説明

撮像装置、撮像システムおよび撮像方法

【課題】表示装置の画質を考慮して、画質劣化することなく、デジタルズームを有効に利用しながら、人物を等身大で迫力ある再生表示を行うことの可能な撮像装置、撮像システムおよび撮像方法を提供する。
【解決手段】被写体距離と焦点距離の関係が、テレビの画面サイズごとに求めることができることから、ユーザーは画面サイズをカメラに入力しておけば、カメラは撮影距離からズームレンズのズーム位置を決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像システムおよび撮像方法に関し、詳しくは、デジタルカメラ等の撮像装置によって撮影した画像を、テレビ等の外部の表示装置に等身大程度に再生表示するに便利な撮像装置、撮像システムおよび撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ会議システムにおいて、離れた場所にいる相手を等身大で映しだすと臨場感を出すことができ、より円滑に会議を行うことができることから、参加者を等身大で表示することのできるテレビ会議システムが提案されている(特許文献1参照)。このテレビ会議システムは、受信側のプロジェクタ部とスクリーンとの投影距離と投影角の情報を送信側に送り、送信側では受信側から送信されてきた情報と、被写体となるユーザーとの距離情報に基づいて、送信側のカメラの画角を調整し、参加者の位置に関係なく、等身大の画像を表示できるようにしている。
【特許文献1】特開2005−3030683号公報
【0003】
また、デジタルカメラ等の撮像装置において、撮影画像の鑑賞はプリントで行うのが一般的であるが、このプリント以外にも、デジタルカメラにテレビを接続し、このテレビに表示することが行われている。特許文献2には、テレビに撮影画像を表示するにあたって、表示倍率を考慮して表示制御するデジタルカメラが開示されている。
【特許文献2】特開2000−354181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1、2には、表示装置に所定の倍率で表示することが開示されているが、画質についてなんら考慮されていない。すなわち、近年のデジタルカメラ等の撮像装置における画素数は、テレビ等の表示装置の画素数に比較し、多く、高画質で撮影が可能となっている。しかし、表示装置の画質を考慮して、画質劣化することなく、デジタルズームを有効に利用しながら、人物を等身大で迫力ある再生表示を行うことができなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、表示装置の画質を考慮して、画質劣化することなく、デジタルズームを有効に利用しながら、人物を等身大で迫力ある再生表示を行うことの可能な撮像装置、撮像システムおよび撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる撮像装置は、外部の表示装置の画面サイズを入力する入力部と、上記画面サイズと被写体の距離に従って、ズーム位置を演算する制御部と、上記撮影画像を上記外部の表示装置に送信する送信部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
第2の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記制御部が、上記撮像装置と上記外部の表示装置のアスペクト比の違いを考慮して上記ズーム位置を演算することを特徴とする。
【0008】
第3の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記決定された焦点距離に従って、上記制御部が、上記ズーム位置への制御または警告制御の実行を決定することを特徴とする。
【0009】
第4の発明に係わる撮像装置は、上記第1の発明において、上記外部の表示装置の画面サイズは、上記撮影画像の上記外部装置への送信時に、上記入力部が通信を行って、上記外部装置から取得することを特徴とする。
【0010】
第5の発明に係わる撮像方法は、外部の表示装置の画面サイズを入力する入力ステップと、上記画面サイズと被写体の距離、および撮像装置と上記外部の表示装置のアスペクト比の違いに従って、撮影時の換算焦点距離を演算する制御ステップと、上記撮影画像を上記外部の表示装置に送信する送信ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
第6の発明に係わる撮像装置は、外部の表示装置画面の対角線の長さで入力された画面サイズと被写体の距離に従って、撮影時の換算焦点距離を演算する制御部と、上記撮影画像を上記外部の表示装置に送信する送信部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
第7の発明に係わる撮像システムは、外部装置の画面サイズと被写体の距離に従って、撮影時の換算焦点距離を決定する制御部と、上記撮影画像を上記外部の表示装置に送信する送信部を備えた撮像装置と、上記外部装置の画面サイズを、上記撮像装置に入力する通信部を有する通信機器と、からなることを特徴とする。
【0013】
第8の発明に係わる撮像システムは、上記第7の発明において、上記撮像装置の制御部が、該撮像装置と上記外部の表示装置のアスペクト比の違いを考慮して上記換算焦点距離を決定する計算を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示装置の画質を考慮して、画質劣化することなく、デジタルズームを有効に利用しながら、人物を等身大で迫力ある再生表示を行うことが可能な撮像装置、撮像システムおよび撮像方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に従って本発明を適用した撮像システムを用いて好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係わるカメラ10の構成を示すブロック図である。カメラ10は被写体を撮影し、画像を取得するデジタルカメラである。カメラ10は、制御部1、撮影部2、光学ズーム部3、電子ズーム制御部4、画像記録部5、顔画像判定部6、顔大きさ判定部6a、再生サイズ及び表示画素入力部7、表示部8、テレビ(TV)送信部9を有している。制御部1は、CPU等により構成され、カメラ10の全体制御を行う。
【0016】
撮影部2は、被写体像を結像するためのズームレンズを含む光学系、被写体像を光電変換する撮像素子、撮像素子から出力される信号を処理する画像処理部等を含み、画像データを出力する。光学ズーム部3は、前述の光学系の焦点距離を光学的に変更する。電子ズーム制御部4は、前述の撮像素子から出力される画像データをトリミングし、すなわち、ズーミング操作に応じて撮像素子からの画像取出し範囲を変え、擬似的に撮影画角を変更することによりズーミングと同様の効果をもたらす。なお、光学ズーム部3および電子ズーム制御部4は、撮影者によるズーミング操作に応じて、焦点距離を変更する以外に、後述するように等身大モードでは、自動的に焦点距離を変更可能である。
【0017】
画像記録部5は、撮影部1から出力される画像データを圧縮処理の上、記録する。表示部8は、液晶モニタ等によって構成され、画像記録部2に記録されている画像の再生表示や、撮影部2から出力される画像データに基づいてライブビュー等の表示を行う。顔画像判定部6は、撮影部2からの撮影画像に基づき、画面内の顔画像を検出する。
【0018】
また、顔画像判定部6内には、顔大きさ判定部6aがあり、この顔大きさ判定部6aは顔画像判定部6によって判定された顔画像について、顔の大きさを判定する。顔画像判定部6および顔大きさ判定部6aは、表示時に顔の大きさが実際の大きさと略同じになるように、光学ズーム3や電子ズーム制御部4を制御するための検出を行う。
【0019】
再生サイズ及び表示画素入力部7は、カメラ10に接続して、撮影画像を表示するためのテレビ20(図2参照)等の表示装置の画面サイズや、画素数等を入力する。この入力部7は、ユーザーの手動操作による入力装置で構成してもよく、また、テレビ20等の表示装置から自動的に送信されてくるようにしてもよい。また、カメラ10と表示装置をセット販売する場合には、予めカメラ10内の画像記録部5等に書き込んでおいても良い。
いずれにしても、入力部7としては、これらの情報をカメラ10内に取り込むことができれば良い。
【0020】
リサイズ部11は、画像記録部5に記録されている画像データの画素数を、外部に接続するテレビ20等の表示装置の画面の画素数を考慮して変更する。TV送信部9は、テレビ20等の外部の表示装置に画像データを送信する。送信手段としては、電波や赤外線による無線装置、ケーブル接続による有線送信等がある。また、記憶媒体によってテレビ20等に送るようにしても良い。
【0021】
このように本実施形態は構成されている。ズームレンズによって結像された被写体像は撮影部2によって電気信号に変換され、画像処理後、圧縮された後、画像記録部5に記録される。画像記録部5に記録された画像は、表示部8に再生表示可能であるが、TV送信部9を介して大画面薄型のテレビ20等の表示装置に画像データを出力することにより、図2に示すように、等身大の画像を大画面で楽しむことができる。
【0022】
ただし、外部のテレビ20等の表示装置において等身大の表示が可能か否かは、画面サイズなどテレビ20の仕様によるので、入力部7により画面サイズ等のスペックを入力する。テレビ20に送信するときは、テレビ20の画素数よりも大きいデータであることが好ましく、もしも画素数が少ないと、テレビ20の再生能力を十分に生かせず、画質が悪く見える。そこで、テレビ20の表示できる画素数を、入力部7によりカメラ10内に取り込むようにしている。
【0023】
また、カメラ10の撮影画像の画素数は一般的にはテレビ20等の表示装置よりも大きく、この場合は、撮影画像の中から一部を切り出しても、表示装置の表示画素数より大きい場合がある。この場合は、テレビ20等の表示画素数より大きい画素数なら、画質劣化がない撮影が可能となる。そこで、本実施形態においては、電子ズーム制御部4による電子ズームを有効に活用できるようにし、被写体が遠距離にある場合でも、また、画面サイズが小さいテレビ20等の表示装置でも、迫力ある等身大撮影が楽しめるようにしている。
【0024】
そのため、顔画像判定部6によって、顔の大きさが、表示時に実際の大きさとほぼ同じになるように、画面内の顔画像を検出し、大きさ判定部6aによって、顔の大きさを検出し、検出結果に応じて、光学ズーム部3や、電子ズーム部4を制御して、取得する撮影画像における被写体の顔の大きさを調節している。
【0025】
このように、本実施形態においては、自宅の大画面テレビ等、種々の再生環境にある表示装置に撮影画像を送り再生を行う場合、顔画像が実際の人物の大きさに近く、迫力のある撮影画像を楽しむことができる。
【0026】
次に、図3を用いて、カメラ10において等身大撮影する時の基本的な考え方について説明する。図3(a)に、46型(インチ)のテレビ20に被写体である人物30を表示している様子を示す。46インチは、テレビ20の画面の対角を示し、画面のアスペクト比がハイビジョン規格の16:9の場合には、縦方向の長さは57cmとなる。縦方向で1/3程度の大きさとなるように、顔の大きさを調整すると、57÷3≒19(cm)となり、ほぼ等身大の顔の大きさとなる。
【0027】
そこで、図3(b)に示すように、カメラ10の画面内においても、アスペクト比の違いを考慮して、人物30が切れないように上下に合わせるには、顔サイズが縦方向で、1/3となるような構図で撮影すれば良い。この考え方に沿って、本実施形態におけるカメラ10においては、人物30が遠くにいる場合には、光学ズーミングや電子ズーミングにより、人物30が大きくなるように撮影する。
【0028】
人物30の距離によっては光学ズーミングや電子ズーミングでは十分拡大できない場合があり、その場合には、「もう少し近づいて下さい」等のアドバイス表示8aを、表示部8に行う。なお、アドバイス表示8aとしては、この表現に限らず、デジタルズームによりリサイズを行うと外部に設けられたテレビ20による表示の画質が劣化する旨の警告であれば良く、また、絵記号でも良い。アドバイス表示8aは、制御部1が顔大きさ判定部6aによる判定結果や、光学ズーム部3および電子ズーム部4の焦点距離情報等に従って、表示部8を制御することにより行う。
【0029】
次に、図4を用いて、テレビ20の画面サイズを考慮して、カメラ10のズームレンズの焦点距離の決定方法について説明する。今、被写体である人物30を焦点距離fの撮影レンズ2aによって撮影するとする。人物30の大きさYFの顔は、撮像素子2b上にYfの大きさで投影される。
【0030】
このときの両者の関係は、下記(1)式のようになる。
【0031】
Yf=f*YF/L ・・・(1)
ここで、Lは撮影レンズ2aから人物30までの撮影距離を表し、またfは焦点距離を表し、*は乗算を意味する。なお、焦点距離は撮像素子2bの縦方向を35mmフィルム(135フィルム)換算した値であり、Yfも35mmフィルム換算値である。
【0032】
次に、カメラ10で撮影された人物30の顔画像を、画面の高さYtvのテレビ20において表示する場合を考える。この場合、顔の高さをYtvfとすると、下記(2)(3)式を得る。
【0033】
24mm:Yf=Ytv:Ytvf ・・・(2)
Yf=24mm*Ytvf/Ytv ・・・(3)
ここで、テレビ20には人物30を等身大で表示することから、人物30の顔の大きさYFは、テレビ20に表示される人物30aの顔の大きさYtvfと等しく、下記(4)式を得る。
【0034】
Ytvf=YF ・・・(4)
また、テレビ20の画面サイズ(対角線の長さをインチで表す)とテレビ20の高さYtvは、下記(5)式の関係がある。
【0035】
【数1】

【0036】
上記(5)式から分かるように、例えば、42型(インチ)のテレビの合、画面の高さYtvは、0.5を乗算すると約21インチであり、これをcmに換算するには、概ね2.5cmを乗算すればよく、約52cmとなる。
【0037】
上述の(3)式のYtvfとYtvに、それぞれ(4)式、(5)式を代入すると、下記(6)式を得る。
【0038】
Yf=48mm*(Ytvf/画面サイズ(インチ)) ・・・(6)
上述の(1)式に、(6)式を代入して、焦点距離fについて求めると、下記(7)式を得る。
【0039】
f=L*Yf/YF
=L*48mm*Ytvf/(YF*画面サイズ(インチ))
≒48mm*L(mm)/(画面サイズ(インチ)*25(mm))
≒2*L(mm)/画面サイズ(インチ) ・・・・・・・(7)
したがって、距離L(mm)にいる被写体を撮影する場合、(7)式を満たすように焦点距離fを調節すれば、被写体の顔の大きさは、略等身大のとなる。言い換えれば、(7)式を満たすようにカメラ10のズーミングを行えば、被写体をテレビ10に等身大で表示することができる。
【0040】
被写体距離Lと焦点距離fの関係が、テレビ20の画面サイズごとに求めることができることから、ユーザーは画面サイズをカメラ10に入力しておけば、カメラ10は撮影距離からズームレンズのズーム位置を決定することができる。
【0041】
図3における説明においては、顔の大きさから撮影方法を指示していたが、(7)式から分かるように、撮影距離を求めることによっても、等身大撮影が可能である。ただし、距離の測定が出来ないカメラも多いので、顔の大きさから同様の制御を可能としている。
顔の大きさは、人によって多少は異なるが、個人差による相違は大きくなく、また、テレビ20での等身大表示時には、多少の誤差は気にならないので、(1)式を利用して、顔の大きさYFから撮影距離Lを求めてもよい。
【0042】
また、図5に示すような遠距離の被写体である人物30に対して、光学ズーム3によって光学的にズーミングするだけでは、意図する所定の大きさ(等身大)で撮影できないことがある。この場合、光学的なズームだけでは足りないが、図5(b)のように撮像素子2bから出力される画像データの中から部分画像2cのみを抽出(トリミング)し、図5(c)に示すよう画像として記録すればよい。
【0043】
この場合、撮像素子2bの総画素数Ncのうち、一部しか使わないので、画質が劣化する方向にある。しかし、カメラ10の撮像素子2bの総画素数がNc=8M(800万)であって、テレビ20の表示部の画素数がハイビジョン相当の場合には2M(200万)であることから、さらに2倍に電子的に拡大しても、テレビ20に表示するときには、表示上は何ら劣化することはない。
【0044】
画像データを電子的に2倍に拡大することは、焦点距離についてみれば、さらに2倍になることに相当する。3倍の光学ズームなら、電子ズームも含めると6倍ズームとなり、焦点距離が35mmの場合には、6倍ズームでは焦点距離210mmに相当する撮影が可能となる。
【0045】
電子ズーム倍率をZdとすると、その自乗に反比例して有効な画素数は減少するが、テレビ20の表示部の画素数Ntvが、有効な画素数と同等かそれより多ければ、テレビ20へ送信された画像の再生画像は、電子ズームも光学ズームも画質的には同じということになる。画素数が大きな画像を送信しても、表示時には結局リサイズしないと表示できないからである。
【0046】
被写体距離や、被写体である人物の顔等のサイズに応じて、テレビ20の表示部に等身大で人物を表示するような等身大撮影を行う場合において、テレビ20の画面サイズと等身大撮影するときの被写体距離とズーム位置(焦点距離f)の関係を、図6に示す。この図において、横軸は被写体距離であり、縦軸に光学ズームや電子(デジタル)ズームによるカメラ10の焦点距離である。
【0047】
また、焦点距離P0〜P1の間は、光学ズームによって焦点距離を変化させる領域である。焦点距離P1〜P2の間は、電子ズームによって焦点距離を変化させても、テレビ20の表示部の画素数を考慮すると画像劣化のない領域である。焦点距離P2以上は、電子ズームによって焦点距離を変化させた場合に、テレビ20の表示部の画素数を考慮すると画像劣化が現れる領域である。
【0048】
図6から分かるように、大画面テレビほど、遠距離の被写体でも低倍率(短焦点距離側)で撮影することができる。被写体が遠方であるほど、焦点距離を伸ばす必要があるが、光学ズーム域(焦点距離P1まで)では画素劣化がないことから問題なく、また電子ズーム域で焦点距離を伸ばす場合でも、前述したようにテレビ20の表示画素数相当(焦点距離P2まで)までは、トリミング効果による画像劣化がない。この限界を超える場合は、アドバイス表示8a(図3参照)のような警告等を行う。
【0049】
次に、図7に示すフローチャートを用いて、カメラ制御の動作について説明する。このフローに入ると、まず、撮影モードに設定されているか否かの判定を行う(S1)。このカメラ10は、再生モードと撮影モードの2つのモードが使用可能である。判定の結果、撮影モードが設定されていた場合には、ズーム操作され、ズーミング中か否かの判定を行う(S2)。
【0050】
ステップS2における判定の結果、ズーミング中でない場合には、レリーズ釦の操作状態を検出し、撮影を行うか否かの判定を行う(S11)。判定の結果、レリーズ操作されていなかった場合には、そのままリターンする。一方、レリーズ操作されていた場合には、撮影と記録を行う(S12)。撮影・記録動作は、撮影部2において、被写体像の画像データを取得し、この画像データを画像記録部5に記録する。撮影動作が終わると、リターンし、ステップS1に戻る。
【0051】
ステップS2おける判定の結果、ズーム操作されていた場合には、等身大モードに設定されているか否かの判定を行う(S3)。この等身大モードは、カメラ10のメニュー画面等において設定を行うので、この設定がなされているか否かの判定を行う。判定の結果、等身大モードであった場合には、顔の大きさや、被写体までの距離を測定し(S4)、ズーム決定を行い、この決定された焦点距離に従って光学ズーム部3によりズームレンズの駆動を行う(S5)。
【0052】
すなわち、等身大モードの場合には、図4ないし図6を用いて説明したように、テレビ10の画面サイズ等の情報を用いて、被写体である人物が等身大で表示されるように、撮影レンズの焦点距離を光学ズームや電子ズームによって調節する。なお、ステップS4において、被写体までの距離を直接求めることができない場合には、顔の大きさから被写体距離を求め、焦点距離の決定を行う。
【0053】
ズーム位置を決定すると、続いて、電子ズームを行うか否かの判定を行う(S6)。上述の(7)式等に基づいて、等身大モードにおける撮影レンズの焦点距離を決定できるが、この焦点距離が光学ズームによる焦点距離より長焦点距離であった場合には、電子ズームを行う。判定の結果、電子ズームを行う場合には、画質劣化があるか否かの判定を行う(S7)。前述したように、電子ズームによるトリミングによって画素数が減少し、テレビ20の画面の表示画素数より少ない場合には、画質劣化と判定される。
【0054】
ステップS7において、画質劣化と判定された場合には、図3に示したように、アドバイス表示8a等による警告を行う(S8)。また、警告と共に、または警告を行わずに、画質が劣化する領域への電子ズームを制限するようにしても良い。電子ズームの制限を行う場合には、リサイズに制限をかける旨の警告を行うようにしても良い。
【0055】
ステップS3において等身大モードでなかった場合、ステップS6において電子ズームではなかった場合、またはステップS7において画質劣化がなかった場合には、通常のズーム制御を行う(S9)。
【0056】
ステップS1における判定の結果、撮影モードでなかった場合には、再生モードか否かの判定を行う(S21)。判定の結果、再生モードでなかった場合には、テレビ仕様入力モードか否かの判定を行う(S31)。判定の結果、テレビ仕様入力モードでなかった場合には、リターンし、一方、テレビ仕様入力モードであった場合には、テレビ仕様入力を行う(S32)。
【0057】
テレビ仕様入力は、再生サイズ及び表示画素入力部7によって、ユーザーはテレビ20の表示部の画面サイズと画素数を入力する。この画面サイズと画素数は、前述したように、等身大モードの際の焦点距離調節や、また電子ズーム時の画質劣化の警告等を行う際に使用される。この画面サイズ等の入力は、前述したように、手動で入力してもよいし、テレビ20とカメラ10を接続して取得してもよい。また、ネットなどを介して取得してもよい。
【0058】
ステップS21における判定の結果、再生モードであった場合には、従来のカメラと同様に、選択された撮影画像を液晶モニタ等の表示部8に再生表示する(S22)。続いて、テレビ送信か否かの判定を行う(S23)。このステップでは、カメラ10には撮影画像のテレビ送信用の操作部材が設けられており、この操作部材が操作されたか否かの判定を行う。
【0059】
ステップS23における判定の結果、テレビ送信でなかった場合には、そのままリターンする。一方、テレビ送信であった場合には、本実施形態の特徴であるテレビ20での撮影画像再生のために、画像を送信する(S24)。このステップでは、画像記録部5に記録されていた画像データを、赤外線や無線LANなどを用いてテレビ送信部9から、ワイヤレスでテレビ20に送信し、テレビ20は受信画像を再生可能にする。もちろん、無線に限らず、有線でもよく、またカード等の記録媒体などでやり取りしてもよい。また、このタイミングで、通信を利用し、ステップS32と同様にして、テレビ仕様を取得するようにしてもよい。
【0060】
以上説明したように、本発明の一実施形態においては、被写体を撮影して取得した画像データから、ズーミングの効果を出すために、トリミングして画像データを生成し、このトリミングした画像データを外部の表示装置に送信している。また、画像データを構成する画素数が外部の表示装置に表示する際に画質劣化するときには警告を行うようにしている。このため、表示装置の画質を考慮して、画質劣化することなく、デジタルズームを有効に利用しながら、人物等を等身大で迫力ある再生表示を行うことが可能となる。
【0061】
また、本発明の一実施形態においては、画像データを構成する画素数が少ないため外部の表示装置に表示する際に画質劣化する場合には、被写体にもっと近づいて撮影するように警告したり、または、電子ズーム制御手段によるリサイズに制限をかける旨の警告を行ったり、または、電子ズーム制御手段によりリサイズを行うと外部の表示手段による表示の画質が劣化する旨の警告を行ったりするようにしているので、外部の表示装置で表示する際に、劣化した画質で表示することを防止することができる。
【0062】
さらに、本発明の一実施形態においては、まず、光学ズームにおいて焦点距離を調節し、光学ズームによって処理できない場合に、電子ズームによる処理を行っている。このため、記録媒体に記録する際には、高画素数で記録することができる。
【0063】
なお、本発明の一実施形態においては、リサイズ部11は、カメラ10に設けていたが、これに限らず、テレビ20に設けてもよく、さらに、カメラ10とテレビ20の両方に設けるようにしても良い。また、本実施形態においては、カメラ10に測距部を設けていなかったが、測距部を設け、顔大きさ判定部6aを省略しても良い。
【0064】
さらに、本発明の一実施形態においては、光学ズームレンズを有し、まず、この光学ズームレンズによって等身大を得る焦点距離に調節していたが、これに限らず、固定焦点レンズを備え、電子ズームによって略等身大となるように電子ズームによる処理を行っても良い。
【0065】
さらに、本発明の一実施形態においては、略等身大で表示可能な焦点距離を(1)式や(7)式に従って演算により求めていたが、演算としてはこの式に限らず、また演算結果をテーブルにし、テーブル参照としても良いことは勿論である。
【0066】
さらに、本発明の一実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、また、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)等に内蔵されるカメラでも勿論構わない。
【0067】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係わるカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、外部表示装置としてのテレビに撮影画像を等身大で表示している様子を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、等身大撮影する時の基本的な考え方を示す図であり、(a)はテレビに被写体である人物を表示している様子を示し、(b)はカメラでズーミングを行っても等身大で撮影できない場合のアドバイス表示を示す。
【図4】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、テレビの画面サイズを考慮して、カメラのズームレンズの焦点距離の決定の仕方を説明する図であり、(a)は被写体、撮影レンズ、撮像素子の関係を示す図であり、(b)はテレビの表示部における画像の表示を示す。
【図5】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、カメラのズームレンズの焦点 距離を光学ズームでは調整できず、電子ズームを行う場合を説明する図であり、(a)は被写体、撮影レンズ、撮像素子の関係を示す図であり、(b)は撮像素子上の画像を示し、(c)は電子ズームによる拡大画像を示す。
【図6】本発明の一実施形態に係わるカメラにおいて、等身大撮影を行う際のテレビの画面サイズ、被写体距離、およびズーム位置(焦点距離f)の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態に係わるカメラにおけるカメラ制御の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1・・・制御部、2・・・撮影部、2a・・・撮影レンズ、2b・・・撮像素子、2c・・・部分画像、3・・・光学ズーム部、4・・・電子ズーム制御部、5・・・画像記録部、6・・・顔画像判定部、6a・・・顔大きさ判定部、7・・・再生サイズ及び表示画素入力部、8・・・表示部、8a・・・アドバイス表示、9・・・テレビ(TV)送信部、10・・・カメラ、11・・・リサイズ部、20・・・テレビ、30・・・人物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の表示装置の画面サイズを入力する入力部と、
上記画面サイズと被写体の距離に従って、ズーム位置を演算する制御部と、
上記撮影画像を上記外部の表示装置に送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記制御部は、上記撮像装置と上記外部の表示装置のアスペクト比の違いを考慮して上記ズーム位置を演算することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記決定された焦点距離に従って、上記制御部が、上記ズーム位置への制御または警告制御の実行を決定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記外部の表示装置の画面サイズは、上記撮影画像の上記外部装置への送信時に、上記入力部が通信を行って、上記外部装置から取得することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
外部の表示装置の画面サイズを入力する入力ステップと、
上記画面サイズと被写体の距離、および撮像装置と上記外部の表示装置のアスペクト比の違いに従って、撮影時の換算焦点距離を演算する制御ステップと、
上記撮影画像を上記外部の表示装置に送信する送信ステップと、
を備えたことを特徴とする撮像方法。
【請求項6】
外部の表示装置画面の対角線の長さで入力された画面サイズと被写体の距離に従って、撮影時の換算焦点距離を演算する制御部と、
上記撮影画像を上記外部の表示装置に送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
外部装置の画面サイズと被写体の距離に従って、撮影時の換算焦点距離を決定する制御部と、上記撮影画像を上記外部の表示装置に送信する送信部を備えた撮像装置と、
上記外部装置の画面サイズを、上記撮像装置に入力する通信部を有する通信機器と、
からなることを特徴とする撮像システム。
【請求項8】
上記撮像装置の制御部は、該撮像装置と上記外部の表示装置のアスペクト比の違いを考慮して上記換算焦点距離を決定する計算を行うことを特徴とする請求項7に記載の撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−59045(P2013−59045A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226974(P2012−226974)
【出願日】平成24年10月12日(2012.10.12)
【分割の表示】特願2008−31239(P2008−31239)の分割
【原出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】