説明

撮像装置、撮像データ記録方法、およびスレーブ情報取得方法

【課題】 撮像データの確実または連続的な記録を容易に実現するための、撮像データ記録方法、およびスレーブ情報取得方法を提供する。
【解決手段】 マスター機器10は、ユーザによる撮影操作の結果得られた撮像データを、マスター機器10の記録メディアに記録する。ここで、記録メディアの残り記録時間が所定の時間を下回った場合、撮像データの記録先は、マスター機器10にネットワークを介して接続されたスレーブ機器20の記録メディアに自動的に切り換えられる。所定の時間は、マスター機器10のユーザによって事前に任意の値に指定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像データの確実な記録、または撮像データの連続的な記録を容易に実現することができる撮像装置、撮像データ記録方法、およびスレーブ情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラのような撮像装置は、近年のデータ処理技術や記録技術の発達に伴って、低価格化やコンパクト化がより一層進み、一般家庭にも広く普及してきている。また、バッテリー持続時間の拡大や記録密度の向上によって長時間の録画を可能とした製品も次々と市場に投入されている。このような撮像装置における様々な改良は、撮像装置の携帯性をも向上させる結果となっている。
【0003】
上記のような撮像装置の普及に伴い、テープなどの記録メディアの交換やなんらかのトラブルがあった場合に、大切なシーンを撮り漏らしたり、録画データを失ったりしないように、様々な記録方法が採用されている。
【0004】
従来、ビデオカメラ等の撮像装置によって得られた撮像データが確実に、または連続的に記録されるようにするために、シンクロ動作モード、リレー動作モード、および外部動作モードといった各動作モードが設定されており、ユーザは、撮像データの価値や、そのデータの連続性を確保することの重要性に応じて、これらの動作モードのうちいずれかを選択する。
【0005】
ここで、これらの各動作モードについて説明する。なお、マスター機器とは、CCD(Charge-Coupled Device)やマイクロフォン等を介して画像や音声を電気信号として取得し、必要に応じて、これらの電気信号を所定のエンコード方式でエンコードするビデオカメラ等の撮像装置である。一方、スレーブ機器とは、マスター機器と所定のネットワークを介して接続され、エンコードされた画像データや音声データ(撮像データ)を記録しうる記録手段を備えた機器である。
【0006】
[シンクロ動作モード]
シンクロ動作モードは、マスター機器における撮像データの記録動作と連動(同期)して、マスター機器で記録された撮像データと同じデータをスレーブ機器にも記録させるよう動作するモードである。マスター機器の撮像データは、ネットワークを介してスレーブ機器に伝送される。また、マスター機器は、その記録開始および記録停止のタイミングで、それぞれ、スレーブ機器に対して記録開始コマンド、および記録停止コマンドを送信し、両者の記録動作を連動させる。当該モードは、言い換えれば、撮像データを完全に2重化して記録するものである。この動作モードでは、データを格納するために大容量の記録メディアを確保する必要があるが、たとえば、撮像データを記録したテープやディスクが破損して、データを読み取ることができなくなったとしても、他方の記録メディアにその撮像データが完全な形で残っており、撮像データを失う危険性が極めて低い。
【0007】
[リレー動作モード]
リレー動作モードは、マスター機器の記録メディア(たとえば、テープや記録型DVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体)の記録可能時間(たとえば、テープ残量)が残りわずかになった場合に、スレーブ機器に対して記録開始コマンドを送信し、マスター機器が取得中の撮像データがスレーブ機器に記録されるように制御する。これによって、マスター機器で記録メディアの交換が行われている場合にも、スレーブ機器でマスター機器の撮像データが記録され、連続的な撮影が可能となる。
【0008】
[外部動作モード]
外部動作モードは、マスター機器が記録メディアを利用可能かどうか(たとえば、テープが装填されているかどうか)に関係なく、マスター機器のスタート/ストップキーが押下されると、マスター機器からスレーブ機器に記録開始コマンド、または記録停止コマンドが送信され、スレーブ機器において、マスター機器が取得中の撮像データが記録される。この場合、マスター機器においては、撮像データの記録動作は行われない。
【0009】
また、スレーブ機器において撮像データ記録を確実に行うという観点から、マスター機器でスレーブ機器の動作状態を表示できるものがある。これは、マスター機器が、スレーブ機器の状態を、規定コマンドによって問い合わせることによって実現される。当該表示機能は、たとえば、スレーブ機器の動作状態(すなわち、スレーブ機器が、記録状態、待機状態、および停止状態のいずれの状態にあるか)を、たとえば、マスター機器の表示パネル上に表示する。上述の外部動作モードでは、この規定コマンドによる問い合わせ結果を利用して、スレーブ機器を記録動作させるかどうかを判断している。
【0010】
なお、マスター機器がスレーブ機器に対して送信するコマンドは、マスター機器とスレーブ機器を接続するネットワークのプロトコル等に依存する。たとえば、マスター機器とスレーブ機器がIEEE1394ネットワークによって接続されている場合は、AV/C(Audio/Video Control)コマンドが用いられる。この場合、通常、記録開始コマンドは、「REC」コマンドであり、記録停止コマンドは「REC−PAUSE」コマンドである。しかしながら、機器によっては、「REC−PAUSE」コマンドに対応していないものもあるため、マスター機器においてユーザが、記録停止コマンドとして「REC−PAUSE」コマンドを使用するか、「STOP」コマンドを使用するかを選択できるようになっているものが多い。
【0011】
このような、「REC−PAUSE」コマンドに対応していない機器で代表的な装置は、ハードディスク装置である。元来、ポーズ状態は、テープを記録メディアとして使用する記録装置において、テープのローディングが終了し、つなぎ撮りができる状態をいい、ストップ(停止)状態と区別される。したがって、ハードディスク装置のような、ハードディスクを記録メディアとする装置には、ローディングがなく、「ポーズ」という概念がないのである。
【0012】
上述したシンクロ動作モードについては、たとえば、特許文献1の記録システムに同様の機能が開示されている。特許文献1の記録システムでは、マスター機器からスレーブ機器に対して、時間同期をとるための同期データを送信し、この同期データにしたがって、マスター機器とスレーブ機器との間の同期がとられ、撮影・記録が行われる。
【0013】
【特許文献1】特許第3544538号
【0014】
また、特許文献2には、マスター機器から、当該マスター機器にIEEE1394ケーブルを介して接続されたスレーブ機器に対して映像信号を送信する編集システムが開示されている。
【0015】
【特許文献2】特開2000−36937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上述のようなリレー動作モードにおいては、マスター機器の記録メディア残量が、たとえば5分となった場合(すなわち、あと5分しか記録できない状態となった場合)に、スレーブ機器による記録が開始されるといった具合に、残量の指定が「5分」や「30秒」といった、固定値によってなされている。このため、ユーザがそのスレーブ機器による記録を開始させるためには、指定された残量まで撮影を続けなければならず、非常に使い勝手が悪い。
【0017】
また、マスター機器において、スレーブ機器の状態を表示する機能については、スレーブ機器の「動作状態」の表示のみが行われているため、スレーブ機器の記録メディア残量やバッテリー残量が不足していてもユーザは気が付かず、撮像データの記録に失敗する可能性がある。
【0018】
またさらに、マスター機器が外部動作モードで動作している場合に、スレーブ機器の記録メディア残量やバッテリー残量が不明であるために、突然、スレーブ機器の記録メディアが終了してしまい、撮影データが予定通り記録されないという事態が生じる。
【0019】
したがって、この発明の目的は、撮像データの確実または連続的な記録を容易に実現するための、撮像データ記録方法、およびスレーブ情報取得方法を提供することにある。
【0020】
また、この発明のさらなる目的は、リレー動作モードにおいて、スレーブ機器による記録の開始条件をユーザが設定できる撮像装置、および撮像データ記録方法を提供することにある。この場合の開始条件は、たとえば、マスター機器の記録メディア残量(たとえば、残り記録時間)やバッテリー残量(稼働可能時間)等がユーザの指定した値となることである。
【0021】
また、この発明のさらなる目的は、スレーブ機器の記録メディア残量(たとえば、残り記録時間)やバッテリー残量(たとえば、残り稼働時間)等を表示する機能を備えた撮像装置を提供することにある。
【0022】
また、この発明のさらなる目的は、マスター機器が外部動作モードで動作している場合に、スレーブ機器の記録メディア残量やバッテリー残量等をチェックし、ユーザの指定した残量値を下回ると、強制的にマスター機器による記録動作に切り換えるような仕様を有する撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明の第1の実施態様は、撮影操作により得られた撮像データを記録する第1の記録手段と、第1の記録手段の残り記録時間が所定の時間より短くなった場合に、撮像データを第2の記録手段に記録するよう制御する記録制御手段とを有するように構成された撮像装置であり、この場合、所定の時間は、ユーザによって指定される。
【0024】
また、第1の記録手段の残り記録時間のみならず、マスター機器のバッテリー残り時間に基づいて撮像データの記録先の切り換えを行うようにしてもよい。またさらに、この発想を拡張して、第1の記録手段の残り記録時間と、マスター機器のバッテリー残り時間との組み合わせに基づいて撮像データの記録先の切り換えを行うようにしてもよい。当該実施態様により、撮像データの安全なバックアップ取得が可能となり、マスター機器でテープ交換等を実施している間であっても、連続した一連の撮像データを記録することができる。
【0025】
この発明の第2の実施態様は、上述の第1の実施態様において、第1の記録手段は、その撮像装置に内蔵または装填される記録メディアであり、第2の記録手段は、ネットワークを介して接続される外部記録装置であるように構成された撮像装置である。
【0026】
この発明の第3の実施態様は、第1の記録手段を備えたスレーブ機器に対してネットワークを介してアクセスし、マスター機器として動作する撮像装置であり、その撮像装置には、スレーブ機器に所定のコマンドを送信することによって、第1の記録手段の残り記録時間を取得するスレーブ情報取得手段が備えられる。
【0027】
当該実施態様により、マスター機器において、スレーブ機器の記録メディアの残り記録時間を把握することができる。
【0028】
この発明の第4の実施態様は、この発明の第3の実施態様において、第2の記録手段と記録制御手段をさらに有するように構成された撮像装置である。記録制御手段は、撮影操作により得られた撮像データを、スレーブ機器の第1の記録手段に記録するモードで動作しているときに、スレーブ情報取得手段から得られた第1の記録手段の残り記録時間が、所定の時間より短くなった場合、撮像データを第2の記録手段に記録するよう制御する。
【0029】
上述した所定の時間は、好ましくは、ユーザによって任意の時間に指定される。また、第1の記録手段の残り記録時間のみならず、スレーブ機器のバッテリー残り時間に基づいて撮像データの記録先の切り換えを行うようにしてもよい。またさらに、この発想を拡張して、第1の記録手段の残り記録時間と、スレーブ機器のバッテリー残り時間との組み合わせに基づいて撮像データの記録先の切り換えを行うようにしてもよい。また、当該実施態様により、マスター機器において、スレーブ機器の記録メディアの残り記録時間が僅かになった時点で撮像データの記録先を強制的にマスター機器とすることができ、その結果、撮像データを失うという危険性が低減される。
【0030】
この発明の第5の実施態様は、この発明の第3の実施態様において、表示手段と表示制御手段をさらに有するように構成された撮像装置である。表示制御手段は、撮影操作により得られた撮像データを、スレーブ機器の第1の記録手段に記録するモードで動作しているときに、スレーブ情報取得手段から得られた第1の記録手段の残り記録時間が、所定の時間より短くなった場合、その旨を表示手段に表示するよう制御する。
【0031】
上述した所定の時間は、好ましくは、ユーザによって任意の時間に指定される。また、当該実施態様により、マスター機器において、スレーブ機器の記録メディアの残り記録時間が僅かになったことがわかり、ユーザは、その後様々な方法で、撮像データを正常に記録するための対処を行うことができる。
【0032】
この発明の第6の実施態様は、撮影操作により得られた撮像データを第1の記録手段に記録する記録ステップと、第1の記録手段の残り記録時間が所定の時間より短くなった場合に、撮像データを第2の記録手段に記録するよう制御する記録制御ステップとを有するよう構成された撮像データ記録方法である。この場合、所定の時間は、ユーザによって指定される。
【0033】
この発明の第7の実施態様は、第1の記録手段を備えたスレーブ機器に対してネットワークを介してアクセスし、マスター機器として動作する撮像装置で撮像データを記録する方法であって、当該方法は、スレーブ機器に所定のコマンドを送信するステップと、所定のコマンドに対するレスポンスをスレーブ機器から受信することによって、第1の記録手段の残り記録時間を取得するスレーブ情報取得ステップとを有する。
【発明の効果】
【0034】
この発明に係る撮像装置によって、リレー動作モードにおいては、スレーブ機器による記録の開始条件がユーザによって任意に設定できる。これによりユーザは、たとえば、マスター機器の記録メディア残量(記録可能時間)やバッテリー残量(稼働可能時間)を任意の値に設定することができる。
【0035】
また、この発明に係る撮像装置によって、スレーブ機器の記録メディア残量(記録可能時間)やバッテリー残量(稼働可能時間)等が、当該撮像装置の所定の表示手段に表示される。これによりユーザは、スレーブ機器があとどれくらい撮像データを記録可能であるかを容易に判断することができ、たとえば、マスター機器が外部動作モードで動作している場合に、この情報を用いて、ユーザが指定した残量を下回った場合に、自動的にマスター機器への記録に切り換えることができれば、撮像データの記録に失敗する可能性が低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
最初に、図1を参照して、この発明の一実施形態に係る撮像装置を含む撮像システムの概要について説明する。図1に示す撮像システムにおいて、マスター機器10はこの発明に係る撮像装置であり、たとえば、ビデオカメラなどの装置である。スレーブ機器20は、マスター機器10からの撮像データを記録することができる機器であり、マスター機器10からは、外部記録装置として機能する。
【0037】
こうしたスレーブ機器20の例としては、たとえば、マスター機器10と同様のビデオカメラ21、ハードディスク装置22、パーソナルコンピュータ23、DVDレコーダ24等がある。スレーブ機器20の記録メディアは、たとえば、ビデオカメラ21であれば、テープや記録型DVDであり、ハードディスク装置22であれば、ハードディスクであり、パーソナルコンピュータ23やDVDレコーダ24であれば、記録型DVDやハードディスクといった記録メディアが考えられる。ただし、この発明のスレーブ機器20をどのような装置で構成してもよく、また記録メディアの種類にも制限はない。
【0038】
ここで、撮像データは、撮像装置(すなわち、マスター機器10)を用いてユーザが撮影操作を行った結果得られるデータであり、たとえば、家庭用ディジタルビデオのフォーマットであるDV(Digital Video)フォーマットや、家庭用のDV規格のカセットテープを用いて高精細なHD(High Definition)映像の記録再生を可能にするHDV(High Definition Video)規格によるデータである。
【0039】
マスター機器10とスレーブ機器20の間は、たとえばIEEE1394といったネットワーク30によって接続される。この実施形態においては、IEEE1394ネットワークによる接続を前提として説明を行うが、この発明では、このようなネットワークに限定されるわけではない。マスター機器10から撮像データを伝送可能であり、そのネットワークを介してスレーブ機器20に所定の動作を行わせるコマンドを送信できる限り、どのようなネットワークを用いてもよい。また、マスター機器10の所定の端子に、ネットワークを介さずに直接接続される装置もスレーブ機器20に含まれうる。
【0040】
また、IEEE1394ネットワークにおいては、通常、IEEE1394ケーブルを用いてマスター機器10とスレーブ機器20を接続するが、この発明のネットワーク30は、有線ネットワークだけでなく、無線ネットワークによっても構成されうる。
【0041】
IEEE1394ネットワークでは、スレーブ機器20の記録動作制御や動作状態確認は、マスター機器10から送信されるAV/Cコマンドによって行われる。
【0042】
たとえば、結婚披露宴の様子を撮影するようなサービスを提供する業者は、結婚披露宴の最初から最後までを途絶えることなく、すべて撮影することが要求されることが多く、このような場合には、図1の撮像システムの構成においてリレー動作モードを用いて撮影を行うことが望ましい。このモードでは、通常、マスター機器10を用いて撮影し、記録メディアを交換する間だけ、スレーブ機器20に撮像データが記録されるようにすることができ、最終的な編集段階では、披露宴のどの瞬間からも撮像データを取り出すことができる。
【0043】
この場合、スレーブ機器20は、マスター機器10とIEEE1394ケーブルで接続されている必要があるが、たとえば、軽量のものであれば、撮影者によってマスター機器10と一緒に携帯することもできるし、また、会場の任意の場所や隣室に設置しておくこともできる。
【0044】
次に、図2を参照して、この発明の一実施形態に係る撮像装置における設定画面の遷移例について説明する。図2に示された画面40ないし画面80は、撮像装置の表示パネル上に、たとえばOSD(On Screen Display)によって、撮像画像等と重複して表示されうる。
【0045】
画面40には、ユーザがマスター機器に対して所定の操作を行うことにより、入出力設定画面41が示される。そこで、ユーザは、入出力設定画面41に表示されているいくつかの機能の中から1つを選択する。ここでは、この発明に関係する「外部RECコントロール」(符号42で示されている)が選択される。ユーザによる選択は、たとえば、撮像装置に備わっている上ボタンや下ボタンを押下してカーソルを「外部RECコントロール」の位置にあわせ、そこで同様に撮像装置に設けられた決定ボタンを押下して行う。
【0046】
画面40で「外部RECコントロール」を選択すると、画面50に遷移し、そこで、外部RECコントロール画面51が表示される。この例では、「RECコントロールモード」、「スタンバイコマンド」、および「リレー開始時間」の3つの設定項目が示されている。
【0047】
ここで、「RECコントロールモード」を選択すると、画面60に遷移し、そこで、RECコントロールモード指定画面61が表示される。これは、上述した3つの動作モード、すなわち、シンクロ動作モード、リレー動作モード、および外部動作モードのうちどの動作モードで動作するかを指定する画面である。決定ボタン等を用いて動作モードが決定されると、指定された動作モードがメモリ等に記録され、その後、再び画面50に遷移する。
【0048】
画面50に示された外部RECコントロール画面51で、「スタンバイコマンド」を選択すると、画面70に遷移し、そこで、スタンバイコマンド指定画面71が表示される。これは、上述したように、スレーブ機器20がどのタイプの記録停止コマンドを受け付けるかを指定する画面であり、「REC−PAUSE]か「STOP]が選択される。決定ボタン等を用いてスタンバイコマンドが決定されると、指定された記録停止コマンドがメモリ等に記録され、その後、再び画面50に遷移する。
【0049】
画面50に示された外部RECコントロール画面51で、「リレー開始時間」を選択すると、画面80に遷移し、そこで、リレー開始時間指定画面81が表示される。これは、リレー動作モードにおいて、撮像データの格納先が、スレーブ機器20に切り換えられる条件を指定する画面であり、マスター機器10の記録メディアの残量の候補がいくつか示されている。このうち、たとえば「30秒」を選択すると、マスター機器10の記録メディアが残り30秒になったところで、撮像データは、スレーブ機器20の記録メディアに記録されるようになる。その後、決定ボタン等を用いてリレー開始時間が決定されると、その決定された値がメモリ等に記録され、その後、再び画面50に遷移する。
【0050】
リレー開始時間指定画面81の例では、残り記録時間の候補がいくつか示されているが、ユーザが所定の値を入力するように構成することもできる。また、残り記録時間ではなく、残り容量や残りの割合(%)を基準として設定することもできる。撮像データの格納先が、スレーブ機器20に切り換えられる条件を時間で指定する場合、記録フォーマットを考慮して切り換え制御が行われる必要がある。どのような記録フォーマットで撮像データを構成するかによって、時間当たりに「消費」する記録メディアの容量が異なるからである。また、動き補償を行うような動画記録フォーマットにおいては、動きの少ないシーンを撮影する場合には、小さな記録容量で済むことがある。
【0051】
さらにまた、記録メディアの残りではなく、マスター機器10のバッテリーの残りに着目して(たとえば、バッテリーの残り時間や、残り容量を)指定することもできる。テープやディスクの駆動系は消費電力が大きく、これらをスレーブ機器20で行うようにするだけでもマスター機器10の動作時間を延長するには十分効果的である。
【0052】
また、リレー開始時間指定画面81において、マスター機器10の記録メディアの残りとバッテリーの残りを組み合わせて指定することも可能である。
【0053】
画面60ないし画面80での指定が終了し、画面50に示された外部RECコントロール画面51で、「(決定)」が選択されると、当該指定内容が確定し、画面40が表示される。なお、外部動作モードにおいて、スレーブ機器の記録メディアの残量が所定の値になった場合に、強制的に撮像データの記録先をマスター機器の記録メディアにするよう制御することができるが、この場合も残量も、たとえば、外部RECコントロール画面51に、「外部動作開始時間」等の項目を追加することによってユーザに指定させることができる。
【0054】
次に、図3を参照して、リレー動作モードが指定された場合のマスター機器10とスレーブ機器20の動作の例について説明する。図3の上部の欄100と欄110はマスター機器10に関する動作を時系列に示す部分である。欄100には、スタート/ストップキーが押下されたタイミングが示されており、欄110には、マスター機器10の動作状態を表す線Dが示されている。一方、図3の下部の欄120には、スレーブ機器20の動作状態を表す線Eが、マスター機器10の動作と対応付けて時系列に示されている。
【0055】
ここで、この発明に係る撮像装置(マスター機器10)のスタート/ストップキー(不図示)は、たとえば、実質的に1つのボタンで構成され、一度押下すればスタート(マスター機器10における記録スタート)、その後再び押下した場合にはストップ(マスター機器10における記録ストップ)となる。ただし、記録メディアの終了等によって自動的にストップとなった場合、その後(記録メディアが使用可能となった後)のボタンの押下はスタートとなる。以降は、スタートとなるボタンの押下をスタートキー押下として表現し、ストップとなるボタンの押下をストップキー押下として表現する。
【0056】
ユーザが、最初にタイミング130でマスター機器10のスタートキーを押下すると、マスター機器10で撮像データの記録が開始される。線Dのうち、水平方向の点線は停止状態(または待機状態)であることを示し、水平方向の実線は、記録状態であることを示し、これらの状態の間にある一点鎖線は、それぞれの状態への遷移を表す。タイミング130でスタートキーを押下したときの状況は、線Dが停止状態から記録状態に遷移することで示されている。
【0057】
タイミング131で、ユーザがストップキーを押すと、マスター機器10の記録動作は終了する。このことは、線Dが、記録状態から停止状態に遷移することで示されている。
【0058】
ユーザがふたたびタイミング132でスタートキーを押すと、タイミング130の場合と同様に、マスター機器10で記録が開始される(線Dにおいて、停止状態から記録状態に遷移する)。その後、線Aで示されるタイミングで、記録メディアの残量が、ユーザによって設定された時間になったものとする。そうすると、マスター機器10は、その時点(タイミング140)で、スレーブ機器20にRECコマンドを送信し、そこで、スレーブ機器20における撮像データの記録が開始される(線Eが、停止状態から記録状態に遷移する)。このとき、マスター機器10で取得されている撮像データは、マスター機器10の記録メディアに記録されると共に、スレーブ機器20でも記録されることになる。また、ここで、記録メディアの残量について指定された時間とは、図2のリレー開始時間指定画面81でユーザが指定した時間である。
【0059】
次に、ユーザが、タイミング133でストップキーを押すと、マスター機器10の記録動作は終了する(線Dが、記録状態から停止状態に遷移する)。しかしながら、ここでは、スレーブ機器20での記録動作は継続されたままである。
【0060】
その後、ふたたびユーザが、タイミング134でスタートキーを押すと、マスター機器10で記録が開始される(線Dが、停止状態から記録状態に遷移する)。マスター機器10は、その時点(タイミング141)で、スレーブ機器20にRECコマンドを送信する。このとき、スレーブ機器20は既に記録状態であり、マスター機器10からRECコマンドを受信しても動作に変化はない。
【0061】
このように、マスター機器10およびスレーブ機器20の両方で撮像データが記録されている状況において、線Bで表されるタイミングでマスター機器10の記録メディアが終了、すなわち残り部分がゼロになったとする。そうすると、線Dに示されるように、マスター機器10における動作状態は、記録状態から停止状態に変化する。このとき、スレーブ機器20による撮像データの記録は継続されたままである。
【0062】
その後、マスター機器10の記録メディアの交換が終わり、線Cで示されるタイミングでその記録メディアが使用可能となったとする。そして、その後、タイミング135でユーザが、スタートキーを押すと、マスター機器10で撮像データの記録が開始される(線Dが、停止状態から記録状態に遷移する)。一方、スレーブ機器20は、線Cで示されるタイミングからタイミング135に亘っても、記録動作を継続している。なお、ここで、記録メディアが使用可能となるタイミングとは、たとえば、テープであれば、新しいテープが装填されて、そのローディングが終わった時点を指す。
【0063】
また、この例では、線Cで示されるタイミングからタイミング135の間については、ユーザの操作に関わらず、記録動作が継続されているが、これは、この部分が記録されていないと、一連の連続した撮像データが得られないことになるからである。
【0064】
次に、ユーザが、タイミング136でストップキーを押すと、マスター機器10の記録動作は終了する(線Dが、記録状態から停止状態に遷移する)。そして、マスター機器10は、既に、自身の記録メディアの交換が終了し、記録メディアの残量が十分な値となったので、その時点(タイミング142)で、スレーブ機器20にREC−PAUSEコマンドを送信する。そこで、スレーブ機器20における撮像データの記録が停止される(線Eが、記録状態から待機状態に遷移する)。なお、ここでは、図2に示すスタンバイコマンド指定画面71において、「REC−PAUSE」が指定されているものとする。
【0065】
このようにして、マスター機器10で得られた撮像データは、マスター機器10の記録メディアの残量が少なくなった場合に、スレーブ機器20の記録メディアによって記録され、結果的に、漏れのない記録が実現される。スレーブ機器20への記録は、たとえば、マスター機器10の記録メディアの残り時間が所定の時間となったときに開始され、その所定の時間は、ユーザによって指定される。
【0066】
また、図3に示したマスター機器10とスレーブ機器20のリレー動作モードの態様は、単なる一例に過ぎず、既知のリレー動作モードに係る他の態様についてもこの発明の範囲に含まれる。
【0067】
次に、図4を参照して、外部動作モードが指定された場合のマスター機器10とスレーブ機器20の動作の例について説明する。図4の欄150、欄160、および欄170は、それぞれ、図3の欄100、欄110、および欄120に対応する。なお、欄160には、マスター機器10の動作状態を表す線Fが示されており、欄170には、スレーブ機器20の動作状態を表す線Gが、マスター機器10の動作と対応付けて時系列に示されている。
【0068】
ここで、この発明に係る撮像装置(マスター機器10)のスタート/ストップキー(不図示)は、たとえば、実質的に1つのボタンで構成され、一度押下すればスタート(スレーブ機器20における記録スタート)、その後再び押下した場合にはストップ(スレーブ機器20における記録ストップ)となる。ただし、スレーブ機器20の記録メディアの終了等によって自動的にストップとなった場合、その後(記録メディアが使用可能となった後)のボタンの押下はスタートとなる。以降は、スタートとなるボタンの押下をスタートキー押下として表現し、ストップとなるボタンの押下をストップキー押下として表現する。
【0069】
ユーザが、最初にタイミング180でマスター機器10のスタートキーを押下すると、この時点(タイミング190)で、マスター機器10はスレーブ機器20にRECコマンドを送信し、マスター機器10で得られた撮像データの記録がスレーブ機器20において開始される。このことは、線Gが停止状態から記録状態に遷移することで示されている。
【0070】
タイミング181で、ユーザがストップキーを押すと、この時点(タイミング191)で、マスター機器10はスレーブ機器20にREC−PAUSEコマンドを送信し、スレーブ機器20の記録動作は終了する。このことは、線Gが、記録状態から停止状態に遷移することで示されている。
【0071】
ユーザがふたたびタイミング182でスタートキーを押すと、マスター機器10からスレーブ機器20にRECコマンドが送信され、タイミング180の場合と同様に、スレーブ機器20で記録が開始される(線Gにおいて、停止状態から記録状態に遷移する)。
【0072】
その後、線Aで示されるタイミングで、スレーブ機器20の記録メディアの残量が、指定された時間になったものとする。そうすると、マスター機器10は、その時点で撮像データを自身の記録メディアにも記録し始める(線Fが、停止状態から記録状態に遷移する)。このとき、マスター機器10で取得されている撮像データは、マスター機器10の記録メディアに記録されると共に、スレーブ機器20でも記録されることになる。また、ここで、記録メディアの残量について指定された時間とは、ユーザによって指定された時間であり、図3で説明した指定時間と同様に、図2のリレー開始時間指定画面81のような画面で指定することができる。
【0073】
次に、ユーザが、タイミング183でストップキーを押すと、マスター機器10とスレーブ機器20の記録動作はいずれも終了する(線Fと線Gがそれぞれ、記録状態から停止状態に遷移する)。
【0074】
その後、ふたたびユーザが、タイミング184でスタートキーを押すと、マスター機器10で記録が開始される(線Fが、停止状態から記録状態に遷移する)。マスター機器10は、その時点(タイミング194)で、スレーブ機器20にRECコマンドを送信する。スレーブ機器20は、このコマンドに応答して記録を開始する(線Gが、停止状態から記録状態に遷移する)。
【0075】
このように、マスター機器10およびスレーブ機器20の両方で撮像データが記録されている状況において、線Bで表されるタイミングでスレーブ機器20の記録メディアが終了、すなわち残り部分がゼロになったとする。そうすると、線Gに示されるように、スレーブ機器20における動作状態は、記録状態から停止状態に変化する。しかしながら、このときでも、マスター機器10による撮像データの記録は継続されたままである。
【0076】
その後、ユーザが、タイミング185でストップキーを押すと、マスター機器10の記録動作は終了する(線Fが、記録状態から停止状態に遷移する)。それと同時に、マスター機器10は、この時点(タイミング195)で、スレーブ機器20にREC−PAUSEコマンドを送信するが、前述したように、スレーブ機器20は、既に、記録メディアが終了したために停止状態となっており、状態に変化は生じない。
【0077】
次に、ユーザが、タイミング186でスタートキーを押すと、マスター機器の記録動作は再び開始され(線Fが、停止状態から記録状態に遷移する)、それと同時に、マスター機器10は、この時点(タイミング196)で、スレーブ機器20にRECコマンドを送信するが、前述したように、スレーブ機器20は、記録メディアが終了しているため、状態に変化は生じない。
【0078】
その後、スレーブ機器20の記録メディアの交換が終わり、線Cで示されるタイミングでその記録メディアが使用可能となったとする。そして、その後、タイミング187でユーザが、スタートキーを押すと、スレーブ機器20で撮像データの記録が開始される(線Gが、停止状態から記録状態に遷移する)。一方、マスター機器10は、線Cで示されるタイミングからタイミング187に亘っても、記録動作を継続する。
【0079】
次に、ユーザが、タイミング188でストップキーを押すと、マスター機器10の記録動作は終了する(線Fが、記録状態から停止状態に遷移する)。そして、マスター機器10は、その時点(タイミング198)で、スレーブ機器20にREC−PAUSEコマンドを送信する。そこで、スレーブ機器20における撮像データの記録が停止される(線Gが、記録状態から待機状態に遷移する)。なお、ここでは、図2に示すスタンバイコマンド指定画面71において、「REC−PAUSE」が指定されているものとする。
【0080】
ユーザが、タイミング189でスタートキーを押下すると、この時点(タイミング199)で、マスター機器10はスレーブ機器20にRECコマンドを送信し、マスター機器10で得られた撮像データの記録がスレーブ機器20において開始される(線Gが停止状態から記録状態に遷移する)。
【0081】
このようにして、外部動作モードでは、マスター機器10で得られた撮像データは、基本的にスレーブ機器20で記録され、スレーブ機器20の記録メディアの残量が少なくなった場合に、マスター機器10の記録メディアによって記録される。マスター機器10への記録は、たとえば、スレーブ機器20の記録メディアの残り時間が所定の時間となったときに開始され、その所定の時間は、ユーザによって指定される。
【0082】
また、図4に示したマスター機器10とスレーブ機器20の外部動作モードの態様は、単なる一例に過ぎず、既知の外部動作モードに係る他の態様についてもこの発明の範囲に含まれる。
【0083】
次に、図5を参照して、この発明に係る撮像装置(マスター機器10)の構成について説明する。マスター機器10は、スタート/ストップキー200、表示部210、ユーザI/F制御部220、メモリ230、および周辺制御部240を含み、このうち、少なくともユーザI/F制御部220と周辺制御部240は、1つまたは個別のマイクロコンピュータによって制御されうる。
【0084】
スタート/ストップキー200は、図3および図4に関連して説明したように、実質的には1つのボタンであり、押下した場合に、マスター機器10やスレーブ機器20の記録動作をスタートまたはストップさせる。この例では、1つのボタンとして構成されるものと想定しているが、スタートキーとストップキーを物理的に分けて2つまたは3つのボタンとして構成することもできる。
【0085】
表示部210は、受け取ったスレーブ機器20等に関する情報をマスター機器10のLCD等で構成される表示パネル(不図示)等に表示する。また、表示部210は、OSDを用いて表示を行うことも可能であり、これにより、表示パネルに撮像した映像を表示させながら、それに重複させて、上述したスレーブ機器20等に関する情報を表示させることができる。表示態様の例については、図10を参照して後で説明する。
【0086】
ユーザI/F制御部220は、スタート/ストップキー200の操作情報とユーザによる設定情報を入力し、それに応じて撮像データを本体、すなわちマスター機器10の記録メディアに記録するか、またはスレーブ機器20の記録メディアに記録するかを判定するとともに、表示部210に対してスレーブ機器20に関する所定の情報を出力する。
【0087】
メモリ230は、図2に示した各画面においてユーザによって設定された設定情報等が記録される。メモリ230は、たとえばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)のようなメモリで構成される。
【0088】
周辺制御部240は、マスター機器10の記録メディアや、IEEE1394でマスター機器10に接続されたスレーブ機器20の記録メディアに対するアクセスやコマンドのやり取りを制御する。周辺制御部240は、さらに記録メディア制御部240AとIEEE1394制御部240Bを含む。
【0089】
記録メディア制御部240Aは、ユーザI/F制御部220の記録メディアモード制御220Eを介して、マスター機器10の記録メディアの残量を取得してユーザI/F制御部220に提供する一方で、ユーザI/F制御部220から撮像データを受け取り、これを記録メディアに記録するよう制御する。また、IEEE1394制御部240Bは、スレーブ機器20の動作状態や、スレーブ機器20の記録メディアの残量等を取得してユーザI/F制御部220に提供する一方で、撮像データのスレーブ機器20への記録を開始または停止するよう制御する。こうした、スレーブ機器20に対する制御は、AV/Cコマンドによって行われるが、IEEE1394制御部240Bは、AV/Cコマンドの発行や発行タイミングの制御を行う。
【0090】
次に、ユーザI/F制御部220の動作を、さらに詳しく説明する。ユーザI/F制御部220は、スタート/ストップキー200が押下されたときに、スタート/ストップキー200から信号を受信し、それをA/D変換する(220A)。こうしてディジタル化された値は、キー入力検出(220B)が行われることによって、どのボタンが押下されたのかといった判定がなされる。
【0091】
次に、こうして判定されたキー入力が、所定の制御コマンドに変換され(220C)、その制御コマンドが外部RECコントロール220Dに提供される。さらに、外部RECコントロール220Dには、メモリ230から、ユーザによって設定された設定情報220Gが提供される。
【0092】
外部RECコントロール220Dは、さらに、必要に応じて、記録メディア制御部240Aからマスター機器10の記録メディアの残量等を取得し、IEEE1394制御部240Bからスレーブ機器20の動作状態や、スレーブ機器20の記録メディアの残量を取得し、これらの情報を用いて、どのタイミングで撮像データをどの記録メディアに記録するか判断する。
【0093】
外部RECコントロール220Dは、スレーブ機器20の動作状態を取得したり、スレーブ機器20の記録メディアに記録を行ったりする場合には、AV/Cコマンド(AV/Cパケット)を作成し(220F)、それを、IEEE1394制御部240Bを介してスレーブ機器20に送信する。
【0094】
図6は、マスター機器10からスレーブ機器20に送信されるAV/Cパケット250の例を示したものである。AV/Cパケット250は、RECコマンド、REC−PAUSEコマンド、およびSTOPコマンドについてそれぞれ示されているが、コマンドの種類は、パケット内の「opcode」と「operand[0]」によって決定される。
【0095】
次に、図7を参照して、リレー動作モードにおける外部RECコントロールの制御フローの概略について説明する。当該制御フローは、たとえば、撮像画像の1フィールドに1回、あるいは1秒に1回といったタイミングで繰り返し起動されうる。
【0096】
最初に、ステップS10において、マスター機器10の記録メディアの残量(残り時間)を取得する。これは、たとえば、テープをローディングした時点でそのテープの全体記録時間を把握しておき、その後、そのテープに撮像データの記録がされるたびに、その記録時間を全体記録時間から差し引き、その結果をメモリ等に保持しておくことによって得られる。
【0097】
次に、ステップS12において、ステップS10で取得した記録メディアの残量が、設定時間を超えているかどうかが判定される。ここで、設定時間とは、図2のリレー開始時間指定画面81でユーザによって指定された時間であり、この設定情報は、マスター機器10のメモリに記録されている。記録メディアの残量が設定時間より小さい場合、すなわち、記録メディアが残り僅かになってきた場合は、ステップS14に進み、そこで、マスター機器10の動作状態がチェックされる。
【0098】
ステップS14で、マスター機器10が記録状態または記録状態に遷移すると判定された場合(YES)、ステップS16において、スレーブ機器20に記録開始コマンドを送信し、スレーブ機器20に撮像データの記録を開始させる。ただし、図3のタイミング134のように、すでにスレーブ機器20が撮像データを記録している場合には、スレーブ機器20の状態に変化はない。また、ステップS14でNOと判定された場合は、コマンド等の送信をせずに終了する。
【0099】
ステップS12で、記録メディアの残量が、設定時間以上であった場合、すなわち、記録メディアの記録容量が十分残っている場合は、ステップS18に進み、そこで、マスター機器10の動作状態がチェックされる。
【0100】
ステップS18で、マスター機器10が停止状態または待機状態に遷移すると判定された場合(YES)、ステップS20において、もしスレーブ機器20が記録状態にあれば、記録停止コマンドを送信し、スレーブ機器20に撮像データの記録を停止させる。また、ステップS18でNOと判定された場合は、コマンド等の送信をせずに終了する。
【0101】
次に、図8を参照して、外部動作モードにおける外部RECコントロールの制御フローの概略について説明する。ここでは、たとえば、撮像画像の1フィールドに1回、あるいは1秒に1回といったタイミングでスタート/ストップキーが押下されたかどうかが判定され、押下があった場合に当該制御フローが起動される。
【0102】
最初に、ステップS30において、スレーブ機器20の記録メディアの残量(残り時間)を取得する。この処理については、図9を参照して詳細に説明する。
【0103】
次に、ステップS32において、ステップS30で取得した記録メディアの残量が、設定時間を超えているかどうかが判定される。ここで、設定時間とは、図2のリレー開始時間指定画面81に類する設定画面でユーザによって指定された時間であり、この設定情報は、マスター機器10のメモリに記録されている。記録メディアの残量が設定時間より小さい場合、すなわち、記録メディアが残り僅かになってきた場合は、ステップS34に進む。
【0104】
ステップS34では、スレーブ機器20に替えて(場合によっては並行して)、マスター機器10の記録メディアに撮像データを記録するよう制御する。たとえば、スレーブ機器20の記録メディアの残量が設定時間より小さくなった時点で強制的にマスター機器10の記録メディアへの記録を開始するよう制御し、それ以降、スレーブ機器20の記録メディアが交換される等して、その残量が設定時間以上となるまで、マスター機器10のスタート/ストップキーの押下に応じて撮像データをマスター機器10の記録メディアに記録する。
【0105】
また、マスター機器10の記録メディアへの記録が継続されている場合であって、スレーブ機器20の記録メディアの残量が(記録メディアの交換等により)ふたたび設定時間以上となった場合に、ストップキーが押下されると、マスター機器10の記録メディアに対する当該記録は停止される。
【0106】
ステップS32において、ステップS30で取得した記録メディアの残量が、設定時間以上である場合は、まだスレーブ機器20の記録メディアの容量に余裕があることを示しており、この場合はステップS36に進む。ステップS36では、スレーブ機器20の動作状態が取得され、ステップS38で、その動作状態が、記録状態かどうか判定される。
【0107】
ステップS38で、スレーブ機器20の動作状態が記録状態であると判定された場合(YES)、ステップS40に進み、マスター機器10が、スレーブ機器20に対して記録停止コマンドまたは記録待機コマンドを送信する。ステップS38でNOと判定された場合、ステップS42に進み、そこで、マスター機器10が、スレーブ機器20に対して記録開始コマンドを送信する。
【0108】
次に、図9を参照して、マスター機器10が、スレーブ機器20の記録メディアの残量(残り時間)を取得する処理フローについて説明する。
【0109】
ステップS50で、一定時間が経過したかチェックし、経過したら、ステップS52に進んでスレーブ機器20に記録メディアの残量を規定のコマンドを用いて問い合わせる。次に、ステップS54において、ステップS52の問い合わせに対するスレーブ機器20の回答(送信データ)を受信する。
【0110】
その後、ステップS56において、スレーブ機器20からの回答が受信できたかどうか、すなわち、ステップS52の問い合わせコマンドにレスポンスがあったかどうかが判定され、レスポンスを受信できた場合には、スレーブ機器20の記録メディアの残量情報を更新する。これは、問い合わせコマンドに対するスレーブ機器20からのレスポンスが遅延した場合等を考慮したものである。
【0111】
図9に示す処理は、ここでは、図8に示す外部動作モードにおいて、スレーブ機器20の記録メディア残量を取得するために用いられているが、前述のように、スレーブ機器の記録メディア残量(記録可能時間)やバッテリー残量(稼働可能時間)等を表示する機能のために用いることもできる。
【0112】
この場合、問い合わせコマンドは、たとえば、数ミリ秒ないし数秒のオーダー間隔でマスター機器10から送信され、それを受信したスレーブ機器20は、コマンドに対するレスポンスとして記録メディアの使用時間もしくは残り時間を付加してマスター機器10に返信する。このようなレスポンスは、時間の値ではなく、物理量的なパラメータでもよい。また、前述のように、記録メディアについてではなく、バッテリーの利用時間や残り時間をレスポンスとして受信してもよい。
【0113】
マスター機器10は、スレーブ機器20の記録メディア残量やバッテリー残量を、マスター機器10の表示パネル上に、たとえばOSDにより表示させることができる。また、こうした記録メディア等に関する情報は、ユーザが指定した条件や固定的に設定された条件(値)を満たした場合に自動的に表示してもよいし、所定の時間や時間間隔で表示してもよい。
【0114】
記録メディア等に関する情報は、上述のように、マスター機器10の表示パネル上に、比較的詳細に表示されるが、ユーザの条件を満たした旨を表すメッセージのみを表示パネル上に表示するようにしてもよい。
【0115】
また、スレーブ機器20の記録メディア残量やバッテリー残量が、ユーザの指定した残量より小さくなった場合に、LED(Liquid Crystal Display)を表示手段として用い、その旨をLEDの点灯や点滅によって表すようにしてもよい。
【0116】
図10には、スレーブ機器20の記録メディア残量とバッテリー残量に関する情報と、スレーブ機器の動作状態に関する情報が、マスター機器10の表示パネル上にOSDにより表示された例を示したものである。表示パネル300には、家や木といった撮像イメージ302が表示され、それとともに、重複して、スレーブ機器情報301が表示されている。
【0117】
スレーブ機器情報301には、記録メディアの残量が3分であり、バッテリーの残量が100分であり、現在のスレーブ機器20の動作状態がスタンバイ、すなわち待機状態であることが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】この発明の一実施形態に係る撮像装置を含んだ撮像システムの概要を表す略線図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る撮像装置におけるユーザ設定画面の画面遷移を表した略線図である。
【図3】この発明の一実施形態に係る撮像装置のリレー動作モードにおけるマスター機器の動作とスレーブ機器の動作を時系列に表した略線図である。
【図4】この発明の一実施形態に係る撮像装置の外部動作モードにおけるマスター機器の動作とスレーブ機器の動作を時系列に表した略線図である。
【図5】この発明の一実施形態に係る撮像装置の構成を表したブロック図である。
【図6】この発明の一実施形態に係る撮像装置において、マスター機器からスレーブ機器に送信されるAV/Cコマンドの例を示した略線図である。
【図7】この発明の一実施形態に係る撮像装置のリレー動作モードにおける外部RECコントロールの処理を示したフローチャートである。
【図8】この発明の一実施形態に係る撮像装置の外部動作モードにおける外部RECコントロールの処理を示したフローチャートである。
【図9】この発明の一実施形態に係る撮像装置において、スレーブ機器に問い合わせコマンドを送信する際の処理を示したフローチャートである。
【図10】この発明の一実施形態に係る撮像装置の表示パネルに、スレーブ機器情報を表示した例を示す略線図である。
【符号の説明】
【0119】
10・・・マスター機器、20・・・スレーブ機器、21・・・ビデオカメラ、22・・・ハードディスク装置、23・・・パーソナルコンピュータ、24・・・DVDレコーダ、30・・・ネットワーク、200・・・スタート/ストップキー、210・・・表示部、220・・・ユーザI/F制御部、230・・・メモリ、240・・・周辺制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影操作により得られた撮像データを記録する第1の記録手段と、
前記第1の記録手段の残り記録時間が所定の時間より短くなった場合に、前記撮像データを第2の記録手段に記録するよう制御する記録制御手段とを有し、
前記所定の時間は、ユーザによって指定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第1の記録手段は、前記撮像装置に内蔵または装填される記録メディアにより構成され、
前記第2の記録手段は、ネットワークを介して接続される外部記録装置であることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
所定の情報を表示する表示手段をさらに有し、
前記所定の時間は、前記表示手段に表示された複数の候補の中からユーザによって選択されることにより指定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
第1の記録手段を備えたスレーブ機器に対してネットワークを介してアクセスし、マスター機器として動作する撮像装置において、
前記スレーブ機器に所定のコマンドを送信することによって、前記第1の記録手段の残り記録時間を取得するスレーブ情報取得手段を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
第2の記録手段と、
撮影操作により得られた撮像データを、前記スレーブ機器の前記第1の記録手段に記録するモードで動作しているときに、前記スレーブ情報取得手段から得られた前記第1の記録手段の残り記録時間が、所定の時間より短くなった場合、前記撮像データを前記第2の記録手段に記録するよう制御する記録制御手段とをさらに有することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記所定の時間は、ユーザによって指定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項4に記載の撮像装置において、
第2の記録手段と、
所定の情報を表示する表示手段と、
撮影操作により得られた撮像データを、前記スレーブ機器の前記第1の記録手段に記録するモードで動作しているときに、前記スレーブ情報取得手段から得られた前記第1の記録手段の残り記録時間が、所定の時間より短くなった場合、その旨を前記表示手段に表示するよう制御する表示制御手段とをさらに有することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置において、
前記所定の時間は、ユーザによって指定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項4に記載の撮像装置において、
所定の情報を表示する表示手段と、
前記スレーブ情報取得手段から得られた前記第1の記録手段の残り記録時間を前記表示手段に表示するよう制御する表示制御手段とをさらに有することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
撮影操作により得られた撮像データを第1の記録手段に記録する記録ステップと、
前記第1の記録手段の残り記録時間が所定の時間より短くなった場合に、前記撮像データを第2の記録手段に記録するよう制御する記録制御ステップとを有し、
前記所定の時間は、ユーザによって指定されることを特徴とする撮像データ記録方法。
【請求項11】
第1の記録手段を備えたスレーブ機器に対してネットワークを介してアクセスし、マスター機器として動作する撮像装置で撮像データを記録する方法であって、
前記スレーブ機器に所定のコマンドを送信するステップと、
前記所定のコマンドに対するレスポンスを前記スレーブ機器から受信することによって、前記第1の記録手段の残り記録時間を取得するスレーブ情報取得ステップとを有することを特徴とするスレーブ情報取得方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【公開番号】特開2006−217159(P2006−217159A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26544(P2005−26544)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】