説明

撮像装置、カメラグリップ及び撮像システム

【課題】従来のカメラグリップは、グリップの固定部に電気通信用の接点部を有しているため、グリップの固定部に外から衝撃が加わったときに、接点部にも衝撃が伝わり接触が不安定になってしまう。
【解決手段】本発明の撮像システムは、第1の連結部を備えた撮像装置と、前記第1の連結部と回転させて取り付け可能な第2の連結部を備えたカメラグリップと、を有し、前記第1の連結部は、回転中心部において、電気通信用のピンジャックを備え、前記第2の連結部は、回転中心部において、前記ピンジャックと接続する電気通信用のピンプラグを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、カメラグリップ及び撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置を小型にすることで、狭い場所での撮影が可能になり、さらに、装置を固定する器具が小型化できるというメリットがある。このため、撮像装置を三脚に据え付けて撮影を行う場合に不要となるカメラグリップを、撮像装置から取り外し可能な撮像システムが求められている。
【0003】
特許文献1は、撮影時に撮影者に把持されるカメラ本体に対して回動可能なグリップ部を有するカメラグリップを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−181718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1はカメラグリップの固定部に電気通信用の接点部を有しているため、グリップ部を回動させ取り付け位置を変更したときに、カメラグリップの固定部に外から衝撃が加わった場合、接点部にも衝撃が伝わり接触が不安定になってしまう。
【0006】
本発明は、カメラグリップを回動させ取り付け位置を変更したときに、カメラグリップに外から衝撃が加わっても、接触が安定した電気通信が可能となる撮像システムを提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての撮像装置は、カメラグリップに対して回転させて取り付け可能な撮像装置であって、前記撮像装置の連結部の回転中心部において、前記カメラグリップのピンプラグと接続されるように構成された電気通信用のピンジャックを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の側面としての撮像装置は、撮像装置に対して回転させて取り付け可能なカメラグリップであって、前記カメラグリップの連結部の回転中心部において、前記撮像装置のピンジャックと接続されるように構成された電気通信用のピンプラグを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の側面としての撮像システムは、第1の連結部を備えた撮像装置と、前記第1の連結部と回転させて取り付け可能な第2の連結部を備えたカメラグリップと、を有し、前記第1の連結部は、回転中心部において、電気通信用のピンジャックを備え、前記第2の連結部は、回転中心部において、前記ピンジャックと接続する電気通信用のピンプラグを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カメラグリップを回動させ取り付け位置を変更したときに、カメラグリップに外から衝撃が加わっても、接触が安定した電気通信が可能となる撮像システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例である撮像装置とカメラグリップの斜視図である。
【図2】実施例の撮像装置に対してカメラグリップが回転して取り付いた状態を示す側面図である。
【図3】実施例の撮像装置の一部と撮像装置側連結部との分解斜視図である。
【図4】実施例のカメラグリップとカメラグリップ側連結部との分解斜視図である。
【図5】実施例のカメラグリップが撮像装置に固定されているときの連結部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施例である撮像装置110とカメラグリップ210の斜視図である。カメラグリップ210を撮像装置110に対して回動可能に取り付けることによって、撮影者が把持しながら撮影することができる撮像システムとして使用される。
【0013】
図2は、実施例の撮像装置110に対してカメラグリップ210が回転して取り付いた状態を示す側面図である。
【0014】
100は撮像装置側連結部(第1の連結部)であり、200はカメラグリップ側連結部(第2の連結部)である。撮像装置側連結部100とカメラグリップ側連結部200によって、回転中心(回転中心部)Oを中心に、撮像装置110に対してカメラグリップ210を傾けて取り付けることが可能である。
【0015】
図2(a)は、撮像装置110に対してカメラグリップ210が正位置で取り付いた状態を示す。114は撮像装置の底面部、219はカメラグリップ210の底面部である。図2(b)は、撮像装置110に対してカメラグリップ210が図2(a)に図示する正位置から回転中心Oに対して時計回りに30°回転して取り付いた状態を示す。図2(c)は、撮像装置110に対してカメラグリップ210が図2(a)に図示する正位置から回転中心Oに対して反時計回りに15°回転して取り付いた状態を示す。いずれの場合も、カメラグリップ210の底面部219は撮像装置110の底面部114と同じ高さであり、平面に置いたときに同時に接地する。つまり、カメラグリップ210の外形の一部を、回転中心Oを中心とした円弧状にすることで、カメラグリップ210を回転して撮像装置110に取り付けても、同時に接地することが可能となっている。これにより、撮像装置110の転倒を抑制することが可能となる。
【0016】
図3は、実施例の撮像装置の一部と撮像装置側連結部との分解斜視図である。図3(a)は図1(a)と同じ方向から見た分解斜視図であり、図3(b)は図1(b)と同じ方向から見た分解斜視図である。
【0017】
111は、カメラグリップ210との電気通信用ピンジャックである。
【0018】
120は、撮像装置側固定部材である。121は雄ネジ部、125はカメラグリップ側固定部材との接触面である。
【0019】
また、ネジ径が大きいほど撮像装置110に対するカメラグリップ210の締結力が高まるので、雄ネジ部121の径は大きいほど望ましい。また、径を大きくすることで生まれる撮像装置側連結部100の内部の空間には、電気通信用ピンジャック111が設けられている。
【0020】
140は、撮像装置側係合部材である。143は、複数のギア山部とギア谷部が交互に等間隔で設けられ、撮像装置側係合部材140の外周に形成されている凹凸形状である。147は、撮像装置側係合部材140の開口部である。
【0021】
図4は、実施例のカメラグリップ210とカメラグリップ側連結部200との分解斜視図である。図4(a)は図1(a)と同じ方向から見た分解斜視図であり、図4(b)は図1(b)と同じ方向から見た分解斜視図である。
【0022】
211は、電気通信用ピンジャック111と接続する電気通信用ピンプラグである。212は、電気通信用ピンプラグ211を一端に配接したカメラグリップ内部に収納可能な伸縮自在のケーブルである。217はブッシュであり、218は電気接続コネクタである。電気接続コネクタ218は、ケーブル212に電気通信用ピンプラグ211と反対側の他端に配接されている。ブッシュ217は、電気通信用ピンプラグ211と電気接続コネクタ218との間に配置されている。ブッシュ217の位置を移動させることで、ケーブル212のカメラグリップ210に対する引き出し量の調整をすることが可能となる。
【0023】
220は、カメラグリップ側固定部材である。224は、撮像装置側固定部材との接触面である。225は、後述する締結部材230との接触面である。
【0024】
230は、締結部材である。231は雌ネジ部、232は指係り部、235は撮像装置側固定部材との接触面224との接触面である。
【0025】
撮像装置側連結部100と同様に、ネジ径が大きいほど撮像装置110に対するカメラグリップ210の締結力が高まるので、雌ネジ部231の径は大きいほど望ましい。また、径を大きくすることで生まれるカメラグリップ側連結部200の内部の空間に、電気通信用ピンプラグ211を設ける。
【0026】
240は、カメラグリップ側係合部材である。243は、複数のギア山部とギア谷部が交互に等間隔で設けられ、カメラグリップ側係合部材240の外周に形成されている凹凸形状である。
【0027】
ここで、撮像装置側連結部100と同様に、ネジ径が大きいほど撮像装置110に対するカメラグリップ210の締結力が高まるので、雌ネジ部221の径は大きいほど望ましい。径を大きくすることで生まれるカメラグリップ側連結部200の内部の空間には、電気通信用ピンプラグ211が設けられている。
【0028】
300はカメラグリップの前面カバー、310はカメラグリップの背面カバー、320はカメラグリップの天面カバー、330は連結部固定カバーである。また、カメラグリップは、図示しないグリップベルトを有する。
【0029】
301は弾性部材、302はグリップベルトが挿通するベルト穴、303は弾性部材301の抜け止めを目的とした弾性部材係り溝、304はベルト穴302と弾性部材係り溝303と、を有したグリップベルト吊り金具である。これらはいずれも前面カバーに取り付けられている。なお、弾性部材301はO字型であり、ケーブル212を挿通させる。さらに、弾性部材301の引張力やケーブル212の引き出し量を調整しやすくするため、弾性部材係り溝303は、後述するケーブル212の挿通口331から距離の離れた箇所に設ける。また、グリップベルト吊り金具304に弾性部材係り溝303を設けることにより、弾性部材301の抜け止め専用の部品を必要としない。
【0030】
321は撮影開始と終了の指示が可能なSTART/STOPスイッチ、322はレンズ(図示せず)の絞り量の調整が可能な絞り調整ダイヤルである。また、天面カバーに背面カバー310側に配設された表示領域の一部を切り出して拡大表示が可能な表示拡大スイッチと背面カバー310側に配設された表示手段に表示されたメニュー内でカーソルを移動することが可能な十字キーが配置されている。
【0031】
325は基板、326は電気接続ハウジング、327はグリップベルトを通すベルト穴、328はベルト穴327を有したグリップベルト吊り金具である。
【0032】
操作スイッチの電気信号は、基板325に集合し、電気接続ハウジング326、電気接続コネクタ218、電気通信用ピンプラグ211、電気通信用ピンジャック111を介して撮像装置110との通信を行う。
【0033】
331は、ケーブル212の電気接続コネクタ218とブッシュ217が挿通可能、且つ、電気通信用ピンプラグ211が挿通不可能な大きさの挿通口、ケーブル212のブッシュ217が係合可能なU字形状である。332は、ケーブル212のブッシュ217が係合可能なU字形状である。挿通口331、U字形状332はいずれも連結部固定カバー330に設けられている。挿通口331を上述のような開口にすることで、電気通信用ピンプラグ211がカメラグリップ210内に脱落し、ユーザが抜き出せなくなる事態を回避することが可能となる。
【0034】
グリップベルトは、前面カバー300に取り付いたグリップベルト吊り金具304と天面カバー320に取り付いたグリップベルト吊り金具328に掛装され、ユーザがカメラグリップ210を把持するときに手の甲に当てる甲当て(図示せず)を保持する。このとき、グリップベルト吊り金具304、328は、ユーザの手に触れる可能性があるため、ユーザが金具のバリで怪我をしないように、バリ取りをするためのバレル研磨を施してある。このため、グリップベルト吊り金具304が、弾性部材301を傷つけて破損させることはない。なお、グリップベルト吊り金具304、328のように、ユーザの手に触れる可能性のある部品は、成形部品にせよ、切削部品にせよ、バリの処理が必要となる。
【0035】
図5は、実施例のカメラグリップが撮像装置に固定されているときの連結部の断面図である。
【0036】
カメラグリップ210を撮像装置110に固定するために、まず、電気通信用ピンプラグ211を電気通信用ピンジャック111に挿入する。
【0037】
次に、撮像装置側係合部材140の凹凸形状143とカメラグリップ側係合部材240の凹凸形状243とを任意の取り付け位置で係合させる。凹凸形状同士を係合させることで、カメラグリップ210が撮像装置110に対して取り付け位置から回転することを防止している。
【0038】
その後、雄ネジ部121と雌ネジ部231を螺合させる。これにより、カメラグリップ側固定部材との接触面125と撮像装置側固定部材120との接触面224とが接触する。さらに、締結部材230との接触面225とカメラグリップ側固定部材との接触面235とが接触する。これらの接触面を介して、撮像装置110とカメラグリップ210が固定される。
【0039】
電気通信用ピンジャック111と電気通信用ピンプラグ211とは、ピン型の電気通信用接点を用い、さらに、回転中心Oに配設する。これにより、電気通信用ピンプラグ211がカメラグリップ210の回転に追従して動きやすくなるため、ストレスがかかって電気通信用ピンプラグ211が抜けることを防止することが可能になる。また、連結構造の内部にケーブル212があるため、意図せぬユーザの動作で、電気通信用ピンプラグ211が抜けることを防止することが可能となる。
【0040】
なお、本実施例ではピンプラグとピンジャックを用いて電気通信を行っている。ピンプラグとピンジャックによる結合であれば、ピンジャックに対するピンプラグの回転を許容する。ピンプラグとピンジャックによる結合に代えて、連結部の内部の空間を使って、スプリングコネクタを用いて電気通信を行ってもよい。また、光通信・電波通信を用いた非接触通信を行ってもよい。
【0041】
ケーブル212のカメラグリップ210に対する取り付けは、ケーブル212の電気接続コネクタ218とブッシュ217を、挿通口331、弾性部材301、の順に挿通させる。そして、U字形状332にブッシュ217を係合し、最後に電気接続コネクタ218を基板325の電気接続ハウジング326に挿入する。
【0042】
このような構成にすることで、カメラグリップ210の外装に衝撃が加わっても、ケーブル212が緩衝材として働くため、ケーブル212の端に設けられている電気通信用ピンプラグ211には衝撃が伝わりづらくなる。そして、衝撃によって電気通信用ピンプラグ211が抜けることを回避することが可能になる。
【0043】
また、弾性部材301により、カメラグリップ210から電気通信用ピンプラグ211を引き出した場合、ケーブル212がカメラグリップ210内に収納される方向に力が働く。そのため、カメラグリップ210を撮像装置110に固定するときに、ケーブル212が引き込まれるため、連結構造にケーブル212を挟み込むことが無くなる。
【0044】
このとき、弾性部材301の引張力により電気通信用ピンプラグ211が抜けないようにするために、弾性部材301の引張力を電気通信用ピンジャック111と電気通信用ピンプラグ211との接合力よりも小さくすることが望ましい。さらに、同様の目的から、カメラグリップ固定時には弾性部材301からの引張力が無いことが望ましい。
【0045】
そして、ブッシュ217がU字形状332に係合していることで、ケーブル212をカメラグリップ210から引っ張り出し過ぎたときのストッパーとなる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
100 撮像装置側連結部
110 撮像装置
111 電気通信用ピンジャック
200 カメラグリップ側連結部
210 カメラグリップ
211 電気通信用ピンプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラグリップに対して回転させて取り付け可能な撮像装置であって、
前記撮像装置の連結部の回転中心部において、前記カメラグリップのピンプラグと接続されるように構成された電気通信用のピンジャックを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮像装置に対して回転させて取り付け可能なカメラグリップであって、
前記カメラグリップの連結部の回転中心部において、前記撮像装置のピンジャックと接続されるように構成された電気通信用のピンプラグを有することを特徴とするカメラグリップ。
【請求項3】
第1の連結部を備えた撮像装置と、
前記第1の連結部と回転させて取り付け可能な第2の連結部を備えたカメラグリップと、を有し、
前記第1の連結部は、回転中心部において、電気通信用のピンジャックを備え、
前記第2の連結部は、回転中心部において、前記ピンジャックと接続する電気通信用のピンプラグを備えることを特徴とする撮像システム。
【請求項4】
前記ピンプラグは、前記カメラグリップの内部に収納されるケーブルに接続されていることを特徴とする請求項3に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記ケーブルは、弾性部材により前記カメラグリップの内部に引き込まれることを特徴とする請求項4に記載の撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−92669(P2013−92669A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234976(P2011−234976)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】