を前記信号端子に接続させないことを特徴とする請求項10に記載のアクセサリ。
【請求項12】
撮像装置と接続可能なアクセサリであって、
電圧値または電流値に基づいて接続された撮像装置との通信を行うための信号端子と、
前記接続された撮像装置とシリアル通信を行うための、前記信号端子とは異なるシリアル通信用信号端子と、
前記接続された撮像装置をシリアル通信できない状態からシリアル通信できる状態にするための起動信号を生成する起動信号生成手段と、
前記信号端子を介して前記起動信号を前記接続された撮像装置に出力させる制御手段と、を有することを特徴とするアクセサリ。
【請求項13】
外部機器からの前記接続された撮像装置に対する撮影指示信号を受信する受信手段を有し、
前記制御手段は、前記受信手段により前記撮影指示信号を受信すると前記信号端子を介して前記起動信号を前記接続された撮像装置に出力させることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載のアクセサリ。
【請求項14】
接続された撮像装置を休止状態から非休止状態にするための起動信号を生成する起動信号生成手段を備えたアクセサリと接続可能な撮像装置であって、
電圧値または電流値に基づいて接続されたアクセサリとの通信を行うための信号端子と、
前記撮像装置の状態を前記休止状態と前記非休止状態とに変更する状態変更手段と、を有し、
前記状態変更手段は、前記休止状態において前記信号端子を介して前記起動信号を受け付けると前記非休止状態に変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項15】
前記接続されたアクセサリとシリアル通信を行うための、前記信号端子とは異なるシリアル通信用信号端子を有することを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記接続されたアクセサリと通信を行う通信手段と、
前記状態変更手段及び前記通信手段のいずれか一方を前記信号端子に接続させる切り替え手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記非休止状態は前記通信手段と前記信号端子とを接続させ、前記休止状態は前記状態変更手段と前記信号端子とを接続させることを特徴とする請求項14または15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記切り替え手段は、前記通信手段と前記信号端子とを接続させた状態で所定の条件を満たすと前記状態変更手段と前記信号端子とを接続させ、前記状態変更手段と前記信号端子とを接続させた状態で前記状態変更手段が前記起動信号を受け付けると前記通信手段と前記信号端子とを接続させることを特徴とする請求項16に記載の撮像装置。
【請求項18】
アクセサリと接続可能な撮像装置であって、
電圧値または電流値に基づいて接続された撮像装置との通信を行うための信号端子と、
前記接続されたアクセサリとシリアル通信を行うための、前記信号端子とは異なるシリアル通信用信号端子と、
前記撮像装置の状態をシリアル通信できない状態とシリアル通信できる状態とに変更する状態変更手段と、を有し、
前記状態変更手段は、前記シリアル通信できない状態において、前記信号端子を介して前記アクセサリで生成されたシリアル通信できない状態からシリアル通信できる状態にするための起動信号を受け付けると、前記シリアル通信できる状態に変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項19】
撮像装置と、当該撮像装置に接続されたアクセサリと、を有する撮像システムであって、
前記アクセサリは、
電圧値または電流値に基づいて前記撮像装置との通信を行うための信号端子と、
前記撮像装置を休止状態から非休止状態にするための起動信号を生成する起動信号生成手段と、
前記信号端子を介して前記起動信号を前記撮像装置に出力させる制御手段と、を有し、
前記撮像装置は、
当該撮像装置の状態を休止状態と非休止状態とに変更する状態変更手段を有し、
前記状態変更手段は、前記休止状態において前記信号端子を介して前記起動信号を受け付けると前記非休止状態に変更することを特徴とする撮像システム。
【請求項20】
撮像装置と、当該撮像装置に接続されたアクセサリと、を有する撮像システムであって、
前記アクセサリは、
電圧値または電流値に基づいて前記撮像装置との通信を行うための信号端子と、
前記撮像装置とシリアル通信を行うための、前記信号端子とは異なるシリアル通信用信号端子と、
前記撮像装置をシリアル通信できない状態からシリアル通信できる状態にするための起動信号を生成する起動信号生成手段と、
前記信号端子を介して前記起動信号を前記接続された撮像装置に出力させる制御手段と、を有し、
前記撮像装置は、
当該撮像装置の状態をシリアル通信できない状態とシリアル通信できる状態とに変更する状態変更手段を有し、
前記状態変更手段は、前記シリアル通信できない状態において、前記信号端子を介して前記起動信号を受け付けると前記シリアル通信できる状態に変更することを特徴とする撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−47755(P2013−47755A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186361(P2011−186361)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】